【休載中】混沌の魔法騎士王   作:森雄

17 / 31
教授の証明

 謎の発光体と衝突する前にマリエラはある声を聞こえていた。

 

『話しがしたい』

 

 マリエラはその声を信じた。

 まるで洗脳でもされたかのように従順に‥‥

 

 そして、発光体と衝突したマリエラが閉じた瞼を開き、その両眼に映ったのは満月の月の如き白銀色に染まった毛並みを持ち、黄色の獰猛な眼をした雄の獅子だった。

 しかし、問題があった。

 

 それは純粋に巨大である為、見上げていたことだ。

 

 その巨大さは180cmの約6倍‥‥つまり単純計算すると、180×6=1080cm≒10m80cmもあるのだ。

 それは正しく巨人‥‥いや、巨獣である。

 

 その巨獣はマリエラを見下ろしていた。

 

「貴方は誰ですか?」

「我は獅子幻獣レグルス」

 

 巨獣は獅子幻獣レグルスと名乗った。

 

「獅子幻獣?‥ですか」

「嘗て混沌によって生み出された種族にして幻獣族の一角。我は月光と氷、獅子の力を宿し幻獣」

「‥‥‥なぜ私に話しかけたんですか?」

 

 マリエラは疑いながらレグルスに質問した。

 

「先まで、お主が願い祈った思いに反応したまでのこと」

「更に理解出来ません」

 

 レグルスの返答に更に理解できなかったマリエラは更なる説明を求めた。

 

「お主は願った。混沌の少年の助けとなり、守りたいと」

「‥‥‥」

 

 レグルスの言葉にマリエラは沈黙した。

 レグルスが言った事は間違っていない。

 アルトとメレオレオナの戦いを見ながらそう思っていたのだから‥‥

 

 それを指摘されてはマリエラも反論はできなかった。

 

「だからっと言って、なぜ貴方が反応したのですか?」

 

 しかし、それでレグルスが反応するのかわからないマリエラはレグルスに質問する。

 

「我ら幻獣族は近しい思念を持つ者を契約者とす。お主は我が思念に近しいものを持つ者なり」

「‥‥」

「故に我はお主と接触した」

「貴方と契約して、私に何の様な利点があるのですか?」

「混沌の少年の力となれる」

 

 混沌の少年‥‥‥つまり、アルトの力になると言った。

 端から聞けば、飴玉のような‥‥いや、天使の囁きに等しい誘いだ。

 しかし、暗部として行動していたマリエラはレグルスの言葉に裏があると気付いていた。

 

「‥‥‥本当は何が狙いですか?」

「お主も知っておろう。混沌は矛盾の塊にして、神と悪魔を初めとした全ての力を持つ。それは同時に暴走を引き起こす可能性が高いのだ」

「っ!?アルトが暴走すると言いたいんですか?」

 

 好きな男に対する悪口にも聞こえたその言葉に、マリエラは怒りを浮き出していた。

 相反する力を持つから暴走すると言われれば、誰でも怒るだろう。

 

「お主ら人間は神と悪魔の力をあまく見過ぎている。神と悪魔は混沌を消し去る事に躊躇せぬ」

 

 しかし、マリエラの怒りなど何処吹く風と言わんばかりに堂々と無視したレグルスは逆にマリエラの‥‥いや、人間の認識力の甘さに激怒する。

 激怒しても、この場にいる人間はマリエラしか居ないため、指摘できるのは一人だけなのだが‥‥‥

 

「神と悪魔は存在だけで矛盾を起こす存在。しかも、近頃は神すらも人間への敵対が起き始めている」

「えっ!?」

 

 レグルスの教えにマリエラは驚いていた。

 

「いずれ、アルトに危険が起きると言うんですか?」

「そうだ。混沌は神と悪魔の力が均衡してるが故に暴走せぬ。しかし、均衡が崩れれば暴走す」

「‥‥‥」

 

