年始思いつきFGO~明日こそ村正が来ると信じて~ 作:村正祈願(達成)
大晦日の酒に酔い、公式生放送見て発狂した勢いで書きました。
ここはノウム・カルデア。
コスモス・イン・ザ・ロストベルトに突入したマスターとサーヴァント達。
2021年を迎えるにあたって、某ガキ使を見ながらスマホで生放送をしていたマスター。劇場版見に行けなかったことを後悔したり、伊吹童子が引けなかったことで拗ねていた彼も、大晦日になると落ち着きを取り戻して、クリスマスイベントで溜まったリソースの使い道を考えていた。
「先輩、次に育成するサーヴァントの方はもう決まったのでしょうか?」
マスターに声をかけるサポートメイン盾ヒロインのマシュ・キリエライト。
第一部の頃とは打って変わって、彼女が感情豊かな年相応の少女となれたのはマスターとの出会いや、多くのサーヴァント達に支えられた事。
そして――――今は亡き彼や彼女との日々があって、今のマシュがいるのだろう。
「あ゛ァ゛ァ゛ァ゛っ゛!!!ド゛グ゛ダ゛ァ゛ア゛---ッ゛!!」
「せ、先輩!?突然ゾンビみたいなうめき声をあげてどうしたんですか!?」
課金して爆死の立て続けでおかしくなったんですか!?と叫ぶマシュ。
第二部に突入して、アトランティスまで攻略したマスター達ならわかるだろう。
或いは第一部を終えて、第一部中のイベントのライト版などをプレイするマスター達にも理解出来るだろう。いなくなってしまったドクター・ロマニとの会話をするだけで、胸にこみ上げる悲しい思いが。
彼と全く同じ顔立ちをして、明らかに違う人格を備えたであろう人物との出会い。
ストーリー上で主人公であるマスターやマシュ達が第二部で心を削られているように、復刻イベントなどをプレイする度に死んだ者達との和やかな会話シーンを見るだけでマスターの中の人達が絶叫して悶絶しているのだ。
「お館様!お気を確かに!千代女が此処に居りまする!」
当カルデアのマスター最推しのサーヴァントが1騎、アサシン・パライソこと望月千代女。
音もなく天井から飛び降りてきた千代女は、子供のように体育座りで顔を埋めるマスターの下へ小走りで駆け寄り、手慣れた様子でマスターの頭を撫でた。
「あらマスター……また、泣いているのかしら……?」
当カルデアのマスター最推しのサーヴァント2騎目、セイバーの両儀式「」さん。
召喚事情が少々特殊な彼女は他のサーヴァント達と絡む事なく、誰もが寝静まる夜の日にマスターの部屋を訪れて、マスターの寝顔をじっと見守る―――――ある意味「溶岩水泳部」の三人より恐ろしい存在だったりする。
「「マスター(お館様)、いい子いい子(でござる)」」
そして当カルデアのマスターを元気づける2騎の英霊のみに許された行為、それが頭撫で撫で。
マシュが自分がその中に入れないことにやきもきしながら、マスターが回復するのをじっと待つ。
10分くらい経って、マスターが泣き腫らした顔で力なく笑いながら口を開いた。
「よし――――公式生放送の続き見ようか」
「先輩、切り替え早過ぎです。もうちょっと情緒とかないんですか」
「心はガラス、回復速度はビーストクラスだから仕方ないね」
「お館様は平常運転でござるな。善きかな善きかな――――」
「私としては、もっと頼ってくれてもいいのだけれど……」
絆10、フォウスキルマを達成するとイベントで最推しの出番が少な目あるある。
絆礼装が気になってしまい、他の絆が上がりそうなサーヴァント達を編成に加えては周回をするマスター。老若男女問わず好きが多いから困りものだ。
2020年のイベントを振り返る話になって、マスターはそっと画面から目を逸らす。
マシュはそんな彼にジト目を送り、千代女は苦笑い、式はクスクスと笑った。
マスター。実は
実はまだ地獄界曼荼羅も、後半戦に入ったばかりという……。
そんな状態で伊吹童子狙うからすり抜けてジークフリートが来るんだよ(八つ当たり)
クリスマスにしても、ギリギリでサンタカルナの加入に成功しただけで、イベガチャは殆ど回せなかった。
*
「おっ、いよいよFGOの最新情報だー」
「来年はどんな展開になるんでしょうね、先輩?」
「お館様、テレビの音を消しておきました」
「マスター、林檎のカードは此処に置いておくわね」
当カルデアのサーヴァント達の中でも、周回に連行される☆5英霊達が集まってくる。
特に夏から召喚されて休みなく周回に連れまわされるキャストリアは目に光が宿ってない。
まるで「年末年始くらいは休ませて下さい」と懇願するブラック企業のOLみたいだった。
「お~石貰えるのか、前回からの残り合わせて十連2回イケるな」
「それでお目当てのサーヴァントが来ればいいんですけどね……」
「今年は男女に分かれて三騎士と四騎士、エクストラクラスでござるか」
「どれを選んでも、ある程度の確率でダブってしまうわね?」
そして年明け恒例の新☆5サーヴァントが発表される。
この時マスターは「地獄界曼荼羅のアヴェンジャーかタユスカポン」と予想していた。
心の中で「村正は多分来ないでしょwww」と思っていた。
そして――――――
「そこに至るは数多の研鑽、築きに築いた刀塚――――」
………………………は………?
