ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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65話

『それでは選手入場です!』

 

 式典開始となり、俺たちジムチャレンジ参加者は選手としてフィールドに入場することになった。

 

「………やっぱり嫌いだ」

 

 案の定というか。

 俺たちが出てくると一斉に拍手喝采が起き、指笛やら声援が激しく飛んでくる。

 飛ばしている本人たちは盛り上がってるのだろうし、俺も観戦する側なら分からなくもない。だが、こう声援を受ける側になるとどういう顔をしていたらいいのか分からず、すごく居た堪れない。一応、カロスポケモン協会の理事として表に立たされることもあったし、大会でもこういうことは結構あった。だが、そのどれもが次の動きが決まっていたためそちらに集中すればよかった。理事なら決まり文句の挨拶、大会ならバトルとやることがあったのだが、ただ注目を浴びるだけというのは精神衛生上本当によろしくない。この覆面がなかったら変にぎこちなくなった顔を衆人環視の元晒すことになっていただろう。

 

「な、なんだあの覆面!」

「ポケモン……?」

 

 だからだろうな。

 こんな普段なら聞き取ろうともしない言葉まで聞こえてきてしまうくらい、無意識に観客の方へと意識が集中してしまうのは。

 つくづく自分が嫌になる。

 

『レディース・アンド・ジェントルマン! わたくしリーグ委員長のローズと申します』

 

 そんなことを考えているとスーツを着たおっさんが壇上に登ってきた。

 …………なんか、ピオニーのおっさんに似てね?

 

『お集りのみなさまもテレビでご覧のみなさまも本当にお待たせしましたね! いよいよ! ガラル地方の祭典ジムチャレンジの始まりです! ジムチャレンジ! 8人のジムリーダーに勝ち、8個のジムバッジを集めたすごいポケモントレーナーだけが最強のチャンピオンが待つチャンピオンカップに進めます!』

 

 それにしては野生みが弱いというかインテリ系にジョブチェンジしたって感じだな。それにスーツの上からでも分かるくらい腹が出てるし。

 

『それではジムリーダーのみなさん、姿をお見せください!』

 

 バン! とスポットライトが俺たちが入場してきた中央の入り口に向けられた。

 振り向くとそこには七人の男女が立っており、一列に並んでというよりは一人ずつ順に前に出るように歩き出した。

 

『ファイティングファーマー! くさタイプ使いのヤロー!』

 

 個人にスポットライトが当てられると個別紹介がされていくって感じか。

 まず最初にスポットライトが当たったのは白を基調とし、緑の絵柄やラインが入ったユニフォームを着た屈強な青年。

 あの見た目でくさタイプ使いなのか………。かくとうタイプ使いと言われても違和感ない身体してるぞ。

 

『レイジングウェイブ! みずポケモンの使い手ルリナ!』

 

 二番手は褐色肌の美女、ルリナ。

 ソニアの親友であるためか、一応知り合いの定義に収まるであろう人物その1である。

 それにしても…………露出度高いユニフォームだな。水着と言われてもおかしくないぞ。その分スタイルがいいのは丸分かりだ。

 

『いつまでも燃える男! ほのおのベテランファイター、カブ!』

 

 三人目は知り合いその2。このエンジンジムのジムリーダー、カブさんだった。あの人で三番目なんだよな。

 本人曰く、ジムチャレンジではメガシンカは使わない、バシャーモを使えないらしいが、それでも強いことには変わりない。

 因みにチャレンジャーはその限りではないらしく、ルールにもダメとは書かれていないようなので、俺はいずれメガシンカを使うだろう。

 

『ガラル空手の申し子! かくとうエキスパート、サイトウ!』

 

 四番目は腹筋の割れた女の子だった。

 いや、黒いインナー着てても腹筋が割れてるのが分かるって………。

 ざっと見た感じジムリーダーの中では最年少のように見える。多分、マクワくらいかそれより下ではないだろうか。少なくとも俺やソニアよりは下だ。

 

『ファンタスティックシアター、フェアリー使いのポプラ!』

 

 魔女や、魔女がおる………!

