『今年のジムチャレンジに向けて新たなジムリーダーに就任したサイトウですが、………強いですね!』
『実力のお披露目という意味合いで連日ラテラルジムでイベントが開催されていますが、そこでのエキシビションマッチでまだ無敗ですからね。相手にまだジムリーダーが来ていないというのもありますが、これから組まれるであろうジムリーダー対戦でどのような結果になるか楽しみです』
ある日、時間潰しに本棚を眺めているとテレビからそんなニュースが流れてきた。
どうやら新しいジムリーダーが就任して連日エキシビションマッチを行っているようだ。ただ、どこからどう見ても子供である。
「およ、おはようはっちん」
「師匠、おざます」
「おー、サイトウちんも頑張ってるねぇ」
「知ってるんですか?」
「ガラル空手の申し子なんて言われてるよん。同じかくとうタイプ専門ってことで、ジムリーダー就任前に最後の手解きをしたからね。まあ、ワシちゃんの弟子ね」
「へぇ」
それはつまり、彼女は俺の姉弟子になるというわけか。
つか、かくとうタイプが専門なのね。
「でもまだマイナーリーグだからね。ここから良い成績を残していけば、来年メジャーリーグの方に昇格してジムチャレンジの壁として出てくるかもだよん」
「なんすか、そのマイナーリーグやらメジャーリーグとやらは」
「あれ? はっちんに話してなかったっけ?」
「知りませんよ」
知らないから聞いてるのに…………。
「ガラル地方のポケモンジムはね、メジャーリーグとマイナーリーグに分かれてるのよ。メジャーリーグはジムチャレンジで巡ることになるジムリーダーたちのことでもあり、マイナーリーグのジムリーダーたちはジムチャレンジに参加出来ないのよ」
「………つまり、メジャーが一軍でマイナーが二軍みたいな扱いで、ジムリーダーたちはメジャーリーグを目指していると?」
「まあ、そういう認識でいいと思うよ。だからその年によってジムチャレンジのジムリーダーが変わるってこともあり得るのね」
ガラルのジムリーダーってマジで大変だな。
ジム戦が興行イベントと化すわ、メジャーとマイナーの枠組みがあって常に実力を測られてるわ、落ち着く暇もない。
俺だったらガラルではジムリーダーになりたいと思わないわ。
カロスとかのあのゆるーい感じが性に合っている。
「ヤン」
「ん? どした、ヤドラン」
ガラル地方のジムリーダー事情に辟易していると、ヤドランがくいくいと裾を引っ張ってきた。未だ野生のままであるが、ほぼほぼ俺と行動するようになっており、普通に道場内に溶け込んでいる。
「なに? もう腹減ったの?」
差し出される皿。
ポケモンフーズをもっとくれと言っているらしい。
こいつ何気によく食うな。まさかシェルダーに噛まれたことで一気にエネルギー消費が倍増したとかなのか?
