【休載中】混沌の魔法騎士王   作:森雄

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PCが故障してしまい、予定よりもかなり遅れてしまいました。
故障の中でも編集していたので、駄文な状態になっているかもしれませんがお許しください・・・・


ザウスの真実・後編

 バヴェルとビナーの間に生まれた一つの命はビナーの故郷‥‥‥神々が住む「天府」にも感じ取っていた。

 

 その中で11人の神々が円卓のように集まっていた。

 それぞれその姿を光に包まれる事で隠しながら‥‥‥

 

【第3の理神(セフィラ)が人間との間に子を宿した】

 

 一人の神が残りの十人に教えるように告げた。

 

【愚かね】

 

 その神の報告を聞いた神の一柱である女の神が罵倒する。

 

【神以外の生命などいらぬと決まったというのに‥‥】

 

 同時にビナーが言った通り、神々は自分達の種族以外の生存を許していないらしく、ビナーの行動に小言を告げる老人の様な声を出した神の一柱。

 

【どうする?】

 

 ビナーの行動に対して相談する四人目の神。

 

【決まっている】

 

 そんな四人目の神の言葉に冷徹に言い放つ。

 まるで、裏切り者を粛正する事に一切の躊躇いを持たぬ犯罪者のように‥‥‥

 

【‥‥‥そうだな】

 

 五人目の神の言葉に、少しの間があったが、五人目の神の言葉に心当たりがあるかのように言葉を溢す六人目の神。

 

【第3の(セフィラ)を始末するしかあるまいな】

 

 七人目の神が五~六人目の神が考えていた事を告げた。

 彼等は同じ神を殺すと口語した。

 

【生誕の理が消えてしまいますわ】

 

 お上品な言葉使いで第3の|理(セフィラ)が死んだ場合のデメリットを口にする八人目の神。

 

【しかり、生誕の理は神々(われら)にも付随する】

 

 くぐもった声を出して九人目の神の言葉に賛同しながら告げる九人目の神。

 

【ならば、生誕と人間の半神を目の前で消せばよいのではないか?】

 

 十人目の神が他の九人に、第3の理神(セフィラ)と人間との間に生まれた新たな命である半神半人の殺害を提案した。

 十人目の神の提案を訊いて五人目の神が名乗り出た。

 

【ならば、第5の理神(セフィラ)たる我が向かおう】

 

 そんな第5の理神(セフィラ)に問う二人目の神。

 

【それならば、終焉の神たる私でも構わないのに‥‥】

【第3の理神(セフィラ)に罰を、人間には絶望を与えねばならん。ならば第5の理神(セフィラ)が効果的であろう】

 

 一人目が二人目の愚痴に応えた。

 どうやら第3の理神(セフィラ)のみならず、彼女と子を作った人間‥‥‥‥つまりバヴェルに絶望を与えようとしていたのだった。

 

【では、向かうとしよう】

 

 そう言った第5の理神(セフィラ)の光りに包まれて現れていた人影が消えた。

 人影が消えると同時に第5の理神(セフィラ)を包んだ光りが消えた。

 

【我々も準備を整えよう。この世界は我らの宿願を叶える為に‥‥】

 

 一人目の神がそう言うと、他の神々は頷き、先程の第5の理神(セフィラ)と同様に人影が消えると光りが消えていった。

 

 ────────────────────────

 

 天府にいる最上級神たちが不穏な話しをしている中、ビナーに悪寒が襲った。

 

【‥‥‥ッ!?】ブルッ

【どうした?】

 

 悪寒に襲われてブルッと身体を震わせたビナーにバヴェルが心配した。

 

【‥‥あなた。もしかしたら、天府の神々が‥‥】

 

 ビナーは怯える様に両肩を抱いて、自分を抱き締めた。

 そんな妻にバヴェルは彼女を優しく抱き締めた。

 

【大丈夫だ。必ず、守ってみせる】

【あなた‥‥】

 

