姉妹艦隊 『シャルンホルスト』と『グナイゼナウ』   作:シャルとグナ

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 いよいよ『グレードアトラスター』と相まみえんと張り切る姉妹艦隊。
でもそんな想いとは裏腹な列強各国の間にある序列の問題で姉妹艦隊の出撃は
最後になってしまいます。
黙っていたら遅れをとる、姉妹艦隊はもう一組の姉妹艦隊に出撃を命じます。

ぴょんすけうさぎ様
『グレードアトラkuスター』→『グレードアトラスター』の訂正有難う御座いました。
つい自分が読み易い様脳内補完してしまいました。 以後気御付けます。

ラクスタルは軟派か? どうでしょ、戦艦の中は男所帯、女に疎い者が大半です。
その中の数少ない妻帯者ラクスタル、やっぱり軟派なのかもしれません。


4, 遅れた出撃

「確かにあの女の言うとおり、こちらは情報をつかめましたね。」副長

がガッツ・ポーズをした。

「あの情報を鵜呑みにするのか? あれが本当だったとしたらロデニウ

ス王国連合はフォーク海峡で行われる海戦に参加する気はない。 

46cm砲に28cm砲で立ち向かうなど正気の沙汰とは思えない。 

あの2隻は姿が美しいので式典参加が主目的の御飾(おかざり)さ。」

ラクスタルはフローラから感じた武人としての格の違いを振り払う様に

強がった。

 

そのころ『シャルンホルスト』に戻ったフローラは艦娘達とフレイアを

会議室に呼び集め、最後の作戦会議を行っていた。

グラ・バスカル帝国戦艦『グレード・アトラスター』は旧大日本帝国海

軍戦艦『大和』級に酷似している、そこから備砲は45口径46cm砲

だと思われていた。

しかし実際にそれを確かめた者は誰も居なかった。

だが、今回フローラが聞き出した『グレード・アトラスター』の全長と

全幅の数字は旧大和の数字と一致し特に全幅から46cm砲装備は疑いの

ないものとなった。

「最悪の想定が当たったか、アッチャー!! どうすべ?」フレイアが

お道化て重い空気を払拭しようとした。

「最悪も何も私達はそのための準備と訓練を積んで来た。 後は実行す

るだけよ。」フローラが自信に溢れた顔を海図から上げ皆の顔をみた。

フレイアはのほほんとした何時もの顔だが艦娘『シャルンホルスト』

・『グナイゼナウ』の両名の顔はさすがに蒼かった。

「挟み撃ちはしないのですね。」艦娘『シャルンホルスト』が

確認した。

通常、戦力の少ない側は敵が単艦なら敵艦の戦力分散を図るため挟み

撃ちにして接近、敵艦のバイタル・パートを打ち抜ける距離まで接近

するのが常法だ。

「ええ、やはりこの『シャルンホルスト』級の最大の強みを生かさない

と勝てないわ。」

フローラが自信ありげに言った。

『シャルンホルスト』級の強みとは何か、それは射程距離の長さである。

もともと通商破壊艦(ポケット戦艦)の活動援護が建造目的だったので

その主砲は射程距離四万mを誇った。 

しかしそれでは四万二千mの射程距離を持つ『グレードアトラスター』

には届かない、だがこの砲は設計時、仰角四五度で発砲すれば四万二千

六百mの射程距離を出せる設計だった事を忘れてはならない。

 

タウイタウイ泊地の工作艦達が頑張ってくれて二艦とも主砲仰角四五度

を実現、僅かなアドバンテージではあったがこれで対『グレードアトラ

スター』戦の基礎が固まった。

「しかし、幅六百mの回廊か…。戦艦にとっちゃきつくね?」フレイアが

艦娘達をからかった。

「大丈夫です、フローラ司令が間違いなく導きます。!」艦娘『シャル

ンホルスト』が言い切った。

「でもよう、艦隊運動を仕切るのは俺なんだけどな」フレイアが意地悪

く言うと「え」と言って艦娘二人は固まった。

「もちろん二人には躁艦をお願いするわ。」フローラが助け船をだした。

「大丈夫、大丈夫、安全な回廊の幅は六百mもあるんだ。 目を瞑って

いても通れるよな、お二人さん。」フレイアがまたチャチャを入れる。

さすがにやり過ぎだと感じたフローラはフレイアの頭を作戦計画書を

丸めたものでスパーンとフレイアの頭をヒットした。

その時二人の艦娘は「弾着~っ、今」と叫び意趣返しをした。

「フレイア、あなた艦娘なしでこんな旧式艦操れるの? 彼女達がいるか

らこそ作戦が成立するのよ、判ってる!」

「判ったよ、でも姉さんも同じ穴のムジナだぜ。クックックッ。」フレ

イアが腹を抱えて笑うのを?と言う気持ちで見ていたフローラは艦娘二

人が沈黙して下を向いているのを見て「しまった!」と思った。

「旧式艦・・・。って」二人の艦娘は思いっきりいじけた。

 

