「では……オレも歌うとしよう」
炎の中でキャロルは確かにそう告げた。
「そして……オレはこの瞬間を待っていた! 」
キャロルのダヴルダヴラが炎の中から僕を拘束した!?
「うわぁぁぁぁ──ぁぁ!!! 」
「修治! 」
「しゅう君! 」
響と士郎の声が聞こえたが……僕はキャロルの手元に引き寄せられてしまった。そして……僕を抱き寄せて拘束したキャロルは2人へと告げた。
「衛宮士郎……立花響……この戦いより手を引け。そうすれば……今すぐに
キャロルの掲げた聖杯は
「やめ……ろ……2人……とも……ここ……で……ひい……たら……」
掠れる程の声で僕は2人へと訴えるが……2人はキャロルを見据えていた。
「話にならないよキャロルちゃん……しゅう君を……返してよ……」
「お前の行動が解せないな。聖杯なんてそう簡単に渡せる代物じゃない。何が目的だ?
「ほう?
キャロルは
「グアァァァァァァ!!!! 」
僕は悲鳴をあげて苦しむが……キャロルは悲痛な声を押し殺すように僕に語りかけた。
「
キャロルの囁きが終わる頃……複数の魔法陣が出現した。
「修治! 無事……何があった!? 」
「修治! お前……なんで! 」
「修治! ……あぁぁぁ!! 」
「先輩! 今すぐに! 」
「待ってて! すぐ助けるから! 」
「任務完了しましたわマスター……」
「アタシ達の役割は……」
「派手に達成しました」
「まっ……ガリィちゃん達ですから♪」
僕達の戦いの舞台に転移してきたのはキャロルの配下である
「ちょうど良いからよく見ておけ。オレの計画の最後の行程をなぁ! 」
「グアァァァァァァ!! 」
僕に埋め込まれた
「修治……お前の身体は今より〈精神〉•〈魂〉•〈肉体〉へと分割された後にザババの2人とオレに割譲される。なぁに……既に修治の新たなホムンクルスの肉体は準備済だ。直ぐに終わるさ……」
「やめるデスキャロル! 」
「そんな事をしたら! 」
「安心しろ。危険性は無い。何故なら……この
キャロルがレガリアを掲げた時……僕の身体は〈精神〉•〈魂〉•〈肉体〉へと分割されて…………精神と魂はホムンクルスへ……そして〈肉体〉には
「これは……一体……?」
「なんで……僕が……2人に……?」
「
「キャロル……貴女……」
「最初から……このつもりで……」
「あぁそれと……貴様もさっさと出てこい! 」
グィ〜〜〜ビタアァァァン!!
「うぎゃあぁあぁ!! 」
キャロルが聖杯へと糸を伸ばすと
「いてぇぇよぉぉぉ……」
「この通り聖杯の浄化等とうの昔に終わっている。故に好きに使え。オレ達は修治さえいればそれでいいのだからな……」
「キャロル……やっぱり……」
「当然だろう? オレは修治に全てを捧げる。しかし……修治は心残りがある。ならば……分ければ良かろう? まぁ……その方法は乱暴だがな……」
「まぁでも……マスターにしては平和的ですよねぇ?」
「それだけ派手に惚れてたという事だろう?」
「私達も同じ気持ちではありますがね?」
「アタシもそう思うゾ!」
4人の自動人形もキャロルの行動に納得していた。
「その修治を……どうするつもりなの?」
「当初の予定通りだ。月に連れて行き平和な世界を過ごす。それだけだ……」
「そしてその花婿様はザババの伴侶ですわよ? もちろん……マスターより刻印が刻まれておりますわ。花婿様がお2人のモノである証……それが何よりの印……ですわよ?」
「キャロル……貴女は……」
「そこまで…………あたし達の事を……」
「そういう事だ。では修治の身体は貰って行くぞ?」
キャロルは僕(の今までの肉体)を連れて何処かへと転移して行った。多分行き先は……月……なんだろうけど……。
「なんだろう…………あっけなく終わってしまった感じが……するかな?」
「だな。流石に反応にこまる事が多すぎてあたし様もショートしてる……」
「計画が周到的過ぎて笑えねぇ。しかも……全員に利のある終わりとか……想像して無かった……」
「まぁそれでも……」
「先輩か戻って来てくれて嬉しいデース! キャロルも最後は良いことをしてくれたデース!」
良いこと……か。僕にとっては……どうなんだろうな。
「まぁ……この身体も今まで同様の使い方で問題無いみたいだからね。これからもよろしくね……切歌ちゃん・調ちゃん……」
「修治先輩……」
「お兄ちゃん……」
いや……ちょっと違うね。僕の言葉が足りて無いね。やっぱり2人には言い直そう。
「ごめん。少しだけ訂正するよ。…………
「修治……先輩! 」
「修治お兄ちゃん! 」
「「こちらこそ! よろしくお願いします(デス)! 」」
僕は2人の後輩を優しく抱きしめた。
「修治……それがお前の答え……なんだな?」
「あぁ……僕は後悔しないよ? だって……
「そう……だな……。じゃあ……あたしはコイツを凛に届けるよ。この先も……付き合いが長そう……だからな……」
「そう……だね。サーヴァントが全員生存だなんて……想定して無い……からね……」
「でも……
マリアさんの微笑みが僕にとっては何よりも怖かった。
「さて……それじゃあ帰ろうぜ? 俺達が求めていた……嘗ての平和な日常へな!」
「少し形が変わってしまったけどね!」
「しゅう君……私達……絶対に諦め無いから! 」
「ふふっ……響さん……」
「寝言は寝て言え……デスよ?」
「絶対に! 今度こそ私と未来でしゅう君を振り向かせるんだからぁ! 」
「それなら……あたし達も同じだな。修治を可愛いがるのは姉ちゃんの役目だろ?」
「肌を重ねた私達が除け者とは酷いわね? 私達も諦め無いわよ?」
「とうーぜん! 今度はあたしも参戦するぜ? だって……あたしも恋する乙女だからな! 」
「ちょっと!? みんな話を聞いてくださいよぉ〜! 」
冬木市……それは聖杯戦争の開催の地にて……様々な〈願い〉と〈愛〉が交差した土地……。そこで生活する魔術師は……一癖も二癖もある人物達だ。そして……その魔術師達は強い愛を胸に秘めている。意中の男性を振り向かせる為に……常に想いを伝え合う。その想いが報われるかは……彼女達の歩む未来次第……だろう。
「だけど……この世界に溢れる愛は……きっと……何よりも大切なモノ……だろうね……」
「せ〜んぱ〜い! こっちデスよ〜ー」
「わかってるよ〜! 直ぐに行くから〜! 」
まぁ……僕達の未来は間違い無く困難だらけだけど……彼女達が側にいれば……何でも乗り越えられる。……そんな気がするんだ……!
まさかの修治分割!そして……連れて行かれた方の彼はキャロル一派とムーンセルの内部で月のサーヴァント達とドンパチする事になりますが……その先は皆様の想像にお任せします。
全50話お付き合いいただきありがとうございました!
よろしければ他の作品も読んでいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
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