ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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15話

「ハッチマーン! 今日もZ技の練習の時間だぜーっ!」

 

 嵐は毎日やってくる。

 こうも毎日このテンションだと逆に心配になってくるぞ。

 

「………ほんと毎日毎日そのテンションでよく疲れませんね」

「いやー、オレ元々こういう性格だし?」

「地位も実力も、ついでに嫁も手にしたリア王ですもんね」

 

 あらゆるリア充要素を手にした最強のリア王とはまさしくこの男のことを言うのだろう。

 真のリア王とはポケモンバトルの高い実力を持ち、学者としても名を馳せ、嫁も捕まえて順風満帆なこの変態こそである。リア王でも変態性に変わりはないのか………。高いコミュニケーション能力はパッシブスキルとして持っていて当たり前な。

 ハヤマ? ポケモン博士に比べたらポケモンスクールの校長では弱々しく思えてくる。世界はまだまだ広いんだなー。

 

「ほほう? そういうハチマンにはハニーの良さをもっと語ってやるべきだな。んー、どの話がいいかな」

「俺が悪かったから、バーネット博士のためにもその話はなしで」

「そうか? まあハニーに聞かれたら顔真っ赤にしそうだしな。それよりこれ見てみろよ」

 

 最近分かったのは一番の被害者であるバーネット博士の名前を出すとククイ博士の方が踏みとどまってくれるということだ。おかげで面倒臭そうな話になりそうな時はバーネット博士の名前を出すことで難を凌げている。

 

「『第二回カロスポケモンリーグ大会開催!』って、もうそんな時期か」

 

 見せてきたタブレットを見やると、デカデカと記事のタイトルが書かれていた。

 第二回カロスポケモンリーグ大会。

 一年前、俺たちが主催して開いたカロスのポケモンバトルの祭典。それまでそういうものがなかったと知った時には驚いたものの、カントーでの大会を模倣して第一回を開催した。

 だが、どこかの誰かさんが問題事を持ち込み、おかげで俺もギラティナとやり合うこととなり、ミアレシティとヒャッコクシティが壊滅的な被害を被る事となったのは今でも覚えている。

 あれから一年も経ったのかと思うと、本当に半年以上俺が破れた世界にいたことがジワジワと伝ってきた。

 

「初回の去年は色々あったが無事終われたしな。今回は運営体制を一新してからの初の大会だ。結構、世界中で記事にされてるぞ」

 

 運営体制を一新したのか。

 俺がいなくなった時には随分とパニックになったことだろう。死亡発表の時にはスポンサー企業との関係も怪しくなったかもしれない。それでも無事第二回を開けたということは、新体制の下上手くやれているという証だろう。

 あそこは俺がいなくとも何とか回っているみたいだ。

 

「あれま、そんなにか」

 

 ただ、世界中でというところには引っかかる。そんなに有名になるような要素ってあったか?

 精々メガシンカくらいだろうか。それとも前回のルール変更によるユキノの活躍とかか?

 

「メガシンカが主流ってのもあるな。見た目が変わったり、バトル展開が逆転したりするのが好評らしいぞ」

 

 あー、やはりメガシンカか。

 あれはバトル展開を大きく変える力を持っているからな。しかもメガシンカ使いは相当な実力者の証でもある。世界的にも見応えはあるだろう。

 

「それからプラターヌ博士曰く、ハチマン効果でゲッコウガの人気が爆発的で初心者トレーナーが最初に求めてくるのもケロマツらしい」

 

 マジか。

 それは初耳だわ。

 あいつ、マジでそんなに人気者になっちゃってんのかよ。絶対本人は迷惑がってるだろうな。俺も嫌だもん。あんな注目の的になるのは。視線が痛いというか圧がすごいというか………。

 

「そうは言ってもあいつが特殊なだけだからなー。姿変わらないとかの苦情とか大丈夫なんすかね」

「そこはどうだろうな。理解出来ていない子も中にはいるんじゃないか?」

 

 確かに。

 あんな珍しい現象がまず現代で起こったのが不思議なんだ。

 

