ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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あけましておめでとうございます。
今作五年目突入の一発目で遂にあの方とのバトルになります。
そしてpixivにて投稿しているコマチ編の方を読んで下さっている方なら、あの懐かしの9話のバトルの全容にもなります。
9話の投稿から三年ちょっと経ってから、ようやく全容をお見せ出来ることに感慨深い思いです。
そしてようやくフルバトル六連チャンから解放されました。もうしばらくはバトルしたくない…………。
次回でジムチャレンジ編は終わりになりますが、まだまだ続きますので今年も読んでいただければ幸いです。



105話

『さあさあ、遂にやってきました! ジムチャレンジから続くトーナメント戦も見事、ハチ選手の優勝で幕を締め、残りはこの最終戦! 今年のチャンピオン戦の始まりだァァァ!!』

「「「「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」」」」

 

 ………………はぁ。

 遂に来ちゃったよ、この日が。

 昨日のカブさんとのバトルは楽しめたってのに、勝っちゃったもんだから今日は一番バトルしたくない相手であるダンデとのバトルの日である。

 

『八年目を迎えるチャンピオン、ダンデ! 付いた二つ名は英雄! その強さはチャンピオン就任以来の負けなし! どんなにジムリーダーたちが力を付けても毎年その上をいき、凌駕してきました!』

 

 そして今日は最終日であり、大目玉のチャンピオン戦だからか、観客たちの熱気が凄まじい。

 正直、早く帰りたい。

 マイクで拾っていないはずなのに、実況を掻き消す勢いの歓声に耳が痛くなってきた。

 毎度のことながら、俺はこういうイベントが苦手だわ。

 昔は自分たちしかなかったからな。こういう歓声すら雑音と思ってスルー出来ていたけど、あの頃よりは視野が広くなった分、雑音としてスルー出来なくなってしまったのは残念である。

 

『ですが! それも去年までの話かもしれません!! 今年の挑戦者は何と言ってもジムリーダーたちを悉く圧倒してきて、ここまで辿り着いたダークホース! 今年のジムチャレンジが始まった当初はコスプレした挑戦者もいるんだなーという感想を抱いた人たちも多いことでしょう! しかし、開会式から音沙汰のないまま一ヶ月が過ぎたところで突如現れ、たったの二週間で全ジムを制覇してしまうという偉業を成し遂げてしまいました!! さらにジムリーダーたちもジム戦の時から本気モードで対戦しており、それを悉く撃ち破るだけでなく、ジムミッションにおいても様々なハプニングがあろうとも難なくクリアし、付いた二つ名はその見た目の通り、仮面のハチ!!』

 

 というか、だ。

 紹介長くない?

 ダンデより長いとか、大丈夫なのか? 苦情とか来ないの?

 

『さあ、この二人のベストマッチの火蓋が今ここに開けられようとしています!! それでは、早速お呼びいたしましょう!』

 

 あ、ようやくらしい。

 紹介は長いわ、熱気は凄いわでバトルする前から疲れたんだけど。

 

『まずはこの人! 最強の挑戦者、仮面のハチィィィ!!』

 

 呼ばれたためにフィールドへと出ていく。

 つか、俺に最強を付けるな。

 それだとダンデと丸被りになるだろうが。

 

「そして! 最強にして最高のチャンピオン、ダンデェェェ!!』

 

 うわ……最高まで付いちゃったよ、ダンデには。

 これでダンデに勝っちゃったら、どうなるんだろうな。至高とかか?

 まあ、勝てるかどうかは一番分からないバトルになると思うが。

 

「……………はぁ」

 

 俺とは対照的に胸を張って出てきたダンデと相対して、早速深い溜め息が出てきた。

 何だろうな…………これからこいつとバトルしなきゃいけんないんだと思うだけで、溜め息が漏れ出てしまう。無意識と言ってもいいくらいに自然で出てくる。

 理性とか感情とかを抜きにしても、俺の身体はダンデとバトルするのが嫌らしい。

 

「重たい溜め息だな」

「や、始める前からこの調子だろ。なのに、これからお前とバトルしなきゃだろ? 溜め息しか出てこないわ」

「いいじゃないか。オレは嬉しいぜ。約束通り、今年はこの場にハチが立ってくれているからな!」

 

 ハッハッハッー! じゃないのよ。

 割とガチ目に嫌なのよ。

 分かってくんねぇかなー………無理だろうなー……………ダンデだもんなー………….。

 

「あれを約束とは言わねぇんだよ。ほぼ強制じゃねぇか」

「それでもここに立っているんだから、それがハチの実力ってことだろ?」

「俺のっつーか、ポケモンたちのな」

 

 サーナイトはパーティー内の支柱だし、ガオガエンはエースとして君臨してくれているし、火力が欲しければウルガモス、斬り込み隊長になりつつあるヤドランに、連携技を生み出したキングドラとドラミドロ。

 何だかんだでバラエティに富んだパーティーになったし、全員が全員活躍してくれている。俺なんて指示出してるだけなんだから、誰の実力かなんて一目瞭然だろうに。

 

「謙遜するな。ポケモンたちが凄いのは前提だ。それを見事に采配してきたのが、トレーナーである君なんじゃないか」

 

 謙遜しているつもりはないのだが、何故か周りからはよく言われるんだよな。

 感覚の違いというやつだろう。面倒なのでそういうことにしておく。

 

「前置きはこのくらいでいいさ。オレは早く君とバトルがしたい!」

「俺は一刻も早くこの場から立ち去りたいんだけど」

 

 何でこいつはこうも少年のようにわくわくしているんだろう。大の大人のキラキラした笑顔が気持ち悪いわ。

 

「往生際が悪いぞ。ここまで来たんだから、オレとバトルしようぜ!」

 

 うぜぇ………。

 今からでも帰ってやろうかな。

 でもそれをするとまた面倒なことになるし……………はぁ。

 

「はぁぁぁぁ…………………分かったよ、分かった分かった。腹括ればいいんだろ」

「おう、そういうことだぜ!」

「ったく…………まあ、ここまで焦らしてきたんだ。つか、お前も気付いてるよな?」

「ああ、今からこのバトルを観ている人たちを驚かせられるのかと思うと、ニヤニヤが止まらないぜ!」

「うん、それは止めとけ」

 

 キラキラした笑顔の次はニヤニヤした顔かよ。

 スパイな父ちゃんと殺し屋の母ちゃんところのエスパー少女のあのニチャッとした顔みたいですごく嫌だわ。

 

「ダンデ、勝ち負けはこの際どうだっていい。最後は思いっきりやってやるよ」

「ッッ! オレだって、ジムチャレンジ中に君のことを研究してきたさ。そう簡単にやられはしない。だから、ハチの本気を見せてくれ!」

 

 俺は言いたいことだけ言ってトレーナーポジションへと向かったのだが、背中越しにダンデのわくわくした雰囲気が飛んできて、ちょっとウザったい。どんだけ楽しみだったんだよ。

 

『それではルール確認からいきましょう! 使用ポケモンは六体。どちらかのポケモンが全員戦闘不能になればバトルは終了。尚、技の使用は四つまでとし、ダイマックス技やZワザはその例外となります。また、交代はお互い自由です』

 

 ルールはこれまで通りで変わりはない。

 

『それでは参りましょう! ジムチャレンジ最後の大舞台! 運命のチャンピオン戦! バトル、始め!!』

 

 実況の合図とともに戦いの火蓋が開けられた。

 だけど、二人してボールにかけるお互いの手をじっと見つめて、ボールに触れる手を変えながら睨み合うだけ。

 

「ウルガモス」

「ドラパルト、まずはこちらのペースに持っていくぞ!」

 

 俺がウルガモスを出すと同時に、ダンデはドラパルトを出してきた。

 ドラゴン・ゴーストタイプ、だっけな?

