アーマードコア・オルタネイティブ― 白い鳥 ― 作:カズヨシ0509
遅ればせながら、投稿致します。
相変わらずの滅茶苦茶な設定とシナリオですが、良ければドゾ。
AFギガベース
GA(グローバル・アーマメンツ)所属の拠点型アームズフォート。
双胴の本体と、設置された多数の砲台群、中央に設置された大型の連装砲塔によって構成されている。
AFとしては小型の部類に入る量産型のひとつで、クレイドル墜落後に更なる増産を行い、現在10数隻を越える。
底部にホバーとキャタピラを備えており、水上、地上での行動も可能。
主砲である連装砲の威力、精度は非常に高く、射程も極めて長い。
尚、地上限定で大型レールガンを使用可能。
全長:600メートル
全高:250メートル
全幅:400メートル
武装・大型実体弾砲(100センチ連装砲)×2
・速射野砲(30センチ単装砲)×8
・多連装ミサイルランチャー×12
・近距離防御用砲(75ミリ速射砲)×12
・近距離防御用マシンガン(40ミリ機関砲)×2
・推進機兼用レールガン×1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―― 1997年5月20日 欧州東方・巨大交易所・野外 ――
(推奨BGM アーマードコア3・サイレントライン ―― Silent Line )
迫り来るBETA突撃級――。
殺到するBETA光線級のレーザー――。
突撃級を跳び越え、レーザー照射を悉く躱し、只管に突き進む白い鋼鉄巨兵――。
「――光線級、依然目視出来ずっ!」
『――目標、彼我との距離、約17000ッ!!』
白い機体の中で飛鳥が叫び、輸送車両からスミカの声が返ってくる。
――17kmか!まだ遠いが、やってみるか!
標的としている光線級、重光線級の群れは、17km先に陣取っているらしい。
一応、ロングバレル化された『WS-16C』なら辛うじて届く距離でもあった。
しかし、命中させるには高い狙撃技術を要するだろう。
更に言えば、飛鳥自身は遠距離戦は苦手な部類に入り、狙撃技術には自信がない。
だが少しでも光線級の数を減らし、戦況を有利に進めたいのも事実である。
一旦高度を下げ、脚部を地面に接地――。
それと同時に、深く踏み込み一気に真上へとブーストジャンプ――。
高度400メートルまで、瞬時に到達した。
そして間髪入れずに、地上からのレーザーが殺到。
数百を超える、多数のレーザー群が機関砲のように押し寄せる。
――かなりの数だっ…!だがっ…!
普通なら、そのレーザー攻撃だけで一瞬にして蒸発させられるだろう。
だが、飛鳥のAC『白天翼』は機体位置をズラし、敵射線軸を流し、全く被弾する事は無かった。
とは言え、何時までも回避ばかりに専念してはいられない。
飛鳥は映像を拡大させ、レーザー射撃地点に座標を絞った。
――一応見えるな、殆ど密集形態で照射しているのか。これなら何とかっ…!
尚も迫り来るレーザーを躱しながら、飛鳥はガイドラインを頼りにノーロックで射撃を開始――。
取り敢えず、
三発放たれた36ミリ徹甲弾は、2発が光線級を逸れ1発が胴体部へと命中――。
一体の光線級を撃破した。
『――命中を確認っ!光線級一体を撃破ッ!』
スミカから光線級撃破を通達される。
「……」
しかし飛鳥は無言のままで、ヘルメットの中で表情を歪めていた。
――結果的に
目視とは言え光線級集団に狙いを絞って、引き金《トリガー》を引いた。
しかし放たれた三発の弾丸は二発が外れ、残り一発は目標物とは別の光線級に命中していたのである。
加えて言えば、光線級の顔部を撃ち抜く積りではあったが、結果的には胴体部を貫いていた。
それでも一体を仕留めた事に変わりはないのだが――。
だがそれも無理からぬ話だ。
怒涛のレーザー群を全弾回避しながら、ノーロックで目視での起動射撃――。
普通、狙撃は動作を停め、姿勢と銃身を固定し、外部からの様々な情報と環境特性を加味し、その特性を味方につけた上で初めて成り立つ高度の射撃技術である。
飛鳥が行ったのは悪条件が幾重にも重なった、最早狙撃とは呼べない唯の威嚇に近い応射とも呼べた。
――あの、
少し前に見たあの悪夢――。
その夢の中に出て来た、白刃の様な気配を纏った美しい少女――。
彼女は
その時の距離は約13km――。
初弾で命中させ、複数の光線級を撃破していた。
あの時の瞬間は今でも鮮明に記憶している。
尤も、彼女の置かれた状況と今の自分の状況では、雲泥の差が出て当り前でもあるのだが……。
「こちらレイヴン、更に距離を詰めます!」
この距離では、有効な打撃を与え辛い――。
そう判断し、飛鳥はフットペダルを踏み込み更に加速した。
その時である――。
『――光線級撃破ッ!』
突如として響く、スミカからの通信。
――ッ!?
