†MULTIPLE AIGIS† クリスマス&お正月恒例編 作:てゐと
クリスマス当日。シャーヴァルと第二期新メンバーたちはベノからクリスマスパーティの買い出しを頼まれ街に繰り出していた
カゼキリ「うぅ…寒すぎだろう…。しらみつ、どうにかならないか?」
しらみつ「自然現象ですからね。これくらいしか」
カゼキリが座っているスピンチェアにあるスイッチを押すとファンが展開、温風が吹き上がってきた
カゼキリ「いつ追加した?」
しらみつ「初期からですよ。カゼキリさんは説明書すぐ捨てちゃうタイプですからね」
カゼキリ「読み物は苦手なんだ。悪いとは思っている」
いっこんぞめ「へぇ、まなこも無茶するねぇ。あやはるが聞いたら卒倒するんじゃない?」
デビローズ「えぇ、後で泣きついたそうですよ。その上自分がお姉ちゃんを守れなかったんですって私にも泣かれる始末…。まぁ初々しくていいのですが」
ただいな「チグサメ君もだいぶ元気になりましたね。入隊直後その事思い出すと全然見違えてますよ」
チグサメ「…」
ただいな「いいえ?顔色も良くなりましたし良く喋るようにもなったじゃないですか。もっと自分に自信を持っていいと思いますよ?」
シャーヴァル「…」
しらみつ「どうされました?」
シャーヴァル「いや、お前達の友情に少し驚いてな」
いっこんぞめ「なんでだい?」
シャーヴァル「所謂第一期新メンバー(タマズサやレジーナ、わかな達)は組内の同期と仲が良いのはわかる。そして第三第四は俺達鍼組で第五期メンバーは裏世界の集まりだ。お世辞にも仲が良いというより利害の一致と言うのが正しいだろう。それを見るとお前達第二期の絆はとても硬いと思った」
第二期メンバーの絆の硬さはとても硬く、以前(MA第三話 意地とプライド)に地組と兎組が大喧嘩した時もいっこんぞめ以外の三人が真っ先に下がり、同期との戦闘を避けた程だ。さらにいっこんぞめが戦おうとした理由とデビローズ、ただいなの二人が辞退した理由が同じ「しらみつの頑張りを知っているから」であるあたり第二期メンバーの絆の硬さがわかるだろう
デビローズ「個性的なのに噛み合ってるという感じですか?」
シャーヴァル「そうなるな。組分けもほぼ正反対の性格や個性だから仲が良いのが尚更不思議だ」
カゼキリ「私様とチグサメか…。言われてみればそうだな」
シャーヴァル「自覚が無いのか?」
カゼキリ「そんな情が湧かないというのが正しいのかも知れない。チグサメも嫌がっていないしな」
チグサメ「…」
シャーヴァル「俺の目付きが鋭いのは自覚してるがお前達とチグサメの距離の違いには少し嫉妬を覚えてしまうな」
デビローズ「これは癖みたいなものですよ。近年ではラグナさんやせいさいさんに隠れることもありますしだいぶ周囲に心開いてきてますよ」
シャーヴァル「これだけ心閉ざし、それでいてダークポケモンにならなかった。お前は本当に強いんだな、チグサメ」
その一言に照れるように隠れ直すチグサメ。他は笑顔だ
いっこんぞめ「誉めてもらって良かったじゃん。チグサメ」
チグサメ「…」
デビローズ「えぇ、シャーヴァルさんは真面目な方ですから本心だと思いますよ」
チグサメ「…?」
ただいな「シャーヴァルさんの人の良さは鍼組を見ていればわかりますよ。確かに昔はもっと怖かったですが今は笑顔もたまに見るほどになりましたし」
シャーヴァル「その小さな声も良く聞こえるな…。まったく聞こえん…」
珍しく耳を出すシャーヴァル。いつもステイルやたらこがいる時には見せない茶目っ気が垣間見えていた
しらみつ「チグサメさんとは心で会話するんですよ。口に出しているのは復唱みたいなものです」
シャーヴァル「そういうものなのか…。いや、以前のエレッサと同じようなものと考えれば…」
いっこんぞめ「いつもの感じからはありえないくらい反応が面白いね。シャーヴァルって」
シャーヴァル「お前達の絆の深さを勉強すれば鍼組はもちろん。もっと他の組のメンバーとも仲良くなれる気がする…そう思った」
カゼキリ「絆は学ぶものではないこと、わかっているだろう?」
シャーヴァル「あぁ。糧にしたい。…というのが本心だろうな」
カゼキリ「ならばいい事を教えてやろう。お前はもう掴んでいる。それに気が付いていないのはお前自身だ」