 不安に呑まれそうになるビナーにバヴェルは励ましながら生活していった。

 

【明日はこの子の生まれる日だ。早く寝た方が良い】

【えぇ】

 

 ビナーはバヴェルと共に就寝したのだった。

 

 ────────────────────────

 

 そして翌日。

 

 ビナーとバヴェルの子供の出産日になった。

 

 ビナーは自身の力を使い出産しようと半径10m程の魔法陣が浮かび上がる。

 

【これは?】

【第3の理神(セフィラ)が誕生を行なう際に使う魔法です】

 

 魔法陣には数字や文字、絵柄のようなモノが幾つも存在していた。

 その中心にいるビナーの胎内にいる命から虹色の光りを起こしながら、胎動を早めていった。

 

【もうすぐ誕生するわ】

【それはとても好機だ】

【ッ!?】

【まさか‥‥】

 

 ビナーが子供を産もうとした時、突如自分達の目の前に光の門が現れた。

 

【愚かな行為をしたな第3の(セフィラ)、ビナー】

 

 光の門から現れた人物の容姿は中年男性ほどの顔立ち、頭に無数のXによって出来た光輪を持ち、漆黒の生地に金の線が入った男性用の衣服を着用していた。

 

【第5の理神(セフィラ)、ゲブラー】

【ビナー。この世界に住むのは神のみで良い。にも関わらず、最も罪深き人間との間に新たな理の神を生み出すとは‥‥愚行の極み】

 

 ゲブラーと呼ばれた第5の理神(セフィラ)

 彼はビナーの行動を愚行と罵った。

 

【第3の理神(セフィラ)第3の|理(セフィラ)が多種族を生む必要なし】

【違います。生誕はどの種族であろうと尊く美しいもの‥‥そこに種族間の優劣など意味はありません】

 

 ゲブラーの言葉にビナーが否定する。

 神が是であり、神以外の種族を生み出すビナーの考えを否定するが、ビナーにとっては全ての種族の生誕時に起きる慈しみ・歓喜を感じ取る事が出来るビナーにとっては、神以外の種族の生誕など論外なのだ。

 

 しかも、神が生誕する事はその度に理が誕生し続けるという事だ。

 理が誕生し続ければその分、神々同士の戦いが起きる事も生誕の理を持つビナーだからこそ気付いた事であった‥‥

 

【神同士が争うのは不要な理を消す為、存在が不要たる人間共に慈悲などいらん】

【ゲブラー。それは間違いなのです。人や異種族がいるからこそ、我々神の理が必要であり、平和を‥‥】

【裏切り者らしい言い訳だな】

【‥‥‥‥】

 

 ゲブラーはビナーの言葉に耳を貸そうとすらしなかった。

 

【いずれにせよ。神に人間の血を混ぜさせた元凶は永遠(とわ)の苦しみを受けてもらう】

【!逃げてあなた!!】

 

 __破滅魔法"破壊の炎"__

 

 ゲブラーの周りから広範囲に漆黒に黄金の炎がバヴェルを襲い始めた。

 そんな炎にバヴェルは刀剣魔法を行使した。

 

 __刀剣魔法"屍焔剣ガラギュードス"__

 

【屍焔剣‥秘奥が壱<焔舞>】

 

 バヴェルは魔導書から召喚させた魔法剣‥‥"屍焔剣ガラギュードス"の秘奥を使い剣身を炎と化して舞い踊らせながら"破壊の炎"とぶつけ合った。

 

 "屍焔剣ガラギュードス"はッ相応しくない使い手には滅びの炎で包み込むほどの危険な魔法剣だが、バヴェルはそれを使い熟して破滅の理を有した炎と全うに対抗していた。

 

【力が落ちているとはいえ、破滅の理に抗うか】

【人間を甘く見るな】

 

 ゲブラーは自身の理に抗っている事に驚いていた。

 そんなゲブラーにバヴェルは殺意の籠もった目で睨みながら告げる。

 

