イセスマアニメの構成で作っているので、そのうち2話その2も書くつもりです。
空を眺める。どこの世界でも空は同じく青いんだ、と今更のように思う。
神様の手違いで死んでしまった僕は違う世界で新しい人生を送ることになった。そこは魔法や魔物が存在するファンタジーな世界。
これから僕がどうなってしまうのか正直不安だ。でも大丈夫、僕には神様がくれた”これ“があるから。
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この世界で生きるため冒険者となった俺はエルゼ・リンゼと王都への手紙配送の依頼を受けることになった。
しかし道中、群衆の人集りが邪魔で進めない。どうやら数人の男と変わった出立ちの少女が口論になっているようだ。
「侍だ」
「ん、何だそれは?」
隣の青年によると彼の故郷にも昔、目の前の少女と似た格好の人間がいたらしい。そういえばヒィズル国にも似たようなのがいたっけ。
「姉ちゃん、俺らの仲間を可愛がってくれたそうじゃねぇか」
「あぁ、この前警備兵に突き出した奴らの仲間でござるか。あれはお主たちが悪い」
「やかましい、やっちまえ!」
喧騒はさらに激化し荒事になりつつある。とはいえこの前のようにトラブルに足を突っ込んで痛い目を見るのは御免だ。喧嘩は放っておいて先を急ごう。
『駄目だ』
されどまたしても“悪魔”は道を遮った。
「またかよ……」
今回が初めではない。トラブルを避けようとする時に限って“こいつ“は俺の中に現れる。もううんざりだ。
『マルセルに、アニに、ベルトルトに、そしてお前が殺した者全員に、報いるために進み続けるんだ』
「うる…さい」
『死んでも、死んだ後も』
「頼む……静かに…」
『これはお前が───』
「あぁ分かったよ!進めばいいんだろ!どうせ後戻りは出来ないんだ。途中にどんな地獄が待っていようと俺は進み続けてやるよ!」
我慢の限界だ。半ばヤケになって喧騒の中に飛び込む。エルゼ、リンゼだけでなく隣の青年までも驚き呆れている。
しかし先陣を切ったのはいいものの男4人は流石に分が悪い。前回と同様、呆気なく倒れされてそのまま殴られ蹴られることとなった。
「ら、ライナーさん!?」
「ああもう、やっかいごとに首を突っ込んで!」
エルゼが助力に入り男たちを蹴散らしていく。どうやら魔物をはじめとした人外の脅威に晒されるこの世界の人間は元の世界よりも肉体が丈夫に出来てるようで、特にエルゼのような前衛で戦う冒険者は俺と比べ物にならないほど強かった。いや、この世界で俺が弱すぎるだけといえばそうなのだが。
