pixivにてスピンオフ作品『ポケモントレーナー コマチ』の投稿も始めました。
https://www.pixiv.net/novel/series/1515324
月一くらいのペースでも考えているので、メインはこちらになりますが、よろしくお願いします。
…………………。
んん………?
何か外から音がするような……………。
『「ンン………ココハ………?」』
俺は確かギラティナとバトルして吹っ飛ばすためとはいえ高速回転をしすぎて………えーっと、酔いが醒めるまで寝てたん、だよな…………。
「お? 起きたみてぇだな」
この声………。
『「マツ、ブサ………?」』
あれ………?
何でこの人がいるんだ?
「どうやらオレたちがいるのを不思議に思ってるみてぇだな」
ご尤もで。
「逆にオレたちはテメェにビビらされたんだがな。まあいい。ギラティナとどっか行っちまうわ、中々帰ってこないわでアオギリが心配し出してよ。探しに行ったら何もないところでその白いのと寝てんのを発見して連れて帰ってきたんだ。感謝しろよ」
『「ソリャ、ドウモ」』
なんと、寝ている間に回収されたらしい。
ってか、何でアオギリが心配してんだよ。そこはサーナイトとかじゃ…………。いや、サーナイトともなると逆に俺に対して絶対的な信頼がありそうだ。その内帰って来ると信じてくれていたのだろう。
うーん、それはちょっと申し訳ないことしたな。けど、あの状態で帰れるほどタフな身体をしているわけではないし致し方ない。
「マツブサさん、変なこと言わないで下さい。彼を発見して目を輝かせてたのはあなたの方でしょう」
「ああん? んなわけねぇだろ」
結局、この二人の主導で捜索が始まったわけね。
「それより、君が寝ている間にサーナイトは随分と成長してしまいましたよ」
『「ソウトウネテイタトイウコトカ?」』
「そうですね。随分長い間寝ていましたよ。相当無茶をしたのでは?」
『「イヤ、ムチャトイウホド、ムチャヲシタツモリハナイ。タダ、コノカラダデハハジメテノセントウダッタカラ、タイリョクモセイシンリョクモゲンカイニキタンダトオモウ」』
「そうですか。それならいいのですが。ほら、あれを見て下さい。今、サーナイトがダークライとバトルしてますよ」
もうダークライとバトル出来るレベルまで到達したのか?
「サーナ!」
「ライ!」
見るとお互いに黒い弾、シャドーボールで距離を取っていた。撃ち負かされるということがないだけでも驚きだ。相手はあのダークライなのだ。手加減しているとしてもちょっとやそっとの攻撃では押し返されてしまう相手だぞ。
それをサーナイトは………。
俺が寝ている間に随分と成長したみたいだな。まだリザードンやゲッコウガたちには及ばないまでもヘルガーやボスゴドラとはいいバトルが出来るかもしれない。
「あいつ、また新しい技覚えてたぜ。確か、こごえるかぜ、シグナルビーム、くさむすび、エナジーボール、のしかかりだったか」
「あと、ダークライからきあいだまも教えてもらっていましたよ」
マジか…………。
また技の範囲が広がってるじゃねぇか。
「ライ!」
って、テレポートも使いこなしてるし!
サーナイトがテレポートでダークライの背後に回り、シグナルビームを放っていた。
いつの間に使いこなせるようになったんだよ。それだけダークライたちとの特訓はハードだったということか? 躱すのには超適した技だ。躊躇ない攻撃がダークライから繰り出されている現れなのだろう。
『「タイプアイショウモリカイシテキテルミタイダシ、ワザノギジュツモジョウタツシテキテルシ、イヨイヨダナ」』
技はもらった。戦い方も覚えて来ている。あとはトレーナーの俺とどこまでやれるかだ。これまでも俺の指示に従ってバトルをして来ているのだし、サーナイトなら大丈夫だとは思うが………。
『「ダークライ」』
「………ライ?」
「サナ? ………サナ!」
ダークライを呼びかけるとバトルを中断して俺の方を見てきた。するとそれに釣られてサーナイトも俺の方を見て、ようやく俺が起きたことに気づき、飛び込んできた。
『「スマンナ、サーナイト。シンパイカケタ」』
「サナサーナ!」
ウツロイドの触手で抱き留めたサーナイトの頭を撫で、謝罪の言葉を送ると、サーナイトは首を横に振り、さらに強く抱きしめて来る。
うーん、何というかちょっと雰囲気が変わったように感じられる。バトルに対して自信が付いたからだろうか。テレポートを使いこなすくらいだ。相当な自信が付いていてもおかしくはない。
娘の成長を喜ぶ父親の気分だな。親父もコマチに対してこんな感情を抱いていたのかもな。ただ、去年までコマチを旅に出さなかったのはどうかと思うが。好き過ぎる余り、手元に置いときたがるのはコマチのためにもサーナイトのためにもならない。もしサーナイトにもその時が来たら、コマチをガラルへ送り出したようにするようにしよう。………出来る、よな?
