【休載中】混沌の魔法騎士王   作:森雄

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[白夜の魔眼]vs[魔法騎士団]

 ヤミたちが現れた後に、溶かした場所から洞窟内へと入ってきたアルトはゼノ・ジーヴァを解除して大地に降り立ち、マリエラはレグルスと共に大地に着陸した。

 

 アルトとマリエラは日の光が当たる場所に照らされながらも、警戒していた。

 同時にアルトは怪我をした負傷者を"再生"させた。

 

「おいアスタ。俺とユノ以外に負けるつもりか?」

 

 アルトが負傷者を治療した後、アルトはアスタにそう言った。

 

「だぁれが負けるかぁぁああああああ!!! 勝つのは俺だぁああ!!」

「ほざけ‥‥」

「っていうか、なんでアルトとマリエラまで此処に‥‥!?」

「用事が終わったからアジトに帰ろうとした矢先に、魔力を感じてな。きたんだよ」

「えぇ‥‥‥」

「うるせぇぞ小僧ども!」

 

 そんなアスタとアルトの会話にヤミが一括した。

 

「彼が混沌の魔導士、それに獅子の幻獣族の契約者か」

(アイツは‥夢に出てきたテティアと呼ばれた女性の夫‥)

 

 アルト達がそんな会話をしていると、[白夜の魔眼]の当主が話し出した。

 アルトはリヒトを見るや少し驚いた。

 王都襲撃の際に夢見た何者かの記憶に出てきた人物と似た容姿だったからだ。

 しかも、その当主が開いている魔導書の表紙にはユノと同じ四つ葉のマークがあった。

 

「ユノと同じ四つ葉か‥‥マリエラ。行くぞ」

「そうですね。っと言いたいところですが、負傷者と子供たちがこんなにいては戦況的にこちらが不利です」

「随分と戦況が見えてんな。黒ふわマントちゃん」

(黒ふわマントちゃん?)

 

 ヤミがマリエラに奇妙な渾名を付けられてしまった。

 マリエラの着用している黒い毛皮のマントを羽織っている為、その様に言われてしまうのは無理もないが、名前を知っているだろう人物がその渾名はないと思うのだが‥‥

 まぁ、ヤミの渾名のネーミングセンスがないという事なのだろう。

 

「フィンラルさん、マリエラと共に子供達の避難を!」

「わ、わかった」

 

 フィンラルは[白夜の魔眼]当主から溢れ出る魔力に怯えていた。

 フィンラルが治療された後のシスター・テレジアを抱え込み、マリエラは子供達を誘導した。

 

 そんなフィンラルとマリエラに当主の光魔法の光剣が襲う。

 二人への攻撃にアルトとヤミがそれぞれ破壊した。

 

「テメェ。オレのアッシーくんに何してくれてんだ?」

「(アッシーくんって‥)そ、それじゃあヤミさん! 後はお願いします」

「テメェ、ちゃんと戻って来いよ!?」

 

 ヤミは颯爽と負傷者と子供たちを連れて逃げていったフィンラルにそう告げた。

 

 この場に残された魔法騎士団員はヤミとアスタ、そしてアルトだけだった。

 そして敵側は当主__リヒト__とヴァルトス、そしてカルだった。

 

「[黒の暴牛]‥‥<三魔眼(サード・アイ)>を呼びますか?」

「いや、闇魔法の彼とは一度戦ってみたいと思っていたんだ」

「では混沌魔法の少年は僕が相手をするよ~さっきから彼が僕を眼殺しそうな程睨んできてるしね~」

 

 ヴァルトスは援軍を呼ぶ事を打診するが、リヒトはそれを拒否。

 リヒトがヤミと戦うというのでカルが王都襲撃の際に毒魔法を受けたアルトはカルを標的にしていた。

 

「カッケぇぇえええ!! なんで止められるんんですか? その剣なんですか?」

「今聞く事か?」

「うるせぇ小僧。────」

 

 ヤミがアスタに自身の故郷の武器と止めた方法を語ろうとするが、リヒトが光魔法を発動している事に気付き、戦いを見ている様に告げた。

 

「混沌魔法の少年君~君は僕が相手してあげるよ」

「そうか」

 

 カルがアルトの相手をすることを告げると、アルトが刹那の間に"神速の歩み"でカルに近づき、同時に洞窟外へと"螺旋丸"で飛ばした。

 