 ギラティナさんと同じ組み合わせだなーっていう感想を抱いたからよく覚えている。

 

「ハイドロポンプ!」

 

 まずは水砲撃でウルガモスの弱点を突いてきたか。

 

「ちょうのまいで躱せ」

 

 それをヒラヒラと舞いながら躱していくと、ドラパルトが姿を消した。

 ゴーストタイプ特有の消える能力も健在ってか。

 

「チッ、消えやがったか」

 

 強者が揃うドラゴンタイプにゴーストタイプ特有の消える能力とか、結構チートなポケモンだと思う。

 

「ほのおまい」

「遅いぜ! ドラゴンテール!」

 

 自分の周りに炎を出して守りを固めようとしたところで、ドラパルトが姿を現し、竜気を纏った尻尾で叩きつけられてしまった。

 しかもその勢いのまま腰に装着し直したところのボールに戻っていき、代わりにヤドランを強制的に出させられてしまった。

 

「ヤン?」

 

 突然のことで事態を把握出来ていないヤドランは小首を傾げている。

 

「一発で引けたぜ! ドラパルト、とんぼがえり!」

 

 うっわ、ここまで素早いポケモンなのかよ。

 消える能力も駆使して一瞬にして詰め寄ると、ヤドランに体当たりしてその反動でダンデの方へと帰っていく。

 

「ギルガルド、とおせんぼう!」

 

 そして、交代で出てきた剣と盾が一対となったポケモン、ギルガルドが、ヤドランの交代権を封じてきた。

 なるほど………ようやくダンデの言葉の意味が理解出来たわ。

 どく・エスパータイプを持つのがガラルでリージョンフォームしたヤドランのタイプであり、それに対してギルガルドははがね・ゴーストタイプである。毒は効かないはエスパー技も効果が薄く、逆にゴーストタイプの技で弱点を突かれてしまう。反撃出来ないわけではないが、ギルガルドは攻守両方を得意とするポケモンだ。それをヤドランだけで倒せって言うのだから、結構難題を吹っかけているのが分かる。ダンデ視点から言えば確実に潰しに来ているな。

 

「ヤドラン、かえんほうしゃ」

「キングシールド!」

 

 それでもむざむざとやられるつもりもないので、まずは炎を吐いて牽制してみると、やはり剣の部分を盾にしまって、盾で炎を弾いてきた。

 

「突っ込め。シェルブレード」

「つじぎりで受け止めるんだ!」

 

 その間に距離を詰めて水の刃を振り下ろすと盾から少しだけ出した剣の部分で受け止めてくる。

 流石にキングシールドを連発してくることはなかったか。

 

「かえんほうしゃ」

「消えて躱せ!」

 

 ヤドランが口から炎を吐くと直撃する前に消えて躱されてしまう。しかも突然消えたことで交わしていた刃の押し合いもなくなり、反発する力を失ったヤドランが前のめりに倒れていく。

 

「ギルガルド、つじぎり!」

 

 そこへ背後からギルガルドが現れて、黒い剣身を振り下ろしてきた。

 

「ヤン!」

 

 気配を察知出来たのか、ヤドランが倒れながらに振り向いて水の刃で受け止めて難を逃れられた。

 だが、すぐにギルガルドが回転してヤドランの左横から斬り込んでくる。

 それを二本の水の刃で受け止めた。

 

「そのまま押し返せ」

 

 一本では勝てなかった剣身を二本したことで徐々に押し返し始め、遂にはギルガルドを弾き飛ばしてくれた。

 うん、やはり相手はダンデなのだと実感させられる。バトルしたのなんてリザードンとだけであるが、ギルガルドも普通に強いし、ドラパルトを使った戦略の組み方が巧妙だ。

 

「流石は二刀流だ!」

「シェルブレード」

 

 逃げられる前に距離を詰めさせる。

 

「キングシールドで受け止めろ!」

 

 だが、一瞬だけ動きが速くなったギルガルドが盾に剣身を戻す方が先となり、結果的に水の刃は弾かれてしまった。

 

「そのまま地面に突き刺せ! シャドークロー!」

 

 そして、そのままギルガルドは盾から飛び出した部分の剣身を地面に突き刺してくる。

 

「ヤン!?」

 

 するとヤドランの陰から影の剣が伸びてきて、ヤドランを突き上げてきた。

 

「かえんほうしゃ」

 

 頭の重みで宙で反転しながら炎を吐くと反撃してくるとは思っていなかったのか、ギルガルドは躱すこともなく、炎に呑み込まれていく。

 

「今のはいい一撃だったぜ! ギルガルド、つじぎり!」

 

 効果抜群だったとはいえ、やはりギルガルドと言ったところか。まだまだピンピンしており、すかさず黒い剣身を振り下ろしてきた。

 

「ヤドラン、シェルブレード」

「と見せかけて消えろ!」

 

 こちらも刃で受け止めようと身構えると、寸でのところで消えられて空振りに終わった。

 だが、さっきはこんな感じの流れで背後から現れたのだ。だったら、その対策を先に講じてしまうとしよう。

 

「トリックルーム」

 

 水の刃を地面に突き刺すとそこを起点として、素早さがあべこべの部屋をフィールド一帯に広げていく。

 すると丁度ギルガルドが姿を現して、剣身を振り下ろしてくるところであり、それが急にゆっくりとなっていく。

 

「サイコキネシス」

「キングシールド!」

 

 それを超念力で押さえつけようとすると、何故かギルガルドの方が先に動けて盾に剣を仕舞われてしまった。

 どゆこと?

 

「チッ、かえんほうしゃ!」

 

 舌打ちしたところで分からないものは分からないので、消えられる前に焼いておくことにする。

 

「そのまま突き刺せ! シャドークロー!」

 

 だが、そこはダンデのポケモンというか………。

 炎に呑み込まれながらも盾から飛び出た剣身の部分を地面に突き刺し、ヤドランの陰から影の剣を伸ばして、またしても突き上げてきた。

 

「ヤン!?」

「トドメだ! つじぎり!」

 

 そして今度は反撃する間も無く強められ、黒い剣身で横殴りに斬られてしまった。

 ドサッと地面に倒れるヤドラン。

 これは一本取られたか?