 レグルスからもたらされた言葉にマリエラは沈黙した。

 彼女にも心当たりがないわけではないのだ。

 アルトが得希に歓喜の様な善意の感情に、憤怒の様な悪意の感情での性格があまりに違いすぎる事に、それは同時に混沌に存在する光の闇の分類である。

 どちらかに感情を揺れて、力までも強く反映する。

 

「わかりました。貴方の力なら、受け入れましょう」

 

 マリエラはレグルスの言葉を信じた。

 

「ですが、アルトを裏切るような行動をとれば、私が始末します」

 

 マリエラは覚悟の籠もった瞳でレグルスを睨み付けた。

 

「後悔はさせぬ」

 

 レグルスはそう言うと、鼻先をマリエラへと近づけていく。

 マリエラは近づけられた鼻先を右手の人差し指で受け止めるように触れた。

 マリエラとレグルスが触れた場所に発光する。

 

 ────────────────────────

 

 謎の発光体と衝突したマリエラの名を叫んだアルト。

 しかし、マリエラと衝突した発光体が止むと、そこには無事なマリエラと10m程の巨体をした獅子が立っていた。

 

「マリエラ、無事か?」

「はい、私は大丈夫ですよ」

 

 アルトは瞬時にマリエラへと近づき彼女が無事かどうかを確認した。

 マリエラの体には傷はなく、ただ後ろの獅子が加わっただけのようだった。

 

「それよりも‥」

 

 マリエラはアルトから視線を外し、背後にいる獅子幻獣レグルスに獰猛な瞳と笑みを浮かべて睨み付けるメレオレオナに視線を向けた。

 

「メレオレオナさん。お手合わせをお願いします」

「よかろう。幻獣族の契約者と出会うのは私とて初めてだ」

 

 メレオレオナは魔法が解けた右手で力強く握り潰さんと言わんばかりにゴキッゴキッ!と指を鳴らしながら握り拳を作った。

 メレオレオナが炎の魔力を纏いながらマリエラとアルトへと向かってくる。

 

 __氷幻獣魔法"獅子幻獣の氷霧(レグルス・フロスト)"__

 

(マリエラの魔力が上がった!?)

 

 アルトは幻獣と契約したマリエラの魔力量が今までの倍以上の容量を有している事に気付く。

 獅子幻獣レグルスの口から吐き出された氷霧がメレオレオナを襲う。

 

 __炎魔法"獅子女王の炎咆(レオ・バースター)"__

 

 メレオレオナを囲む様に現れた炎の獅子の顔。

 炎の獅子は口を開けると、炎の咆哮を"レグルスの氷霧"へと襲う。

 しかし、氷霧が熱線に衝突すると、少しの蒸発があったが、熱線が凍り始めていた。

 

 アルトはレグルスの能力を視るために、熱心に見つめていた。

 

(そういうことか‥‥)

 

 __混沌炎魔法"卍解・残火の太刀"×"天地灰尽"__

 

 アルトは聖剣エクスカリバーの刀身を黒焦げの状態"卍解・残火の太刀"を行使し、触れた物を燃焼による消滅を引き起こす灰燼の斬撃。

 "天地灰尽"を起こした。

 "天地灰尽"が二つの魔法へと襲い、爆発を起こさせた。

 

「俺がいる事を忘れるな」

 

 アルトはまるで三竦みの様な位置取りをする。

 

「三竦みか、面白い。久々に力を使うとしよう」

 

 レグルスはそう言うと、レグルスとマリエラから膨大な魔力が放出された。

 その魔力量は四つ葉に選ばれた魔法騎士と相違ない魔力量だった。

 

「ほう。更に魔力が上がったか。面白い」

 

 メレオレオナも同じ様に魔力を放出してきた。

 しかもマナゾーンを開放した状態でだ。

 

 二人に続くようにアルトも魔力を開放した。

 しかも、全力で解放すればクローバー王国ないを覆い混乱を引き起こしかねなかったが、マナゾーンを習得した事で、その制御(コントロール)を手にする事が出来たため、彼はこの場のみに魔力を解放した。

