王都襲撃される数分前‥‥‥
クローバー王国外にて、岩に腰を下ろした男が背後に立つ存在に向けて言いはなった。
「なぁ~? オカシイよなぁ!? 何でこの俺様が追い出されなきゃなんねぇんだよ、なぁ俺様は王族以上の魔力をもってんだぞ‥‥!?」
「‥‥‥‥」
左目に目の意匠が付いた黒い布帯状の眼帯で左目を隠している男の不満・憎悪・悪意が籠もった言葉だった。
しかし、彼の言葉に背後にいる者は一切言葉を出そうとはしなかった。
「この世界は魔力が全てだろぉが‥‥‥なぁ!?」
男の話し掛けに一切返答しないのも無理はない。
何故なら、彼が話し掛けていたのは、ただの死体だったからだ‥‥
「フザケやがって‥クソがぁ!!!」
「‥誰に向かって喋っている‥‥」
しかし、この場には先程から喚き散らす男と死体しかいない。
にも関わらず第三者が話しに加わり、独り言をしている男に尋ねていた。
しかし、その問いにすら、独り言をしていた男は八つ当り気味に問うてきた姿無き声に反応する。
「俺の力、教えてやるぜ‥‥‥! 魔法騎士団」
男が立ち上がると、彼の背後には無数の動く死体の軍団がいた。
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そして、アルト達が王都襲撃の報告を受けた時。
王都では、先程の男が死体を操り、王都の五ヶ所で家や人々を襲っていた。
「ハハハハハハハハハ。壊せ壊せ壊せ壊せぇぇ!!!」
狂ったロボットの如き発言を繰り返す男の言葉に反応し、破壊を続ける動く死体の軍団。
それに恐怖し、逃げ惑う一般人と、死体に攻撃を行なう防衛を行なう複数の魔導士達。
しかし、死体に魔力弾で致命傷を与えようと、所詮は死体。
苦痛など受けるはずもなく、体に穴を開けられようと、気にせずに魔導士達に襲っていく。
その様に恐れる魔導士達。
奮闘しようとする魔導士もいたが、死体を操る男の魔力に結局は怯えて死亡した。
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魔導士の一人から報告を受けたアルト達に緊張が襲った。
「王都が襲撃されているだと‥‥!?」
驚きを隠せない中、「金色の夜明け」団の団員であるシレンは冷静に魔導書を開きある魔法を行使した。
___岩石創成魔法"世界を語る模型岩"___
彼は王都の様子魔法で再現した。
魔力は勿論、逃げ惑う人々の悲鳴や、爆発音なども忠実に再現されており、科学的未来の場所ではリアルタイム映像と言って良いほどのクオリティである。
「‥これは‥王貴界の立体模型!? ‥現地の人間の声や魔力量まで‥! 魔をこの地域一帯に張り巡らせ、同時にそれを可視化させているのか‥!」
「私の"魔花の道標"よりも遥かに高レベルですわ‥‥!」
その再現力にクラウスとミモザは驚いていた。
「‥‥これ程の魔力量の軍勢が我々に気付かれず、5ヶ所同時に‥‥」
「どうやら相当な空間魔法の使い手によって一瞬の内に現れたようだな‥」
フエゴレオン達が"世界を語る模型岩"を見ながら作戦を立てていた。
しかしその最中、痺れを切らしたかのように騒ぐ者がいた。
「いや、コレ何待ち!? 助けを求めてる奴らがいるのは充分わかった!! 俺はもう行く!!!」
部屋から飛び出し、街の人々を守る為に掛けて行くアスタ。
「何処に行くつもりだアスタ‥! まだ状況を把握しきれていないし‥それにお前は魔力感知が全く出来んのだろう!?」
そんなアスタを止めるために、話し掛けるクラウス。
「音のデカい方に行く!!」
「なっ!? 動物かオマエは────!!」
クラウスは獣染みた行動理由を告げたアスタにツッコミを入れた。
「フハハハハハ!! 面白いォォイ!! 貴様の力、見せてもらおう!! 待たんか、我がライバル!!」
