Fate/Grand Order ~矛盾残留~ 作:超ローマ人
始動
この二次創作では二部構成でやっていきたいと思います。
是非、ご覧になって頂けると助かります。
「101……102……!」
「うむ、今日も熱心であるな」
「修行に付き合って貰って悪いな103……!」
純白のドレスに包まれた少女・ネロががカルデアのマスター・藤丸を観察していた。
「気分はどうだ?」
「あぁ、皇帝様が見てくれるお陰でどうにかな。」
ネロは感心するように返事をし、安堵の笑みを浮かべる。
藤丸は一通りの運動を終わらせると、近くの蛇口を捻った。
体から噴き出してしまった水分を取り戻すために。
「さて、休憩にするか。」
藤丸がコーヒーを飲んでいると眼鏡をかけた青年がやってきた。
「藤丸っ!コーヒー飲んでる場合じゃねえぞっ!!」
「落ち着け、ムニエル。今行くから」
藤丸は管制室に行くと、カルデアのスタッフたちが宙吊りにされていた。
「なっ!?」
「良く眼を凝らせ、奏者よ。」
藤丸は言われるまでも無くカルデアスタッフを襲った魔物たちの姿をとらえていた。
しかし、その魔は藤丸が普段見るものとは違った。
「幽霊!?俺が今まで見たのより人間に近いんだが?……と驚いてる場合じゃないな」
藤丸はそう呟くと白い剣から鎖を発生させ、宙に浮かんだ職員たちを引っ張って救済した。
「パィシウーバインド・蛇縄!」
白い鎖は落下した職員のクッションとなり、誰一人怪我をさせなかった。
「うむ、今回も鎖の扱いが達者だな。」
「魔術も誉めて欲しいな。」
藤丸は攻めの体勢になった。手を合わせると背中に大きな壁画扉が現れた。
そこに描かれるのは黒い犬の頭を持った人物と白い服を着た男性だ。
「邪悪なる霊魂よ、裁きを受けよ!ジョジメントオシリス!!!」
すると、黒い犬の目が光を放った。
霊たちは藤丸を呪うとするが、既に遅かった。
扉が開かれ悪しき魂は扉の中─即ち冥界へ誘われたのだ。
「ふぅ……こんなもんか。」
「奏者よ、もう少し派手にやらないのか?」
「アレ程度だと、ちょっと魔力を使うのもなんだかな。それに……何かを感じる……それも嫌な油みたいなものだ。」
藤丸はいつもの同僚とも言うべきダヴィンチちゃんらを呼び
今回の騒動の元となった魔物が何処から来たのかを調査してもらうことにした。
「私はサーヴァントたちにここの護衛をさせてもらうように頼もう。」
藤丸が複数のサーヴァントたちに頼み終わった後でスタッフが連絡にしに来た。
「藤丸、また『出番』だ。」
「あぁ、分かってる。」
スタッフ震えた声で彼を呼ぶ。藤丸は自分の表情がどうなってるか気になったが、迅速に管制室に向かった。
その扱いに彼は「慣れて」しまったのだ。まるで躾された動物のように。
「お待たせ。」
「マスター君、さっきの連中はこの特異点を通ってここに来たようだ。」
「分かった。行こう、私のセイバー。」
「うむ、特異点までレイシフトするぞ」
急ぐ二人の足は一言で止められた。
「待って、あの特異点は現代日本の年代だが一部に漂う魔力の量が半端無いから気を付けるんだ!」
「普通じゃないのは分かるっ!」
藤丸は早歩きから助走をつけてレイシフトの入り口まで走った。
「……生半可な覚悟じゃないのは相変わらずだね……。よし、レイシフトスタンバイ!3……2……1」
「………」
藤丸のセイバー=ネロ・クラウディウスは隣に立つ藤丸の顔を見た。
そうしてる間にレイシフトが発生、白くなった視界が明けるとパッと見普通のアパートが目の前に聳えていた。
ある地下空間では、一人の男が天井を睨んでいた。
「……来たか、カルデアのマスター。」
男の声は中年ぐらいと想定出来るほど低く、重々しいものだ。
すると、闇の奥から赤い二つの玉が浮かび上がった。
「………こんばんわ、僧侶様。侵入者はどうしますか?」
赤い玉の持ち主は若い女の声で男に話しかける
「勿論排除する。『彼』は私には強すぎるぐらいだが君ならいつでも倒せる。」
「ふふ……そうですよね。だって……」
女は忍び笑いをしながら自己陶酔するようにその赤い玉の輝きを増させた。
「今は私のほうが……強い……!」
「うっ、この魔力……!」
「奏者よ。これは油断してるとサーヴァントでも狂いそうなモノだ……。余にはそこまで効かぬが……心に"わだかまり"がある連中は……どうであろうな……?」
セイバーは意味深な忠告を藤丸にすると後ろに気配を感じ取り振り向いた。
「おい、貴様!何者だ!」
「……!この魔力……『普通の』人間じゃないな?」
その話をすると女は苦虫を噛んだように顔をしかめた。
女は和服の上に赤いジャケットを着込んで周囲から浮いていた。
「アンタは一体何者だ?それに何しにここまで来た?」
「本当はお前を殺したくはねぇが、仕事場を見られちゃ困る……。」
女は目を青く輝かせ、殺意を剥き出しにする。
「殺る気か……!ネロ、アークさん!行くぞ!」
「うむ、自己防衛しかあるまい」
「よし、マスター!テーマを実行しろ!」
藤丸は了解の返事をすると身体中の魔力を白銀の鎧に変換した。
ナイフと二つの剣が火花のオーケストラを奏でる。
「強いじゃないか……」
「そちらさんこそ……な!」
二匹の血に飢えた獣が牙を剥き合う。
銀色の鎧を纏ったモノは赤い剣を取り出し、赤いジャケットの女が持つナイフはさらに磨きがかかる。
そして両者が牙を立てたところで、声が響いた。
「はい、両者ともそれまでだ。」
「チッ……なんでだよ。」
赤いジャケットの女は声の主に睨みを効かせる。
藤丸は赤い剣を空中に置くようにして消滅させた。
「あーっ、君の剣確かめたかったのになぁ。……という冗談はさておき。君がカルデアのマスターだね?」
「うむ!この男こそ、余の奏者たる自慢のマスターだ!」
「待て、セイバー。まだ警戒を解くタイミングじゃない。自慢してくれるのは嬉しいが……。」
声の主は小さく笑いながら、藤丸を誘うようにその姿を現す。
「伽藍の桐へようこそ……カルデアのマスター!」
「……誰かは知らんが、藤丸リツカと呼んでくれ。」
声の主は「青崎橙子」と名乗り、両者は協力体制となった。