白の女神の新たな従者   作:よっしー希少種

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4月10日は主従の日なんだそうです


女神のケアも仕事のうち

「あれからどう? 補助魔法の方もバッチリ?」

「バッチリです。意外と私って魔法の才能あるんですかね?」

「そうかもしれないわね……正直、ここまで飲み込みが早いとは思わなかったわ」

 

 あれから数ヶ月後、ブランやロム、ラムの指導もあってクリストは氷属性の魔法と、ついでに補助魔法と光属性の魔法を覚えることができた。

 氷属性は完璧にマスター、補助魔法はブランの指導の元、物理攻撃力(STR)属性攻撃力(INT)物理防御力(VIT)属性防御力(MEN)をそれぞれ上昇させるものを身につけた。光属性はロムとラムに教わったが、これは付与できても短時間であり、不完全な状態。

 

「確か武器を消すやつも教えたはずだけど、覚えられなかった?」

「いえ、使えますよ。ほら」

 

 武器を消すやつとは、アニメで女神達がやったどこからともなく武器を出したり武器を消したりするアレである。それの通り、クリストは左右の腰の刀を消して見せた。

 

「使えるなら使いなさいよ……。宝の持ち腐れよ」

「ですが、万が一がありますので」

「万が一?」

「はい。女神は国を治める存在……考えたくはありませんが、女神の命を狙う輩も居なくはないはず。そんなやつが襲撃して来た時にすぐに対応できるように……あえて消してません」

「気持ちは嬉しいけど、そこまで心配性にならなくても良いのよ?」

「いくらか心配性の方が良いんですよ。ま、ブラン様がそんなサクッと負けることはあんまりないとは思いますけど」

 

 クリストは刀を出現させ、腰に差した。

 ちなみに今はデスクワークの真っ最中。静かな仕事部屋には紙の音と二人の話し声だけが響いていた。

 そんな時、部屋の外から何かが割れたような大きな音が聞こえてきた。

 

「何かしら」

「何でしょうね。様子見てきましょうか?」

「お願い」

 

 クリストは部屋を出て音の原因を探りに行った。

 

「……泣き声?」

 

 曲がり角の向こうから子どもの泣き声が聞こえる。それを宥める声も聞こえる。聞きなれた声だ。

 

「……フィナンシェさん?」

「あー! クリストさん!」

 

 そこには割れた皿の片付けをするフィナンシェと廊下の端でうずくまって泣くロムとラムが居た。

 

「ど、どうしたのですか!?」

「お皿を運んでいたら走ってきたラム様達とぶつかってしまって……」

「そんな……フィナンシェさん怪我は?」

「私は大丈夫です。それで、来てすぐ申し訳ないのですが、お二人のこと慰めてあげてくれませんか?お皿の片付けは私がやりますので」

「あぁ……わかりました。任せて」

 

 クリストは皿の破片を避けながらロムとラムの傍に寄り、二人の前にしゃがんだ。

 

「ロム様……ラム様……」

「ごめんなさい……」

「ごめんなさい……(ふるふる)」

 

 すっかりしょげてしまっている二人に、クリストは優しい声色で話しかけた。

 

「お怪我はありませんか?」

「うん……」

「大丈夫……」

「そうですか……それは良かった」

 

 クリストは二人に微笑みかけた。ロムはキョトンとした顔をしている。

 

「お、怒らないの?(びくびく)」

「怒りませんよ。お二人が無事ならそれが一番ですから」

「……側近さん」

「ですが、もうこんな事にならないように注意してくださいね?」

「うん……」

「気を付ける……」

「よし、いい子ですね」

 

 二人の頭を優しく撫でる。すると何故か、二人はまた目に涙を浮かべながらクリストに抱きついてきた。

 

「え? え? なんでまた泣くんですかーー?」

「きっと安心したんだと思います。ものすごく怒られるのを覚悟していたのかもしれませんし」

 

 皿の破片を片付け終えたフィナンシェが横から声をかける。泣かせるようなことをしてしまったのか、一瞬不安になったが、どうやらそんなことはなかったようだ。

 