【あなた】

【ビナー。お前は息子を守れ】

【‥‥‥はい】

 

 バヴェルは出産間近なビナーに無茶させたくなかったらしく、そう告げた。

 ビナーはバヴェルの考えを悟ったが、人間が神に挑むことに対して、不安を隠せなかったが、自身が子を身籠もっている事と、一番危険なのは自分達の子供であると考え直して胎内にいる命を守ることにした。

 

 __生誕魔法"誕生の命界"__

 

 先程からビナーの周りにあった魔法陣が更に光りを発行して、強力な魔法陣へと変化していった。

 

 二重三重などと軽すぎると言わんばかりの幾重にも重ねられた魔法陣の結界だった。

 

 __マナゾーン・刀身魔法"流星群の嵐爆撃(スターバースト・ストリーム)"・連撃__

 

 マナゾーンを展開したバヴェルが嵐のような荒々しさに、原爆の如く爆発力を秘めた、流星群のような無数の光りの突き攻撃。

 それを連続攻撃している為、僅か10回ほど突きを行なっただけで、既に100発以上の流星がゲブラーを襲っていた。

 

【愚か】

 

 __破滅魔法"連壊の迅雷"__

 

 

 襲い来る流星群の突きに、一つの漆黒の雷が衝突する。

 一つの流星の突きに衝突したあ漆黒の雷が連鎖的に放電するように流星群へと次々に襲い衝突し合っていた。

 

 __破滅創成魔法"業報の破壊獣(インデュラ)"__

 

 ゲブラーは破壊の力を持った巨大な獣を創成した。

 破壊の獣の姿は背中や鉄球のような尻尾に無数の棘が付いている四足歩行に紫色の体色をした獰猛な牙を持っていた。

 破壊の獣を創成されたバヴェルは新たな魔法剣を召喚した。

 

 __刀剣魔法"鉄砕牙"__

 

 鍔が羽毛のようにふさふさとしており、刀身が大刀になっている刀を取りだした。

 

 __刀剣魔法"冥導残月波"__

 

 "鉄砕牙"の刀身が漆の如き黒くなっていた。

 バヴェルが両手で振り下ろした"鉄砕牙"の刀身からバレーボールの30倍ほどの規模を持った紫色の球体に、星雲や星々があった。

 

 "冥導残月波"が破壊の獣に衝突すると、衝突した部分がえぐり取られていた。

 空間ではなく、触れるもの全てを(・・・)だ。

 

【あれは、冥導の切り開いてるのですか!?】

 

 ビナーはバヴェルが行なった魔法に驚いていた。

 

【冥導を開くか。面白いが同時に面倒だ】

 

 ゲブラーもバヴェルが行なった魔法が冥導‥‥‥つまり、死の世界へと誘う魔法を放った事に流石の神ですら驚いたのだろう。

 神からすれば、生殺与奪は誰でもできるが、死の世界へと誘う魔法は神や悪魔ぐらいしか出来ないと思っていたのだろう。

 

【人間の中で、最強だとわかってはいましたが‥‥こんな魔法にまで使えるなんて‥‥】

 

 ビナーは驚きすぎて目を奪われていた。

 

 __刀剣魔法"神造兵装・聖剣"__

 

 驚くビナーを無視してバヴェルは魔導書から今度は刀身が金色に輝き、剣脊に文字が書かれている聖剣が現れた。

 

 __刀剣魔法"約束された勝利の剣(エクスカリバー)"__

 

 "神造兵装・聖剣"を両手で掴んだバヴェルを掲げる。

 すると、周囲から膨大な黄金色に輝く魔力の粒子が無数に集め始めた。

 刀身に纏われた黄金の光りが少し長めの刀身へと形取っては光りを留めた。

 

 留めた光りを聖剣を振り下ろしたバヴェル。

 

