ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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102話

『さあ、いよいよ今日から本戦! ファイナルトーナメントの開幕です! ジムチャレンジ中の戦績により順位付けされたジムリーダーたち七人とセミファイナルトーナメントの優勝者の八人でトーナメント戦を行い、見事優勝した選手にチャンピオンへの挑戦権が与えられます! 今年のセミファイナルトーナメントを優勝し、見事ファイナルトーナメントへの切符を手にしたのはハチ選手でした!! 一方、ジムリーダーの方はというと、高齢を理由にアラベスクジムのジムリーダー、ポプラ氏が辞退したため、残りの七人が自動的に出場することになっています!』

 

 はぁ……………。

 いよいよ始まってしまうのか………ダンデとのバトルまでのカウントダウンが。

 

『その八人のトーナメント戦の組み合わせは今朝方公表され、ご存知の方もいることでしょう! それでは早速第一回戦の選手を紹介したいと思います!』

 

 寝起きでトーナメント表を確認したものだから、まだ夢でも見てるのかって思ってしまったくらいには最悪な寝起きだった。

 

『まずはこの人! スパイクジムのジムリーダーにしてシンガーソングライター! 哀愁のネズ!!』

 

 こんな紹介をされている通り、ファイナルトーナメントの初戦を飾るのはあの猫背なタチフサグマじゃなかったネズなわけよ。

 そんでもって俺がこんな放送を聞いている時点で想像出来るだろうがーーー。

 

『そして! 今年のジムチャレンジが始まって一ヶ月後に突如として現れたダークホース! その実力は既にジムリーダー以上とも噂されている仮面のハチ!!』

 

 ネズの相手が俺なわけよ。

 初戦で、しかも相手はネズ。

 何の嫌がらせかと抗議したくなったのは言うまでもない。

 ただまあ、決まってしまったものはどうしようもないのだし、甘んじて受け入れるしかなく、俺はここに立っているわけだ。

 しかもだ。今日はネズと俺の他にも、キバナとヤローさん、サイトウとカブさん、ルリナとメロンさんのバトルもやるみたいだからな。フルバトルをやるから、時間的にも結構余裕がない。明日は準決勝の二戦をやることになっているし、夜には決勝戦も控えているからな? さらに明後日にはとうとうダンデとのバトルってことになっているから、マジで詰め込みすぎだと思う。

 ………ああ、嫌だ。

 今後の日程を考えただけでも嫌なのに、ネズとはもうバトルしたくないと思っていた矢先にコレとか、マジでフラグを見事に回収してしまった気分だわ。

 だからマジでセンターサークルへ向かう足取りがいつも以上に重たく感じる。足引き摺ってんじゃねぇの? と思っちゃうくらいには足が重たい。

 

「………今日は厄日ですね」

「それな」

 

 開口一番にネズが口に言葉に、俺も激しく同意である。

 何ならカントーでの会議から帰ってきて早々にぶっ刺されたあの日から、ずっと厄日なんじゃないだろうかとすら思うね。

 

「ジム戦では負けてしまいましたが、一度負けた相手に二度も負けるつもりはねーですよ。覚悟しておきなさい」

 

 覚悟、覚悟ねぇ………。

 

「正直、勝敗はどうでもいいっていうのが本音ではあるが、やる以上は勝たないとポケモンたちに申し訳ないからな。それにここまで来た………来ちゃったんだから、悪いが負けてやる気はねぇわ」

「妙なところで言い直しやがりますね。どんだけ嫌なんですか」

「嫌だろ、普通。アレとバトルするんだぞ。しかもフルで」

 

 一対一ではあったものの、ダンデと一度でもバトルすれば嫌でも思い知らされることだろう。

 あのバトルバカなトレーナーと火力お化けなポケモンの組み合わせに。

 辟易、なんて言葉じゃ足りない。生ぬるいとすら思う。

 もう、最早、アレルギー反応と言っても過言ではないんじゃなかろうか。嫌すぎてアナフィラキシーショックを起こすかもしれない。

 それでも割と一方的ではあったが約束しちゃったもんだから、やるしかないんだよなぁ…………………。

 

「皆、その頂を目指しているんですがね…………。おまえは変わってますね」

「相手がバトルバカの火力お化けじゃなければ、もう少し譲歩の余地はあったんだがな」

「気持ちは分からなくもねーですが、こっちにもスパイクタウンを背負ってる身なんでね。バトルバカの火力お化けの相手はおれがするんで、大人しく負けておきんしゃい」

 

 そう言って、ネズはさっさとフィールドのトレーナーポジションへと行ってしまった。

 ……………何故最後訛った?