 

「ヤドラン、戦闘不能!」

『ヤドラン、戦闘不能ォォォ!! 最初にリードしたのは我らがチャンピオン、ダンデェェェ!! 最初に出したドラパルトで掻き乱してペースをモノにすると、そのまま強制交代で出てきたヤドランを交代出来ないようにし、圧倒的なタイプ有利の状況を作り出し、終始あのヤドランを翻弄し続けましたっ!! これぞ、チャンピオン!!』

 

 審判の判定が下されると実況席がすげぇ饒舌になっている。舌噛めばいいのに。

 

「お疲れさん。やっぱりダンデのポケモンだわ」

 

 ヤドランをボールに戻してギルガルドを観察してみる。

 特に何か変わった部分が見受けられるわけでもなく…………ん? もしかしてあれか? 柄の先から垂れ下がってるあのドラゴンタイプの爪のようなストラップ的なやつ。

 爪、ねぇ…………。

 

「………なるほど、せんせいのツメか」

 

 ようやく合点がいったわ。

 せんせいのツメね。

 それなら妙なところで行動が早かったのにも頷ける。

 

「おお、よく分かったな! エスパータイプを相手にするんだし、ましてやトレーナーは君だ。トリックルームの対策はしておくものだろう?」

「そういう対策のされ方は初めてだよ。けどまあ、それがバトルってもんだ」

「ああ! 君とのバトルは読み合いからして楽しいぜ!」

 

 本当にこいつはバトルバカだわ。

 こういうところだけはしっかり対策しているし、何より頭をフル回転させる高度な読み合いを楽しめるんだから、チャンピオンになるべくしてなった素質の塊なのだろう。

 

「そりゃようござんした。ウルガモス、今のうちにギルガルドを燃やしてしまえ」

「させないぜ! ギルガルド、シャドークロー!」

 

 ウルガモスを出してギルガルドを焼こうとしたら、剣身を地面に突き刺そうと動き出した。

 

「ほのおのまい」

 

 だが、どうやらせんせいのツメの効果が現れなかったようで、ウルガモスが作り出した炎に次々と呑み込まれていく。

 

「もう一度、ほのおのまい」

 

 火力お化けのウルガモスの炎で鋼の体が熱を持ちすぎたのか、ギルガルドの白い煙を出しており、反撃の動きもないのでトドメに再度炎を踊らせた。

 

「ギルガルド、戦闘不能!」

『ギルガルド、戦闘不能ォォォ!! 仮面のハチ、すぐに巻き返してきましたっ!! 残るポケモンは五体ずつ! 次にリードするのはどちらかっ!? 目が離せません!!』

 

 審判の判定が下され、これで仕切り直しとなった。

 それにしても俺のポケモンが先にやられたのってジムチャレンジ中だと初めてなんじゃないか?

 それだけ最初にドラパルトに掻き乱されたのが痛かったってことだろう。普通、ドラゴンテールととんぼがえりを覚えさせて、交代したりさせたりをポケモンの技のみでやろうとは思わんだろうに。

 キングドラとドラミドロの連続クイックターンよりも鬼畜に感じるわ。

 

「戻れ、ギルガルド! いい働きっぷりだったぜ!」

 

 まあ何にせよ、ヤドランを絶対倒すマンは倒すことが出来たんだ。

 次へと切り替えるとしよう。

 

「オノノクス、いわなだれ!」

 

 ダンデが次に出してきたのはオノノクスだった。それもモノクルのように片目に何かを付けている。

 オノノクスはコマチが連れていたから、どこか懐かしさがある。

 ああ、コマチやあいつらに早く会いたいなー。

 

「ほのおのまいで溶かせ」

 

 頭上から降り注ぐ岩々を炎を踊らせて溶かしていく。

 トリックルーム内では咄嗟に躱す動きをするよりも鎮座してやり過ごした方が無駄な被害を生まないのだ。ここ大事だぞ。

 それにウルガモスの炎なら動かないで作り出せば、これくらいは造作もないこと。

 

「とんぼがえり」

 

 トリックルームが無くなるのと同時に飛び出し、オノノクスに体当たりすると、その反動でウルガモスが俺が持つボールへと吸い込まれていった。

 

「キングドラ、れいとうビーム」

 

 そして、交代でキングドラを出すと早速冷気をお見舞いしていく。

 

「オノノクス!?」

 

 おお、素晴らしい。

 まさかのオノノクスが全身氷付けになってしまったではないか。

 これは嬉しい誤算だわ。

 

「あまごい」

 

 今のうちに雨を降らせて、こちらに有利な状況に整えていく。

 オノノクスは炎技を殆ど使えないからな。自ら氷を解かすのには時間がかかるはずだ。

 

「オノノクス、いわなだれ!」

「遅い。キングドラ、クイックターン」

 

 凍ったままでも出せそうないわなだれを選択したようだが、それ以前に雨が降り始めて特性すいすいが発動したキングドラの前には、あまりにも遅すぎた。

 水を纏ったキングドラがオノノクスに体当たりして、その反動で俺が持つボールへと戻っていく。

 

「ドラミドロ、りゅうのはどう」

 

 そして、何故か最近のバトルでは技の威力が上がっているように感じられるドラミドロを投入。

 出てきた勢いをそのままに、竜を模した波導で凍り付いたままのオノノクスを撃ち抜いた。

 

「オノノクス、戦闘不能!」

『オノノクスも戦闘不能ォォォ!! 仮面のハチ、早速リードを奪い返しました!! これで五対四! しかし、これで終わるわけがないのが我らがチャンピオンです!!』

 

 うん、結局ドラミドロの特性がよく分からん。

 どくのトゲの可能性が高かったんだけどな…………。

 威力的にはてきおうりょくもって感じではあるのだが、もしかして何か拾ってきたとか?

 確かドラミドロにはしめった岩を持たせていたような気はするのだが……………うーん。

 

「戻れ、オノノクス。まさか氷付けにされるとは思わなかったぜ。お前の仇は必ず取るからな!」

 

 それにしてもオノノクスにここまで何もやらせずに勝てたのって凄くないか?

 超絶運が良かったと思うわ。一撃でオノノクスの全身を氷付けに出来るなんて予想もしていなかったからな。

 だが、それで浮かれてはいられない。出てくるのは全員ダンデのポケモンなのだ。気を抜けば、すぐに巻き返されてしまう。気を抜かなくても巻き返してくるのだから、末恐ろしい限りであるが………。

 

「バリコオル、回転しながられいとうビーム!」

 

 次はバリコオルか。

 こおり・エスパータイプ、だっけか?

 あのバリヤードがリージョンフォームした上での進化した姿らしいからな。俺も実物を見るのはこれが初めてだし、図鑑の知識だけでどこまでやれるのやら。

 それとあのヘルメット。多分、ただのヘルメットではないのだろう。ヘルメットで思いつくものと言えば、ゴツゴツメットではあるが………うーん、それにしてもバリコオルにヘルメットは似合わないな。

 

「液体になって躱せ」

 

 出てきて早々、くるくると回りながら冷気を吐き出してくるバリコオルから逃げるためにも、とけるで身体を液体状にしてバリコオルからは見えないように息を潜めさせる。

 

「サイコフィールド!」

 

 フィールド一帯がアイススケート場のように氷が張り巡らされると、今度は杖を地面に刺して濃いピンク色のエネルギーをこれまたフィールド一帯に広げていく。

 

「だましうち」

 

 こそこそと逃げながらバリコオルの足元へと移動していたドラミドロに指示を出すと、先に液体を飛ばしてバリコオルの意識をそちらに向けた上で元の姿へと戻り体当たりしていった。

 

「うちのトリックスターを舐めてもらっちゃ困るな」

 

 だが、ノールックで杖を後ろに回して受け止められてしまった。

 流石にこれは脱帽ものである。

 

「りゅうのはどう」

「そのままワイドフォース!」

 

 杖ごと竜を模した波導でバリコオルを呑み込もうとするも、先に杖から激しい衝撃波が生み出され、ドラミドロが弾き飛ばされてしまった。

 その威力はヤドランが生み出すものよりも高く、余波でスタジアムの観客席とを隔てる壁にまでヒビが入っている。

 直で受けたドラミドロは当然、俺の後ろの壁にクレーターを作ってめり込んでいる始末。

 

