ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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137話

 キーストーンとメガストーンを見つけた後も次々とポケモンたちは巨大化し続け、結局落ち着いたのは夕方くらいだった。

 いやもう、本当に耐久レースだったわ。

 俺で十体以上は倒しているのだが、ジュカイン・サーナイトペアは二十体超え、ダークライ・ガオガエンペアに至っては二十五体くらい倒したらしい。

 うん、ダークライが本気を出したら、素の状態でもヤバかったわ。

 お前さん、消える前と後とで、強くなりすぎじゃない?

 一体、破れた世界で何してたんだよ…………。

 しかも各グループでもそれぞれキーストーンとメガストーンを複数見つけたようで、差し出された。

 貰ってもねぇ………どのポケモンのか分からないとどうしようもないんだわ。

 というか、ワイルドエリアの地層ってどうなってるんだよ………。

 そんなこともあったのだが、耐久レースの途中でナックルシティの方で大怪獣バトルが起きていたのが見えていたため、恐らくあそこに集まっているのだろうと思い、全員を回収した後はナックルシティへ。

 着いたら丁度ナックルスタジアム前で人集りが出来ていたので、そこの野次馬に混ざってみることにした。

 あ、ちゃんとガオガエンの覆面は付けてだぞ。

 万が一仮面のハチの素顔を見られでもしたら大変だからな。

 だからなのか、横に立った人がぎょっとした目でこちらを見てくる。

 怪しい者ではございませんわよ?

 

「出てまいりました! ガラル地方の危機を救った英雄たちです」

 

 するとスタジアムの方からダンデたちが出てきた。

 それをカメラを回された女子アナらしき人が実況している。

 

「自分の命もかえりみない犠牲的精神によりガラルの平和を……」

「ちょっとちょっと、やめてもらえますか」

 

 なんか勝手にストーリーを作り始めたところで、ネズが女子アナを止めに入った。

 お前もいたのか、ネズ。

 

「犠牲だの英雄だの、軽々しくオーバーにまつり上げたりするから、ああゆうはた迷惑なのがわいて出るんですよ」

 

 そう指差すのは彼らの後方、捕縛されたらしき男女の集団。

 なに? 今回の犯人とか?

 

「だいたいだな。オレさまが命投げ出したら、オレさまのいないガラル地方になるんだぜ。んなの、全ガラル住民がかわいそすぎるだろ」

 

 キバナがネズに同調するように、声高らかにナルシスト発言。

 こんな状況で、よくそういうこと言えるよな。

 俺には真似出来ないし、しようとも思わないけど。

 

「なあ、ダンデ!」

「オレはそこまで思ってないがな」

 

 キバナに肩を組まれたダンデは、流石にそんなナルシスト発言はしなかった。

 わーお、一瞬ダンデをまともな奴だと認識しちゃったじゃん。

 いや、根はまともなのかもしれないが、ポケモンバトルが絡んだ時のあの面倒くささを知っちゃってる以上、まともな奴とは認識したくないんだよな。

 

「だが、『英雄』とか、『尊い犠牲』とかにもなるつもりはなかったよ」

 

 え? なに? そんなにヤバいのが相手だったのか?

 えっと……なんだっけ? ムゲン……ダイナ……とかいったか?

 ラスボスっぽいのがルリナの口から出てきてたが、俺ならどうなか出来そうで嫌だとか言ってたからなー。

 いまいちピンとこないわ。

 

「ヨロイ島とカンムリ雪原支援のために行ったジムリーダーたちも含め、オレたちはこのガラルでポケモンバトルのトップランクに立つプロフェッショナルだ」

 

 ………ん?

 俺は?

 手伝ったけど、一応俺ってガラルでは何の役職にも就いてないし、プロフェッショナルではないよな?

 

「ガラルがポケモンによって危機に陥ってるからプロとして対応したに過ぎない」

 

 ジムリーダーには、そういう面も含まれているからな。

 一般人よりも対ポケモンにおいては強いのは確かだし、最後の砦って扱いにもなるのは分かる。

 チャンピオンなんかは地方最強だから、一番の戦力としてどうしても駆り出されてしまう。

 

「敗退したのは力が及ばなかったからだ」

 

 え? なに? 負けたの?

 ムゲンダイナに?

