さぁ……聖杯の中に潜む魔女の正体……是非その目でお確かめください!
今回の第5次聖杯戦争において暗躍する人物達は数いれど、本来黒幕として動く筈だった人物は何をしていたのか?
「呵呵……主も難儀な事よのぅ……。義理とはいえ娘に接近禁止を言い渡されるとはのぅ……」
「まったくだ。何故あれほど奔放な成長を遂げたのか……我が家族ながらも理解に苦しむぞ……」
この男達の名は〈言峰 綺礼〉そして〈間桐 臓硯〉である。第5次聖杯戦争に置いてもルートによっては活動をしているが、この世界においては初動にて目論見を潰された者同士だ。
「よろしいのですが魔術師殿? 我々が活動をしなくても?」
そして臓硯に付き従うこのサーヴァントこそが
〈山の翁……ハサン・ザッパーハ〉……と。
「おいおいお祖父様! 僕の獲物もちゃんと分けてくれるんだよねぇ! じゃないとこんなめんどくさい事やりたくもないんだけどー!」
「ふむ。サーヴァントを持たぬ慎二には些か退屈だろうな。しかし……直に事態は動く。遠坂の小娘等取るに足らない出来事がな……」
〈間桐 慎二〉……聖杯戦争のライダーの代理マスターとして活動する筈だった男であり、士郎のクラスメイトだ。しかし、この世界では修治の活動によって士郎への嫌がらせは幾分か大人しくなっていた。
「それにさぁ……いけ好かない木原の奴もボコボコにしたい訳だよ。なのにいっちょ前にサーヴァントなんか連れやがってめんどくさいんだけど……」
慎二には確かに常人に比べて才能はある。しかし……魔術師としては知識しか持たない一般人でしか無いのだ。
「では臓硯よ……。我々はどうするつもりなのかね? 下手な動きではこのイレギュラーに飲まれかねないぞ?」
「案ずるな小僧。既に策はある。時が来るのを待つのだ……」
「私は魔術師殿のいかなる命令にも従いましょう。なんなりとご命令を……」
しかし……彼等の企みを崩したのは
「ほぅ……? 面白そうな話をしているな? 何……オレにも聞かせて貰おうか?」
ッ!?
その声に今の今まで会話をしていた全員が驚愕した。何故ならその人物は……
「お逃げくだされ魔術師殿! この者は危険です! 私の命に賭けてでも倒さねばならない者です! 」
「流石はアサシンのサーヴァントだ。良い危機管理能力を備えている。しかし……残念だがオレとお前では
「相手が誰であろうと必要があれば背を向ける事は我々の流儀だ! しかし……今の私には魔術師殿を守る義務がある! この場より立ち去られよお客人!」
ハサンは自身の武器であるナイフを投擲して現れた人物へと攻撃を開始した。しかしその人物は左腕を前に出すと、
「キャスターのサーヴァントか!? しかし……参加者はサンジェルマン伯爵だった。それは間違い無いし、奏の知り合いとも言える口振りをしていた筈だ……」
言峰綺礼は現れた人物の正体を懸命に考察した。しかし幾ら考えたところで彼が答えを知る事はできないだろう。
「ヒイィィィ! なんだよお前! 僕達の前に現れて何をするつもりなんだよ! 」
「少し黙れ慎二よ。ご婦人……お前さんは何者かね?」
この場においては恐らく最年長とも言える間桐臓硯は現れた人物へと質問をした。
「そうだな……オレの事は〈魔女〉とでも呼べば良いだろう。何せお前達は……ここで倒れるのだからなぁ! 」
そう魔女が叫び、1つの魔法陣を展開した。
「ッ!? ……何をするつもりかは知らないが……魔術師殿達の為にここで魔女殿には退場いただこう!」
ハサンは決死の覚悟で魔女と刺し違えるつもりでいた。しかし……魔女はその様子に意も介さない。
「アサシンの言葉通りお前には退場して貰おう。我々の計画は崇高なものでな。それに私は仮にも神父だ。生まれ落ちる命に祝福を与える義務も存在している!」
言峰綺礼も愛用の黒剣を取り出した。しかしそれを見ても尚魔女はこの場の人間に警戒する素振りを見せないのだ。
「何故…………構えない……?」
「必要が無いからだ。お前達が束になったところでオレに勝てるだと? 巫山戯るなよ? オレが何者かは大して重要な事ではあるまい?」
魔女は尚も淡々と語り続けた。そしてとうとう……我慢の出来なくなったハサンは特攻する事を決めた。
「お許しください魔術師殿! あの魔女はここで倒さねばなりません! 宝具を開帳致します! 」
「待てアサシン! 奴に近づくで無い! 近づけばお前とて!」
「良いぞ……やれよお前! そんな生意気な奴はさっさと殺してしまえよ! 」
「本当に何者かは知らぬが……ここで倒さねば我々の悲願が果たされることもまた無いだろう……。故に……ここで落とすぞ魔女よ! 」
主の安全の為に特攻する覚悟を決めたハサンと、目の間の脅威に対して正確に警戒をしている綺礼は魔女への攻撃体勢を整える。しかし臓硯は今も尚警戒故に手を出せないと結論を出そうとした。慎二はただ目の間の脅威より脱する為に2人の考えを結果として助長させた。
「1撃にて葬らせていただくぞご婦人! 」
「私の全霊を持ってお前を打ち倒そう。故に……加減は無いぞ!」
言峰綺礼は魔女へと黒鍵を投げて警戒をさせてその隙に全力の発勁を打ち込む為に構えるが、それは誰が見ても警戒するだろう。故にこの場にて突撃するハサンの背後にその姿を重ねた。
「うおおおおぉぉぉぉぉ!!
