ポケモントレーナー ハチマン 完   作:八橋夏目

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89話

 ルミナスメイズの森を抜けるとお昼を大幅に過ぎていた。

 何だかんだで森の中を彷徨っていたらしい。

 森を抜けるまでお姫様抱っこしていたシャクヤは、すっかり腰も治り、キビキビと自分の脚で歩いている。

 

「取り敢えず、ジムで受付を終わらせたわけだが、お前らはどうすんの? 俺は昼寝してくるけど」

 

 アラベスクタウンに入った脚でそのままジムに向かい、受付を終わらせて外に出てきたのだが、ジム戦の十八時まで俺は昼寝をするつもりである。

 流石に女の子をお姫様抱っこしながら森を抜けるのは疲れた。あとなんかこの街の雰囲気も妙に疲れる。ファンタジック過ぎるというかカラフルというか、どこを見ても目が疲れるのだ。

 シャドーの奴らを探していた時にもアラベスクタウンには飛んできたが、こんな目が疲れるところにはいないだろうと、さっさと引き返した記憶がある。それで見逃していたら元も子もないんだが………。

 

「アタシらは………何する?」

「チケットは購入出来ましたし、このままブラブラしていればいいんじゃないでしょうか?」

「そう? ならそうするー」

 

 どうやらシャクヤたちはジム戦が始まるまで、ブラブラしているつもりらしい。

 …………このメルヘンチックな街に見るところとかあるのかは疑問だが、俺よりも知ってるだろうし、楽しみ方も心得ているのだろう。

 

「決まったみたいだな」

「うん。だからハチ兄もジム戦頑張ってね」

「ハチさん、ここのジムミッションはとても難しいですが、頑張ってください」

「え、マジで………? そんな難しいのん?」

「詳しくは教えられませんが、ハチさんならば何があろうと大丈夫だと思います」

「今のところまともなミッション、一度もなかったんだよなぁ」

「それを言われるとこちらとしても耳の痛いところではありますが………」

 

 思い起こされるジムミッションはどれも酷かった。初っ端から普段のミッション展開から掛け離れるわ、続くルリナのところではルリナのポケモンに絡まれるわ、カブさんのところで何故かエンニュートが仲間になってしまうわ、コーヒーカップのハンドルが壊れるわ、まあ散々だったな。

 それを踏まえてこのサイトウの忠告である。今度は何をさせられるのか想像もしたくないのだが…………おい、ちょっと待て。五個目のジムって確かあの魔女じゃなかったか?

 うん、終わったな。

 まともなわけがない。

 

「まあ、何にせよ、なるようにしかならないだろ」

 

 想像したところで特に情報を持ってないのだから、あれこれ考えるのは無駄ということにした。

 

 

 

   *   *   *

 

 

 

 昼寝をしてから時間丁度にジムに着くと、ダンデからのお届け物を受け取り、そのまま更衣室まで通され、着替えてからミッション部屋へと案内された。

 お届け物の中身はフサフサした赤黒い毛がついたレギンスだったぞ。これ、最終的に全身フサフサになりそうで怖い。

 で、ミッション部屋なんだが、ここただのバトルフィールドなんだよなぁ。

 今までだったら、特殊な部屋というかアトラクションというか、一目見てミッション部屋なんだなと理解出来る姿をしていたが、ここは本当にミッション部屋なのか怪しくなってくる。

 

『待たせたね』

 

 するとマイク音から老婆の声が聞こえてきた。

 マイク越しだとエコーがかかってるように聞こえるから余計に老婆感を強く感じてしまう。

 

『今からジムミッションの説明していくよ。耳の穴かっぽじってよく聞いときな』

 

 何だろう、某お湯屋の老婆を思い出すんだけど。

 やっぱり怒ると髪が逆立つのかね………。

 

『ミッション内容はこうだよ。今からアンタにウチのジムトレーナーたちと連続でバトルしてもらう。最初とどちらかのポケモンが戦闘不能になって、交代でポケモンを出す度に追加の問題を出すからね。正解したらジムトレーナーのポケモンの能力をダウン。不正解ならアンタのポケモンの能力をダウンさせるから覚悟しときな。ついでに言っておくと今回の問題はマグノリアに監修してもらっているものもあるからね。難問だよ』

 

 つまり問題の度にどちらかにハンデが追加されていくってわけか。でもどうやって能力ダウンを行うんだ?