「トドメだ、れいとうビーム!」

 

 そこへ氷の上をスケートよろしくすいすいと滑ってきたバリコオルによって氷付けにされてしまった。

 

「ドラミドロ、戦闘不能!」

 

 これは仕方ない、というかドラミドロには効果抜群の技ばかりだったのだ。逆に耐えていたら、お前の耐久力はどんだけ高いんだという話になってくるレベルだ。

 

『ドラミドロ、戦闘不能ォォォ!! 我らがチャンピオンが巻き返し、再度イーブンに! お互いに一歩も引かない互角のバトルとのっておりますっ!!』

「ドラミドロ、お疲れさん」

「バリコオル、一旦交代だ」

 

 ドラミドロはよくやってくれた。ただ、俺の予想以上にバリコオルが強敵だっただけのことである。

 いやマジで。バリコオル、普通に強いわ。

 バリヤードのパントマイム的な動きに合わせたひかりのかべやリフレクターは特に厄介なのだが、リージョンフォームしてさらに進化までしてしまうと、ここまで風変わりしてこんなにも厄介なポケモンになるとはな…………。

 こおり・エスパータイプでいうとルージュラが思い出されるが、両方のタイプを上手く活かしているのはバリコオルの方のように感じる。

 で、ダンデはそんなバリコオルを一旦戻すってか?

 

「もう一度だ、ウルガモス」

「いくぞ、ガマゲロゲ!」

 

 次はガマゲロゲか。

 みず・じめんタイプという恵まれた組み合わせの一体か。くさタイプしか弱点がないのは厄介だな。ウルガモスにはソーラービームがあるとはいえ、既にちょうのまいとほのおのまいを使っている。残り二枠をにほんばれとソーラービームにしたいところだが、果たして上手く持っていけるのかどうか。

 幸い、既にキングドラが呼び込んだ雨雲は流れていき、雨が上がっている。これで初手で水技の威力が上がってくることはなくなった。

 ただなー、ガマゲロゲの頭。何か見たことあるんだよなー、あの王冠。ほら、おうじゃのしるしっていう攻撃に威圧を込めて怯ませてくるアレよ。やだわー。

 

「おっと、キングドラじゃなかったか。ちょすいを狙ったんだがな。まあいいさ。ガマゲロゲ、ハイドロポンプ!」

「ちょうのまいで躱せ」

 

 ひらひらと舞いながら水砲撃を躱していく。

 てか、あのガマゲロゲの特性はちょすいなのか。

 そうなるとキングドラに当たると使用する技が限られたくるから、ここでしっかりと倒しておかないとだな。

 

「今だ、ステルスロック!」

「にほんばれ」

 

 チッ、また面倒なものを………。

 ガマゲロゲが尖った岩の破片をばら撒いていく間に、ウルガモスが日差しを強くしていく。

 今し方、にほんばれを使ってしまったのが痛いな。この後のことを思うとステルスロックは取り払っておきたい。そうなるときりばらいを使うしかないのだが、残り一枠しかないため、逆にソーラービームが使えなくなる。

 

「いわなだれ!」

「ちょうのまいで躱せ」

 

 ウルガモスの頭上から岩々が次々と降り注いでくるのを、ひらひらと躱していくウルガモス。

 究極の二択を迫られるとか、本当にバトルになると巧妙な手口を見せやがる。

 こんな駆け引きまでされられるとは思ってもみなかったわ。

 

「きりばらい!」

 

 仕方がないのでソーラービームを諦めることにして、いわなだれから脱出したところで六枚羽を扇ぎ、風を起こして無数の岩の破片を吹き飛ばしていく。ついでにタイミングよく効果が切れたのか、フィールド一帯に広がっていた濃いピンク色のオーラも消え去り、サイコフィールドもなくなったようだ。

 

「よし、これでソーラービームはなくなった!」

 

 狙い通りだろうよ。

 ステルスロックを吹き飛ばされる前提で使ってくる奴なんて、ダンデくらいしかいないと思うわ。

 

「ガマゲロゲ、とびはねる!」

 

 ガマゲロゲもこれで四つ目か。

 どの技もウルガモスにとっては効果抜群な上にタイプもバラバラときた。

 あとの事も見越しての選択なのだろうが、その余裕っぷりが腹立つわ。

 

「ウルガモス、ほのおのまい」

 

 ウルガモスの目の前に飛び跳ねてきたガマゲロゲに炎を踊らせていく。

 

「回転しながらハイドロポンプ!」

 

 すると回転しながら水砲撃で炎を掻き消していった。

 これ、さっきバリコオルがれいとうビームでやったのと同じ要領だよな。

 妙に角度が変わって余波の角度も変わってくるから、撃ち出している本人には近づくことが出来ない。攻防一体型と言っていい技の使い方である。

 それでもウルガモスは綺麗に躱していくんだから、ちょうのまいで素早さが上がっているのが功を奏しているのだろう。

 

「くっ……いわなだれ!」

「ちょうのまいで躱せ」

 

 こうなったらとことんまでちょうのまいとほのおのまいで能力を上げようじゃないか。

 いくらダメージを軽減されるからといって、軽減したところで意味がない程まで一撃の威力を上げてしまえば倒すことも可能だろう。

 

「とびはねるからのハイドロポンプ!」

 

 降り注ぐ岩々を躱していくと再度ウルガモスの高さまで飛び跳ねてきて、目の前で水砲撃を発射してきた。

 

「躱してほのおのまい」

 

 それをひらりと躱し、ガマゲロゲの背後から次々と炎を踊らせ、ガマゲロゲを地面に叩きつけていく。

 日差しが強い分、さらに威力が上がっていたことだろう。

 

「やっと日差しが弱まったか。ガマゲロゲ、いわなだれ!」

 

 だが、それもここまでのようで、雲が流れてきて日差しが弱まってしまった。

 そこへ再三に渡り、ガマゲロゲがウルガモスの頭上から岩々を落下させてくる。

 

「ちょうのまいで躱せ」

 

 ひらひらと躱すものの、今回はしつこく落下させて追いかけ回してきた。

 このままいくとガマゲロゲの頭上を通ることになるのだが、もしかして下からハイドロポンプを撃ち込んでくる気か?

