悪役令嬢「わたくしを断罪ですって!?受けて立ちますわ、闇のゲームで!」   作:sesamer

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 更新が遅れてすみません。人生初モンハンとリンクスの亜白実装にかまけていました。なので待たせた割にクオリティが高いわけではないです。
 今回対戦相手のデッキは個人的に力作です。デュエルは長引いてしまいましたがそこは気にせずに見てください。



しようにんデッキなのですわ!

 シリオス国の首都であるウユギ。ここには様々な文化やカード達を取り扱うお店が集まっており、エリザベスとルチアは2人で街中を歩いていた。

 

「それでお嬢様、私のデッキを何にするんですか?まぁ聞いても分からないと思いますが」

 

「ふっふっふ...それは秘密よ!でも良かったのかしら、結局わたくしが決めてしまうことになってしまいましたが」

 

 エリザベスは社交界やお茶会の影響で社交界に行く時間が取れなく、結果としてルチアがデッキを自分で決めることができなかった。

 

 そこでエリザベスが唐突に「ピッタシなデッキがあるわ!」と言い出し、2人でお買い物に来たのだった。

 

「それはお嬢様が気にすることではありません。寧ろ私の方がお嬢様にどう恩返しをすれば良いのか...」

 

「それも全然気にすることではありませんわ!わたくしはルチアと決闘がしたいだけなのですから!」

 

「(確かゲームでのルチアは、エリザベスから押し付けられたデッキでエリザベスに毎日虐められていましたわ...)」

 

 エリザベスはゲームでの自身の行動を思い出す。彼女はルチアや他の使用人を毎日虐めていて、それを主人公である優華は咎めたのが2人の対立の始まりだった筈だ。

 

「(わたくしはルチアに優しくしないと将来破滅する可能性もありますわ!)」

 

「あれ?でもお嬢様って色々カード作れるじゃないですか。それならここまで買いに来なくても作れるのでは?」

 

「あれもそこまで使い勝手はよくありませんの。世界に存在しないカードを作る時には細かい調整をして、かなりの魔力を消費して出来上がるわ。」

 

 エリザベスは自分のデッキを懐から取り出し、頬擦りしながら答える。

 

「他にも、世界に存在するカードを量産する時にはそのカードの事を詳しく知っている必要がありますの」

 

「じゃあ私のデッキはお嬢様がよく知らないデッキってことですか?」

 

 ルチアが不安そうな声色でエリザベスに聞く。もしや自分はなにかとんでもないデッキを使わされるのでは?と思った。

 

「そんなことないわよ。どんなデッキで何ができるのかは知っているのだけど、環境には顔を出さなかったし一度しか戦ったことなかったから...」

 

「それならいいんですが...(何でそんなデッキを私に使わせるんだろう?)」

 

 

ーーー

 

 

 そして2人はカードを売っている商人が構える店に入る。てっきりルチアは様々なカードがそこにあると思っていたが、思ったより閑散としており、そう感じたのはルチアだけではなかった。

 

「あら?なんかカードが少ないわね」

 

 店に疎らに並ぶカードを見てエリザベスは呟く。それに反応した店の主人は腹立たしげに答えるが、エリザベスの姿を確認して慌てて言い直す。

 

「ああ?そりゃあ連日の騒ぎでって、申し訳ありません!貴族の方だと思わず失礼な口の利き方を!」

 

「それより、連日の騒ぎって何のこと?教えて頂戴」

 

 エリザベスに聞かれると、男は怒りで顔を赤くしながら答える。

 

「それは、義賊が出たんですよ」

 

「義賊?」

 

「そうです。エゴって名前で店や貴族の家に手紙を送り、対抗した警備を楽々と突破してカードを盗み他人に譲ってるらしいです」

 

「他人に譲ってるの?自分のものにしてるんじゃなく?」

 

「それがですね、エゴが盗んだものは元々の持ち主から奪ったり、不当な買取によって失ってしまったものらしく、その義賊は正規の持ち主に返してるんだって言われてまして...」

 

 その言葉にエリザベスの後ろにいたルチアが周囲を見ながら口を開ける。

 

「...ならここの被害は自業自得なのでは?」

 

「あぁ!?俺が犯罪者だと言うつもりか!」

 

「す、すみません」

 

 商人がルチアの呟きに反応して声を荒げると、溜息を吐いて話を続ける。

 

「別にそれだけの話なら問題はねえのさ。ただそいつのやり方がな...」

 

「やり方?」

 

「俺たち商人は高額なカードは念入りに保管してる。それらは貴族様との取引に使うから、義賊なんかやってる奴にはどんなカードかも分からない。だから奴は手当たり次第に店を襲ってるのさ」

 

「手当たり次第にですの!?それでよく捕まっていませんわね...」

 

「何も盗らないからな。奴としては義賊としての流儀かもしれねぇが、それが奴の足がつくのを防いでるんだ」

 

