きゅうけつを覚えたんだったら、もうかみつくとかも使えるんじゃねぇの? と試してあっさりと使えてしまった、なんてこともあったこの一週間。
俺は毎日この島をウロウロすることにしていた。
と言ってもそんなに遠出をするわけではなく、せいぜい爺さんがウルガモスがいるんじゃないの? と言っていたチャレンジビーチ辺りまでにだが。
それでもまあ広いこと広いこと。
いろんなポケモンはいるわ、目的のポケモンは見つからないわで結構疲れ切っている。
相手がウルガモスだから仕方ないのかもしれないが、それでもねぇ……。
「今日こそいてくれると良いんだが……」
「はっちん、全然ヒットしないもんねー」
「一応条件は満たしてるはずなんすけどね」
「ポケモンも生き物だからね。そういう時もあるよん」
「というかこの島って雨降るんすか? 俺が来てからずっと晴れてますけど」
「降るよ? これだけ晴れてるのは珍しいことよ?」
「マジっすか……」
暑い上に晴れが何日も続くと流石に嫌になってくるというもの。外を出歩く分にはいいのだが、偶には雨を降らせて引きこもらせて欲しいわ。
「それにしてもはっちん強いね。また負けちゃったよ」
「まあ、前のハードでやってましたからね」
テレビ画面に映し出される『Winner!』の文字。
何を隠そう俺たちはゴーカートゲームで対戦しているところだ。
この爺さん、まさかのゲーマーだったようで、門下生たちに偶に相手をさせていたらしい。ただ、みんなそこまでやってなかったかやったこともなかったらしく、手応えがなかったんだとか。
いや、まさかポケモン道場に来てゲームすることになるなんて俺も思ってなかったからね?
「ハチさんすげー!」
「いや、コース覚えてドリフトとミニダーボ使ってれば大体上位にはなれるからね?」
あとは途中で拾うアイテム次第か。
走行中の順位によって出てくるアイテムの強さが変わってくるため、一発逆転を狙われることもある。そういうのがなければ、ドリフトからのミニダーボの連発で上位にはいられるというもの。
「んじゃ、俺はウルガモスを探してきますよ」
「ほいほーい、いってらっしゃーい」
軽いノリで送り出され、サーナイトとニャヒートとともにウルガモスを探しにチャレンジビーチへ向かうことにした。
が、一歩外に出てみれば頭が黄色いヤドンが玄関前に居座っているという謎の事態に遭遇。
こいつ、俺がここに来てから橋を渡った先の砂浜にずっといるやつだよな………?
いくらぼけーっとした顔のヤドンでもこれだけ顔を合わせていれば、見分けはつくぞ。
「おい、そこにいると邪魔になるぞ?」
「…………」
返事はない。
じーっとこっちを見てくるこのヤドンは一体何が目的なのだろうか。
「………俺たちは行くところがあるからな。邪魔にならないようにしてろよ」
よく分からないため、取り敢えず邪魔にならないようにだけ言って道場を後にした。
マスター道場があるとこらは一礼野原というらしい。そこから道場を背にして右に曲がり北西に抜けると清涼湿原というところに出る。この清涼湿原を西に抜けるとようやくチャレンジビーチに到着するのだ。
ただ、湿原というからには沼地も多く、そうでなくとも水捌けが悪い土地なため泥の溜まった水溜まりが多い。また、そういうところであるため、ポケモンたちもウパーとかヌオーとかの沼地にいるようなポケモンたちが多く、遊んでいるつもりなのだろうが泥がよく飛び散る。おかげで服が汚れるのなんの………。
ただ、ポケモンたちが襲ってくることは今のところない。他の地方のポケモンたちよりも人馴れしている、とでも言ったらいいのだろうか。俺が横を通っても気にする素振りすら見せないやつもいる。これがコダックとかだったら分からなくもないが、ニョロゾとかニョロボンもなんだよなー。
というかあれだな。ここはマッドショッドとかどろあそびを使える奴が多いよな。そうでないのもいるけど、泥の被害は基本そういう奴らだし。
「セキタンザン、ニトロチャージ!」
今日はまだ被害に遭わないなーとか考えながら歩いていると人の声がした。
誰かがバトルでもしているようだ。珍しい。
「今です! いわなだれ!」
四つん這いになったカメックスみたいな奴の頭上から次々と岩が降り注いでいく。
だが、背中の甲羅は頑丈なのか何か技を使っているのか岩が弾かれていっている。
「くっ、やはりこの島のポケモンたちは強い………」
えっ、そうなの?
