東方龍魂伝 ~ Battle of Fantasia 作:龍玉@MUGEN
黒歴史……
アタイは、勝たなきゃいけないんだ。
さいきょーじゃなきゃいけないんだ。
アタイは、みんなより強くて、バカなんだ。
だから、勝たなきゃいけないんだ。
アタイは、負けたことが無かった。
相手が、アタイより年上の妖精でも、湖の主の大きな魚でも、ムカデのような形をした妖怪でも。
アタイは、負けなかった。
そんなアタイを、バカでもみんなはリーダーみたいに慕ってくれた。
楽しかった。
でも一年前、アタイは白黒の魔法使いに負けた。
初めて負けた。
そして、みんなは口々に言った。
「チルノちゃんって、さいきょーじゃないんじゃない?」って。
悲しかった。
だから、負けちゃいけないんだ。
勝たなきゃいけないんだ。
こんなところで。
こんなところで。
こんなところで!
だから。
だから。
だから―――――
『どんな手を使ってでも勝ちたい……でしょう?』
◆◆◆
新神龍虎が、湖面へ頭から自由落下していく。
大妖精は、その光景を大破した湖畔から驚愕した表情で見上げる。
そして、霧雨魔理沙は、龍虎を背面から胸を撃ち抜いた犯人を、激しい怒りを感じらせる表情で睨み付けた。
「テメっ――」
が、
そこにいたのは、チルノではなかった。
「――!?」
何を感じ取ったのか、魔理沙は思わず飛び退く――いや、逃げた。軽く10メートルは退いた。
そう、そこにいたのはチルノではなく、チルノの容姿をした
『……新神龍虎の死亡を確認』
姿形はそれでも、断言出来る。
アイツは断じてチルノではない。別の、この世に居てはいけない何かだ。
魔理沙の思考が、奴が何者かを疑問に思うよりも先に、そう警告を鳴らした。
(コイツは……コイツはこのまま居させてはマズイ!)
「お前なんかにコレは使いたくないんだがな……」
魔理沙は、ミニ八卦炉に極限にまで魔力を溜め込み始める。
彼女自身、このミニ八卦炉に魔力を込め始めた訳がわからない。ただただ、脳が、心が、体が、コイツはこの世から排除せねばならないと、最大限に警告音を鳴らしていた。
「恋符『マスタースパーク』ッッッ!!!!」
そして、絶叫と共に、最大まで溜め込んだ魔力を放った。
太い光線状に放たれたそれは、凄まじい勢いのまま、『チルノの姿をした何か』を飲み込む。
「うああああアアアアアアアアアア!!!!」
もう何も考えられない。
魔理沙はマスタースパークから間髪入れず、ただがむしゃらに弾幕を奴にぶつけ始めた。
がむしゃらながらも、鍛え上げられたテクニックが伝わってくる素晴らしい程の弾幕だった。
弾幕は命中した。不気味な程に、
『……普通の魔法使い、霧雨魔理沙』
撃ち終わったと思った刹那、あり得ない場所から声がした。
『死ね』
そう。魔理沙、
ドンッ!! と、砲弾が放たれたかのような音。
「がぁっ……」
魔理沙の背中から、大気が歪む程の衝撃波が飛び出る。
発生源は、添えるように魔理沙の胸元に当てられた、“チルノの形をした奴”の手。
魔理沙は、撃ち出た衝撃波を追いかけるように、空を切るスピードで吹き飛ばされる。
そして彼女は、森の中に斜めの角度で撃ち落とされた。
バコォォン!! という、地雷が爆発したかのような音が鳴る。
「……かっ………あ……………」
隕石が落ちたかのようなクレーターの中心に、彼女は倒れていた。
辛うじて意識はあるものの、息ができない。
実は彼女、守護魔法をあの瞬間、咄嗟に唱えていたのだ。
(念のために……って、覚えておいた甲斐があった………)
しかし、身体へのダメージは甚大なものであった。
体の所々の骨が折れ、意識は脳震盪で朦朧としている。
満身創痍、という表現がふさわしい位の重症だった。
