東方龍魂伝 ~ Battle of Fantasia 作:龍玉@MUGEN
※禁書注意
受け入れ難い真実
只今俺は、絶賛パニック中である。
………え゛ぇ゛!? つまりはリアルに『幻想入り』に成功しちゃったって事!?
あの東方projectの世界にか!? あの東方projectの世界にか!?(大事な事なので二回言いました)
あぁ俺? 大ファンに決まっているだろオォォォォォォ!!
落ち着くんだ。とりあえず落ち着くんだ俺。
そうだ、こういう時にはナントカ数を数えるんだ。あれ? 何数だっけ? 羊の数?(絶対違う)
「おいおい、いきなり固まって一体どうしたんだ!? そんなに魔法が信じられなかったか!?」
流石の魔理沙も、俺の反応に料理をしている手を一瞬止める。
先程の叫びを声にしてたらどうなってた事やら………
「その反応からすると……外来人か?」
「は…はいぃ……」
魔理沙の質問に、俺の情けない声が答える。
どうやら、俺以外にも外来人はいるらしい。とりあえず安心。
それにしても今の俺の声、情けないにも程があるだろ………
しかし、今の俺の心境は道端でばったり荒木飛呂彦先生に会ったジョジョラーのような状況にある。
つまりはどうしようもない。パニックと緊張でがんじがらめにされてガチガチの状態である。
「「……」」
気まずい無言状態がしばらく続く。憧れの魔理沙を前に何も話せない。
どうする!? どうすれば良いんだ俺!?
「なぁ、思考の渦に捕らわれている所すまんのだが……朝食、出来たぜ」
「ひゅい!?」
「え!?」
「………すみません」
「は、はぁ……」
いやホントごめんなさい。慣れないんです。
どうやら、半ばコミュ障状態に陥っている内に朝食は出来ていたらしく、パンと目玉焼きをのせた皿を魔理沙自らが持ってきてくれた。
おぉ…普通に朝食や……
「あ…ありがとうございます……」
今だよ! 今だよ俺!!
そう自分に言い聞かせてみるが、生憎頭の中は真っ白である。
だああ畜生ォォォォォ! 何か考えろ俺の頭ァァァァァ!!
「何度も聞くようだが、本当に外来人か?」
「ッ!! ……はい…そうです」
「だよなー、んじゃなけりゃあんな所で少女一人でぶっ倒れてる訳無いしな!」
そう言って魔理沙はハハッ、と笑ってみせる。
そうかー俺魔法の森でぶっ倒れてたんだなー、となんとなく思ってみるが
さっきの言葉に、違和感を覚えた。
少女・・・?
自分の向いていた方向にちょうど鏡があった。
そしてその鏡は何かの偶然かこっちを向いていた。
その鏡に映ったのは――
少しボサッっとした緑髪のショートヘアにアホ毛、巫女服らしい物を着た、ベッドの上に居座る――
――紛れも無い、『少女』だった。
「ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!!!!?」
今のは声に出た。絶対出た。
◆◆◆
実は幻想入りじゃなくてTS転生だった件について。
予想外でした。不意を突かれました。
俺が叫んだ時、やはり魔理沙は吹き飛んだ(驚き)。
だが、奇跡的に吹き飛んだのは朝食を置いた後だったので、朝食まで吹っ飛ぶという大惨事は間逃れた。
いや、魔理沙吹き飛ぶ時点で大惨事か。どうしようかな、技名付けようかな(どうでもいい)。
その後、朝食を食い終わり、準備が出来次第博麗神社へ行く事になった。
まあ、準備と言えど、魔理沙が(始めて言うが)ゴミ屋敷のようになっている自宅の中からマイ箒を探し出す為の時間である。おいおい箒と言ったらお前のトレードマークだろ? ちゃんと持っとけよ……
そして俺は今、先程の鏡の前に立っている。
うっ、美しい……ハッ!
……自演乙。
こう言ってはみたものの、美しい…よりはかわいい系統に入るような気がする。ちょっとボーイッシュな気もするが。
そして、どう考えても背が縮んでいる。年齢は十歳程に思える。外見からして魔理沙もだいたい同じくらいだろうか。これでも前世は大学生をやっていた筈なのだが……
「おっ、あったあった。おーい行くぞー」
どうやらやっと見つかったらしい。ハァ…
少女移動中……
ドガァァァァァァン!!!!!!
