アーマードコア・オルタネイティブ― 白い鳥 ―   作:カズヨシ0509

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ど~もです。
とうとうやってしまった、別作品の投稿。
大好きなフロム作品アーマードコアと、プレイした事も無いマブラヴオルタとの二次創作。
機械工学の知識も、政治的駆け引きの知識も無く、おまけに国語力も無い、無謀な挑戦。
完全な見切り発車です。
ふざんけんな!ゴラァ!という方々は、読まない事をお勧めします。
では暇潰しに、ドゾ! ( ゚∀゚)ゝ


序章―異形の邂逅―

 

アーマード・コア(AC)

 

 作業機械であったMT(マッスル・トレーサー)にコア思想を取り入れた

 CMT(CORED MT)をさらに戦闘用に発展させた兵器。

 強力なジェネレーターを内蔵した基本シャーシたるコアの各部に

 ハードポイントを設け共通規格による様々なアタッチメントを接続しあらゆる状況に

 対応する汎用性を持っているのが最大の特徴であり、その形態は人型に留まらない。

 戦車やヘリといった既存の兵器を超えた、高い戦闘能力を誇る戦場の花形である。

 

 鋼鉄の巨兵、異形の怪物。

 次元を跨ぎ両者は激突す。

 

 (詳しくはwikiってくだち!) ( ゚∀゚)ゝ

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 人類種の天敵。

 

そう呼ばれた一人のリンクスが存在した。

 

彼は、もう一人のリンクス『オールドキング』と共に、巨大航空プラットフォーム『クレイドル』を襲撃。

 

述べ一億人もの人々を殺害。

 

クレイドルを管理していた『統治企業連盟』通称『企業連』はこの異常事態を憂慮し、厳選されたリンクスと彼等の駆る人型兵器『アーマードコア・ネクスト』と投入。

 

抹殺を図る。

 

結果。

 

オールドキングを消す事には成功したが、代償として人類種の天敵は生き残り、討伐に赴いた彼等は全滅した。

 

或る者は死に、或る者は再起不能に追い込まれ、人類種の天敵に対抗できる戦力は無きに等しくなった。

 

……

 

否。

 

たった一人だけ、天敵に対抗出来る人物が存在した。

 

 

 

―― ホワイトグリント ――

 

 

 

独立海上自由都市『ラインアーク』に所属する非企業のリンクスと機体である。

 

形振り構わなくなった企業連は、恥も外聞もかなぐり捨て彼に討伐を依頼する。

 

斜陽のラインアークを再建できる程の膨大な額と技術を報酬に――。

 

 

 

人類種の天敵とホワイトグリント、両者が戦場で激突した。

 

コジマ汚染が進み、最早人が住むに適しない汚れ切った戦場で……。

 

結果はホワイトグリントが、辛うじて勝利し生き残った。

 

企業連の惜しみない助力を受けながらも人類種の天敵は強大で、ホワイトグリント自身も表舞台から退場する。

 

 

 

クレイドルが全滅し、経済の寄る辺を喪失した企業連――。

 

止む無く彼等は汚染され尽くした地球を離れる決意を固め、残された余力を振り絞りながら宇宙の進出へと舵を切った。

 

ささやかながら、汚染され尽くした地球に一時の平穏が戻った。

 

だが新たな戦いは、直ぐ其処まで忍び寄っていたのだ。

 

(あたか)も、『燻ぶりの湖』の如く――。

 

 

 

人類種の天敵とホワイトグリントの激戦が終わり、縦横無尽に戦場を駆け巡った人型兵器『アーマードコア・ネクスト』の殆どが姿を消し、彼等も歴史の表舞台から退場した。

 

企業連は総力を結集し、汚染物質であるコジマ粒子を使用するネクストに代わり、量産型であるノーマル以上の高性能化を目指した新型兵器の本格的な製造に着手。

 

膨大なデータと蓄積されたノウハウを駆使し、ごく短期間の内に新型アーマードコアを完成させるに至った。

 

 

 

 

 

―― アーマードコア・ハイエンドノーマル ――

 

 

 

(人類種の天敵が倒れて数週間しか経過していないが、ACハイエンドノーマルの設計、構想自体は、リンクス戦争時代から練られている)

 

 

 

 

コジマ粒子を全く使用する事はなく、ネクスト程の超高性能を発揮する事もないが、ノーマル以上の互換性や拡張性を誇る。

 

また、ネクストに必要な『AⅯS適正』を有する条件もなく、ある程度の量産にも融通が利いた。

 

戦場の支配権は再び、『リンクス』から『レイヴン』へと移り変わろうとしていた。

 

 

そう――。

 

移り変わるのだ――。

 

兵器が。

 

戦争が。

 

地上が。

 