『「ダークライ、ソロソロオレモマゼテモラオウトオモウ」』
「ライ」
『「サーナイト、ツギハオレモトレーナートシテサンカスル。オマエノセイチョウシタスガタヲミセテクレ」』
「サナ!」
ダークライから承諾を得るとサーナイトも敬礼をして来た。あざとさがないと超かわいいわ。
「ようやくあなたの腕前が見られるのですね」
「いいのか? オレたちに見せてよぉ」
『「ギャクニキクガ、ナニガモンダイナンダ? テキトシテハムカッテクルナラムカエウツマデ。ソレガサカキダロウガアンタラダロウガカンケイナイ」』
「ふっ、流石ですね」
そもそもの話、この人たちはその………死人だろ? 死人に口なしとはよく言ったもので、死人に見られようが何かが変わることはない。ましてや話を広める相手がいないのだから、別に見られたところでって感じだ。
『「ツーワケデ、オッサンタチハカンセンデモシテテクダサイナ」』
「おうよ」
そう言って、サーナイトを連れておっさん二人から距離を取った。これで巻き込まれるということもないだろう。
『「イクゾ、サーナイト」』
「サナ!」
意気込みは上々。バトル慣れしたことは本当に大きい。
「ライ」
ダークライと視線を躱すと小さく頷いてくる。いつでも来いということなのだろう。ならば、こちらも遠慮せずに行くとするか。
『「マズハ、ダークライノウゴキヲトメルゾ。デンジハ」』
「サーナ!」
ダークライの動きは素早い。何なら消えることも出来る難敵だ。となるとやはり最初は動きを止めて………せめて鈍らせることが出来るとこちらも動きやすくなる。
「ライ」
サーナイトが両腕を突き出して電磁波を送ると、同じようにダークライも電磁波を送り込んで来た。同周波の波で打ち消す狙いなのだろう。
ならば、こちらにも考えがある。
『「サーナイト、オマエノタイミングデイイ。デンゲキハヲオリマゼテミロ」』
以前、変態博士からもらった資料で読んだ内容であるが、でんげきははでんじはの波の間隔をさらに細かくし、強い電気を走らせる技だという説明があった。確か本題は頬に電気袋を持ったポケモンの電気の生み出し方とかだったと思うが、でんげきはについての方が印象的だった。
要はダークライが同じように電気の波を送って相殺して来るのなら、こっちからその波の間隔を変えてダークライのミスを誘発しようという考えだ。
「サナー、サナー……」
でんじはを送り続けるサーナイト。
その先では同じ間隔の波により打ち消されて行く。
「サナー、サナー、サーナー、サナー……」
ん?
今、仕掛けたよな?
「ライ?!」
お、ダークライが一瞬目を見開いた。
だが、すぐに身体を逸らして躱されてしまった。
ただ、あれはでんげきは。後続するでんじはの波とは異なり、追尾機能がある。直線的な動きから逸れ、右に曲がりダークライを追いかけていく。
「ライ!」
ダークライがこちらに背中を向けながら、サイコキネシスで電撃を分散させた。
『「サーナイト、シグナルビーム」』
俺がそう指示すると、サーナイトは大きな隙を見せたダークライに向けて赤青黄色といった数色の信号を乗せた光線を放った。
恐らく、ダークライならばこのくらい対処してみせるだろう。だからこれは誘い技だ。ダークライが振り向いた瞬間が肝である。
「ライ!」
予想通り振り向いたダークライが黒い弾を放ち、シグナルビームを受け止め爆発させた。
『「イマダ、マジカルシャイン」』
その隙にサーナイトから太陽光のように眩しい光を走らせた。広範囲に渡る技なため俺すらも目が痛いほど眩しい。幸い、ウツロイドの中にいるからかウツロイドの皮がフィルターとなり、ダークライの姿を目視出来ている。
そのダークライはというと、咄嗟に左腕で顔を覆うも光に呑まれて身動きが取れない状態になっていた。
『「コウゲキノテヲユルメルナ。ソノママテレポートデマアイヲツメロ。ムキハオマエノカンカクニマカセル」』
「サナ!」
サーナイトは光の中から消え、次に現れたのはダークライの真下だった。
『「キアイダマ」』
そのままエネルギー弾を撃ち上げる。弾丸は真っ直ぐと上昇しーー黒いオーラに弾き返された。
「サナ?!」
サーナイトは弾き返された弾丸をテレポートで何とか躱し、こちらに戻ってくる。
