負け犬ヒロインの育て方3   作:きりぼー

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英梨々を分析するようなストーリーになるんかね?


第四章

 

 目的地につき、倫也はタクシーを先に降り、英梨々が降りるのをやはり手をとって助ける。

 

「倫也、ずいぶん優しいわね」

「そうか?」

 

 英梨々はちょっと恥ずかしかった、どう接していいかわからなくなる。

那須の別荘のときから、二人の関係性は良好だと思う。このまま上手く発展すればいいんだ。正直になろう。そしたらきっと・・・

 

「混んでるなぁ・・・」

「参拝はまだ列ができてるのね」

「並ぶか?」

「なんか、あっちに出店もでているし、回ってみようよ」

「そういうのって、参拝が終わったあとにするのでは・・・」

「細かい男は嫌われるわよ?」

「ははっ」

 

 今度は英梨々が倫也の手をとり、ひっぱっていく。顔は見れない。緊張していることを伝えないように、できるだけいつものように、子供の頃のように・・・

 

「さーて、なにから食べる?」

「いや、俺は腹はいっぱいだよ・・・」

「んーあたしもかなー」

 

並ぶ屋台。人はそこまで混んでいない。英梨々が選んだのは射的。

 

「おっちゃん。一万円分の弾ちょうだい!」

「おい」

「さぁ、倫也は弾をつめてバネ引いてね」

「これ、1人1丁だろ・・・」

「かまわんよー」

 

射的のおっちゃんが3つ銃を置く。倫也はため息をつきながら、弾をこめていく。

それを次から次へと撃ち続ける英梨々。

 

「遅い!」

「バネけっこう硬いんだよ!」

 

豪快な遊び方に少し人だかりができる。ただでさえ、注目を浴びる容姿なのに、そのギャップがひどい。

全弾打ち尽くして、大量のお菓子をとライターを手に入れる。

 

「どうすんだよ、こんなに・・・」

 

 倫也はただでさえ体調が良くなかったので余計にバテていた。それでもひさびさに気分転換ができた気がした。

 

「さて、次は・・・」

 

 英梨々があたりをキョロキョロする。気分だいぶ良い、自然に笑うこともできた。

その時、英梨々に声がかかった。

 

「あれ、澤村さん?」

「ほんとだ、澤村さーん」

 

 声かけたのは英梨々のクラスメート、澤村さんの取り巻きAとBである。

 

「あっ」

 

 英梨々の表情が固まる。それからすぐにお嬢様仕様に帰る。

 

「こんばんは。あけましておめでとうございます」

「あけおめー」「あけましておめでとう」

 

 女子3人のトークが始まる。倫也は少し距離をとる、なんならこのまま消えたほうが英梨々には迷惑をかけない。

 

「澤村さん一人?」

「あれ、あの人・・・えっと、ヲタクの人じゃない?」

「えっ、ほんと、私はよくわからない」

 

 などと話し始める。英梨々が返答に困る。ちらりと倫也を見る。倫也は指で先に帰ることを伝える。英梨々が寂しそうな困った顔になった。

 

「ああ、なんかこいつ、さっきから迷子みたいで」

「迷子?」

「って、とも・・・じゃない、えっと・・・」

「友達がみつかったようでよかった。じゃあ俺は失礼するよ。偶然通りかかって、困ってそうだから、声かけたんだ」

「そ・・そうなのよ。親とちょっとはぐれちゃって、別に迷子じゃないけどね」

「そうなんだ、じゃあ、一緒に探そうか」

「うん」

 

 などと話しているうちに倫也の姿が見えなくなった。

英梨々はそれからお嬢様モードのまま友達と初詣をすませた。親が先に帰ったと嘘いい、それからタクシーで帰った。別に泣きそうにはならなかった。少しドライな自分をみつめる。このままじゃダメなことだけはわかる。

 

※※※

 

 英梨々は部屋で無造作に着物を脱いでいく。慣れない着物で1日を過ごし、さらに最後に気も使ってずいぶんと疲れた。裸になったままベッドに横たわる。

 

 これはきっと罰だ。

 

 10年以上前に倫也を裏切った罰が今も自分を責め立てる。倫也が許してくれても、10年以上演じてきたお嬢様の自分が許してくれない。

 

倫也からLINEがはいる。

 

「無事に家に帰ったか?」

「うん」

「今日はありがとう。ごちそうさま、あと楽しかった」

「うん」

「あと、あけましておめでとう。今年もよろしく」

「なによ今更」

「いってなかった気がして」

「そうかもね」

 

 倫也といる時間は楽しい。でも、ここからどうやって恋人に発展していくのかがわからない。

 

(つづく)




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