白の女神の新たな従者   作:よっしー希少種

4 / 24
バレンタインデー更新ですが、バレンタインネタではありません


お留守番

 朝6時、目覚まし時計の音で目を覚ます。まずは身支度から。顔を洗い、髪を結び、着替えを済ませる。勿論、貰ったケープも忘れない。朝の身支度が終わると、次はブラン達を起こしに行くのだが、起こすのは7時にと言われている。7時まではまだ少し時間がある。少し外の景色を見ようと、クリストは部屋の窓を開けた。澄んだ風が頬を撫でる。冷たいが、心地よい風だ。外を見ると、雪が陽の光を反射して輝いているのが見えた。

 

「綺麗……好きかも、こういう光景」

 

 ぼーっと外を眺めていると、ベッドの傍に置いておいた携帯が鳴った。一応セットしておいた6時55分のアラームだ。

 

「時間か。じゃ、今日も頑張りますか〜」

 

 クリストは携帯をポシェットに入れ、部屋を出た。先にロムとラムの部屋の前に来ると、そっとドアを開け、部屋の中を覗く。二人ともまだ眠っている。まずは三人を起こすことがその日最初の仕事だ。

 

「朝ですよー! 起きてくださーーい!」

 

 

「お姉ちゃんと側近さん、遅いね」

「そうだね。朝ご飯冷めちゃうよ……」

 

 食堂で朝食を食べながらロムとラムは話していた。

 

「側近さん、ちゃんと起こせてるかな?」

「どうだろう……フィナンシェさんでも中々起こせなかったけど……」

 二人の様子が気になるまま、朝食を食べ続けた。

 同じ頃、ブランの部屋にて……

 

「ブラン様、そろそろ起きませんか?」

「ん……あと5分……5分だけ…………」

「それ何回目ですか?」

「………………二回目」

「誤魔化すならもっと上手く誤魔化してくださいよ。七回目ですよ七回目」

 

 まだ布団にくるまった状態のブランの横で呆れた声で話すクリスト。この状態がずっと続いている。

 

「いい加減起きてくださいよ。今日も仕事あるんですよね?」

「ある……わかってる……起きるから」

 

 ブランはゆっくりと体を起こした。やっと起きた、と思いながらタンスからブランの服を取り出す。

 

「はい、着替えで……」

 

 振り返ると、体を起こしたまま眠っているブランの姿があった。

 

「……ブラン様?」

「Zzz……」

「はぁ……」

「くー……」

「流石に準備しないとマズイ気が……」

「……仕方ない。ブラン様、失礼します」

 

 クリストはブランの傍に寄り、着替えの服を置くと、ブランの耳元に口を近付けた。そして……

 

「起ぉきろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 思いっきり叫んだ。ブランは大きく肩を跳ねさせ、耳を抑えながらクリストの方を見た。

 

「!!!!??? わ、わかったわかった。今ので完全に目が覚めたから……」

「それはよかったです。では、身支度して食堂行きましょうか」

「そうね……」

 

 ブランも身支度を整え、クリストと共に食堂へ向かった。

 食堂にて……。ブランとクリストは朝食を食べがら今日の予定の確認をしていた。

 

「今日はギルドの依頼をこなしに行く予定があるわ」

「わかりました。では、お供しm……」

「あなたは留守番」

「え!?」

「えって……あなた武器没収中でしょ?」

「そうですが……採取依頼ならこなせますよ?」

「残念ながら討伐依頼」

「あぁー……」

「だから今日は部屋の掃除をお願いするわ。私とこの子達の部屋と、仕事部屋の掃除を頼むわね」

「わかりました。しっかりこなしておきますね!」

「えぇ、よろしくね。何かわからないことがあったら、フィナンシェに聞くのよ」

「はい!」

 

 朝食を食べ終えると、ブランはロムとラムを連れてギルドへ向かった。クリストは三人を見送ると、指示通り、部屋の掃除に取り掛かった。

 

 

 掃除はブランの部屋を先にやることにした。一応フィナンシェにやり方を教えてもらってから掃除を始める。

 

「さて、始めますか〜」

 

 小物を退かしながら掃除機をかける。

 

「掃除は必要無いくらい綺麗だと思うけどなぁ……。いや、毎日掃除してるから綺麗なのか」

 

 掃除機をかけ終えたら、次はベッドの乱れを直す。

 

(直せとは言われたけど、そんなに乱れてないな。そんな寝相悪くなかったし)

 

 次に、本棚の整理。ブランが本を乱雑に扱うことは無いが、一応確認しておくようにとの事だった。

 

「…………意味あるのかな?綺麗に50音順で入ってるし問題無さそうだけど。というかブラン様ってもしかして本好きなのかな?」

 

 細かいところの仕上げをし、ブランの部屋の掃除を終えた。次に候補生の部屋の掃除に取り掛かった。

 雰囲気としてはThe・子ども部屋という感じだ。ここでも床の掃除とベッドの整理、それと、床に落ちている物の片付けも頼まれた。見ると、クッションやゲームカセットのケースが落ちているのがわかる。

 

「床掃除の前に片すか」

 

 クッションは一旦ベッドの上に、カセットのケースは棚の中に戻す。

「ポシェモン矛・鎧……最新作かな?やはりというかなんと言うか、ポシェモンシリーズってまだ続いてたんだね」

 

 床の物を片付けたところで、掃除機をかけ、ベッドを整え、その他諸々の整理を行った。

 

「こんな感じかな」

 

 候補生の部屋の掃除も済ませ、次に仕事部屋に向かった。

 

 

 仕事部屋では、主に机の整頓を頼まれている。床や窓の掃除を先に片付け、机の整頓に取り掛かる。

 

「これを(まと)めるのか……」

 