「でもどうしよう、このままじゃブラン様のお手伝いに戻れない……」

「あぁ……では、私がブラン様に事情を伝えておきましょうか?」

「助かります。二人が落ち着いたら戻るって伝えておいてください」

「はい!」

 

 フィナンシェは仕事部屋に、クリストは二人を連れて候補生の自室にそれぞれ向かった。

 

 

「で、あの子達は今は大丈夫なの?」

「はい。泣き疲れて寝ちゃいました。部屋のベッドに寝かせていますよ」

「そう。ありがとう」

 

 今は休憩中。クリストが用意したお菓子を二人で食べている。

 

「もう十分慣れたわね」

「ロム様達との接し方ですか?」

「えぇ。あの子達にも随分懐かれちゃって……」

 

「もうここに来て結構経ちますからね」

 

 クリストはお菓子の皿の中からブランまんじゅうを一つ取って食べた。わざわざ自分で買いに行って食べるくらいにはハマってしまった。

 

「まさか自分が小さい子の世話をするとは思ってもいませんでしたが……」

「それ……」

「ロム様とラム様のことですよ?」

「そうよね」

「そうですよ?」

 

 暫しの沈黙。この話題はこれ以上掘り下げてはいけないと察したクリストだった。

 

「さて……じゃああと少し頑張りましょうか」

「はい」

 

 ブランは大きく伸びをした。体が伸びきったその時

バキッ……

 

「ガッ……!?」

「え……?」

 

 普通、小さな少女の体からは出ないような音が響いた。

 

「うっ……あぁ……」

「わあぁぁぁ!? 大丈夫ですかーー!!?」

 

 机に倒れ伏すブラン。今まで見たことがないような苦悶の表情を浮かべていた。

 

 

「だからあれほど適度に立って体を動かせと……」

「ふ……不覚だった……わ……」

 

 腰を痛めたブランを何とか部屋に運び、ベッドにうつ伏せで寝かせる。

 

「しかしまぁ、大分エグい音なりましたね。ロム様の魔法で治るかな……でも今はまだ寝てるし……」

「あなた……治せたりしない……?」

「医療行為ですよ? 流石に無理です」

 

 救急箱を漁り、中から湿布を取り出す。

 

「とりあえず、ロム様が起きるまではこれで。失礼します……」

 

 クリストはブランのコートを脱がせ、更に服を下から捲った。ワンピースタイプなので当然……

 

「なぁっ!? テメェ何して……ヴゥッ!!」

「本当、申し訳ない気持ちはありますが……こうしないと湿布貼れないので。あと、あまり体捻ると悪化しちゃいますよ」

「うぐ……手早く済ませろよ……」

「わかってます」

 

 手早く、かつ丁寧に湿布を貼り、服を戻す?

 

「ありがとう……」

「どういたしまして」

 

(しかし……なんか女神が出しちゃいけない声出てたし、すごく情けない姿晒してたな……。うっかり誰かに話したりしたらシェアが低下しそうだし、絶対口外しないようにしないと)

 

 なんなら記憶から抹消した方がシェアのため、己の身のために良いような光景だった。何がなんでも掘り起こさない、そう心に誓った。

 

「いくらか楽になりましたか?」

「えぇ、大分ね……」

「それは良かった……とにかく、今後同じことにならないように、仕事中でも少しは体動かしてくださいね?座りっぱなしが一番ダメです」

「気を付けるわ……」

「はい……。では、ロム様が起きるまでは安静にしててくださいね。絶対にですよ」

「わかった……。仕事……どうしよう」

「あの量なら、多少明日に回しても大丈夫そうですけど……。もし夜にやるならお付き合いしますよ」

「ありがとう……」

 

 候補生を宥めたりブランを運んで手当したり、今日はなんだか普段より疲れる日になったような気がする。それでも、女神達の役に立てたならそれでいい、それがきっと側近のあるべき姿だから。




 前回の話から今回の更新の間に、自分の小説の書き方でアドバイスを貰ったのでそれを参考に書き方を変えてみました。
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