勉強以外全て不必要・・・とはいかなかったフータロー   作:ケンキチ

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遅くなりました。続きました。


3話

 

 

 

 と、言うわけでやって来ましたテスト当日。テストの内容も比較的簡単で、次のテスト範囲で作ってみた訳だが・・・果たしてどれほど点を稼いでくれるのか、少し楽しみでもある。

 

「しかしなんだ、このバカでかい建物は」

 

 あの五つ子が住んでいるこのマンション。下から見上げるとそのデカさがよく分かる。俺のアパートが十棟は入りそうだ。改めて思うが、アイツらは『超』が数個つくほどの大金持ちなんだと。

 

「・・・おっと、こんなとこで感傷に浸ってる場合じゃねぇ。早く行かないと遅刻しちまう」

 

 早足でマンションの中へ入り、中野家の部屋番号を押してドアを開けてもらう。

 ふっ、もはや以前の俺ではない。こんなにもスムーズにおーとろっくを使いこなしているのだからな。

 

 

 

 

 部屋に入り、リビングに行くと昨日とは違い、五つ子全員が揃っていた。一人机に突っ伏して寝てるやつがいるが・・・まぁここに居るだけマシ・・・だと思う。多分。

 

「よぉ、五つ子諸君。約束通り、今日はテストをやる訳だが、ちゃんと予習はしてきたんだろうな?」

「もちろんです!」

「当たり前よ」

「・・・」

「私もやりました!」

 

 よしよし、五人中三人はやる気があるみたいだ。いつまでも寝てる一花を叩き起し、五人全員に紙を配る。昨日は家庭教師としての仕事を何一つ出来ていない。だから今日は一分、一秒も無駄には出来ない。

 

「フータロー、合格点は?」

「三玖・・・そうだな・・・・・・60・・・いや、50点あればそれでいい」

 

 なんだかんだ三玖もやる気のようだ。一花の目も覚めたことだし、そろそろ始めるとしよう。

 

「よし、じゃあスタートだ!」

 

 俺の合図と同時に五人全員のペンが紙の上を走る。なるほど、どうやらこれは少しばかり期待してみるのもいいかもしれない。

 

 数十分後、全員の回答が終わったことを確認し、紙を回収し採点を始めた。想定外だ。まさか五人がこの点を取ってくるとは・・・!少し・・・いや、かなり驚いた。

 

「採点終わったぞ!凄ぇ!100点だ!」

 

 まさか100点を取れるとは!

 

 

 

「全員合わせてな!!」

 

 

 

 一花は点を取れるとは思っていなかった。先の態度からして、勉強をしてたとは思えなかったから。

 二乃、三玖、五月に関しては、ちゃんと勉強したのだろう。その証拠に20点は超えている。

 だがしかし四葉、お前はなんだ!8点て!一桁とかマジかよ・・・!勉強したんじゃないの!?

 

 

 

「お前ら・・・まさか・・・」

「逃げろ!」

 

 二乃の合図と同時に五人全員がリビングから二階へと脱兎のごとく逃げ出した。つーか、四葉と五月も逃げんのかよ!

 

「こいつら・・・」

 

 五月は分かっていたが・・・・・・残りの四人も落第候補かよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか家庭教師と自分の勉強の両立がここまできついとは・・・。いつもならこんな遅刻ギリギリに学校に来ることなんてないんだが、五つ子の相手で知らないうちに疲労が溜まってるようだ・・・。

 

「ふぅ、ギリギリセーフ・・・」

 

 一息つき、教室へ向かおうとした俺のすぐ横を、見るからに高級そうな車が軽快な音を立て通り過ぎ、すぐそばで停った。

 

「おおっ、見たことも無い外国の車だ」

 

 早く行かないと遅刻するかもしれないというこの状況にも関わらず、俺の興味はあの黒塗りの車から離れなかった。なにせ自分と違うレベルのシロモノだ。失礼だとは分かっていても、興味本位でその車に近づいてしまった。

 

「かっけぇ・・・100万円はするだろうな」

 

 もしかしたらそれ以上かもしれない・・・いや、知らんけども。つーかこの車窓真っ黒じゃんね?これって中から外の景色とか見えてるんだろうか・・・?