 まあ、いいや。俺も向かうとしよう。

 

『ルールはセミファイナルトーナメントと同じく、使用ポケモンは六体。技の使用も四つまでとなり、例外はダイマックス技やZワザなどの特殊な技のみ。そして両者交代は自由となります。それでは、参りましょう! バトル始め!』

 

 俺たちが立ち位置に到着するとルール確認が行われ、続けてバトル開始の合図が落とされた。

 

「ふぅ………おれは! スパイクタウンジムリーダー! あくタイプポケモンの天才、人呼んで哀愁のネズ!! ジム戦ではおれが負けたが、今回は本気も本気! 超のつく本気でおまえをぶっ倒すぜー!」

 

 まーた始まったよ。

 つか、いつの間に用意されてたんだよ、そのマイクスタンドは。

 

「まずはおまえからだ、カラマネロ! 今度こそ、特性あまのじゃくの真髄を見せてやろうぜ!」

 

 うっわ…………。

 一体目からまたカラマネロなのかよ。

 初戦の相手がネズだと分かった時点で、カラマネロの特性あまのじゃくをどうしようかと思ったのだが、一つどうにか出来そうなポケモンに心当たりがあった。

 

「サーナイト、よろしく」

 

 何を隠そう、うちの最強ヒロインである。

 隙を見てさいみんじゅつで寝かせちゃえばいいんじゃね? ということになった。それがダメならウルガモスという手もあるが、ウルガモスだとジム戦と同じことになりそうだからな。カラマネロの嫌なところは特性だけでなく、ひっくりかえすを使えることだ。こっちが能力を上げていけば、ひっくりかえすで全てを逆効果にしてしまう嫌な技が待っている。だから下手に能力を上げる技を使うことも出来ないという、うざったさがあるのだ。

 だからウルガモスよりも強く、どうにか出来そうなうちのヒロインに任せることにしたのである。

 

「カラマネロ、あくのはどうを纏って突っ込め!」

 

 カラマネロが黒い波導を自分の周りに発生させて身に纏っていく。

 この前のジム戦では見られなかった戦法だな。

 

「サーナイト、マジカルシャイン」

 

 黒いオーラを散らすべく、突っ込んでくるカラマネロに向けて光を迸らせる。

 

「そのままばかぢから!」

 

 だが、ダメージを厭わず突っ込んできて、その馬鹿力でサーナイトが吹っ飛ばされてしまった。

 

「バトンタッチ!」

 

 …………おいおい、マジかよ。

 バトンタッチ持ちとか聞いてねぇぞ。

 特性あまのじゃくにバトンタッチとか嫌な手を使ってくるな。しかも技枠一つを残してのバトンタッチである。次に出てきた時にはひっくりかえすを使われる可能性があるため、下手に能力を上げることも難しい。

 本当に嫌なポケモンである。

 

「いくぜ、ゴリランダー! おまえのリズムを響かせろ! ちょうはつ!」

「ラァーッ!」

 

 カラマネロとタッチして、特性あまのじゃくで上がった能力を引き継いでゴリランダーが出てきた。

 ゴリランダー、くさタイプ。

 ガラル地方においては初心者トレーナー向けのポケモンとされているサルノリの最終進化形なんだとか。鎧島にいる時に図鑑か何かで見たことがある。

 …………あくタイプはどこへ行った。確かストリンダーもいたよな。

 

「サ、サナー!」

 

 ちょっと? サーナイトちゃん? 演技が下手すぎやしませんか?

 挑発されたってのに棒読みで返しちゃダメよ。

 まあ、挑発にノらずにノッたフリをしたところは褒めるけども。それならそれで俺もお前のアドリブを生かすだけだからな。

 

「DDラリアット!」

 

 体躯のいいゴリランダーがガオガエンのように両腕を広げて回転してながら突っ込んできた。

 

「サーナイト、躱してのしかかり」

 

 それをひらりと躱してジャンプすると、ゴリランダーの頭へと着地していく。

 顔面から倒れたゴリランダーの背中の上で楽しそうに踏みつけるサーナイト。構図としては女王様感あるのに、無邪気に踏んでいるため、狂気に満ちているように見えてしまう。

 

「そのままシグナルビームを撃ち込め」

 

 そして極めつけには後頭部への点滅する光の一閃を発射。

 指示しといてなんだけど、絵面が恐ろしすぎる。

 こんなはずじゃなかったんだけどな…………。

 

「寝てんじゃねぇぞ、ゴリランダー! もっともっと激しくリズムを刻めぇ! 10まんばりき!」

 

 かと思いきや、ネズの発破でゴリランダーが全身に力を入れてきて、起き上がってしまった。

 サーナイトは咄嗟に飛び降りてバランスを崩して倒れ込むということはなかったが、急に立ち上がってきたため、ちょっと驚いた表情をしている。

 うん、可愛い。

 

「ドラムアタック!」

 

 すると切株から作られたのであろう太鼓? をどこからか取り出すと大きくなり、それをドンドコドンドコ叩き始めた。

 リズムを使った攻撃かと思えばそうではなく、そのリズムに反応するようにして地面から太い蔦が伸びてきて、サーナイトを絡め取ろうと襲いかかっていく。

 

「サーナイト、マジカルシャインで焼け」

 