「警備兵こっちです!こっちで人が襲われてます!」
遠くで声が聞こえる。この声はさっきの青年だろうか。どちらにせよ周りの男たちは焦ってその場から退いた。
「今のうちに早くこっちへ!」
戻ってきた青年の方へ俺たちは撤退する。といっても俺はもうこれ以上動けないのでエルゼに抱えられる形となってではあるが。
「ご助勢かたじけなく。拙者、九重八重と申す。八重が名前で、九重が家名でござる」
「僕は望月冬夜。冬夜が名前で望月が家名ね」
「ライナー・ブラウンだ」
無事八重という少女を救出することが出来た。しかし失った代償はあまりに大きく、
「何であんたはそんなに平然としているのよ!早く血を止めないと死んじゃうわよ!」
傷口から至る所に流れ出した血によって俺の身体は真っ赤に染まっていた。その後ここにいる全員で止血して何とか事なきことを得たのだが。
話を戻すと、八重は修行で王都へ向かう途中だったが、路銀を落としてしまい路頭に迷っていたようだ。相当空腹らしく八重がお腹を鳴らす。
「……飯を奢ってもらえないだろうか?」
羞恥で顔を赤らめながら彼女は俺の方を向く。何で俺の方を見るんだ。サシャみたいな顔はやめろ。気づくと他の奴らまで俺を見ている。いやお前らまで見るなよ。
「……勘弁してくれよ」
結局全員俺の奢りとなった。
幸いというか不幸というか近くに店が立っていたのでそこへ向かうことにした。マ◯ドナ◯ドとかいう珍しい店だ。
「いらっし───」
店員の声が止まる。この声、何処かで聞いたような。
そしてそれは確信に変わった。
「よお、ライナー」
「……エレン」
___最悪の日はいつも唐突に!
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沈黙がその場を支配する。最初に声を出したのは冬夜だった。
「え〜と…お二人は知り合いですか?」
「あぁ…古い友人だ。お互い積もる話が多くてな。何から話せばいいか分からないんだ」
「………ありえない」
目の前の現実が理解できない。これは幻覚ではない、本物だ。一体何故…
「座れよライナー、飯を食いに来たんだろ」
「横にいるあんたたちも」
テーブル席に座る冬夜たちとは別に、俺は料理するエレンと向かい合う形でカウンター席に座ることになった。
「どうやって……何しに…ここに来た?」
「お前と同じだよ」
淡々と食材を捌きながらエレンは言った。
「………な………な…」
酷い目眩で顔を両手で押さえる。顔は青ざめ影が曇り、絶望で塗り固められる。エレンは顔をすぐそこまで近づけている。
「『何で?』ってか? 分からないか?」
「お前と同じだよ。『仕方なかった』ってやつだ」
疑問は確信に変わる。つまりエレンも死んで異世界転生したということなのか。だとしても何で同じ世界に、しかも何で今日鉢合わせてしまうんだ。
「ほら、冷めないうちに食べろよ」
完成したハンバーガーを差し出す。このマ◯ドナ◯ドという店は元々別世界の有名チェーン店だったが、転生者によってこの世界にも進出したらしい。
「………うまい」
「そうか、その言葉は料理人にとって励みになる」
そう言ってエレンは口元を緩めるが目は死人のように全く笑っていない。本当に不気味だ。今すぐにでも逃げ出したい。
「ライナー…お前、冒険者やってるんだろ? 毎日大変だろ? こんなものしか作れないが我慢してくれ」
「違う!!」
その言葉を引き金に俺はその場から崩れ落ちた。慰めに耐えられなくなった。目に涙を浮かべてその言葉を否定する。
「違うんだ、エレン……! 俺はなりたくてなったわけじゃなくて…この世界に連れてこられて仕方なくやってるだけだ!! 俺はもう英雄なんかじゃない…!!」
「それでもお前は立ち止まらなかった。だろ…ライナー? さっきの喧嘩だってお前が動かなければそこの女の子が酷い目に遭っていたかもしれない。負けることが分かっていても尚、お前は逃げなかったんだ」
「………」
こいつあの時から俺を見ていたのか。
「立てよライナー。もう…わかったから」
「…エレン」
差し伸ばされたエレンの手を掴み、立ち上がる。
「やっぱりお前は…俺と同じだ。“俺たち”は進み続ける。死んでも、死んだ後も。俺たちがやってきたこと、その行いが報われるまで」
あぁ、そうだな。俺もお前もどうしようもない半端者だ。地獄に自分の足を踏み入れ、その結果多くの代償を払った。後悔してもしきれない。だから俺たちに立ち止まる道は許されない。
「あんたたちも、こいつ真面目で溜め込みやすいタイプだから迷惑かけるだろうけど支えてやってくれよな」
「えぇ、分かったわ…」
〜〜〜〜〜
最後にお釣りと一緒に硬く握手をして俺たちは店から出た。どうやらエレンはお釣りを渡すとき手を握ってくるタイプらしい。
「ライナー、またな」
「…あぁ」
当分この店には行かないことにしよう。
「ライナーさんとあの人って本当に友人なんですよね…」
「そうだ」
(じゃあ何でライナーさんはあんなに怯えてたんでしょうか……)
心の声が聞こえて来るぞ、リンゼ。詳しいことは話せないから友人で話を通すしかない。
目的地が同じ八重、そしてブラブラ旅をしていたという冬夜も同行して俺たちは王都へと向かうことにした。
借りた馬車の上で暫しの休息をとる。
「あれ、この先何か匂わない?」
エルゼの呟きに周りが反応した。
「鉄の匂い?」
「いや、これは血の“臭い”だ」
この臭いをよく知っている。戦場の臭いだ。近くで何かが起こっている。
「行ってみよう」
冬夜の言葉に全員が賛成し、俺たちは先を急いだ。
テストが終わったらもうちょい高い頻度で更新するからよ……
余談ですがアニメの「どうして俺を死なせてくれないんだ」のシーンかっこよかったですね。(次回予告ですぐやられてましたが)