 いや本当マジで。

 毒リンゴ渡されても違和感ないような婆さんが五番目って。強いとか弱いとか以前に見た目のインパクトが凄いわ。

 

『ジ・アイス! こおりのプロフェッショナル、メロン!』

 

 あ、メロンさんだ。今日知り合りというカテゴリーに新たに追加されたその3。多分あっちは息子の友達くらいに思ってそう。

 で、俺の隣のマクワは顔を背けている。

 そんなに母親と目を合わせるのが嫌なのだろうか。

 まあ、俺もこういう場で身内と対面するのは嫌だけどね。

 

『ドラゴンストーム! トップジムリーダー、キバナ!』

 

 で、最後は長身の褐色肌の青年。

 あっちは覚えているか怪しいし、知り合いかどうかも微妙だがその4ってことで。

 

『一人来ておりませんが……ガラル地方が誇るジムリーダーたちです!』

 

 というか何で一人いねぇの?

 メロンさんって六番目とか言ってたよな。それにキバナはトップジムリーダーとか言われてるし、恐らく八番目だろう。ということは七番目が来てないってことか?

 

「何で来てねぇの?」

「あー、まああの人はこういうところに顔を出すと帰るに帰れなくなるらしいですからね」

 

 隣のマクワに聞いたら、意外にも予想を立ててきた。

 帰るに帰れなくなるってどういうことだよ。

 

「有名なシンガーソングライター兼ジムリーダーともなると出待ちがすごいんですよ。サインしてくれ………は他のジムリーダーにも言えることですが、ゲリラでライブをしてくれとか言われるのはあの人くらいでしょう」

「え、なにそれ。そんなことまで求められたりすんの?」

 

 怖っ。

 というか兼業って………。

 他の地方ジムリーダーたちならまだ分かるが、ガラルのジム戦は一大興行だろ?

 シーズンオフでも結構ジムリーダーたち同士でバトルしてるらしいし、ジム戦以外にもハードな仕事があるって聞いてるんだけど。その上で兼業って、俺だったら絶対やりたくないな。何なら仕事したくないまである。

 

「他にもルリナさんはモデルの仕事をしている関係でそっちのファンが出待ちしていたりしますから、兼業している人ほど大変なんですよ」

「マジか………」

 

 そういえばソニアがルリナはモデルさんなんだよー、って言ってたっけ?

 何気にハードな方を選ぶとか、ソニアに構ってる暇なくないか?

 

『そして最後にこの男を紹介しましょう! 無敗のチャンピオン、ダンデ!』

 

 そしてようやく登場の主役。

 こっちはリーグ委員長なる肩書きを持つピオニーのおっさん似のおっさんの後ろから白い煙を浴びながら飛び出してきた。

 ちゃんとあの後スタッフに確保されてたみたいだな。よかったよかった。

 ダンデにスポットライトが当たっている間にジムリーダーたちはステージに上がり、ダンデの両脇に勢揃いしていく。

 

『それではチャンピオンに選手を代表して宣誓していただきましょう!』

 

 そう促されマイクを受け取ったダンデが一歩前に出た。

 

「皆盛り上がっているか!」

 

 そしてこの暑苦しさを存分に発揮し出した。

 

「オレは今年もこの日が来たことを嬉しく思っている! 新たなチャレンジャーたちと切磋琢磨し合えるこの時を待ち望んでいた! 特に今年はオレの師匠が送り出したトレーナーが来ていると聞いている! だが、オレは相手が誰であろうと正々堂々全力で戦うことをこのチャンピオンの座に誓うと宣言しよう! だから、チャレンジャーたちも! ジムリーダーたちも! 全員全力でオレのところまで上り詰めてこい!」

 

 うぉぉおおおおおっ!! と会場は盛り上がっているが、流石にこのテンションには着いていけないわ。

 だって普通に周りを見てみろよ。どう見たって初心者って感じの子らが大半だぞ?

 ちらほらと見受けられる俺らくらいの奴もあんまり強者感がない。同じくらいでもよっぽどルリナたちの方が強者感がある。それをチャレンジャーたちと切磋琢磨とかどの口が言ってんだって話だ。蹂躙の間違いだろ。

 

『それでは最後、恒例のスペシャル催しになりますが、今年はチャンピオンからのリクエストでドラゴンストーム、キバナとの一騎打ちによるエキシビジョンマッチを行います!』

 

 はっ?