野生のポケモンとはまだバトルをしたことがないから知らなかったわ。結構みんな普通に過ごしてるし、そこら辺にいるような奴らと同じなんだと思ってたが………。
あ、じゃああのヤドンも?
………全然イメージが湧かん。強いて出てくるのは攻撃しても反応するまでタイムラグが生じるんだろうなってところか。遅れて目を回すっていうのが一番しっくりくるんだが………、まあポケモンも見かけに依らないってことにしておこう。
「っ!? セキタンザン、来ますよ!」
口を大きく開いたカメックス擬きは水砲撃を発射し………ドデカイ溶岩のようなポケモンが躱すと………あ、ヤベ………これ俺に当たるパターンじゃん。
「サナ!」
するとサーナイトが俺の前に出てドーム型の防壁を展開させた。
水砲撃は弾かれて上に方向を変え、勢いを失うと雨のように降り注いでくる。
「だ、大丈夫ですかっ?!」
「あ、ああ」
コマチくらいの少年が慌てて俺のところへ駆け寄ってきた。
いや待て。お前、目の前の相手を放ってきちゃダメだろ。
「ガージ、ガッ!」
あ、ほら。
あっちはお構いないしに攻撃を続けてんじゃん。
「ったく。サーナイト、こっちはどうにかする。だからあいつにくさむすびだ」
そう言って俺は足で合図を送り黒いのに指示し、防壁を展開させた。
今度はいわなだれだったらしく、俺たちの頭上から次々と岩が降り注いでくる。
今日は超局所的な雨や岩が降ってくる日なのだろうかと思いたくなるくらいの巻き込まれ事故だな。
「10まんボルト」
ハイドロポンプを撃ってたしみずタイプと予測しての攻撃。
じめんタイプを持ってないことを祈るしかない。
「ガァァァッ!?」
うん、効いてる。
じめんタイプではないことは確認できたな。
草で拘束して電撃を浴びせたんだから抵抗のしようもない。
さて、ここまでされてあいつはどう出てくるか。まだやるというのであれば、あとはもう戦闘不能に追い込むしかない。
「ガ、ガ………」
絡めた草を解放するとカメックス擬きはノソノソと森の方へと向かって行った。
ふぅ、面倒事が悪化することはなくなったか。
「す、すみませんでした! 巻き込んでしまって………」
「お、おおう。まあ、気にすんな。俺たちは大丈夫だから」
グレーの半袖短パンサングラスでちょっとふくよかな少年から出てくるとは思えない直角に曲がった謝罪。ギャップに驚くなという方が難しいだろ。
「で、ですが……」
「あー、ならこの先のチャレンジビーチでウルガモスを見なかったか?」
「ウルガモス、ですか………。確かお昼頃によく飛び回っているのを見かけますね」
「昼か………。なら、ひとまずビーチに向かっておくか。情報サンキューな」
「あ、いえ………」
いないということはないみたいだな。
これまで会えなかったのはタイミングが悪かったのだろう。
なら、ビーチにいれば会えなくもなさそうだな。
あと、こいつといると謝られ続けられそうなのでさっさと退散したい。
「んじゃ」
そう言って俺はその場から立ち去った。
しばらく歩けば最後の関門、ちょい広い川にたどり着いた。この川、橋がないのよ………。態となのか流されてなくなってのかは分からないが、爺さんが絡んでそうなのは間違いない。あの人の思惑でこうなっているところは大きいんじゃないだろうか。
これはあれだ。試されてるんだ。多分。知らんけど。
まあ、俺の場合はサーナイトの超念力で行けちゃうんだけどね?