飛鳥は、つい無意識に耳を傾ける。
『――光線級、更に撃破を確認ッ!』
――まただっ!
飛鳥はモニターを凝視し、光線級の群れへとカメラを向ける。
其処には現在進行形で、光線級が次々と体液を撒き散らしながら絶命していくのである。
「――誰かが狙撃している…一体何処からっ!?」
飛鳥は咄嗟に声を上げる。
『交易所の高台からだ!光線級との相対距離、約20000!』
「――20000ですってっ!?狙撃特化の友軍機ッ!」
スミカから諸元を告げられ、飛鳥は驚愕の声を上げた。
『――自分の心配をしろッ!』
「――は、はいっ!」
彼女に怒鳴られ、飛鳥は意識を地上へと戻した。
尤も、飛鳥は夥しいレーザー群を躱し続けながら、こうやってスミカに訊ねていたのだが……。
「――ターゲットインサイト、ファイアッ!」
その声と共に弾丸が射出され、モニター向こうのBETA光線級が四散した。
「命中、撃破を確認…次!」
光線級を仕留め、次の光線級へと的を絞る。
「――ターゲットインサイト、ファイアッ!――命中、撃破を確認…次!」
「――ターゲットインサイト、命中、撃破!」
その動作を繰り返し、当たり前の様に次々と光線級を仕留めてゆく。
試作型のMTを駆り、機体上部に装着されたACノーマル用のスナイパーライフルで光線級を狙撃――。
レーザー発射機構である眼部を射抜いていた。
交易所の高台に陣取り、小高い壁面をバリケードに見立て、銃身の身を露出させた稜線射撃を繰り返す。
BETAにとってMTの攻撃優先度は低く、半ば一方的な狙撃が成立し、弾切れまで光線級50体を仕留める事に成功。
「――此方、
試作型MTの搭乗者、山城上臣は弾切れを通告する。
『此方
「――了解!これより帰投します!」
どうやら増援部隊が展開できる態勢が整った様だ。
まだ自衛用の機銃が残っているが、こんな豆鉄砲でBETAの大群に挑むほど愚かではない。
味方が居ないのなら話は別だが、この戦闘では辟易する位の味方が後方に控えているのだ。
加えて、決戦兵器であるAF――それも、複数。
何とも頼もしく、一種の安心感さえ覚える。
――これだけの味方、せめて
嫌でも思い出す数年前の大陸戦線――。
絶望的なBETAの大群に呑まれ、容易く戦線は崩壊――。
真面にトリガーを引いた時は、既に陣形も崩壊した敗走時だった。
あの絶望下で、どうやって生き残ったのかは正直よく覚えていない。
気が付けば、ゲリラに拾われ軍用車両の中で目を覚ましていた。
そして大陸各地を転々とし、紆余曲折を得て今に至る。
――こうやって帰国の切符を得たのだ、必ず生きて祖国の土を踏んでやる。待っていろよ愛しき我が祖国日本、そして愛すべき我が家族よ!