 何それ。

 そんなことまでしてんの?

 これから嫌でもチャレンジャーたちとバトルするのに?

 ガラルのジムリーダーってバトル漬けの日々なわけ?

 俺、絶対ガラルのジムリーダーにだけはなりたくないわ。

 

「今年はってことは去年は違ったのか?」

「ええ、去年はネズさんのライブでした」

「ネズ?」

「来てないもう一人のジムリーダーですよ」

「ああ、ここに来たら帰れなくなるっていう」

 

 多分、去年大変だったんだろうな。だから今年は来たくないと。

 それでいいと思う。一人くらい謎のジムリーダーってのがいたって面白いだろうし。まあ、有名人みたいだから、俺みたいに知らない奴の方が少ないんだろうけど。

 スタッフの誘導に従い、フィールドの外へと追い出される。ある意味特等席でのチャンピオンのバトルの観戦なわけで、子供たちは浮き足立っていた。しかもジムリーダーたちに囲まれて。

 危ないからあんまり前に出ないようにね。

 

『それでは用意が出来ましたので、改めて紹介致しましょう! まずはこの人! ドラゴンストーム、キバナ!』

 

 自撮りをしながら大きな歓声を受ける色黒の長身。

 

『そして! 無敗のチャンピオン、ダンデ!』

 

 対してこちらは手をパーにして小指と薬指を折りたたんだ左腕を掲げたよく分からないポーズを取っている。

 

「なあ、あのダンデのポーズってかっこいいと思ってやってんのか?」

「なっ!? 知らないんですか?! リザードンポーズを!」

「いや知らんし。なに? あれ、リザードンポーズっていうの?」

 

 知らないのがそんなに驚くことか?

 そんな有名なポーズなのか?

 

「ええ、ダンデさんがチャンピオンなる前からあのポーズを取っていたとか」

「えぇ………、ダサ………」

「……ダンデさんのファンに殺されますよ?」

 

 いやだって………。

 意気揚々とやってるけど、知らない俺からしたら何してんだ? ってしかならないぞ。しかもリザードン感ねぇし。もうちょっとリザードン要素出してくれよ。せめてあのマントがリザードンの翼みたいになってるとかさ。

 

「いけ、リザードン!」

「ジュラルドン、今日こそ勝つぞ!」

 

 ポケモンはダンデはリザードン、キバナはジュラルドンってのを出してきた。前に一度見た気がするな、あのビルみたいなポケモン。

 

「アンタも充分ダサいわよ」

 

 さあ、どうなるかって思っていると後ろから聞き覚えのある声がした。

 やだなー、振り向きたくないなー。

 でもすごい視線を突き刺してくるし、振り向かないと後が怖いよな………。

 

「…………どちら様で?」

 

 振り向くと案の定、ルリナがいた。

 

「さっき紹介あったんだから分かるでしょ。というかアンタとは面識すらあると思うんだけど?」

「あいったー。暴力系ヒロインとかもう時代遅れだぞ」

 

 ポスッと胸をグーで叩かれ、そのままぐりぐりと押し付けられた。妙に痛いからやめて………。

 

「リザードン、かえんほうしゃ!」

「ジュラルドン、りゅうのはどう!」

「誰が誰のヒロインよ。っていうか、こんなやり取り出来てるんだから分かっててやってるでしょ」

「それはこっちのセリフなんだよなー。何でバレるかな」

 

 初手はお互いに技を相殺するのを横目に、ルリナの手を引き剥がす。

 

「………ダンデが気持ち悪いくらいルンルン顔で気持ち悪かったから聞いただけよ。気持ち悪かったけど」

 

 ………………。

 どんだけ気持ち悪いを連呼するんだよ。

 あいつの笑顔とか気持ち悪そうだけど。

 つか、あの野郎、俺のことを他のジムリーダーに言いふらしやがったな。

 絶対尾鰭背鰭が追加されてて、とんでもないトレーナー像が出来上がってるぞ………。

 