 

 その魔力量にメレオレオナは思い出したかのように呟いた。

 

「愚弟が言っていた混沌の魔力か」

「あらため感じると、化け物級ですね」

「真なる混沌に至るには10の覚醒が必要。2段階目の覚醒は魔神と相違ない実力と魔力を秘めておる」

 

 アルトの魔力量にレグルスがマリエラに告げた。

 どうやら、アルトの現魔力量が伝説の魔神と相違ない程らしい。

 つまりは、今のアルトは伝説の魔神であるという事だ。

 

 __炎魔法・マナゾーン"灼熱腕"・連撃__

 __氷幻獣魔法"獅子幻獣の吹雪裂爪(ネメアネイル・シュネーシュトゥルム)"__

 

 メレオレオナの無数の炎の熱線。

 マリエラと契約したレグルスの大地を掻き裂く吹雪の如き猛烈な勢いを乗せた強力にして剛胆な金剛石の如く輝く獅子の爪によって起きた5本の爪の斬撃がアルトを襲う。

 

 そんな攻撃にアルトはマナゾーン越しに新たな魔法を行使する。

 

 __混沌時間魔法"未来の改変者(ユーハバッハ)"__

 

 アルトの眼に瞳が無数に現れると、突如二つの魔法が強制解除された。

 

 

 "未来の改変者"="森羅の改変者"と"全智の未来"を重ね合わせた未来を改変する魔法。無数に存在する全ての未来を視て、未来に干渉し、強力で強制的な改変力で上書きするという効果だ。しかも、この魔法は一秒先の未来であろうと、100年先の未来であろうと改変できる。

 

 

 つまり、アルトは二つの魔法の未来へと干渉し、魔法を解除したのだ。

 

「未来そのものに干渉し、強制的な改変力で我らの魔法を解除したようだ」

「恐ろしい魔法を作りましたね、アルト」

「ふん!面白い!次だ」

 

 レグルスがアルトのやった事を説明すると、マリエラはあまりの魔法効果に感想を呟き、メレオレオナは更なる戦闘への快楽を感じていた。

 

「次は此方からだ」

 

 __マナゾーン・混沌炎魔法"無慈悲な太陽"・連射+混沌光魔法"ライトニング・ノア"・乱射__

 

 入団試験の際に使った"無慈悲な太陽"を連射し、両手に電光の魔力を帯びさせるとL字に構えた魔法"ライトニング・ノア"を無方向に乱射させた。

 

 連射した"無慈悲な太陽"と乱射した"ライトニング・ノア"がメレオレオナとマリエラ、レグルスへと襲う。

 

「レグルス!」

「うむ!」

 

 __氷魔法"無限絶甲氷盾"__

 

「ウォォォオオオン!!!!」

 

 元々氷の魔力が荒れる強魔地帯であるこの場所で、マリエラはあらゆる攻撃を防ぐ氷の盾を作りだした、

 しかも、レグルスの遠吠えが加わって氷の魔力に加わって、空気中の水分に魔法の効果が働き、無限に氷の盾を創成させていった。

 創成された無限の氷の盾が二つの魔法を防ぎ続けていた。

 

「ハァァァアアアアッ!!!!」

 

 メレオレオナは気合いの声を上げながら"灼熱腕"を連撃して"無慈悲な太陽"と"ライトニング・ノア"を防いでいたが、攻撃力と効果が"灼熱腕"を越えており、五発以上殴らないと相殺できない程だった。

 

 そんな二人に更にアルトはエクスカリバーを構えて横一文字に一閃した。

 

 __混沌魔法"森羅万象斬"__

 

 四色以上の色の光を輝かせたエクスカリバーの刀身から一閃したと同時に斬撃が放たれた。

 四元素を含んだ4つ以上の属性斬撃。

 

 __氷創成魔法"狂牙の氷滅刺槍(ガーズ・ヴォイド)"__

 