シャーヴァル「もう…掴んでいる…?」
カゼキリ「まぁ急いては事を仕損じるというからな。今まさにその状態だな」
ただいな「…!」
いっこんぞめ「お、その感じ…お告げかい?」
ただいな「はい…。炎…?これは…」
シャーヴァル「お告げ…」
デビローズ「シャーヴァルさんは初めてみますか?」
シャーヴァル「話には聞いている。亡くなった父親がただいなの未来を助けるためのものだと」
ただいな「…!皆さん!巨大鎧機(ジーアーマード)です!」
カゼキリ「しらみつ!」
しらみつ「呼び出してます!」
シャーヴァル「当たるのか?」
いっこんぞめ「ほぼね。まぁアタシらはハズレようが関係ない。ただいながそう言うならそれに備えたりするまでさ」
直後に周囲が爆発し、火災が発生。炎の中からは複数の巨大鎧機が現れた
シャーヴァル「なるほどな…。後どれくらいで到着する?」
しらみつ「三分ほどです!」
シャーヴァル「避難指示を頼む。三分なら持たせれる!」
いっこんぞめ「待ちな!」
デビローズ「足止めには自信があるんです。お供させてください」
シャーヴァル「無理はするな。行くぞ!」
デビローズ「マグネキネシス!アンチ!巨大鎧機!!」
いっこんぞめ(裏)「凍れ…!」
弾きとばしたり氷塊で足止めする二人。それを突破してきた巨大鎧機をシャーヴァルが迎え撃つ!素の力は負けていてもシャーヴァルは影角を鬼が持つような金棒に変形させ、パワーの差を縮めていた
デビローズ「本当に使えるんだな!多種多様な武器!」
シャーヴァル「あ、あぁ」
珍しく表と裏を入れ換えたデビローズの口調に戸惑うシャーヴァル。いつもが献身的で優しさの塊なだけに攻撃的で粗暴なデビローズは違和感でしか無かった
シャーヴァル「二重人格能力者(ツインフェイス)か…」
小声で呟く。いっこんぞめとデビローズは能力を発揮する時に性格がガラリと変わる。裏世界でも噂程度の存在だったため実在したんだなと内心驚きもしている
シャーヴァル(感情の起伏が激しいな…。これも俺が変わって来たということなのか…?)
しらみつ「皆さん!お待たせしました!」
上空から前に出てきたのはチグサメ、カゼキリ、しらみつ、ただいなの搭乗した進化水晶機だ。続いて後ろにはいっこんぞめ、デビローズ、シャーヴァルの進化水晶機が投下されてきた
いっこんぞめ「おう。ちょうど良かったよ」
デビローズ「行くぜ!てめぇら全員!病院に送ってやるぜ!」
シャーヴァル「指揮をとらせてもらう。各自遊撃!季節柄火の回りが早い!短期決戦後消火作業!命を大事にしろ!以上!」
全「了解!」
カゼキリ「頭が高い!」
スカイテーブルという円盤に乗っているのがカゼキリの専用機、インヴェルム・サクセサー スラッシュだ。上空から背部に搭載された特別なバックパック。空刃投破から発射される空気の刃を空から放ち、自由を奪っていく
カゼキリ「今だ!チグサメ!」
チグサメ「…!」
そこへ跳び、格闘で巨大鎧機を破壊するのがチグサメ専用機、覇桜華扇 蹴襲竜頭(しゅうしゅうりゅうず)だ。バックパックやデフォルト武装はオミット、代わりに長い尻尾と強力な脚部、さらには機体を逆さにし、腕が足になり、脚部と尻尾が三つの竜の頭のようになる格闘特化機体だ。ちなみにコックピットは反転に対応している
いっこんぞめ「消し飛べ!」
右半身が水色、左半身が赤色のいっこんぞめ専用機、覇桜華扇 灼炎零凍(しゃくえんれいと)の右腕から冷凍ガスが勢い良く巨大鎧機に吹き付けられ、凍りつく。そこへ左腕から火炎弾を乱射、凍った巨大鎧機に直撃すると大爆発を起こす
いっこんぞめ「いいねぇ!最高だ!」
しらみつ「いっこんぞめさん。下がってください。クールタイム中にまたやると自機が爆発します!」
いっこんぞめ「あいよ。相反するって大変だ」
しらみつ「構造上一番手が込んでいるんですからね。前にも言ったように…」
いっこんぞめ「これのために試作機六機が全部おじゃんだろ?聞いたよ。それより大群さんのお出ましだ!やっちまいな!」
しらみつ「えぇ!離れてください…!」
覇桜華扇 銀色蛍(ぎんいろほたる)。それがしらみつの専用機の名前だ。バックパックがレドームのように展開。遥か空にある無人衛星からの光を浴びて。進化水晶機で必殺技を放った!