彼はMTを巧みに操作し、ギガベースへと難なく帰還する。
「あの子は……もう随分大きく成っているだろうな。我が妹…
家を発ち、はや数年――。
機体を降りた彼は、
(推奨BGM マブラヴオルタ ―― 殱滅せよ! )
「これより、出撃するッ!」
出撃準備が整い、多数の戦術機がギガベースから発進した。
82式戦術歩行戦闘機『瑞鶴』と呼ばれる機種で統一された、日本帝国斯衛軍の部隊だ。
12機一個中隊で編成され、崇宰恭子が中隊指揮を執り先陣を切る。
『ネイル1より各機へ!これより小隊単位で、BETA群の駆逐に当たる!各位奮励せよっ!』
『『『『『――了解ッ!』』』』』
3個小隊に分かれ、崇宰恭子、如月佳織、真壁介六郎が小隊を率い、迫り来るBETAを迎え撃つ。
因みに、譜代武家である篁裕唯は大事を見越して、ギガベース内で待機していた。
万が一機体に不具合が生じた場合に、即時対応する為だ。
――思った以上にレーザーが来ないわね。
既に射線は開け、地上であろうとも光線級からのレーザーが飛来していた筈だが、今は上空に向けて照射されていた。
『小隊各機へっ!レーザーの来ない今の内に、BETAを漸減します!徹底的に叩けッ!』
今がチャンスと見た恭子は、部下達に呼び掛けBETA群に激しい攻勢を仕掛け、次々と駆逐していった。
『目標との距離、7000!』
「――ここまで詰めれば――」
光線級との接敵まで、あと7キロメートル。
飛鳥は頃合いと判断し、本格的な反撃態勢に移行した。
しかし――!
『――待って、ミサイル来るっ!!』
スピーカから響く、幼い少女の叫ぶ声。
声からして、あの社霞という少女の声だろう。
次の瞬間、コックピット内に警報音が鳴り響いた。
気が付けば、機体下方から数十発のミサイルが迫っていた。
「――っ!!」
飛鳥は透かさず、ハイブーストで位置をズラし一旦は回避する。
だがミサイルは誘導兵装で、一度はやり過ごしたものの弧を描き旋回機動で、再び襲い掛かって来た。
『――レーザーも来るぞ、警戒しろッ!』
ミサイルに加え、光線級のレーザー群も飛鳥に殺到する。
――くそぉっ!
更にハイブーストでレーザーをも躱すが、完全に出鼻を挫かれた形となり反撃のタイミングを逃してしまった。
「さっきのミサイルは、汚染AI郡か。ミサイルとレーザーの波状攻撃、これ程かよっ!」
現在の高度は約400メートル――。
地上には光線級や重光線級が群れを成しており、高度200メートル付近には戦闘ヘリと飛行型MTが編隊を組み飛行している。
――機銃弾は兎も角ミサイルは厄介だ、このまま放置する訳にもいかないか。
汚染AIを放置し光線級を目指しても良かったが、意表を突かれミサイル攻撃を受ければ、思わぬ被弾を招く恐れもある。
不意を突かれた攻撃で被弾し、それが元で死を迎える恐れも充分にあるのだ。
「先ずは、汚染AIに的を絞ります!」
飛鳥は汚染AI郡へと標的を定めた。
戦闘ヘリ、飛行型MT共に、ミサイルとロケット弾で武装しており、集団での弾幕は予想以上の火力に達する。
先に潰しておくのが得策であった。
「――ブーストッ!」
フットペダルを深く踏み込み、ブーストパワーを引き上げ降下した。
そのまま汚染AI郡へと距離を詰め、目標をサイトへと捉える。
戦闘ヘリや飛行型MTは、ロケット弾や機銃で迎撃を開始――。
――注意するのはロケット弾!