 マリエラは防御をレグルスに巻かせると、新たに魔法を放った。

 その魔法はあらゆる万物を突き刺し、滅ぼす凶器的な獅子の牙の如き無数の氷槍。

 

 "森羅万象斬"と"狂牙の氷滅刺槍"が衝突する。

 10本以上の氷の槍が壊されるが、同時に斬撃が相殺された。

 

 そんな中、無数の中から僅か10本以上ではそれ程数が減って居らず、残りの数百以上の氷槍。

 しかし、アルトが連射・乱射した二つの魔法にも衝突した事で数百以上の氷槍が壊されていった。

 

「フハハハッ!!!アルトとマリエラと言ったな。愉しませてくれた礼だ。私の全力の魔法をくれてやろう」

 

 先程までアルトの放った"無慈悲な太陽"と"ライトニング・ノア"の攻撃から移動・反撃で防御していたメレオレオナが戦いを愉しみ笑いながらそう告げる。

 アルトとマリエラは彼女の言葉に最大で警戒をした。

 それもその筈だ。

 

 アルトと修行したが故に上級魔法騎士レベルのマリエラと

 既に団長レベルの実力を持っていたアルトが、フエゴレオンよりも上だと評していたレオポルドの言葉から警戒するのも当然だ。

 彼女の"灼熱腕"は当たらなければどうという事もないのだが、マナゾーンを加えたその魔法は、当たれば全方向からの抜けだし不可能な攻撃だ。

 しかし、メレオレオナはアルトの膨大な魔力によるマナゾーンの影響下と、レグルスと契約したマリエラの魔法凍結と魔力増強によって嘗てない歓喜ある手合わせをしていた。

 

(これぐらいのガキ共とやり合って心躍ったのは、あの生真面目莫迦以来か)

 

 メレオレオナは何かを思い出すように今の手合わせに対して滾っていた。

 嘗て自分が15歳ほどの年齢の頃に弟フエゴレオンと喧嘩し、ヴァーミリオン家を全焼してしまいそうな被害を起こしていた。

 その歳はフエゴレオンが珍しくも怒りが抑えきれなかったが故に起きた事件_____「焔血の火曜日」と呼ばれる事になった。

 

 当時のフエゴレオンと似通った年齢のアルトとマリエラに滾っていたメレオレオナは最大の敬意を表して最大の魔法を発動した。

 

 __マナゾーン・全開!!!__

 

 

 メレオレオナが自身の技術の全てを解放して出来たマナゾーンの完全解放。

 コレによって、彼女の炎の魔力がマリエラの"無限絶甲氷盾"燃やされ、空気中の水分までもが消えていった。

 

 __炎魔法"灼熱腕・煉獄"__

 

 マナゾーンを全開にした状態での新たな"灼熱腕"の魔法。

 それは先程まで赤い色の炎から一変、青白い炎とかして当たり一帯を燃やしていた。

 

「マズイ‥‥!」

 

 レグルスは契約者への危険を察知してマリエラを守る様に包まり、月光と氷で我が身と契約者を守った。

 そして、アルトの方はと言うと、メレオレオナの魔法を視て、直ぐさま"森羅の改変者"を使って身を守っていた。

 

 しかし、"森羅の改変者"が"灼熱腕・煉獄"に負けて改変した事象が焼失していった。

 アルトは王都襲撃の際と同じく命の危険を改めて感じ取った。

 そんなアルトが賢明に"森羅の改変者"を行使していると、彼の魔導書の創成魔法のページに新たな魔法が刻まれた。

 

 __マナゾーン・混沌創成魔法"創造の月(アーティエルトノア)"__

 

 アルトの上空に白い三日月が出来ていた。

 その三日月から溢れる光が、彼女の炎魔法に加えて、膨大な冷気までもが凍らせながら脆く塵のごとき別の物へと創造し直していた。

 

 それと同時にアルトから神聖な魔力が溢れていた事にレグルスが反応した。

 

(三段階目に覚醒しつつあるのか)

 

 レグルスはアルトの力を見て、そう感じ取った。

 三段階目の覚醒が何なのか?

