ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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120話

 いつになく優しいサカキ(この字面だけで違和感がある)が気を利かせて俺たち飛空挺でエンジンシティ南のワイルドエリアまで運んでくれることになった。

 ワイルドエリアに着陸するのも街中での着陸が難しいからであって、遠回りをしたいわけではないという、本当にどうした? という優しさっぷりである。

 正直言って気持ち悪い。

 サカキの中でも燻っていたものが解決したからなのかもしれないが、受ける側ともなるとただただ気持ち悪い。

 まあ、そんな気持ち悪さはさておき。

 

「で、何でお前までいんの? つか、ピンポイントでよく現れたな」

「いやー、この子に連れて来られてさー。弾丸ツアーだったから大変だったよ」

 

 現在右にいろはす、左にオリモトに挟まれて座っております。

 イロハは分かるのよ。皆から見えないようにこっそり手を繋いでくるくらいには側にいたいというのが伝わってくるから。目の前であんなことになっては、俺が今ここにいるというのを肌で感じてたいのだろう。

 対してオリモトは何故こんなにも距離が近いのだろうか。確かにオリモトからすれば知らない人たちはがりだから、消去法で俺の隣に座ることになったのかもしれないが、一応はコミュ力お化け側の人間である。見知らぬ相手でも普通に仲良くなれそうなものなのだが、今日に至っては何故かそれも鳴りを潜めている。

 というかそもそもの話、どうしてあの場にオリモトがやってきたのかが分からん。

 その疑問をぶつけてみたもののこれである。

 膝の上に乗る緑色のプニプニ。

 元凶はこいつらしい。

 

「………アンタたちがさ、兄妹でバトルした時があったじゃん? それよりも前だったと思うだけど、育て屋のある山にあいつらが現れてさ。戻ってこいって言われてたんだよ。でもアタシは今の生活が好きだったからさ、断ったんだけど、その時にこの子に助けられたの。それからは何事もなかったのに、今朝になってアンタが暗殺されたってネットで見て、ミアレに行こうとしたところにこの子が現れてさ。んで、そのまま弾丸ツアーになったってわけ」

 

 兄妹でバトルってなるとコマチが一人で旅をしたいとか言い出した時のことだろう。あれよりも前にオリモトはジャキラたちに会っていたと?

 つか、あいつらがカロスにいたってか?

 

「カロスに奴らがいたの初耳なんだが?」

「どこで監視されてるか分からなかったから言えなかったんだよ。こうなるなら自分のことなんか気にせず伝えておけばよかったって後悔してるけどね」

 

 まあ、態々顔を見せたということは監視の意味もあったのだろう。

 それで言えなかったと言われるとこちらとしても何も言い返せない。俺も身の危険を冒してまで報告しろとは言えないし。

 

「なあ、因みにだが、そいつがなんつーポケモンか知ってるのか?」

「さあ?」

「だよなー、オリモトだもんなー」

 

 緑色のプニプニ。

 やっぱりオリモトは知らないまま一緒に来てたか…………。

 こいつ、ジガルデなんだよなー………。

 

「なにさ、こっちは心配したってのに。ケロッと出てくんなし」

「えぇー………、伝説のポケモンを引っ張ってくる方もどうかと思うぞ」

 

 心配かけたのは申し訳ないと思うが、それで偶然にも伝説のポケモンを引っ張り出してくるとか、誰が予想したよ。それもオリモトが、だぞ?

 

「はっ? 伝説のポケモン? 誰が?」

「その緑色の」

「はっ?」

 

 二度見、三度見で膝の上で気ままに寝ているプニプニを見るオリモト。

 

「ジガルデって言ってな。カロスの伝説のポケモンなんだわ」

「マジ………?」

「マジマジ」

 

 俺が端的に説明するとプルプルと震え出した。

 何この面白い生き物。

 

「えっ、でも姿違くない? いつの間にか変わってたんだけど」

「そりゃ、フォルムチェンジするみたいだからな。俺も実際に見たことはなかったから何とも言えなかったが、ジガルデ・セルってのが各地にいて、それを吸収してフォルムチェンジするんだとか」

「マジかー………」

 

 変なポケモンだよな。

 暴君様ですら、そんなことにはならなかったってのに。

 

「まあ、お前の事情は分かったよ。今回に限っては俺にもどうしようもなかったからな。結果論だが俺は生きてるんだし、あんまり気にするなよ」

「………ばーか」

 

 罪悪感を抱えないように、と言ったところ何故か不貞腐れたように顔を晒された。

 何故に?