 幸い、マジカルシャインは光を迸らせるのと同時に、多量の熱を発してもいるため、絡め取ろう近づいてきた蔦から順に、サーナイトの身体から迸る光の熱により焼き払われていった。

 

「シグナルビーム」

「DDラリアット!」

 

 完全に蔦を焼き払うと反撃とばかりに再度点滅する光の一閃を放ったのだが、ゴリランダーも次の技を出してきていて弾かれてしまった。

 DDラリアットも使い方次第では防御にもなるからな。近いところでいうとジャイロボールもその類に含まれる。多分、回転の原理がいい感じに技を弾くのだろう。

 

「いいね、いいね! しんりょくが発動しやがったぜ! ゴリランダー、パワーアップしたリズムをスタジアムに奏でな! ドラムアタック!」

 

 それでもやはりダメージがないわけではないようで、ゴリランダーの身体から緑色のオーラが出始めて、特性しんりょくが発動していることが目に見て取れる段階にまでなっていた。

 サーナイトに踏みつけられたのがそんなに効いたのだろうか。

 

「テレポートで躱せ」

 

 再度太鼓を叩くリズムに合わせて太い蔦が地面からサーナイトを絡め取ろうと襲いかかってくる。

 だが、それを今度はテレポートで躱していき、最終的にはゴリランダーの懐へと移動を済ませた。

 

「なっ………?! ちょうはつが効いているはずじゃ………!」

 

 ネズが驚いているようだがら知ったこっちゃない。

 

「直接シグナルビーム」

 

 胸を貫くように直接光の一閃を浴びせて、ゴリランダーを吹っ飛ばす。

 

「テレポートからののしかかり」

 

 さらにテレポートで飛んでいくゴリランダーの上から強引に踏みつけて地面に落とし、クレーターを作り上げた。

 

「ゴリランダー、戦闘不能!」

 

 ゴリランダーの様子を確認しにいった審判の判定が下される。

 よし、まずは一体。

 このまま残りのポケモンをサーナイトでやれるところまでやろうではないか。

 

『ゴリランダー、戦闘不能ォォォ! 先制したのはハチ選手! カラマネロの特性あまのじゃくでばかぢからの反動を逆転させ攻撃力と防御力を上昇! それをバトンタッチでゴリランダーへと引き継ぎましたが、サーナイトはこれをモノともせず、ゴリランダーを下しました! 強い、やはり強いぞサーナイト!』

「いいバトルだったぜ、ゴリランダー! 次はもっといいリズムを聞かせてくれよな!」

 

 さて、次は何が出てくるのやら。

 流石にあくタイプが出てくるとは思うが…………そういえばフェアリータイプの技が効果抜群にならない奴がいたな。

 

「おまえの臭いでサーナイトを釘付けにしてしまえ! スカタンク、ふいうち!」

 

 噂をすれば何とやら、である。

 ボールから出てきたスカタンクが一気に駆け寄ってきて、サーナイトの背後に現れた。

 

「テレポート」

 

 それをテレポートで躱すと逆にスカタンクの背後を取る。

 

「シグナルビーム」

「後ろだ! かえんほうしゃ!」

 

 そのまま点滅する光の一閃を撃ち込むと、ぐりんと身体を反転させて、炎で閃光を受け止められてしまった。

 

「スカタンク、シャドークロー!」

「サナ!?」

 

 そして、着地と同時に爪を地面に突き刺し、サーナイトの影から爪の形をした影が伸びてサーナイトを弾き飛ばす。

 

「テレポート」

 

 それでも慌てず、テレポートでスカタンクの目の前へと移動するとーーー。

 

「マジカルシャイン」

 

 ーーー身体から光を迸らせて、スカタンクの視界を一時的に奪い取った。

 一瞬のことでサーナイトを認識出来なかったスカタンクは目の痛みに悶えている。チカチカするんだろうな。

 

「シグナルビーム」

 

 とはいえ、ここで容赦していては逆に危険である。

 点滅する光の一閃を撃ち込んでいく。

 

「スカタンク、ふいうち!」

 

 だが、やはりそこはジムリーダーのポケモンなのか、回復するのも早く、直撃する寸前に躱されて逆に背後を取られてしまった。

 

「テレポートで躱せ」

 

 どうにかテレポートで躱しはしたものの、近づいて攻撃するのはそれだけ詰め寄られるリスクも高くなってしまうようだ。

 

「シグナルビーム」

 

 なので、離れた位置から再度点滅する光の一閃を撃ち込んでみた。

 

「さらにふいうち!」

 

 それでもやはり躱されてしまいーーーッ!?