しらみつ「コスモ・ノーレッジ!!」
無人衛星から放たれたのはコスモ・ノーレッジ。それをなんと銀色蛍を媒介にし、反射。そのまま増幅された光線で数多の巨大鎧機が跡形も無く消滅した
デビローズ「マグネキネシス!スクラップになれ!!」
物騒な事を言いながらデビローズの乗る楯武 桃色長門(ももいろながと)は囲まれながらも巨大鎧機を倒し続けていた。だが相手も手段を選べないのか味方ごと桃色長門に一斉射撃。爆煙で桃色長門が見えない
デビローズ「痛くも痒くもねぇぜ!?本気でやれ!!」
なんとほぼノーダメージ。それどころか桃色長門から砲門が飛び出してきた
デビローズ「因果応報だ!くたばれ!!」
真上に放たれる砲撃。その衝撃で周囲の巨大鎧機はバランスを崩した
デビローズ「マグネキネシス!砲弾!マグネキネシス!敵の巨大鎧機!!」
マグネキネシスで砲弾を相手と結びつけて強制的にホーミングさせる荒業で殲滅。一方ただいなとシャーヴァルは背中合わせで戦っていた
シャーヴァル「大丈夫か?」
ただいな「はい!参考にさせていただきます!」
迫り来る巨大鎧機を切り捨てるのはただいなの専用機、覇桜華扇 大和撫子(やまとなでしこ)とシャーヴァルの専用機、覇桜華扇 不殺竜胆(ふさつのりんどう)だ。大和撫子は一本の刀と妖気を纏ったお札で、不殺竜胆は機体に備え付けられた何十本という刀を折れるまで使い続ける。赤夜叉の戦い方だった
シャーヴァル「我ながら参考にならないとは思うが…」
しらみつ「シャーヴァルさん。不殺竜胆はどうですか?」
シャーヴァル「しらみつか。悪くはないが刀がやはり折れる。強度を上げたんじゃないのか?」
しらみつ「上げましたよ。シャーヴァルさんの使い方がやはり荒いんですよ」
シャーヴァル「否定はしない」
赤夜叉。シャーヴァルが折れても構わない刀を使う時、力一杯鈍器として使ったりまるで釘抜きをするバールのように捻り込んだり軽くするためにわざと折ったりする。その荒さは進化水晶機である不殺竜胆に搭乗しても変わらないようで今まさに瓦礫に刀を刺し、即席スレッジハンマーにして敵巨大鎧機に殴りかかる。当然〆のかちあげに刀が耐えられるはずもなく折れ、シャーヴァルはそれを投げ捨てると次の刀を抜刀する
ただいな「破邪退滅…!瞬月符想斬!!」
お札の妖気を刀に纏わせて放つ斬撃で巨大鎧機を一閃。これで粗方片付いたようだった
シャーヴァル「周囲の状況は」
しらみつ「火は鎮火。怪我人少数。死傷者はいません」
シャーヴァル「そうか」
いっこんぞめ「あーあ。とんだクリスマスになっちまった」
デビローズ「まぁまぁ。ただいなさんのお告げが無ければもっと大惨事だったでしょうしここは良しとしましょう」
カゼキリ「賛成だ。…ところであれはやらないのか?」
シャーヴァル「あれ…?」
チグサメ「…」
シャーヴァル「それか…。あのアデアでさえノリノリでやるらしいな」
カゼキリ「観念してやるといい。一応活動報告の証拠として提出するものなのだろう?」
デビローズ「全員降りましてシャーヴァルさんを真ん中に…」
シャーヴァル「郷に入っては郷に従え…。よし、俺も覚悟を決めた。行くぞ」
全「勝利のポーズ!!決めっ!!」
シャーヴァル「というわけで報告を終了する」
ベノ「クリスマスの買い出しなのにごくろうさん。さて、年内の仕事は終わりだ。後は緊急時ぐらいだな」
シャーヴァル「そろそろ行くとするか。今回の功労者にもお前から言葉をかけてやるといい」
ベノ「おうよ。さあて…、今年もやろうぜ!クリスマス!!」
シャーヴァル「あぁ。今年も、来年も」
ベノの後ろ。シャーヴァルは優しく微笑んだ
終わり
お疲れ様でした。今日は特別な日。愛が溢れそうな日