「姿が変わらないと言って捨てられてないといいが」

「どうだろうな」

「それに俺のゲッコウガは真っ当な末裔じゃないんだ。だから他にいるはずだ。そいつが現れれば少しは落ち着くか………」

「あるいは悪化するだろうな。あいつが出来たのなら自分も出来ると過信するバカも出て来るだろうよ」

「はぁ………面倒くさ……………」

 

 求めるあまり現実を受け入れられない奴とかもいるだろうからな。あれは特別なんだと割り切ってくれると手っ取り早いんだが、人気上昇なんて聞いたらそれも無理な話だろう。

 

「それで、新体制って公表されてるんですか?」

「ああ、一部だけだがあるぜ。公式ホームページに公開されている」

「ほーん」

 

 タブレットで検索にかけて調べてみると、チャンピオンと四天王の紹介ページにたどり着いた。サイトの目玉はここなんだな。

 チャンピオンと四天王の三人は変わらずで、新四天王としてイロハが就任したのか。しかも四天王デビューはこの第二回カロスポケモンリーグ大会と来たもんだ。そりゃ世界的にも注目されるわな。

 イロハの専門タイプは予定通りのほのおタイプか。ただ、なんだこの紹介書き。『他四天王三人に弟子入りし、この一年弱で頭角を表した新進気鋭の秀才。専門タイプであるほのおタイプに留まらず、他三人のみず、はがね、ドラゴンタイプも匠に操る、一人で四天王四役すら果たせる逸材』………。事実ではあるが…………、これはやり過ぎなのでは?

 

「うわ、なんだこの動画」

『初めまして! 新四天王のイッシキイロハでーす! 専門タイプはー、ほのおタイプだけどー、あなたのハートも焼いちゃうぞ!』

 

 最早アイドルの自己紹介動画じゃねぇか。

 あいつバカなの?

 

「クハハハ! オレも最初見た時はびっくりだったぜ。まさかあの時一緒にいた女の子が新四天王に就任して、こんな動画まで公開してるんだからな」

 

 いやほんと。

 誰得だよ。

 

『みんなー! 応援よろしくねー!』

 

 そして可愛く両手を振るイロハ。

 うーん………。

 撮影の後にうへぇーってなってるイロハが想像出来てしまう。何ならザイモクザ辺りに「これでいいですかー? 豚野郎」とか言ってそう。

 うわ、キモ………。特に顔を赤くしてハアハア言ってるザイモクザとかマジでキモいわ。

 

「いやいや、素直に喜べねぇよ」

「まあ、そこは運営の何か意図があってのことじゃないか?」

「だろうな。まあでも、元気そうでなによりだよ」

 

 ククイ博士の言う通り、恐らくは何か意図があっての自己紹介動画だろう。色々問題が立て続けに起きたからか、その払拭というか意識操作って可能性は考えられる。

 

「組織構成とかは…………載せてないのか。あ、でもこれユキノのコメントじゃん」

 

 ホームページ内でポケモン協会の組織構成とかを探してみたが、代わりにユキノのコメントを見つけてしまった。

『初めまして、カロスポケモン協会のユキノシタユキノです。理事の突然の訃報もあり、一時大混乱に陥る事態もありましたが、新体制の下、日々ポケモン協会の運営と改善を行っていきます。また、座長を務めるカルネさん他ポケモンリーグ大会委員の皆さんと共に、ポケモンリーグの開催に向けて邁進して参ります』

 

「ユキノらしいな………」

 

 俺がいなくなってからユキノが表立って動いていたのだろう。だからこそ、コメント発表もユキノが行っているってわけか。

 

「どうだ? 帰りたくなったか?」

 

 そんな俺を見ていたククイ博士がニヤニヤと口角を上げている。気持ち悪いったらありゃしない。

 

「そうっすね。やっぱりあいつらに会いたい気持ちはありますよ。ただ………」

「死んだことになっている自分がどう赴いたらいいのやらってか?」

「一応カロスでは有名ですからね、こんな俺でも。だからどうしたものかと」

「うーん、まあまずは回復しながらZ技を習得していこうぜ。身体を動かしてれば何か閃くだろ」

「なんていい加減な…………」

 

 よくそんなんで研究してられますね。もしかしなくともこの人本当は体育会系なのでは………?

