東方龍魂伝 ~ Battle of Fantasia   作:龍玉@MUGEN

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注意:チルノの形をした何か


極限の死闘

「終わりだ」

 

 勝ったッ! 第一章、完ッ!!

 ………叫びたかったけど、これも一種のフラグだから止めておこう。

 

 

 現状を報告すると、たった今チルノをボコしたところだ。

 それにしても色々とあった……(感嘆)

 

 流石の俺も最初にあのヘイルストームを見た時は驚き桃の木山椒の木だったけど、いざ避けようと思ったら案外スルリと抜けれたよ。まあ、日々魔理沙に弾幕でしごかれてた結果かな。修行の成果ってヤツか。

 

 それから、日々の修行で身に付けたお得意の超スピードでチルノの背後に回ってやって、俺の全力の三発を食らわせてやったというわけだ。

 今更だけど、ちょっとやり過ぎた気がする。反省はしないが。

 

 以上、ヒーローインタビューでした(誰も求めてない)。

 

「ちっ……チルノちゃあああああああん!!」

 

 凄まじい形相で瓦礫の山に飛んでゆく大妖精。凄まじすぎて逆に怖いくらいだ。まあ、親友がぶっ飛ばされたわけだから、そうなるよね。

 あれ? 今の俺って悪役ポジション?

 

 

 ………さぁて、終わっちゃったから、この後どうしよう。

 はっきり言って一瞬で終わらせるつもりなんてこれっぽっちも無かったんだけど、さっきやられた分を思い出したら自然に力が入っちゃてね、結果こうなってしまったというわけだ。全国20万人のチルノファンの方々、本当にごめんなさい。てへペロ♪

 

 ………いや、でもよく考えてみろ。

 弾幕ごっこって普通1スペカで終わるわけないし、でもって妖精には再生能力があるから……。

 

 まさか復活してバトル再開!?

 

 いやないないないない! そんなわけない! そもそもあんな打撃、食らってマトモなわけないし! ないない!

 ………ないよね?

 

 

 シーン………

 

 

 ………うん無いな! 安心安心!

 よしそうと決まったならさっさと家に帰り―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし現実は甘くない。

 

「まだだ……まだ終わってないよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見事フラグ回収ゥ!!\(^o^)/

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 フフフ……なかなか面白い事になってきたじゃないか……!

 

 ああ、私だ。霧雨魔理沙だ。

 

 

 いやぁ、ずっと上空で観てるけど、観てて全然飽きないぜ(嘘)。

 リュウがやられた時は一時はどうしようかと思ったものだが、その後の怒涛の三連撃、見事だった。

 前に一度、リュウと本気で試合ってみた事があるが、恐ろしい程のの実力だった。まあ、まだ私には及ばなかったがね。

 そしてしばらくして見てみたら、どういうことか、アイツの動きがブレて見えるじゃないか。また実力を伸ばしたというのか。そろそろ私も危ないな。今度から本気で修行するか。

 

 そしてチルノもかなりやるな。

 正直言ってアイツを舐めてた節もあったのだが、あのヘイルストームを見てからというもの、ちょっと恐ろしく思えてきた。こっちも要注意人物だな。

 

 さて、そのチルノだが、どうやら先程受けた三連撃のダメージをもう回復させたらしい。さしもの大妖精もびっくりしていた。

 そしてリュウだが……アイツちょっと驚いたような顔をしていたが……大丈夫だろう。

 

 

 まあ、ざっと途中経過の感想はこんなモンかな。

 さらなる展開、楽しみにしてるぜ!

 

 

 

 ……………一体私誰に話してたんだ………

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 散々自分をバカにしてきたヤツに、負けるわけにはいかない。

 

 圧倒的戦闘力差に一瞬は諦めかけたチルノを突き動かしたのは、この揺るぎない意思だった。

 

 妖精特有の回復能力で復活したチルノは、勢い良く瓦礫の山を飛び出す。

 そして再び、宿敵の目の前に立った。

 

「まだだ……まだ終わってないよ!」

 

 

 一方の龍虎は、その執念を冷たい目線で見つめていた。

 ……と思いきや、内心ではかなり焦っていた。

 

(ゑゑゑ!? マジで!? 人ってこんなにも鮮やかにフラグを回収するものなのか!?)

