『じゃあ士郎君……修治君がその世界で何をしたのか……良く聞いて欲しい。多分最後まで語る事はできないだろうからね…………』
「それは…………どうして……」
俺はイザークさんに尋ねようとしたが、できなかった。その表情が焦りへと変化していた為だ。
『まず修治君は今回同様に特別な力は何も持たない状態で転生していた。まぁ……それは大した問題じゃあ無いよね……』
「なら……修治はなんであんなに俺達の事を……」
特別な力を持たないなら……アイツは何をしたんだ?
『まず身近なところからいこう。士郎君を襲った〈雪音 クリス〉ちゃん……彼女はどうやら幼少期には日本にいたらしい。その時には家がお隣の幼馴染……そんな関係みたいだね』
「言ってましたね。確かに幼馴染だと……そして年は1つ違いとも言ってました……」
『そうだね。そしてクリスちゃんが日本を離れた後に出会ったのが〈立花 響〉そして〈小日向 未来〉だよ。士郎君のよく知る響ちゃんと性格の方はそこまで変わらないから……まずは運命の日まで割愛するね?』
確か……ライブ会場にノイズってのが現れたその日……か。
「修治は……その場にいたんですか?」
『いなかった……だけど……自力で二課の職員が響ちゃんの見舞いに来る日に接触を図ったんだ。後に……生存者への迫害が始まる前に……ね』
だろうな。修治ならそのくらいやるだろう。
『そして案の定迫害が始まると、響ちゃんの分まで感情を爆発させたんだ。響ちゃんは奏ちゃんの…………
「生きるのを諦めるな! 」
その言葉を言われたものの、生き残った事を後悔していた……』
俺と……同じだな。何故響が修治に惹かれたのか……分かる気がする。
『そして同時に未来ちゃんと3人で過ごす事で少しでも早くお互いの傷を埋められるように……覚醒の日まで過ごしたけど、既に二課の事を知っでいたからね……』
「修治は……俺以上に無茶しますからね……」
本当に……アイツは何もかもを背負うような……そんな気が……していた。
『そして彼は響ちゃんが戦えるように二課に頼み込み、未来ちゃんには響ちゃんの活動に制約が有る為に……自分を悪役にしてまで……接していた。だから2人の友情の為に自分を犠牲にした事を知って……後の悲劇につながるんだ……』
「でも修治は……その頃にやった事は……他にもありますよね?」
アイツなら……絶対に何かをしていた筈だ。
『分かる? 彼は……襲撃された本部で……フィーネと対峙したんだよ。未来ちゃんを……守る為にね……』
マジか……。ラスボス相手に生身って……あっ、俺もだ。
『結果的には僅か1分と止められ無かったけど……未来ちゃん達を逃がすには……充分だったし、何なら自ら人質になって対話を試みるつもりだったらしいからね……』
「命知らずとかそんなレベルじゃあないだろ……」
良くわかった。修治にだけは言われたく無いな。
『そして極めつけはフロンティア事変かな。スカイタワーで待ち構えて逃走するマリアちゃん達の飛行船に乗り込んだからね……』
「アイツ馬鹿だろ! 死ぬ気かよ! 」
俺は叫ばずにはいられ無かった。
『そしてアサシン……切歌ちゃんと調ちゃんが後に喧嘩をするけど……彼は自力で介入して、フロンティアまで登ったねぇ……』
歌姫マリアの演説……か。っておい!
「修治……無謀過ぎるだろ……」
『命が惜しく無いみたい……じゃあ無いよ。彼はその時に命を賭けないと世界が滅ぶ事を識っているから……限界を迎えて尚抗ったんだよ』
「確かにフロンティア事変の話の内容通りなら……そうせざるを得ないのかも……しれませんね……」
だとしても……修治……お前は……どこまで……
『そしてキャロルとの接触だけど……困った事に初対面は完全に偶然なんだよ。キャロルが……カラオケに……行ってたから……』
「は? ……カラオケ……?」
なんで……錬金術師が?