 それを知る事が出来るのは、アルトや混沌を知る者のみ。

 

 つまり、結局はアルトが切り開くしかないのだ。

 メレオレオナが魔法を使い終えると、そこには膨大な冷気と共に、シャプス氷山が冷気がなく、見当のいい自然的なシャプス氷山として創り変えられた(・・・・・・・)

 

「強魔地帯を、安全な場所として創り変えたのか‥‥」

 

 流石のレグルスでも、この現象に驚いていた。

 

「‥‥‥これは」

 

 強魔地帯を創り変えたアルトですら、この現象に驚いていた。

 

「ッ!?‥‥~~~~~~~ッ!?」

 

 しかし、すぐさま体にズキッと突き刺さるかのような痛みに襲われ、声にならぬほどの悲鳴を上げてしまうアルト。

 

 あまりの痛みにアルトは気絶してしまった。

 

「アルトッ!?」

 

 レグルスに守られていたマリエラが大地へと落ちようとするアルトに向かって行く。

 マリエラよりも早くメレオレオナが魔力でできた獅子の手がアルトを掴んだ。

 

「なかなか面白かったぞ。アルト」

「‥‥‥‥」

 

 メレオレオナがそう言うが、気絶したアルトが反応することはなかった。

 

 ────────────────────────

 

 数時間後。

 アルトの"創造の月"によって変えられたシャプス氷山の山頂にて横にされていた。

 本物の月が暗闇の空に輝くほどの綺麗な風景が見えるほど、時間が過ぎていた。

 

「‥‥‥ぅつ‥」

 

 アルトは漸く目を覚まし、閉じていた瞼を開けた。

 

「‥‥ここは?」

 

 アルトは自分がいる場所が違う事に気付き、呟いてしまう。

 

「シャプス氷山の山頂です」

 

 そんなアルトに彼の隣で正座をして看病していたマリエラが教えた。

 

「マリエラ‥」

 

 アルトはマリエラに気付くと、視線を向けた。

 その後方に湯煙の立ち上がった何かがあった。

 

「なn「アルトは見てはダメです!」ぐぇ!?」

 

 湯煙の正体を知るために見ようとした時、マリエラがアルトの顔を両手で挟むと、強制的に湯煙から顔が向いている方向を逆側へと向けさせた。

 いきなりすぎて、首がゴキッと音を鳴らしながら逆側、つまりアルトの背後側へと向けさせられた。

 流石に瀕死が免れない曲げ方をされて、ダメージを負うアルトだったが、すぐさま回復魔法で直していた。

 

「仲がよい奴らよ」

 

 そんな二人にレグルスは呆れるように呟いた。

 

「ワハハハ!!目が覚めたかアルト」

 

 首を押さえていたアルトが湯煙が出ていた方向からメレオレオナの声が聞こえた。

 同時にザバァンッ!!という水の中から上がった様な音がした。

 その音と湯煙からアルトは漸く、湯煙の正体に気付いた。

 

「まさか‥‥温泉の近くで寝てたのか?俺は‥‥」

 

 アルトは絶望したかのような表情を浮かべながらマリエラやレグルスに問う。

 

「そうだ」

 

 レグルスから肯定された事で、更に絶望的な表情が深まる。

 

「その絶望した様な表情は何ですか?」

 

 そんなアルトにマリエラは鋭い視線でジトーっと睨み付けながら訊いてきた。

 

「変態ですね」

「なぜそうなるんだ!?」/////

 

 訊かれた事に答えようとしたというのに、勝手に変態扱いされて大声で抗議するアルト。

 その際にマリエラの方向へと視線を向けてしまい、立ち上がっていたメレオレオナまでもが見えてしまっていた。

 彼女の姿は温泉に浸かっていた為、生まれたての姿となって湯から立ち上がっていた。

 

 それが視界に入ってしまったアルトは顔をトマトの様に赤くしてすぐさま視線を外した。

 