「あら、久しぶりね魔理沙……っていきなり何やってんのよあんた……」
「すまん霊夢、ちょっと調子に乗っちまっただけなんだぜ……」
何がちょっとだコノヤロウ……
今起こった出来事を簡単に説明するとだな……
初めてのリアル飛行に興奮した俺を見かねた魔理沙までもが興奮しだし、「ダイナミックに着陸してやるぜ!!」と言い出しダイナミック不時着。
そしてこのザマである。
おかげさまで空中飛行にちょっとトラウマを覚えちまったぜ……
「ん? そっちのもう一人の子は誰? あんた誘拐の趣味でもあったの?」
「どうしてそうなった」
「いやあんたならやりかねないと思って……」
「お前はこれまで私にどういう主観を抱いてたんだ!?」
たった今「魔理沙になら誘拐されても構わないYO!」と思ったそこのお前、一旦黙ろうか。
それにしても本当に霊夢なんだな。てか、本当に腋巫女だな……
袖が離れてついている巫女服、こうやって実際に見てみると非常に滑稽に思えてくる。
そんなどうでもいい事を考えていたら、勝手に魔理沙が俺の紹介を始めた。
「霊夢、こいつどうやら外来人らしいんだ」
「外来人ねぇ……外界から連れ去られてくるなんてあなたも苦労人ね」
「まだその設定引きずってたのかよ!?」
この幻想郷にはM-1グランプリでもあるのだろうか。なんちゅうボケとツッコミのコントラスト。
「冗談よ冗談。……道理で博麗大結界にヒビが入ってた訳ね。残念ながら外来人さん、元の世界に帰れるのは大分先になりそうだわ」
「いや……」
「?」
心配してくれたのはありがたかったのですが……
「帰るつもりはありません」
「え?」
「どうしてだぜ!?」
よくある転生系の小説の主人公は大概前世の事を隠している事が多いのだが……
俺は言わせてもらうぜ!!(そのうちバレるフラグを建てたくないから)
「転生…したんです」
「「は?」」
「この幻想郷に入って来たのではなく…転生したのです。前世は……死にました」
「「……」」
転生してから二度目の沈黙。慣れねぇな。
それもその筈だ、いきなり「転生者だ」って言っても直ぐに信じてもらえる訳が……
「なんだそういう事だったの、早く言って欲しかったわ」
……は?
「私の家で叫んだのはそのせいだったのか。なんだ~、スッとしたぜ」
「え?? ちょ……」
「何よ、あんたそれだけの事で驚いているの?」
「ここは幻想郷よ、転生者だって受け入れるわ」
……ああ、そうだったな。
改めて俺は幻想郷に来たのだと思わされたのだった。
「そういえば、お前名前は?」
「あ、」
無邪気に投げ掛けられた魔理沙の質問が、勝手に話を終わらせようとしていた俺の脳内を幻想から現実に引き戻す。
幻想郷も入ってしまえば現実なんだよなぁ。じゃなくて!
そうじゃん! まだ自己紹介してねぇじゃん!!
何勝手に話終わらせようとしてるんだ俺は! ……ってあれ?
思い出せない……?
目を回して座り込む俺を見てさすがに察したのか、魔理沙が俺に問い掛けた。
「もしかして、思い出せないのか……?」
「はい…」
待て、その他の記憶はどうなっている?
思い出せ、思い出すんだ。
脳内リロード中……
「……」
……駄目だ、ほとんど思い出せん。
前世でよくやってた事などは思い出せるのだが、前世の名前、人間関係、具体的な思い出などは無理だった。
どこぞのツンツン頭不幸少年のように、エピソード記憶の部分が完全にすっぽ抜けてしまっている。
「転生の時の衝撃で色々とすっぽ抜けてるんでしょ。名前も思い出せないのだったら……そうね私達で考えましょ!」
いやいやこっちは大変なんです。
パンがなければお菓子を食べれば良いじゃないみたいな事言わないでください。
……しかしこうなった以上やはり名前は考えなくてはならない。
こうしている内にもレイマリコンビは「私妹欲しかったから『魔理子』とかどうだ?」「押し付けがましいわ!!」などと相談(?)を始めている。
マズイこの流れは……
確実にヤバい名前を付けられるッ!!
今の内に名前を付けなければ!
でもコミュ障治ってねェェェェェェェェ!!!!!!
いまだにガチガチなんですけど上目遣いなんですけどォォォォォォォォ!!!!!
しかし無慈悲にもその時は刻一刻と迫って来ている。
何か対処方を……ってあ。
あの言葉があったじゃないか! 誰でもこんな絶望的な状況をぶち壊せる魔法の言葉が!!
もうこれしか無い! やるっきゃねぇ行くぞ!
いいぜおまえら
おまえらがいつまでも俺の事を上目遣いだと思っているのなら
まずはその、ふざけた幻想をぶち殺すッ!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
「俺の名前はッ!!!! 新神 龍虎《あらがみ りゅうこ》だあああァァァァァアアアアアーーーッ!!!!!!」
二人は吹き飛びました