「さて……桜……アルトリアを返して貰うぞ?」
「お断りします♡だって私……先輩の事を愛しているんですよ? そんな私が……先輩を逃がす訳ないじゃないですか?」
桜の瞳は虚空のように何も映してはいなかった。ただ……己の欲望が俺を見つめている……そんな気がしてならなかった。
「桜……なら……キツイお仕置きをしてやるぞ!」
俺は地を蹴り、桜へと距離を詰めた。しかし……その行動を邪魔する存在がいた。
「シロウ……何故私は……シロウの側にいる事ができなぃのか……考えました。やはり……私がシロウを守らねばなりません。その為には……シロウは籠の中にいて欲しいのです……」
「なんの真似だ
「ええ。以前の私なら言いませんでしたよ? でも……
今のアルトリアは異常そのものだった。しかし……それは大した問題にはならなかった。
「そうか。悪いな桜……先約だったお前だけど……割り込みの客だ。俺はそっちにかからせてもらうぜ?」
「ふふふ……それを私が許すと思いますか?」
桜が妖しく笑っている。何か考えているのは明白だが……俺にはそんな事を考える必要は無かった。
「さぁて桜ぁ! 私が相手になるわよ! 」
「士郎の道を開くのは姉の役目よ? サクラ……貴女には私達が相手になるわ。文句は無いでしょう?」
「………………ふふふ……」
この状況で尚……桜は笑っていた。
「えぇ……構いませんよ? 先輩にまとわりつく害虫は……私自ら叩き潰しますから…………」
桜は
「思い上がりはほどほどにする事をオススメしますよ? 私……とっても怒りっぽいですから……」
「でしょうね……士郎! ボヤボヤしないでさっさと始めなさい! さもないと……私達が桜をシバくわよ! 」
「本当に大切な存在とあるべき事を教えてあげるわ……。貴女のその価値観を今日ここで矯正するためにね!」
「アルトリア……俺達も始めるぜ?」
「ふふふ……私はシロウと共に過ごせるなら何処でも構わないですよ?」
「なら……楽しい
俺はアルトリアが目の前にいるのを確認して心の中で唱えていた最後の一節を口にした。
「So as I pray, unlimited blade works! 」
(その体はきっと……剣で出来ていた!)
「周囲の光景が……なるほど。シロウは私と2人きりのデートを求めているのですね? 良いですよ? では始めましょう?」
アルトリアは……俺の固有結界を知っていた。だからこそこの世界で俺よりも先に動く事の重要性を理解していた。
「はぁ! シロウ……幾ら貴方が剣を携えて……精度を上げたところで無意味です! 」
アルトリアはその
「風よ……舞い上がれ! 」
すると剣圧だけで周囲にある無数の剣が砕けてこの世界に吹き荒れた。
「
俺は
「随分と不思議な道具ですね……。シロウは……ソレを使ってどうするつもりですか?」
「そうだな。こうさせてもらうぜ! 」
俺はカードを掲げてこう叫んだ……。
「クラスカード〈セイバー〉!
するとセイバーのクラスカードから光が発生して俺を包んだ。
「シロウ……貴方は一体何をするつもりなんだ! 」
アルトリアの声が聞こえた後に光は収まり……
「その姿……サーヴァントの如き姿ですね。シロウがその領域に至ったこと……誇りに思います。しかし……それでも勝つのは私です! 」
アルトリアは聖剣を振り上げて俺へと斬りかかる。しかし俺も……魂を込めて鍛え上げられた剣で受け止めた。
「これがあの英霊の力なんだな。そのおかげで……いつもの投影が楽に……そしていつも以上の調子で出来そうだ!」
俺は〈干将〉・〈莫耶〉の投影に入ったが……その精度は
「わかる……わかるぞ村正! アンタが鍛えたこの魂が! 俺の心を激しく燃やしているぞ! 」
「この1撃の重さ……シロウ……貴方は何処迄も……」
そう振るわれた1撃でアルトリアは後ろに三歩分程下がらされたことを実感していた。
「ではこちらも反撃します!」
アルトリアも負けじと聖剣の力を解放して斬撃を飛ばし始めていた。
「純粋に高威力の1撃だな! だけど……俺は退く理由は無いんだよ!」
そう叫ぶ程に俺はアルトリアを救う為に来た。しかし…………
「私は……シロウと結ばれる為なら何でもします! 例えサクラの手先になろうが! 世界が……ブリテンが滅びようが! 」
その瞳には涙が浮かんでいた。よほど……俺への想いが強かったのだろう。ソレはアルトリアと過ごした日々が何よりの証明だった。
「故に私はシュウジを……凛を……クー・フーリンを……イリヤスフィールを倒します! 邪魔立てしないでくださいシロウ! 」
「ソレは……聞けない注文だな……」
俺の手に令呪は未だに存在し続けている。例えアルトリアご俺のサーヴァントでなくなったとしても……俺は聖杯戦争を降りるつもりは毛頭も無かった。
「だからこそ……お前と笑顔で家に帰る為に俺は戦いに赴いたぁ! 」
俺はアルトリアの懐へと潜り込む。当然だが……アルトリア自身も俺の接近を安々と許すことは無かった。
「やめて……ください……」
アルトリアが小声で〈何か〉を呟いた。しかし……その呟きは次からの行動で聞こえることは無かった。
「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!!」
その聖剣の波動は展開している結界を揺るがす程の極大の1撃だった。しかし俺は……
「宝具を……俺との全力の為に使ってくれたんだな……。なら……俺もソレに報いるぞ!」
俺は村正からの言葉が聞こえた気がした。そして……紡ぐべき詠唱を……口にした。
「真髄、解明。完成理念、収束。鍛造技法、臨界。冥土の土産に拝みやがれ! これが俺の
その一刀に……結界の中にある全ての剣が収束される。嘗て〈エミヤシロウ〉が行き着いたこの無限の荒野も……今は俺の決意を示すかの如く
「結界が!? シロウ!
動揺しているアルトリアだが……
「アルトリアの感じた苦痛に比べれば……この程度は大した苦しみじゃあないんだよぉ! 」
結界の内部にある俺の力を右手に持つ一刀に全てを込めたが……
「まさかシロウ!? 私の宝具のエネルギーまで!? そんな無謀なことを!!」
桜に侵食されながらも抗おうとしたアルトリアの苦しみも……この一振りに込めるとしよう。
「やめろ……来るな……来ないでください! 」
アルトリアの涙が……とうとう地面に落ちた。そして……その頃には聖剣の波動も……弱くなっていった…………。
「この勝機を掴み取る! 」
俺は残る距離を一気に詰めて右腕の一振りに全てを賭けた!
「うおおおおおおお!! 」
そして呆然とするアルトリアを……袈裟懸けにした。その瞬間……
「逃がすかぁ! 」
俺はそのまま手にした剣を悪意に向かって投擲した。嘗てエミヤは弓へとつがえたが、今の俺はサーヴァントだ。ならば……その膂力で再現する事もできるはずだ!
「
ドガアァァン!!
結界の維持に回した為に周囲の風景が崩れ出したが……煙が晴れる頃には俺達の周囲には
「帰るぞ……アルトリア……」
「シロウッ……ハイ! 」
その笑顔は今までで1番眩しい笑顔だった。
次は桜と2人のマスターの戦いとなります!
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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?
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知り合い同士での同盟!
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主人公達は同盟を組む!
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もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
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ハイライトは仕事しない!