「親玉の相手はお願いします、ヤミ団長」

「おう、任せな」

 

 アルトは洞窟外へと飛ばしたカルを追って外へと出て行った。

 

 ────────────────────────

 

 "螺旋丸"で吹き飛ばされたカルは体勢を立て直すと、魔法で空中に浮いていた。

 

「痛いな~突然攻撃するなんて酷いじゃないか~」

 

 カルは攻撃を当てられた鼻の部分を抑えながら文句を言う。

 すると、アルトが目の前に現れた。

 

「なにか問題があるか?」

「まったく‥‥痛いのは嫌いなんだよ~」

「知らん」

 

 __混沌雷魔法"雷光滅剣(パララーク・インケラード・サイカ)"__

 

 青白い雷で出来た竜の手の様な柄をした巨大な剣が現れると、轟音が鳴り響き、雷光が迸りながらカルを襲う

 

 __毒創成魔法"致死量の番人"__

 

 巨大な紫色の毒魔法の番人が"雷光滅剣"を受け止めた。

 

「忘れたのか~い? 僕の魔法に干渉すると‥‥「致死量を操られて死ぬか?」っ!?」

 

 カルが王都騒乱の際と同じ誤ちをしている事を指摘するが、アルトが一切毒に犯された様子など無くその場にいた事に驚愕の余り目を開いた。

 

「お前の魔法はもう通じねぇよ」

「そうかな?」

 

 __毒魔法"毒の天使"__

 

 カルは頭に毒のリングを作りだし、背中に毒々しい翼を生やした。

 

 __毒創成魔法"暗殺の神門(へヴンズ)兵団"__

 

 毒魔法で出来た大きな門から、毒魔法で出来た無数の一対二翼を生やし、複数の武器を持った天使の兵団を創成した。

 

 __混沌世界樹魔法"霊槍シャスティフォル・第四形態<増殖(インクリース)>"__

 

 太陽の様な円状の穴が空いている一本の槍が現れると、槍が右回転しながら光り出し、形状を無数のクナイの様に変化し、兵団へと突撃していく。

 

「もう一つ追加だ」

 

 __混沌世界樹魔法"霊槍バスキアス・第九形態<死荊(デスソーン)>"__

 

 三日月状の穴が空いた一本の槍が増えると、同じく回転しながら形状を変化させて、赤黒い荊に変わった。

 その荊も同じく兵団へと襲っていく。

 

 クナイで突き刺された兵団は身体を欠如していき、荊に突かれた兵団は突かれた状態で動かなくなった。

 

「やるね~君」

「‥‥‥そろそろ正体を明かしたどうなんだ?」

 

 アルトがそう言うとカルの目尻が少しばかり動いた。

 

「なんの事だい?」

「惚けても無駄だ。お前の魔法に蝕まれたあの時から、お前からは人間とは違う何かを感じていた。特にさっきの毒魔法の番人からはその要素が大きく出ていた。もう一度言うぞ、正体を明かせ」

 

 アルトはなにか真相に気付いた探偵のごとく言葉を並べながら説明していき、告げると、最後には殺気の籠もった目で睨み付けた。

 

「‥‥‥ふふふ、フハハハハハハハ!!!!」

 

 突然カルが笑いだした。

 アルトは警戒を解くことなく彼を相手に臨戦態勢を整えていた。

 

「よくぞ見破った」

 

 先程までのカルの喋り方ではない事から目の前のカルは本性‥‥いや、別の存在だった。

 

「初めましてだな混沌の魔導士。嘗ての混沌の魔導士の死から1万年も経ったか」

 

 カル?が毒魔法で顕現した輪と翼が毒々しさが無くなり、神々しい翼を生やしていた。

 

「何者だ?」

「私はハゲルド。天府に住まう神々の一柱」

 

 ハゲルドと名乗った神がカルの意識を奪って顕現してきた。

 

「神が人間に憑依か」

「貴様も同じであろう。混沌は神の光と悪魔の闇を宿している。貴様に我を非難する資格無し」

 

 __使者魔法"神火の使者"__

 

「疾く消えろ。混沌の魔導士」

 

 全身を炎へと変えたハゲルドはそのままアルトへと襲っていく。

 