 振り下ろされた聖剣から極大の光りの斬撃がゲブラーを襲う。

 極大の斬撃が斜め上空に向けて、刹那の間、貫いた。

 貫かれた光りが消えると、ゲブラーがいた場所は煙で見えずにいた。

 

 しかし、ゲブラーがいた場所の煙が晴れると、そこには∮を横文字にしたような形をした文字が翼や胴体などに刻まれていた。

 

【星によって生まれた武器すらも扱うか、聖剣といい魔剣といい‥‥貴様は存在自体が厄介だ】

 

 ゲブラーは何事もなかったかのように呟きながらバヴェルを危険視した。

 

【どうやら、貴様の力の底から破滅せねばなるまい】

 

 ゲブラーは先程以上にバヴェルを睨み付けた。

 その睨みは彼等の近くの大地や水が怯えているかの様に、地響きと津波が起き出した。

 その事から、バヴェルは更にゲブラーに対する警戒を強め、聖剣を構えた。

 

【ならば、貴様の魔法ごと破滅してやろう】

【!逃げてあなたゲブラーの狙いは‥‥】

 

 ビナーはシェヴェが狙っている何かに気づき、逃げるように催促する。

 

【遅い】

 

 __破滅呪詛魔法"種族破滅転生"+"破滅の魔性"__

 

 金色のオーラを纏った漆黒の魔力でできた八芒星に、銃弾の様な小さな漆黒の弾丸が現れた。

 

【当たってはダメ!】

 

 その弾丸が八芒星の中心を通りながら弾丸が光の速さを超えてバヴェルを襲う。

 

 __刀剣魔法"魔法破壊斬(スペルブラスト)"__

 

 聖剣に紅い光を纏わせたバヴェルが襲い来る弾丸を斬り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────かに思われた。

 

 弾丸はすり抜けてバヴェルの身体を貫いた。

 

【ガッ!?】

【あなた!?】

 

 ビナーは悲鳴に似た声を上げる。

 バヴェルは弾丸を受けた部分から痛みが走り出し、片手を胸に当てて、服を掴んだ。

 ドクンッドクンッと激しく心臓の鼓動音を鳴らしながらバヴェルに強烈な痛みを与えていた。

 鼓動音が強くなり続けると、バヴェルの身体に影響を与えていた。

 

 バヴェルの背中に蝙蝠の様な一対の両翼が生え始め、続くように尻から剣を形取った尾先を持つ尻尾が生え、更に頭部の両側から前面に伸びる様に現れた角が生え始めた。

 

 それと同時に、白色に輝かせた魔力に覆われたバヴェルお魔導書から魔力が途絶えて、浮遊していた魔導書が地に落ちた。

 

 魔導書が落ちたと同時にバヴェルに起きた異変が終わった。

 

【こ、これは‥‥‥】

 

 バヴェルは自身の手を見ると、その手は人間とは形容しがたい物へと変わっていた。

 

【ゲブラー!悪魔に転生させたのですか!!?】

 

 ビナーは困惑するバヴェルとは打って変わり、種族の転生を行なったゲブラーに怒りを向ける。

 

【そうだ。"種族破滅転生"は標的の種族を無理矢理破壊し、新たな種族として転生させた】

【あなたは‥‥‥】

 

 なんとも無いと言わんばかりに告げるゲブラー。

 そんなゲブラーに対して怒りを向けた。

 

 バヴェルも種族の強制転生された事に怒り、刀剣魔法を行使しようとするが、手に持っていた聖剣が突如消えた。

 

【!】

 

 バヴェルは突如消えた聖剣に疑問に思いもう一度、魔法を行使する為に魔力を回そうとするが、魔法が使えなかった。

 

【どういうことだ?】

【無駄だ】

 

 困惑するバヴェルに冷たく言い放つゲブラー。

 そんなゲブラーにバヴェルが睨み付ける。

 

【なにをした?】

【"種族破滅転生"と共に使った"破滅の魔性"は貴様から魔法属性を破壊する】

 