だが、そんな状態の彼女にも、“奴”は容赦しない。
「ひっ……」
倒れた魔理沙の横に、虚空から現れるが如く、“奴”はテレポートをしてきた。
“奴”は無表情ながらも、憎悪と殺意が隠った視線で魔理沙を見つめながら、無造作に右手を挙げる。
挙げられた右手に冷気が集まり、巨大な爪を形取った氷塊となった。
「あっ、あああああっ………!!」
逃げようにも体が動かない魔理沙にとって、それは死神の鎌に見えた。
形容しきれない程の恐怖が、彼女を襲う。
死ぬ。間違いなく死ぬ。絶対死ぬ。
悪魔の爪が彼女に向けられる。
『…………殺……す!!』
爆発するように、“奴”の殺気が増大した。
死に贈る悪魔の爪が、魔理沙の胸に降り下ろされ
―――なかった。
「オイ」
思わず目を閉じていた魔理沙は、予想だにしていなかった展開に、自身の生死を確かめるように目を徐々に開く。
自分は生きていた。
しかし、そんな事がどうでもよくなるモノが、目の前に居た。
「……いつ、オレとオマエの戦いには決着が着いた?」
目の前に居たのは、死んだ筈の新神龍虎。
その彼女が、悪魔の爪を左手で掴んでいる光景だった。
「……まさか、オレが死んで終わったとでも思ってたんじゃあねぇだろうなァ!!!!」
バキィィィン!! と。
龍虎が叫んだ瞬間、悪魔の爪が砕け散った。
爪が砕け散ると同時に、奴の目がギロリと龍虎の方へ向けられる。
あまりにも緊迫した状況に、倒れ込んだままの魔理沙の目には、背景の砕け散る氷の様子がスローに見えた。
『新神……龍虎ッッッ!!!!』
そして、奴の憎悪が遂に溢れ出す。
奴の表情が、元はチルノの物とは思えない程グシャグシャに歪む。
しかし、それを見た龍虎は、まるで玩具コーナーを見つけた子供のように無邪気で、それでも正気から来るのモノとは思い難い笑みを浮かべた。
「ナンだ? 威勢が良いじゃねぇか」
だが、奴は龍虎の表情も、その言葉も完全に無視し、龍虎の左手を思い切り振りはらった。
そして、消えた。
否、奴は龍虎の背後へ移動した。
前兆も、物音も無く奴の動きに、龍虎は一切の反応もできない。
唯一、その出来事を直に見ていた魔理沙の背筋に、悪寒が走る。
瞬間移動した奴の次の行動は、衝撃波による攻撃だ―――と、本能的に感じ取っていたのだ。
「しまっ……! リュウ!!」
変化があったとはいえ、胸に穴が空いたままの満身創痍な状態の龍虎が、あの衝撃波をマトモに受け止められる訳がない。
魔理沙は血反吐を吐きそうになりながら、龍虎に警告を伝えようとする。
だが、もう遅かった。
奴の両手は、既に龍虎の背に突き付けられていた。
「死……………ねェェェェェェェェェェェェアアアアア!!!!!!」
魔理沙の努力も虚しく、必殺の一撃は、今放たれようとしていた。
しかし。
魔理沙は、龍虎に警告を伝えようと努力した事を、後に後悔することになる。
ズァオッ!! という破裂音。
「!?」
そして、破裂音と同時に、奴が顔から一直線に湖へ吹き飛ぶ。
湖まで100m以上あった距離を一秒足らずで突っ切り、奴は湖の中央の小島へ激突。湖全体を覆う程の巨大な湖飛沫が上がった。
「………………………………な……!?」
この間、僅か一秒。
正に、空前絶後。
ただその後、常人では理解出来ない全てを、
「……たかが少し強くなった程度で調子に乗ってんじゃねぇぞ、クソったれ」
◆◆◆
大ちゃんからしれっと回復魔法的なものを受けている、ペンネーム白黒魔法使いさんからの投稿です。
「……一体、何が起きた?」
「すまんが魔理沙、正直こっちが聞きたい」
結構本気で。
死んだと思ったら復活してものすごーくパワーアップしていたの巻。
え? 何を言っているかわからないって?