「だがこの流れに便乗して、盗みを行ってる奴が増加している。エゴとは似ても似つかない犯罪者達が色々と盗んでいる...っていうのは、ウチのカミさんが言ってたことだが」

 

 商人は再度溜息を吐きながら、「アイツ、おれとエゴとやらのどっちが大事なんだか...」とボソリと呟いた。どうやら被害は物的なものだけではないみたいらしい。

 

 結局2人は大した買い物は出来ず、町中を歩き回ってなんとかルチアのデッキを完成させたのだった。

 

「それにしても義賊とは気になりますね」

 

「そうね。正式な持ち主に返している、ってことは少なくともその持ち主とエゴとやらは会ってるわけだし、それで捕まってないんだから余程正体がバレないようにしてるか、庇われる程の人徳があるかよね」

 

「なるほど。まぁ店の被害はエゴの仕業ではないようだし、政府も本格的に義賊を追ってるわけではないみたいですね」

 

 ルチアは街の様相を思い出しながら答える。街では民衆の盛り上がりの割には警察の動きは静かで、彼らが後手に回っているのは明らかだった。

 

「まぁわたくし達には関係のない話です。それよりも今日はそのデッキを使いこなせるように特訓ですわ!」

 

「...分かりました」

 

 ルチアが観念したように頷いてローゼス家の門を開ける。2人が屋敷へと入ると、家の中が妙に騒がしいことに気付く。

 

「...なんだか騒がしいですね」

 

「そこのメイド!一体何があったのですか?」

 

 エリザベスが使用人の1人を呼ぶと、使用人は怯えながら2人に理由を話す。

 

「それが手紙が来たんです。義賊エゴって名前から...」

 

「義賊...」

 

「エゴ!?」

 

 2人は顔を見合わせて驚く。それは先程話していた街を賑わす騒動の犯人の名前だった。

 

 

ーーー

 

 

 ローゼス家はエリザベスの母、マリーを筆頭に盗賊対策をしていた。しかし、あまり上手くいってるとは言えなかった。

 

 それは当たり前で、ローゼス家はカードを沢山保有しているわけでなく、他の人間からカードを集めてもいないからである。そもそも盗まれる理由に心当たりが無く、誰かのイタズラなのではないかと思われていた。

 

 エリザベスはその様子を暫く見ていたが、やがて興味を失ったのかルチアを連れて部屋へと戻った。

 

「結局あの手紙はイタズラなんでしょうか?」

 

「うーん、なんとも言えないわね。ウチを狙う理由とすれば家宝のトリシューラぐらいしかないし、トリシューラは別に盗品ではありませんし...」

 

「そのトリシューラってカードはどんなものなんですか?一度召喚したのは見てましたけど、寒くてよく分かんなくて...」

 

 ルチアの質問にエリザベスは明るい声で答える。ルチアはその反応で長くなることを悟り後悔した。

 

「トリシューラは最強のシンクロモンスターとしても挙げられる、強力なカードだわ!召喚時に手札、場、墓地のカードを1枚ずつ除外する効果は数あるカードの中でも唯一無二と言っていいわ!」

 

「確かに、単なる除去以外にも大事な手札、墓地も除外するから出せば圧倒的に有利な状況になりますね」

 

「それに様々な要因がトリシューラの強さを後押ししてるわ!」

 

「様々な要因?」

 

「まずは対象に取らないことね!効果解決時に対象を選ぶから、サクリファイスエスケープやチェーンして発動するのが無意味になるわ!」

 

「対象...?サクリファイスエスケープ...?」

 

「あぁ、その辺は説明してなかったわね。対象に取るっていうのは破壊などの効果を発動するときにそのターゲットを予め決めることよ。例えばこのカードを見て頂戴」

 

 エリザベスはデッキからカードを抜き出すと、それをルチアに見せる。

 

 

ーーー

 

 

<ウォーダーアイサーシエザール(オリジナル)>

エクシーズ・効果

ランク4/水属性/魔法使い族/攻 2500/守 2000

レベル4モンスター×2

(1)このカードのX素材を1つ取り除きフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。

そのカードの効果を無効にする。

(2)X素材を持つこのカードが効果で破壊された場合に発動できる。

墓地から「ウォーダー」モンスター1体を特殊召喚する

 

 

ーーー

 

 

「この、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。ってところね!これは効果が発動する前に決めているから、この効果にチェーンして対象のカードを発動したりリリースすれば、無効効果は無意味になっちゃうわね」

 

「なるほど、確かにお嬢様も落とし穴にチェーンしてモンスターを変換してましたね」

 

 ルチアは先日のバーン三兄弟の決闘の解説を思い出しながら頷く。決闘の時は気絶していて見れなかったが、エリザベスは決闘の内容をルチアに解説していた。

 