 

「下からとびはねる!」

 

 違った。

 もっと確実性を狙った体当たりだった。

 

「チッ、ほのおのまい」

 

 上からは岩々が降り注いできており、逃げ場はない。

 ここは諦めて炎を踊らせながらガマゲロゲ共々、岩々の雨に呑み込まれていった。

 まさか捨て身の攻撃をしてくるとは………。

 じばくやだいばくはつじゃなくても、それに準じる何かを感じるわ。

 

「ウルガモス、ガマゲロゲ、ともに戦闘不能!」

 

 岩々に埋もれた二体の様子を確認した審判が判定を下してくれた。

 ウルガモスはともかく、ガマゲロゲも戦闘不能になったのか。

 やはり能力を上げた上でのほのおまいに、いわなだれに呑まれたのが功を奏したということなのだろうか。ガマゲロゲには効果がいまひとつなはずなんだけどな…………分からん。

 

『ウルガモス、ガマゲロゲ、ともに戦闘不能ォォォ!! 両者譲らず相討ちィィィ!! チャンピオン戦でも相討ちが見れるとは、如何に高度なバトルが繰り広げられているのかが分かることでしょう!! これで両者、残りのポケモンは三対三!! ここから後半戦に突入ですっ!』

「ウルガモス、お疲れさん。相討ちに持っていけたのは大きいと思うぞ」

「戻れ、ガマゲロゲ。あの火力お化けを持っていけたのは大きいぜ!」

 

 ………………………ダンデでもウルガモスは火力お化けって認識なんだな。お前のリザードンと比べたらどうなんだって話なんだが、その辺はどう考えてるんだろうな。

 ウルガモスをボールに戻しながら、すげぇどうでもいい感想を抱いてしまった。

 

「いくぜ、ドラパルト!」

「キングドラ、もう一度だ」

 

 後半戦の一発目はドラゴンタイプ同士の再登板か。

 今度こそ捉えておきたいところだが…………。

 

「れいとうビーム」

「消えて躱せ!」

 

 冷気を吐いてドラパルトを凍らせようとするも、そう簡単に捉えることは出来なかった。

 やっぱりずるいわ、ゴーストは。

 

「とんぼがえり!」

 

 姿を現したドラパルトがキングドラを弾き飛ばして、その勢いでダンデの方へと戻っていく。

 ってことは、今度こそ出てくるのは奴ってことだな。

 となるとれいとうビームは却下。クイックターンもゴツゴツメットの可能性があるから却下。

 ……………選択の余地がねぇな、おい。

 

「りゅうのはどう」

「バリコオル、フリーズドライ!」

 

 …………………酷い奴だわ。

 こおりタイプの技で何故かみずタイプまで効果抜群になってしまうフリーズドライを使ってくるとか、鬼畜過ぎないか?

 いやまあ、こおりタイプだし? その可能性を考えていなかったわけではないが、実際にやられるとすげぇムカつくわ。

 

「トドメだ、ワイドフォース!」

 

 そして、凍りついたキングドラに杖を当てると強い衝撃波を生み出し、氷諸共キングドラの身体が俺の後ろの壁へと叩きつけられてしまった。

 そのおかげか氷は砕け散ってくれたが。

 

「キングドラ、戦闘不能!」

 

 とはいえ、オノノクスの時の意趣返しってことなのだろうか。

 ダンデって実は根に持つタイプだったのかもしれない。

 おお、怖い。

 

『キングドラ、戦闘不能ォォォ!! 我らがチャンピオン、ダンデ! ここに来てリードを奪い返しましたっ!! ハチ選手のポケモンは残り二体! しかし、その二体ともが厄介なポケモンなのは確かです!! このままチャンピオンがリードを維持し続けるのか!? それともハチ選手が巻き返すのかっ!?』

「キングドラ、お疲れさん。仇はちゃんと取るからゆっくり休んでくれ」

 

 キングドラを労ってボールへと戻す。

 さて、こっちの残りはサーナイトとガオガエンになってしまったか。

 対してあっちはリザードンもいれば、面倒なドラパルトに強敵となりつつあるバリコオルか。

 今までならサーナイトを先に出していたが、そうしていたのもこのバトルのためである。

 そろそろ頃合いだろうな。反応が楽しみだ。

 

「ガオガエン、ニトロチャージ」

「ッ! バリコオル、回転しながられいとうビーム!」

 

 出して早々、炎を纏って走り込んでいくガオガエン。

 ダンデがそれに対して一瞬驚いた反応をしたように見えたが、すぐに指示を出してきた。

 

「DDラリアット」

 

 回転しながら角度を変えて飛ばしてくる冷気の中を腕を広げて、こちらも回転しながら突っ込んでいく。

 

「ニトロチャージ」

 

 そして、再度炎を纏って体当たりし、バリコオルの身体を弾き飛ばした。

 

「ガゥ!?」

 

 だが、バリコオルが咄嗟に身を屈めたためか、ガオガエンのショルダータックルにヘルメットが刺さり、ガオガエンもダメージを受けたようだ。

 となるとやはりあのヘルメットはゴツゴツメットということなのだろう。

 

「ガオガエン、爪を地面に突き刺して影を伸ばせ。シャドークロー」

 

 しかし、バリコオルを倒した後にドラパルトが出てくることを思うと四つまでという枠の中ではなるべくタイプがばらける方がいいため、ダメージ覚悟で攻撃するしかない。

 なので、受けるダメージは最小限に。ダメージを与える回数も最小限に。

 そのために一発本番ではあるが、新しくシャドークローを指示してみた。

 するとガオガエンは何の躊躇いもなく爪を伸ばして地面に突き刺すと、バリコオルの陰から爪の形をした影を伸ばし突き上げることに成功した。

 随分と成長したと思うわ。一発本番で新しい技を成功させるなんて、一年前には考えられないことだ。

 

「トドメだ、ブレイズキック」

 

 そして、右脚に炎を纏わせると一気に加速して近づき、宙を舞うバリコオルに対して、軽くジャンプして回し蹴りをお見舞いした。

 

「バリコオル、戦闘不能!」

 

 ダンデの後ろの壁に激突したバリコオルは燃え盛りながら気を失っており、審判の判定が下された。

 

『バリコオル、戦闘不能ォォォ!! やはり仮面のハチが譲ることはなかったァァァ!! エースのガオガエンがバリコオルを撃破し、またしてもイーブンに戻しましたっ!! 残りは二対二!』

「戻れ、バリコオル。………くぅ! 流石だぜ、ハチ!」

 

 バリコオルをボールに戻すダンデが、何故か喜んでいる。

 悔しいならまだ分かるが、あんな溌剌とした笑顔を向けられても、俺にどうしろと?

 逆に怖いんだけど?

 

「さあ、巻き返すぜ! ドラパルト、ハイドロポンプ!」

 

 そんな嬉々としたダンデは予想通りドラパルトを出してきた。

 暗黙の了解というわけではないが、最後は本当のエース対決でって雰囲気になっているからかもな。

 何せ、バトルをしながらも盛り上げないといけないのだ。本当に無茶なことを言ってる契約だと思うが、ダンデはそれをこれまでもやってきたということだろ?

 普通に考えて王者の余裕でしかないと思うわ。

 それくらいジムリーダーたちとは実力差があるということなのだろう。

 

「ニトロチャージで躱せ」

 

 炎を纏って加速し、水砲撃を躱すと、ドラパルトの距離を縮めていく。

 

「ドラゴンテールを地面に叩きつけろ!」

 

 するとドラパルトが尻尾を素早く地面に叩きつけ、フィールドに残っているいわなだれの岩を次々と浮き上がらせていく。

 

「ガオガエン、DDラリアット」

 

 打ち込まれる前にその中を腕を広げて回転しながら、岩を砕いてドラパルトへと迫った。

 

「ふいうち!」

「ガゥ!?」

 

 だが、あと少しのところでドラパルトが消えると、次の瞬間にはガオガエンが地面に叩きつけられていた。

 

「ハイドロポンプ!」

 

 そこへ追い討ちをかけるように水砲撃が撃ち込まれていく。

 ドラパルトってふいうちも使えるのか。本当に面倒なポケモンなんだな、ドラパルトって。

 

「とんぼがえり!」

「させるかよ、シャドークロー」

 

 そして、リザードンと交代するべく突撃してきたので、爪を地面に突き刺して、ドラパルトの陰から影の爪を伸ばしてこれを阻止。

 

