東方龍魂伝 ~ Battle of Fantasia   作:龍玉@MUGEN

4 / 11
欲張ってたら14000文字になってた件。
この話だけやけに長いんで注意。


幻想郷逃避行

 眼前に迫る、圧倒的質量。

 悪あがきで技を繰り出そうにも、既に力は使い果たしてしまっている。

 逃げ出そうと体を起こそうとするが、攻撃の受け過ぎか、それとも恐怖からか、足が地面に縛り付けられたかのように動かない。

 

 

 ――そうか、こいつが“最強”って奴か。この圧倒的としか言い様の無い力の差、理不尽にも程がある。

 そもそも、コイツにケンカを売ったのが間違いだったな。相手の底も知らずにケンカを売るとは、我ながら馬鹿馬鹿しく思えてくる。

 

 

 でも――何だか変な感覚だ。

 一方的にやられて負けるってのに、嫌な感覚が全くしない。

 

 

 満足、したんだな。俺。

 

 

 光が、体を包み込んでゆく。

 不思議と、痛みは無い。むしろ、忘れていた母の胎内のような温もりを感じる。

 ああ、死ぬってこんな感じなんだな。

 

 

 

 

 

 

 そんなどうでもいい事を考えながら、俺は意識を手放した―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今は女子だからっていい気になって他人のスカートめくるとか、キ◯ガイじゃないのコイツ! ふざけないでよ!」

「ヤムチャしやがって……」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 佐天さんって勇者だと思う。

 あ、どうも。龍虎です。

 

 

 え? あの出オチは何だって? いいだろう、説明しよう。

 

 今朝の出来事だ。

 転生した翌日から修行を始めた俺は、毎日魔理沙に弾幕の稽古をつけてもらっていた。

 そして、魔理沙に稽古をつけてもらう内に、“魔理沙は強い”と感じ始めてきたのだった。

 

 しかし、霊夢先生は一度も稽古をつけてくれない。ただ博麗神社の縁側で、俺と魔理沙の稽古を、俺達を見ているのかそれとも向こう側の飛んでいるカラスを見ているのか分からないような視線で見ているのみだった。

 それもその筈だった。何故なら、博麗霊夢という人物は、東方Project原作においても努力するタイプの人間ではなく、無論稽古に興味など毛頭ある筈が無いからだ。

 だが、やはり東方ファンとして気になってしまう。

 博麗霊夢は、実質どれだけ強いのかを。

 本気を引き出させるにあたって、あの種の人間は、「本気で仕合ってくれ」などと言う正攻法では99.9%不可能だ。

 ならばどうしたか。

 

 そう、あのスカートをふわっと……

 

 俺の中の『相手をキレさせる行動ランキング(女子に限る)』でダントツの一位のコイツなら可能だと勘くぐったのだ。

 結果はあのまんまです。察して下さい。

 いまだに体の所々がズキズキする。……自業自得だけどな、うん。

 何にしろ、霊夢のパ○ツもらいました。ウヘヘ。

 ノー○ンじゃなくてよかった。

 

 

 

 閉話休題。

 

 

 

 転生してから一ヶ月。ようやくこの世界の暮らしにも慣れ始めてきた。

 二日目のあの朝が、一ヶ月前だというのにもう懐かしい。

 皆さんもよく分かるだろう。修学旅行の二日目の朝に、「ああ、俺今修学旅行に来ているんだ」と改めて興奮する感覚。それがあの時、修学旅行の約数十倍の威力で襲いかかってきたのだ。まあその時は、前世に何処ぞの先代巫女を真似して鍛えたポーカーフェイスで看破したけどな。あれ、にやけはしたっけ。確か霊夢がドン引きしてたな。

 

 そして俺は今、転生二日目から続けてきた修行の一環、毎朝のランニングをしている。

 ランニングと言っても、箱根駅伝の選手並みのスピードでだ。しかも走っている所は樹海。グレイズの練習を兼ねて……という意味もあるのだが、真実を言うと走るスペースが無いためこのような場所を走っている。

 

 それにしても、転生からだが……自分でも驚きのスピードで身体能力が上がってきている。

 一ヶ月前までは見た目相応の、平均的な一般人の下をゆく程度の身体能力だった。しかし一ヶ月経った今では、瓦割りを手刀で30枚、魔理沙が用意したダンベル持ち上げ150キログラム、100mを9秒9で走ることまで出来るようにまでなった。ギネスも青ざめる伸びっぷりである。

 それでも何故か体型は変わらない。これがキャラ補正って奴なのか? 幻想郷だからあり得そう。うん。

 

 

 と、よく小説にありがちな説明を脳内でしていると

 

 りゅうこ は めのまえ が まっくらになった!

 

「のわっ!?」

 

 顔面からグシャッと、盛大にコケた。

 

 目を覚ますとそこはポ○モンセンタ――

 ――じゃなくてだな! リアルな方で真っ暗になったんだよ!

