負け犬ヒロインの育て方3   作:きりぼー

12 / 13
前回の続き


第十一章

 英梨々が肩を震わせて俯いて座っている。

 

「英梨々。気持ちはわかった。ありがとう」

 

 英梨々が小さくうなずく。

 

「トモ、シリアス展開ならあたしは部屋からでようか?ちゃかして終わるなら残るけどー」

「ああ美智留、そうしてくれ。悪いな、せっかく来てくれたのに」

「あたしのことはいいよ。じゃーね」

 

 美智留が部屋からでていく。歯がゆい自分がいる。もう少し器用に立ち回れないものか。こういうドロドロしたことは苦手だ。恋愛はこんなにも難しいものだろうか?もっと好き嫌いがあって、楽しく遊んで・・・それで気が向いたらベッドで戯れればいいと思う。恵や英梨々のような真剣さが自分にはまだない。でも、曲と歌詞だけは頭に次から次へと浮かんでくる。

 

「きっとあたしはそういう役割なんだね」

 

 美智留は静かに帰った。優しい歌を口ずさみながら・・・

 

※※※ 

 

「なぁ英梨々・・・泣くなよ・・・」

「・・・ぐすん・・・ごめん」

 

 英梨々に顔を上げる。真っ赤な目に涙を浮かべて。

 

「ほれ」

 

 倫也がティッシュを渡す。盛大にちーんと鼻をかむ英梨々。倫也の前では気取らない、気取れない自分がいる。そんな素直な自分は好きだ。

 

「お前の気持ちはよくわかったよ。でもさ、その『好き』は、お前の後ろめたさの裏返しでもあるよな」

「・・・そうかもしれないわね」

「俺はもう怒ってないし、英梨々が無理をすることもないと思う」

「ちょっとまって倫也。あたしは無理してない」

「英梨々がそこまで言うなら・・・俺も正直に言う」

「うん」

 

 英梨々は覚悟を決める。

 

「俺、加藤のことが好きだ・・・」

 

 倫也がごくりとツバを飲み込む。

 

「あっそう」

 

「あっそう、何その反応!?」

「いや、別に倫也の気持ちは関係ないし」

「関係ないの!?」

「う゛ん・・・」

 

 英梨々がボロボロまた泣き出す。

 

「英梨々・・・」

「ちょ・・・ちょっとまって・・・思ったよりダメージが」

「ダメージっていうか、物語やり直すレベルだと思うのですが・・・」

「いや、続けるわっ・・・! でもちょっと時間をちょうだい」

 

※※※

 

 複数の野菜をジューサーに入れている女性。

自分の体の匂いを嗅いでいる。

 

「いやぁー、体臭まで変わるんだな!肌もつやっつやっだし」

 

上機嫌でスムージを作っている紅坂朱音の最近の趣味は『健康』

禁酒禁煙以後、そのストレス反応に負けないという執念が彼女を大きく変えた。

 

「って、お前なに勝手に見てんだよ。ガキのケンカはガキ同士でやって、あまり巻き込むなって言っただろ」

 

 ジューサーをから外し、そのまま一気に飲む。

 

「ん?ああ、新年か。まぁ今年もよろしくな」

 

※※※

 

「いい倫也?あなたがハーレム型主人公である以上、サブヒロインルートが残されているわよね」

「えっ、俺は別にハーレム型主人公のつもりはないのだけど・・・」

「だから、恵のフラグが立ってない以上はあたしにだって勝算はある・・・はず」

「・・・」

「それに今のあなたは恵と絶賛ケンカ中よね?」

「ああ・・・そうだけど」

「なのに明日、倫也はあたしと恵の仲を取り持たないといけない。この高難易度ミッション・・・倫也に成功できるかしら?」

「ちょっとまて英梨々、なんで他人事なんだよ・・・」

 

 英梨々が立ち上がって倫也に指さす。

 

「いい、もしあたしと恵がこじれるようなことになったら・・・」

 

 倫也が固まる。

 

「そうなったら・・・あたしはこんな同人小説からエタってやるから!」

 

Σ( ̄ロ ̄;)エッ?

 

(つづく)

 




英梨々!?

次回は登校です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。