 

 しかし顔には、その感情の一端すら感じない。ひたすら小説を読み続け、主人公に自己投影し続けた末端がこれである。

 

 そして―――

 

(だがしかし! こうやって回想をしていても話は進まない!(キリッ)

 

 開き直るのも早い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女シリアス路線変更中………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――さて、どうしたものか)

 

 スイッチを切り替えた龍虎は、再び思考モードに入る(ちなみにここまで表情の変化一切無し)。

 

「………確かお話は無用だったわね。だったらさっさと次を初めましょ」

 

 目の前には完全戦闘モードのチルノ。しかも怒りによってかなり本気。

 先程のように一瞬で叩き潰してやっても良いが、また同じように再生されてしまうだろう。それを繰り返したとしても、先に自分の方が体力切れしてしまうのも目に見える。

 

(いっそこのまま、引き返してしまおうか)

 

 そういう選択肢もあった。

 確かにこのままやっていても負ける確率の方が高い。大人しく退散してしまう方が無難だ。

 だが、

 

(だけど)

 

 それは如何にも、()()()()()()()やり方だ。

 

(俺は)

 

 だったら、

 

(俺は!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 前世(まえ)から変わらない、俺の戦いをする!

 

「来んなら来い! さっきは壊せんかったテメェのそのプライドごとブッ潰してやっからよォ!!」

「フン! 言われなくても!」

 

 これが第三ラウンド―――いや、最終決戦の開始のゴングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっさと決めさせてもらうわ!」

 

 さっさと勝負を決めてしまいたいチルノは、早速攻撃を仕掛ける。

 

「おりゃぁぁぁ!」

 

 チルノは、最初と同じような通常弾幕を放った。

 相変わらず密度の高い弾幕だ。しかし、最初は不意を突けたこの弾幕も、今の龍虎には通用しない。

 

(チッ、やはりバカの一つ覚えか)

 

 龍虎は内心呆れつつも、先程のヘイルストームの時のようにいとも簡単にその弾幕をかわしてゆく。

 

(また後ろから叩きつけてやってもいいけど、それじゃあさっきと変わらないから―――)

 

 分かりきっている結末を辿る訳にはいかない龍虎は、弾幕をかわしつつも、その中で最善の次の手を考え出す。

 

(―――一気に決める!!)

 

 そうと心の中で決めた龍虎は、チルノの頭上へ瞬時に移動。手を銃の形にし、あらかじめ溜め込んでいた霊力を指先に込める。そしてその指先をチルノの頭上に向け、スペルカード宣言を始める。

 

「霊弾―――」

 

 しかし、

 

 

 ビッ!! と、龍虎の頬を何かが掠めた。

 

 

「!?」

 

 龍虎の頬が、少しながら凍る。

 この緊急事態に、龍虎は宣言を中断し、戦闘体制に戻る。

 そして龍虎が見据えた、その何かが放たれた元は―――

 

 

「ひょうし抜けね」

 

 龍虎へ、()()()()()()()()()()()()()()()()()向けられた、チルノの指先だった。

 

 

 いまだにその指先は、龍虎を射止めるように向けられている。

 恐らくそこから放たれたのは、一直線に向かってきた冷気の光線だろう。

 

「なっ……!?」

 

 龍虎は驚いた。

 無論、チルノの指先から放たれたものではなく、チルノの指先の()()()()()()()にだ。

 

(どういうことだ……?)

 

 チルノの冷気光線は、龍虎の頬へわざと掠めるように寸分狂わず放たれたのだ。しかも、最初から読んでたかのように。

 それを、先程そのスピードに着いて来れず、訳もわからず叩き落とされた者がいきなり成せる訳がない。

 

(……もしや)

 

 しかし龍虎はすぐさま感付く。前世から極真空手などで(つちか)ってきた戦いの勘は、転生後の今でも健在だった。

 そして、その戦いの勘から導き出した答えとは―――

 

「テメェ……今になってやたら寒いと思ったが、よく考えたモンだな」

「気付いた?」

 

 

「ああ。テメェのその『冷気を操る程度の能力』、まさか冷気だけじゃなく寒気(さむけ)まで扱えるとはな」

 

 

