マネージャーの誕生日に何かをしたいと思った陽菜は、彼をデートに誘うことにしました。

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※pixivからの転載です
この作品は、わたしが初めて書いたCUE!の二次創作です。


安らかなひとときをあなたへ

 少し肌寒い朝、神瑞駅で陽菜と待ち合わせの約束をしていた。

駅前で眠そうにしている陽菜を見かけたので、声をかけた。

「おーい、陽菜ー」

「あっ、マネージャーさん」

「ごめん、待たせちゃった?」

「大丈夫ですよ」

「わたしも今来たところですから」

 

 昨日レッスンが終わった陽菜を寮まで送るため一緒に歩いている時に、陽菜が立ち止まり。

「あ···、あの」

「マネージャーさん!」

急に声をかけられてびっくりした。

「ん、どうしたの?」

「明日、デ···デートに行きませんか?」

顔を若干赤らめながら、恥ずかしそうに言ってきた。

 

そういえば、真咲さんから休暇を頂いていたから。

「もちろん、いいよ」

そう答えると、とても嬉しそうに。

「やった!」

「それでは、明日の9時に神瑞駅の前に来てくださいね!」

「どこに行くかは明日になってからのお楽しみです」

 

 昨日の出来事を思い出しながら。

「それじゃあ、行こうか」

「はい!」

陽菜に連れられて、電車に乗った。

「わたし、マネージャーさんとデートに行けて嬉しいです」

「俺も嬉しいよ」

何気ない会話をしつつ、電車に揺られてどこかに向っている。

 

しばらくして、陽菜にどこに向っているのか聞いてみても。

「着いてからのお楽しみです!」

としか答えてはくれなかった。

 

 そして、電車を乗り換えて着いた場所はみなとみらいだった。

「ここって…」

「ふふっ、驚きましたか?」

「以前、マネージャーさんが行きたいってつぶやいていましたから」

「あの時言ったこと覚えてたの!?」

陽菜は上目遣いで微笑みながら。

「マネージャーさんの言葉は全部覚えていますからね!」

それを聞き、ドキッとしてしまっていた。

それから陽菜が。

「せっかくですし、手…、繋いでいきませんか?」

ともじもじしながら言ってきた。

今までこちらから繋ぐことはあったけれど、陽菜からは一度もなかった。

「だめ…ですか?」

陽菜は不安そうにしていたけど。

「うんいいよ、せっかくだからね」

「じゃ…じゃあ」

陽菜から優しく手を恋人繋ぎで繋がれた。

「どう…ですか?」

こうして手を繋ぐのは初めてのことだったから、すごくドキドキしてしまっていた。

陽菜からも同じように伝わってくる。

「なんだか、とても安心する」

「わたしもです」

お互い落ち着くまでしばらくじっと立ち止まっていた。

 

「それから、今日だけは名前で呼んでもいいですか?」

今日の陽菜は積極的だなぁと思いつつも。

「いいよ、せっかくだからね」

「やった!」

「それじゃあ、○○さんそろそろ向かいましょう」

「そうだね」

そうして、ゆっくりと陽菜に引っ張られながらどこかへ向かった。

 

 少し歩いて着いた場所は、実際に動物とふれあうことができるテーマパークだった。

入口でパスポートを購入し、パンフレットを手に取って。

「最初はどこに行く?」

陽菜に尋ねると、メモ帳をじっと見て。

「うーんと…、まずは一番近いここに行きましょう」

 

 そこに入ると、まずはガラス張りの壁の向こうにフクロウたちがいた。

その隣にはミーアキャットたちもいて、じっくりと見ることにした。

しばらく周っていると、カピバラが歩いているのを見かけて。

「このエリア内では、放し飼いにされているみたいです」

「えさをあげることもできるので、○○さんどうですか」

せっかく陽菜にそう言われたので。

「それじゃあ、そうしようかな」

カピバラ用のえさを購入し、あげることにした。

「カピバラって、こんな感じに食べるんだ」

「初めて見ましたが、とても勢いよく食べていますね」

「よかったね!」

 

「そうだ、えさを食べてるあいだに、触ってみれば?」

「じゃ、じゃあ…」

陽菜は、慎重にカピバラに向って手を伸ばし、頭を撫でた。

「思っていたよりも、毛が固くてゴワゴワしてます」

「そうなの?」

自分もカピバラを撫でてみた。

「見た目は柔らかそうだったけど、意外と固いんだね」

 

カピバラとたわむれた後、元気よく陽菜が声をかけてきた。

「わぁ...、見てください○○さん!」

「大きな亀さんがいますよ!」

指を指している方を見ると、とても大きな亀がのしのしと歩いていた。

「亀井さんよりも大きいね」

「こんなに大きい亀さんもいるんですね!」

そういえば、カピバラのえさを買いに行った時、亀用のものも売っていたから。

「今度は陽菜がえさをあげてみる?」

そう言ってみると。

「いいんですか!」

「それでは、お言葉に甘えて」

 