レオポルドは感化されたかの如く、アスタを追いかけていった。
そんなアスタとレオポルドの行動を見抜きもせずに、何かを感じ取っていたアルトはシレンに近づいた。
「すみませんが、この部分まで広げられますか?」
「‥‥やってみよう」
シレンは言葉が少なめで了承し、更に"世界を語る模型岩"の効果範囲を広めた。
そんな事を頼んだアルトが気になってミモザが話し掛けた。
「どうかされたのですか、アルトさん?」
「よく見ろ」
アルトが"世界を語る模型岩"を見るようにミモザに告げると、王都に猛烈な速度で迫ってくる王都を襲撃している魔力以上の所持者。
しかも、それは一種の城を崩さんとする槍の如き速度だった。
「これは‥‥何者かが向かっているのか!?」
その情報を知ったクラウスは声を荒げながら驚愕していた。
新たにやってくる敵に対しての対処を考えようとした時だった。
「団長、俺が行きます」
アルトがフエゴレオンにそう言い付けた。
その言葉に先程、一方的にアルトに馬鹿にされる程の惨めさを起こされていたネブラ達だったが、その前に了承したのはフエゴレオンだった。
「‥‥わかった。行ってこいアルト!」
「了解」
フエゴレオンからの了承を得たアルトはやってきてくる敵に向けて、"神速の歩み"と飛行魔法で神速で飛行していった。
その余りの速さに、その速さを見た事がない者達は絶句していた。
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「ワハハハッ!! 悪行のクローバー王国よ! 今こそ我が直々に裁きを下してやるぞ!!」
クローバー王国の平界の上空から大声を上げて笑い、王都へと侵攻してくる謎の襲撃者。
謎の襲撃者は左手に剣を盾に収納して、金色の三つの眼を飾ったエンブレムを付けた白いフード付きのマントを羽織った者は前方から、やってくる強烈な魔力を感知すると、左手の盾を自身の頭を覆い隠すように持っていった。
すると、丁度、王都の入り口当たりにて、前方から突然と現れたアルトが右手に大きな"螺旋丸"を作り出し、その襲撃者の持つ盾にぶつけた。
数秒間の拮抗が彼等に起きるも、アルトの魔法が消失すると同時に反動が二人を襲い、互いに距離を取らされた。
「ワハハハッ!!! 我に挑んでくるとは、中々面白い悪党ではないか!」
「悪党だと?」
二人は空中に箒や魔法による生物に乗る事で飛行するではなく、己自身を飛行させながら睨み合っていた。
その中で、己に挑んできた事がとても良く思ったのか襲撃者はアルトを悪党呼びした。
悪党呼びされた事に苛立ちを少し覚えた。
何故、アルトが攻撃しなければ王都を襲撃しようとしていた者に悪党呼びされる事に理解が出来なかったのだろう。
「よく聞くが良い悪党よ! 我はゴルメル・フォリア! 奇跡の戦士なり!」
「(奇跡だと‥)なぜ俺が悪党呼ばわりされる?」
アルトは自身が悪党呼びされる理由を尋ねた。
それを襲撃者___ゴルメルが高らかに告げた。
「当然だ! 悪行の塊たるクローバー王国を護る者など悪党に相違ない!! 死して罪を償えっ!!!」
そう告げると、ゴルメルが盾に収納された剣を右手で抜剣し、アルトに襲い掛かる。
アルトも魔導書から"聖剣エクスカリバー"を抜き取ると、互いに剣を何度もぶつけ合った。
激しい剣撃の音が上空から鳴り響く。
剣閃の中、アルトが剣技に更なる魔法を加えてゴルメルに傷を与えた。
__混沌魔法"月牙天衝"__
ゴルメルの剣と衝突した際に、左手も剣の柄に携えて新たな魔法を行使した。
刀身に込まれた魔力を吸収して巨大な斬撃をゴルメルに放った。
すると、ゴルメルの右肩から斜めに斬撃が当たり、深い傷を負ってアルトから遠く距離を置かされた。