 

「だいばくはつ!」

「テレポート」

 

 嫌な予感がして即座にテレポートとさせようと口にした瞬間に、再度背後に現れたスカタンクの身体が大爆発を起こした。

 やっぱりか…………。

 ジム戦でもスカタンクがだいばくはつを使ってきていたので、何となくこの硬直する流れを変えるためにも、一発入れてくるのではないかと思ってのだが、どうやら予感は的中したらしい。

 とはいえ、ただでは済まなかったようで、サーナイトも爆破の衝撃をゼロで回避出来たわけではなかった。

 そこまで大ダメージというわけでもないが、ちょっと手痛い攻撃を受けてしまっていた。

 

「スカタンク、戦闘不能!」

 

 当然、審判の判定が下されて二体目の戦闘不能に。

 恐らく、ふいうちからのだいばくはつでサーナイトを相討ちに持っていこうという算段だったのだろう。危ない危ない。

 

『スカタンク、戦闘不能ォォォ! ふいうちからのだいばくはつでサーナイトとの相討ちを試みましたが、サーナイトの反応の方が上をいき躱されてしまいました!! サーナイトを止められるのは一体誰になるのかっ!!』

「おいおいおいおい、逃げてんじゃねぇぞ!」

「いや逃げるだろ、普通」

 

 スカタンクをボールに戻しながらも、ネズがヤジを飛ばしてきた。

 以前はドラミドロを持っていかれたが、そう何度も同じ手にやられるつもりはない。

 

「もう一度いくぜ、カラマネロ! おまえのあまのじゃくを見せてやれ!」

 

 二度目の登場である。

 この手の戦法を使ってくるポケモンは何度も出てきてはバトンタッチで能力を引き継がせて、後続のポケモンが荒らしていくから厄介である。対処法としては出てきた時に確実に仕留めることなのだが………これが意外と難しかったりする。

 何故かといえば、大体のポケモンが素速さを上げて回避してからバトンタッチしていくか、速さがなくても攻撃を打ち消せるような技を持っていたりするからだ。こういう戦法を取る奴に限って、そういうところはちゃっかりしてるんだよな………。

 

「サーナイト、シグナルビーム」

 

 弾かれるかなー、と思いながらも点滅する光の一閃を走らせる。

 

「カラマネロ、あくのはどうを纏って回転!」

 

 案の定、黒いオーラを纏って回転することで弾き飛ばしている。

 そうなると今度はあちらから仕掛けてくるだろうから………向かってきたところを返り討ちにするとしよう。

 

「もう一度纏え!」

 

 再度黒いオーラを纏うとカラマネロがサーナイトへと突っ込んでいく。

 

「ばかぢから!」

「サーナイト、マジカルシャイン」

 

 身体から光を迸らせると、一瞬カラマネロの軌道が逸れて宙返りしていった。

 

「押し切れ! ばかぢから!」

 

 そして再度突っ込んできたのでーーー。

 

「……テレポート」

 

 ーーー普通に逃げた。

 

「チッ、カラマネロ、バトンタッチ!」

 

 どう考えても躱すでしょうに。

 受ければあまのじゃくが発動するって分かってるんだから、躱すしかあるまい。

 とはいえ、今回のサーナイトでは使う技の関係でカラマネロを拘束のしようがなく、捉えきれないのは否めない。

 次のポケモンを倒した辺りで交代かな。

 

「みんなも名前を呼んでくれ! いくぜ! ズルズキン! いかくだ!」

「ズギィィィ!」

 

 モヒカン頭のポケモンが出てくるとサーナイトを威嚇してきた。

 してきたんだけど………サーナイトは終始笑顔である。

 あなた、特性はシンクロでしょうに。それで効いてない感じだと、相手からしたら終始笑顔でいられて逆に恐怖なのでは………?

 

「その身体に流れし竜の血脈を活性化させろ! りゅうのまい!」

 

 うぉっと、何やら痛々しい言葉が聞こえてきたぞ?

 ドラゴンタイプでもない奴に『竜の血脈』とか、ザイモクザ感が半端ねぇんだけど。

 

「サーナイト、マジカルシャイン」

 

 まあ、ズルズキンが竜気を降ろしてる間に攻撃させてもらうけどな。

 ただ、竜気が邪魔をしてーーーというか防壁になったのか、それほど痛がっている様子も見受けられない。

 お前、あく・かくとうタイプだよな?

 

「いわなだれ!」

 

 不思議なことがあるもんだと感心していると、サーナイトの頭上から岩々が降り注ぎ始めた。

 竜気を纏っているためか、一つ一つの岩の大きさがかなりある。

 

「テレポート」

 

 普通に躱していたのではいつか掠ると思い、テレポートで回避させた。

 

「それを待っていたァ! ズルズキン、アイアンテール!」

「サナッ!?」

 

 だが、狙いはこっちだったようで、降り注ぐ岩々の位置や順番を操り、巧みにテレポートする位置を誘導されていたらしく、背後からズルズキンに鉄の尻尾で叩きつけられてしまった。

 流石そろそろ潮時かな。

 二体倒して三体目にもダメージは入れているんだ。結果としては上々だろう。

 あとは他のポケモンたちに任せて休んでなさいな。

 

「戻れ、サーナイト」

 

サーナイトをボールに戻すと次のボールへと手にかけた。

 