 そう。チルノは冷気だけではなく、寒気(さむけ)まで操っていたのだ。

 しかし、能力の直接の効果という訳ではない。敢えて冷気を辺り一面に放ち、その冷気を自分が操る事により「攻撃が頭上から来る」と感じ取っていたのだ。

 

(オイオイ、これじゃマジでチートじゃねぇか……)

 

 龍虎は心の中で舌打ちをする。

 何故なら、今現在冷気に包まれたこの湖一帯が、チルノの領域(テリトリー)という事になるからだ。

 ただでさえ少なかった勝利の確率が減り、流石の龍虎も動揺の色が隠せない。

 

「お話はむようだったハズよ。さっさと終わらせたいし、どんどん行くよ!」

(……いろんな意味で、コイツ本当にチルノか?)

 

 龍虎の動揺(違う意味で)をよそに、チルノは彼女へ突撃してゆく。

 突撃して来る間にも、構えた手に冷気が集わせ氷の大剣を作り出す。

 そして間合いに入ったチルノは、龍虎へその作り出した剣を降り下ろす。

 

「そらぁっ!!」

「チィッ!」

 

 チルノの一撃は、その大剣の質量を無視したかのような非常に素早いものだった。

 しかし龍虎はそれを間一髪かわす。

 

「そらそらそらそらそらぁっ!!」

 

 チルノも負けじと、高速で剣の連撃を繰り出す。

 一見がむしゃらに見えるその連撃は、ちゃんと龍虎の急所を狙い澄ました恐ろしい程の速度で繰り出されるれっきとした剣技そのものだった。かなり鍛練をしたのだろう。

 だが龍虎は、まだそれを凌駕する。

 

(冷気を伝って俺の行動はお見通しってか。だが―――)

 

 唯一見つけたチャンスをしっかりと見逃さず、連撃を抜け出し後方へ回り、

 

(まだ俺よりは遅ぇ!!)

 

 再びの、本気の右拳を叩き込む。

 しかし聞こえたのは―――

 

 

 バリィン!! という、無機質な破壊音。

 

 

「は……?」

 

 そしてチルノ()()()()のそれは、殴った右拳、さらに腕にまでまとわりつくように飲み込みだす。

 

「がああッ!!」

 

 バキバキッ!! と音を出しながら右腕を飲み込むそれは、紛れもない、ただの()だった。

 

「ふん」

 

 そして、彼女が見上げた方向には、先程殴った筈のチルノが居た。

 

「アンタ、本当につまらないわね」

 

 理屈は簡単だった。

 何度も言うが、妖精とは自然にあるの物などに宿る生命である。チルノの場合は氷。そう、つまりは新たに氷を生成し、それを新たな命の器として乗り換えたのである。

 

「ぐがッ!! ぎぎぎ……」

 

 元の本体だった氷の塊は、チルノの能力に操られ、まるで龍虎を噛み潰すかのように圧縮しながらどんどん飲み込んでゆく。

 

「スペルカードせんげん!」

 

 身動きを取れなくなった彼女に、チルノは容赦しない。

 

「氷符『アイシクルフォール』ッ!!」

 

 出現した氷弾が、先程のヘイルブリザードに負けない勢いで彼女に殺到する。

 最早万事休す、と思われたが

 

「ふっざけんじゃねぇぞ……………………クソったれがアアアアアアア!!!!」

 

 それを彼女が許す訳がない。

 雄叫びともに彼女は周辺の木々が全て折れかねない程の気の爆発を起こし、向かってきた数弾、そして腕の氷まで吹き飛ばす。

 

「スペルカード宣言!! 連火弾『メラストーム』ゥ!!」

 

 間髪入れず、彼女はスペルカード宣言をする。

 彼女は両手を前に突きだし、相手のチルノのアイシクルフォールに負けず劣らずの火弾の連射を出す。

 

「だあああああああああ!!!!」

「あたいのアイシクルフォールと勝負しようっていうわけ? いいよ、受けてたつわ! おりゃあああああああああ!!!!」

 

 氷の連弾と、炎の連弾の競り合いが始まる。

 

「チルノちゃん……」

「おいおい、すごいなこりゃ……」

 

 力は五分五分。それでも凄まじい勝負に、大妖精、魔理沙も感嘆の声を上げる。

 

「だだだだだだだだだだだだだ!!!!」

「うおりゃあああああああああ!!!!」

 

