悪役令嬢「わたくしを断罪ですって!?受けて立ちますわ、闇のゲームで!」   作:sesamer

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 どうしても思い浮かんだ遊戯王オリカは形にしたくて書きました。
 またなんかオリカが浮かんだら書きます。
 寧ろ皆さんが感想にオリカを書いていただければ...



お嬢様と優雅(ゆかい)な攻略対象たち
悪役令嬢「わたくしを断罪ですって!?受けて立ちますわ、闇のゲームで!」


 この世界にはびっくりするほど特殊な需要を狙ったゲームが存在する。

 

 農林水産省のホームページが攻略本と言われた某稲作アクションゲームは皆さんの記憶にも新しいだろう。

 

 ああいった個人制作のゲーム(所謂インディーとかフリゲとか)にはそう言ったニッチなものが多いのである。そして個人制作の中には存在そのものが法律など色んな意味でギリギリなものがあるのだ。

 

 「duelove terminal」通称デュエラブとは、その余りにもニッチすぎる需要と法律なんて知らねーと言わんばかりのゲーム性で、全国の決闘者に波紋を呼んだ同人ゲームである。

 

 まず某カードゲームと乙女ゲームを合わせるという発想が大変悪魔的である。決闘者の1割にも満たないであろう女性決闘者に向けたという、余りにも狭すぎる需要を狙ったことは、決闘者に乙女ゲーを流行らせるという多大な影響を与えた。

 

 しかし、デュエラブ自体が決闘者にとって全くの未知のものであった訳では無かった。

 

 某カードゲームを取り仕切っている会社の出したゲームの中には「カードゲームもできるギャルゲー」とまで言われた作品もあった。

 如何にデュエラブが意味不明な発想で出来たものであっても、決闘者の中では「とうとう実現してしまったか」「はよギャルゲーも作れ」などといった反応は珍しく無かった。

 

 しかしその問題はデュエル部分にあった。

 そもそも例えお金を取らないフリゲであったとしてもカードゲームのシミュレーションソフトを作ることはかなりのグレー的な問題なのである。

 

 決闘者の多くがお世話になっているあのシミュレーターも、実はKONAMIの裁量次第ではいつでも無くなっても不思議ではない程、法律ギリギリであるのだ。

 

 そしてデュエラブではその違法ギリギリであるシミュレーターを丸ごと入れて(と思われる)おり、その存在は決闘者にとって大きな波紋を呼んだ。

 

 デュエラブは違法だから取り締まるべきだと言う者もいれば、デュエラブを取り締まるなら元のシミュレータも同じだと擁護する者もいて、その論争はデュエラブ問題とまで言われて話題となった。

 

 そして図らずも話題となったことで決闘者以外にもデュエラブが知られることとなり、結果的にデュエラブはフリゲの中で絶大な人気を誇ることとなった。

 

 しかし、それは元々個人的に楽しむだけのつもりだった製作者の意図しないものであり、デュエラブ問題が大きくなったこともあって製作者はデュエラブの配信を停止した。

 

 

 そんな歴史もあり、デュエラブは数多くの決闘者に影響を与えた怪作であり問題作なのであり、当然決闘者である私もプレイしたことがある。

 

 

 そのストーリーを箇条書きにすると

・中世のファンタジー世界を舞台としており(?)

・神に選ばれた光の決闘者として召喚された主人公城西・優華が(?)

・ホルアクティ神聖決闘学園で多くの人と交流しながら(?)

・世界の危機にカードで立ち向かう(普通だな!)

という熟練の決闘者でも違和感を覚えるレベルの内容である。(あのバイクと合体しても驚かない決闘者が...!)

 

 

 そして、乙女ゲームということは攻略対象となるキャラや主人公の嫌がらせをする悪役令嬢もいる。

 

 その悪役令嬢であるキャラこそが、私ことエリザベス・ローゼスなのである。

 

 

 

 うん?そっか?...私が?悪役令嬢?...

 

「私が悪役令嬢だとぉぉぉおおお!」

 

 

 

 

 

 

 となったのが今から一年前、生まれてから7歳となった誕生日に気付いたことだ。

 あの前から違和感には気付いていたけど、前世の記憶ははっきりしてなかったから、そこから一気に思い出したことで暫く寝込んだっけなぁ。

 

 悪役令嬢であるエリザベスは最終的に主人公と王位継承権第一位の王子様であるルーク様に断罪され、逆上して主人公優華に闇のゲームを挑み、敗北して闇に飲まれて消滅してハッピーエンドとなっている。

 

 

 おや、闇のゲームについてご存知でない!?そもそも遊戯王知らないですって!?

