悪役令嬢「わたくしを断罪ですって!?受けて立ちますわ、闇のゲームで!」   作:sesamer

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 初めに言っておきますが本人ではないです。
 アストログラフは出したくないけど、クロノグラフは冤罪だから出したいんだよなぁ。分かりますか?この気持ち、そうですか分かりませんか...



この素晴らしい世界に満足を!

 身体を貫く寒さと顔にかかった雪で私は自我を取り戻す。周囲を見渡してここがどこなのか確認しようとするが全く分からない。周りの人を探してもお嬢様はおろか人っ子1人見当たらなかった。

 

「あれ、おーい!お嬢様!どこにいらっしゃいますかー?」

 

 兎に角冷たくなった身体を暖めるべく、近くにあった建物にお邪魔させてもらおうとしてあることに気づく。

 

「なにこれ?扉が凍ってる...?」

 

 扉だけじゃない、屋敷全体が凍っているのだ。周囲を歩き回ってみるが、そこにあった全ての屋敷、建物が凍りついている。

 

「えぇ、どうなってるの?というか寒い!」

 

 身体が震えて温度を保とうとするが、その熱はどんどん奪われる。私は寒さによって歩く気力を無くし、その場に倒れる。その視界が降り注ぐ雪によって白く覆われそうな中、私は上空をなにかが飛んでいるのを見つけた。

 

「あれは...白き龍...?」

 

 

ーーー

 

 

「う、寒い...寒い...」

 

「大丈夫?ルチア?」

 

「はっ!なんだ、夢か」

 

 ルチアはエリザベスの声に目を覚ます。頭を上げるとどうやらエリザベスが膝枕をしていたことが分かった。

 

「も、も、申し訳ありません!使用人の分際で、お嬢様を枕代わりに寝るなど!」

 

 ルチアは高速で立ち上がり頭を下げて謝ると、エリザベスは気にしてないようにゆっくりと立ち上がり、スカートについた土を払う。

 

「いいわ、いいわ、全然気にしてないから。それよりも随分とうなされてたわよ、大丈夫?」

 

「い、いえ!大丈夫です!」

 

「(というか私がうなされてたのはお嬢様の体温が低かったのが原因のような...)」

 

 ルチアがまず起きて初めて感じたのは、額を覆う冷たさであった。それはスカートの上からでも分かるほどの冷たさで、ルチアはそのせいで変な夢を見たのだと結論づけた。

 

「それで、私が寝ている間になにが起こったのですか?」

 

「バーン三兄弟は倒したわ!それでルチアを起こそうと思ったんだけど、なんか寝顔が可愛かったから膝枕したわ!直ぐに起きちゃったけど」

 

「じゃあ後は人質を解放するだけですね」

 

 ルチアが馬車の方に向かおうとすると、エリザベスはそれを手で制す。

 

「待って、まだ敵は残ってるわ!そうなんでしょ?、先生とやら!」

 

 馬車の方にエリザベスは大きな声で呼びかけると、馬車から長身の男が現れる。それは青白い髪を肩まで伸ばし、黒いローブに身を包んだ男だった。

 

「やれやれ、逃がしてはくれないか...」

 

「あなたが4人目の誘拐犯ですね!?」

 

「俺はアイツらに雇われただけで誘拐犯じゃあない...が、逃がしてくれないのなら力づくで突破するしかないようだな...」

 

 ルチアの問いかけに対して男はカードを構えて臨戦態勢をとる。その間エリザベスはただ男を見て惚けていた。

 

「お嬢様!どうかしたんですか?」

 

「えっ、あぁごめんなさい。ちょっとボーッとしてましたわ」

 

「お前もさっきので疲れてるんだろう?使用人の方はデッキを持ってないし、不利なのはそっちだ。誘拐の実行犯も捕まえたし、俺は逃がしてもいいじゃないか?」

 

「いえ!わたくしはデュエルから逃げません!そして、貴方も名前は知りませんが!デュエルから逃げるような男では無いようですね!」

 

「あぁ、俺は例え何を喪ってもデュエルだけは失わない。いや、寧ろデュエルが俺を離してくれないというべきか...」

 