 互いの弾幕がぶつかり合う中心では、かなりの爆煙が上がっている。

 しかしその互いに見えない状況の中、両者は同時にひときわ大きな弾を作り出した。

 

「「そらぁ!!!!」」

 

 そして激突。巨大な爆発と爆風が広がる。

 しかしそこから起こった爆煙は、中心から発せられた何かしらのエネルギーにより、すぐさま消し飛ぶ。

 そして、その中心に居たのは、チルノと龍虎だった。

 そう。先程爆煙を吹き飛ばした何かしらのエネルギーとは、彼女らが高速で移動してきた時に起こった真空波だったのだ。

 

「うらァッ!!」

 

 龍虎はチルノに向けて、飛んできた時の勢いをそのまま乗せた右拳を突き出す。

 しかし、

 

「ふッ!!」

 

 その右拳はミリ単位でかわされ、カウンターで反対側の脇腹に氷柱を突き刺される。

 氷柱はブシュウという音を立て、鮮血を撒き散らし脇腹に深々と突き刺さる。

 

「が……まだ…まだぁ!!」

「!!」

 

 だが龍虎は手を止めず、チルノの頭を突き出した右手でわしづかみにし、そのまま自身の左膝へ打ち付ける。

 

「あがっ…!」

 

 まだ、攻撃は終わらない。

 彼女は連続でチルノの頭を打ち付けだす。

 

「………っ! ……ぐっ!」

「これでシメーだ!!」

 

 そして十何発程か攻撃を加えた龍虎は、止めをさしに己の眼前でチルノの頭を放し、全力を込めた左拳を打ち出す。

 だが、

 

 打ち抜いたのは、またもやあのバキィン!!という無機質な音。

 

(ッ!! またかッ!!)

 

 先程と全く同じ通り、上空にはチルノが居た。片手にはスペルカードを持っている。

 

「今のはさすがにきいたわよ……でもこれでおしまいね! スペルカードせんげん! 凍符『パーフェクトフリーズ』!!」

 

 カードを掲げたチルノから、大量の弾幕がばら蒔かれる。

 奇跡的に龍虎には当たらなかったが、身動きが取れない程に辺り一面が弾幕に覆われた。

 

「はぁぁぁ!!」

 

 そしてその弾幕は、チルノの能力によって凍てつく。弾幕がその場で静止するというのは、かなり高い技術だ。

 

「おしまいよ!」

 

 そう彼女が言い放った瞬間、凍結された弾幕は解凍される。

 弾幕はランダムに動き出すが、何よりもこの弾幕量だ。龍虎が脱け出そうとしても、必ず詰むだろう。

 しかし、

 

 

 そんな弾幕を前にしても、龍虎は怖じ気付かない。

 

「面白ぇ―――」

 

 むしろ、

 

「―――最っ高に面白ぇぞオマエ!!」

 

 その弾幕は、()()()()()()()()

 

 

「この程度でオレを倒したつもりになってんのか? ぬるい!!」

 

 そう叫び、彼女は今までに無かった赤い闘気を体から吹き出し、チルノに向かい弾幕を無視したかのように突進する。

 彼女の前を阻む弾幕は、闘気に巻き込まれ消し飛んでゆく。

 

「!!」

「よお」

 

 そして、龍虎は瞬時にしてチルノの下へたどり着く。

 

「オイ、忘れ物だ!!」

 

 チルノを少し見下ろす形に着いた龍虎は、彼女へ向けて、いまだに氷が被っている左拳で容赦のない鉄槌を下す。

 確実な勝利を確信していたチルノは、それを回避出来ない。

 

「がっ…ばぁ!?」

 

 チルノの腹部に襲いかかったそれは、自身の氷を砕きながら、彼女を再び湖畔へと叩きつける。

 襲いかかった衝撃は最初のものより大きく、湖畔は木々を巻き込み大きく大破した。

 

「見せてやる、オレの修行の成果……!」

 

 そして、龍虎もチルノと同じく容赦をしない。

 

「気砲」

 

 彼女は両手の手首を合わせ、手を開いたまま腰に当てる。

 

「か―――」

 

 そして、開いた手の中に青白い気が溜まり始める。

 

「め―――」

 

 一方、大破した湖畔ではチルノが起き上がった。

 しかしかなりのダメージを負っており、意識が朦朧とする。

 回復能力も、いまいち捗らない。

 

「は―――」

 

 龍虎の掌中に、さらに気が溜まる。

 チルノは、放たれるであろうその攻撃を避けるべく行動を開始しようとする。

 しかし、体は言うことを聞かない。 

 

「め―――」

 

 負けるわけにはいかない。

 自分をもうバカとは言わせないように……!