 あれ? 「まっしろになった」だっけ? うろ覚えなんだけど……まあいいや。

 

 さて、とりあえず起き上がって、意識を現実に戻そう。

 朝に日が昇っている時間帯だというのに真っ暗になるこの現象。俺の前世の知識が正しければ――これは『闇を操る程度の能力』を持つ妖精、“ルーミア”の仕業だ。

 そして確か、ルーミアってのは人喰い妖怪だった気が……。まあ、妖怪全般に言える事だからルーミアに限った事では無いが。

 ウォッチ! 今なんじ? 一大事!

 ………ゴホン。妖怪違いだ。

 

「あなたは食べられる人間?」

 

 暗闇の中から、不気味な少女の声がする。

 食べる気マンマンか……。東方Projectメインキャラの二人以外の初邂逅が、まさか捕食シーンだとはな……。でもまあ、これも貴重な体験(?)だということにしておこうかな。

 かと言って、このまま捕食される訳にもいかない。なんとかこの状況を打開せねば……

 

 ボッ、と。

 俺は試しに、かの超有名RPGゲームドラゴンクエストの火炎呪文『メラ』を唱え、手元に火の玉を出現させる。

 最初は魔理沙の顔面を丸焦げにしてしまったこの呪文も、何回かの修行でコントロールができるようになった。

 そうやって手元に火の玉を出現させたのは良いのだが……周りどころか火の玉すら見えない。やはりこの暗闇は能力によるものであるため、普通の暗闇とはまた別のものになるのだろう。

 

 はぁ、と俺はため息をつき、次の作戦に移る。

 次の作戦とは――気を察知することだ。

 DB原作において初めてこの能力を発現させたのは、孫悟空だ。超神水を飲んだ後に発現させた。

 原作において、孫悟空は舞空術よりも先にこの能力を発現させた。つまり、この能力は舞空術よりもEASYなのだろうと推測される。よって、あれから修行して舞空術もできるようにした俺もできる筈だ。

 ……でもあれ? 確か天津飯は舞空術の方が先だったし……どうなんだろう? わかんねぇ。まあとにかく、いっちょやってみよう。Let's tryあるのみだ。

 この名言を自分に言い聞かせて、俺は精神統一を始める。

 

 

 考えるな、感じろ。

 

 

「そこだぁぁぁぁっ!!」

「あばほっ!?」

 

 ボンッ!! という音と共に、暗闇が晴れる。

 そう、先程作り出したメラをそのまま感知した相手に投げつけたのだ。

 

 それにしても、えげつない断末魔が聞こえたような……

 と、おそるおそるメラが命中した相手を見ると

 

「今回はあっつあつで刺激的な味の人間だったのだ~、わは~」

 

 ……十中八九、口から煙を出して、目をぐるぐる回しながら大の字に倒れるルーミアがそこにいた。

 どうやら空いた口にホールインワンだったらしい。南無。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 手持ちのルーミアがひんしになったからポケ○ンセンター行こう。

 龍虎、そらをとぶ!

 ……行かないけど。

 滅多にいないと思うけど、ポ○モンやったこと無い人にとってはイミフな脳内回想だな、これ。

 

 ……でもってそんな事考えていたら、何故か○ケモンやりたくなってきた。

 ということで、

 

「お兄さん、何でここへ?」

「気分だよ」

 

 ……現在地香霖堂前。

 理由は、ポケモ○がありそうだから。それだけ。

 ……本当の事を言うと、幻想郷(こっち)に来たからには、絶対に来ようと思っていたスポットだったからだ。

 さっさと行きたくてウズウズしていたのだが、何しろ当初のあの貧弱体質では博麗神社周辺から出して貰える訳がなく。結果、出して貰うための修行で1ヶ月かかり、やっとこさ来れました。

 まあ、周辺から出る事は博麗氏に伝えてないけど(真顔)。

 

 あと、先程の件もあり、ルーミアも一緒に連れてきた。

 元々は、気絶させといて放置ってのも申し訳ないと思ったが為に背負ってきたのだが、予想以上に気絶から覚めるのが早く、そして案外なつかれ、こうやって連れ回す事になった。

 そしてコイツ、くどい位俺の事を「お兄さん」と呼びやがる。

 確かに今は女子らしくない簡易な胴着を着てるが、これでもれっきとした乙女(笑)だぞ。「お姉さん」と呼べ。

 オイ、誰だ今(笑)付けた奴。ちょいとツラ貸せや。

 

 

 ……脳内深夜テンションになってる場合じゃない。さっさと入ろう。

 

「んじゃあ、行くぞルーミア」

「……例のアレ?」

「そう、例のアレだ」

 

 初対面だし、店長の森近霖之助ことこーりんに覚えてもらうように秘策も練ってきたしな!

 

「作戦決行だ、開けるぞ……」

「ゴク……」

 

 カチャ……と、なるべくバレない程度にドアノブを回す。

 そして――

 

「お、いらっs」

「「たのもオオオオオオオオオオオオオオオオっっっ!!!!!!」」

 

 バタム!! と、勢いよくドアを開ける。

 驚けこーりん! 俺参上!! ハァーッハッハーーーーーッ!!!!