「やはり変態です」

「だから違う!!!」/////

 

 アルトの反応から察したマリエラが起源を悪くしながらジト眼で睨みながらアルトを変態と罵る。

 ハッキリいって、気絶していたアルトを看病する場所が悪すぎたのだ。

 

「何をやっている!目が覚めたのならば、さっさと温泉に入れ!!」

 

 しかし、そんな二人にメレオレオナが怒鳴り散らす。

 アルトとマリエラは条件反射で従い、二人とも生まれたての姿となり、互いにお互いを見ないようにしながら離れながら入浴していた。

 

「ふぅ‥‥‥‥」

 

 アルトは女性二人から遠く離れた位置にて入浴した事で湯煙もあって彼女たちを見ることなく、温泉を楽しんでいた。

 因みにレグルスは入浴を却下して入っていない。

 ネコ科だからなのだろうか?

 アルトはゆったりと、湯に浸かって疲れを取っていた。

 

 

 

 

 

 

 アルトが温泉を楽しんでる中、女性二人は‥‥‥

 

「プハァーッ!!ここでの酒も中々いけるな」

 

 メレオレオナは持参していた酒をお猪口に加えて飲んでいた。

 

「マリエラ。お前クローバー王国の者ではないな」

 

 メレオレオナは先程の手合わせの際に、マリエラの魔導書の表紙にあった象徴(シンボル)がダイヤモンドであった為、すぐさま彼女がクローバー王国民ではない者だと気付いた。

 にも関わらず、[紅蓮の獅子王]団のローブを羽織っている。

 その事が気になったメレオレオナは訪ね‥‥いや尋問した。

 

「はい。アルトに助けられ、[紅蓮の獅子王]に入団しています。私は元々、犯罪者でしたが、アルトのお陰でこうやって償いが出来ています」

 

 マリエラは本当に感謝するかのような豊かな表情で語っていた。

 その顔を見たメレオレオナはマリエラがアルトに対する気持ちに気付いた。

 

「貴様、アルトを好いているな?」

「はい‥?‥‥っ!?」/////

 

 メレオレオナの突然の言葉に無自覚に返事を返してしまった。

 しかし、すぐさま自分が何に対して返事を返したのか理解すると、彼女は顔を赤くしてしまう。

 

「な、なにを言って‥‥」/////

「構わん」

「え?」

 

 マリエラは羞恥の中でメレオレオナに抗議をしようとするが、彼女が自分の好意に関して肯定らしい発言をした為、呆けてしまう。

 

「一匹のオス獅子にメス獅子は集まるものだ。アイツは多くの女に好かれるだろう」

「‥‥‥メレオレオナさんは、アルトが好きなんですか?」

 

 マリエラはメレオレオナの発言からそう聞いてしまった。

 

「私と殺り合って死なん男ならばな。アイツの実力は団長レベルだ。混沌を使い熟せば、私でも勝てんな」

 

 メレオレオナは先程の手合わせて冷静に的確に実力を測っていた。

 そして、彼女の目算は正しい。

 混沌の力は未だに二割しか覚醒していない。

 

 その状態で既に団長レベルならば、完全覚醒は人智を越えているのはまず間違いない事だ。

 

 

 メレオレオナの発言にマリエラは居たたまれない思いだった。

 自分の恋のライバルの様な人物が増えたからだ。

 しかし、メレオレオナに基本的な一夫一妻でなく、一夫多妻を許容していた。

 

 しかも、それを伝えるのに、獅子を例えて許可するとは、彼女は人間ではなく獣人と言われた方が間違いがなかっただろう。

 

 女性達の間でそんな会話をしているなど知らないアルトはふにゃ~と溶け込むように入浴しきっていた。

 

 ────────────────────────

 

 メレオレオナとの手合わせを終えて、一夜の温泉に浸かったアルトはマリエラと共に[紅蓮の獅子王]団のアジトへと向かっていく。

 

「温泉なんて久しぶりだったから。随分と疲れが取れた気分だ」

「そうですね」

 

