シネマハウスへようこそ   作:遊馬友仁

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第12章~(ハル)~③

年が明けた新学期初日の放課後、放送部の『シネマハウスにようこそ』に関わるメンバーに集まってもらい、亜莉寿は、来年度以降の進路について、自ら語った。

 

「せっかく、番組を任せてもらったのに、申し訳ありません」

 

そんな風に謝る彼女に、校内放送における責任者である高梨翼は、驚いた様子ではあったものの、

 

「吉野さんがいなくなるのは、寂しいし、残念やけど~。吉野さんが決めたことやったら応援したいから~。これから大変なんじゃないかと思うけど、頑張って~」

 

と、エールを送り、さらに、

 

「海外で暮らすなら、準備とかで忙しくなるんじゃない~?もし、『シネマハウスにようこそ』に出演するのに不都合があったら、いつでも言うてね~」

 

と責任者らしい気遣いを見せる。

亜莉寿も、翼の心遣いに感謝しながら、

 

「ありがとうございます!向こうに発つのは、三月下旬の予定で、それまではこちらに居られると思うので、放送の出演には、影響ないと思います」

 

そう返答する。

 

「良かった~!じゃあ、四月からのことは、またこれから考えて、話し合っていこう~」

 

翼も、胸を撫で下ろした様に言う。

その様子を見ていた昭聞は、小声で秀明にたずねてきた。

 

「なあ、秀明……。吉野さんの転校のこと、以前から知ってたんか?」

「あ~。実は、秋の終わりくらいには、吉野さんから海外に転校したいと考えてるってことは、聞かせてもらってたんやけど───。彼女のプライベートなことやから、ブンちゃん達にも話されへんかった。ゴメンな」

 

秀明が、そう言って謝罪の言葉を口にすると、

 

「いや、オレらのことは、別にイイんやけどな……。おまえの方は―――。いや、まあ、ココで話すことでもないから、また機会を作って話そう」

 

昭聞は、含みを持たせた言い方で会話を打ち切る。

 

(ブンちゃんにも、何か言いたいことがあったんかな?)

 

秀明は、友人の言葉が気になった。

ともあれ、この日の放送部の会合で、秀明・亜莉寿・昭聞の三人のメンバーで、『シネマハウスへようこそ』を放送できるのは、残すところあと九回となることが決定した。

さらに、

 

「今のメンバーでの思い出を残しておきたいな~。今週の収録から、カメラを用意しようか~」

 

との、番組プロデューサーの提案で、レンズ付きフィルム(商品名:写○ンです)を用意して、収録の様子をスナップ写真として記録することも……。

こうして、新学期の一回目となる放送用収録は、予定通り木曜日に行われることになった。

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