「ウルガモス、ほのおのまい」

 

 出てきて早々にズルズキンの頭上まで飛んでいくと、真下へ炎を踊らせてズルズキンを焼き付けていく。

 

「怯むんじゃねぇ! おまえの熱いハートはその炎よりも上だろ、ズルズキン! いわなだれ!」

「ズギィィィッ!」

 

 だが、炎の中から吠えたズルズキンがウルガモスの頭上に岩を次々と作り出していった。

 

「ちょうのまいで躱せ」

 

 落下してくる岩々をひらひらと舞いながら躱していく。やはり岩の大きさが全て一回りは大きい。

 

「ほのおのまい」

 

 躱しながら近づいていったところで、再度ズルズキンに炎を踊らせた。

 

「ズルズキン、アイアンテールで弾き返せ!」

 

 それをズルズキンは鋼にした尻尾で次々と弾いていく。竜気がこんなところでも動きを活性化させているらしい。

 

「角度を変えながらほのおのまい。反撃の隙を与えるなよ」

「モォォォスッ!」

 

 正面からだけでは対応されてしまうようなので、素速い動きでズルズキンの周りを回りながら、次々を炎を踊らせていく。

 ズルズキンは四方からの炎に何とか対応してみせているが………。

 

「これならどうだ? ウルガモス、全方位一斉放射」

 

 ほのおのまいはかえんほうしゃのようにただ一直線に炎で攻撃する技ではない。炎が踊るのだから、自在に軌道を操ることも可能なのだ。

 それを使って炎で全方位から取り囲むと、ズルズキンが息を呑むのが分かった。

 

「ズルズキン、回転しながらアイアンテール!」

 

 だが、ネズの指示で動き出し、まるでブレイクダンスを踊るかのように次々と炎を尻尾で弾き始めた。

 それでも何発かは諸に食らっているようだが、下手に逃げたところでウルガモスに先回りされるだけだからな。賢いかは置いといて、やらないよりはいい対処法だろう。

 

「いわなだれ!」

 

 最後の数発を一気に撃ち込むと、ズルズキンは自身が弾き飛ばされながらも、ウルガモスの頭上に岩々を作り出してきた。

 

「躱せ」

「もっとだ! もっともっと!」

 

 ウルガモスがひょいひょいと躱していくと、さらに岩の数を増やして降らせてくる。

 その場で躱すだけでは逃げ場がなくなると判断したのか、ウルガモスの機転で飛び回りながら躱し始めた。

 だがこれは…………明らかに誘導されてるな。

 

「今だ! もろはのずつき!」

「ちょうのまいの躱せ」

 

 やはりというべきか、岩を躱すことに集中していて無意識の内にズルズキンの方へと近づいていってしまっており、ズルズキンの頭上に差し掛かるところでズルズキンが一直線に飛び上がってきた。

 

「ちょうのまいで躱せ」

 

 それを間一髪のところで躱し反転したところで、高く飛び上がったズルズキンがウルガモス目掛けて落下してきている。

 

「アイアンテールで叩き落とせ!」

「ほのおのまい」

 

 振り下ろしてくる尻尾に炎をぶつけてズルズキンの軌道を逸らし、何とか回避。

 

「むしのさざめき」

 

 そして地面に着地したズルズキンに向けて六枚羽を振動させて音波を発した。音波は次第にスタジアム内に響き渡り、観客が一斉に静かになっていく。

 …………いや、そこまでの効果はなかったはずだろうに。何で観客にまで効いてるんだよ。

 

「ズルズキン、戦闘不能!」

 

 脳が震わされたのか、ズルズキンはパタリと倒れて動かなくなり、それを審判が確認して判定を下した。

 これで三体目か。

 

『ズルズキン戦闘不能ォォォ! 再度出てきたカラマネロを躱し切ったサーナイトを交代で出したズルズキンが交代へと追い込みましたが、代わりに出てきたウルガモスが二つの舞を駆使し、ズルズキンを翻弄! まだハチ選手のポケモンは誰も倒されていない中、哀愁のネズはどう仕掛けてくるのでしょうかっ!!』

「ズルズキン、おまえのファイトは伝わったぜ! カラマネロ、ウルガモスを倒すためにストリンダーに繋げましょ!」

 

 出てきたな、カラマネロ。

 サーナイトでは拘束する技を選ぶ余地がなかったが、ウルガモスには態と一枠残しておいたんだ。今回は逃がさねぇぞ。

 

「ウルガモス、いとをはく」

 

 白い糸でカラマネロを拘束していく。

 これでバトンタッチされる前に何とか対処出来るはずだ。

 というか一瞬でも動けないのだから、さっさと仕留めてしまおう。

 

「むしのさざめき」

 

 再び六枚羽を振動させて音波を発生させた。

 無抵抗のカラマネロに超効果抜群の技だ。しかもちょうのまいやほのおのまいで遠隔攻撃力も上がっている。

 

「チッ、みちづれ!」

 