「(その時は妨害を躱す手段は大切ですわ!って言ってたけど躱すとはこういうことだったのか)」

 

「じゃあそれに対して対象に取らないカードを見てみましょう」

 

 

ーーー

 

 

<氷結界の龍 トリシューラ>

シンクロ・効果モンスター(現実では制限カード)

星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。

相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる

(手札からはランダムに選ぶ)。

 

 

ーーー

 

 

「対象に取らないカードは発動の後に選択していることが分かりますわね。選んでと書いているのも見分けるポイントですわね」

 

「確かにそうですね。発動できる。の後に、選んで除外できると書いてます」

 

「この効果の利点はさっき言った躱す手段をある程度無効化出来ることにあるわ!チェーンしてモンスターを変換すると変換先のモンスターを除去できるし、チェーンして魔法罠を発動したら他の魔法罠を除去すればいいわ!」

 

「なるほど、対象に取るより強い気がします!」

 

「まぁ対象に取らないことを逆手に取ることもできますが、それはまたおいおいやっていきましょう」

 

「(トリシューラは恐らく最古の対象に取らないカードだった筈ですわ。確か非公開領域である手札に及ぶ効果だったから、対象に取らない効果じゃないといけないとか)」

 

「(そっから対象に取るという、遊戯王の難しい部分が出来上がったのだから罪深いカードですわね)」

 

 エリザベスはトリシューラをまじまじと見ながら思案する。彼女からすればトリシューラは間違いなく既存の遊戯王を破壊したカードだろう。

 

「トリシューラの強みはまだありますわ。まず、任意効果(できると書いてある)だから手札、場、墓地のどこかにカードが無かったりしても発動できるわ!これはトリシューラのネクロスとの違いの一つね!」

 

「...ということは、先行1ターン目で出せば手札を1枚除外するんですね」

 

「そうね!更に名称ターン1がついてないから、一度に3枚だせば手札は3枚、合計で9枚除外できるわ!」

 

「そんなのもう決闘どころじゃないですよ...」

 

「先日の決闘で、もしリューキ様がこれを持ってたら勝ち目はありませんでした。それぐらいの力をこのカードは持ってますわ」

 

「流石に家宝なだけはありますね...」

 

「(DT世界、OCG環境、そして決闘者の財布をそれぞれ滅ぼした伝説がありますからね...)」

 

 

ーーー

 

 

「しかしいくらトリシューラが強くても、義賊エゴの狙いは奪われたカードなんでしょう?沢山カードを持ってる店や貴族が襲われるなら兎も角、ウチを狙う理由は分かりませんよね...」

 

「そうね。ウチが保管してるカードなんて、わたくしが個人で作ったりしている分と比べたら雀の涙ですわ!」

 

 エリザベスが保管している箱を開けるとそこにはぎっしりとカードが詰まっていた。それは単にエリザベスが使っているだけではなく、ルチアへの解説用や詰めデュエル用に作ったカードもそこにはあった。

 

 それを見たルチアは気付いた。

 

「...お嬢様。今気付いたんですが...」

 

「奇遇ですわね。わたくしも今気付きましたわ...」

 

「「お嬢様(わたくし)のカードが狙われてますねこれ」」

 

 結局エリザベスは自身が原因と伝えてマリーに怒られるのを恐れ報告はせず、一晩中ルチアと部屋を守れば大丈夫という結論に至った。

 

 エリザベスはこれを機にルチアにデッキの回し方をレクチャーし、エリザベスの様々なデッキとミニデュエルをすることになる。

 

 ことが起こるのは12時になり、エリザベスが眠気を感じた時であった。

 

 

ーーー

 

 

「ふわあああ」

 

 エリザベスが大きな欠伸を吐き、ルチアはそれを嗜めるとエリザベスに寝ることを勧める。

 

「お嬢様、義賊エゴも来ないかもしれないし、眠った方がいいんじゃないでしょうか?」

 

「そうねわたくしはねるのでなんかあったらおこして」

 

 エリザベスがふらふらとベッドに入ると、直ぐに小さな寝息を立てて眠る。

 

 それを見届けたルチアは不意に視線を感じて反応する。

 

「むっ、何奴!」

 

 ルチアが振り向くと、そこには黒い服を纏った細身の男が立っていた。男は起きる気配の無いエリザベスを確認すると、口を開く。

 

「俺はエゴ。世間では義賊と呼ばれているな」

 

「出ましたね!お嬢様のカードは盗ませはしません!」

 

 ルチアが箱を庇う様に立つと、エゴは溜息を吐いて語り出す。

 

「俺も盗むわけじゃない。ただここに銀河のカードがあると聞いてな、それを差し出して欲しいだけだ」

 

「銀河のカード?」

 

「あぁ、それは元々俺の親父のものだ。だが強盗に狙われて親父は命を落とし、俺はそれを集めてる」

 

