〈願い〉と〈愛〉が交差して……   作:タク-F

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襲撃者は彼の知らない組み合わせだった。そして彼女の導きで教会へと向かい………


情報を得る為に……

 ランサーとそのマスターが撤収した。しかしその人物は僕の知識に存在しない組み合わせだった。

 

「ランサーがクーフーリンで、マスターがイリヤスフィール。おかしい…………イリヤスフィールのサーヴァントはバーサーカーのヘラクレスの筈だった。なのに…………一体何故ランサーを?」

 

 しかし考えても答えが出る訳ではなかった。そしてセイバーの次の標的はアーチャー(クリス姉さん)アサシン(切歌ちゃんと調ちゃん)だった。

 

「やめてくれよ! なんでお前達は戦っちまうんだよ!」

 

「切歌ちゃん! 調ちゃん! 君達が本当に僕のサーヴァントだと言うならば戦闘をやめてくれよ! そして姉さん! アンタも僕の事を大切に思うなら! これ以上僕の知り合いに手をかけないでくれよ!」

 

 士郎と僕の叫び声を聞いて3組のサーヴァントは動きを止めた。しかしその表情は明らかに不満を抱えていた。

 

「しかしマスター! 今サーヴァントを討たねばいつ討てると言うのですか! 今以上の好機など!」

 

「おいおい……いくら愛しい弟の頼みでもそれだけは無理だな。泥棒猫は躾が必要だろう? まずはそれからだよ」

 

「あんなに凶暴な人が先輩を守れる訳がない!」

 

「あたし達の先輩は絶対に渡さないデェス!」

 

 ものの見事に全員が話に耳を傾けようとはしなかった。しかしそこで凛は雰囲気を変えて言葉を放った。

 

「アーチャー……私は確かにサーヴァントを呼ばせろとは言ったわよ。でもね……貴女が無駄な戦闘を重ねるつもりなら私は聖杯戦争を続ける義理もないのよ? でも貴女は違うでしょう? なんの為に自分がここにいるかを良く考えることね」

 

「……チッ! わかったよ。マスターの手前だ。ここは銃を下ろしてやる。それでお前達も刃を下ろせ」

 

 姉さんが銃を下ろしたのを確認して僕も再度口を開いた。

 

「ありがとう遠坂さん。そう言う訳だ2人共。これ以上やるつもりなら僕は君達を軽蔑するよ。話をまともに聞かずに姉さんと戦闘をするそんな2人とはね」

 

「切ちゃん……これ以上は……」

 

「しゅう先輩に嫌われるデス。とりあえずはもうやめるデス」

 

 続いて士郎もセイバーを止める為に口を開いた。

 

「セイバーと言ったな。まずは俺達がどうしてこうなっているかを教えてくれよ。そうしないと知るべき事を知れないからさ……」

 

「…………はぁ……。わかりました。ひとまずは剣を収めましょう。しかしマスター……貴方は甘すぎる。それでは勝てる戦も勝てないでしょう……」

 

 最後にセイバーも剣を収めた。これでようやく本題に入って貰える。

 

「はぁ……ようやくね。まずは木原君……そして衛宮君。貴方達が巻き込まれた聖杯戦争はさっきみたいなサーヴァント同士の殺し合いよ。最も……その3人は顔見知りみたいだけどね。本来は縁も縁もないサーヴァント同士が対決する儀式なのだけど、明らかに今回はイレギュラーね。何があると言うのかしら……」

 

 凛はそう言うと考え込んでしまった。

 

「マスター……私は今も納得していません。何故討ち取る機会を棒に振るうつもりなのですか?」

 

「まずはその〈マスター〉ってのをやめてくれよ。なんだかこそばゆいからさ……」

 

「では……私は貴方の事をなんとお呼びすればよろしいですか?」

 

「俺の名前は衛宮 士郎だ。よろしく頼むぞセイバー」

 

「なるほど……士郎……シロウ……ええ。私にはシロウと呼ぶ方があっていますね。ではマスター……今後は貴方をシロウと呼ばせていただきます。異論はありませんね?」

 

「もちろんだ。よろしく頼むよセイバー」  

 

 士郎がセイバーと名前のやり取りを済ませた。ならばいよいよ本格的に物語が始まるのか……。

 

「なら2人共。新都の教会に行くわよ。そこに今回の聖杯戦争の監督役がいるわ。いけ好かない野郎だけど立場と実績は確かよ。そこで本格的な説明を受けなさい」

 

「了解した。じゃあ新都の教会までは案内を頼むよ遠坂さん。今の説明なら遠坂さんは教会までは手を出さないでくれるんだろう?」

 

「ふん! まぁ良いわ。監督役への報告は義務だもの。知り合いがそんな事も知らないなんて目覚めが悪いもの!」

 

 未だに不満顔のセイバーと共に僕達は新都の教会へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綺礼〜! 最後の参加者を連れて来たわよ〜! 監督役なんだから説明をしなさい! 