「サーナイト、今日もよろしく」
「サナ!」
ふわーっと浮いた身体が川の上を渡っていく。
そのまま歩き続けると無事ビーチに到着した。広々とした海が水平線を作っている。
さて、ウルガモスはどこにいるのやら………。
振り返っても川近くにはいないし、空を飛んでもいない。かと言って海の上ではキャモメたちが飛んでいるだけでウルガモスの姿はない。
平和とはこのことなんだろうか。
「今日もダメかな」
伝説になれなかったポケモンとはいえ、太陽の化身と崇められたポケモンだ。見つからないのはそれ故にってことにしておこう。格が違うんだよ、多分。
「モォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッス!!」
すると突然、北の方から地響きのする唸り声のようなものが聞こえてきた。
音のする方へ向かうとそこにはーーー。
「ウルガモス………」
いた。
いたけど………。
「巨大化してんじゃん」
めっちゃ巨大化してる。
どうするよ。
でもすげぇ暴れてるし、このままだと被害が広がるだけだよな…………。
「やるしかない、か」
ただ、サーナイトはエスパータイプを持ち合わせているため、むしタイプの技を使われると痛い。そこは注意していかないとな。
あとダイマックスに対しては最初からメガシンカを使わないとキツイと思う。トレーナーがダイマックスさせる分には技を三回使うってのが目安だったが、野生のポケモンだとどのくらい巨大化しているのかも分からない現状、三回使わせてはい終わりなんて考えは捨て去るべきだろう。
「サーナイト、メガシンカ」
キーストーンとメガストーンが共鳴し、サーナイトの姿を変えていく。するとその眩しい光はウルガモスの注意を惹きつけることとなり、こちらに炎を放ってきた。
メガシンカのエネルギーが上手く炎を相殺し、霧散させていく。
同時に淡いピンク色の光が地面に広がっていった。
「まずは動きを鈍らせるぞ。テレポートで背後に回ってでんじはだ」
「サナ!」
かげぶんしんで近づくという手もあったが、広範囲技を喰らえば意味をなさなくなってしまう。やはり奇襲をかけるならテレポートで背後に回った方が確実だ。
「モォォォオオオオオオオオオオオオッッ!?!」
上手く効いたみたいだ………ッ!?
「サーナイト、まもる!」
「モォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!」
二度目の咆哮はさらに大きくなり、暴風に乗って木霊していく。いや、もうこれ暴風とかのレベルでもない。間違いなく大災害を生み出す災害級だ。立っているのも無理。飛ばされないでいるのも黒いののおかげだ。
サーナイトも何とかドーム型の防壁を展開して防いでいるが、舞い上がった砂が激しくぶつかり、次第にヒビが入っていく。
「ヤバいな………」
最早語彙力も低下し、まともな感想すら思いつかない。
それくらい身の危険を感じてしまう。
それに今気づいたがいつの間にか日差しが強くなっていた。恐らくウルガモスが関係しているのだろう。技を使ったのか技の効果なのかは分からないが、これは非常にまずい。
「こうなったら………」
辺りを見渡しても人はいない。というかいたらいたで逆にすごい。ポケモンたちですら避難して誰もいなくなっているし、本当にあるのは巻き上がった砂や小枝やらその他諸々だけである。
アレを使うとなると先にZリングにイワZを装着しておいた方がいいよな。
「来い、ウツロイド」
誰かに見られようものなら色々とまずいことになりかねないが、今はそんなことを天秤にかけてもいられない非常事態。
俺はZリングにイワZを装着した後、ウツロイドのボールを取り出して開閉スイッチを押した。すると待ってましたと言わんばかりにウツロイドが飛び出し、俺を呑み込んでいく。
『「サーナイト、ニャヒート、サポートハマカセタ」』
「サナ!」
「ニャフ!」
最初から黒い本気形態。
ウルガモスはむし・ほのおタイプ。今俺の手持ちにいるポケモンでは唯一ウルガモスの弱点をつけるのがウツロイドだけである。
というかだ。こんな姿になったとはいえ、巨大化したポケモンに立ち向かっていくとか超ドキドキするな。迫力が桁違いだ。ギラティナを相手にするのとはまた違ったプレッシャーを感じる。
まあ、どの道やらなければやられるのみ。死にたくなければ勝つしか方法ない。
『「ウツロイド、パワージェム」』
岩を飛ばして巨大化に対するウツロイドの火力を測っていく。超効果抜群の技でも一撃で倒れることはまずないようだ。となると重たい一撃でトドメを刺しにいかないとこちらがピンチになる可能性もあるというわけだ。地道に削っていくのも巨大化がどのくらい継続しているのかも分からない現状、持久戦は避けたいところ。
それにテレポートを覚えていないため、サーナイトのような闘い方は無理だ。いわタイプの技を基軸として反撃される隙すら与えないようにしようと思うと………。
『「サイゴハZワザデイクトシテ……ッ!?」』
危ねっ……!?
