ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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108話

 ウオノラゴンを引き取ってから四日が経った。

 その間ワイルドエリアを練り歩いてウオノラゴンの使える技とかを試してみたのだが、とにかくエラがみがヤバかった。

 破壊力がもうね………。ただ、その代わりと言ってはなんだが、他の技の精度が少し心許ないところがある。ハイドロポンプは動いていると当たらないし、当てられない。精々地面に向けて撃ってジャンプするのに使う方が確実性が高い。

 まあ、生まれて四日しか経ってないのだし、そんなもんなのかもしれないし、元の姿ではないから身体を上手く使いこなせないというのもあるのかもしれない。

 全てはウカッツのせいということにしておいて、今日もウオノラゴンの動きを確かめながら、どうやったら迎えが来るのかを考えることにした。

 

「うっわ、マジか………」

 

 ナックルシティ側のワイルドエリアのげきりんの湖近くに来ると、久しぶりにヤバいのが発生していた。

 バンギラスがダイマックスしている。それはまあいい。巣穴の中じゃなくて外で発生しているというのも俺が出会した中では珍しくもないため、それもまだいい。

 問題はダイマックスのオーラの混じって黒い禍々しいオーラも放っているということ。

 こいつ、十中八九ダーク化してやがるわ。

 

「あ、そこの人! 一緒にレイドバトルやってくれませんか?」

 

 だからだろうか。

 物凄く大事なことを今の今まで忘れてしまっていたのは。

 サングラス越しに映るのはマイシスター。

 マイシスター………?

 

「ッ?! コマッ………あ、いや……分かっ………げっ!? ソニ……」

 

 コマチが目の前にいるぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?

 そうじゃん、一年経ってんだから、コマチがガラルに来るんじゃん。もうすっかりガラルでの生活に慣れてしまって忘れてたわ………。

 

「ん? どうかしましたか?」

「いや、何でもない。相手はバンギラスだぞ? そっちこそ大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、多分!」

「えぇー……」

 

 我が妹ながら笑顔で根拠のない自信を見せてきた。どうやら俺が誰かまでは分かっていないらしい。

 若干一名訝しむ目を向けているギャルが奥にいるが、そんなものは見なかったことにしておく。

 ああ、トツカもいる………。相変わらずとつかわいい。涙出そう。

 

「トツカさーん、ソニアさーん、この人が手伝ってくれますってー!」

 

 コマチが後ろにいたトツカたちに声をかけると、二人ともこっちにまでやって来た。

 

「手際いいなー。誰かさんとは大違いだよ」

「よーし、やろっか!」

 

 ソニアの視線がすっごく痛い………。

 多分、バレてるだろうけど気にしない。視線を合わそうものなら何を言われるか分からないので、知らないフリを続けておこう。

 

「いくよ、クーちゃん!」

「お願い、マンムー!」

 

 コマチとトツカはバンギラスの特性すなおこしを警戒してのはがねタイプとじめんタイプの選出だった。

 それにバンギラスはいわ・あくタイプだからどちらも弱点を突くことは出来る。

 根拠のない自信とは裏腹にちゃんと考えられるようになっていて、お兄ちゃん嬉しいぞ。

 

「エレザード、久しぶりのバトルだよ!」

 

 対して、ソニアが出してきたのはエレザード。

 まあ、砂嵐はソニアの得意とするところではあるため、選択肢も結構ある。エレザードになったのは偶々手持ちにいたからであろう。

 

「ソ、ソニアさん、砂嵐は大丈夫なんですか?!」

「大丈夫だよ。この子の特性はすながくれだから!」

 

 コマチの問いは当然と言えよう。

 だが、これがソニアのポケモンである。自信と経験を積んでいけば、ダンデにだって引けを取らなくなるはずだ。

 まあ、まだ自信を付けるところからだからまだまだ先の話にはなるだろうがな。

 

「出てこい、ウオノラゴン」

 

 ……………え?

 あれってポケモン?!

 なんかすごいのが出てきたんだけど!

 顔デカい、首細い、下はなんか中身見えてるような感じ。

 え、ほんとにポケモンなの?