 あまりに馴染みのないものだからつい凝視してしまったが、俺は一つ忘れていた。遅刻ギリギリだったこと?そんな些細なものじゃない。この車に人が乗ってるかもしれない可能性を、だ。

 

「フータロー君おっは〜」

「上杉君おはよ」

「フータロー・・・ジロジロ見すぎ」

「おはよーございます!上杉さん!」

「おはようございます、上杉君」

 

 車の窓が下がり、中から見た事のある五人の顔と声が聞こえた。

 

「あぁ、おはよう」

 

 何事もない風にとりあえず挨拶は返したが・・・・・・やっべぇ、恥ずかしくて死にそう。

 

「あ、そう言えば昨日の・・・ってオイ待て!逃げんな!」

 

 テストの話をしようと思ったのを気取られたのか、五人はまたしても逃げ出した。・・・のだが、トコトコと五月だけは戻ってきた。

 

「お、おぉ・・・戻ってきたのか五月・・・」

「えぇ、何かお話があるんでしょう?」

「あぁ、昨日のテストの事なんだが・・・って待てお前ら!よく見ろ!俺は手ぶらだ!害は無い!」

 

 俺は何も持っていないことを証明するため、両手を広げ無害をアピールした。

 

「騙されねーぞ」

「参考書とか隠してない?」

「油断させて勉強教えてくるかも」

 コイツら俺をなんだと思ってやがる・・・!!

 

「とりあえず話を聞くだけ聞け。昨日のテストはな、次のテスト範囲の中から出してるんだ。昨日の結果を踏まえ、もう一度同じようなモノを作ってきた。だから・・・」

「いらない。勉強は一人でもできる」

「そうそう。要するに余計なお世話ってこと」

 

 ・・・言ってくれるじゃねぇか。コイツら四人の言い分は理解した。ならば当然──

 

「そうか!じゃあ昨日のテスト復習は当然してるよな!」

 

「「「「・・・」」」」

 

 なぜ黙る。そしてなぜ目を逸らす。コイツらまさか・・・!

 

「問一、厳島の戦いで毛利元就が破った武将を答えよ」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

 無言・・・!!まさかとは思ったが、やっぱりやってなかったか!

 

「五月、おまえは分かるよな?」

「えぇ、もちろんです!あの後、貴方に教えて貰ったあとも勉強しましたから!」

 

 さすが五月だ!!

 

「よし、じゃあ答えは?」

「はい!陶はるたかです!」

「っ!」

「・・・ん?」

 

 今一瞬、三玖が反応した気がしたが・・・気のせいか?いや、それよりも五月・・・

 

「惜しいな、五月。陶晴賢だ。はるたかじゃなく、はるかた」

 

 どうやら復習の効果は出てるらしい。以前の五月なら名前どころか答えることすら出来なかっただろう。

 

「そう落ち込むな、五月。間違えたとは言え、ほぼ正解みたいなもんだ」

「うぅ・・・勉強したのに・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 この三日間で分かったことがある。どうやらこの四人、極度の勉強嫌いだ。そして、どうやら俺のことも嫌いっぽい。五月、お前だけだよ。俺の横にいてくれるのは・・・。今こうして教室へ向かっているのに俺とあの四人には五メートルほど距離がある。なるほど、これが心の距離・・・・・・まずは一人ずつ信頼関係を築くことからスタートだな。

 

「やぁ、上杉君。君がこんな時間に来るとは珍しいね☆」

「あぁ・・・武田か。まぁ、色々あってな」

 

 カバンから『五つ子卒業計画』と書かれたノートを取り出し、昨日のテストの結果を確認していると、武田に声を掛けられた。いつもは一緒に登校しているのだが、カバンを持ったままで、息を切らしているところを見ると、どうやらいつもの待ち合わせ場所でずっと俺の事を待っていたようだ。そう言えば連絡するの忘れてたな。

 

「そうなのかい?そんな調子じゃ、次のテストは僕が勝ちそうだね。・・・・・・ガッカリさせないでくれよ?」

 