吹き飛ばされるも、体勢を立て直したゴルメルだが、体に巨大な傷跡が残っており、その損傷は余りにも大きく、大量の傷を負っていた。
しかし、その傷を受けたゴルメルの表情は苦痛に染まったものではなく、満面の笑みを浮かべていた。
痛みに苦しむのではなく、痛みに喜ぶかの様な不気味な態度を行なうゴルメル。
そんな彼の態度に不気味さを感じながらも、アルトは警戒を解くことはなかった。
「よく我を傷つけた悪者よ!」
「なに?」
「我は‥‥‥‥
──────もっと強くっ!!!」
そう告げると、先程負った切り傷が光と共に発光し、見る見ると治る処か、更に強くなって変化した。
「なにっ!?」
「奇跡回復魔法"奇跡の英雄"。さぁ、もっと我を強くしろっ!!」
ゴルメルがそういうと、アルトに襲い掛かっていく。
アルトは"聖剣エクスカリバー"に宿る剣士達の記憶と鍛えた肉体で回避や受け流したりとゴルメルの攻撃を無効化していたが、少しずつ後方に下げられて王都へと近づきつつあった。
「クッ!? デタラメな魔法だなっ!?」
「その程度であるか!!」
強烈な上段からの一撃に剣で受け止めるも、その膂力に負けて上空から地へと叩き付けられた。
「ガハッ!?」
思いっきり大地に叩き付けられた為に、血を吐いた。
アルトが落とされた場所は陥没が出来ていた。
「コレまでであるか?」
ゴルメルは猛スピードで剣を突き刺す様な体勢になり、アルトに突撃してきた。
しかし、ただでやられるアルトではなかった。
__混沌鎖魔法"無限縛鎖"__
歪んだ空間から現れた無数の鎖がゴルメルを縛り上げた。
それによって出来た時間でアルトは直ぐさま立ち上がり、別の魔法でゴルメルを襲う。
__混沌水魔法"爆水衝波"+混沌土魔法"地割れ"__
ゴルメルに大量の水で呑み込ませてその場で制止させ、大地に一筋の大きな地割れを引き起こした。
アルトは鎖で縛り上げ、水に覆われたゴルメルをその中へと引き入れ、裂かれた大地を閉じた。
「窒息で押し潰されたらどうだ」
人間ならば大地に押し潰されただけで即死。
または即死レベルの重傷だ。
しかし、それでは先程のゴルメルの魔法で更に強化されてしまうと考えたアルトは体への欠損・負傷以外の方法を加えて大地に押し潰す事にした。
ゴルメルの膂力と魔法効果を考えての方法だった。
しかし‥‥‥
ドゴォォォォォオオオオオオン!!!!!
「なにっ!?」
割れた大地によって叩き潰し、窒息させたにも関わらず大地を割ってゴルメルが現れた。
あまりの規格外の行いに驚いたアルト。
「その程度では、我は止められぬわ!!」
意気揚々と告げるゴルメル。
そんなゴルメルに先程の"月牙天衝"を刀身に纏わせた状態で斬りつけ合う。
戦火に燃える王都に甲高い剣撃が鳴り響く。
「コレならどうだ!」
__混沌火魔法"
巨大な黄色に輝く光の八芒星の魔法陣から巨大な青白い龍が現れゴルメルに巻き付き、燃やしていた。
ゴルメルはその火力に悲鳴を上げる。
「グォォオオッ!!」
全身を火傷の状態になり、致死となり死に行く‥‥‥‥‥‥はずだった。
その火傷が治り始めるまでは‥‥‥
「まさか‥‥火傷も通用しないのかっ!?」
「フハハハハッ! 更に我は強くなる!!!」
火傷していたゴルメルの姿が変化した。
体中に黒い線が無数に走り、更なる強化が施されていた。
「チッ!」
アルトはゴルメルに近づき、すれ違い様に無数の剣撃を行ない体中に傷跡を残したが、薄皮一枚程度の傷しか与えられなかった。
「その程度か。悪党よ!」
ゴルメルがアルトの背後から剣を振り下ろす。
アルトは"月牙天衝"を剣にぶつける事で爆発を起こし距離を取った。
しかし、その方法は悪手だった。
その理由はゴルメルの剣に"月牙天衝"によって出来た刃毀れが生じていた。
「悪手であるぞ悪党よ。"希望剣"に刃毀れができたぞ!」
ドバァッ!!