「ここにあるのはお嬢様が作り上げたものです!盗品なんかありません!」

 

「だがそのお嬢様が銀河のカードを使っていたと聞いた。俺はそれを求めてここまで来たんだ」

 

 とても盗賊とは思えない真剣な態度に、ルチアは狼狽える。もしかしたらエリザベスは知らない内に盗品である銀河のカードをどこかで買ったのかもしれないし、我儘だったころのエリザベスなら間違いなく盗品なんて気にしてないだろう。

 

「お嬢様!起きて下さい!エゴが出ました!」

 

「むにゃむにゃ、うららは嫌だ、泡影はもっと嫌だ...」

 

「起きて下さいって!」

 

「むにゃむにゃ、チェーンミドラは嫌だ、チェーン魔鍾洞はもっと嫌だ...」

 

「どうやらお嬢様は起きないみたいだな。ならば決闘で決めよう、俺が勝てばその箱の中身を確認して銀河のカードは頂く。負ければ煮るなり焼くなりするがいい」

 

「ええっ!決闘ですか!?」

 

「...なんだ?都合が悪いのか?」

 

「い、いえ大丈夫です!(決闘は無理だけど、今ここで力づくになるともっと無理だ!お嬢様も寝てるし危険な目に遭わせるかもしれない!)」

 

「ならば決闘を始める。決闘空間展開」

 

 展開されていくフィールドを見てルチアは覚悟を決め、エリザベスから貰ったデッキをセットする。

 

「「決闘!!」」

 

 

ーーー

 

ルチア LP4000

エゴ LP4000

 

ーーー

 

 

<ターン1>

 

「わたしが先攻を貰います!メインフェイズに入って手札からドラゴンメイド・パルラを通常召喚します!」

 

 持ち主と同じような制服を着た緑髪の少女が現れる。

 

 しかし普通の少女には無い翠色の角と尻尾があり、その少女が龍の血族であることが伺えた。

 

「パルラの召喚時効果でドラゴンメイドのお召し替えを墓地に送ります!更に墓地のお召し替えの効果でパルラとお召し替えを手札に戻し、お召し替えを発動!」

 

 

ーーー

 

 

<ドラゴンメイドのお召し替え>

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「ドラゴンメイド」モンスター1体を対象として発動できる。

このカードを手札に加え、そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

 

ーーー

 

 

「手札のパルラとナサリーを融合!主人の居ぬ間は私達の戦場なのです!融合召喚!ドラゴンメイド・ハスキー!」

 

「融合とは、メイドにしては中々やるな」

 

 先程の少女と同じように制服を着た、眼鏡をかけた女性が舞い降りる。彼女にも黒い角と尻尾があり、それは先程の少女より大きく威圧感を放っていた。

 

 

ーーー

 

 

<ドラゴンメイド・ハスキー>

融合・効果モンスター

星9/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

「ドラゴンメイド」モンスター+ドラゴン族モンスター

(1):自分・相手のスタンバイフェイズに、このカード以外の自分フィールドの「ドラゴンメイド」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターよりレベルが1つ高い、またはレベルが1つ低い「ドラゴンメイド」モンスター1体を自分の手札・墓地から選んで守備表示で特殊召喚する。

(2):このカード以外の自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスターが自分の手札に戻った時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊する。

 

 

ーーー

 

 

「更に魔法カード、ドラゴンメイドのお心づくしを発動!墓地からドラゴンメイド・ナサリーを特殊召喚し、デッキからドラゴンメイド・エルデを墓地に送ります!そしてナサリーは墓地からドラゴンメイドを蘇生できる!パルラを特殊召喚!」

 

 ハスキーの後ろに先程の翠の少女と赤髪の少女が降臨する。2人はエゴのモンスターに構えるように守備表示で立った。

 

「カードを1枚伏せてターンエンドです!(ドラゴンメイドの下級はバトルフェイズに上級ドラゴンへと変身する!そしてハスキーはそれに反応して相手モンスターを破壊出来る!)」

 

「(それに伏せたカードはリビングデッドの呼び声!もしハスキーが破壊されても、バトルフェイズのドラゴンメイドの効果にチェーンすることで破壊効果が使える!)」

 

 

モンスター

ハスキー(ATK3000)

パルラ(DEF1700)

ナサリー(DEF1600)

伏せ

リビングデッドの呼び声(モンスター蘇生)

 

 

<ターン2>

 

「俺のターン、ドロー」

 

 エゴはドローカードを確認し、メインフェイズに入ると動き出す。

 

「手札を1枚捨て、ティンダングル・ベース・ガードナーをデッキから墓地に送って、ティンダングル・ジレルスを裏側守備表示で特殊召喚!更にモンスターをセット!」

 

 エゴの盤面にモンスターが2体セットされたのを見てルチアは安心する。

 