 

『まあ、ここまで圧倒的な強さを見せてきたアンタなら正解できると信じてるよ。フェッフェッフェッ』

 

 いや、怖ぇよ。

 そんな煽られると逆に何聞かれるのか身構えちゃうじゃねぇか。

 

『ああ、それと。観客たちにも言っておくよ。今回ばかりは通例を外させてもらうよ。いつものようにバトルしていられる程、この男は甘くない。まあ、それくらいはアンタたちの方が観てきているだろうからアタシより分かっていると思うけどね。それじゃ、始めるよ』

 

 あー、ここでも特例扱いですか………。

 本当に大丈夫なのか? 俺だけ特別扱いして。

 

「まずはわたしのお相手をお願いしますね」

 

 最初に出てきたのは至って普通のおばちゃん。

 一応ユニフォームを着ているからジムトレーナーなんだなと分かるが、それ以外はどこにでもいるおばちゃんである。

 

「シュシュプ! ポプラさんのためにも少しでも彼の特徴を引き出すのよ!」

「ヤドラン、よろしく」

「ヤン!」

 

 おばちゃんの最初のポケモンはシュシュプらしい。

 カロス地方にもいたから見るのは初めてではない。フェアリーの単タイプで進化するとフレフワンに進化する。つまりは進化前の姿である。

 

『問題いくよ。第一問、フェアリータイプの弱点のタイプを全て答えな』

 

 すると早速老婆から問題を出された。

 うん、これくらいなら簡単だな。

 

「今のところどくとはがねタイプ」

『チッ、正解だよ。プクリン、シュシュプにうそなき』

 

 普通に答えただけなのに舌打ちされたんだけど。

 せめてマイクに乗らないように舌打ちしてくれよ。

 

『今のじゃ、問題にすらならなかったようだね』

 

 まあ、確かに身構えてた分、ちょっと拍子抜けではあったかな。

 

『んじゃ、バトル始めな』

「では、バトル始め!」

 

 ちょ、唐突すぎるだろ。

 いいのだろうか、こんなグダグダな感じで。

 

「シュシュプ、ようせいのかぜ!」

 

 とはいえ、審判の合図が下ろされた以上、呆けている暇はない。この唐突な流れも込みでミッションと思っておいた方がいいだろう。

 

「ヤドラン、シェルアームズ」

 

 あ、ヤドランが先に当てちゃったわ。

 これ、特性クイックドロウが発動したな。こんなところで当たりを引くとは。

 

「サイコキネシス」

 

 ヤドランの左腕のシェルから撃ち出された毒の塊をモロに浴びたシュシュプは風を起こすことも出来ずに地面に落ち、そのままヤドランが超念力で動きを封じてしまった。

 

「詰め寄って、シェルアームズ」

 

 そして動かないとなれば、それはもう的でしかなく、ヤドランの左腕がシュシュプを殴り飛ばす。

 ついでと言わんばかりに毒も飛ばしており、抵抗らしい抵抗も見せぬまま、地面をバウンドしていく。

 

「シュシュプ、戦闘不能!」

 

 ……………あっれー?

 もうシュシュプは終わりなのか。

 なんか呆気なかったな。

 これはどう評価するべきなのだろうか。ヤドランがかなり強くなってしまい、あのシュシュプ程度ならこれくらい朝飯前ってことなのか、クチートのうそなきで遠隔防御力が弱まってしまっていたからなのか………。

 

「戻ってシュシュプ」

 

 どちらにせよ、タイプ相性もあり、引き続きヤドランで申し分ないだろう。同じどくタイプということであれば、ドラミドロも選択肢には入ってくるのだが、ドラゴンタイプを持っているため、天敵であるフェアリータイプを前にするにはちと荷が重いはず。

 今のところ、ドラミドロは保険である。だが、刺せそうなタイミングがあれば、いつでも投入することにしよう。

 

「次はペロリームよ!」

 

 またカロスにいたポケモンか。

 ペロリームは鼻が効くポケモンだったか。

 

『第二問、フェアリータイプは他のタイプとは異なり、遅れて定義されたのは知ってるね。そこでだよ。フェアリータイプ以外にも遅れて定義されたタイプを全て答えな』

 

 ああ、追加で定義されたタイプね。

 そんなの簡単ではないか。

 

「あくとはがねタイプ」

『これも正解だよ。つまらない男だね。プクリン、ペロリームにいやなおと』

 

 これでペロリームの防御力は格段に下がった。

 というかどういう基準で能力ダウンのレベルを決めてるんだろうな。なんかあの婆さんの気分次第な気もしなくもないのだが………。

 