 君は僕のライバルなんだからね、そう言い残し武田はさっさと教室へ向かっていった。思えば、奴とはもう一年になる付き合いだ。入学してから行われた中間テスト以降、何かとよく絡まれ、互いに勉強を教え合い、そうしてるうちによくつるむ仲になった。

 

「ふん、上等じゃねぇか。心配なんか杞憂だったと思いしらせてやるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み、食堂には多くの生徒がここでクラスメートと共に昼食を食べに集まってくる。かく言う俺もそのうちの一人。だが、ここに来た理由は昼を買いに来ただけじゃない。今朝抱いた疑問、それを確かめるため、三玖を探しにきた。

 

「よ、よう三玖」

 

 焼肉定食焼肉抜き(いつもの)を購入し、目当ての人物に声をかける。

 

「350円のサンドイッチに・・・なんだその飲み物・・・」

「抹茶ソーダ」

「逆に味が気になる!」

 

 意味わかんねぇ、この飲み物。和洋折衷ってこういうことを言うのか・・・?

 

「いじわるするフータローには飲ませてあげない」

「いじわる・・・」

 

 まさか、いじわるって勉強教えようとしてることか?つーか、飲めって言われても飲みたくねぇ・・・。

 やっぱり、こいつは何考えてるのかわかんねぇ。が、それはそれ。疑問を解決する方が先だ。

 

「一つ聞いていいか?今朝の問題の件なんだが」

 

 一瞬、いつも無表情な三玖の顔が曇ったきがした。やっぱり、コイツはなにか隠してる。

 

「上杉さん!お昼一緒に食べませんか?」

「うおっ!」

 

 び、びっくりした・・・!

 

「四葉か。お前はいつも突然なんだよ」

「あはは、朝は逃げちゃってすみません〜」

 

 四葉と共に一花も来ていた。どうやら今から昼飯を買いに行くとこらしい。しかし、今はこの二人に構ってる暇はない。

 

「それで三玖」

「これ見てください!英語の宿題!」

「さっきの話」

「全部間違えてました!あはははは!」

 

 より重大な問題が発生したんですけど!?今朝の問題なんで答えなかったの?とかもうどうでも良くなっちゃうんだけど!全ミス!?ありえねぇ・・・!

 

「ごめんねー、邪魔しちゃって」

 

 ナイスだ一花。その問題児を早く連れて行ってくれ。優先すべきはまず三玖だ。四葉はその後だ。

 

「一花も見てもらおうよ」

「うーん、パスかな。私たちほら、バカだし。ね?」

 

 そう言い一花は笑った。なぜこいつらはバカだとわかった上で勉強をしないんだ。

 

「だからってなぁ・・・」

「それにさ、高校生活勉強だけってどうなの?もっと青春をエンジョイしようよ。恋とか!」

 

 青春をエンジョイ・・・恋・・・ねぇ。

 

「その行為を否定する気はない・・・が、言わせてもらおう。アレは学業から最もかけ離れた愚かな行為だ。したい奴はすればいい。・・・だが、そいつの人生のピークは学生時代となるだろう」

「この拗らせ方、手遅れだわ・・・!」

 

 約束のため、要らないものは全て捨てた。もちろん、恋愛もだ。

 

「あはは、恋愛したくても相手がいないんですけどね。三玖はどう?好きな男子とかできた?」

「えっ。い、いないよ!」

 

 そう言って三玖は走っていった。

 

「急にどうしたんだ?」

「あの表情、姉妹の私には分かります」

 

 お、さすが五つ子。ただ、その頭の回転をもう少し勉強の方に使って頂きたいのだが?して、その答えとは?

 

 

「三玖は恋をしています」

「・・・」

 

 

 三玖が恋・・・ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三玖に好きな人か。四葉の思い過ごしならいいんだが・・・。あの二人も人の色恋沙汰ではしゃぎやがって。

 

「よくない流れだ。アイツらには勉強してもらわないと困るのに・・・」

 

 教室へもどり、自分の席に座る。次の授業の準備をしようと机の中から教科書を出そうとした時、何かが入っていることに気づいた。

 

 

『フータローへ  三玖』

 

 

 それは三玖から俺に対しての手紙。なんだ、果たし状かなんかか。それにしてもすげぇ達筆だな・・・筆?筆で書いたのか?こいつ。

 

「なんだ?」

 

 中を確認すると、果たし状ではなかった。放課後、屋上で待つとのこと。そして、どうしてもこの気持ちが抑えられない、とあった。

 俺かーい!つかこれってラブレター・・・つまり、三玖が俺を・・・いやでも、勉強しないと・・・つーかまだ会って四日ですけど!?