「ならばデュエルで語り合うのみ!名を名乗りなさい、わたくしはエリザベス・ローゼスですわ!」

 

「俺の名はリューキ、満足させてくれよ?」

 

「「デュエル!!」」

 

 

ーーー

 

エリザベスLP4000

 

リューキLP4000

 

ーーー

 

 

「先攻は俺がもらう!メインフェイズに入り、インフェルニティ・ジェネラルを捨ててダーク・グレファーを特殊召喚!ダーク・グレファーの効果で手札のインフェルニティ・デーモンをコストに、デッキからインフェルニティ・ネクロマンサーを墓地に送る!」

 

「(やはりインフェルニティ...!)」

 

 

ーーー

 

 

<ダーク・グレファー>

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1700/守1600

(1):このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、

手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てて発動できる。

デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

 

ーーー

 

 

「更にインフェルニティ・ミラージュを通常召喚して、カードを1枚セット」

 

「なんだ、あの人もう手札が0になりましたよ。大したことないみたいですね」

 

「それは違うわ」

 

 ルチアがリューキの盤面を見て胸を撫で下ろす。強そうな雰囲気を出していた割に、手札を全て使って弱小モンスターしか出さなかったからだ。しかし、エリザベスはそれを強く否定する。

 

「違う?だって、決闘では手札の数が重要ってのはお嬢様が仰ったことじゃないですか。手札を一瞬で使い切るような決闘者は大したことないとも」

 

「そうね、普通のデッキなら、手札を使い切ることは何もできなくなることと同じで致命的だわ」

 

「普通のデッキ...」

 

「あのデッキはその例外中の例外よ」

 

 エリザベスの強い断定の口調に男は薄く笑みを浮かべる。

 

「貴族の方は知ってるみたいだな、俺のインフェルニティは手札が0になってからが本番だ。ミラージュの効果発動!墓地のデーモンとネクロマンサーを蘇生させる!」

 

「なっ!2体も!?」

 

 

ーーー

 

 

<インフェルニティ・ミラージュ>

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

自分の手札が0枚の場合、このカードをリリースし、

自分の墓地の「インフェルニティ」と名のついた

モンスター2体を選択して発動できる。

選択したモンスターを特殊召喚する。

 

<インフェルニティ・デーモン>

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守1200

(1):手札が0枚の場合にこのカードをドローした時、

このカードを相手に見せて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「インフェルニティ」カード1枚を手札に加える。

この効果は自分の手札が0枚の場合に発動と処理ができる。

 

<インフェルニティ・ネクロマンサー>

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻 0/守2000

このカードは召喚に成功した時、守備表示になる。

また、自分の手札が0枚の場合、このカードは以下の効果を得る。

1ターンに1度、自分の墓地から「インフェルニティ・ネクロマンサー」以外の「インフェルニティ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

 

 

ーーー

 

 

「インフェルニティは手札が0の時のみ発動できる強力な効果をもつデッキよ、完璧に回ったときの強さはあらゆるデッキを凌駕するわ」

 

「そんなっ!」

 

「デーモンの特殊召喚時効果!デッキからインフェルニティ・ビショップを手札に加えそのまま特殊召喚!」

 

 

ーーー

 

 

<インフェルニティ・ビショップ>

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1000/守2000

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

(1):自分の手札がこのカード1枚のみの場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):自分の手札が0枚である限り、

自分フィールドの「インフェルニティ」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、

代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

 

ーーー

 

 

「ダーク・グレファーと、デーモンをオーバーレイ!エクシーズ召喚、ラヴァルバル・チェイン!」

 

「生きてましたのっ!?チェイン!」

 

 

ーーー

 

 

<ラヴァルバル・チェイン>

エクシーズ・効果モンスター(現実では禁止カード)

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000

レベル4モンスター×2

(1):このカードのX素材を1つ取り除き、

以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。

●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。

 

 

ーーー

 

 

「ラヴァルバルチェインの効果でデッキからインフェルニティ・リベンジャーを墓地に送り、ネクロマンサーの効果で蘇生する」

 