 淡々と真相を告げるゲブラーにバヴェルは表情を変える事はなかったが、両手を強く、血が滲み出すほどに握りしめた為に、大地に血が流れ落ちた。

 

【バヴェルの魔法属性を破壊したことで、魔法を使えないようにしたのですか!!】

 

 ビナーも夫が受けた魔法の効果に怒りを隠せずにいた。

 

【さて、愚かな人間は力を失ったあとは‥‥】

【ゲブラー】

【!】

 

 ゲブラーはバヴェルを脅威の存在として見るのを止めて、人間と神の血を引く子を宿したビナーに視線を向けようとした矢先だった。

 ビナーからは夫や神々の思考に対する怒りが爆発し、静かに殺意を向けていた。

 その殺意に、天府から無理矢理現世へと下界したゲブラーにとって新たな脅威となった。

 

【私が怒るどうなるか‥‥‥わかっていますよね?】

 

 __生誕創成魔法"無限循環生車"__

 

 輪廻を思わせる粒子によって出来た三つの歯車がビナーの背後に創成され、三つの歯車に乗るように魔力と生命力が巡り、歯車が回転する毎に生命の息吹きが膨れ上がる様に魔力と生命力が増幅していった。

 生誕とは、無から新たな命が生まれ誕生すること、"無限循環生車"はその特性を強く秘めており、輪廻によって新たに誕生する際の生命の息吹きを起こさせて、術者に強化を与える事が出来る魔法だ。

 

 その魔法を見るやゲブラーの額から冷や汗が流れていった。

 

【ビナー。なぜそうまでして殺意を向ける?】

 

 ゲブラーはビナーの殺意に理解が及ばなかった。

 神以外の種族が生きる必要を感じていないビナーと一部の神以外の思考と行動はゲブラーの行動と発言からとっても、それが証言されている。

 

【もうあなたたちには‥‥私が怒っている事の理解もできないのですね】

 

 ビナーは自分が怒っている事への理由が理解できないゲブラーに哀れみさえも感じ取った様な声色で呟いた。

 しかし、いくら神とて、子を宿した状態で戦うのはあまりよくない。

 例えそれが、生誕の理を司るビナーであろうとも‥‥

 

 __生誕魔法"生命の誕生に戻りて"__

 

 ビナーが両手を大きく広げては、翼も同様に大きく広げた。

 翼を羽ばたかせるのと同時に両手をゲブラーに向けた。

 すると、虹色の輝きを持った膨大な粒子がゲブラーを襲う。

 その粒子はあまりに膨大にして広範囲に広がっていた。

 

 __破滅魔法"破壊出来ぬモノなし"__

 

 ゲブラーも同様に漆黒の光に金色のオーラを纏った無数の粒子がビナーの"生命の誕生に戻りて"と衝突し合う。

 生誕を起こし続ける虹色の粒子と、破壊だけを引き起こす漆黒の粒子が衝突する中、音無く衝突し、拮抗し続けていた。

 

 そんな中、ビナーが子を守る為に使った結界の魔法陣‥‥‥つまり"誕生の命界"が後押ししていた。

 

 "誕生の命界"=今この時に生まれゆく全ての生物に魔力と生命力を肥大化させながら同時に強固な存在として生み出すための補助でもある。

 

 よって"無限循環生車"と"生命の誕生に戻りて"が結界も加わって強化され続けているのだ。

 強化されていない第5の理神(セフィラ)‥‥しかも、下界する際に現世との間にある門を正式な開門を行なわない限り、下界は出来ても力は削られてしまっている為、本来の第5の理神(セフィラ)としての力が十二分に発揮していないのだ。

 

【くっ・・・ぁぁぁあああ!!】

【消えなさいゲブラー】

 

 ビナーの魔法がゲブラーを埋め尽くさんと覆っていった。

 ビナーは冷徹にゲブラーに死の宣言を告げる。

 