それから陽菜は、えさを買ってきて。

「ふふっ」

「どう、おいしい?」

亀に向って声をかけながら、とても嬉しそうにえさをあげた。

「亀井さんにもこんな感じにあげてるの?」

「そうですね」

「亀井さんはもっとゆっくりと食べていますよ」

しばらくの間、亀や亀井さんについて語り合った。

 

 「では、そろそろ次のところへ行きませんか?」

「うん、そうだね」

「次はどこに行く?」

すると、陽菜はメモ帳をじっと見つめて。

「それでは、隣のエリアに行きましょう」

 

 入口では、2つの体験に分かれているようだった。

「どっちの体験に行く?」

「こちらの一般観察体験に行きましょう」

「多くの動物と触れ合えるみたいです」

 

 そして、エリア内に入ると最初にウサギとモルモットがいた。

ここの動物も実際にふれあうことができるので、陽菜と一緒に触ってみた。

「もふもふしてて、触り心地がいいですね」

「それに人に懐いてるみたいで、落ち着いてます」

「こうして、触れ合えるのってなんかいいね」

 

それから手袋をし、受付で買っていたえさをあげてみる。

「○○さん!たくさん集まってきましたよ」

「すごい勢いで食べていきます」

「とてもかわいいです」

 

そのあと世界で一番大きいウサギとも触れ合ってみたり、ガラス越しでシマリスを観察して、存分にエリアを堪能した。

「どの動物たちも小さくて可愛かったね」

「はい、癒されました」

 

「そろそろ2階にも行ってみようか」

「えっと...、2階には……」

陽菜はメモ帳をペラペラとめくると。

「そういえば、そろそろお腹空いていませんか?」

「何か軽く食べていきましょう」

パンフレットを見ると、2階には食事ができる場所があった。

「うん、そうしようか」

1階を周り終わり、2階へと向かうことにした。

 

 2階にはカフェがあり、そこで食べていくことにした。

「陽菜は何を頼む?」

「そうですね...」

メニューを見て、何かを見つけたみたいで。

「あっ!このパンダまんと、カフェラテにします」

「俺は…」

とメニューから選ぼうとしたところで陽菜から。

「○○さんは飲み物だけにしておいてくれませんか?」

「ん、どうして?」

「あとからわかりますから」

「そっか、わかったよ」

陽菜に何か考えがあるようだったので、ドリンクだけ頼むことにした。

 

頼んだものを受け取り、飲食スペースで食事をとることにした。

「〇〇さん、以前にパンダの話をしたこと覚えていますか?」

「もちろん覚えているよ」

「あの日のことは忘れるわけがないよ」

「だって、陽菜が親友の」

「ふたばちゃんのことについて話してくれたんだから」

「そう...、なんですね」

「あの日の夕焼け空はとても、とても綺麗でしたね」

「うん、また見れるといいね」

「はい!」

「今度はこ、恋人としてですね」

少し照れくさそうになりながら、あの日のことについて語り合った。

最後に2階にあるエリアを周り、ここを後にした。

 

 外に出てみると、最近では珍しく暖かかった。

「陽菜、暑くない?」

「そうですね、少し暑いです」

陽菜がコートを脱いだので、それを受け取った。

「ありがとうございます」

「いいのいいの」

 

「それで、ここからどこに向かう?」

「少し歩いた所に公園があるので、そこでゆっくりとしましょう」

「そうだね」

「話したいこともたくさんあるし」

手を繋ぎ直し、パークの出来事を振り返りながらそこに向うことにした。

 

 数十分歩き、公園のベンチに座った。

ここの公園は海に近く、風がとても心地よかった。

「〇〇さん、最近はこんな風に二人きりで居れることがあまりなかったから」

「わたし···、寂しかったんですよ」

陽菜は不満げな表情をしながらそう呟いた。

「それに、話したいことだってたくさんあるんです」

「俺もだよ」

「それから、今日は○○さんのためにお弁当を作ってきました」

「お口に合うと嬉しいです」

「俺のために?」

「心を込めて作りました!」

パーク内で飲み物だけ頼むよう言ったのはこのためだった。

「それじゃあ、さっそく」

陽菜から弁当を受け取ると温かく、しっかりと保温されていた。

中身は、玉子焼きやほうれん草の和え物などの一般的ものや、鯖の味噌煮といった少し凝ったものが入っていた。

「どれも綺麗にできていてとっても美味しそう」

「ありがとう、陽菜」

「どういたしまして」

「朝、早く起きて準備しました」

だから朝待ち合わせしている時に眠そうだったんだと納得した。

そして、感想を伝えながら弁当を食べていった。

 