「場の合計レベルは8!」

 

「漆黒のトバリ降りし時、冥府の瞳は開かれる!舞い降りろ闇よ!ダークシンクロ、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン!」

 

「ダークシンクロ!?」

 

 

ーーー

 

 

<ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン>(オリジナル)

ダークシンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

闇属性チューナー+チューナー以外の悪魔族モンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分の墓地からレベル6以下の

闇属性の効果モンスター1体を除外して発動できる。

エンドフェイズまで、このカードはそのモンスターと同じ、元々のカード名・効果を得る。

(2):このカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

デッキから「地縛神」モンスター1体を手札に加える。

 

 

ーーー

 

 

「ダークシンクロモンスターはシンクロモンスターと同じよ!性能や召喚条件に違いがあるわけではないわ!」

 

「じゃあ何がダークなんですか?」

 

「それは...ほら、作られたときの気分がダークだったのよ...多分」

 

「ワンハンドレッドの効果、墓地のミラージュを除外してその効果を得る!自身をリリースしてデーモンとネクロマンサーを蘇生!」

 

「あれっ?折角のダークシンクロモンスターが墓地に行きましたよ」

 

「ここからが本番ね!」

 

「え!ここからですか!?」

 

 ワクワクとした表情のエリザベスを見て、ルチアは不安に駆られる。なによりもデッキ構築を重視するお嬢様が相手のデッキを評価する時点で、リューキのデッキが強いのが予想できたからだ。

 

 しかしリューキの行動はその予想を飛び抜ける。彼は高速でブツブツと呟きながらデッキを高速で回していく。

 

「デーモンefガンサーチネクロefリベンジャーssデスドラゴンssガンefデーモンネクロssデーモンef...」

 

「何!?意味不明な呪文を唱え始めたわ!」

 

「これがインフェルニティの真骨頂よ!」

 

「知っているのですかお嬢様!」

 

「インフェルニティはサーチができるデーモン、蘇生ができるネクロマンサー、その2体を蘇生できるガンでぐるぐる回すのが特徴ね!全てに同名ターン1の制限が無いから、やろうと思えばいつまでも回せるのも特徴よ!」

 

「なんかどんどん強そうなモンスターが立ってるんですけど!」

 

「特にバックの強さは厄介ね!サーチできる発動タイミングを選ばない破壊のインフェルニティ・ブレイクに、同じくサーチできる万能カウンタートラップのインフェルニティバリア、魔法罠を無効化するシンクロモンスターであるオーガドラグーンが立てば、羽根帚も怖くないわ!」

 

 

ーーー

 

 

<インフェルニティ・ブレイク>

通常罠

自分の手札が0枚の場合に発動できる。

自分の墓地の「インフェルニティ」と名のついた

カード1枚を選択してゲームから除外し、

相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

<インフェルニティ・バリア>

カウンター罠

自分フィールド上に「インフェルニティ」と名のついた

モンスターが表側攻撃表示で存在し、

自分の手札が0枚の場合に発動する事ができる。

相手が発動した効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。

 

<煉獄龍オーガ・ドラグーン>

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000

闇属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分の手札が0枚の場合、1ターンに1度、

相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

ーーー

 

 エリザベスの解説が終わるタイミングでリューキもターンを終了する。リューキの場には圧倒的な盤面が築かれていた。

 

・モンスター

ワンハンドレッド・ドラゴン(ATK3000)

インフェルニティ・デスドラゴン(ATK3000)

煉獄龍オーガ・ドラグーン(ATK3000)

ラヴァルバル・チェイン(DEF1000)

 

・伏せカード

インフェルニティ・バリア

インフェルニティ・バリア

不明

 

「俺はこれで満足し、ターンエンドだ。さあ、デュエルから逃げないのなら、この盤面に立ち向かうがいい!」

 

「わたくしのターン、ドローですわ!」

 

 エリザベスはドローカードを確認すると、今までのデュエルの時よりも早く動き出す。

 

「(ここは速攻仕掛けて、相手を情報量で掻き乱す!)まずは魔法カード、サイクロンを未判明の伏せカードに発動しますわ!」

 

 

ーーー

 

 

<サイクロン>

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

(これいる?)