「ガッ!?」
腹部が裂けて血を流し、吐血した。
アルトはすぐさま回復魔法"再生"を行使して、裂けた状態から元の状態へと回復した。
「今のは‥‥」
アルトは先程の件がわからなかった。
剣に刃毀れが起きた事がわかった瞬間に自身にダメージが起きた。
その事に戸惑いを隠せずにもいた。
「フハハハッ! 驚いたか悪党。我の奇跡創成魔法"希望剣"を!!」
ゴルメルが戸惑うアルトに向けて笑いながら自身の魔法を告げた。
「"希望剣"はこの剣に民の希望全てを宿している! それが刃毀れし、壊れれば絶望が襲うのは当然のことだ!」
「成る程。その剣に危害が加わると敵にダメージを与えられるというわけか」
しかも、物理的な攻撃力もあり、剣の性能と加えてアルトが今まで戦った中でも厄介な分類にいる。
しかし、コレによってアルトは漸くゴルメルの魔法の性質を知る事ができた。
「漸くお前の魔法性質を知る事が出来た」
「知ったからといって我に勝てると思うな、悪党!」
ゴルメルはそう告げると、またもや"希望剣"を構えて、アルトへと突貫してくる。
アルトは混沌雷魔法"雷霆の戦鎚"を発動し、ゴルメルの身体ごと叩き落とした。
雷轟がゴルメルに響き渡る。
落雷が起きたかに思える雷轟が王都に響き渡るも、ゴルメルには雷と同じ電圧が流れ、黒焦げになったゴルメルが落下していく。
しかし、落下途中でまたもやゴルメルの身体が強化された。
「フハハハハッ! 無駄であるぞ悪党」
ゴルメルはそう告げると、先程以上の速度でアルトに向かって行った。
その速度は正しく音速の類に入るであろうスピードだ。
しかし、ゴルメルのその速度を除けば、単調な攻撃しかない彼の攻撃に遭わせてカウンターを行なった。
アルトの
「ゴハッ!?」
ゴルメルは見事にカウンターを受けてしまい顔に殴られた痕を残していた。
しかし、ゴルメルにダメージを負わせば強化されるのおは先程からわかっている。
────────────────────────と思ったであろう。
しかし、一向にゴルメルの顔の傷が治り強化されることはなかった。
「何をした悪党?」
「混沌反魔法"幻想殺し"。お前の奇跡という幻想を、俺がこの手でブチ殺す!」
アルトがそう言い切ると、ゴルメルは俯く。
俯きながら身体を震わせていた。
アルトの言葉に怒ったのか。
いや‥‥‥
「フハハハハッ‥‥ハァハハハハハッ!!!」
ゴルメルは顔を上げると大笑いしていた。
愉快と言わんばかりの大笑いだ。
「面白いっ! 我を傷つける者がいようとは‥‥!!」
ゴルメルは"奇跡の英雄"を無効化した存在が今までいなかったのだろう。
よってゴルメルは先程以上の好戦的な態度で、アルトへと迫った。
そんなゴルメルを倒すためにアルトもゴルメルへと迫っていった。
次回~白夜の魔眼~