 

「あの手はダメだ。弱った心には効く」

「いや、何のキャラなの、シャクヤちゃん」

 

 向かい側に座るシャクヤがコマチにジト目で見られている。

 楽しそうだね、君たち。

 おかけでコマチも落ち込んでないみたいだから助かるけど。

 

「あ、先輩。ヒードラン、もらっちゃっていいですか?」

「はい? なんだってー?」

 

 すると待ち構えていたかのように俺の裾をぐいぐいと引っ張ってきて、なんかとんでもないことを言い出すいろはす。

 いや、マジで今なんつった?

 

「だーかーらー。ヒードラン、ください」

 

 今日一番の、それはもう計算され尽くした角度に傾けた笑顔で言ってくるんですけど…………。

 

「お前なぁ…………」

「えー、だって先輩が全員は渡せないって交渉してたんじゃないですかー。なら、お米のポケモンたち以外にも何体かもらっても大丈夫でしょ?」

「お前のその胆力にただただ脱帽だわ。え、てかヒードラン以外にも持ってく気?」

「エンペルトとバクーダも欲しいなーって」

 

 何だ、こいつ。

 図々しいにも程があるだろ。

 

「お前は一体何を企んでるんだよ………」

「んー、ほのおタイプの四天王になるのは決定として、あの三人に鍛えられたからみず、はがね、ドラゴンタイプでもパーティーが作れるといいなーって」

「いずれ一人で四天王をやってそうだな、それ………」

 

 本当に何を目指しているのだろうか。

 

「それくらい出来ないと前任者からのプレッシャーが半端ないんですよー」

「………前任者って俺じゃねぇか。素直に比較された時が怖いって言えよ」

「いやー、怖いっていうより見返したい、的な?」

「んなもん適当に流しておけばいいだろうに」

 

 一体誰に対して見返したいんだよ。

 まだ見ぬ敵でもいるのかよ。

 怖い怖い。

 

「それに中途半端にやるより突っ切った方が、私の後の人が気持ち楽じゃないですか。アレは異常だっただけで、これが普通って。それなれば私も気軽にやめられるかなーって」

「始める前から終わりを考えてんなよ」

 

 一体誰に似たんだよ、この思考回路。

 ただ、イロハの企みは俺の今後の案にはすごくマッチしてるんだよなー………。

 俺の計画知ってただろ? って思いたくなる。

 いや、もしかするとこれまでのイロハの言動により、俺が着想を得たのかもしれないな。無意識なんだろうけど、こういうのやれたら面白そう、的な。

 それはそれで何か釈然としないが、仕方ない。

 先行投資ということで無理をしてやろう。

 壱号さんには悪いが、イロハの言う通り言質は取ってある。

 最悪、忠犬ハチ公という脅し文句でどうにかしよう。

 

「はぁ、分かったよ………。好きにしてくれ」

「はーい」

 

 くっそ可愛いな、こいつ。

 久しぶり過ぎてマジで俺の心臓が保たんわ。

 しかも俺の理性までゴリゴリ削ってきやがる。

 

「ああ、そうか。これもあったな」

 

 徐に何かを思い出したサカキがタブレットを操作すると、開いた小窓から何かを取り出した。

 

「ハチマン、こいつらも渡しておく」

「何だよ………」

 

 差し出されたのは二つのハイパーボール。

 中を確認するとギャラドスが二体。

 

「って、おい! こいつらって………!」

 