「ペロリーム、いとをはく!」

 

 何にせよ、先に動いたペロリームがヤドランの動きを封じようと糸を吐いてきた。

 

「シェルブレード」

 

 それを両手のシェルから伸ばした水の剣で斬り割いていく。

 

「そのまま距離を詰めろ」

 

 そのままこちらもペロリームへと徐々に距離を詰めていった。

 

「コットンガード!」

 

 そして後剣一本分の長さまで来たところで大きく振り上げると、ペロリームの身体がもふもふの体毛に覆われて、白い毛玉になってしまった。おかげで振り下ろした剣は毛玉の弾力性に反発され、弾かれてしまう。

 

「ペロリーム、マジカルシャイン!」

 

 なるほど。

 狙いはこれか。

 至近距離からの目眩しの攻撃。

 タイプ相性で見れば致命的なダメージは愚か、かいがらのすずを付けているヤドランではすぐに回復してしまうくらいのものだろうが、それよりも眩しい光を至近距離から発せられれば、しばらく視界が役に立たなくなってしまう。俺もよく使う戦術なため、その厄介さは理解している。

 

「どろぼう!」

 

 ヤドランは二歩三歩と後ろに下がりながら腕で目を覆い、目を落ち着かせている。だが、その間に好機と見たペロリームが勢いよく突っ込んできた。

 どろぼう。

 その名の通り、攻撃しながら相手の持ち物を奪うあくタイプの技。

 狙いはもちろん右腕のかいがらのすずだろう。

 

「狙いは右手だ。シェルアームズ」

 

 距離的にもタイミング的にも下がって回避というのは難しそうなので迎え撃つことにする。

 狙いは見え見えなので、右手を下げ、その位置に左腕を突き出させた。

 すると物の見事にペロリームの口に左腕のシェルが突き刺さり、そのまま殴り飛ばす。

 

「もう一発だ」

 

 バウンドしていくペロリームに追い討ちとして、さらに毒を撃ち放った。

 

「ペロリーム、戦闘不能!」

 

 多分、防御力が下がったことで一発目がクリーンヒットしたのだろう。あるいはバウンドしている間に既に気絶していたか。

 何にせよ、これで二体目撃破である。

 

「お疲れ様、ペロリーム。………ここまで力の差を見せ付けられるなんてね」

 

 そう言っておばちゃんはペロリームをボールに戻して後ろの控え室へと消えて行った。

 代わりにザ・近所のおばさんって感じの人が出てきたが。

 何だろうな、ここのジムトレーナーは。一見ジムトレーナーに見えないんだけど。

 

「ペロッパフ、いくわよ!」

 

 この人の一体目はペロッパフか。

 モコモコした姿が特徴的で、今し方バトルしたペロリームの進化前である。こうなるとこの人の二体目はフレフワンなのかもしれない。流れ的に。

 

『第三問、確かアンタの師匠はあのマスタードだったね。んじゃ、あのジジイの専門タイプを言ってみな』

 

 爺の専門タイプねぇ。

 確かかくとうタイプとか言ってなかったっけ?

 それに態々マスター道場なんて名前を付けるくらいだし、そっち系に通じていたのは確かだろう。

 だから、うん………間違いないと思う。

 

「かくとうタイプ?」

『正解だよ。まあ、弟子ならそれくらい知ってないとね。プクリン、ペロッパフにいやなおと』

 

 どうやら正解だったようだ。

 あんまり爺さんの過去とかちゃんと聞いてなかったからなー。

 昔はすごかったらしいけど……………別にそこまで聞きたいわけじゃないし、聞いたら話が長くなりそうだし、本人に聞くのはやめておこう。

 

「三問目も正解ですか。ではこちらからいきますよ! ペロッパフ、ようせいのかぜ!」

「ヤドラン、シェルアームズ」

 

 キラキラとした風がペロッパフの方から吹いてくるが、どくタイプを持つヤドランにはどこ吹く風である。

 というか威力も高い技でもないし、ダメージにもなるか怪しいレベルだ。

 落ち着いて、一発毒の弾丸を放った。

 

「ペロッパフ、戦闘不能!」

 

 うん、実に呆気ない。直撃。

 これならドラミドロでも、下手したらエンニュートでもいけたかもしれないな。

 

「戻ってペロッパフ」

 

 だが、そうやって油断している時に限ってヤバいのが出てきたりするんだが、下手にそういうことを考えるのはやめておこう。フラグになりかねない。

 

