僕達の方針が決まった翌日の午前…………〈天羽教会〉から通達が来た。
「なんだ……教会からの……通達?」
士郎が怪訝そうな表情を見せるが、僕とセイバーは少しだけ思い当たる節があった。
「監督役が全マスターに通達を出す……それは神秘の秘匿が困難な事態に直面したと考えられます」
「少なくとも穏やかな話じゃあないね。まずは教会に急ごうよ」
僕達は通達で示されたポイントへと急いだ。するとそこには今回の監督役の奏さんと……
「っ!? まさか……マリアさん……何です……か?」
するとマリアさんは僕達の元へと歩き出し…………そして僕を抱きしめた。
「あぁ……修治……無事で良かったわ……」
開口一番に僕の無事に安堵してくれたマリアさんは、僕の答えを聞かずに抱きしめている。…………そしてこの状況を面白く思わない人物もまた存在している。
「マリア! 先輩から離れるデース! いくらマリアでもそれはダメに決まっているのデス!」
「お兄ちゃんを誘惑しないで……じゃないといくらマリアでも…………殺したくなるヨ?」
2人の目から光が消えていた。しかしマリアは動じることなく2人を抱きしめた。
「わかっているわよ。切歌と調と私……3人で修治を守ると決めたあの時の誓いは忘れていないわ…………。でもごめんなさい……本当は2人を召喚するつもりだったけど……」
「済まないな月読……暁……。私がマリアのサーヴァントとなってしまったばかりに3人の絆は……」
翼さんが申し訳無さそうな顔をしていたせいか、切歌ちゃんと調ちゃんはすぐに表情を変えた。
「翼……そんな顔しないでよ。防人としての貴女じゃない……本当の〈風鳴 翼〉として修治と過ごしたい……そんな貴女の願いを私が無下にすることも無いわ」
「マリア……済まない……済まない……」
すると2人の様子を見ていた切調コンビが態度を変化させた。
「そっか……翼さんはずっと……」
「自分の想いすら自覚する余裕が無かったのデス……」
「ねぇ切ちゃん……だったら私達……」
「翼さんも仲間に入れるべきデース!」
2人の態度が軟化した……そう思って翼さんの方を見ると……
「ふっ……流石後輩達……チョロいな。しかし私の言葉自体は嘘では無い。遠慮なく修治にアピールさせて貰おう……」
後輩達の感情の変化に自分の感情を溶け込ませただと!? 翼さん……貴女も僕に……。でも……一体何故……?
「あら修治……私もいるのよ? 少しは構ってくれるかしら?」
「マっ……マリアさん!? ちょっとぉ!?」
僕は後ろからマリアさんに抱きしめられた。いや……僕だけではなく切調コンビも抱き寄せられていた。
「良かった……マリアが私達の気持ちを汲んでくれて……」
「やっぱりマリアといると安らぐのデース……」
「うぅ……恥ずかしい……」
するとその光景を見た翼さんが僕達に優しく微笑む。
「ふふっ……やはりマリア達3人は揃ってこそだな。そしてそんなマリアの姿を特等席で見る私は役得だな……」
「この防人先輩可愛くねぇ……。他人事だと思ってぇ……」
精一杯の呪詛を込めて翼さんを睨んだが、次の瞬間僕は翼さんに唇を奪われた。
「ッ!?」
「翼さん! 何してるデスか!?」
「私達だってお兄ちゃんとキスがしたい!」
しかし切調コンビはマリアさんに抱かれている。そしてマリアさんは言葉を続けた。
「大丈夫よ2人共。修治を奪うなんてそんな野暮な事を私達がするわけ無いでしょう? ただ……私達以外は必要無いわよね?」
すると翼さんは僕にキスをしながら
「さて……今回の情報共有で私達のやるべき事はわかったわ。だから……修治達は預かったわ! 」
そうマリアさんが声を高らかにあげると僕達は光に包まれた。
「ふふっ……驚かせてごめんなさい3人共。でもね? 私達は修治を……そして大切な切歌と調も守らないといけないわ。だから……〈セイバー陣営〉とは手を切りなさい。変わりに私達が協力するわよ。だって……彼の周りには恋する乙女が集まっているのよ?」
そう告げるマリアさんも瞳には光を映していなかった。
「済まないなマリア。先に修治とキスをしてしまって……」
「構わないわよ翼。だって私達は同士だもの……」
すると翼さんは切調コンビを〈影縫〉で拘束した。
「翼さん……離してぐだざい! 」
「あたし達を自由にするデス! 」
そして僕はマリアさんにもキスをされた。すると僕・切歌ちゃん・調ちゃんの体に変化が現れ始めた。
「あぁ……! 熱い! 体が熱い!」