 

「……」

「……」

 

 ……五秒程沈黙。

 

「……何の御用で」

「「すみませんでした」」

 

 こーりんの一言からコンマ一秒で土下座。

 マジすみませんでした。

 

 

 

◆キングクリムゾン!◆

 

 

 

「こっちは……またサファイアか。クソったれ、何でエメラルドが無いんだ!」

「人肉あるのかー?」

「ないよ」

 

 俺たちがナイススルーされてから約20分、驚く程話はスムーズに進み、現在俺は懐かしのポ○ットモン○ターエメラルドを求め店中を掘り返してる。

 何故かさっきから見つかるのはサファイアのみ。エメラルドどころかルビーも無い。何でだ。

 

「なぁこーりん、さっきからさっきからサファイアしか見つからないんだが」

「ルビーとエメラルドなら、魔理沙が全部持ってったよ」

「アイツ……!」

 

 何でルビーとエメラルドだけなんだよ!! サファイアじゃいけないのかよ!! カ○オーガ強いよ!?

 

「ところで、龍虎」

「リュウでいいぞ」

「じゃあ、リュウくん」

「『くん』は余計だ!」

 

 余計てゆーか違う!!

 

「君は何で……そんなに外の世界の物に関して詳しいんだ?」

「あん?」

 

 あ、そういや自己紹介の時に言わなかったっけ。

 それはだな――

 

「――コイツの出身が外の世界だからよ。あーいたいた。どこをほっつき歩いているのかと思ったけど、やっぱりここね」

「や、ヤベっ!!」

「逃がさないわよ」

 

 ガシィッ!! と、何処からともなく現れた少女の手に、俺の頭が鷲掴みにされる。

 大きく腋が空いた紅白の巫女服を纏った少女―――そう、我らが主人公、博麗霊夢だ。

 ちなみに、許可無しに行動範囲を広げた件に今朝の件やらこれまで起こした件(不特定多数)が相乗して、現在博麗氏はカム着火インフェルノォォォォウ状態にある。

 処刑用BGM入りました。

 

「やあ霊夢、久しぶりじゃないか。一カ月ぶりかな?」

「ホントそれぐらいね霖之助さん、何しろこの一カ月忙しかったから。主にコイツのせいで」

「ちょ待って霊夢サン! いだだだだだ!? 思いっきり頭潰しにかからないで!」

「いや潰す。これで何回目の注告だと思ってるのアナタ? もういい加減にして」

「わかったよ! わかったからこの手を開いて霊夢マmふおぉっ!?」

 

 頭を掴まれたまま床に叩きつけられ、ベキィ!! と、木製の床ごとぶち抜かれる。

 まさにモンスターペアレント(身内にとって)。

 

「黙って握り潰されなさい」

「アレェ!? 視界が真っ赤になったんですけど!! なんかクラクラするんですけど!!」

「霊夢、頭を握り潰すなんて行為はやめにしないか」

「霖之助さん、あんた俺を――」

「店内に血がこびり付くから、もっと別のにしてくれ」

「オッケー、じゃ10万発くらい殴って殺す」

「助けてくれよ! 命より店優先かよ!」

「そりゃあそうだろう、僕ら商売人にとって、店は命の次に大切な物だ」

「俺の命、命として見なされてないのか! クソったれ!!」

「お兄ちゃん、肉は拾ってあげるから安心してー。じゅるり」

「せめて骨を拾ってくれ! 最早家畜同然の扱いか!!」

 

 そんな、死ぬ直前だというのにまるで緊張感ゼロ(主に片方)の会話やら命乞いをしている間に、霊夢の掴む手が頭から首筋へと移った。

 そして掴む手とは逆の手には、少しずつ霊力が籠りつつあった。

 ああ、これアレだ。「俺が裁く!」ってヤツ。マジで再起不能(リタイア)しちゃいそう。生きとし生ける物として。

 

「最後に言い残したい事はある?」

「助けてください」

「なさそうね」

 

 手足は霊術で縛り上げられているため、足掻くとすればビヨンビヨンと跳ねる事しか出来ない。

 もうだめだ、おしまいだorz

 

「もう終わりよ」

 

 霊夢の拳が持ち上がり、急激に霊力を込め始める。擬音とかそういうの無しで、マジでグオオオオオって音が出てる。

 

「もう二度と悪さをするんじゃないよ……」

 

 そしてついに、霊夢の拳が放たれ……

 ……いや、待て。

 この状況! この状態! このセリフ!!

 いけるかもしれない!! うおおおおおおおおお!!!!

 

「……お前もね!!」

「何ッ!?」

 

 一時的におもいっきり力を込め、霊力ホールドを破る!!

 そして喰らえ! 霊☆丸!!

 ボゥンッ!!

 

「ぐぼぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 霊夢氏は、ドアを突き破り、10メートル程転がった後に仰向けで制止した。

 や……やったか!?