「ふぅ、どうやら動けないみたいですね」

 

「それは違いますわ!(DNGNRNP)」

 

「ひゃあ!」

 

 ルチアが振り向くと、エリザベスが立っていた。

 

「お嬢様、いつから起きてたんですか?」

 

「決闘が始まったら起きたわ!どうやらエゴがやってきたようね!」

 

「そうですよ、それで私が決闘してるんですけど...モンスターをセットしたということは動かないんじゃないんですか?」

 

「先程のティンダングルというテーマはリバースモンスターですわ。裏側守備表示から表側表示になった時に効果を発動するモンスターをリバースモンスターと言いますわ」

 

「そういうデッキは裏側からリバースする手段を搭載していますわ!今回は墓地に送ったADチェンジャーね!」

 

「...どうやら氷の姫の噂は本当だったみたいだな、その豊富なカードの知識は間違いなく集めたカードから得たものだろう?」

 

 エゴは部屋の片隅にある箱を指差して言い放つ。エリザベスはギョッとしてルチアが反応するより早く答えてしまった。

 

「(まずいですわ!前世のことがバレたらヤバいですわ!)ええ!そうですわ!」

 

「やはりか...ならば銀河のカードもあるはず!」

 

「(お嬢様!なんで作ったものって言わないんですか!?あの箱のカードが盗品だって言われてるんですよ!)」

 

「(え!そうなの!?)」

 

 エリザベスが驚いている間にエゴは確信を持って動き出す。

 

「墓地のADチェンジャーを除外してセットモンスターを攻撃表示にする。リバースした魔導雑貨商人の効果発動!」

 

「魔導雑貨商人ですって!?」

 

 大きな商売道具を抱えた紫色のモンスターが凄まじい速度でその袋から品物を取り出していく。

 

 

ーーー

 

 

<魔導雑貨商人>

リバース・効果モンスター

星1/光属性/昆虫族/攻 200/守 700

(1):このカードがリバースした場合に発動する。

魔法・罠カードが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、

その魔法・罠カードを手札に加える。

残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

 

ーーー

 

 

 商人の動きと連動してエゴのデッキから凄まじいスピードでカードが落ちていく。とんでもない現象にルチアは仰天し、エリザベスは舌を巻いた。

 

「お、お嬢様!なんか相手のデッキがどんどん墓地に行ってます!」

 

「魔導雑貨商人は魔法罠が出るまでデッキトップを墓地に送り続けるカードよ。恐らく相手は魔法罠を少なくしてるからあれだけのパワーが出ているわね!」

 

「(落ちているモンスターの多くは昆虫族に、通常モンスターが多いわね...魔導雑貨商人でバニラを落とすということは...)」

 

 やがて商人が袋から1つの商品を探り当てると、その魔法カードはエゴの手札へと加えられる。

 

「デッキトップの貪欲な壺を手札に加え、そのまま発動!ライカン・スロープ、超装甲兵器ロボブラックアイアンG、デビルドーザー、ティンダングル・ベース・ガードナー、魔導雑貨商人をデッキに戻して2ドロー」

 

「(ライカン・スロープね!中々渋いカードを使いますが、ドラゴンメイドに太刀打ち出来るかしら?)」

 

 エゴはドローしたカードと墓地を確認すると、口角を釣り上げる。

 

「墓地の共振虫3体を対象として、手札の超装甲兵器ロボブラックアイアンGの効果発動!特殊召喚し、共振虫3体を装備する!」

 

 エゴの場に超巨大な虫の造形を持つ人型ロボットが出現する。ロボットはその主砲に3体のモンスターを装填すると、それをルチアの場に放とうとする。

 

「アイアンGの効果発動!装備された共振虫1体を墓地に送り、その攻撃力1000以上のモンスターを全て破壊する!」

 

「なっ!」

 

「今回はハスキーだけ破壊だ!」

 

 アイアンGが主砲からモンスターを射出し、それはハスキーへと命中し爆発を起こす。ルチアは破壊されたのがハスキーだけでホッとしている一方で、エリザベスは目を輝かせていた。

 

「危なかった、ドラゴンメイドの下級の攻撃力が低くて助かりました」

 

「(このコンボ凄いですわ!)」

 

「フィールドから墓地に送られた共振虫の効果!デッキからデビルドーザーを手札に加える!」

 

「装備状態でも共振虫の効果は発動する!墓地へ大量にモンスターを落とす魔導雑貨商人との素晴らしいコンボですわ!」

 

「驚くのはまだ早い!墓地の昆虫族2体を除外し、デビルドーザーを特殊召喚!レベル8のモンスター2体でオーバーレイ!」

 

「これは...エクシーズ召喚!?」

 

「逆巻く銀河、遡る時を渡る遥かなる竜!エクシーズ召喚!ランク8、No.107 銀河眼の時空竜!」

 