ーーー

 

 

 リューキは自身の場を確認すると、エリザベスのスピードに負けじと反応する。

 

「(伏せはインフェルニティ・ブレイク、オーガドラグーンよりは強いか)オーガドラグーンの効果発動、サイクロンを無効にし破壊する!」

 

 エリザベスの魔法が無効にされる。折角のサイクロンが止められたのを見てルチアは残念がっていたが、リューキはエリザベスの行動を不振に思った。

 

「(何故ブレイクを狙った...?カードを無効にして破壊するバリアは言わば最強の妨害カード!これを放置してブラフかもしれないセットカードを狙う理由はなんだ?)」

 

「メインフェイズにウォーダーナイトを通常召喚、召喚時にデッキからウォーダーサプライを手札に加え効果発動、自身を破壊します」

 

「...成程、無効にしても意味が無いのか!」

 

「ご名答!わたくしのウォーダーは無効化されれば逆に強くなる!自分フィールドのカードが破壊されたのでクロノグラフ・マジシャンの効果発動!このカードを特殊召喚し、更に手札からモンスターを特殊召喚する!」

 

「無効にできないのなら展開そのものを止めるしかねぇ、カウンタートラップ、インフェルニティ・バリアを発動!無効にし、破壊する!」

 

 

ーーー

 

 

<クロノグラフ・マジシャン>

ペンデュラム・効果モンスター(現実では制限カード)

星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700

【Pスケール:青8/赤8】

「クロノグラフ・マジシャン」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

このカードを破壊し、手札・デッキから「時読みの魔術師」1体を選び、

自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。

【モンスター効果】

(1):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。

(2):フィールドのこのカードを除外し、自分の手札・フィールド・墓地から、

「ペンデュラム・ドラゴン」「エクシーズ・ドラゴン」「シンクロ・ドラゴン」

「フュージョン・ドラゴン」モンスターを1体ずつ除外して発動できる。

「覇王龍ズァーク」1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

 

ーーー

 

 

「まだまだ!永続魔法、ウォーダーサプライを発動!発動時効果によって墓地のウォーダーナイトを蘇生させる!」

 

「それも止める!トラップカード...」

 

 リューキは罠を発動しようとしてその手を止める。その頭の中では高速で考えがめまぐっていた。

 

「(永続魔法の効果はそれにチェーンして破壊することで無効にできる...本来なら万能性の高いバリアよりもそれに劣るブレイクを発動する場面...!だが、あの娘のモンスターは無効化されることを逆手に取る可能性がある!だったら...)」

 

「チェーンしてバリアを発動!ウォーダーサプライを無効にし、破壊する!」

 

 エリザベス何度もカードの効果を発動するが、そのことごとくがリューキによって妨害される。ルチアはその光景に目を覆いたくなった。

 

 しかしエリザベスはここで初めて一息つくと、額の汗を拭った。

 

「ふぅ、貴方が瞬時にこちらのデッキを分析し、妨害の選択を変えられる程の決闘者で良かったわ。魔法カード、一時休戦を発動!」

 

「ちっ!伝説のカードか!」

 

 

ーーー

 

 

<一時休戦>

通常魔法(古代のカード現実では制限)

(1):お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。

次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。

 

 

ーーー

 

 

 2人はそれぞれカードをドローする。同じドローでも、エリザベスは嬉しそうにドローするのに対して、リューキはまるで引きたくなさそうな表情をしていた。

 

「手札から水属性モンスターを捨てて、ホワイトスティングレイを特殊召喚!何も無ければそのままバトル!ラヴァルバル・チェインを攻撃!」

 

「(ここは止めても仕方ねぇ、俺がアレを引かなければ良いだけ...!)」

 

 白い鱏が、全身から炎を吹き出す海竜に攻撃する。その熱にやられる前に鱏は海竜を貫いた。

 

「私はこのままターンエンドですわ!」

 

 エリザベスがターンを終了する。それに対してリューキは自身のデッキを見て祈る。それは普通の決闘者が引きたいカードを引こうと祈るのに対し、引きたくないカードを引かないという祈りだった。