 これでーーーと思っていたら、カラマネロも技を一枠残していたためか、最後に道連れにされてしまった。

 バタリと倒れる両者。

 

「ウルガモス、カラマネロ、ともに戦闘不能!」

 

 ………バトンタッチやらみちづれやら、昨日の少年を思い出されるな。ただ、両方ともカラマネロによるものだから、唯一使えたから使ってみたってところだろう。

 普段から主戦略の一つにあるのなら、ジム戦でも使ってきそうなものだしな。少なくとも俺とのバトルの時は扱いが他の挑戦者とは違っていたのだから、使ってきてもおかしくはない。

 

『両者戦闘不能ォォォ! ウルガモスに倒されたかのように見えたカラマネロでしたが、最後の最後にウルガモスを道連れにし、ようやくハチ選手のポケモンを一体倒しましたっ!! しかし、しかし! ネズ選手のポケモンは残り二体! ここからどう巻き返すのかっ!?』

「上等だぜぇ、カラマネロ! おまえのガッツはこいつが引き継いでやる! 紫電のミュージシャン! パンクロックを轟かせろ、ストリンダー!」

「ウルガモス、お疲れさん。毎度戦闘不能にされる標的にさせちまって悪いな」

 

 ちょいちょい入ってくる痛い言葉はスルーしておくとして。

 ウルガモスにはここ最近戦闘不能に陥る確立が上がってきているからな。それにヤドランも。というか相手がウルガモスやヤドラン相手に相討ちを狙ってくるからなんだが、それだけ危険視されているということにしておこう。ジムチャレンジが始まってから未だに戦闘不能になっていないのは、サーナイトだけだからな。どうにかして抑えたいところではある。

 

「ヤドラン」

 

 さて、残り二体。

 油断するつもりはないが、相手はネズだ。

 隙を与えないようにしないとな。

 

「ヤドラン、じならし」

「ストリンダー、オーバードライブ!」

 

 指示は同時だったが、動いたのはヤドランが先だった。

 恐らく特性クイックドロウが発動したようで、ストリンダーに技を出す暇すら与えていなかった。

 

「サイコキネシス」

「オーバードライブ!」

 

 続けて超念力で捕えようとすると、起き上がりながら胸の突起を鳴らして音波で相殺してきた。

 

「ばくおんぱ!」

 

 さらに爆音を奏でられたことで、衝撃波がヤドランを呑み込んでいく。

 

「じこくづき!」

「シェルブレード」

 

 その間に詰め寄られると拳に黒いオーラを纏って下からアッパーカットを入れてきた。

 ヤドランはギリギリで左腕のシェルから伸ばした水の刃で弾くと、右手のかいがらのすずから伸びた水の刃でストリンダーの喉元へと突き刺していく。

 

「躱せ!」

 

 しかし、ネズの声に反応され、ギリギリのところで躱されて距離を取られてしまった。

 

「サイコキネシス」

「オーバードライブ!」

 

 再度超念力で捕えようとするも胸の突起から奏でられる音波に阻まれ失敗。

 

「ヤドラン、じならし」

 

 ならばと地面を踏み鳴らして揺らすとーーー。

 

「ストリンダー、ばくおんぱで飛び上がれ!」

 

 ーーーまさかの爆音による衝撃波で大ジャンプをして躱されてしまった。

 なんだろう、ジム戦の時とは明らかに動きが違うような気がする。前回はサーナイトが相手だったが、今回はヤドランだからだろうか。

 

「ヤドラン、シェルブレードで迎え撃て」

「じこくづき!」

 

 黒いオーラを纏った拳を突き出しながら落ちてくるストリンダーを水の刃をクロスさせて受け止めた。

 そして大きく開いて弾き返すと、くるっと回ってもう一方の拳で殴りかかってきたので、ヤドランは自主的に縦斬り四連撃ーーーバーチカル・スクエアで地面に叩きつけてしまった。

 うーん、今のはいい動きだったな。

 

「そのままじごくづきで押し込め!」

 

 だが、転がりながらヤドランの懐に潜り込み、起き上がるのと同時に黒いオーラを纏った拳でアッパーカットを入れてきた。

 

「サイコキネシス」

 

 ダメ元で指示を出すとタイミングよく特性クイックドロウが発動したのか、ストリンダーの拳がヤドランの顎下で止まっている。

 

「チッ、ストリンダー、じゅうでん!」

 

 それでも身動きが取れない中、何とかしようと力を溜めるその執念には流石としかいいようがない。

 

「ワイドフォース」

「オーバードライブ!」

 

 ヤドランがストリンダーの胸を小突くと、ストリンダーの身体に一気に衝撃波が走り、胸の突起を奏でられることもなく弾き飛ばした。

 ただ、これで戦闘不能になるとは思えない。

 

「ヴォーパル・ストライク」

 

 なので、後詰めとして突撃系単発撃で距離を詰めていく。

 

「ワイドフォース」

「オーバードライブ」

 

