今度は短くても投稿していこうと思いますので、宜しくお願いします。
リアラ達がアルトと漆黒の三極性たちの戦いを見て回想に浸っている間、アルトの攻撃を受けた[漆黒の三極性]というと‥‥
「まさか、ヴァニカを簡単に倒すとは……」
"流星群の嵐斬撃"を連続で放たれた斬撃が[漆黒の三極性]を襲った結果。
時空を停止されたヴァニカのみが倒れている事が判明し、他の二人‥‥‥つまりダンテとゼノンの状態が分かっていなかった。
ヴァニカは体中を斬られて血を流していて、とても平気な状態とはいえず、瀕死といっていいものだった。
ヴァニカはアルトの攻撃を受けて重傷を負い、地に背中を付けて倒れていた。
「混沌を甘く見ていたようだ」
煙が晴れると、先程以上に醜悪なまでの肉体へと変化し巨大化したダンテ。
大量の骨で身体を内部から、外部からも纏って防御していたゼノンすらもヴァニカと同様、血を流して片膝を着いていた。
(肉体魔法。対抗できる魔法属性は幾つかあるが、あの重力魔法も同時に対処するとなれば‥‥)
アルトはこの兄弟の中で一番に強いのはダンテだと考えている。
しかし、同時に一番弱いとも感じていた。
彼は幾度となく再生する肉体魔法を持ってしまった事と悪魔の力による重力魔法が強者たらしめているが、同時にそれらが簡単に壊されれば一番の弱者だ。
己の力が不滅だと思い込んでいる自惚れだと……
「だが、私に勝つことはない」
ダンテはそう言いながら、巨躯となった図体でアルトを見下ろしていた。
「そうでもないようだが?」
「なに?」
__混沌調合魔法"
身体全体を七色に輝かせたアルトは"神速の歩み"で近づいた。
ダンテの肉体を挟み込むような科学的なグラフが現れ拘束する。右脚に七色に輝く魔力を集めた跳び蹴りがダンテに直撃する。
「ガッ……!?」
直撃した"完全調合終蹴撃"がダンテを襲い、彼の身体に七色の波動が纏わり付く様に流出していき、彼の悪魔の力を解放した姿が少しずつ消えていき、肉体までもが最初に出会った頃の体型に戻っていた。
"完全調合終脚撃"=相手が備わっている感情や耐性などを簡単に書き換えることが出来る。その中には感情がない者に対して感情を与えたり、毒性を浄化させるという方法もあるのだ。
これにより、ダンテの魔法によって強く鍛え再生していた肉体は元に戻ったのだ。
「兄上……!?」
ゼノンは突如ダンテの前に現れたアルトの放った攻撃による変化を見て、驚き声を上げてしまう。
そんな彼へとダンテの頬を蹴っては飛ばし、衝突させた。
「ぐっ……!?」
「っ……」
蹴り飛ばされたダンテを自身の身体を精一杯に使って受け止めるゼノンだが、蹴り飛ばされたダンテの勢いがとても強く、地に足を付き、勢いを削ろうと必死になるが、アルトがダンテにつけた勢いはその程度では収まることはなかった。
"神速の歩み"でゼノンたちの上下左右の四方に"
思考によって生み出された反魔法の巨大な大槌が迫りくることに、ゼノンは焦った。この魔法から魔力が消えていることに気づいたのだろう。彼の契約した悪魔の魔法属性であろうとも、触れるモノの魔力を無効化する魔法の前には無駄だからだ。故に、上下左右からの攻撃に触れられる前に、空間魔法によて出来た黒緑色の孔へと入っていった。
八つの大槌が触れた事で起きた砂塵が吹き荒れる。
アルトはそんな砂塵に目もくれず、ヴァニカが倒れている場所へと視線を向ける。
その場所に突如、ゼノンが作り出した空間魔法と同じ孔が出来上がった。孔から現れたのはダンテを連れたゼノンだった。
アルトがダンテに行った"完全調合終脚撃"によって彼の肉体魔法という毒素を浄化させて元の肉体へと変換させて、重い足蹴りを受けてしまったダンテは気を失ったのかゼノンの骨魔法によって抱えられていた。