地球が。

 

空が。

 

 

 

―― ()()() ――

 

 

 

空間を跨ぎ。

 

時代を跨ぎ。

 

宇宙を跨ぎ。

 

そして……。

 

 

 

()()()()()……。

 

 

 

()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

『作戦を説明する、雇い主はいつものGA。今回の目標は、欧州広域に墜落したクレイドルの調査だ。イかれた『人類種の天敵』が遺した忌々しい爪痕ってやつさ。まぁ、あの時からそこそこに時間は経っちまったが、あの施設は技術の結晶だからな、他の企業に独占されるのは此方としても面白くはないのさ。現場に到着次第、可能な限り残骸の回収と生存者の調査だ。この作戦には大規模な部隊が投入され、既に他の企業も動きを見せていやがる。あまり無意味な戦闘は避けたい処だが奴等が攻撃してきた場合は遠慮は要らんぜ、その時は存分に暴れな。報酬も前金ありで準備しておいた。お前等新人のレイヴンにとっちゃ、十分な準備資金になるだろう?どうだ、やるか?悪い話じゃないと思うぜ?返事を待つ』

 

 

 

 狭い自室に備え付けられた端末から依頼が舞い込んで来た。

 

レイヴンの適性試験に合格して以来、いつもお世話になっている巨大企業『GA社』からの依頼だ。

 

相変わらずの砕けた口調で、大まかな説明を聞き入る一人の新人レイヴン。

 

まだ14になったばかりの少年『火無(ひむ)飛鳥(あすか)』は、()()()()を思い返す。

 

人類種の天敵がクレイドルを堕とし、その後更に破壊活動に手を染めた。

 

数え切れない程の人命が奪われ、結果的に彼は討たれたものの地球は最早、修復不可能なほどに汚染され尽くしている。

 

管理機構である企業連は宇宙への脱出を計画している様だが、独立傭兵の道を選んだ自分は地上に残されるだろう。

 

既に治安維持も疎かな程に、企業連も社会も疲弊し切っているのだ。

 

恐らくこの地球は無法地帯となり、遠からず戦乱の時代が幕を開けるだろう。

 

その時生き残るには、やはり『力』が必要不可欠となる。

 

何ものにも屈せず、自らを貫き通すだけの純然たる『力』が――。

 

今の内に資金を溜め、機体を改造強化し、自らを更に鍛え上げ知性と能力を磨く。

 

そうしなければ、生きるには厳しい時代なのだ。

 

 

 

―― 好きなように生き、好きなように死ぬ…誰の為でもなく ――

 

 

 

誰かの言葉だっただろうか。

 

自分達レイヴンに伝わる、言わば信仰に近い言葉だ。

 

自分も()()ありたい。

 

故に、この道を目指し念願叶いレイヴンと成ったのだ。

 

意識を現実へと引き戻し、少年は受諾の項目を押した。

 

その瞬間に画面から自分の残高が現れ、見る見る間にその数値が上昇してゆく。

 

前金が振り込まれたのだ。

 

リンクス基準からすればその金額は微々たる額だが、彼等レイヴンにとってはこれだけで充分な準備を整える事が出来る。

 

況してや彼の様な新人には尚更であった。

 

恐らく他の同業者達も、同じ依頼を受けている筈だ。

 

彼は席を立ち上がり、作戦の準備に取り掛かる為に自室を出た。

 

 

 

―― 作戦決行の日 ――

 

 

 

飛鳥が拠点としている所は、欧州のアジア寄りに位置する大規模な巨大交易所だ。

 

其処には、多種多様な組織や集団が取引の為に訪れる場所でもあり、一種の都市と化していた。

 

これ等の交易所は世界各地に点在し、汚染された地上に取り残された人々にとっては一種の楽園ともいえる。

 

当然これら交易所は、企業連の管理下ではあったが、クレイドルが崩壊し疲弊に疲弊を重ねた企業連の監視が緩まりつつある。

 

それにより、入居者の審査や違法取引の審査が有耶無耶となり、彼が住まう交易所にも様々な輩が群がり、混迷の度合いが増していた。

 

彼の住まう交易所は、数在る中でも大規模な部類に位置し企業連直轄の企業が介入する事も多々ある。

 

「AC起動準備完了」

 

 火を入れ、起動の為の手順を手際良くこなし、何時でも動ける状態へと移行する。

 

「おおぅ!中々サマになって来たじゃないか、お前も!」

 

 整備士の青年は、マイクから彼の機体へと語り掛ける。

 

「貴方の腕前と教導のお陰ですよ!」

 

 飛鳥は、若い整備士の男へと返した。

 

この整備士――。

 

元はリンクスという経歴を持っていた。

 

ごく最近この交易所へと流れ着き、その当時は酷い重傷を負っていた。

 