まさかのノーモーションでソーラービーム撃ってきやがった!
しかもすぐに次の技かよ………!
この展開の速さが野生かどうかの違いってとこか。既に技は三回放たれているのに元に戻る気配が一切ない。何なら、さらに活性化しているのではと思えるレベル。恒常的に巨大化していると思って臨んだ方が身のためかもしれない。
『「ミラーコート」』
今度は炎の塊が弾丸のように飛んできた。巨大化していることで一発の技の大きさも桁違いで、通常時の二倍くらいはありそうなこの黒い身体でも余裕で呑み込まれてしまう。テレポートがなければ躱そうとしても逃げきれないだろう。
ミラーコートでも返せるかどうか怪しい。ただ、まもるを使って防壁を展開したとしても防ぎ切れないのは分かっている。Z技をポンポン撃たれるようなものだ。
やはり反撃する手段が欲しい。
いわなだれかがんせきふうじ辺りが使えたらいいんだが………覚えてないんだよな。
…………果たして俺にできるのだろうか。
ウツロイドに呑み込まれて自分の意志で技を放ったりしているとはいえ、俺は人間だ。新しく技を習得するできるのだろうか。
『「ヤッテミルシカナイカ。サーナイト、ニャヒート、チョットノアイダマカセタ」』
「サナ!」
「ニャフ!」
技の展開はどちらも頭の上から岩石を降らせるものだ。純粋に岩を落とすのか岩石を落とすかの違いしかない。技の効果も怯ませるか素早さを低下させるかの違いで、似たような性質を持つ。
だったらその辺の細かいことは後から考えるとしよう。まずは頭上から岩なり石なりを落とす。それだけに意識するんだ。
出現ポイントはウルガモスの頭上……三メートルもあれば充分か。巨大化しているため、そもそもの距離を測るのが難しい。ただ、巨大化している分、的が大きいのは助かる。落とすところまで細かく意識しなくてもただ落とすだけで当たるだろうからな。
だから、なるべく威力が出るように尖った岩とかになるのが理想か。
『「…………ウツロイド!」』
ウルガモスの頭上にダークホールを作り出すイメージで円描き、その穴からドバドバ岩石を落とすイメージで両腕を広げて一気にエネルギーを解放した。
これは………がんせきふうじだな。
やはり俺自身がイメージして作り出すのでは難しいところがあるみたいだ。
だが、今はそれでいい。この姿でも新しく技が作り出せるということが分かっただけでも収穫だ。
あとは一気に攻めるのみ!
『「サーナイト、オレガツクリダシタガンセキヲツカエ。サイコショック」』
サーナイトがウルガモスの周りに落下した岩石をサイコパワーでウルガモスに当てている間に、俺はウルガモスの背後へと回っていく。
ちなみにニャヒートはサーナイトに飛んでくるものを蹴りで撃ち落としていた。にどげりがあんなに役立つとは………。
『「クッ………ボウフウガヤッカイダナ」』
勘が鋭いのか、俺を近づけさせまいと再度自分の周りに暴風を起こして岩石諸共巻き上げていく。
けど、俺たちを甘く見てもらっちゃ困るな。
『「サイコキネシス」』
超念力で暴風の流れを停止させた。巻き上がっていた岩石が次々と地面に落下していく。
「ウゥゥゥモォォォオオオオオオオオオスッッ!!」
するとウルガモスが炎を纏い、くるくると舞い始めた。巨大化しているくせに軽やかに動くため、遠心力により纏った炎が無作為に振り撒かれていく。近くにあった木は燃え、草も焼かれていく。
最早災害たわ、これ。
あーだこーだ効果的な技を考えるのもアホらしくなってきた。
こんなもん一発ドデカイのをさっさとぶち込んでやらねぇと収拾もつかないぞ。
『「ウツロイド」』
腕をクロスさせてイワZのポーズを空中で取っていく。
次第に俺の前に地上から巻き上げた岩石や砂やら焼けた木やらが集合し、圧縮されて一つの巨大な岩へと変化していった。
『「オラヨッ!」』
ーーーワールズエンドフォール!