飛来するロケット弾のみを警戒し、WS-16Cの突撃砲でロケット弾ごと破壊しながら汚染AI郡へと弾幕射撃を行う。
殺到する機銃弾は20ミリ口径だ。
被弾した処で、表面装甲で全て弾き返し損傷にも至らない。
そのまま射撃を続け、戦闘ヘリ群を悉く撃墜し全滅させる。
その間にも、光線級のレーザーと飛行型MTのロケット弾が殺到する。
しかし飛鳥は、回避と反撃の一体化を図りブースト機動で位置を変えながら、左腕のライフルで飛行型MTを次々と撃ち抜き撃墜する。
汚染AIの総数は約40――。
数はそう多くはなく、然程の時間を要せず殲滅できた。
「――よし!付近の汚染AIの処理完了っ!これより、光線級の殲滅を再開しますッ!」
汚染AI航空戦力を殲滅し、本来の目標である光線級の群れへと急行する。
当然、地上からの激しいレーザー攻撃に晒されるがミサイルやロケット弾が止んだ分、回避は容易となった。
滑空機動に移りブーストエネルギーを節約しながら、距離を一気に詰める。
『目標との距離、6500、6000、5500、……4000――』
「――これより殲滅するッ!」
スミカから告げられる、光線級との相対距離。
4kmを切りモニターには、光線級と重光線級が群れを成して待ち構えていた。
付近には複数の要塞級や新種の『投石級』も確認できる。
投石級は、板状の頭部に多数の『戦車級』を乗せ投擲していた。
投石級に攻撃したい衝動に駆られるが、何とかそれを抑え込み光線級にのみ狙いを絞る。
「――光線級捕捉っ、今ッ!!」
目標物をロックオンし、WS-16Cで射撃――。
単射で光線級の眼部を撃ち抜き、一発につき一体ずつ確殺してゆく。
その間も、光線級はレーザーでの反撃を試みるが、自在に位置を変え飛び回るACを捉える事は出来ず掠りもしない。
飛鳥は回避と反撃を同時に行い、付近の光線級を仕留めていった。
巧みに位置を変えては撃ち、撃っては位置を変え的を絞らせない動きに、光線級は翻弄される。
そうしている間にも光線級は次々と数を減らし、200体居た光線級は全滅した。
「――光線級殲滅ッ!次ッ、――重光線級ッ!」
比較的運動性の高い光線級を片付け、50体ほど残っていた重光線級に狙いを定める。
重光線級はその名の通り高い攻撃力を有し、射程距離も極めて長大だ。
しかし動きは全体的に鈍重で、近距離戦に持ち込めば有利に事が運ぶ。
重光線級は眼部に防御用の被膜を展開でき、36ミリ弾では効果が薄くなる。
しかし左手に装備されているAC用のライフルなら被膜ごと破壊が可能だ。
60ミリの中口径弾に加え、貫通力も申し分ない。
「――貰ったッ!」
透かさず重光線級の眼部目掛けてライフルを発射。
弾丸は防御皮膜を貫通し眼球を粉砕しながら体組織を破壊する。
重光線級は、赤い体液を撒き散らしながら倒れ伏した。
その隙目掛けて、他の重光線級が高出力レーザーを照射するが、ACの機動性に追い付けず命中させる事が出来ない。
またレーザー照射中は防御皮膜も展開していない為、無防備でもある。
がら空きの眼部に弾丸を放ち、並み居る重光線級を撃破――。
延べ50体程居た、重光線級の殲滅を完了した。
――残りは要塞級と投石級、そして疎らにウロついている要撃級だな。
巨大な要塞級は移動こそするものの、動きは緩慢で主力武器である衝角腕も50メートルの射程距離でしかない。
その射程外に居る限り、直接攻撃される心配はないだろう。
時折、搭載していたBETAを生み出す事もあるが、生み出した瞬間は無防備で其処を攻撃すれば問題は無い。
警戒すべきは、戦車級を次々と放り投げる投石級と要撃級だろう。
飛鳥はその場で投石級の脚目掛けて、ライフルと背部武装のロケット弾を放つ。
甲殻に覆われていない投石級の脚部は肉質が柔軟でその分、弾丸が通り易い。
5体居た投石級の脚部を次々と破壊し、行動に制限を掛ける。
複数の投石級はバランスを崩し、地面へと崩れ落ちた。
全体重を支える脚部が破壊されたのだ。
最早満足に立ち上がる事さえままならず、投石級は無抵抗に等しい状態を晒す。
これで投石級は、実質無力と言っていい。
止めは友軍に任せておけばいいだろう。
飛鳥は、迫り来る要撃級を迎え撃つ。
この付近のレーザー級は存在しない。
飛鳥は空中からの射撃で要撃級を仕留め、そのままの流れで群れを全滅させた。