 

 そんな人のためにワタクシが簡単に教えて差し上げますわよ!

 

 遊戯王とはカードゲームの一つで、元々はジャンプで連載された漫画にあったデュエルモンスターズというゲームを再現したものだ。

 

 他のカードゲームと異なる点というと、カードを使う為のmp(所謂マナ)が存在しない点や、手札からモンスターを召喚するだけでなく破壊されたモンスターを呼び戻したり、条件を満たすことで通常のデッキではない場所からもモンスターを呼び出せることなどがある。

 

 簡単に言えば他のカードゲームよりも出来ることが多く、それだけ多種多様なカードや展開が生まれる。

 

 まぁ悪く言えばやりたい放題出来るから、強さを目指すとつまらなくなるかもしれないが。

 

 

 また、毎年のようにアニメをしているのも大きな特徴で、闇のゲームもその中で出てくるワードである。

 

 カードゲームのアニメにおいて、世界の存亡にカードゲームが関わっていたりゲームの勝敗で人の生き死にが左右されることはよくあることだが、闇のゲームはその中でも有名なものだ。

 

 一口に闇のゲームと言っても色々なものがあるが、ここではプレイヤーはお互いの魂をかけてデュエルし、敗北者は闇に魂を奪われるという、まさにデスゲーム!なのだ。

 

 

 そしてデュエラブの世界もカードゲームアニメと同じように、世界の誕生にカードが大きく関わっていたり、闇のゲームが伝説に存在する。

 

 ファンタジー世界にカードだと?おかしな話だ、と普通の人は思うかもしれない。

 しかし遊戯王においてはカードは魔術の札として数千年前から存在し、デュエルも魔術的な決闘として意味あるものなのだ。

 

 この世界でもそれは適用され、デュエルの腕はその人の持つ魔法の力量、そしてそれだけの魔力を持つという血筋の強さの証明となるのだ。

 

 私ことローゼス家もデュエルの名門として代々受け継がれており、家宝のデッキや加護があるだけではなく、儀式によってカードを生み出すことが出来る。

 

 カードを生み出すだって?それってズルじゃん!と言われるかも知れないけど、それがこの世界の常識なのだからしょうがない。

 まぁそれにデュエル中に作れるわけじゃないからセーフ(アウト)

 

 

 それにそのシステムには不満を覚えていることもある。

 

 

「ねぇルチア、今日の予定は何?」

 

「ひっ!お、お嬢様!今日は新しい家庭教師様がやってくる予定でして...!」

 

 このように怯えているのが我がメイドのルチアである。あるよねー悪役令嬢を恐れるメイドが主人公と仲良くなる展開。

 

「ふーん、1人回しはつまんないから対戦相手が見つかって良かったけど...いつ頃くる予定なの?」

 

「す、すみません!今日の昼頃とは聞いているのですが...」

 

「そう、暇潰しにわたくしの御相手をしてくれない?ルチア」

 

 私が満面の笑顔を向けて誘うと、ルチアは顔を青褪めさせて後ろに引いて、

 

「ひっ!わ、私では御相手になりません!御考え直しをー!」

 

 と、高速で捲し立てて逃げてしまった。

 

 

 

「はぁ、別に取って食うわけではありませんのに」

 

 自室には残った私は、愛用のデッキを1人回ししながら考える。

 

 この世界のカードは魔術の札であるのだが、決闘にはそれが使われるということで、その闘いには痛みや実ダメージが伴う。

 

 さらに王族やそれに連なる者は魔力が高いので、引きたいカードを引けなかったり、手札が事故ったりすることは無い、例えそれがどんなデッキでも。

 

 それこそ現実では回しにくい60枚のデッキで、さらにその半分以上が出しにくい上級モンスターのデッキで決闘しても、貴族は一般人にライフを減らさずに勝つことが出来ると断言する。

 

 

 だから貴族の多くは価値のあるカードをどれだけ多く入れているかを競うかのようなデッキを組み、それでも一般人とは隔絶した力量を持つという、カードゲームとしてあるまじきとても不条理な世界となっている。

 

 例えシナジーを考え、デッキバランスを整えて最良とも言えるデッキを組んでも、小学生が作ったかのようなデッキに引きが原因で負ける。

 そんな決闘が国政や仕事で重視されるため、平民が貴族に勝つことが出来ない。

 

 例えリアルファイトを持ち出して勝とうとしても、誰かが決闘を宣言すれば決闘空間が発生し、強制的にデュエルをさせられる。

 