 っていう顔をしているコマチ。

 こうして第三者的立ち位置から見ていると表情がコロコロ変わって面白いな。

 ぶっちゃけ俺も未だにそんな感想を抱くから仕方ないと思う。

 

「ウンノー!」

 

 ウオノラゴンはボールから出てきて俺を見つけて抱きついてきた。

 うん、あなた顔がデカい分、抱き付けないんだわ………。

 それよりも防塵ゴーグルを付けてやらないと。

 

「ウオノラゴン、バトルだバトル。バンギラスがダイマックスしてるから頼むぞ。それとちゃんと防塵ゴーグルは付けてね」

「ウンノー!」

 

 何はともあれこれでレイドバトルとやらの形は出来上がった。

 …………カビゴンの腹の上でサルノリとソニアのワンパチが観戦モードになっている。

 カビゴンはコマチのとして、サルノリは誰のだ?

 まさかコマチが早速新しく仲間にしたとか?

 

「バァァァァンッ!!」

 

 うるせぇ………。

 人が折角コマチの成長に感動しているところを邪魔するんじゃねぇよ。

 

「コマチちゃん、大丈夫?」

「うぅ、砂嵐がめっちゃキツいです」

 

 バンギラスの特性すなおこしによる砂嵐が尋常じゃない。

 はっきりいってトレーナーへの被害がえげつない。

 サングラスをしていても横から入ってくる。

 俺も防塵ゴーグル欲しいなー…………。

 

「ダイロックか。ウオノラゴン、エラがみで噛み砕け」

 

 巨大な岩壁が俺たちも含めて押し潰そうと倒れてくる。

 それをウオノラゴンが噛みつき、粉砕していく。

 

「うっわ、すっご………!」

 

 うん、ダイマックス技も関係ないとか、やっぱりこいつのエラがみは異常だと思う。

 言っちゃあなんだが、エラがみの一撃がZワザに匹敵しているっておかしくね?

 古代のポケモンあるあるなのか?

 

「エレザード、きあいだま!」

 

 ソニアが千切れた岩壁の破片が飛んで来ないように、エレザードに撃ち落とすように指示していた。

 去年に比べてバトルへの恐怖心というか、自信の無さ気がなくなってきているな。

 バトルモードにスイッチが入りやすくなったというか、そこまで心の準備をせずともバトルに打ち込めているようだ。

 

「コマチちゃん、今の内に僕たちも攻撃していくよ!」

「はい! クーちゃん、アイアンヘッド!」

「マンムー、10まんばりき!」

 

 二人の指示にクチートとマンムーがバンギラスの足元へと攻撃を仕掛けた。

 

「……えぇ」

 

 思いの外、ダメージになっていなくてコマチが驚いている。

 ガラルに来てそう日は経ってないだろうし、ダイマックスしたポケモンとバトルするのも初めてなんだろうな。まあ、俺の一発目はダンデのリザードンだったんだが………。

 何はともあれ、図らずもコマチの初体験に帯同出来ることは嬉しいことだ。

 

「バァァァアアアアアアアアアンッ!!」

 

 今度はストーンエッジか。

 大きさは通常の比じゃないが、そこはウオノラゴン。

 問題ないだろう。

 

「ウオノラゴン、エラがみで突っ込め」

「エレザード、ドラゴンテールで撃ち返して!」

 

 即座にソニアが続いて、エレザードにウオノラゴンの後を追わせ、ウオノラゴンが噛み砕いた破片をエレザードがバンギラスに撃ち返していく。

 ダイロックの岩壁を一撃で破壊したそのたった一撃だけで、ウオノラゴンの破壊力を察したようだ。

 本当にこの才能を埋もらせておくのは勿体無いぞ。

 

「ッ?! あれは、かみなりパンチ!?」

「マンムー、こおりのキバで受け止めて!」

 

 トツカのじめんタイプを持つマンムーが前に出て、巨大な拳を受け止めた。

 野生ポケモンのダイマックスの不思議なところは、ダイマックス技以外も使ってくるってことなんだよな。

 ソニアたちがダイマックスさせる分には、ダイマックスわさを三度使えば、ダイマックスエネルギーが放出されて巨大化が終わってしまう。ところが、野生のポケモンはそういうわけでもないため、俺としては未だに謎が多いと思っている。

 まあ、人工的にダイマックスさせているため、その差なのは確かなのだが、それを除いても普通の技が使えるのはズルいと思うんだわ。

 

「ムーッ!?」

 