残りは3体の要塞級のみ。
其処へスミカからの通信が入る。
『
程無くしてモニター内に、依頼内容と音声が流れ込んで来た。
(推奨BGM アーマードコア・fa ―― Scorcher )
『緊急を要する。依頼主はいつものGA――。事を急ぐのでな、手短に行くぞ。悪いが手を貸し欲しい、此方にも光線級がわんさか陣取ってやがる。下手に跳び上がった機体から即、お陀仏って事例が増えてきてな、コッチも手を焼いているのさ。正面から圧し切りたい処だが、突撃級と要撃級に加え、盾を装備した汚染AIのノーマルのお陰で時間が掛かる。お前さんならレーザー避けながら光線級を黙らせられんだろ?見てたぞ!?有澤の方には事前に許可を貰ってるんでな、根回しの方は問題ないし、特別報酬も用意させた。…ま、そう言う訳なんで頼むぜ、レイヴン!』
GA社からの緊急依頼だった。
この巨大交易所を防衛する為の部隊だろう。
此処より少し離れた地域でも、BETA群との戦闘が繰り広げられている様だ。
どうやら光線級に、手を焼いているらしい。
それに此処では確認できなかった、汚染AIも敵陣に加わっている様だった。
『GAの連中、受ける事前提で依頼して来たな』
飛鳥の自由意思など無関係で、GAは緊急依頼を寄越してきた。
それ程までに戦況は思わしくないのだろう。
「請けたいのは山々ですが、もう弾薬と推進剤が――」
事情はどうであれ、GAは一応此方側の陣営だ。
必要とされている以上、救援に駆け付けたい気持ちも存在していたが、既に弾薬が心許なかった。
『――補給の件なら心配するな。指定座標に移動しろ、補給部隊が待機している筈だ』
「……僕の選択権、殆ど無意味ですね」
『そう言うな、今の内に精々恩を売ってやればいい』
飛鳥の選択肢など何処吹く風。
既に補給部隊が準備を整えているらしい。
『座標を送る、其処へ向かえ!』
「――分かりました、直ぐに急行します!」
スミカから指定座標が送信され、モニターに表示された。
飛鳥は指定座標に方向転換し、ブーストパワーを引き上げ一気に加速し、目的地へと向かう。
「…物の見事にレーザー全弾避けたわね、あの子…!」
輸送車両内にて、香月夕呼は飛鳥の戦闘内容に舌を巻いていた。
「これもACの性能のお陰でしょうか?」
イリーナ・ピアッティフもACについて言及する。
「……それもあるだろうけどアイツ、俺達とは
ギン・ユウキが飛鳥について少し説明した。
思えばあのクレイドル調査の時から、予兆はあった。
高度を上げれば、遥か遠方からレーザーでほぼ撃ち落とされるという非常な現実。
しかし、飛鳥はどう言う訳か、その前兆を感知する事ができるらしく、そのお陰で今日まで生き延びてきた。
今の処、その能力は光線級のレーザー回避に生かされてるようだが、他にも新たな可能性が発見されるかも知れない。
「……予知…の類、でしょうか?」
「そいつは何とも言えませんが、一つ言える事は、アイツは他の人間とは少し違うって事は確かだと思うんですよ。――俺はね」
ピアッティフは”予知ではないか?”と推察するが、ユウキにも詳しい事は分からなかった。
「あの子、何処かの施設で何らかの処置を受けたとか、そういう疑いはない?」
夕呼は、飛鳥が何処かの施設や実験所で強化処置を施されたのではないかと、訪ねてみた。
彼女は視線を向け、その先には小柄な少女『社霞』が映っている。
「精密な検査を受けん事には何ともな。――だが、簡易検査では何の異常も診られなかった」
スミカが言うには、既に簡易的な検査は済ませており、特に異常は無かったと語る。
「そう…。ああそうだ、その子の脳波やバイタルの波形もモニタリングしてあるんでしょ?」
「一応な。私は医療に関して少々不得手でな、さほど細かくチェックしてはいないのだが」
「此方に回して貰えるかしら?調べてみたいの」
「分かった、直ぐ寄越す」
夕呼は、飛鳥の脳波や生態波形に興味を示し、スミカは予めモニタリングしてあるデーターを夕呼へと送信する。
夕呼も画面に向かってキーボ-ドを叩き、早速調査を開始する。
――私の憶測が正しければ多分……。
夕呼は思い出していた。
最初飛鳥を紹介された時に見せた、奇妙な反応――。
握手を交わした時といい、社霞と同じ反応を示した時といい――。
――さぁ見せて貰うわよ!火無飛鳥君とやら…!