「ブレイズキック」

 

 すかさず炎を纏った左脚でドラパルトを蹴飛ばした。

 とはいえ、なんだかんだでドラパルトを倒すには技が足らない。いくらニトロチャージで加速してもふいうちがあるため、中々捉えられないし、ゴーストタイプ特有の消える能力もあるため、このままでは先にガオガエンが倒されてしまう可能性がある。そうなると、サーナイトがドラパルトとリザードンの相手をしないといけないことになり、より負けに近づいていくことになり兼ねない。

 

「いくぞ、ガオガエン」

 

 だから敢えてここで使ってしまうことにして、俺はガオガエンにZリングを見せつけた。

 これにはガオガエンも驚きの反応を見せたものの、一つ頷いて俺と同じようにアクZのポーズを取っていく。

 

「ふいうち!」

 

 ダンデも慌てて指示を出すものの、ドラパルトがガオガエンに直撃する直前に頭上にブラックホールが完成し、ドラパルトを吸い込み始めた。

 

「ブラックホール・イクリプス」

 

 ドラパルトを吸い込んだブラックホールの塊を地面に叩きつけると、解放されたドラパルトが気を失っていた。

 

「ドラパルト、戦闘不能!」

『ドラパルトも戦闘不能ォォォ!! エースのガオガエン、最後はZワザでドラパルトを吸い込んだァァァッ!! ドラパルトに翻弄されながらもダンデ選手を残り一体までに追い込んだのは、ハチ選手が初めてではないでしょうかっ!? しかし、これでハチ選手は必殺技を失い、今までのようにダイマックスに対して一撃入れることが難しくなったのも事実! それはつまり、ダイマックスに耐えられない可能性があるということでもあります!! 残るポケモンが一体となったチャンピオンにも、まだまだ勝機は充分に残されてるぞォォォ!!』

 

 審判の判定が下されると一気にスタジアム内が湧き上がっていく。

 どうやらダンデを残り一体にまで追い込んだのが、初めてのことらしい。

 それはそれでどうなんだって話だが、それ程までにダンデが強かったということか。

 

「戻れ、ドラパルト。最初からここまで掻き乱し続けてくれてサンキューな。ゆっくり休んでくれ」

 

 あーあ、あとのことを思うと余計に気が重くなるなー。これ勝っても負けても取材が殺到する奴じゃん。

 

「さぁて、ひとまずオレが先に残り一体にされてしまったな!」

「そうしとかねぇと後々こっちが辛くなってくるんでな。Zワザを切ってでもドラパルトを倒してしまわねぇとって思っただけだ」

「その思い切りの良さ、オレは好きだぜ!」

「お前に好きとか言われても嬉しくねぇよ」

 

 何で自分よりも背が高くてムッキムキボディの褐色男に好きとか言われなきゃならんのだ。せめて女の子からにして欲しいし、そもそも間に合ってるので結構です。

 ああ、あいつらが恋しい………。

 

「まだまだチャンピオンタイムは終わらない! 終わらせないッ!! いくぜ、リザードン! げんしのちから!」

 

 最後の一体であるリザードンのお出ましである。

 そのリザードンは出てきて早々、内なるエネルギーを弾丸にして飛ばしてきた。その影響で地面が抉れて岩となり、そっちも一緒になって飛んできているが………。

 

「ガオガエン、DDラリアットで砕け」

 

 とはいえ、要は岩を投げつけられているようなものだから、要領は同じで腕を広げて回転しながら弾いていくだけである。

 

「エアスラッシュ!」

 

 だが、そこはダンデのリザードン。

 間髪入れずに翼を羽ばたくと無数の空気の刃を作り出し、四方からガオガエン目掛けて飛ばしてきた。

 

「ニトロチャージで躱せ」

 

 炎を纏って躱していくも、軌道が巧妙に操作されており、無傷とはいかないようだ。

 

「逃がさないぜ! リザードン、げんしのちから!」

 

 再度リザードンが内なるエネルギーを弾丸にして撃ち込んできた。もちろん地面も抉れていく。さっきよりも動きが速くなっており、恐らくげんしのちからを使った追加効果で全能力が上がっているのが伺える。

 だからだろう。ニトロチャージでは限界があったようで、最後に一撃もらってしまった。

 

「シャドークロー」

 

 それでもバランスを崩しながらも地面に爪を突き刺して、リザードンの陰から影の爪を伸ばして突き上げた。

 

「………今のでもうかが発動するのかよ」

 

 見た目以上にダメージがあったのか、いつの間にかガオガエンがメラメラと赤いオーラに包まれている。

 特性もうかが発動したということは、ガオガエンの体力も残り少ないというわけでもあり、次の攻防が正念場だろう。

 

「ニトロチャージ」

「エアスラッシュで追い込め!」

 

 炎を纏って突っ込んでいくと再度翼を羽ばたき、無数の空気の刃が襲いかかってくる。

 最初よりも随分と数が増えており、襲いかかってくる時間が長い。その間ガオガエンは只管走り込んで躱していくものの、やはり全てを躱し切るのは難しいらしく、所々で切り裂かれている。

 

「リザードン、直接げんしのちから!」

 

 するとガオガエンと並走するようにリザードンが現れ、ガオガエンの頭を掴むとそのまま遠心力を活かして振り回し、最後には地面に叩きつけれられてしまった。

 何だ、今の力技は。

 多分、ガオガエンの頭を掴んだ手の中にエネルギー弾があったのだろうが、予想もクソもねぇわ。

 

「ガオガエン、戦闘不能!」

 

 審判が判定を下したのだが………確認した審判もガオガエンの惨状にドン引きしていないか?

 そりゃ、撃ち落とされたわけでもないのに、クレーターを作って倒れてるんだもんな。俺も現在進行形でドン引きしているまであるから、その気持ちはよく分かる。

 

『ガオガエン、戦闘不能ォォォ!! ハチ選手! エースのガオガエンがついに倒され、残り一体となってしまったぁぁぁあああああああああっ!! 果たしてここからどうリザードンを切り崩すのか!?』

 

 どうもこうもなるようにしかならないだろ。

 去年初めてバトルした時とは、手の内も知られてるんだし、情報のアドバンテージもないんだから、後は野となれ山となれだ。勝ちたい気持ちはもちろんあるが、勝ったら勝ったで面倒なのは分かっていることだし、負けたい気持ちもあって、勝敗なんか気にする方が気が滅入る。

 もう好きにやるさ。

 

「ハチ! これが最後のバトルだ! 君と初めてバトルした時の無念を今ここで晴らさせてもらうよ!」

「晴らせるといいな。最後だ、サーナイト」

 

 そう簡単にやられるつもりもないし、無念を晴らせるかどうかはダンデ次第。

 

「リザードン、まずはエアスラッシュ!」

「サーナイト、サイコキネシスで全て上に流せ」

 

 翼を羽ばたき空気の刃でサーナイトに襲いかかるも、サーナイトが超念力で全部上空に流していく。そして、それを高いところで待機させておくように目で指示を出す。

 伝われ、伝われー………。

 

「はがねのつばさ!」

 

 その間にリザードンが鋼鉄の翼で飛び込んできた。

 

「テレポートで躱してめいそうだ」

 

 それをテレポートで躱し、同時にリザードンの背後へと移動していく。

 そして心を落ち着かせて遠隔攻撃力と防御力を高めていった。

 

「後ろだ、リザードン! だいもんじ!」

 

 ダンデの指示にぐりんと回ってきたリザードンが大の字の炎を吐いてくる。

 

「サーナイト、サイコキネシスで大の字の中央を弾け」

 

 げんしのちからの追加効果で全能力が上がっている今、超念力で抑えつけたところでゴリ押しされる可能性が高い。

 それに素早さも上がっているのだから、対処している間に回り込まれる可能性もあるため、対処は短く簡単にと思うと、サーナイトならいけるんじゃね? っていう案を採用してみた。

 結果は見事、中央だけがくり抜けた大の字の炎はサーナイトに直撃する前に霧散していく。

 

「まだまだ! リザードン、げんしのちから!」

 

 ダンデもこれでスムーズにいくとは考えていなかったのだろう。

 攻撃が止むことはなく、リザードンが内なるエネルギーから弾丸をいくつも作り出した。

 おい、さっきよりも多くなってねぇか?