 マジで尊い犠牲が出るような力だったのか?

 

「その相手にふたたび戦いを挑んだのは、剣くんや盾くんたち若きトレーナーが事態を収める方法を探り、準備してくれて、勝利を確信したからだ。勝ち目のない戦いに挑む悲壮な物語に酔ったからじゃない」

 

 あ、ここで図鑑所有者らしき名前が出てきたな。

 ダンデやキバナに目がいってたが、側には子供が何人かいるわ。

 

「かれらだって見栄や功名心じゃなく、ただ、仲間を案じ、被害を減らしたいから尽力してくれたんだ」

「仲間って、だれですか」

 

 すかさず後ろを向いて否定するピンクのコートの少年。

 

「照れんなって」

 

 ダンデと同じ褐色肌の少年。

 

「あたしはさっさと騒動を終わらせて、ジムチャレンジを再開したかっただけ」

 

 なんか見覚えのある少女。

 ネズの妹だっけ?

 

「ボクは剣と盾がふるわれるとこを見たかっただけです」

 

 …………どゆこと?

 ほわ〜んとした少年よ、剣と盾ってなんぞ?

 

「そもそもムゲンダイナをたおしたのはザ……」

「そもそもムゲンダイナをたおしたのはザシアンとザマゼンタだからね!」

 

 そして、ダンデの言葉に被せて同じことを叫ぶ少女。

 声デッカ………。

 

「そんなに英雄英雄って奉りたいんなら、英雄はザシアンとザマゼンタ!」

 

 その傍にはこれまたどこかで見たことがあるようなポケモンが二体立っていた。

 一体は剣を咥えた青とピンクの色を持つルガルガンっぽいの。

 もう一体は鬣が盾のように見える青と赤の色を持つカエンジシっぽいの。

 

「つまり、もう英雄はいらないってことですよ」

 

 その二体がダダッと飛び立つと、南の方へ飛んで行くのを見ながらネズが最後にそう締めた。

 

「………………」

 

 おかしいな。

 飛んで行った二体が何故か戻って来てるように見えるんだけど。

 

「なあ、ダンデ。ザシアンとザマゼンタ、戻ってきてねぇか?」

「やっぱりそう見えるか?」

 

 どうやら俺の見間違いじゃないようだ。

 二体は真っ直ぐとこちらへと向かってきている。

 

「ッ……」

 

 今なんか目が遭った気がしたんだけど、気のせい…………じゃなさそうだな。

 めちゃくちゃこっちに向かってきてるわ。

 まさか狙いは俺?

 身の危険を感じたのか、俺の周りからササッと人が掃けていく。

 

「うぉ!? おま、ハチ! いたのかよ!」

「え、あ、うん、まあーーー」

 

 そのせいでキバナに見つかってしまったが、今はそれどころではない。

 俺の目の前に着地した二体がじっと俺のことを見てくる。

 

「カメラ、彼を撮りなさい!」

 

 すると剣を咥えてた青とピンクの色を持つ方がポロンと口から剣を離し、地面に落ちていく。

 それと同時に光に包まれて姿が変わっていった。

 

「うっ………」

 

 目の前でフォルムチェンジの光を浴びたら、めちゃくちゃ眩しかった。

 進化の光に似ているようや気がしなくもない。

 ある意味、進化とフォルムチェンジは類似するものではあるため、放出されるエネルギーも似てくるのかもしれない。

 

「………ん? ああ、なんだお前か」

 

 フォルムチェンジした姿は、ジュカインが世話になっていたいつぞやのポケモンの片割れだった。

 

「ということはこっちがもう一体の方ってことか」

 

 鬣の方と合わせてこの二体が、ジュカインが世話になったポケモンたちということで間違いなさそうである。

 

「その節は俺のポケモンが世話になったな」

「クォォォン」

「グォォォン」

 

 覚えているみたいだな。

 というか、覚えているから、俺の気配を察知して戻ってきたのかもしれない。

 目が遭ったのも気のせいではないのだろう。

 

「んで、ザシアンとザマゼンタ、だっけか?」

 

 剣を拾って、青とピンクの色を持つ方に咥えさせると再度姿を変えていく。

 

「なあ、ハチ。ザシアンとザマゼンタのこと、知っていたのか?」

「まあ、一度会ったことはあるな。俺のポケモンが世話になって。その時は名前も知らないし、見たこともない強そうなポケモンって感じだったから、伝説のポケモンとかそういうのだろうなって認識でしかなかったが」

 

 場所が場所だったからな。

 見るからにそういうのがいそうな森にいたのだから、そういうポケモンなのだろうと思うじゃん?