彼女は一心不乱に分析を開始した。
(推奨BGM マブラヴオルタ ―― ヴァルキリーズ )
「補給任務…ですか?」
ギガベース内にて、慌ただしく走り回る軍人達。
その中で、帝国軍人とは一線を画す迷彩服を着た青年と、山吹色の軍服を纏った男性仕官が対峙していた。
「そうだ。緊急を要していてな、正直人手が足りん。こき使って心苦しいが、頼まれてくれんか?」
山吹色の軍服を纏った仕官、篁裕唯は迷彩服の青年、山城上臣に頼み込む。
「お気になさらず、任務の詳細を――」
上臣は快諾し、任務内容を聞く態勢に入った。
篁裕唯が述べるには、一機の白いACが弾薬欠乏状態に陥っているとの事。
そこで弾薬や推進剤を搭載したMTを用いて出撃して欲しいとの要請だった。
BETA群真っ只中での進軍だ。
当然彼には護衛部隊が随伴され、その部隊は国連軍の特殊部隊『A-01』と呼ばれる部隊が担ってくれるとの事だ。
「先程の戦闘見せて貰った。貴官はMT操縦にも高い適性を備えている様だな」
「……恐縮です!」
彼自身MTに触れたのはごく最近であったが、MTは操縦が非常に簡潔で、特性さえ理解できれば僅か即日で戦闘起動が可能になる程だ。
日本帝国も当然この特性に目を付け、国土防衛に最適なMT開発に着手していた。
MT開発自体は、有澤に随行している帝国企業『大空寺重工』を始めとする数多くの企業が担当していた。
「既に『A-01』部隊は出撃を終え、野外にて待機している。急いでくれ!」
「――了解っ!お任せを!」
篁裕唯の命で、上臣は直ぐに用意されたMTへと搭乗し、主機に火を入れる。
『こちら山城機、起動を確認!これより現場へと急行します!』
「頼んだぞ、山城少尉!」
裕唯の声に、上臣はライトを短く点灯させる事で応え出撃する。
彼の搭乗する機体は、四脚型のMTで各種アタッチメントには、武器弾薬ボックスと推進剤入りのタンクが装着されている。
一応自衛用として、7,7ミリ機銃が2門装備されているが、精々少数の小型BETAに対応するのが関の山だろう。
護衛には、友軍機頼みとなる。
ブースト移動で、ギガベース外と出た山城機――。
「指定座標確認、これより急行する!」
『こちらA-01部隊ヴァルキリー1、貴官の座標を確認した。此方に向かわれたし!』
野外へと出た彼に、A-01部隊からの早速通信が入る。
「――了解!」
上臣は応答し、MTを移動させた。
……
F-4J撃震の主兵装、87式突撃砲から36ミリ徹甲弾が射出される。
「相変わらず数が多いね、BETA共は――」
A01部隊の衛士である藤澤月子は、群れで殺到する要撃級を仕留めた。
「唯でさえBETAの数に手を焼くってのに、今度は空中にも対応しなきゃならないなんてッ!」
月子の同僚である竹宮千夏の撃震は、上空に向かって突撃砲を連射していた。
空中で徘徊しているのは、多数の航空兵器群――。
無人の自律兵器にBETAが取り付き、人類に牙を剥いているのだ。
通称――汚染AI。
敵はBETAだけではない。
いや厳密に言えば、この汚染AI郡もBETAが関与しているのだが、人類が生み出した自律兵器も今や敵対勢力として稼働していた。
上空を低空飛行で飛び回り、低出力で単発式のパルスレーザーで地上を攻撃する、円盤状のガードメカだ。
単体なら戦術機の敵ではない。
しかし、200を超える群れで編隊を成し、空中を飛び回りながら地上に向け攻撃を仕掛けて来るのだ。
低威力の攻撃も、束になれば瞬く間に脅威と化す。
当然、汚染AIを放置する訳にもいかず、地上と空中、両方に対応しなければならない。
それは即ち、火力を対空にも割かねばならず、弾幕は必然と薄くなる。
「――ど、どうするんですかぁ!汚染AIの対処なんて経験してませんよぉッ…!」
月子、千夏の同期でもある三浦園子は悲鳴交じりに、対空射撃で応戦していた。
彼女は同期に比べ練度がやや低いものの、追加装甲である盾でパルスレーザーを防ぎながらも一機一機確実に、洗脳級BETAごとガードメカを撃ち落としてゆく。
「――こちらヴァルキリー2、無駄口を叩いている暇があるなら一機でも多く墜とせッ、貴様ら!」
そこへ、ヴァルキリー2のコールサインを持つ、伊隅=みちるの叱咤が飛ぶ。
彼女の機体は、地上のBETA群を相手取っていた。
――まだかしら、補給機と例の少年は…!