 

「……」

 

 ……うんともすんとも言わなくなった。

 そそくさと霊夢氏の下へ近付き、落ちてた木の棒で頬をつついて再確認。

 

「つんつん」

「……」

「つんつん」

「……」

「……」

 

 へんじがない、ただのしかばねになったようだ。

 ……やったぞオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

 

「フハハハハハハハハハハハハハ!! この俺の力量を見余ってたようだな博麗の巫女ォ!! アンタは自分に自身が有りすぎて何も考えて無さすぎなんだよ!! 普段から身の危険に注意しておくべきだったなァ!! そしていつも上から目線で物を言いやがって!! これが抱腹だと思いやがれクソったれ!! ハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 ゲシゲシゲシゲシ!! と俺は日頃の(おん)を精一杯込めて霊夢氏を踏みつけまくる。

 具体的に分かりやすく今の絵面を説明すると、ゴールデンフリーザの必殺技デススパイクのような感じ。わからない人はZENKAIバトルの動画参照。

 ……百発程踏みつけたし、そろそろいいかな。

 そう思った俺は、霊夢氏の鳩尾に置き全体重を思いっきり掛けていた右脚を退ける。

 

「ゼェ…ゼェ……ん?」

 

 そして、ふと見た香霖堂のカウンターに何故か仲良さそうに座っているこーりんとルーミアを見つける。

 ……凄いにこやかだ。

 

「……オニイチャン、ホネワヒロッテアゲルヨ」

「隠喩でも露骨に伝わる死亡宣告を言い渡されたっ!? そして笑顔のまま二人ともベルトコンベアのように平行移動しながら裏方に逃げてくんじゃねええええ!! 俺を見捨てないでくれええええええええ!!!!」

 

 ……本当に、どうしてこうなった。

 まさか、復活の「F」のベジータを想起してしまっただけでこのような事になろうとは。

 霊夢氏が起き上がってきたら、確実に殺される所か陰陽玉ごと太陽まで飛ばされるなコレ。世界政府を敵に回すよりも恐ろしい行為に及んでしまったな。それも、その場のノリだけで。

 

 

「……ところで、場を濁すようで申し訳ないんだが」

「何だ?」

 

 こーりんが、先程の逆再生をするかのように、ススーッと裏方から戻って来た。

 場を濁すようで申し訳ない? とんでもない、どんどん濁してくれ。

 

「出身が外の世界とはどういう事だ?」

「ああ、それか。そのまんまだよ。俺は生まれも育ちも外の世界だ。幻想郷(ここ)に来たのは、ほんの1ヶ月前」

 

 ピクッ、と。拍子に、こーりんの顔が少し険しくなった。

 ……あーこれは、面倒くさい事になる。

 フラグは真っ先に折らねば。

 

「生まれも、育ちも?」

「まあそれも、1ヶ月前までの話だ。前世の俺は死んだから、今思い出せるのは断片的なことだけだ」

「……そうか」

 

 ……危ない危ない、このままでは外の世界に興味津々こーりんの質問攻めに遭う所だった。

 ホント前世の事は断片的にしか思い出せないんで。説明も苦手なんで。ごめんな、そんな残念そうな顔をしないでくれ。

 そんな時だった。

 

 

「出来れば、その断片的な記憶だけでも説明していただけないでしょうか!?」

 

 

 どこからともなく、そんな事がした。

 あー……聞いたことない声だけど、声質と今の一文でだいたいわかるぞ。

 振り向いたその先。木陰からそのシェルエットが見える。

 天狗特有の赤い帽子と、やたらと高い下駄。さらに、人間が持つ筈がない黒い羽。

 

「毎度お馴染み! 清く正しい射命丸文です!」

 

 予想通り、パパラッチだった。

 

「初対面なんだけど」

「あや、これは失礼」

 

 射命丸は適当に話をかえしながら、こちらに歩み寄ってくる。

 ……うわぁ、大きい。こっちの見た目が見た目だから余計なんだろうけど、高校生のお姉さんって感じ。高い下駄を履いているから余計なのだろうが。こっちが完全に見上げる形だ。

 

「聞いたことはあんぞ、確か妖怪の山のパp」

「新聞記者です」

「そうだ、それだ」

 

 どっちかと言ったらパパラッチなような気がするのだが。

 そんな適当な話をしていると、上空から、また人影が1つ見えた。

 逆光でよく見えないが……ん? あれはもしや……

 

「ちょっと待ったぁぁぁぁっ!!」

 

 暴風をあげて急に着陸したその姿を見て、確信した。

 射命丸と似た紫の帽子に、また紫のリボンで結ばれたツインテール、そして片手に握りしめられたガラケー。

 ……姫海棠はたてだ。まさか、ダブルスポイラーに同時に会えるとは。この新神龍虎に、運は味方しているッ!!

 そんな感激をしている俺をよそに、はたては俺達の方に詰め寄ってくる。

 そして、俺を指差して一言。

 

「こいつは私の獲物のハズよ! どういうわけ!?」

「エモノ!? 食われるの俺!?」

 

 記者としてもう少しマシな表現はなかったのか……

 ……んで。

 

「何でキレてんの?」

「……あなたを念写した所をたまたま文に見られて、先を越されたのよ」

「……だそうだぞ、文」

「ネタが見つかればよかろうなのですよ」

 

 お前はどこの柱の男だ。

 念写か……未だに自機組としか会ってなかった俺の存在が知られてしまうのも頷ける。まさに壁に耳あり障子に目ありだな……ん? ちょっと待て、嫌な予感がしてきたぞ……

 

「オイ、念写した日と時間っていつだ」

「時間? ああ、確か昨日の夜8時位……」

「は、はたてっ! それは……」

「あ」

「……」

 

 これはもう確定だな……

 

「キサマァ!! 俺の風呂に入っている写真を撮りやがったなァ!?」

「うぐっ……」

「あ~あ……それ、新聞に載せようとしてた事も言っといた方がいいですかね」

 

 ダニィ!?

