さて……少しだけ時を遡り聖杯の様子を見ていただきましょう……。〈魔女〉と〈彼〉の会話となります。
冬木市に顕現した〈第627号〉の大聖杯の中には
「まったく……アンタの計画ってスケールの割にアレだよなぁ……。まぁソレ自体は俺も好みだぜ?」
呟いた男の名は
「ほう? この世全ての悪と定義されたお前からそんな言葉が出るとはな。だが……オレの計画はオレの為の物だ。お前に口出しや介入をされる筋合いは無いぞ?」
「だろうな。しかし魔女さんよぉ……いい加減本当の名前を教えてくれないのか? 流石に呼び方に困るんだけど……」
しかし魔女と呼ばれたた人物は不快な表情をしていた。
「オレの名前を呼んで良いのは※※※だけだ。例えお前がどんなに偉大な英霊だろうとその信念を語るつもりは無いぞ?」
「へぇへぇ……怖い怖い。こんなにおっかない同居人が増えるなんて
しかしアンリ・マユは聖杯戦争のイレギュラーではあるが、あくまでもそれは第三次聖杯戦争までの過程が証明できれば予測出来るイレギュラーである。言うならば彼の存在は
〈想定出来るイレギュラー〉
とでも呼べば良いのだろう。
「だけど魔女さん……アンタは完全に想定外の……いや、絶対にあり得ない筈のイレギュラーだよ……」
「あたり前だ。コレはオレ自身が自らの信念と持てる全ての力を賭して果たすと決めた事だ。故に誰にも止められ無い。いや……
〈止められる訳にはいかない〉
と言った方が正しいだろうな…………」
魔女はその言葉を恍惚とした表情で語っていた。それは初めて魔女が他者の前で感情を変化させた事を意味していた。
「なんだよ魔女さん。アンタ……そんなに良い表情が出来るじゃねえかよ……。オレとしてはいつもの魔女さんの方が好きだけとよぉ……。人としてなら今の魔女さんの魅力はすげぇと思うぜ?」
「そうか。だが……オレが最も言葉を届けたいのは※※※だけだ。故にオレは諦めないぞ?」
アンリ・マユは本心で魔女に語りかけた。そして魔女も目的への信念を示した。
「そういえば……お前は1人の人間にソレを溶け込ませたな?」
「お? 分かるんだねぇ魔女さん。そうなんだよ……中々好みな娘がいてねぇ……。その娘の活動に興味深いところがあるんだよ!」
アンリ・マユは興奮していたが、魔女はさして興味を示さなかった。
「どうでも良いな。だが……1つ確認しよう。ソイツのターゲットは※※※か?」
「いいや違うみたいだぜ? どうやらいくつかターゲットがいるらしいけど、※※※は眼中にないらしいな。どうしてだろうなぁ……」
アンリ・マユからすれば〈その娘〉とやらは複数のターゲットがいるらしいが、魔女のターゲットは眼中にないようだ。そこには興味深い法則があるが、本人達は互いに相手の計画に関する詳細な情報は未だ手に入っていない。
「まぁ……自分達の計画が進む間手持ち無沙汰になるだろう? そうなった時は暇つぶしにでもさ……」
「〈互いの計画を知る〉……
か。確かに暇つぶしにしては面白そうだな……」
本当にターゲットが被っていない事をお互いが証明した訳ではないが、その口振りからは嘘では無いのだろう。
「しかし……この聖杯戦争で全マスターが絡繰に気づいたらめんどくさいなぁ……」
「ほぅ? お前の計画は杜撰な物らしいな? 自身の二つ名が霞んでるぞ?」
しかし彼は言われ放題なままで黙るような男では無い。
「ソイツはあり得ないな。だって魔女さんのターゲットが共闘するのか? アンタの計画スケールから見れば対策してない訳じゃあ無いだろう?」
「奴らが共闘だと? あり得ないな! そんなことをさせるつもりはそもそも無いが!」
「だろう? だから全マスターが共闘するはずが無いって主っているよ。だけどもしそんな事態になれば大変だぜ?」
すると魔女は1つ考える仕草を見せた。
「そうだな。ではお前のターゲットに接触するぞ? 少し事態をややこしくする為にな……」
「へぇ……
しかし彼はそれもまた面白そうだと言わんばかりの表情をした。
「この世界にまで追って来たしつこい奴らをソイツの力で制圧出来れば御の字。出来なくともオレ自ら当初の予定通り動く……それだけで良いのさ」
「女性の怨念ってなんでここまで強いのかねぇ……。いや、
そう……アンリ・マユの言う通り魔女の行動原理の根底にあるのはたった1つのシンプルな感情だ。しかしその感情が様々な出来事で叶わなくなり……魔女は今も尚凶気に取り憑かれている。そしてその感情はこう呼ばれている。
〈愛〉
魔女の行動の全てはこの感情に起因していた。
「さて……当初の筋書きとは少し違うが、念を入れに行くとするか……」
そして魔女は
「任せたぜ〜。お互いの計画を成就させる為になぁ〜!」
そして魔女はアンリ・マユのターゲットである…………
へとこの日に接触を果たして、〈立花 響〉と同盟を結ぶように進言した。そして浄化された桜に手土産として聖杯の泥を渡した。
「キャスターのサーヴァントが些か面白い奴ではあったな。しかし……オレの計画には何の支障も無いぞ?」
そしてこの後に接触された桜は魔女の手土産を受け取って魔女の進言を聞き入れた。
「はぁ……立花響さんにこの泥を使うんですね?」
「そうだ。そうすれば奴がお前のターゲットでは無い奴等同士で潰し合わせることが出来るぞ? そうすればお前も心置きなくターゲットに集中出来るだろう?」
「なるほど納得です。でも……この効力はどう証明しますか?」
「なぁに……お前のキャスターに使えばお前の為に……そして自らの欲望の為に利のある事しかしなくなるだろうな……」
「聡明な人物と言われたサンジェルマン伯爵をそこまで変えられたならば貴女の言葉を信用しましょう……」
そして桜は自らを救った恩人に聖杯の泥を投与する事を決意した。しかし……
「何せオレは奴を知っている。故にその誘惑を拒む事は無いだろう……」
それは魔女と伯爵が顔見知りである事の証明だった。そして
「まぁ……奴が出現する筈は無い。いや……出現してもオレの行動を害する理由は無い筈だ……」
確かに魔女の推測通り後に顕現したシェム・ハは魔女達に直接干渉する事は無かった。しかし、アンリ・マユと魔女の計画を
「まぁ……仮に……いや、その時はオレ自ら動く。それだけで事足り得る。しかし……並行世界……面白い可能性を孕んでいるな……」
そして魔女は聖杯の中へと戻り全てのマスターが揃う時を待った。
「お帰り。首尾はどうだった?」
「時が来れば自ずと分かるだろうな。故に……今からは眠るのすらもったいないぞ?」
「おおっ!? ソイツは良いな! これからが楽しみだぜ! 」
そして聖杯の中では2人の主人公がサーヴァントを召喚する1月31日まで〈間桐 桜〉の行動を見ていた。
間桐桜ですら黒幕の片割れでしか無い。その意味を正しく彼等が知るのは……少し先の未来だ……。
更に本日は!6時間後の24時よりもう1話更新致します!
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!