妄想心音(ザバーニーヤ)!
これにて雲をつかむが如くうぅぅ……!! 」
ハサン・ザッパーハの宝具である妄想心音(ザバーニーヤ)は、認識した対象の虚像の心臓を作り出し……その心臓を握りつぶす事で対象の心臓に同じダメージを与える宝具だ。対象は自らの心臓を握りつぶされていないにもかかわらずにその痛みを受ける為に防ぐ事はできない。その為にこの宝具への対処をするならば
「防がなかった!? ハハハ……怖じけ付いたか魔女さんよぉ! 」
魔女が倒れて慎二が高笑いをしたが、その次の瞬間に魔女は
「終わりか? 前評判と違い大した力も無いな。山の翁が聞いて呆れるぞ?」
魔女はそう告げるとハサンを見据えた。
「何故だ……私は……確かにお前の心臓を……」
「だろうな? だが……
「なんだよ……それ……そんなの…………」
魔女が立ち上がった絡繰を語ると、慎二は恐怖してハサンは絶望した。小心者の慎二はともかくとして、ハサンの宝具では
「ならばせめて……全力を以ってお前を打ち倒そう! 」
綺礼は語る魔女の背面より発勁を打ち込む。
「ほう? 中々良い1撃だ。嘗てオレの知る世界にお前の1撃と並ぶ男がいた。故に誇って良いぞ? お前の1撃はお前の軌跡そのものだからな!」
綺礼の拳により心臓を貫かれた魔女だが、その身体を貫かれた直ぐ後より傷が治り始めて綺礼の腕が魔女の身体より埋まる事となった。
「ぬおぉ!? 何故……ここまでえぇ! 」
「なんじゃと!? 貴様の身体は人では無いと言うのか!?」
自らの腕が抜けない綺礼と魔女の身体の再生速度を見た臓硯は動揺が隠せなかった。しかし……魔女はそんな2人の様子すらも気にしていなかった。
「まぁ……その腕は煩わしいから斬り落とすか……」
魔女は如何にも呪いがまとわりつく剣を取り出して綺礼の腕を斬り落とした。
「ぬうぅ……ぐうぅぅ……!! 」
「しかしその身体……儂の新しい宿に相応しい! 」
臓硯は魔女の身体を自らの物とするべく動いたが、とうとう魔女が動きを変えた。
「さて……戯れは終わりにするか……」
魔女は
「オレの歌は高くつくぞ?」
この場に魔女の名は……〈キャロル・マールス・ディーンハイム〉。
キャロルは臓硯の攻撃ごと彼を魔法陣から放出した氷にて凍結した。
「次はお前だ……」
ハサンに目を向けたキャロルは
「せめて……もう一度!」
「その動きはとうに見たぞ?」
向かいくる綺礼にキャロルは魔剣を向けて心臓を貫いた。
「ひぃ! うわああァァァァァ!! 」
そして恐怖より逃げる慎二にキャロルはコインを投擲した。
「ふん! 興醒めだな……」
慎二が頭を撃ち抜かれた事でこの場にいた全員がキャロルの手により絶命した。
「只今戻りましたわ……マスター」
「お久しぶりですねぇマスタァー。ガリィちゃん帰還しましたよ?」
「偉大なるマスターの為にアタシも帰って来たゾ!」
「我ら終末の4騎士……派手に帰還いたしました!」
〈終末の4騎士〉……それは嘗てキャロルに仕えた、彼女の為に存在する忠実な配下だ。しかし……その装いは大きく異なる。
〈エレメンタル・ブレイド〉を纏う風の自動人形の名は〈ファラ・スユーフ〉。
〈エレメンタル・ユニオン〉を纏う水の自動人形の名は〈ガリィ・トゥーマーン〉。
〈エンシェント・バースト〉の装いをしている火の自動人形の名は〈ミカ・シャウジーン〉。
そして黄金の礼装足る〈インヘリット・ラスター
〉を纏う自動人形の名は〈レイア・ダラーヒム〉。
しかしこれはいずれも彼女達の主であるキャロル・マールス・ディーンハイムの嘗ての……そして並行世界の彼女が纏った礼装だった……。
「もうすぐだ……。ようやくお前を迎えに行けるぞ……修治……」
キャロルはこの世界に2度目の転生を果たした青年である〈木原 修治〉の名を……恍惚とした表情で口にした。
絶望の魔王キャロル。そしてその配下たる
〈終末の4騎士〉は、最早絶望的なまでの強化が施されていました。果たして修治達は彼女にどう向き合うのか……
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!