英梨々が肩を震わせて俯いて座っている。
「英梨々。気持ちはわかった。ありがとう」
英梨々が小さくうなずく。
「トモ、シリアス展開ならあたしは部屋からでようか?ちゃかして終わるなら残るけどー」
「ああ美智留、そうしてくれ。悪いな、せっかく来てくれたのに」
「あたしのことはいいよ。じゃーね」
美智留が部屋からでていく。歯がゆい自分がいる。もう少し器用に立ち回れないものか。こういうドロドロしたことは苦手だ。恋愛はこんなにも難しいものだろうか?もっと好き嫌いがあって、楽しく遊んで・・・それで気が向いたらベッドで戯れればいいと思う。恵や英梨々のような真剣さが自分にはまだない。でも、曲と歌詞だけは頭に次から次へと浮かんでくる。
「きっとあたしはそういう役割なんだね」
美智留は静かに帰った。優しい歌を口ずさみながら・・・
※※※
「なぁ英梨々・・・泣くなよ・・・」
「・・・ぐすん・・・ごめん」
英梨々に顔を上げる。真っ赤な目に涙を浮かべて。
「ほれ」
倫也がティッシュを渡す。盛大にちーんと鼻をかむ英梨々。倫也の前では気取らない、気取れない自分がいる。そんな素直な自分は好きだ。
「お前の気持ちはよくわかったよ。でもさ、その『好き』は、お前の後ろめたさの裏返しでもあるよな」
「・・・そうかもしれないわね」
「俺はもう怒ってないし、英梨々が無理をすることもないと思う」
「ちょっとまって倫也。あたしは無理してない」
「英梨々がそこまで言うなら・・・俺も正直に言う」
「うん」
英梨々は覚悟を決める。
「俺、加藤のことが好きだ・・・」
倫也がごくりとツバを飲み込む。
「あっそう」
「あっそう、何その反応!?」
「いや、別に倫也の気持ちは関係ないし」
「関係ないの!?」
「う゛ん・・・」
英梨々がボロボロまた泣き出す。
「英梨々・・・」
「ちょ・・・ちょっとまって・・・思ったよりダメージが」
「ダメージっていうか、物語やり直すレベルだと思うのですが・・・」
「いや、続けるわっ・・・! でもちょっと時間をちょうだい」
※※※
複数の野菜をジューサーに入れている女性。
自分の体の匂いを嗅いでいる。
「いやぁー、体臭まで変わるんだな!肌もつやっつやっだし」
上機嫌でスムージを作っている紅坂朱音の最近の趣味は『健康』
禁酒禁煙以後、そのストレス反応に負けないという執念が彼女を大きく変えた。
「って、お前なに勝手に見てんだよ。ガキのケンカはガキ同士でやって、あまり巻き込むなって言っただろ」
ジューサーをから外し、そのまま一気に飲む。
「ん?ああ、新年か。まぁ今年もよろしくな」
※※※
「いい倫也?あなたがハーレム型主人公である以上、サブヒロインルートが残されているわよね」
「えっ、俺は別にハーレム型主人公のつもりはないのだけど・・・」
「だから、恵のフラグが立ってない以上はあたしにだって勝算はある・・・はず」
「・・・」
「それに今のあなたは恵と絶賛ケンカ中よね?」
「ああ・・・そうだけど」
「なのに明日、倫也はあたしと恵の仲を取り持たないといけない。この高難易度ミッション・・・倫也に成功できるかしら?」
「ちょっとまて英梨々、なんで他人事なんだよ・・・」
英梨々が立ち上がって倫也に指さす。
「いい、もしあたしと恵がこじれるようなことになったら・・・」
倫也が固まる。
「そうなったら・・・あたしはこんな同人小説からエタってやるから!」
Σ( ̄ロ ̄;)エッ?
(つづく)
英梨々!?
次回は登校です。