 それにもうフィールドがめちゃくちゃになってきているぞ。

 

「サーナイト、使い時は今だ。一気に落とせ」

「サナ!」

 

 ちゃんと準備をしてくれていたサーナイトが腕を振り下ろすと、無数の空気の刃がリザードンへと降り注いでいく。

 

「「「ッ!?」」」

 

 これにはダンデだけでなく観客たちも息を呑むのが分かった。

 でも急に静まるのは逆に怖いからやめて欲しい。

 

「………やるな。今のはリザードンが放ったエアスラッシュだろう?」

「岩の破片を使え。サイコキネシスで擬似的なストーンエッジだ」

 

 悪いがこっちの攻撃はまだ終わっちゃいないんだ。お前と会話している余裕はねぇよ。というか答え合わせを求めているその行為が、一番大きな隙になっていて、狙うしかないだろうが。

 エネルギー弾と岩の弾丸の破片を消える前にサイコキネシスで捕捉し、リザードンへと撃ち返していく。

 

「くっ……、君の攻撃パターンは読んでいたつもりだったんだが………」

「お前が答え合わせを求めて来るのが悪い。その数瞬が一番命取りだぞ。今みたいにな。それにげんしのちからで全能力が上がったんじゃ、隙を突くしかないだろうに」

 

 これくらい強行しないと今のリザードンは危険だ。

 というかだ。

 あれ、絶対げんしのちからを使う度に全能力上昇してるよな………?

 素で結構ヤバい具合に育てられてるのに、そこへさらに三……四回か。四回も全能力上昇していたら…………うっわ、もう棄権したい。想像するのも億劫だわ。

 

「やはり君のバトルはポケモンだけじゃなくてトレーナー自身も戦っているってことを実感させられるよ。だからもっともっと熱くなろうじゃないか! リザードン、ここからはチャンピオンタイムだ!」

 

 ダンデはそう言うとリザードンをボールに戻し、右手のリストバンドから濃いピンク色のエネルギーが流れていき、リザードンを入れたボールが巨大化して大玉になっていく。

 

「キョダイマックス!」

 

 ………とうとう来たな、キョダイマックスリザードン。

 普通のダイマックスとは違ってキョダイマックスは姿も変わってくるが、リザードンの場合は炎龍っぽさが増していて、メガリザードン二種とも違ってこれはこれでかっこいい。

 さて、見惚れたばかりもいられない。Zワザを使ってしまった以上、メガシンカのみでキョダイマックスリザードンをやり過ごさなければならない。とはいえ、今までのやり方ではダメージを相当食らってしまい、後々辛くなってくるのは目に見えている。となると早速使うしかないだろう。

 

「キョダイゴクエン!」

「メガシンカ」

 

 フィールド一帯が獄炎の渦で埋め尽くされるのと同時に、俺の持つキーストーンとサーナイトがメガストーンが共鳴し、獄炎の中で姿を変えていく。

 ジムリーダーたちのダイマックス、キョダイマックス以上に反則感が半端ない。こうなってしまっては躱しようがなく、ダメージゼロで抑えることは無理だろうが、メガシンカ時のエネルギーの放出で、今の一発はどうにかやり過ごせてはいるはずだ。

 というか熱い。暑いじゃなくて熱い。めちゃくちゃ熱い。火傷してるんじゃないかってくらい熱くて、熱気で息苦しくなりつつある。火事現場ってこんな感じなんだろうな。

 

『リザードンのキョダイゴクエンが決まったぁぁぁ!! このトーナメントを勝ち上がって来た挑戦者を次々と戦闘不能に追い込んだこの一撃に、サーナイト万事休すか!?』

「サーナイト、サイコキネシスで押さえつけろ」

 

 獄炎の一部を超念力で押さえつけて穴を開ける。そこから空気が一気に流れていき、サーナイトも一緒に吐き出された。

 フィールド一帯には淡いピンク色のオーラが立ち上っている。

 何故か俺のサーナイトはメガシンカするとミストフィールドが展開されるんだよなー。普通のメガストーンではないから、メガシンカ時のエネルギーの余波で展開されてるのだと考えてはいるが…………実際のところはよく分かっていない。

 

「サナ!?」

 

 うん、上手く脱出出来たようだな。

 バックなんとか現象だっけ?

 火事現場で思いついたことだが、やってみるもんだな。

 意識ははっきりしているみたいだが、身体からは煙が出ている。

 おい、ダンデ! うちの子になんてことしてくれたんだ!

 

「ったく、ここまでやってようやくダメージ軽減だからな………。これだからダイマックスは相手にしたくないんだよ」

 

 特にダンデのは。

 分かっていたことだが、サーナイトには申し訳ない気持ちになってくる。

 

『サーナイト、リザードンの獄炎を耐え切りました! ですが、どこかサーナイトに違和感を感じるのは私だけでしょうか!』

 

 実況を担当する奴ですら、メガシンカした姿は違和感でしかないのか。

 まあ、メガシンカがそれだけ浸透していないのがよく分かる反応だな。

 

「リザードン、ダイジェット!」

 

 巨大なリザードンが一度翼を羽ばたくと強風がサーナイトを襲う。身体の軽いサーナイトは地に足を付けていられず、後方の壁に飛ばされてしまった。

 サーナイトも声という声を上げられてもいない。

 メガシンカしたからといって、やはり巨大化したポケモンの技に抗うのは難しいか。

 

「リザードン、トドメだ! キョダイゴクエン!」

 

 再びフィールドが獄炎に包まれた。

 

「来い、サーナイト」

 

 あんまりやりたくはないが、このままだと俺も巻き込まれかねないので、サーナイト本来の力を発揮させることにする。

 サーナイトは主と認めたトレーナーの危機を察知すると全力で、それこそ命を賭して守ろうとするポケモンだ。

 その本能的な部分が呼び起こされるように俺の前に立たせた。

 

「サーナイト、サイコキネシス! 全力で上に上げろ!」

 

 死に物狂いで獄炎の渦が俺に届かないように超念力を駆使して上に上にと追いやっていく。

 やがて上空では空気が温められて、雨雲が出来始めていることだろう。

 

『ああーっと、ここでキョダイマックスの効果が切れたぁぁぁ! チャンピオンのキョダイマックスリザードンの攻撃を最後まで耐え抜いた選手は初めてではないでしょうか!』

 