「よし、あいつ殺そう。ジムリーダーにバレるのは特に問題じゃないけど、折角こっちが恥ずかしい格好までして盛り上げようとしてるのに、ジムリーダーへのサプライズ感を減らすとか、チャンピオン失格だわ。マクワ、ダンデ殺しに行くぞ」

「嫌ですよ。てか、何でルリナさんと知り合いなんですか」

「ストーンエッジ!」

「リザードン、ねっさのだいちで呑み込め!」

 

 地面を叩いて岩々を突き出すジュラルドンに対し、リザードンは飛んで躱して熱を帯びた大量の砂でジュラルドンを呑み込んだ。

 あのジュラルドンの位置にダンデがいたら、爽快な気分だっただろうなー。

 

「何でってルリナも道場に来たからしかなくね?」

 

 この一年まともに島から出たことないんだし。

 

「10まんボルト!」

「おや? ルリナ君もハチ君を知ってたのかい?」

「ええ、まあ。ここ半年ほど、ソニアが口を開けばハチくんハチくんってうるさかったので。留学する前よりずっとうるさくなりましたよ」

「そっか………ソニア君元気になったんだね」

 

 カブさんは当時のソニアを知ってるらしいからな。それにこの性格だし。結構気にしてたのかもな。

 

「リザードン、降りてアイアンテールで尻尾を地面に突き刺せ!」

「それはもうどう立ち直らせるか悩んでたこっちがバカらしくなるくらいには元気ですよ」

「よかったー………本当によかったよ」

 

 熱砂の中から飛び上がったジュラルドンが電撃を放ち、それをリザードンが尻尾を地面に突き刺してダメージを受け流す中、カブさんはしみじみとそう呟いた。

 てか、ジュラルドンってそんなに飛べたのか?!

 見た目結構重そうな身体なのに………不思議だわ。

 それにリザードンが何気にすごいことやってるし。

 おかげで二度見しちゃったじゃん。

 

「………あいつは自分の中の基準が高すぎるってことに自覚がないんですよ。ダンデと比較したり、マグノリア博士と比較したり。そうでなくても親友がモデルでジムリーダーなんかやってるんだから、おかしくなるのも道理でしょうけど。あいつは充分トレーナーとしてバトルも強いし、他のやつよりも遥かに知識はある。ないのは経験くらいで、それは若者共通の課題なんだから気にするようなことでもないし」

 

 二人に気に掛けられているここにはいない誰かさんを思い出して、俺は二人にそう言った。

 

「えっ、待って。ソニアとバトルしたの? っていうかソニアがバトル?!」

「コテンパンにしてやったけどな」

 

 あれ?

 食いつくとこ、そこなのか?

 

「いや、重要なのはそこじゃないわよ。あのソニアがバトル? アンタ、一体どんな魔法を使ったのよ」

「知らねぇよ。あいつから言い出したことなんだから。でもまあ多分、俺の推測でしかないけど、過去に囚われすぎていた自分と決別するため、だったんじゃないか? 一応バトルへのトラウマを克服するためだとかは言ってたし」

「それならそうと言ってくれれば………!」

「あいつ言ってたぞ。『わたしのことをよく知らないハチくん相手ならバトル出来るかも』って。ずっと燻ってた言いようのない感情を表に出すには、ソニアをよく知る人物じゃダメだったんじゃねぇの?」

 

 トラウマってのはそういうもんだ。

 当時を知っているルリナでは、ソニアも当時のことを思い出して逆に緊張してしまっていただろう。ソニアもそれが分かってたから俺を対戦相手に選んだのだと思う。

 建前ではあーだこーだ言っていたが、本当のところはソニアのみぞ知るところである。

 

「荒れ狂え、ジュラルドン! キョダイマックス!」

「チャンピオンタイムだ! リザードン、キョダイマックス!」

 

 つか、気付けばお互いにキョダイマックスさせていた。

 これ、チャンピオンとトップジムリーダーのバトルなんだけどな。ルリナたちと話してるおかげで全然内容が入ってこねぇ………。

 まあでも、昔はキバナの位置にソニアの姿があったのだろう。それが重荷を背負い込んだソニアがリタイアし、残ったダンデは頂点に。何とも現実は無情である。

 