 

「あ、文! ああ、これは、その……」

「……言い訳は聞かねぇぞ、もう謝っても許さないからな。特大の霊丸を喰らうがいい!」

「ちょまっ……文、パス!」

「え、ちょ!?」

「えっ!?」

 

 ズァオッ!!

 

「ウボアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 ズシャッ。

 

 ……え? 今何が起きた?

 

「あ……文」

 

 俺がはたてにヌード撮られた所を新聞に載せられそうになった事に対して激昂して霊丸撃って……何故文が?

 あ……こいつ身代わりにしやがったのか。

 リ○ンジポ○ノしようとした上に身代わりとか、クズ過ぎるぞこいつ……!

 

「なぁ、はたて」

「……」

 

 うわ……上の空で無視かよ……ゲスの極みだ………

 ……まあいい、コイツはどうせ文に処刑されるだろう。とばっちりで俺まで処刑されそうだが。

 

 それにしても、霊夢と同じような格好でぶっ飛んだ文は大丈夫だろうか。大方、白目剥いて伸びちまってるだろうが。

 そうふと思い、倒れてる文の方へ歩を進めようとしたが。

 

 

 視界の隅。

 ガサッ、と。

 霊夢の手が、少し、動いた。

 

 

 ビクンッ!! と、自分でもオーバーリアクションだと思える程体がが震え上がった。

 こいつ……起きたのか!?

 もう一回枝でつついて確かめたい所だが、迂闊に近付いて「かかったなアホが!!」的展開になる可能性もあるため止めておく。

 ……さながら、死んだふりをしている承太郎にビビりまくるDIOの図だな、コレ。

 ヤバい、めっちゃ逃げたい。

 

「……あの~」

「ん?」

「取材してm」

「黙れ盗撮犯!!」

「ごっふお!!」

 

 …………あ。

 焦りまくってたせいではたての鳩尾殴ってもうた。

 

「うっ、うおおおぇぇぇぇ……」

 バタッ。

 

 キラキラ出してぶっ倒れた。

 ……。

 他人から見たら、確実に青ざめて見えるだろうな、俺の顔。

 こーりんの居る方へ、カクカクカク、とぎこちなく顔を動かす。

 そこには何故か、合掌しているこーりんとルーミアがいた。

 

「……ご冥福を祈るよ」

「せめて幸運を祈ってくれ!! もう死んでんのか俺!!」

 

 死亡フラグ通り越して死んでた。

 ……まあ、俺は確実に死ぬだろうよ。確実に明日は無い。

 だが、このまま死を待つ訳にもいかないからな。

 

「余命を伸ばすためにも俺は逃げる。じゃあな、こーりんとルーミア」

「君(お兄ちゃん)の事は一生忘れないよ」

「……」

 

 本当に死ぬんだな、俺……

 ……こうしてる内にも霊夢が起き上がってくるかもしれん。

 さあ、リアル逃走中の開始だ。

 

「逃げるだよォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 ……今更だが。

 

 

 

 

 

 ど  う  し  て  こ  う  な  っ  た

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ゼェ、ハァ……」

 

 ――あれから、30分位だろうか。

 俺は全力で走り続けた。

 走り続けた所――

 

「……来ちまった」

 

 和風な木造住宅の連なり。

 踏み固められた土で出来た道に、その真ん中を流れる風情ある川。

 そして、和服を着た人々。

 

「人里だああぁぁ……」

 

 本来なら確実に叫んでいただろうが、30分間フルに走り続けてきてかなり疲弊しているため、気の抜けたような声しか出ない。

 いや、内心はかなり興奮しているのよ?

 何しろ、幻想郷に来たら確実に行きたいスポットNo.1だったからな。

 だってさ、人里っつったら名所だらけの所じゃん? けーねが居るはずの寺子屋とか、あっきゅんの豪邸とか。

 それと――

 

「……んー?」

 

 ちょうどここだよここ。この景色にも見覚えがあるんだがな……何だったか。

 転生した際に色々と記憶が飛んだというのは話したが、実はゲームだとかそういうどうでもいい知識は結構色濃く残っていたりする。

 だが……多少は抜け落ちちまってるみたいだな、虫食いのように。

 ……虫食い?