その青年は若い女性を伴い、彼女とは師弟を含んだ家族関係だと言う。

 

当時レイヴン試験に合格したばかりの飛鳥は彼等と出会い、困窮していた二人に部屋を提供した。

 

資金に殆ど余裕も無く、狭く必要最低限の環境しか提供してやれなかったが、彼等は大いに飛鳥へ感謝した。

 

それが縁で二人は協力してくれる事となった。

 

若い男はACに対して深い操縦のノウハウと整備知識を有し、若い女性も元リンクスでありながら高いオペレーターとしての技術を有していたのである。

 

まだ経験の浅い飛鳥にとって、二人の存在は非常に頼もしい事この上なかった。

 

若い整備士の男からは生き残る為のコツと戦術を学び、若い女からは的確な情報提供で数々の作戦を完遂できた。

 

それにより、新人ながら彼が得た報酬は同業者達を遥かに凌ぎ、結果二人を養う事も苦ではなかったのである。

 

『大規模作戦の前にしては中々に落ち着いている様だな。その調子を維持しつつ戦場で取り乱すなよ』

 

 モニターからオペレーターである彼女の声が聞こえて来た。

 

「ええ、勿論!今回もたっぷりと稼いできます、スミカさん!」

 

 彼女の名前は、カスミ・スミカと言うらしい。

 

現役時代、別名義で活動していたらしいが、此処に流れ着いた時から本名をな名乗る事にしたようだ。

 

名前から察するに、彼女も自分や整備士の青年と同様、日本人なのだろう。

 

因みに元リンクスである整備士の名は、ギン・ユウキと言う。

 

「何か不測の事態が起こった時の為に、今回は俺達も同行する。安心して作戦に励んで来い!」

『お前はまだ、人を殺めた経験は無かった筈だ。何時かは覚悟を決める時が必ずやって来る、案外それは今日かも知れん。肝に銘じておけ!』

 

 今回の作戦には、二人も同行してくれるらしい。

 

しかしスミカの言葉は、飛鳥にとって重く圧し掛かった。

 

そう。

 

彼はまだ、人を直接殺めた事が無い。

 

今迄の作戦でも、何度か敵を撃破し成功を収めてきたが、それは標的を守るガードメカや無人機といった類の自律兵器ばかりだった。

 

しかし今回の作戦は、様々な陣営の部隊が入り乱れて行うものだ。

 

今迄とは勝手が違い、若しかしたら有人機を相手にする場合もあり得るだろう。

 

「セレn……っと、スミカさん!コイツには、まだ少し早くありませんか?」

『何を寝ぼけた事言っている?この平和な空間で腑抜けたか?遅かれ早かれ誰もが通る道だ、覚悟が無ければ傭兵など務まらん!昔のお前はそれを理解していた筈だが?』

「――…!」

 

――この二人の過去に何があったのだろう?

 

俄かに感情的になる、ユウキとスミカ。

 

この場合、スミカが正しい。

 

まだ経験の浅い飛鳥ではあったが、この位は理解していた。

 

そうだ。

 

傭兵稼業を続ける以上、敵は無人機ばかりとは限らない。

 

何時かは人が乗る有人機を相手取る日が必ず到来する。

 

依頼内容によっては、それがターゲットとなり得る場合もあるのだ。

 

彼女の言う通り、それは今日訪れるかも知れない。

 

中途半端な情に駆られ、攻撃を躊躇っていては死ぬのは自分自身なのだ。

 

生きている以上、人には必ず死が訪れる。

 

しかし、傭兵として生きていくと決めた。

 

レイヴンとして日が浅い内に死んだのでは、何の為にレイヴンと成ったのかが無意味になる。

 

覚悟を決めねばならない。

 

「ユウキさん、彼女の言う通りです。()()()が来れば引き金(トリガー)を引きます!――()()()為にっ!」

 

「……」

『忘れるなよ、その決意』

 

 一通りの通信を終え、飛鳥の駆る機体は輸送車へと移動を開始した。

 

依頼主である『GA』所属の輸送車だ。

 

そして二人も追うように彼の乗る輸送車へと搭乗する。

 

その後、彼等と同じくこの作戦に参加する数多くの傭兵達が、各々の輸送車両へと乗り込み現場へと発車した。

 

 

 

荒れ地を走行する輸送車両に揺られながら、飛鳥はふと疑問を口にする。

 

「何故今回に限って、空路ではなく陸路での輸送を?」

 

 誰かに意図して口にした訳ではなかったが、彼の質問には専属オペレーターであるスミカが質問に答えてくれた。

 

『ごく最近の出来事だが、ここいら一帯で輸送機を使えば必ずと言っていい程、レーザー兵器で撃墜されてしまうのだ。その命中率は、ほぼ100パーセントと言っていい程に正確無比だ』