 __混沌火魔法"白閃煉獄竜翔(アシュトル・インケラード)"__

 

 八芒星で出来た魔法陣から白色の東洋竜が現れた。

 現れた竜がハゲルドを襲う。

 

 ハゲルドが"白閃煉獄竜翔"に向けて殴りつけると、簡単に神の火によって消されてしまった。

 

(神の火を名乗るだけはあるか‥‥)

「通じぬわ」

 

 ハゲルドが魔法を焼失させると、すぐさまアルトを同じ様に燃やし尽くそうと捉えに掛る。

 しかし、昨日習得したマナゾーンを使い"神速の歩み"を匠に使い熟してハゲルドを翻弄する。

 

「小癪な」

「これはどうだ?」

 

 __マナゾーン・混沌空気魔法"絶滅の呼吸"__

 

 軽くマナゾーンで洞窟から空いた孔までを半径とした球体内で"絶滅の呼吸"を行使した。

 アルトは"絶滅の呼吸"によってマナゾーン内の空気を全て吸い取った。

 

 すると、神の火の使者となったハゲルドの神の火が消え去った。

 

 同時にハゲルドは呼吸が出来なくなっている事に気付き、眼から血が溢れ出していた。

 しかし、すぐさま違う魔法を行使した。

 

 __使者魔法"無明"__

 

 ハゲルドの新たな魔法が発動した。

 すると、空気のなかったマナゾーン内に空気が溢れていた。

 

「小賢しい」

 

 __毒×使者創成魔法"ヨルムンガンド"__

 

 毒によって出来た巨大な竜がアルトの目の前に現れた。

 竜がアルトを喰らおうと口を開けて喰らいに行く。

 

 アルトは新たな魔法を使い攻撃を防いだ。

 

 __混沌調合魔法"完絶結界力域(エリア・アルベミューム)"__

 

 六角形の緑色に輝く光の球体がアルトを囲む。

 "ヨルムンガンド"が必至になって喰らおうとするが、"完絶結界力域"によって完全防御されていた。

 

(同じ属性でも神の力で上回り、空気を無くしても、空気を創りだし‥‥いや、空気のある場所から取りだしたのか)

 

 そして攻撃を防ぎながら新たな魔法を"ヨルムンガンド"とハゲルドに向かって用意した。

 

(となると、空間と時間の魔法を行使するしかないな。それに一番合う形は‥‥鍵だな)

 

 __混沌時間魔法"黄金の鍵"+混沌空間魔法"銀の鍵"__

 

 片手サイズの大きさをした黄金の鍵と銀の鍵。

 右手に黄金の鍵を、左手に銀の鍵を持った。

 

 アルトは両手に持っている鍵をそれぞれ錠前を開く様に鍵を回した。

 すると、ヨルムンガンドの巨大な体型を一瞬にして小石サイズへと変化させ、同じく一瞬にしてヨルムンガンドが消え去った、

 

「なんだそれは?」

 

 __使者創成魔法"使者の兵団"__

 

 ハゲルドはアルトに問いながらも、1000人の兵団を創りだした

 その使者の兵団一体一体が別々の属性を持っており、無数の属性が集まった兵団のようだ。

 

「自分で考えろ」

 

 アルトはそう言うと、二つの鍵を重ねるようにして鍵を回した。

 すると二つの鍵の部分から二つの波紋が引き起こされ、新たな時間魔法と空間魔法を発動させた。

 

 __マナゾーン・混沌空間魔法"インフィニットゼロドライヴ"×混沌時間魔法"オーバークロノアクセル"__

 

 

 二つの魔法を掛けた後、アルトは二つの鍵を手放した。

 二つの鍵は魔法が起きると黄金と白銀の結界となって洞窟のある岩山を含み、アルト達がいる場所を簡単に覆うような結界を掛けただのだ。

 

 襲い来る兵団は一瞬にしてハゲルドの側へと1000人の兵団が転移された。

 アルトは集まった兵団に向けて別の魔法を行使する。

 

 __マナゾーン・混沌光魔法"イクスティクション・レイ"・五光__

 

 波動に似た光魔法が五方向から一撃ずつ放たれると、刹那の間にハゲルド達の元へと到達し、直撃した。

 

「時間と空間の支配か」

 

 閃光が消えると兵団は全滅していたが、ハゲルドは衣服だけが破れているだけだった。

 