 

 こんな世界では私が不満を持つのが分かるだろう。遊戯王が楽しいのは手札の限りなんだってやれることなのに、その手札がいつも同じではデッキを工夫する意味がない。

 

 そうやってつまんなそうに相手をボコってたら、いつしか私は氷の姫と呼ばれ恐れられる様になってしまった。さらに元の我儘な性格が突然大人しくなったので両親にも怖がられる始末。

 

 

「あぁ、まともなデュエルをしたい!早く優華様が来てくれないかしら!」

 

 

 こんなひどい世界でも主人公である優華だけはこの法則に囚われない。

 召喚された者である優華がデュエルする時には光の神の加護によってお互いの力は封印され、対等なデュエルが行われる。

 

 これは元々は世界を覆う闇が強大で、人々の魔力では敵わないために授けられた加護なのだが、歴代の召喚者は元々のデュエルタクティクス自体が常人離れしていたので、召喚された時から闇を払う勇者として活躍した。

 

 しかし、優華はただの一般人でありデュエルの腕は平凡だったために、決闘学園に入れられてその腕を磨くことを強制される。

 

 最初は戸惑っていた優華も攻略対象やライバルと戦っていきながら徐々に強くなり、最初は敵わなかった攻略対象に勝つことで「おもしれー女」扱いされて恋愛できるようになる。

 

 

 最終的には攻略対象にもよるけど、国1番の決闘者となることは確定で、王女様になったり将軍様になったり魔法大臣になったりする。

 

 そしてそれらのどのルートでも、私は敵対し破滅する。まぁ私は国の勇者に嫌がらせをしていたのだから、私の破滅は確定的というわけね。

 

 それでも私は諦めずに優華に闇のゲームを仕掛ける。それに勝ってゲームクリアなので私は乙女ゲームの妨害キャラだけでなく、カードゲームのラスボスでもあるわけよ。

 

 まあ私は破滅するつもりなんてないしまともなデュエルをしたいから、優華に嫌がらせなんて絶対しないけどね!

 

 

「お嬢様、家庭教師の方がいらっしゃいました」

 

「そう、支度をして頂戴」

 

 さて、今日の人はどんなデッキかしら?オリカだと未知だから楽しいんだけど

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 まさに豪邸という言葉が相応しいローゼス家に1人の男が現れる。

 

「ここがあのローゼス家か...」

 

「ローゼス家はこの国シリオスでかなり有力な貴族...つまりここに取り入ることが出来れば、俺の学内での発言力は高まる」

 

 男は薄く笑みを浮かべると、門番に話しかけた。

 

「すみません、今日からエリザベス様の家庭教師をさせていただくアレイシスです」

 

 

 

 ローゼス家の令嬢エリザベス・ローゼスは気難しい方で、彼女を見ていた家庭教師は彼女の我儘に心が折れて辞めていたと噂になっていたぐらい、問題児であると聞いていた。

 

 それならば決闘で力関係を分からせることで、大人しくさせようと思っていたのだが、

 

「アレイシス様はホルアクティ神聖決闘学園の教授をしていらっしゃいますのね、お若いのに大変素晴らしいことですね」

 

「は、そうです。エリザベス様も御噂はかねがね」

 

「あら、わたくしの噂ですと...あまり良いものではないのでしょう?」

 

「いえいえ!滅相も無い。大変美しい女性だと」

 

 それは正直な感想だった。まだ10歳にも満たないのに、彼女の外見は可憐の域を超え美しさを感じさせるものだった。

 そして俺は彼女がまさに氷であると感じた。一見美しい水晶の様に綺麗でいて、しかしその奥は冷え切っている、まさに彼女だった。

 

 彼女は俺に対して、いや周りの全てに興味を持ってないと断言出来る程、彼女の目は冷めていた。

 

「そう、ではデュエルの腕もさぞ御強いのでしょう?」

 

「では今からそれを確かめましょう」

 

 俺はその瞳から逃げるように彼女に決闘を持ちかける。決闘で勝てば、彼女の矯正も出来るだろう。

 

 エリザベスが決闘空間展開、と呟くとフィールドが展開される。

 フィールドの展開という、学園で習う魔法を既に習得していることに驚くが、後にそれがどうでもいいと思うほどの衝撃を受けることになることを俺は知らなかった。

 

 

「「決闘」」

 

アレイシス LP4000

 

エリザベス LP4000

 

「決闘空間を展開した者は先攻を決めることが出来ない、よって俺が決める。先攻だ」

 

「ではわたくしは後攻ですね」

 

