ここでは終わらんさ!
燃える街並みの中に立つのは、二人の少年。
片方は銀髪を背中まで伸ばした、邪悪な美貌の少年。左手には、少年の背丈を軽く越える刀身の剣を握られていて、その背中には黒く染まった羽根、頭上にはまた黒く染まった輪がある。
もう片方は青髪で片目を隠した中性的な少年。左の腰にハンドガン、右の腰に片手剣を装備し、首に不思議な紋様のある鍵をぶら下げている。銀髪の少年の様な羽根や輪はない。
「……ここいらで事故でもあったらしいな。一人で来て大丈夫なのか?」
銀髪の少年は振り向くことなく、青髪の少年に冗談めかして話しかける。青髪の少年は困ったように笑って返答する。
「さあね? 心配する人はいい意味でいないよ。いたとしても、盛大な爆発に巻き込まれて瓦礫の中さ」
クスクスと笑いながら言っているが、その声に遊びはない。二人は幼い頃からの付き合いではあるが、それまでで一度もなかった程の険悪な空気である。
火災の熱気を切り裂くような冷たい声で、青髪の少年は問いかける。
「……本当に置いていくつもり? 彼女、色々限界みたいだよ?」
その言葉に、銀髪の少年は振り向いて応じる。
「……連れて行く理由はないだろう」
「それはそうさ。何をするかと思えば両親をブチ殺して夜逃げ同然に行方を眩ませる。僕らの斜め上を行く行動には、流石にあの二人を付き合わせたくないよね」
「なら何故追いかけてきたんだ? エクシアも向こうにいるんだろう? 三人まとめてお別れでも言いに来たのか?」
「引き止めに来たつもりだったんだけど……さすがに無理があるかな。よくもまあここまで暴れたもんだね。上層部から戦力全招集が来たんだけど、この様子だと遅かったかな」
「さあ? 瓦礫の中に誰かはいるんじゃないか?」
「そんなつもりもないよ。僕はあくまで君を引き止めに来たんだって」
青髪の少年は、溜息をつく。いつの間にか向き合っていた、幼なじみで親友の、銀髪の少年にもう一度問いかける。
「無駄だとは思うけど、一応聞くよ……セフィロス、旅に出るとかいうのはやめてくれないかな?」
「…………本当に無駄な事を聞く。マコト、俺がこういう時に意見を曲げた事があったか? 俺は行くぞ、誰に引き止められようが、な」
「……だよね。知ってたさ、ああ知ってたさ……気が重いなぁ……」
「気が重い…………モスティマの事か」
「今全身全霊でギャン泣きしてるからね? エクシアに任せてこっちに来たけど……君が居なくなるって分かったらもう引きこもるんじゃないかな?」
「そこまで弱いやつじゃないだろう。そのうち追いかけるとか言い始めるんじゃないか?」
「言うね、絶対言う。そして僕達も付き合わされるんだ。どうでもいいとか言ってられない圧力で連れて行かれるんだ……きっとそうだよ……」
その光景を想像してか、虚ろな目で赤い夜の空を見上げる青髪の少年、マコト。すぐに頭を振り、銀髪の少年、セフィロスに問いかける。
「……家族の頼みだから、再三聞くよ……本当に行くんだね? ただ、ここでまた行くって言うなら……」
首に下げた鍵を右手に持つ。
「僕は君と戦わなくちゃいけない」
対し、セフィロスは無言でその長い剣を構える。それを見たマコトは、鍵を自身の心臓部に突き刺し、錠を開ける様に回した。血が出るなどということはなく、代わりに何かが割れるような音が鳴る。
「ペルソナ……!」
そう呟くと、マコトの後ろに羊の様な何かが形作られる。自然的な、雄大な存在感を放つ羊が、大鎌を背負っているのだ。
「アルカディア!」
ペルソナ、それは自身の心の形。普段さらけ出す事が無い自分自身が、伝承の悪魔や天使、神、偉人等の名、姿を借りて顕現する物。
マコトのペルソナ、アルカディアは、牧人達の楽園として語り継がれた場所だ。ただゆったりと流れる時間に身を任せる事にこそ、楽園を見出した者たちの理想郷である。
…………尤も、それは今彼らが立つこの世界の話では無いが。
尚も、構えを崩さないセフィロスは、ふと語りかける。
「マコト、幾つか本音で話したい事がある」
本音で話したい。この言葉は、セフィロスとマコトの間では、皆が連想する様な意味は無い。
「……何?」
「……俺は、この世界に産まれて、セフィロススペックで色々やってきた。最初は、まあ、喜んだものさ。ゲームの中で英雄だとか何とか言われてきたセフィロスに転生したんだからさ」
「それは僕も同じだよ。プレイしてめちゃくちゃ泣いたゲームの主人公になったんだ。しばらく展開を思い出して鬱になったけどね」
薄く笑う二人。しかしすぐに真顔に戻る。そして、次の台詞は、見事にハモった。
『でもここアークナイツの世界じゃん』
「クラウドをストーカーする必要は無いが、闇の深さはこっちの方が相当高いと思うんだが?」
「今学生ではあるけれど、シャドウとか居ないじゃん。腐ることはなかったけど、ペルソナ意味無くない? 命の答えに辿り着かないじゃん? むしろこっちの方が死が転がってるよね?」
『全くもって笑えない』