 

「上杉君、どうかしたのですか?」

「五月・・・いや、なんでもない。それよりどうした?」

「その、午前中の授業で分からない箇所があったので教えてもらおうかと・・・」

 

 おおおおお落ちつけ、俺。そう、これはイタズラだ。クールになれ上杉風太郎。こんなことにわざわざ付き合ってやる必要は無い!いや、付き合うって言ってもそういう意味じゃなく。

 

 

 

 

 

 

 そして放課後。俺は屋上に居た。決して邪な気持ちがある訳では無い。そう、これはあくまで三玖のイタズラを叱るためだ。そうして勉強に集中してもらう為。決して邪な気持ちなどない。そう、決して。

 

「程度の低いイタズラに乗っかっちまったぜ。まぁ本当に来られても困るんだが」

 

 その瞬間、屋上のドアが開き、三玖が出てきた。

 

「み、三玖・・・!!い、イタズラじゃないのか・・・?」

「よかった、来てくれたんだ」

 

 ま、まずい・・・。これは非常にまずい・・・。

 

「お、俺ら来年受験なんだし・・・」

「食堂で言えたら良かったんだけど」

 

 聞く耳も持たねぇ!

 

「誰にも聞かれたくなかったから」

 

 あれ・・・雰囲気やばくない?

 

『あの表情、姉妹の私にはわかります』

 

 四葉の台詞がフラッシュバックしてるし!やめろ!お前の出番はもう終わったんだ!

 

「フータロー、あのね」

 

『三玖は恋をしています』

 

 オイ帰れ、おバカリボン。

 

「ずっと言いたかったの。・・・・・・す・・・・・・す・・・」

 

 待て、何を言うつもりだ。

 

「陶 晴賢」

「陶 晴賢・・・!!」

 

 数秒の沈黙の後、三玖はスッキリしたようで、よし。と一言。軽くガッツポーズをした。

 

「言えた。スッキリ」

「ちょ、ちょっと待って!」

 

 待って待って?理解が追いつかない。

 

「捻った告白・・・じゃないよな、なんのこと!?」

「うるさいなぁ、問題の答えだけど」

「!」

 

 今朝五人に出した問題のことか。

 

「待てって!何故それを今、このタイミングで!?」

「あ!」

 

 帰ろうとする三玖の肩を引いたせいで、三玖は携帯を落としてしまった。

 

「あー!」

「す、すまん」

 

 落ちた携帯は衝撃で電源が着いたようで、携帯の画面が明るくなった。視界に入ったその画面には見た事のある画像が映っていた。

 

「武田菱・・・武田新家の・・・」

「見た・・・?」

 

 え、コワ。普段眠そうな半開きの目を見開き俺の事を見つめる三玖。ここは正直に言った方が良さそうだ。

 

「え・・・ああ・・・」

「・・・・・・・・・だ・・・誰にも言わないで」

 

 そんなに見られたら不味かったものなんだろうか。いや、人には言えない隠し事は誰もが持っていることだ。あまり深くは詮索しないようにしよう。

 

「戦国武将・・・好きなの」

 

 と、思ったけどあっちから暴露してきたわ。

 

「あっ、武将が好きって・・・あー、うん、なるほどね?なんで好きなの?」

 

 向こうから暴露してきたんだ。今更何を聞いて問題ないだろ。しかし、まさか三玖がいわゆる歴女ってやつだったとは。それでテストも正解できたわけか。

 

「きっかけは四葉から借りたゲーム。野心溢れる武将たちに惹かれてたくさん本も読んだ」

 

 なるほど?