 

「よーし、やるぞー! Z技のポーズ!」

「へいへい」

 

 まあでも。

 まずはカロスに帰るためにもカプ・コケコに借りは返さないとな。

 

 

 

   ✳︎   ✳︎   ✳︎

 

 

 

 アローラ地方に降り立ってから早二週間。

 ようやく、ようやく退院である。

 長かった、特にこの一週間は長かった。

 毎日毎日あの恥ずかしいポーズの練習をしなきゃならんわ、ムーンに太陽の光も浴びなさいと建物の外へ出されるわ、そのせいで暑いわ目が痛いわでそりゃもう大変だった。

 

「ハチマン、迎えに来たぜ」

「えぇー、やっぱりよくない? こんな暑いのに外出るとかバカなんじゃないの?」

「何を言う。外に出ねぇとカプ・コケコにも逢いにいけんぞ」

「………あっちから来てくんねぇかなー」

「ハハハ、ないな。彼らは気まぐれな守り神だ。来て欲しい時には来ず、どうでもいい時にやって来るような存在だぜ? 来るわけないさ。諦めろ」

「だよなー」

 

 はあ………。

 この暑い中、カプ・コケコのところに行かないといけないのか。やだなー、こんな暑い中。外出たくないなー。もうちょっと先延ばしに出来ない?

 

「それと、これをお前にやろう」

「キャップと、サングラス………か?」

 

 ククイ博士から手渡されたのは赤いキャップと黒縁のサングラス。

 

「おう、オレと色違いのお揃いだ」

「うわ、いらね」

 

 お揃いという恐怖の言葉を聞いた瞬間に思わず投げつけそうになってしまった。

 いや、何が悲しくて博士とお揃いにしなきゃならねぇんだよ。

 

「そうは言ってもそのまま顔を醸すわけにもいかないだろ?」

「そりゃそうですけど」

 

 変装目的、なのか。

 けど、そこでお揃いをチョイスしてくる辺り、嫌がらせとしか思えない。

 

「それにアローラの太陽に慣れてないと目がやられるぜ?」

「それは俺も思ってた。アローラの太陽ってバカなの? 何が悲しくて外に出るだけで目をチカチカさせないといけないんだよ」

 

 でも付けてないと目がやられるのは体験済み。素直に受け取るしかないんだろうな………。

 …………このまま受け取らなかったらカプ・コケコのところにも行かなくていいのでは?

 

「ポチャ!」

「さあ! 行きますよ! ヒキガヤさん!」

 

 どうしたものかと思案していると、ククイ博士の背後から聞き覚えのある少女の声がした。

 ウツロイドの毒の解毒薬の開発の傍ら、何度も俺のところに来ていた天才少女、ムーン。

 

「うわ、ムーン………お前もか?」

 

 今日はいつもの白衣姿ではなく、初めて見る服装である。そして何より、何なんだその謎の帽子は。オシャレポイントがさっぱり分からん。

 これ、もしかしなくともついて来るパターンなのでは?

 

「そりゃ初日目なんですから、何かあったら対応するのもわたしの仕事です!」

「本音は?」

「グズマがボコられるところを見たい!」

「かわいそうに………」

 

 なんてことはない。

 ただの野次馬だった。

 これから訪れるであろう未来のカスマさん、ご愁傷様。まあ、喧嘩売って来たのはあいつなんだし、当然の報いだな。

 

「ハチマン、準備は出来た………二人も来てたのか」

「まあな。逃げないように迎えに来た」

「もし逃げる素振りを見せたらヒドイデとベトベトンの刑に処すところでしたけど、残念だわ」

「残念なのはお前の頭だろ」

 

 本来ならグラジオがメレメレ島とやらに連れてってくれるはずだったんだがなー。

 ククイ博士は毎日来てたし、今日も来るんだろうとは思っていたが、ムーンもか…………。

 ほんとクズマさんが哀れに思えてくる。

 

「ビビ! ムーン! サンが外で待ってるロト!」

「え、運び屋さんが?!」

「「サン!?」」

 

 また新キャラ来たな。

 しかも今度のは人ですらない。

 あれなに? 機械? だよな………?

 浮いてるわ叫んでるわでマジで何なんだろうな。

 それにサンって誰? 人? 物?