まあ、ダークライだし予防線は張ってるわな。
『「サーナイト、アイテハダークライダ。コノクライノコト、アタリマエニヤッテノケル。ダカラ、イチイチオドロイテイテハコウキヲノガスコトニモツナガルゾ。オドロクナトハイワナイガ、ソウテイハシテオクヨウニナ」』
「サ、サナ……!」
サーナイト自身も分かってはいるだろう。
ここに来てからは師匠とも呼べる存在になったダークライが相手なのだ。実力は痛い程実感しているだろうし、まだまだ本気を出されてないことも理解しているはずだ。
ただ、分かってはいても初めてのことには驚いてしまうのが生き物というもの。だから俺がかけてやれる言葉はサーナイト自身も思ったことを口するくらいだ。
『「ヨシ、ツギハカナシバリデアノクロイオーラヲフウジルンダ」』
片っ端から技を習得させてくれたことで、まさかあのオーラの封じ手が出来上がるとはな。
光が消えて見えたのは、黒いオーラに包まれたダークライ。そのダークライの黒いオーラをかなしばりで封じることにした。
「サーナ!」
まだ一度も見たことはないよな、ダークライの黒いオーラが消える瞬間は。
でもまさかこうも上手くいくとは。ちょっとを通り越して超びっくり。ダークライたちはやり過ぎてしまったのか? まさか既にリザードンやゲッコウガを超えていたり…………は流石にないな。ない、よな?
「ラ………?」
一瞬にして黒いオーラが消えたダークライは、防御が使い物にならなくなったと判断するや否や、電光石火のごとく詰め寄って来た。いや、つかこれマジもんのでんこうせっかだわ。
『「ッ……サーナイト、マモル」』
咄嗟に防御させるも勢いまでは殺せなかったようで、サーナイトは後方へと吹っ飛ばされていった。
『「ツギガクルゾ、サーナイト。マジカルシャイン」』
間髪入れずに距離を詰めて来るダークライ。
俺は立ち上がるサーナイトに警告を促し、次の技を指示した。
「サナ?!」
チッ、光が仇となったか。
ダークライへの目眩しを兼ねた訳だが、逆に利用されて俺の目も眩んだらしい。一度でも見せると使うタイミングを予想されているようだ。こうなると手が中々に少なくなっていくな。
『「フイウチ、カ」』
あくタイプのダークライにエスパータイプの技は効かない。教えられた技の大半はエスパー技。ここに来る前に覚えた技もエスパー技が多い。そしてサーナイトを遥かに上回る素早い動き。これを捕らえられなかれば、こちらの攻撃は入らない。
でんげきはでダークライのスイッチを入れてしまったのかもな……。
『「サーナイト、マジカルリーフ」』
捕らえられないのなら、追尾機能を働かせてみよう。でんげきはとはまた別種のマジカルリーフは生み出した葉の一枚一枚が追いかけていく。だから一枚でも撃ち落とし損ねれば、目視も出来ることだろう。
そして、あとはーーー。
「サーナ!」
サーナイトが葉々を生み出し追いかけ、飛び回るダークライがサイコキネシスで撃ち落としていくという攻防が始まった。
『「サーナイト、タダオイカケテルダケジャ、オイツカナイゾ。ハサミコムヨウニシテウゴカスンダ」』
俺が助言すると葉々の軌道を分離し、先回りさせた。するとダークライの動きが少しばかり鈍くはなったが、やはり力の差は歴然らしい。
ダークライならば、ダークホールで済ませられるし、そうでなくともあの手この手を使って畳み掛けることも出来る。それでも倒しにこないのはサーナイトの実力を測るためなのだろう。
「ライ!」
突如、方向を変えたダークライがサーナイトに向けて突撃して来た。その手には黒い弾が。
『「サーナイト、シャドーボールガクル。ハバデソウサイシロ」』
「サナナー!」
サーナイトは投げ放たれたシャドーボールを目前で何とか相殺した。だが、その間にダークライが距離を数メートルまで詰めて来ている。
『「テレポートデカワシテ、トリックルーム」』
「サー、ナッ!」
一瞬怯んでいたものの、サーナイトはダークライのシャドークローをテレポートで躱し、真上へと飛んだところで素早さが真逆になる部屋に自身共々ダークライを閉じ込めた。
当然、囚われたダークライの動きは止まったように遅くなる。
『「ムーンフォース」』