「モォォォオオオオオオオオオッッ!?!」
投げ飛ばした巨大な岩はウルガモスの顔面に突き刺さった。
これ、いろんなもん巻き上げて圧縮して巨大な岩石にして投げ飛ばすんだよな。
実は巨大化したポケモンに一番いい技なのではないだろうか。ウルガモスが放ってくる炎の塊くらいの大きさはあるぞ。これまたいい収穫だわ。覚えておこう。
ただ、倒せてないんだなー……。
超が付く程の効果抜群な技なんだけどなー………。
『「アレデモマダタエルノカ。ダイマックスハ、タイキュウリョクモイジョウニナルンダナ」』
だが、一番ダメージが入ったのも確か。
ついでに痺れも効いてるみたいで動く気配はない。ただ、まだ元の大きさに戻らないところを見るに戦闘不能には陥っていないのだろう。
『「ウツロイド、トドメダ」』
ハチマンパーンチ!
ついでにキックもあるよ!
………じゃねぇよ!
おいこらウツロイド。お前その技でもない技好きすぎるだろ。それとその技名は何とかしろよ。何で自分の名前の入った技を使わなきゃならんのよ。恥ずいっつの!
「モォォォ………」
あ、段々と小さくなり始めた。
ウルガモスが無抵抗だったとはいえ、あの技でもない技の方が効いた感触があったのは何なんだろうな。
最初からこいつのことは分からなかったが、また一段と謎が増えたような気がする。
「よっと」
ウルガモスが倒れたことで俺もウツロイドから解放された。ウツロイドはそのままボールへと戻っていく。
さて、想定を超えた出会いとはなったが、一応バトルには勝ったんだ。初のバトルしてのゲットに講じるか。
俺は空のボールを出して倒れているウルガモスに押し当てた。
あ、これハイパーボールじゃん。
まあ、いいか。コロコロ左右に揺れていたボールも開閉スイッチがカチッとロックされたし、ミッションクリアだ。これで、晴れてウルガモスが新しく仲間になるわけだな。
言うこと聞いてくれるかなー………。今までポケモンたちの方からボールに入ってきたから、自分で捕まえたポケモンとどう対応すればいいのやら。
「はっちん!」
「「ハチさん!」」
すると後ろからドタドタと団体さんが押し寄せてきた。
道場の面子が揃っている。爺さんまでいるみたいだが、こんなところにまで来てどしたの?
「………え、なに? そんな大勢で」
「あ、いや、え? あれ? ウルガモスは………?」
あ、こいつさっきの半袖短パンサングラス君だ。
もしかして見られてたのか? それで人を集めて来たとか?
「倒して捕まえたけど?」
「はっ……? いや、ですがあれはダイマックスした野生のポケモンですよ! 一人で倒せるような相手では………」
「ほらね、マクワちん。ワシちゃんの言った通りでしょ?」
「そんな………あり得な………」
「はっちんは最近来た子だけれど、道場にいる誰よりも経験と知識が豊富でバトルも強いのよん」
というか何で俺はこいつに心配されてるのん?
確かに炎が飛び散って災害みたいになってんなーとか、恒常的に巨大化しているとダンデの時とはまた違った感覚だなとかは思ったけどさ。
「えっと、俺は何で心配されてんの?」
「はっ………?」
「「「えっ………?」」」
あれ?
なんか半袖短パンサングラス君だけじゃなくて門下生たちもお口あんぐりなんだけど。
えっ、野生ポケモンのダイマックスってそんな危険なもんなの?
聞いてないんだけど。そういうのはちゃんと先に言っておいてくれよ。
「師匠……」
恨めしげに爺さんを見やるとてへぺろってしていた。
この爺、帰ったら覚えとけよ!