「頭がぽかぽかする……体が……ふわふわする……」
「ナニカが……ナニカが溢れて来るデス!」
2人にキスされた僕を通じてナニカが注ぎ込まれて体を駆け巡る。しかし不思議と嫌悪感は感じなかった。
「すまないな3人共……。実は私達の魔力を連結させるにはコレしかなくてな……」
「マリアさん……翼さん……コレは……一体……」
僕は2人へ疑問の答えを求めた。すると驚きの答えが帰って来た。
「その力は私達が撃破した〈シャドウ・サーヴァント〉の魔力であり……記憶だ。そして私達は奇しくも識っているだろう? 記憶を力と変える方法を……」
「まさか…………翼さんは……手に入れたんですか……? 錬金術を…………」
嘗て〈キャロル・マールス・ディーンハイム〉が使用した〈想い出〉を焼却して力へと変える錬金術……翼さんの発言はその力を手にしたと言ったようなものであった。
「そうね。正確には私と翼が揃ってはじめて使える訳だけど……擬似的にできるわ。その力の一端は修治も既に知っているでしょう?」
「まさか……〈アマルガム〉が……」
シンフォギア強化における成果の1つ〈アマルガム〉……嘗てイグナイトを失った装者の戦力補強の意味合いも兼ねて追加された決戦機能だ。
「でもまさかサーヴァントになった事で変化が現れるとは思わなかった。いや……修治と再会する為にこの力が私達を導いたのだろうな」
〈僕に再会したい〉……か。そもそも何で僕は記憶が無かったんだろう?
「マリアさんは知っていますか? ……僕に何が起こったのか……」
「そうね。確かに私達は知っているわ。そして修治と再会する為に世界の壁を超える為の努力を続けて…………」
マリアさんは言葉を止めた。
「その為には今回の聖杯戦争を勝たなくてはならない。故に修治……私達と手を組んで欲しい。いや…………私達以外とは手を組むな」
「1日だけ時間をください。答えを出しますから……」
「構わないわ。ただ……切歌と調は人質よ?」
「マリア……勝手な事を言わないで!」
「あたし達は先輩の側にいる為に!」
「すまないが2人とも……眠れ……」
翼さんが2人に命令をすると2人は意識を失った。
「ッ!? 翼さん! 2人に何をした! 」
しかし答えたのはマリアさんだった。
「言ったでしょう? 人質よ。修治が逃げないようにする為の……ね?」
本気だったのか……。
「わかりました。でも……2人を傷つけたら許しませんからね?」
「無論だ。私達とて手荒い真似はしたくないからな」
そう告げて僕はあてがわれた部屋へと向かった。
・マリアさんはマスターであり翼さんがサーヴァント。
・僕を通してマリアさん達の魔力が切調コンビにも流れている。
・アマルガムに変化が現れて嘗てのキャロルと同じ錬金術が使用可能。
・切歌ちゃん達は人質。
・2人の目的は僕達との同盟相手の固定。
・現れたシャドウサーヴァント
・2人はシャドウサーヴァントの魔力すらも取り込んでいる。
「まずいな。僕じゃなくて切歌ちゃんと調ちゃんを人質にするなんて予想外だ。その上にシャドウサーヴァントなんて……」
ここまでのイレギュラーは監督役の奏さんすらも想定外だと言っていた。まずはこの下手人の撃破ないしは捕縛が最優先だけど、目的は一体なんだ?
「でも……まずは答えを出さないと……」
僕はマリアさんの待つ部屋へと向かった。
「修治……答えは出たかしら?」
僕はマリアさんと向かい合う。そして翼さんは切歌ちゃんと調ちゃんの喉元に刀を突きつけていた。
「脅迫…………ですよね?
〈ここで了承しないと2人を殺す〉…………
そういった事ですよね?」
「人聞きの悪い事を言わないでくれ。私達とて本意では無い。ただ……修治が了承しないなら私達は聖杯戦争のルールに則る……それだけの事だ」
確かにイレギュラー下ではあるけど今は聖杯戦争中だ。そして……2人を討つ絶好の好機だ。だったら僕の答えは1つしか無かったんだ。
「セイバー陣営との同盟を破棄してマリアさん達との同盟を結びます。だから2人を解放してください」
「えぇ……。修治ならそう言うと思っていたわ。でもね……そもそも私達は修治以外は要らないのよ?」
すると翼さんは眠る2人を解放した。そして僕を…………
モチのロンですが監督役さんは前任者同様に1陣営を贔屓しております。その結果………
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!