 二体のギャラドスで思い出されるのはクチバの海にいた、オスとメスのギャラドスたち。

 とある出来事以降、偶にクチバの海で顔を合わせており、リザードからリザードンに進化してからは飛行の特訓にも付き合ってくれたこともある野生のポケモンだったのだが、俺がカントーからジョウトに移動する際、サカキに捕縛され脅しの材料に使われてしまい、それ以来会えていなかったポケモンたちである。

 あの時程、仲間にしておけばよかったと後悔したことはない。

 

「ああ、あのギャラドスたちだ」

 

 マジかよ………。

 本当にあいつらなのか。

 

「ちゃんとじしんが使えるように育てておいた」

「いや、そういう問題じゃねぇよ」

 

 何故今になって俺に差し出してくるんだって話なんだわ。

 というか脅しの材料に使った後は野生に返したんじゃないのかよ。

 

「だが、お前のこれからの構想には必要になるんじゃないか?」

「…………どこまでお見通しなんだよ。怖ぇよ」

 

 一体こいつはどこまで見通しているのだろうか。

 俺はまだこれからの構想があるとだけしか言ってないんだけど。

 

「あくまでもオレの推測だ。まずお前が引きこもるためには安全な場所と定期的に稼げる環境が必要だ。そしてお前の人脈から考えてその場を提供出来るだけの財力があるのは、エニシダとデボンコーポレーションくらいだ。お前の女のところのユキノシタ建設では弱い。で、お前が抱える人数を鑑みれば、エニシダを頼って新たなバトル施設でも作ろうとしているのではないか?」

 

 怖い怖い怖い。

 俺の思考をトレースされているようでマジで気持ち悪いくらい怖いって。

 思わずイロハの手を握っちゃったじゃねぇか。

 

「恐ろしいくらいにそのまんま過ぎて怖いんだけど。なに? 俺の思考を読めたりすんの?」

「オレを利用しようとして来ない辺りからの逆算だ」

「わー、怖い」

 

 もう、なんか、色々と怖い。

 何なの、このおっさん。

 いつにも増して不気味なんだけど。妙に敵対心が無さすぎて気持ち悪い。

 もしかして偽物か?

 いや、サカキの偽物を演じるなんて多分誰もやりたがらないと思う。バレたら頭と身体が真っ二つになる未来しかないし。となるとやはりこいつは本物のサカキってことでいいのだろう。

 えぇー、マジで何なの? 気持ち悪いわ。気持ち悪いしか言ってないけど、マジでそれしか出てこない。それくらい気持ち悪い。

 

「それで? 具体的な構想は出来上がったのか?」

「まあな。ただ単にバトル施設を作っても不特定多数が押し寄せることになるから、後々面倒なことになる。なら、対象を絞ることにしたんだ。提供相手はチャンピオン、四天王、ジムリーダーとその経験者たち。トレーナーを育成する人材を育成するって言えば何となく伝わるだろ?」

「………なるほど、そう来たか」

 

 ニヤリと不適な笑みを浮かべる姿に安心感を覚えてしまう。

 あ、うん。やっぱりそういう顔をしててくれないと落ち着かないわ。

 

「あと各地方のチャンピオンたちはなかなかバトルのしようがないからな。秘密裏にやろうにも実力がある分、施設もそれなりのところを使わないとぶっ壊すだけで余計な問題が起きてくる。なら、こっちで発散出来る場を用意しておけば、チャンピオンとしての威厳も保てるだろ」

 

 ということをこれからエニシダさんに説明しないとなんだが。

 だって、こんな施設を作ったら真っ先に飛んで来そうな奴がいるし。

 

「それはダンデ君のことかい………?」

「まあ、決め手はあのバトルバカなのは確かですね」

 

 具体的な構想をまとめられたのがあのバトルバカのおかげってのが癪だが、あいつが暴れられるような施設であれば、誰でも満足出来そうだしな。

 というかカブさんもよく今の抽象的な説明でダンデって分かったな。

 

「なるほどな。それはオレにとっても好都合だ。なんせ元トキワジムのジムリーダーだからな」

「出禁にしてもいいんだぞ?」

 

 ブラックリストに載せてやろうかな。

 荒らし冷やかし目的で来そうだし。

 

「冗談はさておき、そうとなると施設全体が移動可能なものにしておくといいだろうな。何かあればその場から離脱して別のところで再開する。場所としては海の上が妥当か。施設も四つ五つに分離して、それぞれが独立して移動出来るようにしておけば小回りも効く」

 

 とか言いながら紙を取り出し、色々と書き出していくサカキ。

 ねぇ、ちょっと?