 アルトはゼノ・ジーヴァに乗り、マリエラはレグルスに乗って上空を飛行しながら会話をしていた。

 

「にしても、発光体とぶつかった際は流石に焦ったぞ」

 

 アルトはマリエラがレグルスと契約する際に起きた出来事について、焦っていた事を語った。

 

「レグルスから話しをしたいと言われたので、止めたのですが‥‥」

「すまぬな、混沌の少年。だが、お主にとっては関係のない話ではないからな。それを止めるために、マリエラと契約する必要があったのだ」

 

 マリエラは発光体との衝突から助けようとしていたアルトを止めた理由を告げ、レグルスは焦らせてしまった事に謝罪した。

 しかし、アルトは温泉に浸かり、シャプス氷山で寝泊まりした後のマリエラの様子が少しばかり違う事に気付き、質問した。

 

「温泉浸かってから様子がおかしいぞ、マリエラ」

「っ!?アルトの勘違いです」/////

 

 マリエラは温泉での一件を思い出して、頬を赤面させてそっぽを向きながら否定した。

 

「メレオレオナさんの裸を見た変態の勘違いです」/////

「だから見てないって言っただろ!?」

 

 昨夜の一件を言われて、アルトも声を荒げながら抗議する。

 その光景は夫婦喧嘩と変わりなかった。

 

(男と女とはよくわからん)

 

 幻獣族はその幻獣が死ぬと同種同名の同個体が新たに地球から生まれる様になっている為、レグルスはアルトとマリエラのイチャつきに、理解出来ていなかった。

 レグルスは背に乗せているマリエラとゼノ・ジーヴァに乗っているアルトの口喧嘩に呆れながらも飛行していた。

 

 

 そんな時だった。

 

『!!』

 

 突如、岩山の中から膨大な魔力を感じ取った。

 

「あの岩山からですね」

「あぁ」

 

 __混沌時間魔法"全智の未来"__

 

 "全智の未来"を行使して先の未来を視た。

 すると、そこにはアスタや負傷したシスター、シスターを見て泣き続ける子供達に、アスタ達を襲う[白夜の魔眼]の三人。

 その中にはヴァルトスとカルがいた。

 

「アスタが[白夜の魔眼]と戦っている!急ぐぞ」

「はい」

 

 アルトは方向転換して岩山へとゼノ・ジーヴァを突撃させた。

 マリエラも続くようにアルトの後を追いかける。

 

 ゼノ・ジーヴァが炎の熱線を口から放つと、岩山の一部が溶解する。

 岩山の一部が溶解して熔けきると、岩山の内部にあった洞窟内へと熱線が入る。

 その熱線に驚く[白夜の魔眼]とアスタ達。

 しかし、その驚愕の隙に、アスタの背後へと回った光魔法の使い手であり、[白夜の魔眼]のリーダーであるリヒトが左手に光魔法を凝縮してアスタを殺そうとしていた。

 

(死────)

 

 アスタは死を覚悟した時、彼と光魔法の間に入る様に突如現れた空間魔法から[黒の暴牛]団長ヤミ・スケヒロが登場し、魔法を光魔法を防いだ。

 

「マジか‥‥!?」

「や、ヤミ団長!?どうして此処に!?」

 

 アスタと、[黒の暴牛]のローブを羽織った左目を覆うような前髪をしている男性が突如現れたヤミ・スケヒロに驚愕していた。

 そして、彼をここまで送った空間魔法の魔導士___フィンラル・ルーラケイスもちゃっかりとヤミの斜め後ろにて立っていた。

 

「どうしてって、決まってんだろ」

 

 ヤミは咥えてた煙草を左手の人差し指と薬指で挟み、口から離して副流煙を吐き出すと、告げた。

 

「ただの迷子です。ちょっと道教えろや」

 

 右肩に乗せるように刀の刀身の峰を当てながら言った。




次回~[白夜の魔眼]VS[魔法騎士団]~



お気に入りと高評価よろしく!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。