『グレード・アトラスター』の航海艦橋で艦長ラクスタルは時計を見た。

先進11ヵ国会議が始まる時間だ、そろそろ外務省の使者が全世界に対

する降伏勧告を行うはずだ。

ラクスタルは艦内電話を取ると機関室を呼び出した。

「機関長、まもなく全速で湾を離れる事になる、蒸気は充分上がってい

るか?」

「もちろんでさ、湾内で全速を出せと言われても出せますぜ。」機関長の

返事は何時間も前からこの事態を想定し缶を少しずつ」温め続けていた

事を示していた。

双眼鏡で岸壁を見ていた見張りの士官が「自動車がラッタル脇に停止し

ました。 あっ、間違いありません。 外務省のアイドルです。」若い

士官は冗談のつもりだったろうが、本人が聞いたら列火のの如く怒って

いただろうとラクスタルは思った。<アイドルって、外務省のシエリアは

二十代後半だ、アイドルとしていはささかとうが立ちすぎている。 

まあ、戦艦は慢性的な女日照り、特に美女は貴重品だということか。>

シエリアがラッタルを登り切り艦内に入ったのを確かめるとカルトアル

パス湾の港湾管理事務所に出港の許可を求めた。

シエリアの挑発を何も聞いていなかった管理事務所は何の疑いも無く

『グレード・アトラスター』の出港を認めた。

出港許可の返礼として汽笛を鳴らしながら災厄の悪魔はカルトアルパスを

後にした。

 

シエリアに遅れる事十分、日本の外務省職員の井上が『シャルンホル

スト』に緊急事態を告げる一報を齎した。

まあグラ・バルカス帝国の全世界降伏宣言はここに至る前にキャッチ、

ラクスタル達との私的な会談の時点で明白になっていたから慌てる話

では無かったのだが二人は一応礼儀として驚いてみせた。

だから『シャルンホルスト』、『グナイゼナウ』はどちらも主機関の

蒸気を上げ、何時でも出港出来る準備を整えていた。

しかし、第一文明圏、第二文明圏、の艦隊の出港が優先され中々順番が

回って来ない。じれたフレイアは湾外に投錨させていたポケット戦艦艦

隊『ドイッチェランド』『アドミラル・シェーア』『アドミラル・グラ

ーフ・シュペー』に先行して追跡し位置情報を送る様に指示したが、

まかり間違っても戦闘はしない様にきっちり釘は刺した。

この三隻は『シャルンホルスト』級と同じ二十八cm砲を持っているが

砲の長さ(口径)が少し短く、射程距離で劣る、他、甲板装甲もシャル

ンホルスト』級の半分以下のため『グレード・アトラスター』との砲戦

は危険で任せられないと考えられた。

では一体ポケット戦艦三隻の役目は一体何だろうか? それは物語が

進み『グレード・アトラスター』との海戦が行われた時に判るだろう。

速力も二十七ノットと『シャルンホルスト』級に及ばないものの、他国

の帆船戦列艦よりは圧倒的にはやく『グレード・アトラスター』と同等

であったため早期警戒の任務には適任だった。

 

湾外から『グレード・アトラスター』を追って猟犬の様に走り去る

三隻のポケット戦艦を見つめフレイアは焦りの表情を隠せなかったが

フローラは泰然自若とし水平線の彼方に闘志を飛ばしていた。

そのころ『グレード・アトラスター』は一度カルトアルパス湾を離れ

適当な所で針路を百八十度変えフォーク海峡で先進11ヵ国会議の参加

国・艦隊を迎え撃つべく邁進していた。

「艦長、幾つか戦列艦の艦隊と擦れ違いましたが、あれ、ほっといて

良かったんですか?」副長がラクスタルに聞いた。

本国の命令では「出来るだけ多くの艦船を沈め、艦隊を沈めろ!」と

あったからである。

「本艦は巨大だが、弾を無限に持っている訳ではない。本艦の敵は、

神聖ミリシアル帝国・艦隊、ムー共和国・艦隊、そしてロデニウス連合

王国・艦隊だけだ。 他の木造戦列艦隊などどうでも良い、敵にすらな

らん、当然誉にもな。」ラクスタルの潔癖さはグラ・バスカル帝国監

察軍の中でも際立っていた。

しかしその本心はロデニウス連合王国の護衛戦艦隊二隻に対する警戒心

だった。

カタログ性能は『グレード・アトラスター』の方が圧倒的に勝っている

と思われる、しかし出会った敵の女司令は「血の匂い」をプンプンさせ

ていた。

今まであった軍人の中で一番死臭も強かった。

それに『グレード・アトラスター』に対する”怖れ”など微塵も感じて

いない態度だった。

神聖ミリシアル帝国・艦隊は先程アルカイド提督が叩いた第零式魔導艦

隊の残存艦だ、多分大きくて巡洋艦止まりだろう、ムー共和国の戦艦は

速度も遅く備砲も小さい旧式艦だ。

しかし、ロデニウス連合王国の戦艦隊は技術的には『グレード・アト

ラスター』と同レベル、砲の口径が小さい以外はどんな仕掛けを隠し

持っているか、判らない。

「一番警戒すべき敵だな…。」ラクスタルは独り言を言った。

「そうですね。幾ら叩いたとは言っても神聖ミリシアルは世界一です。

気を引き締めて掛かりましょう。」副長はラクスタルの思いには気付なかった。

 

 

 




 登場兵器・艦艇のスペックはほぼ現実に即しています。

戦艦『グレードアトラスター』は『大和』と同列。

戦艦『シャルンホルスト』級は砲の仰角を四十度から四十五度へ変更。

ポケット戦艦は変更なし。
 

実在する(した)が応用使用した兵器

艦載・粘着榴弾(HESH)本来は戦車戦用の榴弾

S式榴弾 「下瀬火薬」を充填した榴弾

伊集院信管 S式榴弾起爆用の超鋭敏信管

超重量弾 米国が多用した貫徹力の強い徹甲弾の一種
     『グレードアトラスター』用

さてはてこれらを使って華麗なる海戦絵巻を描ければ幸いと思っています。


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