それに安心したのかサーナイトはムーンフォースをしっかりと当てた。
「ラッ?!」
でんげきは、マジカルシャインと来てムーンフォースか。あくタイプに抜群を取れるフェアリータイプの技を浴びせられているのはいいことだが、いかんせん俺との付き合いがダークライが相手だ。バトルのやり口を熟知され理解されていると思うと非常やり辛い。そうでなくともサーナイトとの実力の差は歴然。手加減されてこれだからな。まあ、サーナイトからしてみれば超がつくほどの成長だ。そこは誇っていい。それに俺としては勇ましい姿よりも可愛いサーナイトが見たい。いや、今も充分に可愛いぞ。
『「モウイチド、ムーンフォース」』
「サーナ!」
続けて攻撃していくよう指示するとダークライの姿が消えた。
普通に動いても素早さが逆転した現状はやられるだけと判断して、姿を消してトリックルームの時間を稼ぐつもりなのだろう。このやり方はゴーストタイプか比較的近い存在のダークライだからこその対処の仕方だ。
それならこちらもやることをやってしまうとするか。
『「サーナイト、ミギテニイシキヲシュウチュウサセロ」』
ダークライたちが色々教えてくれていたものの、ずっと気になっていることがあった。それは物理技が少ないことだ。種族的にもサーナイトは遠隔系の技の方を得意とする。そこを伸ばすのは当然のことだ。ただ、ポケモンバトルというものはそう甘いものではない。だから間合いを詰められた時用に殴る蹴るが出来るようになっていると、攻撃に幅が出て簡単にはやられなくなる。
『「ソコニオシエテモラッタデンキノアヤツリカタデ、ミギテニアツメテイケ」』
加えてサーナイトは電気技を習得した。そりゃもう一から覚えていったのだから、どういう手順で電気を作り出せばいいのかは覚えたことだろう。
ならば、この技もいけるはずだ。
『「………モットダ。モットバチバチサセロ。モットデンキヲツヨクスルンダ」』
段々とサーナイトの右の拳に電気が集まっていき、次第にバチバチと音が鳴り始めた。
「ライ!」
ーーー来た!
『「イマダ。フリムキザマニコブシヲタタキツケロ。カミナリパンチ」』
トリックルームが消えた瞬間、サーナイトの背後からダークライが姿を現した。
そこへ振り向き様に右の裏拳を殴りつけるも………掠った。
「ライ」
ッ!?
な、ま、さか……ここでだましうちかよ…………。俺のバトルを熟知し過ぎじゃね………?
なんとダークライはあのまま攻撃すると見せかけて、サーナイトの腕の長さだけ下がり、それから額にデコピンを入れて来た。しかもそれデコピンの威力じゃねぇだろ。普通は吹っ飛ばねぇよ。
「サナー………」
あ、地味に痛かったらしい。
「ライ」
『「ン? オワリッテカ?」』
「ライ」
どうやらこれでバトルは終わりらしい。端から戦闘不能に追い込む気はなかったようだ。
「あん? もう終わりか? もっと見てたかったのによぉ」
「サーナイトを戦闘不能にしても意味がありませんからね。ただ、バトルの最中に新しく技を覚えさせるのにはびっくりしましたが」
『「オソラク、ダークライニマンマトシテヤラレタンスヨ」』
「それはどういうことですか?」
『「アイツハサーナイトニデンキタイプノワザヲシュウトクサセタラ、オレガカミナリパンチモオボエサセルトワカッテタンスヨ。ダカラ、オレガサンカシテクルダンカイデ、ソレヲネラッテイタ」』
「………テメェのバトルを熟知されてるってもんじゃねぇな」
な。
怖いくらいだわ。
「そもそもバトル中にポケモンが技を習得することはあってもトレーナーが習得させるなんて話は聞いたことがないんですがね………」
『「オレガムカシソウシタカラナ。ダークライハオボエテルンスヨ」』
「なるほど」
「サナナー」
『「オウ、オツカレサン。サイゴハオレモシテヤラレタガ、ヨカッタトオモウゾ」』
抱きついて来たサーナイトを受け止めて頭を撫でてやる。早く自分の手で撫でてやれるようにならないとな。そのためにもサーナイトには頑張ってもらわないと。
『「タダ、マダマダカダイモアル。イッショニヒトツヒトツクリアシテイコウナ」』
「サナ!」
うんうん、逞しくなったとはいえ、まだまだ無邪気で可愛いわ。