 

「俺のターン。来るな...来るな...!ドロー!」

 

 リューキはドローカードを見ると、露骨に溜息をついた。

 

「はぁ、カードに選ばれすぎるのも良くないな。俺は手札からインフェルニティ・デーモンを召喚」

 

「(あっぶねぇぇぇえええですの!!!)」

 

 エリザベスは驚愕と安堵の入り混じった複雑な表情をしながら、内心で叫びを上げた。

 

「(良かった〜、ルークとの対戦でデッキ調整してて本当に助かった!今まではエクシーズやシンクロのためのサポートを重視してたけど、その枚数を減らして逆転された時のリカバーのできるカードを入れたのですわ!今回はその判断が功を奏したようね!)」

 

「そのままバトル、インフェルニティデスドラゴンでホワイトスティングレイに攻撃」

 

 白い鱏は一つ目の黒龍によって引き裂かれる。黒龍の頭からは脳が露出しており、全身から眼を生やしたモンスターと並ぶとかなり気持ち悪かった。

 

「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

「わたくしのターン、ドローですわ!」

 

 エリザベスはドローしたカードを見て思案する。

 

(ここでこのカードを引くか...!ですが、ここで使わなければ負ける!)

 

「わたくしは墓地のフィッシュボーグ-プランターの効果を発動します!デッキトップを墓地に送り、それが水属性モンスターならば自身を特殊召喚する!」

 

 

ーーー

 

 

<フィッシュボーグ・プランター>

効果モンスター

星2/水属性/魚族/攻 200/守 200

このカードが墓地に存在する限り1度だけ発動できる。

自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。

墓地へ送ったカードが水属性モンスターだった場合、

さらにこのカードを墓地から特殊召喚する。

「フィッシュボーグ-プランター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

ーーー

 

 

「お願いします!...デッキトップはウォーダーエンペラー!効果により自身を蘇生!」

 

「嬢ちゃんも中々カードに選ばれてるじゃねぇか、まぁ貴族なら当然か」

 

「それについては否定しません。ですがわたくしは自分のデッキを常に改良し、最善とも言えるものにしています!そこら辺の決闘者と同じにしないでくださいまし!プランターをリリースしてアドバンス召喚!」

 

「民の心知らぬ女王は、叛乱と革命の災禍を齎す!ウォーダークイーンをアドバンス召喚!」

 

 

ーーー

 

 

<ウォーダークイーン>(オリジナル)

効果モンスター

星6/水属性/魔法使い族/攻 500/守 500

このカードは特殊召喚できない。

フィールドの水属性モンスターをリリースした場合にのみアドバンス召喚できる。

(1)このカードをアドバンス召喚した場合に、フィールドの自身以外の全てのカードを墓地に送って発動する。

自身の手札を全て墓地に送り、その数×200ポイントのダメージを自分は受ける。

この効果の発動後このカードは攻撃できない。

 

ーーー

 

 

 水のドレスを纏い、氷の装飾品を身につけた女王が玉座から立ち上がる。彼女は輝く装飾品をうっとりと眺めると、ゆっくりと歩き出す。

 

「ウォーダークイーンのアドバンス召喚時、全てのカードを墓地に送って効果発動し、わたくしの手札を全て墓地に送る!更にわたくしは墓地に送った手札の数につき200ポイントのダメージを受けるわ!」

 

「ちっ!召喚時効果なら、ブレイクでさえも止められねぇ!」

 

「弾けなさいウォーダークイーン!無常なる氾濫劇!」

 

 ウォーダークイーンの周囲から大きな水柱があがり始める。それはリューキのモンスターの足元にも発生し、クイーンを含めた全てのモンスターを飲み込んでいく。

 そしてそれはクイーンの近くのエリザベスにまで影響が及ぶ。彼女は小さな悲鳴をあげると、手札を全て墓地に送った。

 

ーーー

 

エリザベス LP4000 → LP3400

 

ーーー

 