BETA軍と交戦し、まだ5分足らずではあったがBETAと汚染AIの苛烈な進軍に、焦燥感が芽生え始めていた。
既に光線級の殲滅は完了したという報告が入っている。
しかし他方面の光線級は未だ健在で下手に飛翔すれば、その光線級からレーザー照射もあり得るのだ。
「――ヴァルキリー1だ!貴様ら随分余裕だな。訓練校での
そんな彼女等に現隊長職のヴァルキリー1、神宮司まりもの怒号が鳴り響いた。
「――各機集中を乱すな!我々以外の友軍も、死に物狂いだという事を忘れるなッ!」
『『『『――了解っ!』』』』
――そろそろ辿り着いても良い頃合いだけど。
奮戦しながらも、まりもはレーダーに目をやり、補給機の位置を再確認する。
『――こちら山城機!現場に接近!』
『――こちらレイヴン!指定座標を視認しました!』
程無くして、補給用のMTとAC白天翼から通信が入り、現場に接近している事を伝えた。
「こちらヴァルキリー1、貴官らのマーカーを確認!ヴァルキリー3、補給機を誘導してやれ!」
『――了解!』
まりもは、竹宮機に補給MTの誘導を命じた。
「ヴァルキリー4は、あのACを出迎えてやれ!」
『――了解ぃッ!』
そして藤澤機には、ACの誘導を命じる。
――指定の座標は……あれか!
光線級を殲滅してからは戦局は一気に此方側に傾き、BETAの大群は確実に数を減らしていた。
しかし未だ尚、多数のBETAが群れを成し、飛鳥のACは残り少ない弾薬でBETAを仕留めながら、指定座標を視認する。
視界には一機の戦術機が、探照灯を点滅させながら彼を誘導した。
『――遅いぞ、君ぃ!急げ急げぇっ!』
「――スイマセン!直ぐに、補給を済ませます!」
藤澤機に導かれ、飛鳥のACは補給地点に到着した。
一方、補給MTを駆る山城上臣も、竹宮機の先導兼護衛を受け補給地点に到着する。
『――ここが指定の現場です!補給機とACは直ぐに補給作業を開始して下さい!』
「山城機、速やかに補給作業に移ります!ACは座標軸を合わせ、
――山城っ!?まさか、その名まで聞く事になるとは!
山城を名乗る青年に、飛鳥は一瞬だが動揺する。
あの時見た悪夢――。
碌な抵抗もままならず、活きたままBETAに食われた少女、山城上総。
スピーカーから聞こえて来た声は青年のものだが、彼女と関連性が有るのだろうか。
だが今は、そんな事を気に掛けている時ではない。
飛鳥は彼の指示に従い、補給作業に移行した。
飛鳥のACは、山城のMTに背を向ける形で片膝を突き、待機状態を維持する。
山城のMTも複数の作業用アームを作動させ、先ずACの弾薬を交換させた。
MT各所に設置された弾薬マガジンをアームで掴み取り、ACの武器に座標を合わせ設置していく。
更に背部武装のロケット弾も同じ手順で交換させ、弾薬作業は一通り完了した。
――残るは、推進剤の補充作業か。あまり慣れてないんだよなぁ、正直な処。
上臣は本来、斯衛軍の衛士でこういった補給作業に長けている訳ではなく、推進剤の補充には多少なりの時間を必要とした。
AC各所の給油口にノズルを刺し込み、完全に入った事を確認する。
その後、下手な衝撃でノズルが抜けない様にロックを掛け、此処で漸く推進剤を注入する手順に移った。
彼の不慣れな面も手伝い、一連の補充作業を終える頃には数分が経過していた。
『ケーブル解除!、補給完了!』
給油口からケーブルを取り外すと同時に、上臣は作業完了を宣言した。
「――弾薬よし、推進剤よし、計器異常なし、…生き返った!」
『システム、戦闘モード、起動』
多少の損傷はあれど、弾薬、燃料共に息を吹き返し、飛鳥はACシステムを戦闘モードへ切り替えた。