 

「あ」

 

 虫食いで思い出した。

 確か、虫食い関連の異変が書かれていた回もあった。

 不意に振り向いた。

 その瞬間、俺の中の幻想が現実となった。

 

「……真後ろかよ」

 

 ぼーっとしてて全然気付かなかった……

 俺の丁度真後ろ。あそこが、マンガ「東方鈴奈庵」の舞台。

 

 

 ――「鈴奈庵」。暖簾(のれん)に、そう書かれていた。

 

 

「……マジで来ちまった」

 

 ……今までの自分であればヒャッハー状態になる筈の瞬間なのだが、正直もう疲れた。興奮し過ぎて疲れた。何が起きようと、俺はもう驚かないだろう……

 例えて言えば、キャンプ慣れしていない人の、林間学校最終日の沢登り中の気分だ。

 とはいえ好奇心はピークなので、ちょっとお邪魔する事にする。

 香霖堂に無いものが、ここにはありそうだからな。

 

「ごめんくださいーっと」

 

 暖簾をくぐり、真っ先に鼻を突いたのは、本の匂い。図書館とかで感じる、あの匂い。具体的に説明できないけど、はっきりと匂うアレ。

 ……カビ臭いとも言うのか?(禁句)

 んで、目に入ったのは……

 

「あっ、いらっしゃいませ!」

 

 奥の方からパタパタと走ってくるその人物。

 紅色と薄紅色の市松模様の柄の着物にフリルのエプロン、若草色のスカート、そして何よりも特徴的な鈴の髪留めで結ばれたツインテールの少女――

 ――ロリ小鈴ちゃん。

 

「ふんっ!?」

 

 変な声出た。

 なんだあの生物は! あざとかわいい! あざとすぎるぞ!! ロリロリしい!!

 ……いや、自分と比べたらそうでもないか?

 だいたい今の自分と比べて、一つ下ぐらいだろう。本来登場する時系列よりも遥かに早いから余計に幼く感じるだけか。

 ……いやいや、そうだとしてもあざとかわいすぎる。何かに目覚めそう。だが、それがいい。

 ちなみに容姿の説明はほぼピ○シブ百科事典抜粋(暗記)。

 

「……? どうかしましたか?」

「……えっ!? あ、いや……外からの見た目に反して、意外と店内は広いんだなあと……」

「いやぁ、そうでもないですよ。本棚でスペースは大分削られてますし」

「そっ、そうだな、ハハ……」

 

 ……露骨に変態顔はしてなかったようだな、自分。

 今朝話した通り、こう見えてもポーカーフェイスは得意なのだ。主に某先代巫女のお陰で。

 まあ、一安心……

 

「そういやお前、名前は何て言うんだ? 初対面だし、一応自己紹介し合おうぜ」

 

 とりあえず親好を深めたいので、お互い自己紹介するような流れに持っていく。

 原作キャラだしな、魔理沙とかと同様、親好は深めておきたい。

 別に小鈴ちゃんの事をど忘れしたわけではない。

 

「私ですか? 私は本居小鈴です。この店で、おじいちゃんの手伝いをさせてもらってます!」

 

 フンス! という感じで自己紹介する小鈴ちゃん。\カワイイ!/

 成る程、おじいちゃんな。向こうの方を見ると、カウンターに老人が見える。

 よしよし、ロリコンもとい変態対策は万全だな。

 それと、別にそんなにかしこまらなくてもいいのよ。

 

「俺は新神龍虎だ。見たところ歳も近そうだし、友達になれそうだな」

「友達……となると、ボーイフレンドって事になりますね。そういうの初めてだなあ」

「……俺、一応女な」

「えっ、あ、そ、そうなんですか!? ごめんなさい……」

「いいよ、もう慣れたから……」

 

 安定の勘違い。

 短髪に俺口調、さらに着ている服は薄手の胴着のようなやつだからな、勘違いする方が普通だ。

 ……正直悔しいけど。

 

 

 さて……と、無駄に前置きが長くなった気がするけど、本屋に来たからには本を見ないとな。

 

「初来店でもあるし、少し店内を回らせてもらうよ。そういや、立ち読みっていいのか?」

「かまいませんよ。ただし、大切に扱って下さいね?」

「わかった、ありがとう」

 

 天使の頼みには背けん。

 

「改めて色んなのあるな、そして本棚たけぇ」

 

 未だに前世からの身長差ギャップが抜けてないようだ。特にこういう所だと、余計に痛感する。

 まあ、舞空術使えるから「前までは届いたのに~」て感じの事が起こることは無いだろうが。

 

 それは置いといて、色んなのあるなぁ……

 小説は勿論、薬草等の図鑑、雑誌、新聞等々……ジャンルもかなり幅が広い。

 確か、置いてある本はほぼ外の世界から来た外来本だったか。香霖堂とほぼ同じ類いの店だな。

 妖魔本は……まだ小鈴ちゃんがコレクター精神に目覚める前だから、ないか。

 やたらGHQ関連の事が書いてある雑誌が多いのが気になるけど。

 

「――ん?」

 

 別に何という目的も無くフラフラしていた俺の目に、気になるものが目に入った。

 それは、一番端にある棚から覗かせるように見る、「最新版外来本入荷しました!」と書かれた紙。

 ――最新版ねぇ。そもそも幻想郷とは現代で忘れ去られたものが来れる場所なので、最新版といえども、現代的には忘れ去られるレベルで昔の物となるので、かなりの古本である事が目に見えてわかる。

 ……とはいえ、もしかしたら「俺の欲しい物」がそこにあるかもしれない。一応覗いておくべきか?