ヤドンの頃は飲み食いしてるのかも怪しくなるくらい不動だったのにな。本当に不思議な生き物だわ。
「………ところではっちん、その子捕まえないの?」
「ボールに入れることだけがポケモンとの付き合い方ってわけでもないでしょ。まあ、その時が来たらお互いに決めると思いますよ」
「はっちんは年齢の割に深いこと言うねぇ」
「最初のポケモンからしてそんな感じだったんで。俺、サーナイトやニャヒートの他にも仲間がいるんですけどね。自分で捕獲したのって何気にウルガモスが初めてなんすよ。他のやつらはどっちかつーと俺を捕獲したって感じで、しばらく行動を共にしたのちに自分からついてくることを選んだっていうか………」
「それはまたワシちゃん超びっくり。はっちんはポケモンたちにモテモテだねぇ」
サーナイト以外、今のところオスばかりなんだけどな。
ヤドランにポケモンフーズを出しながら答えるとニヨニヨと含み笑いを浮かべてくる。
爺いのニヨニヨとか誰得だよ。
「その分、癖が強いやつらばっかりですけどね。特に周りから三巨頭とか呼ばれてる三体なんか単身でダンデのポケモンに勝ちそうで怖いくらいですよ」
「………ん? サーナイトより強い子がいるの?」
「サーナイトなんてまだまだ可愛いもんですよ」
うん、サーナイトは可愛いレベル。今の手持ちには三巨頭よりもヤバいのが三体もいるんだし。あ、でもその中でもクレセリアは可愛い方か? いや、ダークライとタッグを組んだ時は絶対恐ろしいことになると思うわ。ダークライが眠らせて悪夢を見せて、クレセリアが起こしてまた眠らせて悪夢を見せるとかいう無限ループが起きかねない。
えっ………普通に怖いんですけど。
やらないよね? 絶対やるなよ? 相手の心が壊れるからな。
「………んー、そんなに強いのならどこかで名前くらいは聞いたことがあるはずなのよ。でもワシちゃん思い出せないのね」
「まあ、有名になるようなことはしてないですからね。目立ちたくないですし」
「もったいないなー、はっちんの実力ならジムチャレンジでダンデちんのところにまでいけそうなのに」
「そもそも今はまだ六体もポケモンがいませんからね。あいつらとも今は会えない状態ですし。ジムチャレンジ中に捕まえて育てるって手もあるでしょうけど、それじゃダンデを倒すには時間的に足りない。どうせやるなら徹底的にやらないと」
ジムチャレンジ。
ダンデの意向により来年俺も強制参加させられそうなガラル地方のバトル大会。その名の通り、ジムバッジ集めのイベントだ。カントー地方とかではいつでもジムに挑戦できるが、ガラル地方では興行化しており、ジムチャレンジ中にしかバッジを集められないのだとか。
バッジを集められる期間が決められていると、より計画性を持たなければジムチャレンジは失敗に終わることだろう。それにジム戦の予約ですら争奪戦になりかねない。
………参加条件とかで絞って参加人数少なくしてたりしないのかね。
「そういや、そのジムチャレンジって参加条件とかあるんすか?」
「あるよん。ジムリーダーやポケモン協会、大会のスポンサー企業の関係者からもらえる推薦状が必要なの」
「推薦状……?」
「そんな堅苦しいものじゃないのよ。ただ、バトルの実力やトレーナーとしての素質を見て判断するだけ。ジムチャレンジに参加するのに相応しいって思われれば推薦状はもらえるよん」
推薦状ねぇ………。
まあ、興行化しているわけだし、バカなトレーナーはメディアには出せないわな。ヤバいのを推薦しちまったらスポンサー側も信用を失うだろうし。
「あ、そうだ。それなら、来年ワシちゃんが推薦してあげるよ」
「えっ………はっ?」
「こう見えてワシちゃん元チャンプだからね。前にも言ったと思うけど。だから推薦する権利を持ってるのよん」
これ、絶対に逃げられなくね?
ダンデに勝って、ダンデに誘われ、推薦状を爺さんに突きつけられるとか、跳ね除ける方が非難されそうだぞ。
「………まだ出るとは言ってないんすけど」
「どうだろうねぇ。みんなあの手この手ではっちんをジムチャレンジに参加させようとするんじゃない?」
「えぇ………」
そんなのただの嫌がらせじゃねぇか。
何されるんだよ。長引くと何してくるか分からない恐怖があるぞ。
はぁ、もういいや。今は考えないようにしよう。どうせ一年くらい先の話だ。最悪この島から脱出してしまえばどうにかなるはずだ。
気分を変えよう。何か面白そうなのないかな………。
「……ん? ヒスイ図鑑?」
ヒスイ………って鉱物の種類の図鑑とかじゃないよな。
「ああ、それ? 最近見つかった古文書の複製版とかって言ってポケモン協会から送られてきたのよん」
「へぇ……」
手にとって開いてみる。
えっと……『ヒスイ地方ポケモン生態系及び分布図』?