「コホッ……ゴホッ……!!」
瀕死であるヴァニカが、口から血の混じった咳をしながら、頭を無理して動かしていった。
「……アハッ!……いいね……君……私の奥がムズムズしてイキそう……これって……恋ってやつ!?」
ゼノンは同様にヴァニカも回収するために空間を開いてはヴァニカを通り過ぎるように空間が走っていき、空間に呑まれたヴァニカはゼノンの展開した骨の中に移動していた。
骨に包まれながらも、嬉々とした表情を浮かべてアルトへと視線を向け続けるヴァニカはまるでストーカーのような執念を感じ取れた。
「今度会うときは……必ず君を貰うね!」
「手に入れられるものならな……」
そうヴァニカに告げると、ゼノンによって別の場所へと転移していく。
彼女の言葉にアルトはそっけない態度でそう言った。
そんな彼の言葉に、下卑たような笑みを浮かべながら、目の前から消え去っていった。
三つの悪魔憑きの魔力が消えた事をアルトは警戒心を収めることなく、後ろにいるラグヴァペインと呼ばれた者達に視線を向けた。
威圧を込めた視線がリアラ達の一挙一動を見逃さず、不審な動き全てに対応できると告げていた。
まるで、喉元に切っ先を突き付けられたかのような、感覚を…………
そんな感覚に襲われながらも、ただ一人……アルトへと近づいた者がいた。
その者とは、ラグヴァペインの長にして、彼の妃として嫁ぎ、王の覚醒を促す者……「
彼女はたった一歩だけ、されど一歩を歩むとそこで頭を下げた。
あまりに綺麗なお辞儀に、ここが戦場でなければ、100人は魅了していたであろう程のお辞儀をされては、流石のアルトも表情に出すことはなくとも、内面では茫然としていた。
「あなた様にとって、領地内に争いを近づけようとする不審者と感じるかもしれませんが、感謝だけはお受けとりください。助けて頂きありがとうございます」
彼女の謝礼に続くように、彼女の護衛役である三人の魔導士たちも、同じく頭を下げて謝罪した。
「謝罪するぐらいならば、お前たちの正体を語ったらどうなんだ?ましてや……先ほどの三人は全員悪魔憑きだ。そんな奴らに襲われるなど、只の希少な魔法属性持ちというだけでは説明できん」
そういうとアルトは獲物を取り出しては虚偽を許さぬと魔力を放出し、覇気を向けることで、彼らに真実の回答以外の選択肢を奪い去った。
彼らもアルトからの魔力と覇気を受けては虚偽を許せない状況にいることぐらい、簡単に察しがついていた。
「我々の目的は、とある人物との会合でございます」
アルトの質問に答えたのはリアラではなく、碧髪の男だった。
男が発言すると、リアラを護衛していた他の二人と共にアルトに向けて片膝をつき頭を下げて忠誠を誓うかのように俯いた。
「……なんのつもりだ?」
突如の忠誠の誓いにアルトでも困惑はする。しかしリアラとアルトの間にて頭を下げる彼らの様子からアルトとリアラに注がれていることが一目瞭然だった。
そのことから先程の男の言葉と、スペード王国の魔導士たちの襲撃を考えあわせたアルトは一つの結論に至った。
それは彼女────スペード王国によるリアラの誘拐未遂。並びにラグヴァペインによるアルトとリアラの会合であった。
彼らの会合を成功させようとする者と阻止する者。
二つの勢力が国を違えて争っていたのだ。会合の成功・阻止を目論み実行するということは過去・現在・未来であっても同じように繰り返す利権の争いに似ている。
不都合だから阻止する。
良いと思ったから成功させると、十人十色ならぬ
そんな利権の争いに、第三者として介入してしまっていたことに、後になって気づかされることになったことを恥じるアルトだったが、過ぎたことに文句を言おうとは思えず、彼らの会合理由を尋ねるために、一度彼女たちをアジトへと紹介した。
次回~いざ、ラグヴァベインへ!~