あの後……セイバーを失った俺は奏さんに連れられて教会へとたどり着いた。そして俺の傍らには2人の少女がいた。
「士郎……凄かったわ。貴方は未来の自分に打ち勝ったのよ? そんな素晴らしい貴方を私は讃えるわよ?」
「ふふっ……士郎……いい子いい子。貴方は私の誇らしい義弟よ?」
何故……俺は遠坂に膝枕をされてイリヤに手を握られているのだろう。俺達は……敵だった筈なのに……。
「2人は……なんで……俺を助けるんだ? 聖杯戦争とやらなら…………助ける理由なんて……」
しかし俺の言葉は続く事は無かった。イリヤにキスをされたからだ。
「ダメよ士郎。貴方がセイバーから開放されたから私達は助けたのよ?」
「士郎……私は士郎の事が好きよ? だから助けた。それじゃあ不満かしら?」
遠坂は……まだわかる。だけどイリヤは……わからない。なんで……俺を……?
「そうね。士郎は私の事を知らないのよね……。しょうがないからリンにも教えてあげるわよ。10年前の……あの聖杯戦争の後に何があったのかを……ね」
「それは私も聞きたいわね。アインツベルンが前回の聖杯戦争の後に何が起こったのか……綺礼はちっとも私に話さないからわからない事だらけなのよねぇ……」
すると奏さんは俺達に告げて来た。
「ふむ……。確かにアタシも気になるな。教えてくれるかい?」
「良いわ……なら教えてあげる。キリツグが終戦後に何をしたのかをね……」
だけど俺は……唐突な睡魔に襲われた。
「あれ……なんで……眠く……」
「あちゃ〜……緊張の糸が切れたか? 済まないがイリヤスフィール……その話は後になりそうだぜ?」
「みたいね。仕方無いから私達はサクラの話でもしましょう……。あの娘……本当にヤバいわ……」
俺はその会話に参加する事無くユメの世界へと引き摺り込まれた。
『済まないね衛宮士郎君。君を強引に呼び寄せた事は謝るよ。だけど聞いて欲しいんだ。僕の話をね……』
俺に呼びかけて来たのは優しそうな表情をした眼鏡をかけた男性だった。
「アンタは……誰だ? そして……なんで……俺を……呼んだんだ……?」
『そうだね。まずはそこから話すべきだった。じゃあ自己紹介から始めるよ。僕の名前はイザーク・マールス・ディーンハイム……しがない1人の錬金術師だよ……』
錬金術師か……。ならもしかしたら彼女との関係がある人物なんだろうか……。
「俺はついさっき錬金術師と出会った。その名前はサンジェルマン伯爵だ。この名前に聞き覚えはあるか?」
するとイザークさんは驚いた表情をしていた。
『僕の友人が運営していた組織の大幹部だね。僕個人としての面識は無いけど、その人物像なら聞いているよ。聡明な人物さ……』
史実のサンジェルマン伯爵もそうだったな。つまりそこは違わないって事なのかな……。
「だけど俺と出会った彼女にはそんな様子は見受けられ無かったぞ? まるで欲望に取り憑かれた乙女……そんな状態に見えたぜ?」
『流石は魔術師だ。良い眼をしているよ。そんな君だからこそ僕は話したい事がある。聞いて行ってくれないかな?』
イザークさんは申し訳無さそうにこちらを見ていた。やれやれ……そんな表情をされたら断われ無いかな……。
「良いですけれど……俺よりも適任な人物とかいないんですか? こんな半人前の未熟者よりも優秀な人間はこの聖杯戦争の参加者にだって存在してますよ?」
それこそ遠坂やイリヤ、奏さんにライダーのマスターでも良かった筈だ。なのに……なんでわざわざ俺に?
『そうだね。だけど君じゃないとダメなんだよ。このアイテムを託せるのは……ね。他の人物だと……彼女に気づかれてしまうんだ……』
「そんなに桜が脅威なんですね。確かにわかりますよ。今の桜は俺の知る桜じゃない。あんな表情をする桜は……見た事が無いんだ……」
しかしイザークさんは首を横に振った。
『違うんだよ士郎君。桜ちゃんは確かに黒幕だよ。だけど……彼女は
「桜が起こした事態は……
わからない。イザークさんの言葉の真意が俺にはわからない。
『そうだろうね。だからこそ今回の事態は……
イザークさんの表情がみるみる暗くなっていった。何が……どうなっているんだ?
「イザークさん……?」
『あぁ……済まないね士郎君。じゃあ語るとするよ。僕の娘……〈
イザークさんは自身の娘の名前を出すと、その雰囲気を重くして語り始めた。
『まずはキャロルの……いや、修治君が転生した世界の背景から語るとするよ?』
「修……治……? 何故……そこで……修治の……名前が?」
なんでお前の名前が出て来るんだよ修治……。奏さんは……あの後語ってくれなかった。桜から退却するために……そんな余裕が無かったからだ。
『修治君は一度死んで転生している。そして転生する前に存在していた世界は士郎くんたちがいる世界とは異なり、シンフォギアシステムという独自のシステムが存在する世界だよ。君たちの世界の言葉でいうのなら第二魔法で存在が確認することができる世界だと思ってくれればいい。そして…彼自身は何の力も持たないままにその世界に放り込まれたただの被害者だ』
そう言えば修治はサンジェルマン伯爵を識っていた。史実の伝承と異なる……女性としての彼女の存在を。思ってみればソレは不自然な事だ。何故……
「思えばヒントは幾らでもあったな。慎二との確執がいずれ起こると知っていたかのようなあの動き方も……もしかしたら……」
『そうだね。確かに彼は不自然さを消しきれていなかった。しかし今は……その失敗のおかげで話が早く進む事になる。その点には……感謝しないとね』
本当だな。修治の事を疑える要素も出てきたが、修治の行動に合点がいったところも同時に存在した。
『じゃあ本題に入るよ。まずは天をも貫く砲塔の話だね。悠久の時を生きた巫女が引き起こした月を穿ったあの事件を……』
「悠久の時を生きた巫女が……月を……穿った……?」
俺の知らない話だな。そんな出来事があれば……でも……。
『僕達の世界では通称ルナ・アタックと呼ばれていたのさ。もちろん当時既に僕は亡くなっているんだ。これは聖杯からの知識によって供給された情報だよ?』
そしてイザークさんが言うには、その巫女さんが恋人と悠久とも呼べる時間引き剥がされた事、そしてその障壁となる呪詛を破壊するために月を穿つつもりだった事らしい。
『古来より月には神秘の力が宿ると言われている。士郎君の世界でもそんな伝承は無いかな?』
「ありますよ。月女神の神話も聞いた覚えがありますから……」
女神アルテミス……ギリシャ神話に語られるオリオンの伴侶だ。弓の扱いに長けていると聞いた事が弓道部の合宿中に桜から聞いたような気がする。
『なるほど……良い選択だね。確かに彼女は素晴らしい神と言われているよ。ただ……真実ではヤンデレ女神……なんだよね……。っとそうだったあの事変の結末は……』
そしてイザークさんは後に起こるフロンティア事変までを語り終えると雰囲気を変えた。なるほど……ここからか。
「イザークさん……雰囲気を変えたと言う事は……」
『あぁ……通称魔法少女事変。キャロルが命題の答えを探す為に行った大事件だよ……』
その言葉は……とても重い雰囲気で語られる事となった。
イザークさんとシンフォギアの世界の出来事を振り返る士郎。次の話は……他ならぬキャロルの話です
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