 水の刃でストリンダーの胸を小突くのと、ストリンダーが胸の突起を鳴らすのは同時だった。

 じゅうでんによりでんきタイプの技の威力が高まったことで、激しい音波となったオーバードライブでヤドランが弾き飛ばされて行く中、ストリンダーの身体に走る衝撃波が遅れてスタジアムに響き渡った。

 

「ヤドラン、ストリンダー、ともに戦闘不能!」

 

 審判がヤドランたちを確認しにいき、判定が下された。

 全く………戦闘不能にはさせまいと思っていたのにこれだ。

 ヤドランはどうしても接近戦が主戦略になってくるため致し方のない部分があるとはいえ、俺もまだまだだな。

 

『両者戦闘不能ォォォ! 連続で相討ちィィィ!! しかし、これでネズ選手のポケモンは残り一体に! さあ、どうする哀愁のネズ! 仮面のハチの巧みな戦略に打ち勝てるのかっ!?』

 

 いや待て。

 そこまで巧みな戦略なんて持ち合わせていないんだけど?

 単に躱して攻撃するのを基本としているだけで、躱せないこともあるし、普通にネズの戦略もなかなかだからな?

 

「最後のは身体の芯にまで届いたぜ、ストリンダー」

 

 というか戦略で言えば、この恥ずかしいセリフを吐かれることで俺の精神にザイモクザを想像させるというダメージを負わせてきてる時点、相当だと思うんだけどな。

 いやもうほんと。

 無視しようとしても耳に入ってくるもんだから、毎度脳裏にあの中二病が出てきて精神が抉られるわ。

 どうせ出てくるならユキノたちの方がよかった………。あいつらがあんな恥ずかしいセリフを言ってるのかと思うと、それはそれで病むかもしれんが………。

 

「ネズにはアンコールはないのだ! 歌も! 技も! ポケモンも!! なあ、タチフサグマ!!」

 

 ネズの最後のポケモンはやはりタチフサグマ。

 ネズの頭と同じ配色で遠目から見たらどっちがどっちか分からない見た目である。

 

「ガオガエン、かげぶんしん」

「タチフサグマ、ミサイルばりで影を全て消せ!」

 

 いつもならニトロチャージで詰め寄っているところであるが、少しパターンを変えておかないとジム戦の時と同じ流れになりそうだからな。

 だが、ガオガエンが分身体を増やしてタチフサグマを取り囲んでいくと、タチフサグマが身体から無数の針を飛ばして分身体を掻き消してきた。

 

「ブレイズキック」

 

 まあ、それでどうなるって話でもなく、あくまでも分身体はタチフサグマの意識をそちらに向けるためのものである。

 本命は炎を纏った蹴りを入れることであり、右横からの回し蹴りを試みた。

 

「タチフサグマ、ブロッキング!」

 

 だがまあ、そこは予想通りというか。

 腕をクロスさせて受け止めようとしてきた。

 

「外してじしん」

 

 なので、態と蹴りを外させ、脚を地面に叩きつけて激しく振動させた。

 震源地の真横だったためか、タチフサグマの身体の芯を捉えたようで、大きくバランスを崩して倒れていく。

 

「ガオガエン、ブレイズキック」

 

 そこへさらに炎を纏った脚でタチフサグマを蹴飛ばした。

 

「かげぶんしん」

 

 再度影を増やして起き上がるタチフサグマの周りを取り囲んでいく。

 

「ブレイズキック」

 

 今度はミサイルばりが飛んでこないーーー飛ばす余裕がないからか、簡単に後ろを取れたのだが、恐らくそれも読まれていたのだろう。

 

「ブロッキング!」

 

 振り向きざまにタチフサグマが腕をクロスさせてガオガエンの蹴りを受け止めていた。

 ジムリーダーとしての経験と勘が働いたってところか。

 

「メガトンキック!」

 

 そして、腕を開いてガオガエンを弾くと、腹に重たい蹴りを重たい蹴りを入れてきた。

 ガオガエンが咄嗟に後ろに飛んだことで大ダメージとはならなかったが、タチフサグマの真骨頂であるカウンター攻撃が見れた感じである。

 

「タチフサグマ、インファイト!」

「こっちもインファイトだ」

 

 タチフサグマはすぐに距離を詰めてインファイトを仕掛けてきたので、こちらも同じように応戦していく。

 これをブレイズキックだけで防ぐのは至難の業だろうからな。同じ技をぶつけた方が、タイプ相性的にもまだこちらが有利ではある。とはいえ、ガオガエンにもタチフサグマにも効果抜群の技であるのは変わらないため、受けないに越したことはないんだがな。

 

「かげぶんしん」

 

 只管殴り合っているのを見ているのも目に悪いので、変化を与えるべくガオガエンに分身体を増やさせた。

 

「ミサイルばり!」

 

 するとタチフサグマも身体から無数の針を飛ばして分身体を掻き消してくる。

 指示した側が言うのもなんだけど、君たち殴り合いながら器用だね。

 