 

 今までACの輸送は航空機を使用した空路が常套手段であった。

 

わざわざ障害物や悪路を苦労して乗り越える陸路を選択する理由は、ほぼ皆無と言っていい。

 

制空権が敵に握られているなら話は別だが。

 

しかし、数週間ほど前から欧州全域では航空機の飛行が困難となっていた。

 

下手に飛べば、何処からともなく多数のレーザーが照射され、撃墜されてしまうのである。

 

その命中率は極めて正確で、高速機でさえ撃ち落としてしまう程だった。

 

対レーザー用の装甲を備えた極超音速機なら辛うじて突破出来るに留まり、下手をすれば企業の切り札『アームズフォート』すら撃墜されてしまう始末だ。

 

故に、どの企業も空路での移動は困難を極め、こうして陸路での移動を余儀なくされていたのであった。

 

現在、レーザー照射の元凶を調査中ではあるが、派遣した部隊の悉くが消息を絶ち、行方が分からず仕舞いとなっている。

 

「一体何が起こっているのか……」

 

 揺れる身体をシートベルトが抑え込み、腕を組みながらユウキは思案に耽る。

 

――まるで『アサルトセル』の地上版だな。

 

彼は衛星軌道上に陣取る、無人無差別攻撃兵器『アサルトセル』を思い返していた。

 

 

 

『見えてきたぞ。墜落したクレイドルの残骸だ!』

 

 スミカの声に飛鳥は映し出されたモニターに目を向け、ユウキは窓越しにその光景を直視する。

 

人類種の天敵による攻撃と、墜落の衝撃で破壊され尽くし、無残な姿で横たわるクレイドルの残骸。

 

作戦内容には生存者の調査と救出も含まれてはいたが、正直可能性は限りなく低いだろう。

 

「これでは生きている人達が居るかどうかも……」

「――諦めるなっ!……頼むっ…!一人でも多く…助け出してくれ……頼むっ……!」

「――!?ユウキ…さ…ん?」

 素人目に見ても、生存者の存在など最早絶望的と悟らざるを得ない程に、クレイドルは歪みに歪み原形を留めてはいなかった。

 

その映像を目にした飛鳥に、ユウキは悲痛さを込め呻く様な声で、生存者の救助を願う。

 

彼の言葉は果たして飛鳥に向けられたものだろうか。

 

それとも……。

 

『ユウキ……』

 

 誰にも聞き取れない小声で、スミカは一人彼の名を呟く。

 

嘗てはリンクスであり、今は整備士として今を生きる若い青年の名を。

 

クレイドルの輪郭が近付くにつれ、ノイズ交じりの音声が彼等の輸送車へと流れ込んで来る。

 

『なんだ?向こうでは随分混乱しているな』

 

 輸送車の運転を担う、GA社の運転手は聞き取れない音声に訝んだ。

 

『此処から先は少々危険だ。停車してくれ、ACを向かわせる』

『り、了解!』

 

 長年の経験から来る勘なのだろうか。

 

スミカは輸送車を停車させ、其処からACを出撃させる考えだ。

 

『飛鳥。此処からACで出撃し、状況把握に努めろ。ノイズが酷く、真面に聞き取れやしない。お前の機体を中継すれば幾らかマシにはなる筈だ。だが決して警戒を怠るな!私の経験上、かなりの確率で戦闘が予想される。しかも、ノイズの状況からして相当の混乱状態と来やがる。いいか、覚悟を決めつつ慎重に行け!』

『飛鳥!危険と判断したら、迷わず逃げろ!体裁なんか気にしなくていい!生き残れば次が有る、忘れるなよ!』

 

 オペレータであるスミカと、専属整備士であるユウキから激励が飛ぶ。

 

「――了、任せて下さい!」

 

 二人にそう返し、飛鳥は機体を起動させた。

 

停車した輸送車から後部のカーゴブロックが開き、中に搭載されていたACが起き上がり大地へと降り立つ。

 

『起動完了!何時でも行けます!』

 

 機体のコックピット内にOSの合成音声が流れ、何時でも動かせる状態に移行した事を告げた。

 

「ではACハイエンドノーマル『白天翼』出撃しますっ!」

 

 白を主軸とした青と赤のスリートンカラーで塗装された彼のAC『白天翼』はブースターを吹かし、現場まで一気に駆け抜けた。

 

彼自身まだまだ新人の域である為、機体構成もほぼ支給品で構成されていたが、それでも総合性能は従来のノーマルに勝り、ブースター速度は200Kmに達していた。

 

クレイドルは非常に巨大な構造物であり、落下した衝撃と桁外れの質量エネルギーで、地面に深いクレータが形成され其処に半ば埋まった形だ。

 