「お願い、フレフワン!」

 

 二体目はやっぱりフレフワンだったか。

 それにしてもペロッパフからペロリームへの進化はなんとなく分かるのだが、シュシュプからフレフワンって顔以外に面影がないよな。ペロリームもフレフワンも進化して身体が生えたって感じではあるのだが、フレフワンの違和感は何なんだろうか。

 

『第四問、ダイマックスの原理を答えてみな』

 

 うっわ、今度はダイマックスの原理を答えろってか。

 これもう、普通のトレーナーに出すような問題じゃないだろ。

 まあいい。答えないと次に進めないしな。

 

「えーと、ガラル中にはガラル粒子というものが大気中に含まれていて、そのガラル粒子が高濃度に存在している場所でポケモンが多量にガラル粒子を吸い込むと内部エネルギーが活性化して巨大化する現象………だっけ? まあ実際は巨大化しているように見える現象っても書いてあったか」

 

 確か道場で読んだ本にはそんな感じで書かれていたはず。本のタイトルは忘れたし、作者は見てもいないけど、内容はそんな感じだった。あとは意図的に誘発する道具としてダイマックスバンドが作られたって話もあり、その中身の鉱石のことやダイマックス後の技についても色々書かれていたと思う。

 

『………正解だよ。一体誰に聞いたんだか。マグノリアの本でも読んだのかい?』

「爺さんの本棚にあった本を読んだだけですけど」

『じゃあ、それがマグノリアの本だったんだろうね。プクリン、フレフワンにあまえる』

 

 なるほど。

 あの本棚にはそれ以上に興味深い本があったからな。マグノリア博士には悪いが、そっちの方が印象深くて、つい作者を見るのを忘れていたようだ。

 

「フレフワン、まずはめいそう!」

 

 おおー、さっきまではなかった流れだ。

 

「ヤドラン、シェルアームズ」

 

 取り敢えず、こちらは毒の弾丸を飛ばして牽制してみる。

 

「サイコキネシス!」

 

 すると超念力で毒の弾丸を止められてしまった。

 やっぱりめいそうによる遠隔攻撃力が上がったからかね。

 そんな脅威を感じはしないが面倒臭さは増したな。

 

「ジャイロボール!」

 

 そしてフレフワンは身体をジャイロ回転させて突っ込んできた。

 はがねタイプの技ということもあり、毒を弾きながら接近しようってところだろうか。

 

「シェルブレードでかっ飛ばせ」

 

 水の剣をバッティングの要領で振り、ジャイロ回転するフレフワンを打ち上げた。

 意外といい音がしたけど、フレフワンは大丈夫だろう…………あ、天井に激突した。

 

「フレフワン、戦闘不能!」

 

 そしてそのまま地面にドサッ! と落ちて動かなかった。

 うん、まさかの倒し方だわ。

 

「ありがとう、フレフワン。戻ってゆっくり休んでね。…………全く、強いわね。近づくだけで精一杯だったわ」

 

 いや、多分だけど、そういう問題じゃないと思う。

 やはりジムトレーナーは初心者や他の挑戦者向けに調整されているだろうから、俺のポケモンたちを相手にするのは無理があるのだと思われる。

 タイプ相性もあるが、ルリナのところのジムトレーナーよりも酷いことになってるもん。

 

「ギモー、あのヤドランを止めるわよ!」

 

 交代で出てきた三人目のジムトレーナーは少しマダム感が強い。

 立っている姿に品を感じてしまうというか、滲み出るオーラがそれなのだろう。

 なのに、出してきたポケモンはギモー。

 ギモーってあいつだよな? 森で襲ってきたポケモンの進化形の。

 ええー、ギャップがすごいな。

 

『第五問、二問目の問題と答えを答えな』

 

 はっ?

 目の前のギャップに驚いてる暇じゃねぇじゃん。まさかのそういう問題の出し方もしてくるのかよ。

 えっと、二問目だっけ?