 アレイシスは5枚の初期手札を引くと、望むカードが引けていることに笑みを浮かべる。

 決闘の勝利を半ば確信しつつ、引いたカードを発動する。

 

「魔法カード、グリモの魔導書を発動。魔導書士バテルを手札に加える」

 

 エリザベスは自分の手札と相手のカードを見て、「オリカではないか...」小さく呟くとそのまま目を閉じた。

 

「(手札が悪くて諦めたのか...?)手札に加えたバテルを通常召喚。効果を発動してセフェルの魔導書を加え、発動。墓地のグリモの魔導書をコピーしてゲーテの魔導書を加える。3枚伏せてターンエンドです」

 

(伏せたカードはゲーテの魔導書とデモンズチェーンとミラーフォース。モンスターの効果と攻撃を守る完璧な布陣だ)

 

 

<魔導書士バテル>

効果モンスター

星2/水属性/魔法使い族/攻 500/守 400

(1):このカードが召喚・リバースした場合に発動する。

デッキから「魔導書」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

「わたくしのターンですわ。ドローします」

 

 エリザベスはドローしたカードを見て相手の盤面を確認すると、手札からモンスターを召喚する。

 

「ウォーダーナイトを通常召喚します。通ればそのままデッキからウォーダーフュージョンを手札に加えて効果発動、自身を破壊します」

 

「(召喚時効果ではゲーテでは止められんか)それにチェーンして罠カード、デモンズチェーンを発動する。ウォーダーナイトの効果を無効にする」

 

 エリザベスに召喚された、水によって形作られた騎士に、アレイシスの場から鎖が飛んできて拘束しようとする。

 しかしその鎖は水で出来た騎士を縛る事はできず、却って形を留めるだけの結果に終わってしまった。

 

「な、何が起こった!何故デモンズチェーンが効いていない!」

 

「残念でしたね」

 

 エリザベスは口元をカードによって抑えつつ、種を明かす。

 

「ウォーダーナイトのサーチはコストによるもの。コストは例え発動を無効にしようが効果を無効にしようが止められませんのよ」

 

「なっ!そんな出鱈目を言うな!有り得ん!」

 

 

<ウォーダーナイト>

効果モンスター

星4/水属性/戦士族/攻 1500/守 1000

(1):このカードが召喚に成功した場合、デッキから「ウォーダー」カード1枚を手札に加えて発動する。

このカードを破壊する。

 

 

「例えば、海皇子ネプトアビスの効果を知っていますか?」

 

「ネプトアビス...?知らないな」

 

「ではジェネクスウンディーネは?」

 

「...あぁ、そのカードは知っている」

 

「ジェネクスウンディーネの効果はジェネクスコントローラーを手札に加える効果ですが、そのコストはデッキから水属性モンスターを墓地に送ることです」

 

「この場合、ジェネクスウンディーネにデモンズチェーンを打ったとしてもコントローラーのサーチを止めただけで、墓地送りを止める事はできません」

 

「くっ、それと同じ...ということか」

 

「御理解が早くて何より。では場にウォーダーナイトがいるので手札からウォーダーディムを特殊召喚します」

 

「これ以上好きにはさせん、魔法カード、ゲーテの魔導書を発動。墓地の魔導書を2枚除外してウォーダーディムを裏側守備表示にする」

 

 アレイシスによって放たれた魔法が、エリザベスの召喚した女性型の騎士に命中する。今度はきちんと効いていた様で、水で出来た女騎士はひっくり返ってカードとなった。

 

 

「ふむ、確かに裏側守備表示では効果の発動そのものが封じられるため、コストを払うことが出来ない。流石学園の先生ですわ」

 

「ですが、貴方の行動は読めていましたの。手札から魔法カード、ウォーダーフュージョンを発動。場のナイトと裏側のディムを融合」

 

(...裏側のモンスターは融合素材にすることが出来る...まさか奴はナイトを召喚した時点でここまで予測してたのか!)

 

「流れ混ざる水の結晶よ、氷結し、新たな姿を見せよ!融合召喚、ウォーダーアイサー・ファーシオン!」

 

 

<ウォーダーアイサー・ファーシオン>

融合モンスター

星8/水属性/戦士/攻 2500/守 2000

「ウォーダー」モンスター×2

(1):自分・相手のバトルフェイズに発動できる。

エンドフェイズまでこのカード以外のフィールドのカードの効果は無効化される。

(2):このカードが破壊された場合に発動できる。

墓地から「ウォーダー」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

 氷によって形作られた騎士が両手に剣を構える。その身体からは冷気が放てられており、アレイシスはその冷たさに思わず身震いするが、残った伏せカードを見て安心する。

 

(伏せているカードはミラーフォース...!これでファーシオンを破壊でき...)