 ふぅ、ようやくか。ようやくリザードンが小さくなっていく。

 ってか、耐え切ったのって俺らが初めてなのかよ。

 何がウルガモスは火力お化けだよ。お前のリザードンの方がよっぽど火力お化けだろうが。

 

「サーナイト、反撃だ。サイコキネシスでリザードンを撃ち上げろ」

 

 姿が戻ったところを超念力で捕らえて勢いよく撃ち上げた。

 

「グォ?!」

 

 すると読み通り空は黒くなっており、高く撃ち上げられたリザードンに落雷が直撃していった。

 おおー、本当に出来てしまうとは。

 もうほんとダンデには使えるものは全部使って、思いつくことは全部やらないとこっちの身が危険でしょうがない。

 

「かみなり………だと?!」

「自然現象によるものだがな。サーナイト、10まんボルト」

 

 雷に撃たれて落ちてくるリザードンに、さらに電撃を撃ち込んでいく。

 それでも全能力上昇の余波は大きかったのか、中々もうかが発動するまでには至らない。なので、ずっと電撃を浴びせ続けている。

 

『グォォォンンン!!』

 

 お、やっと来たか。

 地面に落下したリザードンが電撃を浴び続けらながらも起き上がると、ようやく赤いオーラに包まれて特性のもうかが発動していた。

 これで体力は結構減ったというわけだ。長いし、とにかく熱かった。何なら今も熱い。

 それでも笑っているダンデが不気味でしょうがない。

 

「いよいよクライマックスだな。リザードン、連続でだいもんじ!」

 

 口から連続で炎が吐かれて大の字へ変化していく。

 

「サーナイト、サイコキネシスで霧散させろ」

「続けてエアスラッシュ!」

 

 それをサーナイトが次々と大の字の中央から霧散させていった。その隙に、今度は無数の空気の刃がサーナイトに降り注いでくる。

 

「サイコキネシスで受け止めろ」

 

 サーナイトはこれも難なく受け止めたが、次々と襲い来る攻撃に防戦一方になっている。

 うん、これはよくないな。

 

「それを待っていた! リザードン、だいもんじを吐きながら詰め寄れ!」

 

 ほら、やっぱり。

 ダンデとしてはサーナイトが大の字の炎も空気の刃も受け止めてくることは折り込み済みだったようで、狙っていたのは両方を同時に処理した時の直後。違う技二つを同時に押さえ込みながら三つ目の技を処理出来るのかどうか。処理オーバーになると賭けたのかもしれない。

 

「はがねのつばさ!」

 

 ッ、速い!

 そういえばダイジェットも使っていたんだっけな?

 最早最速に近い状態ってわけだ。

 

「サーナイト、テレポートで躱せ!」

 

 こちらもメガシンカしているとはいえ回避はギリギリになってしまった。それもほんのちょっとのテレポートでしかない。

 だが、そのお陰でリザードンの背中に乗る形となり、結果的にいい位置取りとなったのだから、素直に喜んでおこう。

 そして、こうなったらやることは一つだけである。

 

「トドメだ、10まんボルト!」

 

 背中に抱きついて直接電撃を浴びせていく。

 いくら全能力上昇しているリザードンと言えど、背中に乗られてしまえば、攻撃することも出来ない。良くて揺さぶって振り落とすことくらいだろうが、その前に電撃を浴びせているので、それも難しいだろう。

 

「ッ!? リザードン、そのままバックドロップ! 押しつぶせ!」

 

 それでもダンデはリザードンに背中から地面にダイブするように指示し、サーナイトを下敷きにして背中を打ちつけた。

 

「グォ……」

 

 プスプスと身体から煙を上げながらリザードンが起き上がると、その下には元の姿に戻ったサーナイトが………。

 やっぱり無理があったか。

 

「………俺の負けだな」

「………サ、サーナイト、戦闘不能! よって勝者、ダンデ選手!」

『つ、ついに決着ぅぅぅぅぅっっ!! チャンピオンが防衛に成功だぁぁぁあああああああああっっ!! リザードンのキョダイゴクエンを耐えながらも、やはりダメージは大きかったようです!! しかし、しかし最後まで息を呑んでしまう圧巻なバトルでした!! 皆さん、両者に拍手を!!』

 

 盛大な拍手に包まれる中、ダンデとリザードンが右手を上げて何かのポーズを取った。

 あー、あれってもしかしてクソダサいポーズか?

 ガラルでは人気らしいが、あれの何がかっこいいのかが分からない。でも、観客にも似たようなポーズ取ってる人が結構いる。メガシンカよりもよっぽど浸透しているようだ。

 

「お疲れ、サーナイト。勝敗は気にするなよ。お前がここまで強くなったことの方が大事なんだからな」

 

 中央付近に倒れているサーナイトのところまで駆け寄り、頭を一撫でしボールに戻した。

 不図、その傍らで右腕を上げてポーズを取っているリザードンに違和感を覚え、何気なく顔を上げてみる。

 

「って、おい、ダンデ! リザードンがポーズを取ったまま白目剥いてるぞ………!」

 

 いや、マジでビビったわ。

 なーんか動きが止まってるように感じたと思ったら、気を失ってるじゃねぇか。

 

「本当か!? ………おお、本当だ。まさかのリザードンも戦闘不能か」

 

 駆け寄ってきたダンデがリザードンを覗き込んで驚いている。

 うん、こればかりは誰でも驚くよな。

 けど、もう既に判定は下されたのだ。だから、いくらリザードンも戦闘不能になっていようと判定が下った時にはまだ意識があったのだし、引き分けということにはならない。

 

『ななななんとっ?! リザードンも立ったまま気絶しています! しかし、バトルの判定が下された後ということで優勝は我らがダンデに変わりないようです!!』

「運営もこう言ってることだし、実際判定が下された後だ。リザードンも判定が下されるまで気力で持ち堪えていたんだろうから、リザードンのためにも優勝はお前で変わりないからな」

「ああ、それは分かっている。ただ、リザードンがバトル直後とは言え戦闘不能になったのは君と初めてバトルした時以来だな」

「あれはメガシンカを知らないお前の不意を付けた結果だ。まぐれみたいもんだ」

「それを言ったら、君もダイマックスを知らなかっただろう?」

「はて、そんなこともあったかな………」

 

 リザードンをボールに戻しながらやれやれと言った顔を向けてくるダンデ。

 解せぬ。

 まあ、それは置いといて、取り敢えずはダンデがチャンピオン防衛ってことで幕を下ろしたわけだ。

 結果的に俺としてはいい位置で終われたことが何よりかな。これで後は取材対応なのだろうが…………どうしようかなー……………。

 

「まあいいさ。君とのバトルはオレも挑戦者気分にしてくれるからな。またやろう!」

「そうだな。だが、しばらくはパスだ。ここまでのバトルを毎日毎日やってたら気がどうにかなっちまう」

 

 一応公式な場でもあるため肯定しておくが、正直なところ向こう一年くらいは拒否したい。

 つってもダンデもチャンピオンのままなため、気軽にバトルが出来るわけでもないのだし、早々そういう機会が来ることもないだろう。

 

『会場の皆さん、とても熱いバトルを繰り広げたお二人に今一度大きな拍手を!!』

 

 まあ、何にせよ。

 これでジムチャレンジの全日程が終わったのだ。

 しばらくはゆっくりしようではないか。

 どうせまだカロスーーー引いては元の時間軸には帰られないのだろうし、何となく来年までガラルにいそうな予感がするからな。

 

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