現場に近付くにつれ、ノイズ交じりの通信が徐々に鮮明になる。

 

彼のAC『白天翼』が現場に到着し、丁度クレーターに埋まったクレイドルを見下ろす形で頭部のメインカメラを下に向けた。

 

その瞬間、飛鳥の表情は驚愕に染まった。

 

彼の眼下には信じられない異様な光景が広がっていたのだ。

 

『ぎゃあぁぁあああっ!!』

『や、やめろぉォっ……!』

『く、来るな…来るなぁぁぁっ!!』

『イぃっ、いでぇええっ、いでぇえぇよぉぉおおっ!!』

 

「……」

 

 言葉が浮かばなかった。

 

多数のMTやノーマルが、見た事も無い異様な生き物に捕食されていたのである。

 

文字通り。

 

その生き物は、不気味な色合いで構成され不自然に長い腕と巨大な口部を持ち、機体に取り付いたかと思えばそのまま外部装甲ごと噛み付いていた。

 

そしてそのまま装甲を食い破り、租借し貪り食っていたのであった。

 

「…ァ…あぁ…何…だ…これ…?」

 

 初めて目にする光景。

 

どう形容して良いのかも分からない。

 

次に何をすべきなのか。

 

どう動けばいいのか。

 

取るべき選択肢は。

 

 

 

何も思い浮かばない。

 

思考が上手く働かないのだ。

 

 

 

『い、嫌だぁっ……じにだぐねぇぇっ……!!』

『ぐぎぃやぁゃあああっ!!』

『腕がァっ…、俺の腕がァ……!!』

『嫌ぁぁあ、ダレがァっ……!』

 

 

 

飛鳥は只々呆然とカメラに捉えるのみ。

 

動かなかった…否…動けなかった。

 

機体の装甲を食い尽くせば、やがて中の搭乗者が露出する。

 

コックピットからの脱出もままならず搭乗者はシートベルトを外せぬまま、座席ごとその怪物に()()()()()喰われていたのである。

 

しかも質の悪い事に、頭部から喰われるのではなく末端部、即ち手足から食い千切られ断末魔の絶叫を上げながら食い殺されていくのだ。

 

無造作に流れて来る音声は、金属と肉の潰れ合う音と彼等の泣き叫ぶ悲鳴に支配されていた。

 

その地獄絵図が周囲に広がり、至る所で犠牲者が続出していた。

 

所々では、生き残った者達が必死の抵抗を続けている。

 

自分と同じくハイエンドノーマルのAC達は、まだ奮戦していた。

 

その姿が飛鳥の意識を現実へと引き戻し、彼は通信回線を開く。

 

「す…スミカさん見えますか、この光景が……!」

 

 遥か後方にて待機する輸送車両に語り掛けた。

 

彼のACが中継地点となり、映像と音声のノイズを除去しながらデーターを増幅し輸送車両へと送信する事で、彼等にも鮮明な状況が伝わっていた。

 

『ああ、此方でも把握した。そんな事よりも早く臨戦体制を取れ!化け物がお前に迫っているぞ、複数だ!』

 

 スミカの怒鳴り声が飛鳥の耳を(つんざき)き、彼は急いでレーダーを確認した。

 

気が付けば、あの異様な怪物が直ぐ此方に迫っていた。

 

「――う、うわぁあぁっ!」

 

 身の毛もよだつ醜悪な怪物に、飛鳥は叫び声を上げ咄嗟に射撃を開始する。

 

ACのマニピュレーターが始動し、ライフルの引き金を引いた事で銃口から弾丸が射出された。

 

60ミリの徹甲弾だ。

 

彼の機体『白天翼』が装備しているライフルは『CR-WR69R』と呼ばれる支給品で、所謂初期ライフルとも言われていた。

 

当然、必要最低限の性能しか持たない銃だが、装備した際の機体負荷が軽く弾薬費も非常に安価と言う利点を備えている。

 

ハイエンドノーマルが世に出回った事で、この武器も市場に流れる事となったが、銃本体も非常に易く量産が利くため、時にはノーマルが無理にでも装備する事がある位に需要が高い。

 

CR-WR69Rから放たれた弾丸が、怪物の顔面に吸い込まれた瞬間、グチャリと減り込み肉片と血を撒き散らしながら体組織を破壊。

 

突撃した勢いのまま倒れ込み、そのまま動かなくなった。

 

「――っ!?……死んだ……の…か…?」

 

 その姿をミニター越しに確認し、視線が釘付けになりながらも飛鳥は言い様の無い手応えを感じていた。

 

今迄撃ち落としてきた無人機やガードメカとは違う奇妙な感覚。

 