マスターが半口を開けて固まる。
マシュも隣でミカンの皮を剥く手が止まる。
千代女が「おぉ、あの時の―――!」と若干嬉しそうに飛び跳ねた。
式は「鍛冶師の――――来てくれたなら、良い
後ろで見つめていたエミヤが白目を剥いて口から泡を吹きながら倒れる。
地面と接触する寸でのところをイシュタルが「ちょっと!?気をしっかり持ちなさいよ!」とキャッチする。
既に彼の心と胃は「大丈夫だよ遠坂、俺もこれから頑張っていくから―――」とエーテル体を崩壊させる一歩手前まで破壊されていた。
「縁起を以て宿業を断つ。八重垣作るは千子の刃――――」
おいおいおい、消えるわマスターの冬のボーナス。
おいおいおい、死んだわマスターの短い冬休み(周回で)
「ちったあ成仏していきなぁっ!!」
2021年の新登場の☆5サーヴァントはセイバー”千子村正”その人である。
暫く放心状態のマスターは、意識定まらない内に月姫の新作ゲームが出ると知って更に驚いたのだが、それよりも数分先の未来に不安しかなかったという……。
*
とりあえず人気のなかった神社へ参拝に行ってきたマスター。
雪の降る中で缶コーヒー片手に暗い夜道を歩きながら独り言を漏らす。
「リアル式さんと会えねーかなー」いつまでも妄想と中二病から卒業出来ないマスター(二十代)
「あ、お帰りなさい先輩。FGO起動準備に入りますか?」
「おうよ。福袋も村正も、ちょちょいと当ててやるぜ」
「お館様。それは俗に言う”ふらぐ”なのでは……」
「フフッ―――幸先の良いスタートを切れるといいわね」
いつもよりすんなり、FGOの起動を終えたマスター。
早速ガチャ画面へと移行して、恒例のフレンドポイントガチャを回す。
彼のガチャ宗派は「フレポ十連で☆3鯖が出たら引く」と「強化で大成功」を信仰している。
最初は小手調べの手持ち石で十連。
「ヨッシャイクゾオオォォォッ!!!」
「先輩、ファイトです!」
「お館様のガチャ、ご武運をお祈り申し上げます!」
「頑張ってね、マスター?」
そして――――――この日、彼は運命に巡り合う。
キィンと三本線の光が収束して、現れたのは
「おおぉぉぉぉぉぉ!!?」
「そ、そんなまさか!?」
「い、一発でござるか!」
「あら―――――」
――――――念願の千子村正――――――
――――――ではなく、2枚目となる☆5セイバー「アルトリア・ペンドラゴン」だった。
「お前かぃぃぃ!!!」
「で、ですが幸先の良いスタートです、先輩ッ」
「これがすり抜けでござるか……」
「フフフッ、勝負はこれから……ね?」
その後は☆5正月礼装が2枚に☆3正月礼装1枚と、悪くない十連の結果だ。
思いもよらぬ☆5ヒットに、マスターは呼吸を整えようとガチャを切り替える。
いよいよ年末年始の大勝負、闇鍋の福袋確定召喚が始まろうとしていた―――!
「先輩はどれを選ぶんですか?」
「まぁ女性鯖であることは確定として……三騎士の中で一番ダブる確率が低いのはセイバー。次点でエクストラクラス。このどっちかなんだけど……」
そこまで言いかけてじっと画面を見つめるマスター。
エクストラクラスにピックアップされているサーヴァントの中で「殺生院キアラ」が目を惹く。
マスターが狙っているのはその隣「アルトリア・ルーラー」なのだが――――
「あのなマシュ……。地獄界曼荼羅の頃から、俺って悪・混沌とか外道系サーヴァントに縁があるんじゃないかって思うようになったんだ……」
「……道満さん単発+十連で1、計2枚も来ちゃいましたからね……」
別にめっちゃほしい訳じゃないのに、狙ったらなんか出てきたあるある。
それ以外でもレジライやランスロット等のサーヴァントに縁が多かったマスターは、狙ったサーヴァントがあまり出なかった事で気力をすっかり挫かれていた。
「多分エクストラクラス引いたら……」
「………来ますよね、キアラさん………」
決して彼女が嫌いな訳ではない。だがマスターの股間センサーは彼女を欲していなかった。
今のマスターが最も激しく反応するのは「伊吹童子」「エレシュキガル」「ライネス」「バニ上」の4騎。気弱な童貞感、丸出しのマスターである。
「――――決めた!三騎士を引く!!っらあぁぁっ」
既に課金し終えた石を躊躇いなく、女性サーヴァント三騎士にぶち込んだ。
そして回転が始まり―――――いきなり金の回転と共に剣のカードが現れる。
「お、おぉぉぉっ!!今度こそ念願のぉぉぉ――――」
―――――性癖のデパート、伊吹童子――――――
―――――ではなく、二枚目となるセイバー・沖田総司だった。
「お前かいいぃぃパート2!!!」
そう言い終えてから、マスターはせっせと溜まった石・呼符を村正にぶつけた。
しかし現実は厳しい。☆4礼装ばかりが出て―――彼の手持ちは一気に消えてしまう。
言葉なく、マスターは炬燵に顔を突っ伏して動かなくなる。
マシュは彼の飲みかけだったレモンサワーの空き缶を片付けて、寝る準備を始めた。
後ろで千代女が風呂を掃除しようと立ち上がり、式の姿は既に消えている。
部屋の中には爆死で見事に意気消沈したマスターと、新しい自分(外見若い頃、中身お爺ちゃん)が増えたことでストレスがマッハになる未来を千里眼無しで予想し、気絶したエミヤだけが残されていた。
今年も、色々と騒がしい旅路になる事は……間違いないのだろう……。
明日もマスターはコンビニへと走る。
全ては(村正を引く)今、この時のために――――!
だからこそ、折れぬ心が必要だ……。