要するにテラ若本って事だよ。
「もう一度聞くぜ、――何が起こった?」
「いやだから知らねぇって」
話は一回でちゃんと聞き取れぇぇぇっ!! 的な事を、高校のザビエルはげ教師から教わった覚えがある。
……でも、そりゃそうなるよな、死亡確定オワタだと思われた人物が復活するという有り得ない事象を目の当たりにした訳だし。
だがな、それはオレも同じなんだよ。
誰かこの気持ち分かってくれた人、タイムラインで共有してくれ。
「気がついたら復活してた、それだけだ」
「「…………本当か?」」
「……なんだ、その疑いの目は……」
「お前みたいなヘラヘラした奴がマトモに答えるとは思えないからな」
「同意です」
「オレってそんなにヘラヘラしたキャラだったか!? というか、さっき合ったばかりの奴に言われたくねぇ!!」
「見てくれからしてそうだったので」
「どうやら、オマエも
「リュウ、こういう大変な時にふざけないでくれ」
「ふざけてるの明らかにそっちだろ!! 自由か!!」
驚き過ぎて、気が動転してんのかコイツら?
だとしてもボケ過ぎだろ。
こっちはどこぞの万事屋のメガネじゃねぇんだよ。
「まあ、それはさておき」
「置くな! まずはそっちのテンションが問題だ!!」
「―――何だ? その姿」
「だからわかんねぇって何度言えばわk ―――は?」
「その姿」という単語一つで、自分のノリがギャグから一気にシリアスに変わった。
これがシリアルというヤツか。
いや、そもそもシリアスなんて無かったんや。
…………じゃなくて。
「姿が、何だって?」
「全体的に紅くなったぜ?」
「日焼け止めクリーム塗って来たがな」
「私の見解は、やっぱり間違っていなかったようですね」
「……」
前世に何があったかは知らんが、反射的にギャグが飛び出る仕様になっていたでござる。
もうこのキャラでいいよ……
「リュウ、真面目に聞け」
「へい(´・ω・`)」
「変化に関して、全く自覚が無いのか?」
「全く身に覚えがございません」
尋問みたいになってきた。
悔しいけど、仕方ねぇよなぁ。
変な株価上げちまったし……
「本当か?」
「本当です」
「その左手もか?」
「全く身に覚えがございm ―――はい?」
……『姿』に続き、また新しい単語か。
『左手』? 左手なんかに一体何が……
と、左手を目の前まで持ち上げてみた所、
手から腕半ばまで、ビッシリと紅いウロコが。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!?」
「……本気で知らなかったんだな」
顔面蒼白で左手をブンブン振り回すオレに、魔理沙が冷静にツッコむ。
おちけつ、おちけつ、自分の腕だぞ。
「龍虎さんって、地獄先生だったんですか?」
「確かに左手だけど! 明らかに何か違うし!」
違います。関西のジャ○ーズが実写版やってたアレじゃないです。
「じゃアレか。邪眼の力をどうのこうのってヤツ」
「邪王炎殺……いや出ないから!!」
コイツら、どこぞの霊界探偵に一回ブン殴ってもらった方がいいんじゃないだろうか。
……全然話が進まない。いい加減シリアスにやらせてくれ。
もー俺キレちゃいました、プッツンします。
「テメーらァァァァァァァ!! いい加減にしろォォォォォォォ!!」
ボンッ!! バシュウウ!!
「door!?」
オレを中心に、ヘリコプターが飛び立つ時のような爆風が起こる。
魔理沙が某伝説の超野菜人の親父みたいに吹っ飛んだ。
そして、オレから周りに噴き出る紅い気。
「―――え?」
脳が賢者モードへ移行。バカが賢者になったとて何も変わらんが。
「ほらな、絶対何か覚醒してるって」
数十メートル先で、上に大ちゃんが積まれた魔理沙が言う。
やっぱ中二病的なアレなのか。そうなのか。
「ホレ、結構体のあちこちが変わってるから見てみな」
魔理沙は大ちゃんをどけて帰ってきた後、オレへ手鏡を放り投げてきた。
魔理沙の傷は大分癒えたようで、本人はスタスタと歩いてきた。
それにしても大ちゃん、あんな便利キャラだったのか。携帯必須だな。
そして、
「―――この手鏡は何処から?」
もし最初からこれを持っていたとあれば、一連の出来事で粉々に砕け散っていたであろう手鏡が、何故キレイに現存している訳?
「ああこれ? そこのわかさぎが持ってたぜ」
「わかさぎ?」
と、魔理沙が親指で指した先に、下半身魚の人魚姫、わかさぎ姫が目を回して倒れていた。
……大方、オレが奴をぶっ飛ばした衝撃で飛んできたのだろう。髪の毛の手入れの時とかに。
意外な犠牲者がいたな。……ゴメンナサイ。
「それじゃ、ちょっとお借りします……っと」
まずは髪。
紅い。とにかく紅い。気が狂うレベルで紅い。眉や目も同様。わかりやすく紅色にしてみましたってか。
そして、
カッケェです。
そして胸は……ん?