 

「誰?」

「もう一人の図鑑所有者………なんだが、ポケモン図鑑の扱いが雑で、このロトムに嫌がられてな。ロトム図鑑という名のただの図鑑の持ち主で今は運び屋を営んでいる奴だ」

「へぇ」

 

 あ、こいつロトムか。ということは音声機能か何かを使って会話が出来ているということか?

 

「ボクはロトム。ムーンのポケモン図鑑ロト。よロトしく!」

「はあ………よろしく」

 

 しっかり『ムーンの』と強調してる辺り、本当にそいつが嫌なんだな。

 一体どういう扱いをしていたんだか。

 

「んじゃ、準備はいいな?」

「まあ、元々荷物がないようなもんなんで」

「よし、なら行くぞ」

 

 仕方なくもらった帽子とサングラスを装着。視界は暗くなり、上からの光も抑えられている。

 はあ………。

 やだなー。

 何が悲しくてこんな炎天下の中に行かなきゃならないんだ?

 

「なんか、外に出る前から疲れてないか?」

「まだこの暑さに慣れてないんですか?」

「………シンオウ出身のくせに、よく耐えられるな」

 

 ムーンがシンオウ出身ってのは嘘なのではないかと疑いたくなるレベル。

 あそこはカントーよりも寒いんだぞ?

 そんなとこ出身のムーンがケロッとしている意味が分からない。

 

「それにグラジオはいつも黒服で、暑苦しい………」

「おま………?!」

「グラジオは大丈夫ですよ。所々ダメージ加工された服なんで通気性は抜群です」

「ムーン、ちょっとバカにしてるだろ」

「してないわよ」

 

 エーテルパラダイスの中を移動しながら、そんなどうでもいい会話をしていると、前を歩くククイ博士が足を止めた。

 

「グラジオ、サンは正面か?」

「あ、ああ」

「よし、ならこっちだな」

 

 まあ、俺はエーテルパラダイスの中を探検したこともないし、外に出るのもムーンについて行っただけなため、建物内の地理は疎い。だからこうしてついて行くしかないのだ。

 

「うっ………暑っ…………!」

 

 そして眩しい。

 サングラスをかけてこれなのか。せめて昼間は活動したくないな。

 

「あ、ククイ博士ー! グラジオー! お客さーん!」

 

 俺たちが外に出て来たのに気付いた少年が、ブンブンと手を振っている。

 

「サン、お前何でエーテルパラダイスにいるんだ?」

「え? グズマから依頼が入ったからだよ。エーテルパラダイスから荷物取って来いって」

 

 グズマ?

 あれ?

 あいつがこの少年に依頼したのか?

 見たところムーンと同じくらいの歳のようだが………その歳で運び屋を経営って………。俺が旅に出たくらいの時じゃん。俺だったら絶対お断りだわ。こいつもムーンも子供のうちから働きすぎだろ。

 

「そっちの人は?」

「ああ、ハチマンっていうんだ。ちょっとわけあってしばらくエーテルパラダイスで世話をしててな。今からメレメレ島に連れて行くところなんだ」

「へー。オレっちはサン! 運び屋サンだ!」

 

 うん、なんかこいつ絶対陽キャラだわ。

 ムーンやグラジオはまだ俺に近いものを感じていたが、こいつは根っからの陽キャラだ。ククイ博士に近いタイプとも言える。いや、軽さからしてトベの方が近いか?

 

「リザードンか………」

 

 まあ、俺の興味は早々と少年の隣に鎮座するリザードンの方へ変わったがな。

 こんなところでもリザードンに出会すとか、俺の人生どんだけリザードンが関わってんだよ。リザードン好きすぎじゃね?