「ヒスイ地方………? 聞いたことないな」
「なら、読んでみるといいのよ。ワシちゃん、もう読み終わってるしね」
「んじゃちょっとだけ」
ヒスイ地方。地方というからにはどこかにあるんだろうけど、聞いたことすらない。
ということはまだ俺が知らないポケモンが載ってたりするのかね。
早速読み始めてみると、まずこの本を作ったのがラベンという人物であることが分かった。どうやらこの人はガラル地方から三体のポケモンを連れてヒスイ地方というところに向かったらしい。そしてギンガ団所属の研究者としてヒスイ地方の生態系を調査していたようだ。
なのだが、それよりもギンガ団………?
もしかしてあのギンガ団か?
いや、でも時代が全然違うみたいだし、名前が同じなだけの別の集団ということもあり得るが………。
パラパラと読み進めていくとようやくポケモンたちの図鑑項目へと差し掛かった。最初のポケモンは………モクロー? って、確か最終進化がジュナイパーなんだっけ?
あ、そうそうこんな………のじゃないな。少なくともムーンのジュナイパーはもっと顔見えてたぞ。しかも色が赤いし。
………はっ? 色? カラーで載ってるんじゃん。つか、これ写真じゃね?
いや、これほんといつの時代のものよ。
「で、次が………え? ヒノアラシ?」
ニャビーじゃないの?
「バクフーン………もなんか違うな」
バクフーンは色こそ似たような感じだが、耳が垂れてたり、炎が立ったなかったりと、どこか気怠げな印象を受けた。もっとこう勢いのあるポケモンのイメージだったんだけどな。
………これ、もしかしたらリージョンフォームなのか?
「んで、ミジュマルに………ダイケンキ、か…………えっ? どこが違うんだ?」
流れ的にはダイケンキも違いが見受けられそうなものだが、その違いが見つけられない。そもそも比較できる程、ダイケンキを知らないってのもあるな。
ビッパ系、ムックル系、コリンク系、ケムッソ系………で、ポニータ系にイーブイ系………あ、ニンフィアいるし。やっぱり昔から進化先としてあったんだな。でもイーブイの進化の中では一番珍しかったのかもしれない。それ故に資料とかも少なくて確定させるには時間がかかったのかもな。
「………これ、何体載ってるんだ?」
この後はズバット系、フワンテ系、コロボーシ系、ブイゼル系と続いているが………、これ最後の方って誰が載ってるんだ?
気になって後ろの方のページを捲ってみると丁度ギラティナさんだった。
………はっ?
何故にギラティナ?
その前はパルキアにディアルガもいるし………つか、えっ、何この四足歩行のディアルガ、パルキアっぽい奴らは。まさかフォルムチェンジ? まあ、ギラティナもフォルムチェンジするし?
あ、ギラティナの次は創造神だわ。
「………師匠、これシンオウ地方と何か関係が?」
「っ!! 流石だね、はっちん。ちょっと見ただけでそんなことも分かっちゃうんだ」
「あー、まあ、後ろの方にいるポケモン見たら一発でしょ」
「ガラルの子たちは意外と知らないのよ、外の神話のことは」
「へぇ。それで? シンオウ地方との関係は?」
「あるとだけは言っておくね。はっちんなら中を読めば理解できそうだし」
「そすか……」
やっぱり関係はあるのか。
そりゃそうか。ディアルガ、パルキア、ギラティナ、アルセウスと続いていたら、関係ないわけがないわな。
となるとますますヒスイ地方ってのが謎だな。それとジュナイパーやバクフーンのリージョンフォーム的な奴とか。
「しばらく借りますね。じっくり読んでみたい」
「いいよー。読んだ感想も聞かせてねぇ」
「うす」
これはマジで読む価値がありそうだ。ヒスイ地方なんて聞いたことがないし、シンオウ地方に関係しているのなら、ダークライたちのことも書いてあるかもしれない。しかもリージョンフォーム的なのもいるみたいだし、そういうのをピックアップしておくのもいいだろう。
「師匠! 緊急事態です! 師匠!」
「およ? ダンデちん。そんな慌ててどうしたのよ」
ヤドランも食べ終わったみたいだから片付けをしようと皿を拾ったところで、バタン! と道場の門が勢いよく開かれた!