 それから弁当を食べ終わってから陽菜と話しを始めることにした。

「それで何から話そうか」

「そう···ですね」

「あっ、オーディションのことで話したいことがありました」

「以前に受けたオーディションは、主人公の幼なじみの女の子の役だったんですけど」

「その子は主人公に恋をしていて···」

「審査の時のセリフが主人公に、こ…、告白するシーンで」

「恥ずかしかったんですけど、〇〇さんのことを思いながら、わたし、頑張ったんです」

「そうしたら合格して、監督さんにとても褒められました!」

「それはよかったね!」

「はい!」

「あの日はマネージャーさんからでしたけれど」

「セリフにとっても心が籠ってるって言われました」

「役に立ててるみたいで嬉しいよ」

「でも、まだまだこういうのは恥ずかしいです…」

それから今まで話せなかった分、たくさん話をした。

 

「本当は······、ずっとこうしていたいんですから·········」

うつろうつろした声を聴いた後、肩に寄りかかられた感触がした。

「···陽菜?」

よほど疲れていたのか、陽菜は眠ってしまっていた。

声を掛けても反応がなく、ぐっすりと眠っているみたいだった。

このままの姿勢でいさせるのもあれなので、起こさないようゆっくりと頭を膝に乗せた。

陽菜が寝ている姿を間近で見るのは初めてだから、ずっとドキドキしっぱなしだ。

ふと、陽菜の頭を優しく撫でて見ると。

「ふふっ、マネージャーさん……」

いい夢を見ているようで、楽しそうな表情をしながら寝言を言っていた。

たまにはこんな時間もいいなぁと思いつつ、陽菜が起きるまではずっとそのままでいることにした。

 

 しばらく時間が経ち、空が夕日に染まり始めたところで陽菜が目覚め。

「んー······、マネージャーさん?」

「おはよう、陽菜」

「ご、ごめんなさい」

「デート中なのに寝てしまって」

「いいのいいの、陽菜の可愛い寝顔を眺めてるのも楽しかったし」

「またそうやってからかうんですから」

「からかってないよ」

「本当のことだし」

「・・・もう」

 

 「あっそうだ○○さん、今何時ですか!」

何か焦っているようなので、腕時計ですぐさま時間を確認し。

「今は4時くらいだね、どうかしたの?」

「実は、まだまだ他にも回りたいところがあったんです」

陽菜は気を落としてしまったようだった。

「それなら、今からでも行けるところにいこうよ」

「暗くなる前に一か所くらいは回れるでしょ?」

なんとかリカバリーできるよう聞いてみたところ、メモ帳を見返してから。

「観覧車、最後にここからでも見える大きな観覧車にのりませんか?」

「いいよ、俺も乗ってみたいと思っていたから」

「それでは、すぐに向かいましょう」

陽菜に手を取られ、駆け足でそこに向っていった。

 

 その後、数分歩いた所で遊園地に着き。

「ここって、そのまま入っても大丈夫なのかな」

「大丈夫ですよ」

「入るのは無料で、アトラクションに乗るときにお金を払うみたいです」

「へー、そうなんだね」

遊園地に入り、チケット売り場で単券のチケットを購入して、観覧車に向った。

「近くで見ると、本当に大きいね」

「そうですね、ちょっと怖いですけど、○○さんと乗るから大丈夫です」

「そうなの?」

「はい」

これだけ大きな観覧車に乗るのはお互い初めてみたいだから、なんとか緊張をほぐそうと会話をしていると。

「順番が回ってきたから乗ろうか」

「は、はい…」

観覧車に乗り、ゴンドラの中で向かい合って座った。

「とてもいい眺めですね…」

「そうだね」

「○○さん、今日のデートはどうでしたか?」

「とっても楽しかったよ」

「それはよかったです!」

今日あったことについて話していると、頂点付近に近づいたところで。

「あっ、さっきまであそこにいたんですよね」

「ん、どこ?」

陽菜が指を指したところを見ていると、ちょうど観覧車がライトアップされ、

その時に頬から柔らかな感触が伝わってきた。

「は、陽菜!?」

驚いてすぐさま振り向くと、陽菜は顔をとても真っ赤にしていた。

「マネージャーさん、誕生日おめでとうございます」

「い、今のわたしができる最大のプレゼントです」

陽菜は勇気を振り絞ってしてくれたようだった。

「ありがとう、陽菜」

「とっても嬉しいよ」

 

一周し終わり、観覧車から降りてから。

「今日は最高の一日になったよ、ありがとう」

「どういたしまして」

「これからもわたしのこと、わたしたちのことをよろしくお願いします!」

 

こうして、人生で一番の誕生日を迎えることができたのでした。


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