 

「でもクラスのみんなが好きな人はイケメン俳優や美人なモデル。それに比べて私は髭のおじさん・・・変だよ」

 

 ・・・・・・確かに変な奴!・・・と、切り捨てるのは簡単。・・・だが。

 

「変じゃない!自分が好きになった物を信じろよ」

 

 これはチャンスだ。

 

「俺は武将にも造詣が深い方だ。そう言えば、前回の日本史も満点だったな」

「そうなの!?」

 

 食いついた・・・!!もう一押しだな。

 

「これが学年一位の力だ。俺の授業を受ければ、三玖の知らない武将の話もしてやれるぜ」

「!」

 

 さぁ、どうだ・・・!?これで参加する、と言ってくれればいいのだが・・・。

 

「それって・・・私より詳しいってこと?」

「え?」

 

 違う、そうじゃない。

 

「じゃあ問題ね。信長が秀吉を猿って呼んでたのは有名な話だよね。でも、この逸話は間違いだって知ってた?本当は、なんてあだ名で呼ばれていたか知ってる?」

 

 めっちゃ喋る!堰が切れたように喋り始めたんですけど!?これは・・・対抗意識を持たれてるようだ。それにしても、閉まったな・・・秀吉のあだ名か・・・。確か歴史の先生が言っていたような・・・。

 

「ハゲ・・・ネズミ・・・」

「・・・正解」

 

 ありがとう、先生(ハゲネズミ)

 

「それしても、ハゲネズミはひどいな」

「うん、かわいそう。知ってると思うけど、私が好きな逸話は・・・」

 

 ごめんなさい、しらないです。さっきの答えが出てきたのも先生の顔を思い浮かべたからです。

 少しずつ、三玖のことがわかった気がする。『武将』は勉強から逃げているこいつと『日本史』を繋ぐ唯一の接点。武将に特別興味は無いが、このチャンス生かしてみせる!

 

「おっと、もうこんな時間か」

「ほんとだ」

「な、なんか話し足りないな。うーん、この話、三玖は聞きたいだろうなぁ。そうだ」

 

 さぁ、これで最後だ。

 

「次の家庭教師の内容は日本史を中心にしよう。三玖、受けてくれるか?」

「・・・・・・っ」

 

 どうだ・・・!?

 

 

「そこまで言うなら、いいよ」

 

 

 

 勝った!場さえ整えばあとはどうにでも出来る。三玖には気の毒だが、俺にも生活がかかってる?だ。悪く思わないでくれよ。

 

「これ、友好の証。飲んでみて」

 

 三玖はそう言い、後ろの自販機で買ったであろう飲み物を渡してくれた。これは・・・抹茶ソーダ・・・。

 

「えぇ・・・」

 

 正直飲みたくねぇ・・・味が行方不明だわ・・・。

 

「気になるって言ってたじゃん。大丈夫だって」

 

 そこまで言うなら一口飲んでみるか・・・?

 

「鼻水なんて入ってないよ。なんちゃって」

 

 え?鼻水?鼻水って言った?なんちゃって?どういうことだ?

 受け取ろうと手を伸ばしたとき、突然三玖に言われたその一言を、俺は理解出来ずにいた。

 

「あれ、この逸話知らないの?そっか。頭良いって言ってたけどこんなもんなんだ。やっぱり教わることはなさそう・・・バイバイ」

 

 まるで俺のことを見下したような、冷たい表情でそう言い放った三玖はさっさとどこかへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三玖と別れた後、俺は図書室にいた。本棚にある歴史に関する本を片っ端からかき集め、それを持って受付へ行く。

 

「全部貸し出しで!」

 

 許さねぇ・・・俺をバカにしたこと、すぐに後悔させてやるぜ。そして──

 

「意地でも俺が勉強を教えてやる!!」

 

 

 

 




五つ子たちのフータローへの印象

一花
勉強ばっかりしててつまんない男の子。

二乃
顔が超タイプ。勉強を教えてくる風太郎は大嫌い。それ以外の時の風太郎は大好き。

三玖
どうでもいい。勉強を教えに来るのやめて欲しい。

四葉
友達。バカな自分に丁寧に勉強を教えてくれる優しい人。

五月
いつも勉強を見てくれる優しい人。憧れの人。




最後まで見てくれてありがとうございました。次回には期待しないでください。

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