 俺はまだ具体的な施設の様相を何も決めてないんだけど?

 

「ハチマン、これはオレが今思いついた案だ。参考にでもしておけ」

「この飛空挺の持ち主は仕事がお早いことで」

 

 箇条書きであーだこーだと書かれているのだが、右下には簡単に施設の外装まで書かれている。

 いや、本当に何でそういうところは仕事が早いんだよ。

 

「なあ、ハチ。それってオレたちも入れたりするのか?」

「僕も興味があるね」

「一応、それも想定して経験者を含むってことにしようかと」

 

 現役だけの入場許可ではダンデが生涯現役で居続けないといけないからな。

 流石にそれは無理だろうから、『元』が付く人も入れるようにはするさ。

 

「とはいえ莫大な予算が必要になるぞ」

「ああ、それも分かってる。一応出資者には充てがあるからな」

 

 さっきサカキが上げたエニシダさんの個人資産やデボンコーポレーション、ユキノシタ建設も加えるつもりだが、もう一つエーテル財団もいずれ加わってもらおうと思っている。

 

「ロケットカンパニーか?」

「しれっと自分とこの企業をアピールするなよ」

 

 流石にロケット団の表向きの企業名だということを知っているため、手は出さないからな?

 つか、あの会社ってまだ機能してるのか?

 

「名乗りを上げるなら、ちゃんと身綺麗にしてからにしてくれ」

「なら、一生無理だな。冷やかしに顔を出す程度に留めておいてやる」

「マジで出禁にするぞ」

 

 嫌がらせが過ぎるだろ。

 そうでなくてもサカキがいるだけで、通報案件なのに。

 

「先輩、それって私の出番とかあったりします?」

「………お前の企みが上手いことミットしてるんだよなー」

 

 これがさっきの話に繋がってくるんだよな。

 イロハの企みが案外、俺の構想の役に立っちゃうのよ。

 

「一人で四天王四役ってやつですか?」

「そう、お前らには専門タイプをいくつか持ってもらって一つのタイプに複数人を当てられるようにしておきたいんだよ。お前で言えば、ほのお、みず、はがね、ドラゴン。俺だと…………」

 

 俺だとどうなるんだ?

 まずリザードンのいるほのおタイプとなるとリザードン、ヘルガー、ガオガエン、ウルガモス、エンニュートか。

 ひこうタイプはギャラドス二体が加わってもリザードンと合わせても三体しかいないから微妙。

 みずタイプとなるとゲッコウガ、キングドラ、ウオノラゴン………はコマチに渡したから無しで、残りはギャラドス二体の四体か。

 ゲッコウガのもう一つのタイプであるあくタイプはゲッコウガ、ヘルガー、ダークライ、ガオガエン、ザルードの五体。意外とあくタイプがいるな。

 ジュカインのくさタイプ………は他にザルードしかいないし、メガシンカした時のドラゴンタイプとなると無理くりメガシンカした時の設定でリザードン、ジュカイン、キングドラ、ドラミドロの四体か。

 うん………取り敢えず三巨頭のタイプだけで見てみたが、何やかんやで増えたな、俺のポケモンたちも。

 つか、今ふと思ったが、どくタイプも多いんじゃね?