 

「これ、最初からハチを巻き込んでおくべきだったんじゃないか? なあ、ダンデ」

「オレもそれには激しく同意だな。ただ、そう言えるのも結果論でしかないから、現実なんてそんなものさ」

 

 セレビィも俺は最後だけ関われって感じに飛ばしたしな。

 そういう運命だったのだろう。

 

「あー、言っておくけど、ガラルに帰って来たのは今日だし、その足でワイルドエリアに行ったら大怪獣バトルになってたから、倒して回ってただけだぞ?」

 

 もしかしたら俺に連絡を入れていたのかもしれないが、ガラルに辿り着いたのは今日だからな。

 マサキの家に行った日から何日、あるいは何ヶ月経っているのかも定かではないし、いたなら連絡しろよと言われないように、先んじて言っておいた。

 

「フラッと立ち寄ったところで、ついでに倒してきました感出すんじゃねーですよ」

 

 ネズの言った通りなんだよなー。

 フラッと立ち寄ったところで、ついでに倒してきたに過ぎない。

 ただ、ちゃんと確認はしただろ?

 

「いや、ワンチャン何かのプロモーション的な可能性もあったわけだし? だからカブさんに倒していいのか確認したくらいだし」

「あー、だからあの電話だったのか」

 

 ダンデが思い出したように頷いた。

 

「ってか、めっちゃモフりやがりますね」

「や、すげぇフサフサで気持ちよくてついな………」

「ザシアンとザマゼンタ、気持ちよさそう」

 

 いや、うん。

 俺も無意識だったんだが、ザシアンとザマゼンタの顎の下のフサフサ感が堪らなくて、一度モフり出したら止まらなくなっている。

 ………ネズの妹が羨ましそうに見ているのは気のせいだろうか?

 

「こうして見ると普通のポケモンに見えてくるな」

「オレさまはハチの方が伝説のポケモンなんじゃないかと思えてきたわ」

 

 酷い言われようある。

 確かにガオガエンの顔になってるけども。

 ダンデがポケットマネーから作った全身コーデのユニフォームを着てるわけじゃないんだから、俺がポケモンに見えることはないだろうに。

 まあ、ザシアンとザマゼンタがだらしない顔になってるのは否めないがな。

 

「………なあ、お前ら。こんなに人前に出て来ちゃって、あまつさえ危機を救ったとなれば、英雄扱いされたり、住処を探しに来るような不届者も現れたりすると思うんだけどさ。ぶっちゃけ、お前らは持て囃されたいか? それとも静かにそっとしておいて欲しいか?」

 

 いい加減モフりをやめて、右手を持て囃されたいで上げ、左手を静かにそっとしておいて欲しいで上げると、二体とも左手に顔を擦り付けてきた。

 ああ、そうだよな。

 危険だったからやっただけであって、英雄になるつもりはさらさらないわな。

 

「了解。全くのゼロには出来ないだろうけど、牽制くらいはしておくわ」

「クォォォン」

「グォォォン」

 

 まあ、カメラ回ってるだろうし、生放送で編集のしようもない映像を公共の電波に流してるんだから、少しは牽制になってると思いたいところではあるが………。

 とは言え、ダメ押しでハッキリと言っておいた方が今後のためだろう。

 

「つーわけで、ちゃんとカメラ回してたんだろうな? そこのクルー」

「え、ええ」

 

 いきなり呼ばれたことに驚いているアナウンサー。

 これでカメラ回してなかったら、ジャーナリストとしては終わってると思うが、そこはちゃんと機転が効いたらしい。

 カメラがハッキリと俺に向けられたことを確認してから口を開いた。

 

「今後こいつらに手出したら、ワイルドエリアでダイマックスしていたポケモンを六十近く倒すような俺のポケモンたちを全員送り込んででもぶっ潰すから。いい加減な記事やら、偏向報道やらをするんじゃねぇぞ」

 