「こちらレイヴン、これより他方面の光線級殲滅任務へと移行します!」
そしてブースターを起動させ、依頼された戦域へと移動開始した。
『武運長久を、レイヴン!』
『しっかりね、君!』
上臣と月子から声援が飛ぶ。
「――補給感謝します!貴方達も、無事の生還を!」
飛鳥もA01部隊に感謝の意を述べ、更に加速させながら現場を飛び去った。
「――よし、補給任務は成功だ!幸い、此処の戦局は優位に傾いている!各機、気を抜かず最後まで任を果たすぞ!」
『『『『――了解!』』』』
ヴァルキリー1の”まりも”から檄が飛び、隊員たちは呼応し奮起した。
飛鳥が光線級を殲滅した事により、この方面の戦域は既に掃討戦へと移行しつつあった。
支援砲撃も本来の効力を発揮し、各部隊が火力を集中させる事により、BETA群の勢いは鳴りを潜めていた。
「山城機は念の為、後方へと待機されたし、此処は我々だけで対応可能だ!」
『了解、山城機、後退する!』
ACの補給という任を終えた山城機のMTは、戦闘部隊にとって足枷にしかならない。
「BETA群の勢いに陰りを認む。ヴァルキリー4、貴様は山城機の護衛を担当しろ!万が一を想定してな!」
『了解!こちらヴァルキリー4、補給MTの護衛任務に就きます!』
竹宮千夏は、”まりも”の命を受けMTの護衛に就き、山城機と共にギガベースへと後退を始めた。
既に、有澤方面の戦域はBETA群の掃討戦に移り、勝利を収めるのも時間の問題であった。
「よし、アイツがGA方面へと向かったな」
「そんじゃ、こっちも向かいますか」
スミカとユウキの乗る輸送車両も、飛鳥の動きに合わせGA方面へと車両を向かわせた。
多方面のBETA群は、未だ数多くが交易所に殺到しており、それを各企業軍が必死に食い止めていた。
相対的な戦況は、まだまだ予断を許さない状況であった。
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AFギガベース(有澤重工業仕様):有澤ギガベース
GAのAFギガベースを有澤重工業が買い取り、独自に改良した物。
元々有澤重工はAFを所有していなかったが、クレイドル墜落、BETA出現、次元の融合という目まぐるしい変化を皮切りに購入を決意。
(日本の国土に合わないのではないかという意見が多く、比較的小型で安価なAFランドクラブの購入も検討されていた)
日本は海洋国家である為、水上移動が可能なギガベースが選ばれた。
当然、有澤独自の改良が加えられ、巡航速度や航続距離を主眼に延長が図られている。
また武装面も有澤十八番の榴弾砲が搭載されている。
全長:615メートル
全高:250メートル
全幅:420メートル
武装・大型実体弾砲(80センチ連装砲)×2:大型榴弾、拡散対空弾、徹甲弾、電磁パルス弾、各弾種を搭載
・速射野砲(30センチ単装砲)×6:OIGAMI砲へと換装されており、副砲扱いである
・多連装ミサイルランチャー×12:連装巡航型×2、6連装中距離型×4、25連装短距離型×6
・近距離防御用砲(56ミリ速射砲)×16
・近距離防御用マシンガン(25ミリ機関砲)×8
・推進機兼用レールガン×1
・多連装レーザーキャノン(搭載予定)×?
AFギガベースには、オリジナル設定が多分に含まれておりますので、余り鵜呑みにしないで下さい。
それにしても、マブラヴという作品。
物凄い設定と情報量の多さに、把握し切れていないのが現状です。
と、言うより、設定全てを活かすのは私にとっては最早不可能。
ミリタリーもの好きなんですけど、いざ書くとなると凄く難しい…。
正直どこまで書けるやら想像も付きませんが、可能な限り頑張ってみます。
デハマタ。( ゚∀゚)/