 あー………やっぱり無理か。

 技の効果は流せても物理的な衝撃はかき消せなかったみたいで、吹っ飛ばされている。

 マンムーも結構デカいポケモンではあるが、その比にならないくらいバンギラスは巨大化してるため、どうしても物理的衝撃を殺すには限度がある。

 あれがクチートでなかっただけ、良しとしよう。

 もしクチートなら、もっと遠くに吹っ飛ばされていた可能性だってある。

 

「バァァァアアアアアアアアアアアアンンンッッ!!」

「ッ?! ウオノラゴン、ハイドロポンプを足元に撃って飛び上がれ!」

 

 地響きのする雄叫びに嫌な予感がして、咄嗟に水砲撃を地面に向けて撃たせて垂直ジャンプさせたが、敵に当てるよりもしっかり撃てているのはどういうことなのだろうか。

 咄嗟にこれくらいのことが出来るんだから、動く物体を相手にしてもちゃんと当てられると思うんだけどな。何故当てられないのだろうか。不思議だ。

 

「エラがみ」

「クーちゃん、メタルバースト!」

 

 上からはウオノラゴンがバンギラスの腕に噛みつき、下からはクチートの蓄積された鋼エネルギーが直撃。

 

「マンムー、ゆきなだれ!」

「エレザード、10まんボルト!」

 

 追撃として頭上からは雪が雪崩れ落ち、下からは電撃が飛んでいった。

 ダイマックスは一撃が重たいが、レイドバトルとなると的としては大きすぎるくらいだ。強力なことには変わりないが、それくらいの利がこちらにないとますます倒しようがなくなる。それでも何故レイドバトルの推奨が四人なのだろうか。あれの基準もよく分からない。

 

「ソニア、ダイマックスを使え!」

「えぇ?!」

 

 そして話は戻るが野生ポケモンのダイマックスと人工的なダイマックスの違いは時間制限があるのはその通りなのだが、言い換えれば野生ポケモンは倒すまで巨大化したままである。つまり、俺がZワザを使ったところで時間稼ぎにもならないわけで、そうなると時間制限があろうとも同じ巨大化したポケモンで挑む方が倒せる確率が高くなるのだ。

 これが俺一人だったならば、ジュカインとかダークライとかを出せたのだが、コマチたちがいるのではそれも出来ない。

 そうなるとやはり選択肢は一つしかないのである。

 あと、ダーク化している影響がどう出てくるのかも分からない。手の打ちようがなくなる前に倒すしかない。

 

「一気に堕とさないとヤバいことになる!」

「わ、分かったわよ! エレザード!」

 

 渋々って感じだが、ソニアがエレザードをボールに戻した。

 

「ダイマックス!」

「レザァァァァァァァァァドッ!」

 

 巨大化したボールを投げると出てきたエレザードがどんどん巨大化していく。

 

「ダイナックル!」

 

 巨大化したエレザードが殴るモーションを取ると腕の延長上に巨大な拳が現れ、バンギラスを殴りつけた。

 巨体が大きく仰け反り、初めて大ダメージが入ったのが分かる。

 

「うわぁ……」

 

 怪獣映画のような光景を目にしてコマチがドン引きしてるわ。

 気持ちは分かる。

 

「クーちゃん、つるぎのまい!」

 

 あ、すぐに何か思いついたようで、顔つきが変わった。

 何をやる気なんだ?

 

「トツカさん、使っていいですか?」

「そうだね。ダイマックスしたポケモンにどこまで通用するのかも確かめてみないとだもんね。うん、いいと思うよ。人も少ないし」

 

 ああ、メガシンカを使う気なのか。

 それなら一気に片付けられそうだな。

 

「了解であります! クーちゃん、メガシンカ!」

 

 するとコマチが持つキーストーンとクチートのメガストーンが共鳴し出し、クチートの姿が変化していく。

 

「クーチッ!」

「ッ?! 姿が変わった!?」

「ウオノラゴン、エラがみ」

 

 ツインテールの牙に変わったクチートの姿にソニアが心底驚いている。クチートのメガシンカを見るのは初めてだったのだろう。それに未だに自力でメガシンカについては調べついていないようだし、俺のメガシンカ以外を目にしたのもあって、この反応と言ったところか。

 

「クーちゃん、こっちもものまねでエラがみ!」

 