 光の向こうから黒き竜が現れる。その体には赤き光が走り、紫とも橙とも言える不思議なオーラを纏っていた。

 

 

ーーー

 

 

<No.107 銀河眼の時空竜>

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

レベル8モンスター×2

自分のバトルフェイズ開始時に1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。 このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの効果は無効化され、 その攻撃力・守備力は元々の数値になる。 この効果を適用したターンのバトルフェイズ中に相手のカードの効果が発動する度に、 このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1000ポイントアップし、 このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

 

ーーー

 

 

「墓地に送られた共振虫の効果!デビルドーザー2枚を手札に加え、そのままデビルドーザー2体を特殊召喚!除外された共振虫の効果でデッキから昆虫族を墓地に送る!」

 

「凄いですわ!ここまでの動きを魔導雑貨商人からできるなんて!」

 

「お嬢様はどっちの味方なんですか!(こちらはバトルフェイズ開始時のナサリーの効果にチェーンしてハスキーを蘇生すれば、あのモンスターを破壊できる!)」

 

「時空竜の力を見るがいい!バトルフェイズ開始時に時空竜の効果発動!このカード以外の全てのモンスターの効果を無効化し、ステータスを元に戻す!」

 

「何ですって!?」

 

 時空竜が吠えると、時間と空間が歪んでいく。それに対してナサリーは逃げようとするも、時空の歪みに囚われる。

 

「(ナサリーが手札に戻らない!?それならハスキーの効果も発動出来ない!)」

 

「時空竜でパルラを攻撃!殲滅しろ!時空竜!」

 

 時空竜が口からビームを放ち、それが翠の少女に命中する。パルラの破壊を確認すると、2人は動き出す。

 

「デビルドーザーでナサリーに攻撃!」

「トラップカード、リビングデッドの呼び声!墓地のハスキーを蘇生!」

「あっ」

 

 黒き龍の女性がもう一度降臨する、しかしその攻撃力は時空竜と等しい筈なのに、時空竜の放つ威圧感に完全に負けていた。

 

「相手が足掻く度に時空竜はその力を増す!時空竜は自身の効果で攻撃力を1000アップし、更にもう一度攻撃できる!」

 

「何ですって!?」

 

 ルチアの悲鳴が上がる。ナサリーはデビルドーザーに破壊され、ハスキーも攻撃力を上回られた時空竜がいる今、ルチアは圧倒的な窮地に陥っていた。

 

「時空竜でハスキーを攻撃して破壊!更にもう一体のデビルドーザーと魔導雑貨商人にダイレクトアタック!」

 

「きゃぁあああ!!!」

 

 ルチアが衝撃に悲鳴をあげる。しかし決定的な状況でもエゴは油断しなかった。

 

 

ーーー

 

ルチア LP4000 → LP400

 

ーーー

 

 

「メインフェイズ2に入り、レベル8のモンスター2体でオーバーレイ!」

 

「またですか!?」

 

「希望の力は闇の大河を貫き、その力を束ねる!エクシーズ召喚!ランク8、No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー!」

 

 

ーーー

 

 

< No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー>

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

レベル8モンスター×2

①:1ターンに1度、魔法カードの効果がフィールドで発動した時に発動できる。 その効果を無効にし、そのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

②:相手モンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。 攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。

③:自分フィールドのXモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、 自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。 対象のモンスターの攻撃力は、破壊されたそのモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

 

ーーー

 

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

モンスター

魔導雑貨商人(ATK200)

ティンダングル・ジレルス(セット)

No.107 銀河眼の時空竜(ATK3000)

No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー(ATK3000)

 

 

<ターン3>

 

 

「くっ...私のターン、ドローです!」

 

 ルチアがドローしたカードを見る。圧倒的な劣勢でも彼女は諦めていなかった、それは自分の主人の前で情けない姿を見せられなかったからである。

 

「メインフェイズに入り、パルラを通常召喚!効果でドラゴンメイドのお片付けを墓地に送る!そのままお片付けを墓地から除外して効果発動!墓地のハスキーを蘇生します!」

 

 墓地から再びハスキーが舞い戻った。彼女の雰囲気は持ち主に呼応したかのように奮起していた。

 

「(お嬢様の制圧モンスター紹介の中にタイギャラはあった筈!ここは除去してから動く!)」」

 

「墓地のお召し替えの効果発動!パルラを手札に戻して自身を手札に加える!」

 

 翠の少女が手札に帰っていく。それに反応してハスキーが両手に魔力を込め始める。

 

「ハスキーの効果発動!ドラゴン族が手札に戻った時相手モンスターを破壊する!タイタニックギャラクシーを破壊!」

 

「ちっ、融合の妨害をするつもりだったんだがな」

 

「手札に加えたお召し替えを発動!手札のパルラと場のハスキーを融合します!」

 