【‥ぅぁあっ!!?‥‥‥】

【‥‥‥】

 

 今のビナーは無慈悲にゲブラーを倒すために戦っている。

 その様は神の名に相応しく一方的なものだった。

 

 しかし、そんな一方的な攻撃を受けてゲブラーは危機的な状況に追いやられていた。

 

【我が消えれば破滅の理も消えるのだぞ!】

 

 ゲブラーは命乞いと許りに怒鳴りつける。

 しかし、戦う前にゲブラーが言い放った言葉を一言一句換えることなく復唱するビナー。

 

【神同士が争うのは不要な理を消すため‥‥‥なんですよね?ゲブラー】

【!】

 

 ギリッ!と歯軋りをするゲブラー。

 彼はビナーの隙を付くために、態と神の死に関する事を告げた。

 しかし、自分が言い放った言葉を一言一句間違える事なく言われ、そして、自身が言った言葉を撤回など神が行なうことではない。

 そう思っているゲブラーは自身の死を犠牲にある魔法を使うことをした。

 

 __破滅呪詛魔法"破極の呪刻印"+破滅創成魔法"破壊の滅槍"__

 

 螺旋状に出来た漆黒の槍に十二個の呪いの刻印が纏わり付き、ビナーへと襲う。

 ビナーの"生命の誕生戻りて"で押し返そうとするが、その槍は一直線上の力を破壊しながらビナーの胸を貫いた。

 

【貴様も死ね】

【がふっ‥‥!】

【ビナーッ!!??】

 

 槍がビナーの身体を刺し、刻印は未だ胎内にいる子供へと向けて侵食していく。

 バヴェルはビナーに近づいた。

 

【これは‥‥】

 

 ビナーは両手で槍を掴んだ。

 "生命の誕生に戻りて"が両手からも起きている為、"破壊の滅槍"を侵食しようとするが、それらが破壊されていた。

 

 "破壊の滅槍"=槍が触れた部分に破壊の因子を強制的に起こし続ける滅びの槍。

 

 その槍に刺さったままのビナーは今尚、破壊の因子が肉体を蝕んでいった。

 

【加えて、"破極の呪刻印"は貴様等の子に破壊衝動を強制的に起こさせる。生まれたが最後。貴様等が守った子が世界を壊し、子を殺せば、貴様の教示が否定される】

【!】

【いずれにせよ‥‥貴様の願いは途絶えるだけだ】

【貴様ァァアアア!!!!】

 

 バヴェルは妻と子供にされた事に怒り、魔力弾しか使えなくなったバヴェルは空しくも、その技を消えゆくゲブラーに向けて放った。

 悪魔に転生されたとはいえ、魔力量に関しては人間時とは比べられないほどの魔力量・・・最低でも上級悪魔(クラス)の魔力量を秘めていた。

 そんな魔力を消えかけのゲブラーが受ければ、どうなるか、素人であろうと簡単に予見できるだろう。

 

 

 放たれた魔力弾がゲブラーに衝突すると、灰をまき散らすように、消えていった。

 

 ゲブラーが消えたのを視認したバヴェルは片膝をつけてビナーの両肩に両手を置いた。

 

【しっかりしろビナー!!】

 

 バヴェルは苦しむ妻にそう言った。

 ゲブラーによって受けた"破壊の滅槍"は消えつつあるが、それは同時にビナーの命の限界にもあった。

 

【あなた・・・最後のお願いを聞いて・・・】

 

 ビナーがそういったことと、槍による攻撃のダメージが重症であることからバヴェルは妻が助からないことに気づいた。

 気づいたからこそ、本当は希望を持たせようと空しさを含んだ言葉を投げかけようとするのだろうが、ビナーにそんなことは意味をなさない事を今までともに生活してきたことから知っていた彼はビナーの願いを聞くことにしたのだ。

 

【・・・わかった】

 