操縦桿から伝わる、言葉に出来ない何時もと違った感触が彼の脳裏を支配する。

 

そう――。

 

彼は今日、初めて生き物を手に掛けたのであった。

 

「……」

 

 言葉も無く、彼は茫然と怪物の死体を見つめていたが、スピーカーからの怒号が彼を瞬時に現実へと引き戻した。

 

『ボサッとするな!まだ居るぞ、喰われたいのかっ!』

 

 オペレーターであるスミカの怒鳴り声で彼は我に返り、尚も殺到する怪物にライフルを立て続けに発射し、次々と怪物を仕留めてゆく。

 

気が付けば5体の怪物が地面に倒れ伏し、ピクリとも動く事は無かった。

 

『ようし、一発で一体ずつ確殺出来たな。甘ちゃんにしては、射撃の腕は及第点か。罪悪感なぞ感じている暇は無いぞ!周りの連中みたいに死にたくはあるまい?』

「はぁ…、はぁ…、はぁ……、ええ…、その通り…です…。僕は…食われる為に此処に来たんじゃない!」

 

――支給品のライフルだが、当たれば死んでくれるな…この怪物。

 

得体の知れない生き物の命を奪った現実が彼を苛むが、此処はもう戦場なのだ。

 

たとえ相手が生き物であったとしても、生きるか死ぬかの命のやり取りが此処には在る。

 

中途半端な良心や薄っぺらい博愛精神を振り翳す事に意味は無く、故に現実が其処に在り人間性が発露する。

 

だから君…闘志を恐れるなかれ。

 

さぁ、われら闘争の時だ!

 

 

 

(推奨BGM AC4 - Panther)

 

 

 

飛鳥の周りには生き残った部隊が未だ怪物相手に奮戦している。

 

一々驚いてはいられない。

 

「これより、怪物との戦闘に移行します!」

 

 まだ拙いながらも戦闘機動で機体を加速させながら、怪物の群れへと突撃した。

 

その動きに反応したのか多数の怪物は一斉に此方へと振り向き、次々と迫り来る。

 

――動きを止めれば、噛み付かれて一巻の終わりだ!

 

目の前で無残に食い殺されたパイロット達の光景が頭を過り、彼はライフルを連射――。

 

射撃手段が無いのだろうか。

 

怪物の群れは成す術も無いまま、此方に到達する事も無く次々と倒れ伏す。

 

だがそれは、彼にとって幸いとも言えた。

 

殺到する怪物は優に百を超え、もし遠距離手段が備わっていれば瞬く間に此方が討ち取られていただろう。

 

しかしライフルの弾丸とて無限ではなく、既に50%を切っていた。

 

弾切れを懸念する飛鳥ではあったが、怪物が彼に向いている間に体勢を立て直した友軍からの援護が彼を救う。

 

群れを成した怪物に多数の弾丸が撃ち込まれ、その一群は殲滅された。

 

だが息をつく暇もなく、次々と他の群れが此方に向かって来た。

 

『う、うわぁ!こ、こいつらだ!こいつらの所為で、味方がぁっ……!』

 

 生き残った誰かが叫ぶ。

 

「何だ?さっきまでとは違う種類だ……」

 

 先程までの戦闘で目にしたのは大半が、赤く顎で機体ごと搭乗者を噛み砕いた種と、白色の上半身が人に似た小型の怪物だった。

 

しかし今此方に迫り来るのは、全部が甲羅の様なナニカで覆われた大型の怪物だ。

 

更にその突進速度はノーマルやハイエンドノーマル程ではないにせよ、かなりのスピードを誇っていた。

 

『クソっ、やっぱり速いぞコイツ等!』

『つべこべ言わず、火力を集中させろっ!』

『うわっ来るなぁ、来るんじゃねぇ!』

 

 予想以上の突進速度を誇る新手の怪物。

 

生き残った友軍は、すぐさま群れに一斉射撃を試みた。

 

MTやノーマルが放つ弾丸の雨が群れに吸い込まれるが、怪物の突撃は衰える事が無い。

 

『ちくしょう、コイツ等の装甲には歯が立たねぇ!』

 

 怪物の前面に当たる部分は装甲なのか甲殻と言うべきか、とにかく非常に堅牢で打ち込まれた弾丸はほぼ全てが弾かれ、有効とは言い難い。

 

無論飛鳥の白天翼も、攻撃に参加していたが初期ライフルでは効果が薄く結果は変わらなかった。

 

『おい誰でもいい!飛び上がって後ろから攻撃しろっ!』

 

 ノーマルの誰かがオープンチャネルで呼び掛ける。

 

どうやらこの怪物の後方は、甲殻には覆われておらず無防備だと言うのだ。

 

「――僕が行きます!」

 