 そう、俺のポケモンを全員な。

 サーナイトとかガオガエンだけじゃなく、リザードンやゲッコウガ、何なら俺がウツロイドを纏って暴れてやるつもりだ。下手したら気まぐれにギラティナも参戦しちゃったりするかもしれないが、俺は止めないぞ。

 

「俺のことを批判したければ、批判すればいい。独善的だとか、権力行使してんじゃねぇよとか、端からその自覚はある。ただ、物理的にかかってくるなら返り討ちにしてやるまでだ。それでも英雄だのなんだのと持ち上げて、こいつらの住処を探し回って禁域に踏み込むようなら、その時は俺がこいつらを連れていく。そうなったら、ガラル地方は英雄を求めた結果、英雄を失うというバカな地方だって、とんだ笑い話になるだろうな」

 

 伝説のポケモンとなると、その力を悪用しようとする輩がどこにでもいるんだ。それで面倒事が起きているのは過去の出来事から見ても当然の帰結であり、何なら今回もムゲンダイナという伝説のポケモンらしきのが悪用された結果っぽいしな。

 

「ヒーローなんかよりよっぽど似合ってますね、悪役」

「オレさまにゃ、真似できねぇわ。悪役とか似合わねぇし」

「せめてダークヒーローって言ってやれよ」

「というかなんであの人、身体から黒いオーラが出てるんですか!」

「「「あっ」」」

 

 おっと、俺も気付いていなかったが、どうやらうちの演出家もお怒りらしい。

 圧を強めるべく、俺の身体から黒いオーラを解き放っているようだ。

 

「やべぇ、違和感無さすぎて気づかなかった………」

「どういうカラクリなんでしょうね」

「オレは目の錯覚だと思ってたぞ」

「うるせぇよ、お前ら」

 

 三馬鹿のやじはどうでもいいとして。

 カメラを通してこれくらい牽制すれば、少しは馬鹿どもも減るだろ。

 

「だいたい、なんなんです、この人」

 

 するとピンク色のコートを着た少年がそんなことを言い出した。

 そりゃいるよな、俺のこと知らないやつも。

 別にガラル民の全員が全員、ジムチャレンジを見てるわけじゃないし、ニュースを読むこともなかったら情報なんて入ってこないだろうし、ましてや子供だ。

 興味がなければ、俺のことなんて耳にすることもないだろう。

 

「あ? お前、知らないのか? マジで?! 仮面のハチだぞ?」

「知りませんよ、こんな恥ずかしい格好の人」

 

 …………うん、やっぱりそうだよな。

 お前のその感覚はすごく大事だと思う。

 口は悪いが、その一言でピンクコートの少年をまともなやつだと認識しちゃったわ。

 

「ダンデ、恥ずかしいってよ」

「やっぱり全身コーデで来るべきだったんじゃないか?」

「え、やだよ。着替えるの面倒じゃん。これだけなら被るだけだから、楽だし」

 

 確かに頭だけってのはダサいとは思うが、全身コーデもなかなかのものだし、それに着替えるのもすごく面倒である。

 しかもワイルドエリアから直で来てるんだから、着替える余裕もなかったし、そもそも全身コーデにしようって発想にもならなかったな。

 

「そういう問題じゃありませんよ! 覆面そのものをつけて外に出るのが恥ずかしくてないのかって話です!」

「これが意外と素顔は見られないから、もうあんまり恥ずかしいとは思わないんだよな。慣れってのもあるが、最大の理由はそれだわ」

 

 とはいえ、メリットもある。

 覆面をしているため、素顔を見られることはないし、公表もしてないから一般人にバレることはない。

 というか、ジム関連のスタッフってすごく口が硬いと思う。

 守秘義務を徹底的に守ってるって感じだ。

 それが当たり前ではあるのだが、如何せん金に目が眩んで情報を漏洩する馬鹿が一定数いるのを思うと、すごいの一言である。

 

「なに真面目に返してんですか」

「いや、それにだな。この覆面が恥ずかしいって言うのなら、ジムリーダーにも白いお面付けたのいなかったか? そいつのことも恥ずかしいって言ってるようなものだぞ?」

 

 さっきいたから覚えてるぞ。

 名前は分からなかったが………というかあの子も子供だな。

 下手したらこいつらよりも下の可能性がある。

 