「ダンデのこともあるし、最終目標にはダンデともう一度バトルするってのがあるとは思うけど、それが叶うのはまだまだ先、数年はかかるだろうな」

「キョダイゲンスイ!」

「キョダイゴクエン!」

 

 いつかそんな日が来ることを。

 俺も見てみたい気はする。

 

「それまではそっち方面のことはそっとしといてやってくれ」

「「……………」」

「リザードン、ダイアース!」

「ダイロックで防げ! ジュラルドン!」

 

 …………本当、何年かかるだろうな。

 タイプ相性や技の相性もあるのだろうが、キョダイマックスしてからリザードンが優勢過ぎないか?

 赤黒いエネルギーの刃も獄炎で一掃。無数の砂で巨大な岩の壁は貫通されてるし。

 ソニア、こんなことを今から思うのも不謹慎かもしれないが、ご愁傷様………。

 

「キョダイゴクエン!」

「ダイロック!」

 

 獄炎を岩の壁で塞ぐつもりなのだろうが…………。

 

「ありがとう、ハチ君。ソニア君を救ってくれて」

 

 やっぱりダンデのリザードンは規格外の強さだわ。熱で岩の壁が溶けるって、もういろいろと終わってるだろ。

 ジムリーダーとさえ切磋琢磨出来ているのか怪しいレベル。

 多分、端から見たら俺もそう見られてるんだろうな。

 やだわー………。

 

「別に救った覚えはないですよ。俺はただ言いたいことを言いまくっただけだし、何ならダンデに似てるだのお婆さまに似てるだの、知らねぇよそんなのってことばかり言われてただけです」

「なら、ハチ君とソニア君を出逢わせてくれた運命に感謝かな」

「あー、うん、まあ、好きにしてください」

「うん」

 

 感謝されたところでな…………。

 

「チャンピオンタイムイズオーバー! リザードン、ジュラルドンを捕まえろ!」

 

 するとようやくリザードンもジュラルドンもタイムリミットがきたのか、元の大きさへと戻り始めた。

 あの炎でもジュラルドンが倒れなかった辺り、キバナも十二分に強いトレーナーだというのは分かる。

 うん、やっぱりダンデだけが飛び抜けすぎなんだって。

 

「チッ、ジュラルドン!」

 

 元の大きさに戻ったリザードンがそのままジュラルドンを掴み上げてしまう。

 キバナはダンデがしようとしていることを理解したのか、指示は同時だった。

 

「オーバーヒート!」

「メタルバースト!」

 

 超至近距離からの弾け飛ぶ炎とそれを超至近距離で返す鋼の力。

 しばらく拮抗していたかに見えたが、炎が暴発し出してからは一方的な展開へと相なった。次々とジュラルドンの顔の周りで炎が弾け、次第に返す力も弱まり、遂には地面に叩きつけられてしまった。

 

「ジュラルドン、戦闘不能! よって勝者チャンピオン、ダンデ!」

 

 審判の判定が下され、盛大な歓声にスタジアムが呑み込まれていく。

 あ、またリザードンポーズとかいうのやってるよ。俺も何か決めポーズとか用意しておくべきか?

 ただただダサくて恥ずかしいだけなのに?

 やめよやめよ。

 こんな見た目しているだけで充分だって。

 

「ハチ、ジム戦では本気で来なさい。私も本気でアンタを倒しにいくから」

 

 だから背中をぐりぐりするのやめて…………。

 さっきは胸にだったけど、指入ってるからね?

 そしてマクワ。

 静かにあり得ないものを見るような目で俺を見るなよ。

 さっきから背景に徹しようとしてたみたいだけど、しっかり話を聞いていたのは知ってるんだからな?

 

「なるべく前向きに検討するよう善処するわ」

「それ、しない人の言い方だし」

 

 こうして開会式は終わりを告げた。

 …………バトル半分でルリナたちと話してたから、全然バトルの内容思い出せねぇわ。

 

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