 逡巡している暇は無い。

 

飛鳥は透かさず飛び上がり、怪物の頭上を飛び越えブースターの出力を抑え滞空しながら空中後方から射撃を浴びせた。

 

ライフルから放たれる弾丸は柔らかい肉質に吸い込まれ、その怪物は斃れ地面に横たわる。

 

「よし、情報通りだ!後方なら効果はあるぞ!」

 

 結果に気分を良くした飛鳥は更にブースターを吹かし、機体の高度を上げる。

 

『止せぇ!それ以上高度を上げるなぁっ!!』

 

 突如としてスミカの怒号が彼の耳を打った。

 

余りの感情の籠もった彼女の叫び声。

 

それが原因だったのだろうか。

 

「――うっ…!」

 

 突如として頭に()()()をぶつけられたかの様な感覚に見舞われる。

 

一瞬ではあったが、確かに熱を帯びたナニカをぶつけられたかのような、奇妙な感覚。

 

彼は半ば反射的に本能的に、操縦桿とフットペダルを踏み付け、それに反応した機体は横方向にブースターを吹かす形となった。

 

その起動は『ハイブースト』と呼ばれる動作で、一瞬だがブースターを高出力で噴射する事で機体を瞬時に移動させる事が出来る。

 

主に緊急回避や相手を攪乱する為に使われる事が多いが、代償としてエネルギーを大量に消耗し、そう多用出来るものではない。

 

況してや、ほぼ初期機体で構成された今の白天翼では、尚更だ。

 

しかし、本能的とも言えるその行動が彼の命運を分けた――。

 

狙ったものではないとは言え、彼の行ったハイブースト。

 

それと同時に光の帯が、白天翼の直ぐ傍を通り抜けたのだ。

 

「――!?」

『直ぐに高度を下げろ!死ぬぞっ!』

 

 驚く飛鳥を余所に、スミカの怒号が畳み掛けられ彼は咄嗟に高度を下げる。

 

そして再び、光の帯が夥しい程の数で頭上直ぐ上を通り抜けた。

 

――あれは…、レーザー!

 

「そういう事だったのかっ……!」

『これで分かっただろう、航空機が使えない理由が』

 

 スミカとユウキが語っていた、空路が使えなくなった理由――。

 

一定の高度を上げた飛翔体は、皆例外なく正体不明のレーザーに貫き焼かれてしまうのである。

 

オーメルサイエンスの誇るアームズフォート『イクリプス』でさえもだ。

 

『今のは高度300メートルだ。レーザーで死にたくなければ、それ以下の高度を維持しろ、いいな!バカヤロウがっ…!』

「は…はい……!」

 

 被弾する事は無かったが、彼は身を以てレーザーの洗礼を受け恐怖を覚えながらも低空飛行を維持する。

 

そして自分の役割を思い出し、再び甲殻を纏った怪物の後方を次々と打ち抜いた。

 

「くそっ、もう弾が…!」

 

 CR-WR69Rの装弾数は、約120発。

 

度重なる怪物との戦闘で、既に残り段数は10発以下となっていた。

 

一応支給品であるレーザーブレードも装備しているが、あの怪物相手に通用するか未知数であり、とてもではないが今の自分では接近戦を挑む気にもなれない。

 

そんな彼の元へユウキから通信が入る。

 

『もう戦闘はいい、データーは充分に取れたからな!それよりもマーカを送る。そっちの方角に民間人が居る筈だ!』

「――民間人!?」

 

 ユウキは飛鳥へとデーターを送信し、ACのメインモニターにはマーカーが表示される。

 

飛鳥はマーカーの示す方角へとカメラを向けた。

 

「――!あの人達はまさか、クレイドルの生き残り!?」

 

 彼のモニターにはクレイドルの居住ブロックから脱出を試みる10名足らずの人々が映った。

 

周囲に漂う汚染物質『コジマ粒子』を懸念しているのだろう。

 

全員が宇宙服に似た防護服を身に付け、一際体躯の小さい人物が数名存在していた。

 

「幼子も含まれているのか!」

『その通りだ。恐らくお前よりのまだ幼い子供達だ!頼む、助けてやってくれないか』

『救出するにせよ、このまま撤退するにせよ、迷いは戦場で死を招く。即断即決だ、躊躇うな!』

 

 ユウキの頼み、スミカの叱咤が飛んで来るが、既に飛鳥の意思は決まっている。

 

「これより救出任務に移行します!」

 

 飛鳥は直ぐにでも方向転換し、墜落したクレイドルへと機体を躍らせた。

 

「僕や大人は兎も角、小さき幼子に罪はない!」

『すまない。本当なら俺が行ってやりたかった……』

「……ユウキさん……」

 