 

 そう言って凛はこの聖杯戦争の監督役を呼んだ。しかしそこに現れた人物は言峰綺礼では()()()()

 

「あ〜ごめんな〜。父さんはこの聖杯戦争中は出禁にしたんだ。だけど安心して欲しい。あたしが今回の聖杯戦争の監督役だ。そしてようこそ()()()()へ。歓迎するよ〈衛宮 士郎〉君……そして〈木原 修治〉君。君達2人がこの聖杯戦争最後の参加者達だろう?」

 

 そこに現れたのは死んだ筈のシンフォギア装者(天羽 奏)だった。

 

「へぇ……綺礼はいないのね。しかし驚いたわ奏さん。今回の監督役は貴女だったの?」

 

 凛は奏さんと既に面識があるようだった。そして奏さんは自己紹介を始めた。

 

「まずはあたしの自己紹介から始めた方が良さそうだな。あたしの名前は天羽 奏だよ。そしてこの建物の以前の名前は〈言峰教会〉だ。もちろんあたし自身の名字も本来なら〈言峰〉ってのが筋なんだろうな。だけどあたし自身は母さんの姓が気に入っているんだよ。だからあたしは母方の姓を名乗っているんだ」

 

「なるほどね。綺礼は自分の事はほとんど話さなかったから私が知らないのも無理はないわね。しかし奏さん……貴女が監督役だと言うならこの2人には事情を説明して貰えるかしら? 私が説明するよりも貴女の方が適任でしょう?」

 

「もちろんさ。じゃあまずは聖杯戦争について解説しよう」

 

 そう言って奏さんは聖杯戦争の仕組みを解説した。僕は一応原作知識で知っていたが、既にイレギュラーが起こった聖杯戦争だ。説明は聞かなくてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ……それ。魔術師同士の…………殺し合い? なんで…………なんでお前達は! そんな簡単に命を!」

 

 士郎は聖杯戦争の仕組み…………そして目的を聞いて声を荒げた。しかし凛は冷静に士郎をたしなめた。

 

「受け入れなさい衛宮君。貴方が巻き込まれた聖杯戦争は魔術師の悲願への手段の1つなのよ。そして魔術師は目的の達成を阻む者に容赦はしないわ」

 

「明らかにヤバい奴等にその聖杯ってのが渡ったら大変だな。遠坂さんの話通りなら今回の参加者にそういう人がいる可能性すらあるんでしょう?」

 

 僕の質問に答えたのは奏さんだった。

 

「ほぉ? 面白い発想だな木原君。まぁ確かに魔術師は根源へ至る事を目的としているし、手段を問わない者も多い。だけど何故それが今回の参加者にいると思えるのかな?」

 

 論理的だ。明らかに奏さんは僕の事を()()()()()みたいだな。だけどそっちがその気なら僕も取るべき態度で行こう。

 

「修治で良いですよ奏さん。見たところ僕よりも先輩…………具体的には華の二十歳辺りですか? その年齢で監督役を任される貴女に僕は敬意を表しますよ。

 そして参加者に危険人物がいる可能性……ですか? …………そんなもの1つしかありませんよ? 

 

 〈本当に欲しいモノがある人間は手段を妥協しない。手段を選べる人間は余裕のある人物だけ〉

 

 まぁコレが理由ですよ。魔術師としてだろうが人としてだろうが言える事だと思いますけどね?」

 

 僕が語り終えると奏さんは笑っていた。

 

は…………ははははははははは! すごい根拠と価値観じゃないか修治! あたしは修治が気に入ったよ! 嘗てのあたしのパートナーにも引けをとらないその精神力! 修治が聖杯戦争のマスターか……コイツは楽しくなるぜ! 