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「懐かしいネタですね……」
起き上がってきた大ちゃんにツッコまれた。
いやいやいや!? 皆さんこれを平然とスルーしてたの!? 普通なら殉職してるレベルで風穴空いてるよ!? 凍ってるけど!!
「……これ余裕で心臓貫いてますよね?」
「うん、多分。お前に心臓あるかどうかは知らんが」
覚醒どころか人間辞めてた。
本当にありがとうございましたorz
……けどな。
落ち込んでる場合じゃないんだよな。
「………な……あ!?」
「あ、やっと気付いた?」
魔理沙があんぐりして見る先。
水飛沫が晴れた湖の上。
そう、“チルノの形をした奴”だ。
結構な力量でぶっ飛ばしたが、感触的に致命傷には至らない事は分かってた。
しかし、予想以上にケロっとした感じで復活していたので、ちょっと焦った。
さっさとシリアス方面で進めて欲しかった理由はそれである。
まあ、落ち着いた顔をしてたんで、攻撃はしてこないと分かっていたが。
……と、しばらく思考に至ってると、横の魔理沙と大ちゃんがガタブル震えていた。
結構なトラウマでも作られたのか。じゃあ仕方ないか。
まあ……オレがボコすが。
そういや、人間辞めてからフルパワー出した事ないな。
「魔理沙、大妖精、遠くまで一旦離れてろ」
「リュ、リュウ?」
「いいから離れろクソったれ」
「お、おう」
………んじゃあ、いっちょ出してみっか!!
「………はああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「!!?」
今までより、一層多く紅い気が噴き出る。
辺りに、スパークが走り始める。
おお、まだまだ出る!
「はああああああああああああ…………かああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」
そしてMAXパワー。
周囲を閃光が包む。
「―――――ふぅ」
その後、閃光が晴れ、オレ参上。
オレの体の周りには溢れんばかりの紅い気が噴き出し、たびたびバチバチと音が鳴る。
どうだね? これが本気のわたしだ……
「……すごい」
思わず大ちゃんが声を漏らす。
ゴテンクスばりに鼻を尖らせたい所だが、相変わらず上の奴は無表情なんで止めとく。
「……じゃあ、行ってくる」
逝ってくるじゃないからね。フラグじゃないからね。
「行ってくるって、お前一人か!? だったら私も……」
「あ? いい、オレ一人で十分だ」
「い、いや、でも、奴まだまだ力を秘めてるぞ!?」
「ナニを言ってる? 目には目を、歯には歯を、―――
「……」
何気に中二病臭い事を言ってみる。
しかし、ここまで来ると逆に響きがいい。
格好イイよ、格好イイよオレ。
そして魔理沙が、最後の問い掛けをする。
「本気に……勝てるのか?」
あぁ? 愚問だな。
こういう時は、このセリフで決まりだ。
「―――倒せるさ」
何気にこれって第三者が死ぬ特種な死亡フラグだったりwwwwwwwwww
今回もネタが過ぎたんで、マニアック過ぎてわからない人のための元ネタ紹介
・要するにテラ若本ってことだよ
セルの事。自爆した後、ピッコロの細胞によって復活し、サイヤ人の細胞によって超パワーアップを果たした。
・どこぞの万事屋のメガネじゃねぇんだよ
銀魂のメガネ。ツッコミ担当。
・地獄先生だったんですか?
地獄先生ぬ~べ~の事。左手が鬼の手になっている。
・邪眼の力がどうのこうのってヤツ
幽☆遊☆白書の飛影。右腕に黒龍が宿っている。
・どこぞの霊界探偵
幽☆遊☆白書の浦飯幽助。不良。
・「もー俺キレちゃいました、プッツンします」
幽☆遊☆白書。仙水戦、浦飯幽助のセリフ。
・「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
太陽にほえろ! 松田優作演じるジーパンの殉職シーンのセリフ。
・「倒せるさ」
ドラゴンボール。セル戦、超サイヤ人2悟飯のセリフ。
この後、舐めプしたことにより、悟空が死ぬハメになる。
……白書ネタ多すぎ。
今後ネタは自重しよう……