「(くっ、セルフハンデスが痛いけど、捲るにはこれしか無かった!ウォーダークイーンの効果を無効にするためには墓地にウォーダーフュージョンを用意する必要がある...けど無い以上は毒ごと喰らうしかない!)」

 

 手札を全て失ったエリザベスに対して、ここで久し振りに大きな展開に反応したルチアが大声をあげる。

 

「ちょっ、良かったんですか?手札が無くなればきついんじゃあ...それとも、お嬢様のデッキもアイツのデッキのような...」

 

「残念ながらわたくしのデッキは手札が無いと普通に厳しいですわ。だからこれからはお互いトップ解決を祈るしかありませんわね」

 

 ゆるゆると首を振ったエリザベスに対して、リューキは余裕のある表情で返す。

 

「俺のインフェルニティにトップ解決で勝負するって?貴族の娘だからって調子に乗ってるな」

 

「ですが貴方のデッキのリソースもそう無いんじゃないかしら?ガンは全て使って、デーモンもさっき引いて残りは1枚。ミラージュも1枚か2枚で、その3枚を引かなければ大型シンクロもできませんわね!」

 

 リューキが挑発するとエリザベスも負けじと返し、2人が睨み合う。ルチアからすれば、エリザベスがこのように、外から見てはっきりと闘志を燃やす姿を見たのは初めてだったので、かなり新鮮な姿だった。

 

「ふん、言ってろ。俺のターン、ドロー!」

 

「(どきどき、緊張しますわ)」

 

「...俺は1枚カードを伏せてターンエンドだ」

 

「(やばい、滅茶苦茶ドキドキして参りましたわ!!!)」

 

(ドクン)

 

 エリザベスは自身の胸が今にも破裂しそうなほど、その鼓動が高鳴っていることが感じられた。エリザベスはデッキに手を置きながら、一度落ち着いて呼吸を整えようとする。

 

(ドクン、 ドクン)

 

 しかし、その鼓動の高鳴りは鳴り止まず、寧ろ時間が経つ毎に酷く大きくなっていく。

 

(ドクン! ドクン! ドクン!)

 

 

 

 

「(この鼓動は...誰の鼓動?)」

 

 

 

 

 

「わたくしのターン!ドローしますわ!」

 

 ドローしたカードを見てエリザベスは思わず困惑の表情を浮かべる。

 

「(あれ?わたくしこのカード入れましたっけ?まぁ強いからいいか)わたくしは1枚カードをセットしてターンエンドですわ!」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 リューキはドローしたカードを見て、ニヤリと笑うとそのカードをエリザベスに見せて宣言する。

 

「...手札が0枚の場合にこのカードをドローした時、相手に見せることでこのカードは手札から特殊召喚できる!!!」

 

「まさか...!引いたのですか!?」

 

「そうだ!これが俺の満足!インフェルニティ・デーモンを特殊召喚!」

 

 煉獄からの使者が闇の中から現れる。彼がその手から魔法を放つと、リューキの手の中に収まる。

 

「デーモンの特殊召喚時効果!インフェルニティ・ミラージュを手札に加える!そしてミラージュを召喚!」

 

「やらせはしませんわ!トラップカード発動!天龍雪獄(てんろうせつごく)!!!」

 

 

ーーー

 

 

<天龍雪獄>

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを効果を無効にして自分フィールドに特殊召喚する。

その後、自分及び相手フィールドから種族が同じとなるモンスターを1体ずつ選んで除外できる。

 

 

ーーー

 

 

 エリザベスの背後から3つ首の黒い影が出現する。その3つの内の真ん中の首から光が放たれ、リューキの墓地へと命中する。

 

「相手の墓地のインフェルニティ・リベンジャーを効果を無効にして特殊召喚!更に自分フィールドのリベンジャーと、相手フィールドのミラージュをそれぞれ除外しますわ!」

 

「くっ!妨害してきたか!」

 

 リューキの墓地からエリザベスのフィールドへ、銃を持った小さな悪魔が引き摺り出される。そして更に左右の首の影が光を発射すると、銃の悪魔とローブを着た悪魔に命中し、2体は凍りつき粉々になった。

 