 涙を流さないように堪えながら、バヴェルは彼女の頼みを聞く体制をとった。

 

【この子に・・・混沌の魔力を与えるわ】

【なっ・・・・・・!!?】

 

 ビナーが告げた言葉に流石のバヴェルでも驚愕した。

 混沌の魔力を手にするには色々な条件が必要であることはビナーからも聞いている。

 そして、先代の混沌の所有者は神によって殺されていることも、出会った当初にビナー自身が語っていた。

 

【第3の(セフィラ)第3の|理(セフィラ)は生まれ来る子の力を把握することもできるの・・・この子には・・・・・・世界を救い理不尽を跳ね除ける・・・力を持ってる・・・四つ葉に選ばれた魂までも・・・この子は秘めてるわ】

【だが・・・】

【この子には既に選ばれた人間と神の力がある・・・後は、この子にあなたを封印して産むわ】

【私を・・・?】

 

 ビナーがバヴェルを生まれ来る子供の中へと封印することを告げた。

 あまりの発言にバヴェルでも疑問に思い口遊んだ。

 口遊んだ夫の言葉に肯定するように力なく頷いたビナーは説明を続けた。

 

【神と悪魔・・・選ばれた人間の魂・・・・・・それで混沌の魔力をこの子は手にするわ・・・だけどゲブラーがこの子に与えた呪いを防ぐには反する存在の力がいる】

【だから・・・私を封印するわけか】

 

 ビナーの意図を知った彼は分かり合っていることを伝えるために言葉をつぶやく。

 ビナーも夫の意思に気づいているのか、儚い笑みを浮かべながら説明を続けていく。

 

【あなた・・・この子に起きた呪いを止めてあげて・・・】

【あぁ。約束しよう。この子にかけられた呪いは必ず私が止める】

【・・・ありがとう】

 

 __生誕封印魔法"ライフ・ゴー・ゾンディ"__

 

 バヴェルを覆うように現れた虹色の水の繭。

 水の繭の中へとバヴェルをを入れたビナーは眉の大きさを縮小していき、小石のようなサイズへと変わっていき、膨らんだ胎内へと入れていった。

 その繭は胎児の中へと封印されていった。

 

 __生誕魔法"生命誕生の日"__

 

 バヴェルを胎内にいる子供へと封印した後、ビナーはその胎児を産む為に魔法を行使した。

 魔法として現れた虹色の螺旋が胎内にいる胎児へと包み込んで、胎内から体外へと出てきた。

 その胎児はすくすくと成長していき、赤子へとなった。

 

【あなたの名はアルト・・・】

 

 ビナーはそういうと、赤子の服と篭にアルトと名付けた赤子をくるんだ。

 

 アルトを抱えたビナーは自身の子を抱いた喜びを感じながらも、近くの教会へと一瞬にして移動した彼女はその協会へと赤子を入れた篭を教会の玄関口へと置いた。

 

【ごめんなさい・・・私たちのことに息子(あなた)を関わらせて・・・もっと・・一緒にいたかったわ】

 

 ビナーは涙ぐみながら告げると、教会から離れていき、一瞬でゲブラーが通ってきた天府の通り道にやってくると、封印魔法を行使した。

 

 __生誕封印魔法"誕生封緘・全開放(フルバースト)"__

 

 自身の命を犠牲にした全力の魔力を解き放った。

 それは同時に、彼女の残りの命のすべてを解き放つ・・・つまり代償にするという意味だ。

 

【さようなら・・・あなた、アルト】

 

 虹色に輝く光の粒子となってビナーは絶命した。

 

 ────────────────────────

 

 ビナーの絶命とともに、自身に起きた起源の映像を脳内へと見せられたアルトの意識は目の前の父バヴェルと話していた空間内へと戻っていた。

 戻ってきた意識の中でアルトは考え伏せるかのようにう俯いていた。

 

【これが、私達に起きた出来事だ】

「‥‥‥」

 