 

 奏さんは尚も上機嫌だ。そしてとうとう士郎が口を挟んだ。

 

「ふざけてやがる! なら…………そんなくだらない理由で聖杯なんて危険なモノを他の奴等には取らせない! 俺が手にして破壊してやる!」

 

 そうだな。〈衛宮 士郎〉とはこんな人物だった。だからこそ幾つもの可能性を越えて士郎は聖杯を手にしたんだ。なら僕の答えも変わらないな。

 

「ありがとう士郎……おかげで僕も覚悟ができたよ。この戦いは僕達で止める必要がある。協力して欲しい」

 

 すると凛は僕達を見て呆れた表情をしていた。

 

「はぁ……素人2人が碌に事を考えずに聖杯戦争へと挑むつもりかしら? よくそんな無謀な発想に至れるわね」

 

「残念だけど凛……僕達は本気だよ。この話の通りなら僕は聖杯を手にして破壊する。邪魔をするなら凛も敵だ……例え姉さんを倒してでもね」

 

「教会までの案内ありがとうな遠坂。おかげで俺もやるべき事を決められたよ。だけどもう迷うつもりは無い。邪魔をするなら遠坂も……遠坂のサーヴァントも俺達で倒すよ」

 

 僕達2人の覚悟を聞いた凛もまた帰る準備を始めていた。

 

「そう……じゃあ私の手助けはここまでね。この教会を出たら貴方達と私は敵同士よ。最後に1つ言っておくわ。ギブアップをする時はこの教会に来なさい。それで聖杯戦争の終結まで保護してくれるわ。そうでしょう奏さん?」

 

 すると監督役の奏さんも答えた。

 

「もちろんだよ。棄権したマスターの令呪を回収して終結まで保護する事……そして神秘の隠匿があたし達の役割だ。もちろん2人が神秘をひけらかした時はあたし達も相応の対応をする。それが教会から派遣された監督役の役割だよ」

 

「じゃあ遠坂……次に会う時は恐らく敵同士だけど…………」

 

「僕達は負けるつもりは無い。でも…………もし機会があれば……」

 

「そうね。私達で最後の決着をつけましょう?」

 

 そうして僕達は正式に聖杯戦争の参加者になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜そして凛は〜〜

 

 士郎達と別れた凛は先程の自分の言動に後悔していた。

 

「あぁ……士郎…………なんて格好いいのよ。あんまりにも格好いいから思わず強気に接してしまったわ…………。嫌われてしまったらどうしようかしら……」

 

「あぁー…………マスターさぁ……なんで

 

 〈あたし達と手を組んでくれ〉って

 

 素直に言えないんだ? んな事はやれば簡単じゃねぇかよ?」

 

 そう…………凛は士郎と同盟を結ぶつもりでいた。愛しい士郎と接触する機会を少しでも確保しようとしていたのだ…………が、自分の強気な態度でそのチャンスを棒に振るってしまった。

 

「うぅ……嫌われてしまったかしら……」

 

 もはや優雅とは対極の状態の凛だが、クリスはそんなマスターに意外な言葉を告げた。

 

「マスターさぁ…………さっきの士郎ってのはモテるのか?」

 

「………………わからない。だけど嫌われるような性格じゃあ無いわ。あとクリス………………2人っきりの時は凛で良いわよ。私達は同年代でしょう?」

 

「そうだな。だけどさぁ凛………………わからないなら急いだ方が良いかもしれないぜ? あたしの場合…………修治の奴は離れ離れになって再会した時は既にモテてやがった。凛の友人に〈響〉ってのがいるだろう? あんな感じの奴等が既に修治に惚れてやがった」

 

 クリスは苦虫を潰したような表情を見せたが言葉を続けた。

 

「だから押し倒せ。そうすりゃあ士郎は凛から逃げられねぇよ。責任感はありそうだからな……」

 

「そうね。機会を見て行動しましょう。……待ってなさい士郎………………絶対に貴方は逃さないから!」

 

 そしてこの夜〈遠坂 凛〉は1つの覚悟を決めた。

 

〜〜そして凛は(終)〜〜




そして彼等は出会うべき人物と遭遇する……

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主人公達の関係性…………最終的にどうしましょう?

  • 知り合い同士での同盟!
  • 主人公達は同盟を組む!
  • もちろん2人とも厄ネタ降り注ぐ!
  • ハイライトは仕事しない!
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