 

「召喚時にその伏せカードを使わないということは、そのカードはいつでも発動できるフリーチェーン、もしくは発動タイミングがここではない攻撃反応などのカードということです」

 

「フリーチェーンなら今打った方が良いですよ。バトルフェイズ!ファーシオンの効果発動!」

 

 ファーシオンが剣を上に掲げると、彼の全身からさっきよりも数段激しい冷気が迸る。その冷気はアレイシスの場まで及び、彼のカードを凍らせていく。

 

「ファーシオンの効果により、自身以外のフィールドの全ての効果は無効化される、アイスワールド!」

 

「なにっ!セットカードが無効化されたっ!」

 

「ファーシオンで魔導書士バテルに攻撃!アイスソード!」

 

 氷の騎士が剣を掲げたまま、前方へと跳躍する。着地の瞬間に剣を振り下ろすと、剣から放出された冷気がアレイシスのモンスターとアレイシス自身を襲う。

 

「ぐあぁぁぁああ!」

 

アレイシス LP4000 → LP2000

 

 (なんて冷たさだ!エリザベス嬢の強さがここまでだったとは!)

 

「だがライフは残った。次のターンで切り返せば...!」

 

「それはどうかしら!(カンコーン!)」

 

「なにっ!」

 

「墓地のウォーダーフュージョンの効果発動!自分フィールドのウォーダーアイサー・ファーシオンの効果を無効にし、破壊しますわ!」

 

 氷の騎士はみるみる溶けていき、そこに残ったのは水によって出来た女戦士だった。

 

「破壊されたファーシオンの効果発動!墓地のウォーダーディムを特殊召喚!」

 

「なんだと!ファーシオンの効果はウォーダーフュージョンの効果で無効になったはずだ!」

 

「ファーシオンが無効になったのはフィールドの効果だけですわ、破壊されて墓地で発動する効果は無効になりませんわ」

 

 

<ウォーダーディム>

効果モンスター

星4/水属性/戦士族/攻 1000/守 1500

(1):自分フィールドのモンスターが「ウォーダー」モンスターのみの場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚できる。

(2):フィールドの「ウォーダー」モンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせて発動できる。

このカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「特殊召喚したディムのコストで自身の攻撃力を1000 アップさせる!自壊効果はファーシオンによって無効化される!」

 

 水の女騎士が剣を掲げるとそこに水が集まっていく。女騎士の身体が崩壊しそうになるが、周囲の冷気が彼女の形を留める。

 

「終わりです!ウォーダーディムの攻撃!ウォーダーソード!」

 

 そのまま彼女は剣を振り下ろし、剣から流れる水の奔流にアレイシスは飲み込まれた。

 

(これが10歳にも満たない子供の魔力だと思えん...!それだけでなくデュエルタクティクスやカードの知識も大人を打ち負かすレベル...!)

 

「...貴女は一体...?」

 

 

アレイシス LP2000 → LP0

 

 

「うーん、中々楽しいデュエルでしたわ!」

 

「そ、そうか、それは何よりだ」

 

「...それで家庭教師は長く続けられそうですか?」

 

 エリザベス嬢が真正面から覗き込んでくる。その瞳には先程の無感情ではなく、もっと恐ろしいナニカがあった。

 

「い、いえ。俺も学園に戻らないといけないので、1週間ほどになるだろうと...」

 

「...そうですか。さっきのはアレイシス様が私のカードを知らなかったことが勝敗を分けたと思うので、今からメインデッキのカードの効果を教えますわ」

 

(普通の人は隠したいカードの効果を自ら教えるとは...いや、待てよ)

 

「まさかエリザベス様は俺のカードは知っているのですか?」

 

「ええ、流石に全部は知らないですが魔導は10種類ぐらいなら効果とか覚えてますよ」

 

「...ちなみに俺のデッキには召喚獣も入っていますが、そっちの方は?」

 

「勿論ですわ!召喚獣は魔法罠含めて全部言えますわよ!」

 

「...やっぱり家庭教師は辞めます」

 

「えっ」

 

 

 




 どうでもいいですが、「ウォーダー」はどうしても灰流うららが憎いエリザベスが作ったデッキです。
 なんで水属性かは、本編に書いた様にコストで動くのが水属性に多かったからです。
 ちなみにある永続罠とのシナジーがあります。(みんなは分かるかな?)
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