 流石のアルトも自身と両親に起きた事に沈黙してしまった。

 

【私はお前の中で、神々を呪い怒り続けることで、新たに消滅魔法を手にした。おかげでお前にかけられた呪いに対抗することができた・・・・お前にとって一度に自身をことを知る行為だ。考えがまとまらないのも無理は・・・】

「そうでもない」

【!?】

 

 バヴェルはアルトが己の出来事に関して傷心しているだろうと思っていたようだが、アルトがそれを否定したのだ。

 

「前々から俺が混沌を手にした理由を知りたいと思っていたし、自身の理由を知れたのは嬉しいことだ」

 

 アルトはそう言いながら、バヴェルの背後にいる虚ろの状態で俯いている悪魔化した自身へと歩んでいく。

 そんなアルトを見続けるバヴェル。

 

「母さんは誰よりも平和を望んだ」

 

 アルトがそういうと、悪魔化しているアルトの手がピクッと反応した。

 

「父さんは世界を、愛する者を守るために戦い続けた」

 

 今度は眉毛の部分がピクリと反応を示した。

 

「俺は報わなければならん。母は平和を望み、父は愛する者ために戦った。ならば、二人の願いをかなえねばならない。貴様はいつまでそう眠っているつもりだ?」

 

 アルトがそういうや否や、悪魔化しているアルトが虚ろだった瞳に光が灯り、俯いていた顔を上げた。

 

【俺はお前であり、お前は俺だ。お前の考えは俺でもある。その考えに変わりはしない。目の前の理不尽を消し去ってやろう】

 

 悪魔アルトがそういうと、悪魔的笑みを浮かべて右手を差し出してきた。

 アルトがその手を取ると、二人のつないだ手から一つの淡い光が発光した。

 光がやむと、そこには悪魔アルトと一つとなり、黒い蝙蝠の翼を生やし、二本の角を生やして上半身が漆黒に覆われたアルトが立っていた。

 

【アルト・・・】

 

 バヴェルは自身の瞳に映った光景に呆然となりながら言葉を呟いた。

 アルトは両手をグッパ、グッパと握ったり開いたりを続けてると、感覚を取り戻したように手を下げた。

 そして、後ろに踵を返したアルトの瞳は悪魔化したときと同じく赤黒く獰猛な一筋の縦線が出ていた。

 

【行くぞ父さん。世界を変える】

 

 アルトの覚悟を決めた顔つきにバヴェルは頷いた。

 

【これからの戦いにおいて、お前の前に神々が現れるのは必然だ。お前はハゲルドと名乗った神を倒したが、私が新たに得た消滅魔法は、お前の中の悪魔の力に覚醒し、習得する以外にお前の身体がもたなかったんだが、まさかこうも早く覚醒するなんてな・・・】

 

 バヴェルは自身の息子の覚醒速度に驚愕半分呆れ半分に呟いた。

 それほど彼の混沌の覚醒に伴う難易度が高いということだ。

 そして、相手が神となると、それなりの難易度が高い戦いが繰り広げられることになる。

 

 神と相反する力を持つ悪魔の力か、同じく神の力に覚醒し、戦わないとアルトの肉体が持たなかった。

 しかし、悪魔の力へと覚醒し、一体化した今のアルトは自在に切り替えることができる。

 つまりは、悪魔と神に対抗する力へと目覚めたことになる。

 

 

 そこに神の力を加えないのは、ゲブラーによる呪いが関わっているため、仕方がないといえる。

 

 

【・・・さて、意識を現世に戻そう。お前を心配している者がいる。安心させてやれ】

 

 バヴェルはそういうと、アルトの意識を現世に戻した。

 己の真実を知る事が出来たアルトは父バヴェルから語られた自分のルーツを知ることによって、悪魔の力を覚醒する事が出来たアルトは、これからくる神々との戦いへの対抗手段を手にして・・・・・

 

 




次回~混沌の王VS破壊の神~
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