 二問目ねぇ…………何だっけ。

 一問目がフェアリータイプの弱点タイプだったから…………ああ、追加定義されたタイプだったな。

 

「問題はフェアリータイプ以外に過去追加定義されたタイプで、答えはあくとはがねタイプ」

『チッ、記憶力もいい方のようだね。年寄りに対しての当てつけかい? プクリン、両者にいやなおとだよ』

「理不尽すぎるだろ………」

 

 ちゃんと答えたのにこの仕打ちよ。

 どうせこれくらいハンデを背負ったところでアンタたちなら問題ないだろって目をしてくるんじゃない。

 

「ったく………ヤドラン、シェルアームズ」

「ギモー、ふいうち!」

 

 うっわ、さっさと終わらせようとしたらこれだよ。

 でもジムトレーナーのおばちゃんズの中で初めてヤドランに攻撃を当てられたな。しかも効果抜群だし、これは少しギアを上げた方がよさそうだな。

 

「トリックルーム」

 

 背後から殴りつけてきたギモーがヤドランから距離を取ろうとしたところに、素早さが逆転する部屋を作り出し閉じ込めた。

 

「シェルアームズ」

 

 そして一気に駆け出し、ギモーの鳩尾に左腕を突き刺す。さらに遠心力を効かせて半回転するとジムトレーナーのおばさんに向けて殴り飛ばした。

 

「ギモー?!」

 

 壁にクレーターを使って突き刺さったギモーは泡を吹いて気絶している。

 

「ギモー、戦闘不能!」

 

 うん、殴り飛ばした衝撃で折角作り出したトリックルームがすぐに壊れるとかどういうことだってばよ。

 そんな勢いが出ていたのかよ。怖いよ、怖い。あと怖い。

 

「ギモー、戻って」

 

 あと何体倒せばいいんだろうか。

 というかあと何問あるのだろうか。

 

「最後になってしまったわね…………いくわよ、サーナイト!」

 

 そう言って出されたのはまさかのサーナイトだった。

 そりゃそうか。

 サーナイトもフェアリータイプ持ってるもんな。

 ラルトスが仲間になって、キルリア、サーナイトに進化してきたが、その間にラルトス系統とバトルしたのなんてパパレイドくらいだったし、サーナイトとなんて一度もなかったか。

 同じ種族なだけあってパッと見は一緒な姿でやりづらさはあるが、滲み出る性格が俺のサーナイトとは全くことなるため、別の個体というのは容易に分かる。

 うん、だって俺を前にしたら大体抱きついてくるもん。それがないんだから躊躇う必要はない。

 というか、だ。

 これがラストなのね………。

 

『ラストはアタシの年齢だよ。十六歳と八十六歳の二択で答えな』

 

 えっ…………。

 これはどう答えるべきなんだ?

 普通に考えたら八十六歳だよな?

 

「あー………えっと、じゃあ八十六歳?」

『………正解だけど、女性への対応としてはなっちゃいないよ。プクリン、ヤドランにうそなき』

 

 うっわ、酷ぇ。

 問題だからちゃんと実年齢を答えたってのに、婆さんも正解っつってるくせにこっちが能力ダウン食らったんだけど。

 

「サーナイト、サイコキネシス」

 

 すかさずサーナイトが行動に出た。

 ヤドランを超念力で身動き出来ないようにすると両手に影の弾丸を作り始めた。

 あれはシャドーボールか。

 

「ヤドラン、交代だ」

 

 ヤドランには婆さんとのバトルでも活躍してもらわないとだからな。ここで無理をする必要はないし、身動き取れないんじゃ交代するしかない。

 それにどうせなら格の違いってやつを見せてやらないとな。

 

「サーナイト、格の違いを見せてやれ。サイコキネシス」

 

 ヤドランをボールに戻し、交代でサーナイトを出すとお返しにこちらも超念力でおばさんのサーナイトを身動き取れないようにした。

 影の弾丸もまだ充填途中で止まっている。

 こっちもお返しといくか。

 

「サーナイト、テレポート」

 

 まずはテレポートで相手のサーナイトの目の前に瞬間移動。

 

「シャドーボール」

 

 そしてゼロ距離から影の弾丸を打ち込んでやると、相手のサーナイトは身体をくの字にしてギモーが使った壁のクレーターの横に新たなクレーターを作ってしまった。

 

「サーナイト、戦闘不能! よって勝者、仮面のハチ! ミッションクリアです!」

 

 はぁ………やっと終わった。

 なんかバトル以上に問題に答えるのが疲れたわ。そんな難しいわけじゃないのに、ラスト二問のゲテモノ感の半端なさよ。しかもちゃんと答えたところで正解であってもこっちが能力ダウンを食らうとかどうなってんだよ、ミッションのルール。

 

『勝っちまったもんは仕方ないね。次はアタシとのジム戦だよ。四十秒で支度しな』

 

 おい、どこの海賊の婆さんだよ。

 

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