 でもこのGHQ関連の雑誌だらけの中だぞ、さすがに無いかな……

 いや、そもそもここ別世界だぞ。前世あった物がそう簡単にあるわけ無いよな……

 

 などと脳内でぐだぐだ考えながら、無駄に高い最奥の本棚の前に来た。

 そして見上げ――固まった。

 それは自分にとって、()()()()()()()()()()()()()()()()()光景だった。

 

 

 

 DRAGON BALL全巻揃ってるじゃねえかァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!(効果音:\デデーン/)

 

 

 

「あっ、ここのコーナーですか? 今外の世界では、こういう『漫画』が流行ってるらしいです」

 

 他にも、北斗の拳、ジョジョの奇妙な冒険(第3部)、幽々白書等々……

 どこからどう見ても黄金期です。本当にありがとうございました……

 

「なあ、お前もコレ読んだのか」

「漫画の事ですか? もちろん、全巻まんべんなく」

 

 一応聞いてみたが、やはりそうだった。

 俺の目的ってこれの事だったんだが、実際あってみると……うれしいんだか、うれしくないんだか。

 

「……『も』というと、龍虎さんも?」

「あっ、ああ、ちょっとした外の世界マニアでさ」

「へぇーっ! そうなんですか! じゃあ龍虎さんはどの漫画が……」

「小鈴ー? 邪魔するわよー?」

「あっ、阿求いらっしゃい!」

「……稗田阿求か」

 

 またまた原作キャラか、本当に今日はついているな。

 話に割り込むように入店してきた人物――稗田阿求、「幻想郷縁起」の著者だ。

 漫画「東方鈴奈庵」で小鈴とは親友並の信頼関係にあったが……この当時からも関係は続いていたのか。

 ちなみに、しっかりとボディーガード×2付きである。流石稗田家。

 

「ん、今日は見かけない客がいるじゃない?」

「ああ、この人は……」

「新神龍虎だ。訳あって、今は博麗神社に住まわせてもらっている」

「え!? 龍虎さんって博麗神社に住んでいたんですか!?」

「あれっ、まだ言ってなかったか」

「そうなんですか。私は九代目稗田家当主、稗田阿求と申します。以後お見知り置きを」

「……別に、そんなにかしこまらなくてもいいよ。フランクに行こうぜ、フランクに」

 

 小鈴ちゃんと同年齢にしか見えないってのに、何だこの圧倒的お嬢様オーラは……少したじろいちまったよ。

 まあ……何度も転生を繰り返してる訳だしな。見た目に似合わない大人びたオーラを持ってても頷ける。

 改めて思ったが、実は俺と最も似たような境遇を持つキャラだったりするのかな……

 まあ、稗田家とただのバカでは、月とすっぽんだが。

 

「えーっと……そうだ、この人漫画の事を知ってたのよ!」

「珍しいわね」

「外の世界の文化について少し詳しいだけだよ。……そういや、阿求さんもやっぱり全部読んだの?」

「もちろんですとも。私の趣味なんて読書(それ)ぐらいだから」

「んじゃあ……DRAGON BALLで最も好きなキャラクターは?」

「私は、ベジータかな。ストイックでライバルキャラクターの鏡のようなキャラクターだったから。小鈴は?」

「私? フリーザかな。『これぞ悪役!』って感じがして良かったな」

「へぇ……」

 

 ちょいドン引き。

 まさか東方キャラとドラゴンボールの話が出来なんてな。なんちゅうカオスな図だよ。あっていいのかこんな事……

 

「そういう龍虎さんは誰が好きなんですか?」

「バーダックだ」

「……バーダック?」

「あっ……そうだ知らねえよな。悟空の実の父だ。実は漫画では語られてないストーリーがたくさんあってな……」

「へぇーっ! 気になります!」

 

 興味津々で目をキラキラさせてる小鈴ちゃん。

 やばい面白くなってきたw

 ……やっぱカオス許す。超許す。

 しかしだな……小鈴ちゃんの横にいるあっきゅんが何か細い目でこっち見てるんだけど。

 これは――何かある予感。

 

「――小鈴、ちょっと二人にさせてもらってもいい?」

「えー? 今いい所なんだけど……」

「大丈夫だ、後でたんまり話してやる」

「……約束ですよ? 向こうの本棚の方で待ってます」

 

 やっぱりだな、何か感づいたか。

 お前の言いたい事はよーくわかってる。だがな、タダで聞いてやるわけにはいかん。

 

「話を聞く前に一ついいか」

「何でしょう」

「俺の性別は?」

「女」

「よろしい」

 

 あっきゅん、お前なら分かってくれると信じてたよ(感涙)。

 

「ただ――」

 

 ん?