うるさいぞ、チャンピオン。もっと静かに入れよ。
「き、緊急事態です! ワイルドエリアのげきりんの湖周辺のパワースポットで野生のポケモンたちが次々とダイマックスするという謎の現象が起きています!」
「「ッ!?」」
内容を聞いて驚いてしまったが、まずげきりんの湖ってどこよ。それに周辺の野生ポケモンの強さは? 強いポケモンが巨大化してたらウルガモスの比じゃなくなるぞ。しかも次々とって言ってたから複数体確認されてるってことだろ?
地形が変わってたりするんじゃないだろうか………。
「今、キバナとカブさんが先に向かって対処に当たっています。ただ、二人だけでは到底どうにかできるレベルの話じゃない。他のジムリーダーたちにも招集をかけていますが、全員が来れるかどうか………! なので、師匠! お願いします! ガラルのためにも力を貸してください!」
ダンデが来た理由はこれか。
要は人手が足りないから力を貸してほしいってわけだ。元チャンプで今でもかなりの実力があるのは日々感じとっているが、そうは言ってももう老体だぞ。いくら実力と経験があろうともそれに老体がついていけるのかどうかは別問題だろ。
「げきりんの湖ってワイルドエリアでも一、二を争う強いポケモンが生息してるところだよな………?」
「そんなところでダイマックスが次々とって………」
チラホラと聞こえてくる門下生たちの声。
やはりそういうところだったんだな。だからここまでダンデが焦っているわけだ。
「………ダンデちん、今回のことはワシちゃんでも力になれるか分からないよ? 状況が状況だからね。ワシちゃん、これでもおじいちゃんだから若い子たちについていけるかどうか………だからね、はっちん」
「………はっ? 俺?」
頭の中で少ない情報から状況を想像していると爺が笑顔でこっちを見てくる。
「カモン!」
「えぇー………。俺、目立ちたくないんだけど。これ、行ったら絶対メディアが中継してるでしょ? やだよ、映りたくない」
元来そういうのが苦手ってのもあるが、今の俺は表舞台で活躍していい人間じゃない。ましてやメディアになんか取り上げられたりなんかしてしまったら、ガラルから強制帰還だって有り得るだろう。
「ハチ、オレからも頼む! 正直言ってオレとやり合えるトレーナーなんてそんなにいない。その実力、今だけはオレに貸してほしい」
………はぁ、現職チャンピオンに頭を下げられるとは。
門下生たちもダンデが頭を下げたことに驚いていて、次に俺の方に期待の眼差しを向けてくる。
………ったく。
「条件がある。集まってくるであろうメディアを規制しろ。そうだな、ドンパチしてるのが遠目で分かる程度まで下げておけ。ドローンとかも飛ばすな。それと、映像が放送される前に必ずお前自身がチェックして、俺の存在を消せ」
「………分かった」
「もし、この約束が反故にされたと思えたら、分かってるよな?」
「っ……、あ、ああ………分かってる」
全てのメディアから消すというのは無理があるだろうが、可能な限りは俺の存在を消すようにしてもらわないと。
あ、あと移動はどうするんだろうか。緊急事態ってことは刻一刻を争う状況だろうし、交通機関を使ってなんかいられないだろう。かと言って老体も行くみたいだからな。どうするつもりなんだ?
「で、移動の方はどうするんだ?」
「オレはリザードンで一気に飛ばすつもりだが………」
「ワシちゃんもアーマーガアがいるから大丈夫だよん」
二人とも飛べるポケモンがいるのか。
アーマーガアはガラルの空のタクシー便に使われてるからな。老体を乗せて飛ぶのは問題ないだろう。
「飛ばして耐えられます?」
「ワシちゃん、これでも丈夫な身体してるからね。問題ないよ」
「そっすか」
なら、問題はないということにしよう。
「あ、ハチくん。これ着てくかい?」
「ミツバさん………それ、何の服っすか」
「ワイルドエリアに常駐しているスタッフが着ているのと同じものだよ。これ着てたらメディアに撮られても言い訳が立つんじゃない?」
「そもそも何でそんなものがここに………?」
この道場ってそういう仕事もしてたりするの?