二人は、それは深く溜息をついた。
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目が覚めて思った。最後の会話はなかっただろう、と。前日に似たような会話をした覚えはあるけれども。
何となく、本当に何となく思い出に浸りたい気分だったので、そのまま僕自身の来歴を思い出していく。
僕はいわゆる転生者というやつだろう。しかも憑依転生。ペルソナ3の主人公に転生していたらしい。前世の記憶をある程度思い出したのは物心ついたあたり。鏡を見てペルソナ3の主人公だと理解した。
名前はマコト、あの少年は媒体によって名前が変わっていたが、どうやら結城理が採用されたらしい。個人的にはこちらの方が馴染みがあるので嬉しい。
しかしすぐにペルソナ3の世界では無いことがわかった。新聞やテレビで世界各国の、鉱石病の感染者による暴動事件が目につく。
鉱石病と聞いて思いつくのは一つ。ここがアークナイツの世界である、という事だ。
すぐに思った。勘弁して欲しいと。
ゲームは確かに楽しんでいたが、自分が放り込まれたとなれば話は別だ。危険しかないような世界は、平和もいいとこな国で育ってきた僕にとって地獄でしかなかった。
そんな波乱万丈な世界だったお陰で、天災予報士だった今世の両親は、記憶を取り戻してすぐに亡くなった。天災に巻き込まれたとかなんとか聞いた気はするが、ぶっちゃけよく覚えていない。
両親が最期の仕事に行く前、鍵と本を渡された。本の方は何故かペルソナ全書だった。未だにこれは謎だ。確かに母は常に青い服を着ていたが……この世界にあの部屋があるとは思えない。というか造魔であるなら天災で死ぬとは正直思えない。
メモ書きの様にペルソナの発現方法が書かれていて、僕を引き取ってくれた親戚の目を盗んで試したら、召喚できたのはアルカディアだった。オルフェウスではなかった。ますます分からなくなった。
あ、そうか、この辺りで僕は色々諦めたんだった。
引き取られた親戚、ラテラーノのちょっといい家。青髪の、誕生日が1週間違いの従妹がいた。
モスティマだった。
あの時の衝撃は今でも忘れはしない。かなり早い段階で家のロドスに来てくれて以降、全力で運用していたキャラクター、そのロリ時代を目の当たりにしたわけだ。
同時に、ゴタゴタに巻き込まれる事が確定した瞬間でもあった。原作キャラの身内なんて、二次創作小説では大体そんなものだろう。
と同時に、エクシア(ロリ)とお姉さんにも会った。アークナイツを始める切っ掛けとなったキャラと出会えたわけで、色々鬱な感情がぶっ飛び、帰ってからしばらく布団の中でゴロゴロしたものだった。
転入した学校には、セフィロスがいた。
幼い頃のセフィロスなんて知りはしないが、間違いなかった。目を疑った。スクエアエニックスの中でも、世界的にもブッチギリで有名な悪役、スマブラ参戦で色んな所から歓喜と、主人公たるクラウドへの同情の声を上げさせたストーカー、少年達、青年達を厨二の道へと引きずり込んだあの片翼の天使が、あろう事かモスティマ、エクシア両名の幼なじみだったのだから。
世界観が交錯し過ぎじゃねぇか! と心の中で叫び上げたものだ。明日方舟、FF、P3と、既に三作品がごった煮になっている。バランスとか大丈夫なのだろうか?
ただまあ、向こうも転生者だったらしく、すぐに仲良くなって、ペルソナ使いということもあり軍隊に入り……
「今やトランスポーター、人生二度目だけど、本当に何が起こるか分からないな」
セフィロスがやらかした後、モスティマが原作通り堕天、エクシアを連れて出奔。それに巻き込まれた形で、僕も今はペンギン急便所属である。
「……そのうちロドスとも絡む事になるのかなぁ……どうでもいいか」
服を着て、鍵を首にかけ、ハンドガンを装備。今日も元気に仕事の時間だ。
もう、どうにでもなるがいい。
セフィロス 『FFVII』のラスボスに転生した転生者その1。メインキャラのくせして少ししか出なかったやつ。現在傭兵として各地でメテオってる。
マコト 『ペルソナ3』の主人公に転生した転生者その2。転生してすぐ全てを察してどうでもよくなった。しれっとエクシアと付き合ってる。転生者同士という事もあり、めちゃくちゃ仲良くなったセフィロスにモスティマを泣かせた責任を取らせるため血眼になって探している。
モスティマ マコトが従兄になり、セフィロス絡みで色々あった以外は原作通り。現在はトランスポーターをしながらセフィロスを探し回っている。
エクシア しれっとマコトと付き合ってる以外は大体原作通り。セフィロスを追いかけるモスティマに連れられ、マコトを巻き込んでペンギン急便に就職。仕事ついでにセフィロスを捜索している。
自由な作品だから更に別のキャラをぶち込んでも許される。誰がなんと言おうとやってくれるわ!
村正おじいちゃん来てくれたしまずは……
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