「私達の仕事はお嬢様の生活を守ること!ドラゴンメイド・シュトラールを融合召喚!」

 

 ハスキーが眼鏡を外すと、その背から翼を伸ばして自身を包み込む。そして翼を解放するとそこには白い肌に黒い鱗を纏った、美しいドラゴンが姿を現した。

 

 

ーーー

 

 

<ドラゴンメイド・シュトラール>

融合・効果モンスター

星10/光属性/ドラゴン族/攻3500/守2000

「ドラゴンメイド」モンスター+レベル5以上のドラゴン族モンスター

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。

自分の手札・墓地からレベル9以下の「ドラゴンメイド」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

(2):相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

このカードを持ち主のEXデッキに戻し、EXデッキから「ドラゴンメイド・ハスキー」1体を特殊召喚する。

 

 

ーーー

 

 

「攻撃力3500...!」

 

「バトルフェイズ!シュトラールで時空竜を攻撃!」

 

 白黒の龍が黒い竜に攻撃する。黒い竜は荒々しく口からビームを放出するが、白黒の龍はその全てを避けると黒い竜へ急接近し、その爪で引き裂いた。

 

「・・・」

 

ーーー

 

エゴ LP4000 → 3500

 

ーーー

 

 

「メインフェイズ2でカードを1枚伏せてターンエンドです!」

 

「(シュトラールは相手のカードの効果を無効にする、更に伏せたお見送りによって特殊召喚したモンスターは戦闘効果で破壊されない!この布陣は突発できないはず!)」

 

 

モンスター

ドラゴンメイド・シュトラール(ATK3500)

伏せ

ドラゴンメイドのお見送り

 

 

<ターン4>

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

「スタンバイフェイズにシュトラールの効果を発動します!墓地からナサリーを特殊召喚し、ナサリーの効果でパルラを蘇生!」

 

「足掻いているところ残念だが勝利は既に俺の手中にある」

 

「何ですって?」

 

 エゴが静かに告げると、そのまま動き出す。

 

「メインフェイズに入りティンダングル・ジレルスを反転召喚!効果で魔導雑貨商人を手札に加える!」

 

「(サーチは止めても既に手札に商人がある可能性がある。止めるなら商人の効果が発動した時!)」

 

「モンスターをセットし、墓地のADチェンジャーを除外して効果発動!魔導雑貨商人を攻撃表示にし、魔導雑貨商人の効果を発動する!」

 

「それはさせません!シュトラールの効果発動!魔導雑貨商人の効果を無効にし破壊、更にシュトラールをEXデッキに戻してハスキーを特殊召喚します!」

 

 シュトラールが大空へと飛び立ち、その後にハスキーが降臨する。それを見てもエゴは表情を変えなかった。

 

「成程、お前のデッキはバトルフェイズに展開や破壊をするみたいだな」

 

「だが、俺はお前がバトルフェイズにいくら動けようとも関係無い処刑方法を引いたぞ!」

 

「墓地のモンスター3体を除外し、The blazing MARSを特殊召喚!」

 

 炎を纏ったモンスターが現れる。そのモンスターは自分の場の他のモンスター達を炎によって燃やしながらその炎を増幅させる。

 

 

ーーー

 

 

<The blazing MARS>

効果モンスター

星8/炎属性/炎族/攻2600/守2200

「The blazing MARS」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、

このカード以外の自分の墓地のモンスター3体を除外して発動できる。

このカードを特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

(2):自分メインフェイズ1に、このカード以外の自分フィールドのモンスターを全て墓地へ送って発動できる。

墓地へ送ったモンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

 

ーーー

 

 

「MARZの効果発動!このカードを除く自分の場のモンスターを全て墓地に送り、送った数につき500ポイントのバーンダメージを相手に与える!」

 

「そんな!?」

 

「喰らえ、シリティス・メジャー!!!」

 

「きゃああああ!!!」

 

 

ーーー

 

ルチア LP400 → 0

 

ーーー

 

 

「すみませんお嬢様、負けてしまいました」

 

 ルチアがエリザベスに頭を下げる。ルチアはエリザベスの顔に泥を塗ったことを恥じ、命じられれば辞めるのもやぶさかでは無かった。

 

 覚悟した表情をしたルチアに対し、エリザベスは穏やかな笑顔を浮かべる。

 

「ルチア、負けることは悪いことじゃないわ」

 

「え...」

 

「確かに負けると悔しいし、今回はわたくしも被害は被るけど、そんなこと気にしてたら決闘なんてつまらないわ」

 

「お嬢様...」

 

「決闘は楽しまないといけないのよ。ルチアは初めての実戦だったけどつまらなかった?」

 

「...いいえ」

 

「なら良かった。悔しいなら次勝てるように一緒に頑張りましょう?」

 

「はい!」

 