というかワイルドエリアにスタッフが常駐してるなんて初めて聞いたわ。
「ここに来た子の中にワイルドエリアのスタッフもいてね。その着替え一式を洗濯したんだけど、忘れていっちゃったのよ」
「へぇ……借りていいんすかね」
「もう一度洗えばいいんじゃない?」
「なら、お借りします」
「んじゃ、オレはハチが着替えてる間に一本電話を入れさせてもらうぜ」
どこにかけるつもりかは知らんが、俺の知ったことではない。早速、道場のジャージを脱いでスタッフ用の白いジャージに袖を通していく。今日はたまたま短パンを履いていたため、下は上からジャージを履くことにした。そしてスタッフ用の帽子と愛用のサングラスをすれば完成である。
「ヤン……」
着替え終わったのを見計らってか、ヤドランがくいくいと裾を引っ張ってきた。
「ヤドラン、悪いが今回はお前を連れていくことはできない。実力云々の前に俺がお前のポテンシャルをまだ知らないだ。お前を上手く使ってやれる自信もないし、多分余裕もなくなる。だから、留守番よろしくな」
「ヤドラン、アタシと一緒にハチくんを待ってよう? ハチくんは必ずあなたの元に帰ってくるから。ね?」
「………ヤン」
ミツバさんに諭され、一応は引いてくれたみたいだ。
せめてものと思いヤドランの頭を撫でておく。
場所が場所らしいからな。まともにバトルしていないヤドランを連れていったところでやられるのがオチだ。リージョンフォームのヤドランについてはまだまだ知らないことだらけだし、上手く使ってやれる自信がないのもある。
「……あのヤドランはハチの新しいポケモンですか?」
「まだ野生のままだよん」
「野生!? その割には………」
「はっちんはポケモンとの関係性に拘りがないみたいなのね。手持ちだろうが野生だろうが、接し方に変わりはないみたい。だからなのか、ポケモンたちの方からついてくることばかりなんだって」
ん?
二人は何の話をしてたんだ?
最後の方しか聞こえなくて気になるんだけど。
「これでいいか?」
「サングラスは違うが………確かにスタッフとして違和感ないな」
「へぇ、ならどうにかなりそうだな」
「それにしても何故そんなに目立つのを避けるんだ?」
「えっ? 普通に嫌だろ。恥ずかしすぎる」
「その割には徹底しすぎだと思うが………」
徹底せざるを得ない理由はあるものの、それを表立って言えるようなことじゃないからな。
さて、どう言い訳したものか。
「………ネットを甘くみるなよ。映像が流れて一人だけ知らない奴がいれば調べる奴らが必ず出てくる。そうなると個人を特定されるのも時間の問題だ」
「そ、そうか………」
あ、これ絶対ダンデが分かってないパターンだな。まあ、バトル以外のことにはポンコツそうだしな。
「それじゃ、行こうか」
「おーけー」
「へいへい」
三人揃って外に出る。後ろからはミツバさんや門下生たちがついてきており、どうやら全員で見送ってくれるらしい。
「リザードン、行くぞ」
「アーマーガア、げきりんの湖までよろしくね」
「んじゃ、ウルガモスよろしく」
ポンポンと出された二体に合わせて、俺もウルガモスをボールから出した。
「ウルガモス………捕まえたのか?」
「まあな。ここに来た理由の一つでもあったし。ウルガモス、背中な」
「モス」
ウルガモスが背中にぴっちりとくっついていることで俺に羽が生えたような姿になっていることだろう。
さすがにここでクレセリアを出すのは憚られた。目立ちたくはないといいつつもあいつらを出してしまったら嫌でも目立ってしまう。
あいつらの出番は無いに越したことはないが、今から向かう戦場では状況次第で出さざるを得なくなることもあるだろう。その時は全てを捨てる覚悟をしておくしかない、だろうな………。