 頭の牙が二つになったため、噛み付く回数も増え、メガシンカ後の特性により攻撃力もかなり上がっているため、しっかりダメージは入ることだろう。

 

「バァァァアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!」

 

 ウオノラゴンとともに両側から攻撃したため、結構ダメージが入ったようだ。

 それにしてもエラがみをコピーしてくるとは………。

 

「次来るよ! マンムー、ストーンエッジ!」

 

 トツカが上手く逃げ道を用意してくれて、そこを通ってウオノラゴンとクチートが戻って来た。

 

「エレザード、ダイウォール!」

 

 頭上ではエレザードが防壁を張ってくれて、バンギラスの攻撃を防いでくれている。

 だが、バンギラスから漏れ出る黒いオーラが防壁の周りを埋め尽くしていっている。ダイウォールが打ち消されるのも時間の問題だろう。

 

「ダイアークの次はダイロックか。ウオノラゴン、エラがみで噛み砕け」

「コマチちゃん、クーちゃんをマンムーに乗せて! 突破するよ!」

 

 そんな俺たちを嘲笑うようにバンギラスは巨大な岩壁を作り出している。

 

「わ、分かりました! クーちゃん、マンムーの背中に乗って! 力を溜めて!」

「マンムー、ばかぢから!」

 

 ウオノラゴンに破壊するよう指示を出して走らせると、背中にクチートを乗せたマンムーが、全速力でバンギラスへと突っ込んでいった。

 

「エレザード、援護して! ダイサンダー!」

 

 巨大な岩壁をエラがみで粉砕すると、エレザードが雷撃を落としてバンギラスの動きを抑え込んでいく。

 そこへマンムーとその背中に乗ったクチートが到着した。

 

「クーちゃん、きあいパンチ!」

 

 マンムーの背中からジャンプしたクチートが溜めに溜めた拳を叩き込んだ。

 メガシンカしたとはいえ、コマチよりも小さいクチートが巨大化したバンギラスを殴り倒すシーンは、ロマンを感じるわ。

 小さい子が大きい怪物を倒すシーンなんて、これ何の怪物映画なんだろうな…………。

 

「バ、ァァァ……ンン………!」

 

 そしてよくある倒したと思ったら、まだ立ち上がろうとする敵さん。

 

「エレザード、でんこうせっかで近づいてゼロ距離できあいだま!」

 

 まあ、こっちにはソニアもいるからね。

 この面子の中では最も素早いエレザードが元の大きさに戻ると、起き上がろうとしているバンギラスの顔にまで駆けていき、顔面にエネルギー弾を叩きつけた。

 それにしてもソニアの指示は容赦ねぇな…………。

 まあ、これでバンギラスから赤い光が放出し始めたし、ようやくバトル終了か。

 

「フッ、終わったな」

 

 本当に、どうしてこんな奴が未だにバトルは苦手だと豪語しているのだろうか。ラストアタックまで持っていきやがって、おいしいところだけは掻っ攫うんだからタチが悪い。しかも本人に至ってはその気が毛頭ない。

 早く昔の調子に戻ってくれねぇかな………。

 

「ふぅ……」

 

 コマチとトツカは初めてのレイドバトル、引いてはダイマックスポケモンとのバトルでどっと疲れた様子である。

 

「…………あ、砂嵐吹いてたんだった」

 

 それは置いといて。

 バンギラスの確認でもしようか。

 そそくさと三人から離れて倒れたバンギラスの方へと向かうと、バンギラスの身体から黒いオーラが漏れ出ていた。

 ダイアークに似ても似つかない禍々しさがある。

 

「………やっぱりか」

 

 十中八九そうだろうとは思っていたが、やはりこのバンギラスはダーク化していたらしい。

 この一年くらい音沙汰なかったのが、また急に現れ始めたとなると、奴らが次の段階の動きを始めたということなのだろうか。

 そもそもどういう計画を企んでいるのかも分からない現状、次の段階と言っても全く想像が付かない。そもそも今更ダークポケモンを野生に放って何をしようとしているのだろうか。

 手がかりが無さすぎて、調べようがない。

 

「何がやっぱりなのかな? ハチくん?」

 

 顔は見えないけど、そりゃもうとてもいい笑顔なんだろうなってのが伝わってくるくらいの超冷たい声が後ろから。

 うん、聞こえなかったことにしよう。

 

「………さて、帰るか」

「無視すんなやゴラァァァ! ワンパチ、10まんボルト!」

「ワパ!」

 

 ぶっ?!

