シネマハウスへようこそ   作:遊馬友仁

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エピローグ~シーソーゲーム・勇敢な恋の歌~⑦

亜莉寿が渡米したために、しばらく彼女とコンタクトを取れないことは少し残念だが、彼女が秀明との関係継続を願い、秀明もそれを受け入れたことは、舞にとっても、喜ばしいことだった。

 

これは、自分自身のエゴでしかないが、

 

「是非とも、秀明と亜莉寿の二人が出す《結果》を見せてもらいたい」

 

と、正田舞は感じていた。

 

「ホンマに、あの二人は、見ていて飽きへんなぁ」

 

独り言をつぶやくと、また微笑んでいる自分に気が付いた。

 

(半年前は、イバラの道やと思ったけど───。がんばったやん、有間秀明)

 

正田舞は、同じ中学出身の同級生に対して、そんな想いを心の中で、つぶやいて、ファーストフード店をあとにした。

 

 

有間秀明が、吉野亜莉寿の父・博明との《寄り道》を終えて、帰宅したのは、夕方が迫る時刻だった。

博明に連れられて立ち寄った先は、秀明自身にも、馴染みの場所であり、そこで、もたらされた提案は、彼にとって、魅力的なモノに思えた。

 

(お金を貯めたら、亜莉寿に会いに行けるかな?)

 

そんな想像をしながら、亜莉寿の父親からの提案の中身について、両親と相談する際に話すべき内容を思案する。

 

「ただいま~」

 

と帰宅を告げて、玄関からリビングに移動し、夕食の準備をしていた母親に、

 

「なあ、四月からのことで、ちょっと相談したいことがあるねんけど、あとで、話しを聞いてもらってイイかな?」

 

と、声を掛ける。

母は、すぐに

 

「ふ~ん。お父さんが帰って来てから、話しを聞くから、晩ご飯の時でイイ?」

 

と答え、その後、意外な報告をしてくれた。

 

「あっ、さっき朝日奈さんっていう女の子から、アンタに電話があったで」

「えっ!?朝日奈さんから?何の用やろう?」

 

予想外の人物からの連絡に、秀明が不思議そうにつぶやく様子をみて、

 

「朝日奈さんて、クラスの子なん?」

 

と、母はたずねる。

 

「いや、隣のクラスの女子なんやけど……。電話の時に、何か言ってなかった?」

 

そう返答する秀明に、

 

「秀明は、まだ帰ってないから、『帰って来たらお宅に掛けさせましょうか?』って聞いたら、『明日、また電話させてもらうから大丈夫です』って言ってはったわ」

 

母の返答に、「そっか、ありがとう」と返事をした時の秀明は、しばし思案し

 

(朝日奈さんからの電話が来た時に、また不在だったら申し訳ないし───。明日は家に居ておくか)

 

と、クリスチャン・スレイター主演&ジョン・ウー監督の新作映画『ブロークン・アロー』を観に行く予定を変更し、翌日の予定は、《自宅待機》とすることにした。

 

有間秀明が、これまで観賞した映画の本数は、この日の時点で、六〇〇本になっていた───。

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