 それにしてもーーー。

 

「ーーー毛並みはちょっとゴワついてるな。おい、ちゃんと手入れしてやってんのか?」

 

 俺はリザードンに触れて毛並みを確認してみた。何というか毛並みに艶がない。霞んでいるというか毛が硬い。ポケモンの毛並みは女性の髪に近いものを感じていたが、このリザードンは男のゴワついた髪って感じだ。手入れがされていない証だろう。

 

「え? あ、最近忙しくてやってなかったかも………」

「サン、お前な………」

「運び屋さんらしいというか何というか………」

 

 俺が指摘するとグラジオとムーンが呆れたと言わんばかりに溜め息を吐いた。

 なるほど、こいつはそういう感じの奴なのか。雑というか大雑把というか。だからロトムもムーンの方を選んだのだろう。

 

「………上にかえんほうしゃ」

「グォ? グォォォッ!」

 

 人差し指を上に向けてリザードンにかえんほうしゃを指示してみると、意図が分かったのか素直に従ってくれた。

 高く昇る炎は勢いはあり、真っ直ぐと上に伸びている。体内の調子は良好なようだ。

 

「フッ、中身はバッチリだな」

「炎を見ただけで分かるんですか?!」

 

 ムーンにはこれが驚きだったらしい。

 まあ、これは俺がリザードンの体調を確認するのにしていたことだし、似たような事例ではリザードンのかえんほうしゃを受けたプラターヌ博士がその流れで体調を確かめていたりすることか。

 手段はどうであれ炎を見ればリザードンの体調は確認出来るのだ。

 

「まあな。毛繕いをしてやったら完璧だ」

「運び屋さん! ちゃんと帰ったらリザードンの毛繕いするのよ!」

「へーい」

 

 絶対気が向かないとやらないんだろうなー。

 それを分かっているからリザードンも何も言わないのだろう。

 

「さすがリザードン使い。見慣れてるみたいだな」

「そりゃ俺の最初のポケモンですし」

 

 ククイ博士は俺がリザードンを連れているのを知っているため、今の確認作業も理解出来たのだろう。

 

「それでグラジオ。運び屋に渡す荷物とか聞いてないのか?」

 

 そのククイ博士がグラジオに少年の目的物を尋ねた。

 

「あ、いや、オレは何も知らないぞ」

「ん? ならサン、何を受け取りに来たんだ?」

「腐った目の人」

 

 うん、こいつ殴っていいかな。殴っていいよね。

 

「「「………………」」」

 

 そしてこっちを見るんじゃありません。

 

「え、なに? この人?」

「多分な。相手はグズマなんだろ? 今日はグズマとハチマンがバトルすることになってて、それでメレメレ島に向かうんだよ」

「マジで?! オレっちもバトル見たい!」

 

 うん、こいつは無視して話を続けよう。

 

「グラジオ、本来の移動手段は?」

「下に小型船を用意してあるから、それで行こうと思ってたんだがな………」

「えー? それじゃあ、オレっちの仕事はー?」

「いや、相手を選びなさいよ。よりにもよってグズマからの依頼って………」

「前払いまで済まされたんだけどー?」

 

 あの男はそこまでして俺とバトルしたいのだろうか。何が何でも俺を逃したくないようだ。というかあんなチンピラなのに律儀に前払いまでしてるとか、実は真面目だったりするのか?

 

「はぁ………、なら一応空からついて来るってことでどうだ? それか俺がリザードンに乗る」

「んー、まあ目的地は一緒だし、オレっちとしては依頼が達成すれば文句はないよ」

 

 こいつ適当過ぎるだろ。

 運び屋を営んでいるとか言ってたが、そんな調子で大丈夫なのか?

 

「というかリザードンに乗れるの? 難しくはないと思うけど、大変だぜ?」

「愚問だな」

 

 久しぶりのリザードンだ。背中に乗りたいと思うのは、リザードン使いの性というものである。

 

「リザードン、目的地まで俺が背中に乗っても大丈夫か?」

「グォォォ!」

「サンキューな」

「ならオレっちは船に乗るよ。久しぶりにお客さんやグラジオと話したいし」

 

 自由過ぎるだろ、こいつ。

 まあ、そのおかげでリザードンに乗れるわけだが。

 え? というかこの腰掛けは何ぞ? これに座ればいいのか?

 

「よいしょっと」

 

 おおー、なんか不思議だ。

 リザードンの背中で普通に座ってるとか今までにない感じだわ。いつもなら跨ってるからな。これでスピードに乗った時にどんな感じになるかだな。

 俺がリザードンの背中に乗って、海上で久しぶりの感覚に浸っていると、しばらくして下に向かった四人が乗った小型船がやって来た。

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