 笑顔を取り戻したルチアを見てエリザベスは安心すると、エゴに向き直る。

 

「それで、この箱が欲しいんですわよね?」

 

「あ、ああ。別に全部じゃなくても銀河のカー」

 

「謙遜しなくても良いわ!寧ろ好きなカードなんでもあげちゃうわ!」

 

「いや、別にそんな欲しいわけじゃ」

 

「わたくしは感動しましたの!世間では人気の無い昆虫やバニラ、リバースを活用して、それを自身のエースに繋げる戦術!」

 

「更にデビルドーザーのデメリットを時空竜で無効化するなど、エースの強みを最大限に引き出す構築力!」

 

「貴方のような決闘者のためなら、幾らでもカードをあげますわ!寧ろ、わたくしで良ければ幾らでも力を貸しますわ!」

 

 エゴは隣で称賛し続けるエリザベスを他所に箱を漁る。その中から1枚のカードを見つける。

 

「おい、このカードはどこで手に入れた?」

 

「え?銀河戦士ですか?それはわたくしが作ったカードですわ」

 

「...作った?買ったのではなく?」

 

「そうですわ。1番下にあるものは昔のわたくしが集めていたものですが、それ以外はわたくしが作ったものですわ。銀河戦士はサイドラなどでも有能よね!」

 

「...なら此処にある銀河のカードはお前のものだと?」

 

「そうですわね、ですが貴方が欲しいのなら差し上げますわ!」

 

「・・・頂いておこう」

 

「(エゴさんがお嬢様の規格外さに圧倒されてる!)」

 

 ルチアは凄腕の盗賊でさえも圧倒するお嬢様の凄さを改めて実感した。

 

 

ーーー

 

 

「さて、では機会があればまた会おう」

 

「お待ち下さいませ」

 

 窓から飛び降りようとした(そこから入ってきたのか...)エゴだったが、エリザベスに手を掴まれる。

 

「なんだ?」

 

「貴方は箱の中身をかけてルチアとデュエルしたそうですね。それならわたくしも貴方とかけたいものがありますわ」

 

「・・・」

 

「わたくしは貴方の様な強い決闘者は手元に置いていたいの。報酬は払うからわたくしの使用人になってくださらない?」

 

 そう言ってエリザベスはエゴに手錠をかけた。実はこれは昔のエリザベスの所有物であり、盗賊の対策として忍ばせていたのだった。

 

「...これは強制じゃないのか?」

 

「決闘で勝てば解放しますわ。負ければそのまま使用人ね」

 

 エリザベスが笑顔で答える。手錠は鎖によってエリザベスの手に繋がっており、どうやら決闘に勝てば外れる仕様らしい。

 

 エゴは暫く考えていたが、やがて両手を上げる。

 

「...降参だ。氷の姫の強さは規格外だと聞いている」

 

「あら、折角なら決闘すれば良かったのに」

 

「そのメイドは初めての実戦だったのだろう?それがこの実力なら、殆どの人間はお前に勝てないと思うぜ」

 

「これからはエリザベス様、もしくはお嬢様と呼んで頂戴。別に強制はしないけど、お母様や他の使用人が怒ると思うし」

 

「分かりました、お嬢様」

 

 エゴが深く頭を下げる。それを見て満足したエリザベスは窓を閉めて、手錠を解除する。

 

「じゃあこれから宜しくね。知ってると思うけど、わたくしはエリザベス・ローゼスよ。貴方の名前は?」

 

「俺はアマギだ。宜しくお願いします、お嬢様」

 

「...え?」

 

 手錠を外した手で握手を交わす2人だったが、エリザベスはエゴの本名を聞いて止まった。

 

「(アマギってメインキャラの1人じゃない!!!通りで決闘が強いと思ったわ!どうする!?このまま優華の攻略対象を使用人にしちゃったら不味くない!?)」

 

「...どうしたんだ?なんか他にもあったか?」

 

「い、いえ!何でもありませんわ!(まぁずっと使用人にするわけじゃないし、学園に入る前に放流すれば良いか!)」

 

 こうしてエリザベスは入学の前から優華の攻略対象を2人も(ルークも含めて)手をつけるという、悪役令嬢もびっくりなことをしてしまった。しかし、本人は特に反省してなかった。

 

 




 めちゃくちゃ長くなりました、読者の皆様には申し訳ないです。この世界では平民には強かったり、人気だったりするカードは入手できないという設定だったので、アマギのデッキは結構考えました。
 基本は魔導雑貨商人で墓地を肥やし、特殊召喚できるレベル8でランク8を立てるか、ライカンスロープを儀式召喚してビートします。今回は出ませんでしたが。
 そしてこのデッキは今回きりです。頭の中では早く回せてたけど文章にすると凄く長くなったのでね...

 最後にですが、アンケートを新しくしました。回答してくれるとありがたいです。
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