「ならばバトルだ!デーモンでクイーンに攻撃、ヘルプレッシャー!」

 

「キャー!」

 

 悪魔が手を掲げると、女王の上に魔法陣が出現する。そこから隕石が降り注ぎ、破片はエリザベスにもダメージを与える。

 

 

ーーー

 

エリザベス LP3400 → LP 2100

 

ーーー

 

 

「俺はこれでターンエンドだ。もしこのまま逆転できなければお前の負け、お前は満足できるか?」

 

「いいえ、満足できませんわ。貴方もそうでしょう?」

 

「俺は...このデュエルに勝てばそれでいい。もう十分満足した」

 

「いいえ、貴方はまだ満足しきってませんわ!貴方は恐らく今まで対等なデュエルを殆ど出来なかったでしょう?ぶんまわったインフェルニティを正面から負かすことができるデッキなんて少ないでしょうからね」

 

「それは...そうだな。アイツと別れてから俺は何百とデュエルをしたが、俺に敵う者はいなかった。俺は俺を打ち倒す者を求めて傭兵となった」

 

「でしたら!今からわたくしが貴方を打ち倒します!」

 

「はっ!まだ俺のライフは1ポイントも削れてねぇ、既にボロボロなお前に何ができる!?」

 

「ドローですわ!」

 

「ドローだと?」

 

「そうですわ!決闘において手札とは選択肢!そしてそれを導くドローは、まさに無限大の可能性!わたくしはこのドローで手繰り寄せますわ、勝利の可能性...満足を!」

 

 エリザベスのセリフにリューキは笑みを浮かべる。ルチアはなんて言ってるのかいまいち分かんなかった。

 

「おもしれぇ、だったら俺を満足させてくれよ!」

 

「(満足ってなんでしたっけ?)」

 

「わたくしのターン、ドローですわ!」

 

 エリザベスはドローカードを確認し、目を閉じて考えると自身の鼓動の赴くままにカードを発動していく。

 

「わたくしは魔法カード、サルベージを発動!相愛のアンブレカムとウォーダーナイトを手札に加えますわ!」

 

 

ーーー

 

 

<サルベージ>

通常魔法

(1):自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を対象として発動できる。

その水属性モンスターを手札に加える。

 

<相愛のアンブレカム>

チューナー・効果モンスター

星3/水属性/魔法使い族/攻 500/守1500

(1):このカードが召喚に成功した時、手札を1枚捨て、

自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分はSモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

 

ーーー

 

 

「相愛のアンブレカムを召喚!手札を捨てて召喚時効果発動、墓地のウォーダーディムを特殊召喚!更にプランターの効果発動!デッキトップを墓地に送り、それが水属性モンスターなら自身を特殊召喚する!」

 

「デッキトップはウォーダープリンセス!プランターを蘇生!」

 

「フィールドの合計レベルは9!」

 

「(生まれてから今まで出せなかったモンスター...一般人に使うには流石に強すぎるし、なんとなく出す気分にならなかったこのカード...今なら出せる!)」

 

 激しく鳴り続ける心臓の鼓動を、もっと早めていく。それが頂点に達した時、エリザベスは叫ぶ。

 

「レベル4のウォーダーディム、レベル2のフィッシュボーグプランターに、レベル3の相愛のアンブレカムをチューニング!」

 

「封印は今解き放たれた!三又の龍槍は3つの世界を回帰する!シンクロ召喚、氷の世界へ!氷結界の龍 トリシューラ!!!」

 

「なんだそのカードは!?」

 

 

ーーー

 

 

<氷結界の龍 トリシューラ>

シンクロ・効果モンスター(現実では制限カード)

星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。

相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる

(手札からはランダムに選ぶ)。

 

 

ーーー

 

 

 エリザベスの胸元から光が発射され、それは天を貫く。雲を突き破った3つ首の白き龍は、それぞれの口から光線を発射する。

 

「トリシューラのシンクロ召喚時効果!相手フィールド、墓地、手札のカードをそれぞれ1枚選んで除外する!」

 

「なんだと!」

 

「わたくしはフィールドのセットカード、墓地のインフェルニティ・ビショップをそれぞれ除外するわ!」

 

