輝きの復活   作:@naru

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五話 秘密の打ち明け

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 明るい歌声、軽快なギター、安定したドラム、調和の取れたキーボード。そして、音を支えるベース。全てが合わさって奏でられる、五人の綺麗に彩られた音楽が僕を震わせる。

 

 こうして誰かの音楽を聞く立場に立つ事はあまり体験した事がなかった。

 だからこそ、誰かの音楽を聞くと言う新鮮な感じが少し高揚感を奮い立たせる。思わず僕はその彩られた音楽に魅入っていた。

 

 

「——————君?どうだったかな?」 

 

 

 どうやら演奏は終了したらしい。

 彩先輩がこちらを向いて何か言っているようだが、未だ僕は演奏の余韻に浸っていた。

 

 

「一楓君?」

 

「あっ‥‥‥は、はい!とっても良かったです!」

 

「いっくん、もしかしてボーッとしてた?」

 

「ち、違いますよ。あまりに綺麗だったので思わず聞き入っちゃって‥‥‥」

 

「あら、嬉しい事を言ってくれるわね」

 

「そうですね。イブキさんがそう言ってくれると私達の音楽に自信が持てます!」

 

「うんうん。今の演奏は私もるん♪って来たよ!」

 

「一楓から何かアドバイスはないかしら。少しでも気になった点があったら言ってくれても良いのよ?」

 

「う〜ん‥‥‥特には‥‥‥」

 

 特に大きな問題は無いし、直すところはほとんどない。強いて言うなら、細かい仕草や表情がもっと観客に向けられるよう意識しておくとか。

 まあ、そこまで口うるさく言って逆に意識し過ぎてズレを生じるのも良くない。

 

 それに、五人の音楽はもう完成に近いと言っても良いぐらいクオリティが高い。恐らく、多くの練習を積んだのだろう。一人一人が調和された綺麗な音楽だ。

 

 だからこそ、そこに他の物を加えるのは違う。パスパレの音楽は五人が作っている物なんだから。

 

 

「そう言えば、前から気になっていたのですが、イブキさんはバンドをご経験した事はあるんですか?」

 

「っ‥‥‥‥‥‥」

 

 

 突然のイヴさんの言葉に、僕は思わず視線を泳がせる。あからさまな僕の行動に皆は首を傾げ、疑問に思っているようだった。

 

 

「ごめんなさい、その事はあまり—————」

 

「良いよ。千聖姉さん」

 

「えっ‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 千聖姉さんの言葉を遮りながら、僕は一歩皆の前に出る。どうせいつかは知られる事なんだ。

 それに、僕はあのステージにもう一度立つと心に決めた。ずっと隠し続ける事にもう意味はない。

 千聖姉さんは僕の表情から察したのか、これ以上言葉を入れる事はなかった。

 

 

 そして、僕は打ち明ける。

 ラジカルというバンドに所属していた自分。自分の居場所だったラジカルを。

 

 

「きっと、今から言う言葉は皆さんを驚かせると思います。何せ、最近メディアにも話題に上がっていたんですからね。‥‥‥皆さんが疑問に思うのも無理はありません」

 

「い、いきなりどうしたの?何か、一楓君らしく無いよ‥‥‥」

 

 

「ごめんなさい、彩先輩。‥‥‥この際はっきり言います。僕は、Radical Soundに所属していました」

 

 

「「「っ‥‥‥‥‥!?」」」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 予想していたように、各々が驚きの表情を見せる。

 そんな中、彩先輩は困惑が混ざった複雑な表情を浮かべ、視線を下に向けた。

 

 

「僕はラジカルのベース担当、ホワイト。当時は中学二年。まだ幼かった事もあって、僕はマスクと帽子で顔を隠していました。ラジカルを見たことがあるなら、それは周知の事実だと思いますがね」

 

「ほ、本当ですか‥‥‥?イブキさんがラジカルのホワイトさんだったなんて‥‥‥」

 

「ジ、ジブンも驚きです‥‥‥!でも、何故このタイミングで‥‥‥」

 

「‥‥‥実は僕、また復帰しようと考えているんです」

 

「えっ!?復帰って事は、いっくんバンドするの!?」

 

「はい、正式にはまだ決まっていませんが、そのつもりでいますよ」

 

 

 僕の言葉に、身体をぶるぶると振るわせる日菜先輩と麻弥先輩。

 一体どうしたのかと不安に思いながらも、それは杞憂だった事を三人の言葉で思い知らされる。

 

 

「っ〜‥‥‥すっごい嬉しい事じゃん!あたし、ラジカルの大ファンだったんだ!」

 

「ジブンもです!ああ、あのホワイトさんがまさか目の前にいるなんて‥‥‥‥さ、サインください!」

 

「私も欲しいです!イブキさんのサインは国宝級ですね!」

 

「‥‥‥ふ、ふふっ。何か、不安に思ってた僕が馬鹿みたい‥‥‥」

 

 

 それは、心からの安堵の言葉だった。不安を拭いきれず、皆が今までの僕を忘れ、今までと接し方が変わる事に対する恐怖。

 そんな感情を募らせていた自分が馬鹿馬鹿しく思える。そう思わせてくれたパスパレの皆は、まさに希望を灯してくれた光そのものだった。

 

 

「パスパレはこれでこそパスパレだもの。一楓から私達が離れるなんて有り得ないわよ」

 

「‥‥‥そうだよ。一楓君は仲良しの友達なんだから」

 

 

 何処か吹っ切れた様子を見せる彩先輩が僕の右手を両手で取る。

 彩先輩の温もりが手に伝わり、僕は羞恥から顔を赤くしてしまう。どうやら、それはお互い様のようだった。

 

 

「私、一楓くんの事これからずっと応援するからっ!一緒に頑張ろうね!"私も一番の輝きを目指して"一生懸命頑張るよ!」

 

「はいっ‥‥‥!ありがとうございます、彩先輩っ‥‥‥」

 

 

 

 それは、二人が心に決めた強い想いの結晶。同じステージを目指す者同士、その想いが断ち切れる事は無い。

 あの輝きを手に入れるまで、心の灯火を消す訳にはいかないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「("私も"一番の輝き、か。‥‥‥彩ちゃんは聞いていたのかもね。貴女の事はよく知っているつもりだけど、弟を渡せるかはまだ検討中と言ったところかしら。弟が欲しいなら、私を納得させる事が大前提。一楓はまだ私のものなんだからね♪)」

 

 

 

 

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