 

「――前世は、男でしたよね? そして、外の世界に住んでた」

「――やっぱりバレちまったか」

 

 当然の結果だとは思ってた。

 1000年以上のキャリアを持つあんさんには敵わんよ。

 

「明らかに、見た目の年齢にしては使う言葉が大人ぴていましたし」

「……そうかなぁ? 前世は『見た目の年齢にしては使う言葉が幼すぎる』と言われた覚えが(ボソッ)」

「それに、博麗神社に住んでいるという事は、あなたも霊夢さんらと共に異変解決に乗り出すつもりでしょう?」

「――ずいぶんと察しがいいな」

「服装を見れば一目瞭然ですよ。あなたが鈍いだけです」

「キッパリ言うなよ」

 

 ……否定はできんが。

 

「異変解決に一緒に乗り出すのは、今の俺にとっての目標だな。今の俺じゃひ弱すぎて、とてもじゃないが妖怪共を蹴散らせるとは思えんからよ」

「では……もし異変解決に参加するようになったら、暁に是非取材させてくださいね。あなたの事も『幻想郷縁起』に載せたいので」

「わかった」

 

 異変解決に参加すれば、俺も幻想郷縁起に名前が載るのか……

 正に「歴史に名を刻む」ってやつだな。うおおおおおお!! 燃えてきたああああああああああ!!!!

 

「それに――」

「ん?」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「左……手? それってどういう――」

「龍虎さーん! 呼ばれてますよー?」

 

 左手の理由も聞きたかったが、呼ばれてしまったから話は後な。

 それにしても……俺を呼ぶ奴なんていたか? 一体誰が……

 

「!」(メタルギアっぽく)

 

 暖簾の外に……1、2、3人!!

 やはりあいつらだ……

 

「どうか……しました?」

「いや、何でもない……」

 

 小鈴ちゃん、あっきゅん、お前らと過ごした一時は最高だったぜ……

 

 よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな\(^o^)/

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 鈴奈庵の暖簾の外。

 そこを両サイドから挟むように――奴等は居た。

 

「クズが……もう起きてきたのか」

 

 左側に居るのは、二人の鴉天狗。

 鈴奈庵の壁によりかかり、文はポケットに手を突っ込み、はたては腕を組んでいる。

 右側に居るのは、霊夢。

 こちらも壁によりかかり、お祓い棒で手のひらをパシパシと叩いている。

 しかし両方に言える事が一つ、それは――三人共肌で感じ取れる程の凄まじい殺気を放っている事だ。

 後ろに「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……」と付けても、違和感無いだろう。

 

「どうします? 私は霊夢さんに譲りますよ」

「同感ね」

 

 文とはたてがそう言うと、霊夢は壁から背中を離し、ザッ、とこちらを向いて仁王立ちした。

 日の射す角度の問題か、はたまた完全に状況からなるエフェクトだろうか。霊夢の目元には影がかかっており、殺気が直接心臓を刺すように伝わる。

 ああ……これからこいつにボコされる6ボス達に同情するよ。

 

「大人しくしていれば痛い目に逢わずに済んだものを……流石博麗の巫女だと誉めてやりたいところだ」

「……」

 

 霊夢は仁王立ちしたまま微動だにしない。

 だが、俺には見える。あのお祓い棒を持っていない右手に、凄まじき量の霊力が込められつつあることが……!

 だがな、俺もタダでは死なんぞ!

 こちらも今日1日分のありったけの気力を右手に込めてんだよ!!

 

「さぁ来い! ここがお前の死に場所だァーーーーー!!」

 

 バンッ! と、霊夢が一気にこちらへ駆け出して来た。

 よし、今だ! 大人しくこれを食らって初日とかさっきみたいに寝てろ!!

 特に技名は決めてないが食らええええええええええええ!!

 

「死ねぇーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 ドンッ!!

 

 

 

 パシッ(お祓い棒で軽く弾かれる音)

 

 

 

 へ?

 

「霊符『夢想封印(物理)』!!!!」

 

 ドグォ!!!!

 

「馬ァァァァァァァァ鹿ァァァァァァァァなァァァァァァァァァァァァァァ!!!?」

 

 

 

【悲報】俺氏、星になる。




リベンジポルノは何とか避けれたそうです。


マニアックな元ネタ解説

・「佐天さんって勇者だと思う」
「とある科学の超電磁砲」佐天涙子の事。
よく親友のスカートをめくる。

・キングクリムゾン!
「ジョジョの奇妙な冒険」5部ボスのディアボロのスタンド。
時を「すっ飛ばす」能力を持つ。

・処刑用BGM
テーレッテー

・「俺が裁く!」
「ジョジョの奇妙な冒険」三部花京院戦の承太郎のセリフ。
この後、承太郎のスタープラチナが花京院のハイエロファントグリーンの首を掴んで顔を殴りまくった。

・復活の「F」のベジータ
とあるシーン
ベジータがフリーザを追い詰める→トドメを刺しにかかる「キサマはもう終わりだ」「もう二度と甦ってくるんじゃないぞ……」→「お前もね!!」とフリーザが地球爆破
これを龍虎は想起しました。

・デススパイク
ググれ

・「かかったなアホが!!」
ググれば出る

・死んだふりをしている承太郎にビビりまくるDIOの図
「ジョジョの奇妙な冒険」三部のDIO戦の一部シーン。
承太郎決死の死んだふりに騙されたDIOは脳天ぶち抜かれた。

・キラキラ
モザイク。ゲ○。

・最後辺りの龍虎の一連のセリフ
ブロリーです……


今後もネタ使いまくるけどいちいち説明挟みませんよ。
今回はマニアック過ぎただけ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。