「くっ!」

 

 光線はリューキのフィールドに命中し、カードを凍らせる。そしてそのカードは、降りてきたトリシューラが着地した衝撃によって粉々になった。

 

「バトル!トリシューラでデーモンに攻撃!端末世界の終焉!」

 

「がぁぁぁああああ!」

 

 

ーーー

 

リューキ LP4000 → 3100

 

ーーー

 

 

「これが最強モンスターの一角!我がローゼス家の家宝よ!」

 

「お嬢様!なんかトリシューラがでてから、気温が下がり続けてるんですけど!」

 

「まぁ、あんまり強いから気象にも影響を及ぼしてるのかも...」

 

「はぁー?そんなとんでもないカード、出さないでくださいよー」

 

「いいじゃない!ほら見なさいよ、最強なのよ!トリシューラは!」

 

「まさか、そんな隠し玉があったとはな...!」

 

「光栄に思いなさい!このカードはわたくしの代では今日が初めての召喚なの!やっぱりインフェルニティにはトリシューラよね!!!」

 

「まぁ、俺は墓地を除外されると動けないから妥当な判断だな」

 

「(なんかお嬢様とリューキの言ってることが噛み合って無い気がする!)」

 

 エリザベスはそのままターンを終了し、リューキはドローする。

 

「俺のターン、ドロー。フッ、ここでお前を引くのか...」

 

 リューキはドローしたカードを見ると、眉を下げて話す。

 

「どうやら決闘の神は最後の最後で俺を見放したようだ」

 

「リューキさん...」

 

 エリザベスにターンが渡り、そのままモンスターを召喚すると総攻撃をする前に語り出す。

 

「違いますわ。決闘の神は貴方を解放したのですわ」

 

「俺を...解放...?」

 

「そうよ!貴方が何をしてどう生きてきたのは知らないけれど、きっと貴方はなにかを捨てて、決闘に呑まれてこうして生きてきたのでしょうね。ですが、貴方にはやり残したことが残ってるはずです!」

 

「やり残したこと...!」

 

「そうです!だから決闘の神は貴方が満足したから、今度は貴方にやり残したことをやれって言ってるのですわ!」

 

「そうか...そうかもしれないな」

 

ーーー

 

リューキ LP 3100 → 0

 

ーーー

 

「今夜は楽しいデュエルでしたわ!ではわたくし達は誘拐犯である3人を捕まえますので、ここでお別れですわね!」

 

「えっ、お嬢様!まさか見逃すんですか!?」

 

「そりゃそうよ、だってわたくし達はリューキ様が犯罪をしてるのを見ていませんわ。ただここでデュエルをしただけ、犯罪のはの字もありませんわね」

 

「くくくっ、嬢ちゃんがそういうのならそうさせてもらおう。俺もやり残したことの前に捕まりたくもないのでね」

 

 エリザベスとルチアは未だ眠っているバーン3兄弟を馬車へと詰め込むと、リューキに別れを告げる。

 

「ではさようなら!是非またお会いしたいですわ!」

 

「ああ、俺もやり残したことが終わったら会いにでも行くさ」

 

 馬車が人質と誘拐犯、それと主従を乗せて走り出す。

 

「「((やり残したこと...それは!))」」

 

「チームサティスファクションの復活ですわね!」

「アイツに会いに行って想いを伝える!」

 

「(なんか噛み合って無い気がする!!!)」

 

 ルチアは心の中で叫んだ。

 

 




 あー、難産でした。普段なら5時間もあれば1話出来てるのですが、今回は10時間ぐらいかかりました。(その内デュエル構成が9時間)

 エリザベスはリューキのことを鬼柳だと思ってるけど、そもそも別人です。ただのそっくりさんなので話が噛み合ってるようで噛み合って無かったわけですね。

 リューキのデュエルに関しては芸能人デュエル大会の、小野友樹さんのプレイングを参考にしました。あれメッチャ好き!

 例によって勢いだけで書いたので、誤字やルールミス、設定ミスなど気がつきましたら、感想に書いてくれると有り難いです!

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