姉妹艦隊 『シャルンホルスト』と『グナイゼナウ』 作:シャルとグナ
Red・October様の作品、特に「鎮守府が召喚されました。これより部隊を
展開します。」には多大な影響を受けております。
また今回の主人公、二人は拙作「宇宙戦艦ヤマト前史」に登場する重巡乗りです。
興味のある方は https://yamato2199.exblog.jp/m1900-01-01/へアクセスしてみて下さい。
水平線に明かりが差してきた。 <もうすぐ当直(ワッチ)も終わりだ。>
フレイアは自分の半ズボンのポケットを探りクシャクシャになったタバコを
取出した。
<ああ、仕事をやり終えた後のタバコはウメエや!>フレイアはヘビースモー
カーだ、
放っておくとたちまち一箱をからにしてしまう。
<あなた、まだ仕事は終わっていないでしょ! 気を抜かない!>フレイアの
頭の中に姉フローラ・ライニッケの小言が炸裂する。
<でもよう、ここは地上だ、タバコの煙位直ぐに拡散する、誰の迷惑にもなら
ないじゃん。>と姉に概念伝達をしたときフレイアより五歳位年下の少女が
フレイアの前に仁王立ちして睨んでいた。
「私の艦内は禁煙です! 何度言えば判るのですか! 馬鹿なんですか!」
誰だって自分の身体の中にゴミを散らかされたら怒る、例へそれがタバコの
灰程度でも、だ。
フレイアに突っかかったのは艦娘『グナイゼナウ』、ナチス・ドイツが建造した初めての本格的戦艦『シャルンホルスト』級の二番艦だ。
一番艦は当然、『シャルンホルスト』、今『グナイゼナウ』の前を先行し
全速で駆けている。
艦長は艦娘『シャルンホルスト』だが総指揮はフレイアの姉、フローラ
・ライニッケ大佐が執っていた。
フローラが愛用のカール・ツァイスの双眼鏡で周囲を監視しているがもちろん
他の乗員も思い思いの双眼鏡を手に水上監視を行っている。
水平線の彼方が微かに明滅する、ミリシアルか、ムーが『グレード・
アトラスター』と砲火を交えているのだ、<私の『シャルンホルスト』で
なら一瞬で辿り着けるのに…。>フローラは益体も無い愚痴を垂れている
自分が恥ずかしかった。
この度の先進11ヵ国会議は今までの会議と違い参加国の1国が世界全体
に対し服従を要求する事が判明しており、そのプレゼンスの一環として各国
代表を護衛している各国の艦隊の殲滅を計画している事を主催国の神聖
ミリシアル帝国は掴んでおり、各国に艦隊警護の厳重化を通告していた。
本来ならば会議を中止すべきであったがミリシアルは全ての面で列強世界
一を誇っており、まして会議がミリシアルのカルトアルパスという言わば
お膝元で開かれる関係もあり、「会議を止めます。」とは帝国の面子に
掛けて言う事は出来なかった。
通告を受けた各国も「参加を見送る。」と言えば国際社会での地位を失
わないまでも地位の低下は避けられず、特に国際社会で「舐められる。」
事の恐ろしさをパーパルディア皇国との戦争で思い知らされたロデニウス
連合王国も参加の見送りを選択出来ない立場にあった。
泊地提督は護衛艦艇の選択に迷っていた。 本来なら大和級戦艦で護衛
すれば良いと考えられたが、問題の国はグラ・バルカス帝国、保有する戦
艦『グレード・アトラスター』は大和級戦艦と同等どころか細部まで類似
していると言う事が判り、実際に大和級戦艦をぶつけると相打ちに成り兼
ねないとの分析がなされ全く別のアプローチが求められた。
<ウーン、速力が三十ノット越えなのは必翆だな、砲力は・・・。大和以上の
艦はいない、五十口径四十cm砲は威力としては問題ないが射程距離が
少し劣る。・・・。>
ヴィットリオ・ヴェネト級は三十八cm砲だが五十口径、射程距離は四万
四千六百四十mと大和(グレードアトラスター)を上回るものがあったが
砲はOTOメララ社の物なので心配ないが別の部分に問題山済みであった。
これでは『グレード・アトラスター』にぶつける事は不安で出来なかった。
<せめてイギリス艦いやドイツ艦の堅実さが欲しい、でも今 戦力になるのは・・・。>
泊地提督は窓の外の湾に停泊している小艦隊に目を遣った。 英国艦は速
度が遅いので論外だ、英国巡洋戦艦では射程、防御力共に劣る、しかし
ドイツ艦隊は・・・。
最初のうちこそ諦め顔でドイツ艦隊を見ていた提督だったが、『シャルン
ホルスト』と『グナイゼナウ』の二隻を見つめながら呟いた。
「『姉妹艦隊』か・・・。」泊地提督はこの二隻には切っても切れない縁が
ある事を知っていた。
第一次大戦時 ドイツ東洋艦隊にこの二隻が装甲巡洋艦姉妹として属して
いた。
司令官のグラーフ・フォン・シュペー提督の指揮下、開戦と同時に日本海
軍と事を構える愚を避けてまだ参戦していなかった米国の支配する米大陸
に沿って南下したが南米チリ・コロネル沖で英艦隊に捕まり交戦、作戦
勝ちで英・クラドック艦隊を全滅させる事に成功した。復讐に燃える英
国はホーン岬を回って大西洋に入ったシュペー艦隊をフォークランド付
近の海域で捕捉、今度は巡洋戦艦インビンシブル級二隻に挟まれ、主砲、
速力共に劣るシュペー艦隊は海底に送り込まれたのだ。
泊地提督は幹部達にこの話をして『シャルンホルスト』、『グナイゼナウ』
の「姉妹艦隊」の起用を説いた。
「結局、負けたんでしょう、この二隻。」反対論の肝はここだった。
「二回目はな、だけど一戦目は完勝だ、二回目を戦わなければいいんだ
よ!」泊地提督はそう言って作戦計画の細部を詰めていった。
ハーメルンでの投稿初めてです。
誤字脱字・歴史記述の誤り等の指摘宜しくお願いします。
戦艦の中で人気はあるのに中々前に出てこない『シャルンホルスト』と
『グナイゼナウ』。
今大戦では共に戦ったのはチャンネル・ダッシュまでですが
第一次大戦の時もコンビを組んでいた深い縁のある二隻です。
どうせ活躍させるなら大物が良いと『グレードアトラスター』に
ブツケテみました。 さてさてどうなる事やら…お楽しみに!