 机の上の乱雑に置かれた書類を見て少し億劫になるが、やらないで怒られるよりは全然マシと思いながら整頓を始めた。

 

「これはこれと纏めて……依頼書は依頼書で……お、何これ。冬のコミックなマーケットのチラシ? どうしてここに?」

 

 仕事の書類、ギルドからの依頼書、その他の書類と、テキパキと分けていく。大方机の上の整頓を終えたところで、書類の下に何かあるのを見つけた。

 

「こんなもんかな。……ん、なんだこれ」

 

 手に取って見ると、それが本であることがわかった。しかし、本にしては少し薄いような気がする。

 

「これあれか? 『ウスイホン』ってやつ? 所謂(いわゆる)同人誌だよね」

 

 表紙には『冴えないオタクがゲームの世界に転生したらチート能力を身につけていた件 〜チートスキルで無双してたらいつの間にかハーレムになってました〜』と書いてある。

 

「タイトル長。えぇ……何これ」

 

 興味本位で表紙をめくってみる。目次が書いてある。

 

「……」

 もう一頁めくってみる。縦書きで文字が(つづ)られている。どうやら、これは小説のようだ。

 

「……一話だけ読んでみようかな」

 

 椅子に座り、小説を読み始めた。

 

『俺はマサル。ごく普通のゲームオタクだ』

(一人称の小説か。三人称よりも主人公の心情がわかりやすいのが一人称……だよね?)

『今日は推しのグッズの発売日。ウキウキしながら外出したはいいものの、交差点でトラックにはねられ、俺は死んでしまった』

(突然の死……)

『そして目を覚ますと、俺は見知らぬ森の中にいた』

(あー転生したんだ。ここから本番だね)

 

 クリストは黙々と文字を辿っていった。

 

『鑑定士によると、どうやら俺はLv1でありながら最強クラスのスキルを持っているらしい。その名は深淵ノ裁キ(アビスジャッジメント)

(ほぉ。いかにもってスキル来たねぇ)

 

 その後も小説の世界にのめり込み、三話まで読んだところで

 

「……はっ!掃除!!」

 

 自分の仕事を思い出した。本を閉じ、机の上に置くと、纏めた書類の片付け方をフィナンシェに聞くために、部屋を出た。

 

 

「ただいま」

 

 夕方、ブラン達が帰ってきた。

 

「お帰りなさいませ。お疲れ様でした」

「ありがとう。掃除は終わってるの?」

「はい。バッチリです」

「そう。それならよかったわ」

 

 ロムとラムは先にお風呂に入りに行った。ブランは持ち物の整理を先に済ませる為に、クリストと共に部屋へ向かった。

 

「ところでブラン様、一つお願いがあるのですが」

「何?」

「あの、仕事部屋の掃除中にある同人誌を見つけまして。異世界転生モノの小説の……」

「え……?」

 

 一瞬、ブランの表情が強ばった。

 

「な、何かマズイ物でしたか?」

「い、いや、そうじゃないけど……」

「? そうですか。それで、失礼ながら、あれを少し読んでみたのですよ」

「読んだ……」

「えぇ。中々面白いですね、あれ」

「え……」

 

 ブランが信じられないようなものを見る目でクリストを見た。

 

「なんですかその表情……」

「え?あ、いや……ナンデモナイワ」

「……? ならいいのですが。で、なんだか続きが気になってしまって……もしよろしければ、あの同人誌を貸してくれませんか?」

「え、えぇ。あんなので良ければ好きに借りていって」

「あんなの……?」

「あぅ……えーと、兎に角、あの同人誌は借りて良いわよ」

「……??? わかりました。ありがとうございます」

 

 ロムとラムが大浴場から帰って来た。ブランはクリストに夕飯の時間になったら部屋に呼びに来るよう指示して大浴場へ向かった。

 

「はぁ……」

 

 お湯に浸かりながら一人溜息を着く。

 

「面白い……か。私の小説が」

 

 あの小説は過去にコミックなマーケットで頒布したものだったのだ。あまりに手に取ってもらえなくて落胆したことがあったが、例え一人だけでも自分の小説を面白いと思える人が居るなら、まだ書いていこうかな、と思ったブランだった。

 一方クリストは、仕事部屋から持ってきた例の同人誌を眺めていた。これの話題を出した後からブランの様子が少しおかしくなったからだ。

「何か秘密があるのか……? 曰く付き? まさかなぁ……。はっ……まさかあの先のお話でR18な展開になるとか!? ……いやいやまさか。R18モノならちゃんと表紙に表記されてるはず」

 

 結局、これといった結論には至らなかった。この小説の作者がブランであるというのを知るのはしばらく先になるだろう。




ブラン様は朝に超絶弱ければいいなぁなんていう妄想込な今回のお話。
今回出てきたブランの同人小説について、異世界転生モノということでタイトルとか書いてみたのですが、それっぽい感じになっていたでしょうか?何せ異世界転生モノを書いたことがないもので……。そしてあの小説への感想でわかる通り、クリストは異世界転生モノが好きです。他にも冒険系とかも好きなんですよ。

ここで、今作のオリキャラで一応主人公のクリストの容姿を以下にまとめようと思います⤵︎ ︎
胸辺りまでの白の長髪で、普段はポニーテールにしています。目は普通に黒。紺色の道着袴を着ています。剣道で着るやつをイメージすればピッタリです。白い足袋(たび)草履(ぞうり)を履いています。The・和装です。そこに、ブラン達から貰った水色のケープを羽織り、白いポシェットを下げている感じです。
体型は至って普通。身長は148cm。胸に関しては……服を着てるなら真っ平らに見えるはず。
と、こんな感じです。

長くなりましたが、あとがきはここまでです。次回は来月中に更新します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。