 自分が「さいきょう」であることを証明するために……!

 アイツだけには……!

 

「波ァ――――――ッ!!!!」

 

 それでも体は、動かなかった。

 青白い極太の光線が彼女を包み、湖畔は大爆発を起こした。

 

 

 勝負は、新神龍虎の勝利に終わった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ――――――ふう。

 ………あれ? 俺、勝った?

 

「やったな―――っ!! オイ!!」

 

 上空に居た魔理沙が、喜びの表情で猛スピードで向かって来る。

 夢中でやっていたので詳しくは分からないが、魔理沙のこの表情を見る限り、俺は勝ったのだろう。

 

 前世からだが、俺には一旦一つの事に集中してしまうと周りが見えなくなるという困った癖がある。戦闘においてはさらに酷く、戦いがクライマックスに近づくにつれて意識がなくなる。気付いたら相手は目の前でボコボコされてしまっていたという事もしばしばあった。

 今回もそれだった。気が付いたら相手のチルノは満身創痍だったという訳だ。

 

「なぁ! 最後のアレ何だ!?」

 

 え? ああ、アレ?

 

「かめはめ波の事か?」

 

 基本的には俺は先述の通り戦闘中の事は忘れてしまうが、多少なら覚えている。うろ覚え程度ではあるが。

 そして、少し思い出せたのがそれ。「気砲『かめはめ波』」である。

 今までの厳しい修行で身に付けた、今の自分の中での最高にして最強の技だ。無論、形はそのまんまドラゴンボールをモデルにした。

 パクり? 知らないね。かめはめ波は全人類のロマンなんだよ。

 

「そうそうそれ! アレもしかしたら私のマスタースパークと同じくらい強いんじゃないのか!?」

 

 魔理沙は興奮気味に話す。

 魔理沙。俺が勝って嬉しいっていうその気持ちは分かるけどさ? 下でマジで絶望的な表情をしている大妖精の気持ちも考えてあげてよね? なぁ?

 まぁ少しは話に乗ってやりましょうかね……

 

「いや、俺のかめはめ波の方が強いな!」

「はぁ…そろそろ私も勝てるか分からないな。修行しないと!」

「………無視ですか」

 

 調子に乗って見栄張った俺が恥ずかしいじゃねぇかオイ……

 

 

 ………と、一人で脳内Fly awayしちゃってる魔理沙は置いといてだな。

 

 勝負が付いたところで一度チルノに挨拶をしに行こう。

 別に敗者に情けを掛けるというわけではないが、よくある武道や総合格闘技の試合の後のように、正々堂々勝負した間柄だ。握手の一つは交わす必要はある。ごもっとも、某王子のようにプライドの高いアイツがそう簡単に受け入れるとは思わんが。

 

 どっちにしろ、こりゃあ明らかなライバルフラグだな。

 今倒したチルノは勿論、魔理沙まで俺の勝負を見て「修行しないと」と言っている。

 待て。2本!? 初めて建てるライバルフラグが2本!? なかなかこの展開は無いぞ!?

 忙しくなる程度じゃ済まんなこりゃ………

 

「さて……」

 

 だんだん自分の脳内もFly awayしてきてしまったので、俺はいい加減行動に移ろうと、かめはめ波で起こった爆心地に向かい出す。

 氷柱が刺さったままの脇腹に痛みが走る。だが、たかが痛む程度だ。

 

 

 

 ―――俺には戦闘中の記憶がほぼ無い。しかし、これだけは言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 楽しい勝負だったぜ、チルノ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リュウ―――ッ!!」

 

 

 後ろから、魔理沙の声がする。

 

 

 胸元辺りに、激しい、焼けるような痛みを感じる。

 

 

 発生源を見ると、一本、胸元から飛び出る青白い光線。

 

 

 背景が歪む。

 

 

 意識は薄れる。

 

 

 歪む光景に不自然に湖の水面が近づいてきたところで、俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

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