僕達の前に現れたシャドウサーヴァントは
「久しぶりだな息子よ。大きくなったものだ……」
「お久しぶりですね了子さん。いえ……
「やっぱりフィーネ……なのね……」
「本物の雰囲気……とても怖いデス……」
しかしフィーネの姿はシャドウサーヴァントだ。それは間違い無いだろう。
「だけど何故貴女が現れた? 僕達は既に貴女の残した遺産を無事に運用できた筈だよ?」
もちろんフィーネは僕の質問に答えた。
「私の目的は単純だ。
やっぱりこの聖杯戦争はイレギュラーだったか。明らかに僕の知らないサーヴァントが多すぎた。だからきっと……。
「じゃあフィーネの目的は何なの?」
「邪魔をするならまたアタシの刃で地獄に送り返してやるデスよ?」
2人が刃を構えたが、フィーネさんは言葉を続けた。
「そう慌てるな。まず私のクラスはバーサーカーだ。コレは力を託したサーヴァントによるものだ」
バーサーカーのサーヴァントより託された力……か。恐らく……本来の
「切歌ちゃん……調ちゃん……僕には君達と違って戦う力は無い。だから君達の横に立つ事はできない……」
すると2人は笑顔で僕の手をとって言ってくれた。
「大丈夫デスよ? 先輩があたし達の帰る場所だからあたし達は頑張れたのデス!」
「だからこそ私達はあんな最後を迎えてしまった。だけど……もう私達の前からお兄ちゃんを奪わせ無い……」
2人の決意は硬かった。それを見届けたフィーネさんは敢えて僕の挑発をした。
「小娘共に守られるお前は恥ずかしく無いのか? 男が女に守って貰うとはな……」
安い挑発ではあるし、フィーネさん自身も本心では言っていない。だけど敢えて僕も言い返そう。言われっぱなしも性に合わないからね?
「確かに僕は男だけどみんなに守って貰わないといけない。でもそれがどうしましたか? フィーネさん……貴女みたいな素晴らしい女性が思いっきり活動する為ならば僕はみんなの帰る場所でいたいんですよ。だって……帰る場所がある人の強さを知らない貴女では無いでしょう?」
するとフィーネさんは高らかに笑い出した。
「は……はは……ふはははははははは!! その言葉! 聞き覚えがあるぞ! 嘗ての〈小日向 未来〉の言葉ではないか!」
だろうな。僕達の関係を知る者なら響を待つ未来が嘗て言った言葉を、僕がアレンジして言ったように聞こえるだろう。
「だけど僕達はアンタの撒いた種のせいでフロンティアを起動せざるを得なくなったよ? そしてそんな時だよ。未来が自分の無力を呪ったのは……」
そう……フロンティア事変の折に未来はマリアさんに一時拉致された。そして響を救う為に装者になったが、目的がわかっていた僕は息を殺して
「あの時は焦りましたよ? なんでこんな簡単に見つかったかね?」
「子鼠がチョロチョロしてから言う事か? しかしまぁ……面白い話ではあったがな……」
そして響を救う為に戦場に未来が現れる前に調ちゃんに憑依しているフィーネに戦場まで送り届けて貰った。その時に抱きしめられた感覚は……母親に包まれた時の感覚と同じだった。
「そう……アンタは僕をよく見ていたよ。だからこそ……調ちゃん達を助ける為に改良型の〈Linker〉のレシピをこっそりと僕に託してくれたんだろう? もちろん本人の意識を眠らせて……ね?」
「そんな事があったんデスね……」
「だから私はあの時頻繁に記憶が……」
そして僕は響が戦場に現れた時……未来が実は正気なのも気づいていた。だからこそそのタイミングで介入した。
「そしてお前は〈神獣鏡〉を現存させた。その影響で小日向未来は戦士としての責務を負う事となったが……」
「それは本人が今後も隣で支えると言ったからですよ? 僕は一応止めましたけど……」
そしてミカちゃんが最初に奇襲してきた時に未来はあらためて戦う事を決意した。響を……そして僕を守る為に……。
「だから僕は自分が非力だとは思っても無力とは思っていません。なのでそんな挑発には乗りませんよ?」
「だろうな。しかし……この局面を乗り越えられるか?」
確かにフィーネさんは自分の力を構成した要素の1つである
〈デュランダル〉を失った事で弱体化と響の強化を許してしまった。しかし……今フィーネさんはそのデュランダルを手にしている。ならば〈ソロモンの杖〉と〈ネフシュタンの鎧〉も所持しているだろう。
「足りないならば補うまでだよ。それに……僕とのお喋りの時間を
「何?」
すると調ちゃんから準備万端の合図が出た。
「お兄ちゃんは私達にアイコンタクトをした」
〈
「っと言っていたのデス!」
するとフィーネは苦い顔をした。
「なるほど……。やはり喰えない男だな修治。この私から時間を稼いでそのまま戦力につなげるとはな……」
「話自体は懐かしさもありますし本音です。貴女には伝えたい感謝もありましたからね。ありがとうございますフィーネさん……」
すると表情こそ見えないが頬を赤らめている……そんな気がした。
「ならば見せるが良い!
やはり製作者ならわかるみたいだな。
「2人共! 相手は間違いなく強敵だ! 出し惜しみなく行くよ! 」
「任せるデス! あたし達はフィーネを超えるデス!」
「数々の導きをくれたフィーネには感謝している。だから……私達は貴女を越えて見せる!」
「ほぅ……良い表情をしているな。流石は
やっぱりわかっているよね。貴女ならば……2人が僕に抱いた感情の変化を!
「まずはあたしから行くデスよ!」
切・呪リeッTぉ!
切歌ちゃんお得意の技をフィーネに放った。しかしフィーネは動じなかった。
「ふむ。イガリマの切れ味はその程度か? ユニゾンにあれだけ時間をかけた割には弱すぎるぞ?」
「冗談! こんなの挨拶代わりデスよ!」
その攻撃はただの目眩ましだったようだ。本命の攻撃が視界の一部を封じられたフィーネに襲いかかる。
非常Σ式 禁月輪 !
「ありがとう切ちゃん! おかげで動き安い易いよ! 」
その隙に調ちゃんが助走をつけてフィーネに突撃を仕掛けた。先程の切歌ちゃんは調ちゃんの進路を妨害しない為に
「ッ!? この出力は些か重いな! だが……対応できるぞ! 」
フィーネのネフシュタンは調ちゃんの車輪の回転で削られていたが、デュランダルを振りかぶる事で迎撃を始めようとした。
「ならば今度はイガリマの本当の切れ味を食らうデース!」
切・呪リeッTぉ!
先程よりも刃の1つ1つを細かくしてフィーネのデュランダルを所持している右腕を的確に切り落とす。
「ネフシュタンの再生能力は知っている。だけどデュランダルを振るう為には必ず人の動きが存在する!」
Δ式 艶殺アクセル!
調ちゃんはフィーネのデュランダル所持の阻止と自分の追撃を同時に行った。その結果デュランダルは更に弾き飛ばされ、フィーネもまた調ちゃんから弾き飛ばされた。ちなみに切歌ちゃんはもう一度斬撃を放って更にデュランダルをフィーネから引き離した。
「中々どうして良い連携だ。流石は私の見込んだ〈レセプター・チルドレン〉だな……」
フィーネは2人の成長に感心するとともに不敵に笑っているように見えた。
「さぁ! お前達の成長を私に見せてみろ! 」
僕達の戦いはどうやらここからが始まりみたいだな……。
現れたフィーネは……ザババの刃と激突した。その決着は……どう転ぶのか……
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!