 お前はどこぞの学園都市の第三位か!?

 

「ちょ、おまっ!?」

「うぇ?!」

 

 振り返って右腕を前に出して、ダークライに超念力で軌道を逸らしてもらう。

 あっぶねぇ………。

 ダイレクトアタックとか、こいつ正気か?

 コマチがめちゃくちゃ驚いてるじゃねぇか。俺の可愛い妹を驚かせるんじゃねぇよ。

 

「ソ、ソニアさん? 本日はお日柄も良く、ご機嫌麗しゅう?」

「誰かさんがスルーしなかったり、電撃が効いてくれればね!」

 

 スルーしたのは俺が悪いとしてもスルーしたくなるような冷たい声で話しかけてくる奴が悪いと思うんだわ。そして、人にダイレクトアタックさせるのはどう考えてもソニアが悪いと思います!

 

「あ、あのー……? お二人はどういったご関係で? というか、ソニアさん。この人は?」

「あー……」

 

 未だに俺だと気付いていないコマチがソニアに問いかけている。

 うーん、なんて答えたものか。

 正体をバラすのも色々と説明が面倒なので却下。

 そもそもソニアもいるため、ヒキガヤハチマン関係の情報は却下。

 となると仮面のハチ?

 

「鎧島にいた変人よ」

 

 明後日の方向を向いてああでもないこうでもないと思案していると、フンと鼻を鳴らしたソニアが手短に紹介してくれた。

 おい、誰が変人だ。

 変なのはお前もだろうが。

 

「ハッ、ダンデが好きなくせにトラウマのせいで何年も避け続けてるヘタレのソニアさんが何を言ってるんでしょうねー。いい加減、告白しろよ」

「な、なななっ?! そ、それは言わない約束でしょうが! なに、人前で言ってくれちゃってんのよっ!」

 

 ムカついたので、事情を知らないコマチの前で暴露してやることにした。

 まあ、聞かれたところでコマチはソニアのことをそこまで知らないだろうし、ソニアと接していればすぐに分かることだからな。

 何よりコマチという身内だから、言いたくなったのもある。

 

「お前が人に電撃撃たせるからだろうが。嬉々として撃ってくるワンパチもどうかと思うが、トレーナーがそんな指示するんじゃねぇよ。次やったらもっとバラすからな」

「鬼畜! 悪魔! 人でなし!」

 

 ソニア涙目である。

 顔が真っ赤だ。

 

「ソニアさん………チャンピオンのことラブだったんですね」

「ちょ、ちょちょちょ、そそそそんなわけないじゃん! な、なに言ってくれちゃってんのかにゃー………?」

 

 おい、妹よ。

 トドメを刺すな。

 斬り込んだ俺が言うのもなんだか、ソニアが可哀想すぎる。

 

「トドメを刺してやるなよ。まあ、ビリビリは放っておいて。バンギラスは俺が一旦預かっていいか? ちょっと調べたいことがあるんだ」

「誰がビリビリよ!」

 

 ダイレクトアタックするような奴はビリビリでいいんです。

 それよりも一応コマチたちにはこのバンギラスをもらっていくことを伝えておかないとな。横取りしたと思われては正体を明かした時に何を言われるか分かったもんじゃない。

 

「まあまあ、ソニアさん落ち着いて」

 

 うん、ソニアを宥めるのはトツカさんに任せておこう。

 

「いいですけど………大丈夫なんですか?」

「大丈夫かどうかを調べるんだよ」

 

 ダーク化しているため、それを調べないことにはこのバンギラスを放置も解放もしてやれない。

 まずは国際警察本部に壱号さん伝で送って調べてもらわないとな。

 ところでコマチさんや。何故そんなに目をキラキラさせているんでしょうかね………。好奇心旺盛なのはいいことだが、お兄ちゃん心配よ?

 

「そうですか。では、お願いします」

「ああ。そっちもそこのヘタレのことを頼むな。俺が行くまで抑えといてくれ」

「は、はーい……」

 

 さて、睨んでくるソニアはコマチたちに押し付けてさっさと退散しよう!

 俺はコマチも了解も得たことで、バンギラスをボールで捕獲するとその場を後にした。

 

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