「ガオガエン、じしん」

 

 それならば、と蹴りの終わりに地面に脚を叩きつけさせて激しく地面を揺らしていく。

 

「メガトンキックで飛び上がれ!」

 

 すると今度はタチフサグマが脚を地面に叩きつけて大ジャンプした。

 今回のバトルはこんな形でジャンプして躱されることが多いな…………。

 

「炎を溜めろ」

 

 落下してくるまでに時間があるため、地面に炎を広げていく。

 

「ミサイルばり!」

 

 空からはタチフサグマがガオガエンに向けて無数の針を飛ばしてきた。

 だが、これは俺も予想外だったのだが、地面に広げた炎の熱気で飛んできた針がガオガエンに届く前に溶けていってしまっていた。

 んなことある………?

 

「ブレイズキック」

「メガトンキック!」

 

 地面に広がる炎を両脚に収束させていき、右脚を出して降ってくるタチフサグマを待ち構える。

 そして、頭三つ分くらいの距離まで引きつけると、ガオガエンが回し蹴りでタチフサグマを蹴り返した。

 

「「インファイト!」」

 

 すかさず左脚で加速すると、バク宙をして着地したタチフサグマにインファイトを仕掛けていく。

 いつものように蹴りで決めたかったのだが、どうやらネズもそのパターンを覆そうと策を練ってきていたようだ。

 本当にやりにくい相手だこと。

 で、結局。

 両者殴り殴られ続けてへとへとになり、どちらからともなく地面に倒れ伏してしまった。

 はぁ……………もっと根本的に戦略を考えるべきかね。

 でも、ある意味仮面のハチのポケモンはこういうタイプのキャラである、という印象付けは出来ていそうだし、これはこれでありなのか………?

 

「ガオガエン、タチフサグマ、ともに戦闘不能! よって勝者、ハチ選手!」

 

 審判が様子を確認して判定を下した。

 やっぱり相討ちになってしまったか。

 困ったもんだわ。

 

『ガオガエン、タチフサグマ、両者ともに戦闘不能ォォォ!! これで準決勝進出を最初に決めたの仮面のハチだァァァッ!!』

「燃え尽きたぜ、タチフサグマ! いい音色だった!」

「お疲れさん、ガオガエン。悪いな、相討ちばかりになっちまって。もう少し勝ち切れるバトルをしたいんだが、フェアにいこうとすると中々難しいわ」

 

 ガオガエンをボールに戻してセンターサークルへと向かう。

 ネズもやれやれといった感じで、元のダウナーな雰囲気に戻っていた。

 …………なんだろうな、あの自分自身見ているような気分になる雰囲気。嫌だわー。

 

「マクワとオニオンのバトルを見て、いいとこ取りをしてみたんですがね。それにバトンタッチの有用性は話に聞く限りではありますが、あのバトルバカの幼馴染が証明してくれているんで、採用してみたっていうのに…………サーナイトを初手に出してくるとか、酷すぎじゃねーですか? こっちの算段が全部パーになりましたよ」

「いや、知らねぇよ。こっちはお前とバトルしたくないと思ってた矢先の初戦の相手だったんだぞ。しかも寝起きでこの組み合わせを見て、発狂しそうになったからな。これくらいで済んだんだから、素直に喜べよ」

 

 なんだかんだでフェアにやりたくてZワザも使わなかったんだからな。

 これでメガシンカやらZワザを使っていたら、もう少しやりやすかっただろうけど、何となくネズとやる時は使う気がしないんだからどうしようもない。

 あれだ、ネズがダイマックスでも使ってくれれば、気兼ねなく使えるんだから、悪いのはネズだ。

 

「いや、何堂々と物騒なことを口走ってんですか。まあいいでしょう。次はキバナかヤロー君が上がってきますし、精々気を抜かないことですね」

「キバナは最後だったから手の内も何となく想像出来るが、ヤローさんの実力はジム戦の初戦だったし、全く想像出来ねぇわ」

「強いですよ、くさタイプだからこその恐ろしさがある」

「…………うん、やっぱりあの人からは何も想像出来ねぇわ」

「ある意味、それが一番彼の強みかもしれませんね」

 

 明らかにヤローさんとのジム戦はジム戦用のポケモンって感じだったから、全く以ってメインのメンバーが想像出来ない。分かっているのはダイマックスないしキョダイマックスを使ってくるだろうってことくらいか。あと、くさタイプであることだな。

 そう思うとこの予想出来ないというのがヤローさんの一番の強みのような気がする。

 

「確かにな」

 

 まあ、何であれ明日はキバナかヤローさんの勝った方とのバトルだ。そしてその夜には決勝戦。

 やっぱり詰め込みすぎだって、この日程。

 なんかもうネズとのバトルでどっと疲れたし、さっさとホテルに帰って一眠りしよう。休める内に休まないと何が起こるか分からない。

 お願いだから野生のダンデとかが現れませんように。

 

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