「うっ………あれはいいのです! ただの白いお面ですから!」

「ガオガエンはダメだと?」

「くっ………」

 

 言いたいことは分かる。

 ただ、そういうのは思っていても口にしない方がいい時もあるし、言い方ってもんがあるんだ。

 だからまあ、意地悪かもしれないが返すがえす、痛いところを突いてやったら最後には言葉が出なくなったようだ。

 

「はい、ビートの負けー」

「うるさいですよ!」

 

 褐色肌の少年に笑われながら、背中を押されて退場させられていった。

 

「大人気ねーですよ」

「その大人がしっかりしねぇと、頓珍漢な子供ばっかりになるだろうが」

「……ちがいねーですね」

 

 まあ、もう少し大人になれば、落ち着いてくるんじゃなかろうか。

 正常な感覚は持ってそうなんだし。

 ただ、それも保護者次第、かな。

 

「よし、帰ろ。いつまでもこんなところで油を売ってたら、後始末とかも始まらないだろうし、カブさんとかも戻ってくるだろうし、ザシアンとザマゼンタを追いかける馬鹿共も出て来そうだし」

 

 大体の聞きたいことは聞いたし、詳しいことはこれから明らかになってくるだろうから、これ以上ここにいる理由はない。

 あとはザシアンとザマゼンタが住処に帰るのを変なのが出てこないように見届けるくらいかな。

 

「どんだけマスコミが嫌いなんだよ」

「別にマスコミどうこうじゃねぇよ。報道の自由だとか、謎を解明するためだとか、有名税だとかを振り翳して、取材相手への配慮もなく一方的な価値観から自分勝手に動く奴が嫌いなんだよ。想像してみろよ。静かに山奥で暮らしてるところに、急に招かれざる客が毎日毎日押し寄せて来るのを。プライベートの侵害は愚か、不法侵入されてるようなものだからな?」

 

 即ちマスコミのやり口が嫌いなのである。

 人だろうが、ポケモンだろうが、プライベートがあるんだから、それを侵害しちゃダメだろ。

 反撃されても文句は言えないぞ。

 何なら俺は反撃するからな。

 

「………キバナでいうとSNSのコメント欄の荒らしが毎回毎回何人も現れるようなものだな」

「あ、うん、すげぇ面倒だわ」

「例えが現代的過ぎだな………しかもなんか違う気がする」

 

 そうか?

 SNSをやってないからよく分からん。

 

「で、結局誰なんですか!」

 

 そして、褐色肌の少年から解放されたピンクコートの少年が、思い出したかのように言い放った。

 あれ? まだ言ってないんだっけ?

 

「だから仮面のハチだよ。一昨年のジムチャレンジの参加者で、オレさまよりも先にダンデをあと一歩ってところまで追い込んだ憎きトレーナー」

「なに? 俺、キバナに嫌われてんの?」

「いや、別に嫌ってはねぇよ」

「まあ、俺は嫌いだけどな」

「おい!」

 

 なんかこう………チャラいのよ。

 ハヤマに近いものを感じてしまい、なんか嫌。

 別に悪い奴ではないんだがな。

 まあ、嫌いというよりは苦手ってことにしておこう。

 

「なんかネズがもう一人いるみたいで、面倒くせぇ」

「おう、こらドラゴン野郎。やんのか? あ?」

「アニキ、どうどう」

 

 キバナの溜め息混じりの一言にノリよく絡むネズと、それを抑えるネズの妹。

 

「つまり、実力者ってことですか」

「………なるほどね。だからさっきのあの発言なのか。そして、マスコミがビビってるのも実力を知っているから、と」

 

 今の今までほわわ〜んと見ているだけだった少年が口を開いた。

 ちゃんと頭は働かせていたんだな。

 

「クォォォン」

「え、なに? 背中に乗れって? は? え、ちょ、待っ」

 

 すると急に剣を咥えている方が背中に乗るように促してくる。

 というか鬣の方が強引に乗せようとしてきたって感じで、半端無理矢理背中に乗せられると、まだバランスも取れていない内に駆け出した。

 

「クォォォン!」

「グォォォン!」

 

 ……………おかしいな。

 何で俺はザシアンとザマゼンタに拉致られているのだろうか。

 

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