 __使者魔法"恩寵を賜りし者"__

 

「恩寵を持つ者は未来永劫消えはせぬ。さぁ死ぬがよい」

 

 簡単に言えば、ハゲルドは不滅の存在になったという事だ。

 

 __使者呪詛魔法"神は是である"__

 

 ハゲルドの体から無数の光の粒子が溢れ出してきた。

 すの粒子はアルトの"インフィニットゼロドライヴ"と"オーバークロノアクセル"を侵食していく。

 

「っ!?(魔法を侵食している)」

 

 アルトは魔法が侵食されている事に気付くや攻撃を再開した。

 

 __マナゾーン・混沌魔法"月牙天衝"・連撃__

 

 

 エクスカリバーを抜剣し、巨大な斬撃を何度もハゲルドに放った。

 

「通じぬ」

 

 ハゲルドは毒魔法や使者魔法で出来た剣を両手に持って、アルトへと向かって行く。

 "恩寵を賜りし者"によって傷の付かない存在へとなった事で"月牙天衝"を受け続けても一切効果が無くアルトは"神速の歩み"を使っても"神は是である"の魔法効果である事象の侵食によって少しずつ追い詰められていき、アルトは幾つもの魔法で対抗するが、体中に瀕死と言っていい程の傷を受ける。

 

 そして、体中から血を流し、息を荒げながらもハゲルドを睨み付けるアルト。

 そんなアルトに近づくハゲルドは両手に持つ剣をX字に構えると鋏の要領で切り落そうとしていた。

 

「死ね」

 

 一瞬で近づいたハゲルドはアルトの首を切り落そうとした。

 しかし、アルトの魔力から、神や幻獣、精霊とは別の魔力が新たに溢れ出した。

 

 漆黒の魔力の粒子が剣に触れると、一瞬の内に腐るかのように滅んだ。

 

「ッ‥‥!!!?」

 

 ハゲルドは驚愕して距離を置いた。

 ハゲルドが距離を置くも、アルトの右腕に"森羅の改変者"を掛けた事で白く発光した。

 アルトが右手で何かを掴むような動作をすると、ハゲルドの首が何かに捕まえられた。

 

「莫迦な‥‥"神は是である"が消滅している‥だと‥‥」

 

 ハゲルドがそう呟いていたが、アルトは傷ついた体を"再生"で癒やした。

 ハゲルドの言うとおり、アルトの漆黒の魔力粒子がハゲルドの魔法を滅ぼし尽くしていた。

 

 そして、睨んでいたアルトの瞳が滅紫(けしむらさき)色の瞳に十字の紋様が現れた。

 

 __混沌消滅魔法"混滅の魔眼"__

 

「ありえぬ‥混沌に帰す滅びの魔眼‥だと‥‥混沌を宿していても‥所詮は人間‥‥神に敵うはずが‥」

 

 ハゲルドは初めて恐怖を覚えた。

 神は絶対なる者と信じ切っていたハゲルドが例え神々を作りだした混沌であろうと、使い手が人間ならば簡単に勝てると思っていた。

 その通り、先程まで優勢であった。

 

 にも関わらず、今の状況はどうだ。

 ハゲルドにあるのは自分を蚊とんぼの如く握り潰そうとする巨大な王の幻覚が見えていた。

 恐怖の余りに見えてしまった幻影は正しいのかも知れない。

 

「‥‥‥俺の勝ちだ。ハゲルド」

 

 __混沌消滅魔法"五龍の転滅"__

 

 五匹の滅紫色の龍がハゲルドを襲った。

 

「ッ────────!!!!」

 

 五匹の龍は声にならぬ悲鳴を上げるハゲルドを咥えながら天へと向かって行き、アルトから十分な距離を取ると、その龍は渦巻いていき、収束していくと、一瞬にして花火のように消滅していった。

 

「‥‥うっ!?」

 

 昨日に続いて、消滅魔法を使った後、体に痛みが襲った。

 しかし、すぐさま痛みが途絶えた。

 

「‥‥ふぅ。戻るか」

 

 落ち着いたアルトは溢れていた漆黒の魔力粒子を解除した。

 瞳に映っていた"混滅の魔眼"も解除していた。

 

 アルトはアスタ達がいる洞窟内へと戻っていった。

 

 




次回~ザウスの異変~
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