 ウツロイドだろ? ヤドランにドラミドロにエンニュートだろ? しっかり四体はいるじゃねぇか。

 となるとアレだな。

 一応俺基準としてタイプ統一のためには少なくとも四体はいることってルールにしておこう。

 六体全部同じタイプ揃えるのも大変だしな。

 ほら、ジムリーダーでもキバナなんかドラゴンタイプ以外も使ってくるし、六体も揃ってなくてもいいと思うんだわ。

 

「うん、取り敢えず………ほのお、みず、あく、どく……無理くりドラゴンってところになるかな」

「なんか似通ってますね」

「そりゃまあ、な」

 

 言われると確かにイロハのタイプと似てはいるな。

 まあ、偶々だろ、偶々。

 

「ってことはユキノ先輩やユイ先輩も?」

「そうだな、既にあの二人はユキノはこおりタイプ、ユイはかくとうタイプに重きを置き出しているから、そこからさらに増やしてもらえればいいし、ハルノも何だかんだあくタイプやじめんタイプがいるから、それを念頭に増やしてもらえれば人材は確保出来る」

 

 俺が元々リザードン一体だけだっただけで、ユキノとかはちゃんとポケモンを捕まえていたからな。しかもこおりタイプを集め出してたし、ユイもコルニのところでかくとうジムのジムトレーナーしてるくらいだしな。

 それにこれからエニシダさんにこの話をすることになるのだから、もし賛同を得られても完成するのは数年先になるだろうから、それまでにタイプ統一が作れるように仲間を増やしておいてくれればいいのだから、まだまだ時間はある。

 

「でもあんまり増えると私たちが面倒見切れな………はっ?! まさかそのための育て屋ですかっ!?」

「そういうことになるな。偶然ではあるけど」

 

 おれもこの構想をし始めた時に懸念していたのが、ポケモンを増やしたらその分世話をしないといけなくなり、それはそれでなかなかハードだなと思ったところに、いいのがあるじゃんと気付いたわけだ。

 オリモトたちに頑張ってもらおうと。

 

「はぁ………、一体どこまで先を読んでいるんですか………。怖すぎますよ」

「ナチュラルにあたしらの仕事が増やされる未来が確定してるんだけど。ウケる」

 

 ウケねぇよ。

 仕事が増えるってことはさらに人手がいるってことで、誰か新しく雇うしかないんだわ。そうなると給料も払わないといけなくなり…………入場料でも取るか。

 

「まあ、賛同得られるようにしっかりプレゼンしてくるよ」

 

 何はともあれ、まずはエニシダさんに話を通さないと何も始まらない。

 その内エニシダさんに会いに行くとしよう。

 …………というか俺っていつになったら元の時間軸に戻れるんだろうな。流石にこのままっていうのは嫌だぞ?

 

「…………ハチ君、彼の病室確保出来たよ」

 

 するとカブさんがメールを受け取ったのか、その内容を伝えてきた。

 トツカの病室を確保出来たのなら、後は請求先だな。

 流石にカブさんに払ってもらうわけにもいかないし、かと言ってトツカに払わせる気はない。もちろんコマチにもだ。だから俺が全部払うってことにしよう。

 

「そうですか。なら、請求は俺にしておいて下さい」

「いやいや、こっちで持つよ? ワイルドエリアで起きたことだし、事が事だからこっちも払っておかないと批判が強くなるんだよ」

「いえ、俺の妹に関わることなんで。けじめとして俺に払わせて下さい」

 

 ワイルドエリアで起きたとは言え、事が事なだけに表に出せる案件でもないし、経費として上げてしまうと後々追求されないとも限らない。

 これを理由にゴリ押ししとこう。

 

「経費として上げる以上追求されるリスクもあるので、こっちとしてもそれは避けたいですし」

「うーん、それでもねぇ………」

 

 この押し問答の末、俺が全額払うことで了承を得られた。

 勝った………いや、ただただ俺の金が減るだけなんだけどね。

 けど、流石に申し訳ないし、これでいいんだってことにしておこう。

 その後、エンジンシティ近くに着くまでにイロハにシャドウポケモンたちを確認させられて、エンペルトとバクーダをもっていかれてしまった。

 ヒードラン?

 自分でスナッチしてたから、最初から離す気なかったぞ。

 因みに、サカキ以外の面子にも欲しい人がいないか確認したが、漏れなく全員首を横に振っていた。

 それが普通だと思うんだわ。

 いろはすマジ卍。

 

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