 飛鳥がクレイドルへと移動する際、ユウキの無念さとやるせなさの入り混じった声が聞こえて来る。

 

しかし飛鳥は一瞬だけ彼へと意識を向けたが、直ぐに気持ちを切り替え救出作業へと専念した。

 

 

 

「クソ、外も怪物だらけだ!」

「そ、そんな…」

「折角ここ迄、脱出したのに……」

「う、うぅ…こわいよぉ……」

 

 クレイドルの隔壁版を取り外し、外へと脱出に成功した生き残り達。

 

人類種の天敵は確かにクレイドルを攻撃したが、それはエンジン部やコジマエネルギーを推進力に変える部位に絞られ、居住区を直接攻撃する事は無かった。

 

最も落下の衝撃と爆発で、殆どの住人は死滅したのだが。

 

しかし、運良く助かった人々が居たのも事実であり、彼等はそんな人達の一部だ。

 

落下して暫くは避難区で生活していたが、或る日を境に正体不明の怪物が生き残りである彼等に襲い掛かった。

 

彼は武器を取り必死に抵抗し、更に生き残った命を散らす事になる。

 

今日まで運良く生き残り、何とかクレイドルから脱出できた彼等ではあった――。

 

しかし、喜びもつかの間。

 

外にもあの不気味な怪物が其処彼処に存在していた。

 

「も…もう…駄目だ……」

 

 生き残りの一人が膝を落とし項垂れる。

 

そうしている間にも、赤い怪物の一体が彼等を察知し此方へと迫って来た。

 

異様に長い手を器用に駆使し、壁面を難なく登攀しながら彼等を捕食せんと迫る。

 

「――うぅっ!く、来るな…来るなぁっ!!」

 

 一人は叫び、ハンドガンを乱射するが急所には当たっていないのだろう、赤い怪物は御構い無しに大きく口を開け、まず小柄な子供へと狙いを定める。

 

子供は恐怖のあまり泣く事も忘れ、呆然と怪物を見る事しか出来なかった。

 

――その時である。

 

突如、怪物の頭部が弾け飛び更に白い金属物に激突し、彼方へと吹き飛ばされた。

 

『――無事ですか!?』

 

「……お…おぉ……!?」

 

 彼等にゆっくりと降り立つ白い鋼鉄の巨人。

 

『掌に乗って下さい、この場から脱出します!』

 

 その白い巨人から発せられる少年の声。

 

差し伸べられる白く巨大な掌。

 

彼等は戸惑いながらもその上に乗り、振り落とされない様、マニピュレーターや僅かに盛り上がった突起物を掴む。

 

――あまり過度な速度で飛ぶ事は出来ないな。

 

下手に高度を上げれば先程のレーザーで打ち抜かれ、速度を上げれば折角救出した民間人を振り落としかねない。

 

飛鳥は最低推力でブースターを吹かし、高度約100メートル前後を維持しながらクレイドルから飛び放つ。

 

彼ら民間人には、その白く巨大な機械は救世主にさえ見えていた事だろう。

 

嘗て戦場を縦横無尽に駆け巡り、戦線を支配した兵器。

 

国家解体戦争、リンクス戦争、ORCA(オルカ)旅団の襲撃、人類種の天敵、歴史は過ぎ去り再び戦場を駆け巡る。

 

時代は再び求めているのだろうか。

 

最強の人型兵器。

 

彼等は、こう呼ぶ――。

 

 

 

 

 

      ―― アーマード・コア ――

 

 

 

機体アセンブル

 

頭部:CR-H69S

 

胴体部:CRーC69Y

 

腕部:CRーA69S

 

脚部:CR-LH69S

 

ジェネレーター:CR-G69

 

ブースター:CR-B69

 

ラジエーター:CRーR69

 

FCS:MF01-MUREX

 

右手武装:CR-WR69R

 

左手武装:CR-WL69LB

 

右背部武装:CRーWB69RA

 

左背部武装:CRーWB69M

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

レイヴン

 

 アーマード・コア(AC)を操る傭兵の名称。

 

 基本的には何処にも属さない独立傭兵が大半を占めるが 

 時折、企業に与する専属のレイヴンも存在する。

 

 ネクストの大半が姿を消した今、再び鴉が大空を飛翔する。

 

 (詳しくはwikiってくだち!) ( ゚∀゚)ゝ

 

 

 

 

 

 




 如何だったでしょうか?

今はPS3も所持していないので、4系をプレイする事が出来ない状態です。
過去のACシリーズも一通りプレイしましたが、内容は殆ど忘れている始末。
でもとある動画を見て、急に書きたくなり衝動に駆られて書いてしまいました。
相変わらず自身がないので、チラシの裏でコソコソと細々と書いていきます。

デハマタ。( ゚∀゚)/
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