『なんでも〈歌〉を知る一環だったらしいけど……機械の操作方法が……わからない時に……出会ったみたいでね……』
「いや……錬金術師がカラオケに来るとか考えませんよ。流石に……不幸としか言えねぇ……」
それが初対面とか再会した時が気まずいだろ……。
『実際ミカちゃんがザババの2人を最初に倒した時に、身を呈して庇いに行ったからね。そして……2度目のミカちゃんの撤退の時には……人質として攫われたからね……』
「むしろ良く今まで捕まら無かったな……」
『そしてキャロルが再誕した時に必死に交渉をしたんだ。
〈
ってね。明らかに修治君からすれば不利な取引だけど……キャロルは命題の答えを知る事を優先したんだ』
「そもそも……よく交渉を考えたな。しかも……対価がホムンクルスって……アイツ何考えてるんだよ……」
目的があるのはなんとなくこれまでの行動から分かるけど……。
『まぁ……ミカちゃんが最後の出撃をした時に情報のお釣りとして解放されたけどね。というか……イグナイトモジュールを使う口実として解放されたけど……』
「まだ人質やってんのかよ! 」
本当に……修治は……。
『そして風鳴翼の実家では父親を殴ったしね。もう本当に彼女達の為に自己犠牲を貫き続けたよ』
「最終決戦の時も……何かやってますよね?」
『戦闘中は……特にはしてないけど……その後にね。持ち帰ったホムンクルスと、キャロルの記憶。その2つを決戦後にやってくれたよ……』
もう想像がついてきたな。修治のやった事が……。
「修治の奴……キャロルに〈想い出〉を差し出してホムンクルスをエルフナインに使った……そんなところですか?」
『あはは……この流れなら……分かるよね……』
予想通り過ぎて何も言えねぇ。
『だけど……キャロルはその事に混乱したんだ。初対面の時ならばともかく……激戦の相手に……だからね』
「むしろ修治の方が厄ネタじゃないか?」
もうそうとしか思えなかった。
『そして結社の幹部が〈賢者の石〉を完成させてイグナイトを打ち破っだ時……彼はサンジェルマンの前に立ちはだかったんだ』
「もう何を言ったのか想像つきますよ?」
修治の事だからきっと……
『〈ここで3人を殺させるくらいなら! 僕を殺せ! 僕は大切な幼馴染に守られて生きるくらいなら……身体を張って最後まで足掻く! 〉
ってね……。本当に危険を顧みないよね……』
「修治が俺に説教したら絶対イジろう。もうアイツの方が心配だわ……」
『同感だよ。まぁ……それで松代は吹き飛ばずに済んだけどね。その結果として彼は結社に招かれたんだよ。
〈何故君はそうも命を賭けられるのか? 〉
とね。実際……サンジェルマンは自分達の行動に悩んでいたからね。そんな時に現れた修治君に興味を惹かれたんだろね?』
「分かる気がします。でも……無茶しますよね? 1歩間違えたら死んでるのに……」
『そうしてでも救いたかったんだろうね。修治君にとってはキャロルもサンジェルマンも手を伸ばす相手だったんだよ。そして……とうとう神降ろしが行われたんだ……』
〈ニンゲン〉のプロトタイプである〈アダム・ヴァイスハウプト〉。彼が起こした神降ろしは……後に再び起こる事になった。修治はきっと……また介入するだろうな。
『そして装者達が月に飛ばされた時……地球には神の依代にされた未来ちゃんと修治君しかいなかった。エルフナインちゃんはキャロルと別の人間として過ごしたから……拉致はされなかったけど……』
「同時にシェム・ハを止められる人物もいなかった訳か。まさに修治のせいだな……」
原作では救われたシチュエーションだけど……修治のせいで悪化したのか。
『まぁ最初は興味本位の質問をしたりされたり……そんなところだったよ。だけど……未来ちゃんの想いに気づいたシェム・ハは修治君にキスをしたんだ……』
「何の為に……ですか?」
『〈ヒトの持つ感情に興味が湧いた。故に我の伴侶となれ。そうすればこの依代の娘も報われるだろう? 〉
とね。まぁ確かに未来ちゃんは修治君に恋をしていた。だからこそ……なのかもしれないね』
「神様まで興味をそそられるとか……修治の功績は確かに人の枠には収まらなないかもな……」
それがサンジェルマン伯爵の言葉につながるのか。
『まぁ……その行為を見ていたキャロルがここで登場したんだ。キャロル自身は今まで気づいて無かったけど、キャロルが1人放浪する間に修治君は大きな存在になっていたみたいなんだ。だから修治君の世界を守る為に装者に協力をしたみたいだからね』
「パパ……話は終わりだよ? 修治は……オレのモノだ。例えパパでも……邪魔はさせないから!」
『やめるんだキャロル! こんな事をしたところで! 修治君は喜ばないぞ! 』
「
突然現れた少女……キャロルはイザークさんを
「さて……お前は桜のターゲットだ。故に……ここから出るが良い!」
パチン!
キャロルが指を鳴らすとオレは意識が何処かへと引き摺られる感覚に囚われた。
「安心しろ。貴様達が何もしないならば……オレはお前達には手をくださない。ただ……
そうキャロルが告げると……俺は現実へと意識を戻された。
今のキャロルはイザークさんの言葉すらも……受け入れる事はできなかった。それは……今のキャロル自身が間違いを犯している事を……誰よりも知っているから……
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!